JP3819601B2 - 配管敷設工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管敷設工法に関し、さらに詳しくは、新設管の敷設工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路下に埋設されている本支管から民地内の需要家に向けガスを供給する管路として供給管が敷設されている。
【0003】
供給管は、本支管に形成された分岐開口に取り付けられているサービスチーを介して敷設方向の一端が連結され、敷設方向の他端が需要家先のメータ立管に連結されるようになっている。
供給管の新設に際しては、本支管が埋設されている箇所および民地内でメータ立管との連結が行える箇所にそれぞれ地表面に開口する発進用および到達用の立抗を掘削したうえで、それら立抗間に供給管を挿通し、供給管の敷設方向一端を本支管の分岐部に取り付けられているサービスチーに連結する一方、敷設方向他端をメータ立管に連結する作業が行われていた。
供給管を新設するためには、供給管を挿通するための孔を形成しながら掘進する丸鋼ロッドやスクリューオーガ等の掘進ロッドと、この掘進ロッドを推進および引き戻すための駆動源として油圧機関、内燃機関、エアモータや電動モータを等のいずれかを備えた推進機本体等とで構成された掘削推進装置が準備される。
【0004】
ところで、近年では、地震等の災害時に発生する外力によって供給管が損傷するのを防止するために、従来用いられていた鋼管に比べて可撓性を有するポリエチレン管(PE管)等の合成樹脂管が用いられるようになってきている。
このようなPE管を敷設する場合も含めて供給管を新設する場合も上記作業が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の敷設工事においては、敷設工事にかかる作業時間が長大化する虞がある。
つまり、掘削推進装置は上述したような種々の装置を備えている関係上、狭い立坑内での設置や立坑内への運搬に要する作業が多くなる。また、推進ロッドは、推進長さに応じて継ぎ足されることになるので、推進距離が長くなるに比例して推進時間もさることながら、その継ぎ足し作業および継ぎ足したものを取り外して回収するための作業が多くなることによっても作業時間が長くなる。しかも、推進ロッドの推進動作および継ぎ足し操作やロッドの回収操作が狭い空間の立抗内で行われる関係上、作業者への労力負担も大きくなる。つまり、立坑は、地面の開削幅をむやみに大きくできないという制約の下で形成されているものであり、その開削幅が継ぎ足しあるいは回収されるロッドの長さに近いとそれら継ぎ足しや回収作業のための余裕幅が少なくなり、これによって、立坑内での作業性が悪くなる。
【0006】
本発明は、上記従来の配管の敷設工法における問題に鑑み、作業工数を低減することで作業時間を短縮することが可能な配管の敷設工法を提供することにある。特に、新たな管材を掘削推進と同時に引き込むことにより工程数を低減すると共に、掘進のために用いられる装置を用いて掘進直後に供給管を引き込むことが可能な配管敷設工法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、地表から地中に向け掘進手段を推進させ、該掘進手段により形成された推進孔に新たな供給管を挿通する配管敷設工法であって、先端に掘進手段を装備した伸縮可能なシリンダを内装した複数段からなるロッドで構成された掘削推進装置に対して新設対象の供給管の一端を連結し、少なくとも第1のロッドに対して第2のロッドを伸長し、第2のロッドに対して上記シリンダを伸長させて、上記掘進手段を推進させる一方、上記掘進手段を掘進位置に保持した状態で上記シリンダおよびロッドを収縮させるのに連動して上記供給管を牽引して引き込むことを特徴としている。
【0008】
【作用】
請求項1記載の発明では、伸縮動作によって掘進するシリンダに連動するロッドに対して供給管を連結し、掘進位置に保持されているシリンダの収縮動作に連動して、少なくとも第1及び第2のロッドを収縮させることにより供給管を引き込むことができるので、ロッド自体の回収作業を不要にして掘進作業に用いられるシリンダを用いて供給管の引き込みが可能になる。
【0009】
【実施例】
以下、図示実施例により本発明の詳細を説明する。
【0010】
図1は、PE管が用いられる新たな管材に相当する供給管1の敷設状態を説明するための模式図であり、同図において、道路の下面には本支管2が埋設されている。
図1において、供給管1の敷設経路には発進立抗Aと到達立抗Bとが設けられ、本実施例では、本支管2が到達立抗B内に位置している。
発進立抗A内には、供給管1の敷設開始位置に対向して掘削推進装置3が配置される。
【0011】
掘削推進装置3は、外観図である図2に示すように、先端に錐頭部で構成された掘進手段3Aを備え、この掘進手段3Aは、図3に示すように、油圧シリンダ4および複数段、本実施例では3段に重畳されたロッド5、6、7とを備えている。
図3は、掘削推進装置3の内部構造の概念を説明するための模式図であり、同図(A)において、油圧シリンダ4は、内部に装填されている伸縮ロッド4Aの一端に後述する係止装置8を介して上述した掘進手段3Aが固定されている。
ロッド5、6、7は、順次外方に挿嵌されて筍状をなす油圧シリンダを構成すると共に、最外側に位置するロッド5の内部に挿嵌されているロッド6、7には、油圧シリンダの長手方向で同じ側、つまり伸長方向後方側の端部にピストン部6A、7Aが設けられている。また、各ロッド5〜7は、その伸長方向前方側に相当する端部が傾斜面とされ、収縮時、掘進手段3Aによって掘削された推進孔を拡径できるようになっている。
最外側のロッド5を構成する油圧シリンダには、その内側に位置するロッド6の収縮時におけるピストン部6Aの近傍にオイル給排口5Aが形成され、ロッド6および7を構成する油圧シリンダにも、収縮時におけるロッド6、7の内側に位置するピストンの近傍にそれぞれオイル給排口6B、7Bが設けられている。
【0012】
ロッド5、6、7の内壁には、これらロッドの内径、換言すればピストン部6A、7Aおよび油圧シリンダ4の伸縮ロッド4Aに有するピストンの外径寸法の違いに応じたストロークが得られる位置に各ロッドの内壁面の周方向に沿って複数のストッパSがそれぞれ設けられており、ロッド5、6、7および油圧シリンダ4の伸縮ロッド4Aを伸長位置で係止するようになっている。
【0013】
ロッド5、6、7に形成されているオイル給排口5A、6Bおよび7Bは、それぞれ内側に位置するロッドおよび油圧シリンダ4の伸縮ロッド4Aに有するピストン6A、7Aを伸縮動作させるための空間に連通しており、その空間内へのオイルの給排制御により、図3(B)乃至(D)に示すように、油圧シリンダ4内の伸縮ロッド4Aおよびロッド6、7を順次伸長させることができる。つまり、図3(B)乃至(D)において実線で示す矢印はオイルの供給方向を示しており、ロッド5のオイル給排口5Aには、発進立抗Aの近傍で地上に設置されている油圧供給ユニット(図示されず)から延長された油圧パイプ(便宜上、図3において符号Pで示す)が接続されている。
このため、図3(A)に示す収縮状態にある各ロッド5〜7のうちロッド6は、ロッド5の空間内にオイルが供給されると、図3(B)に示すように、ピストン部6Aがオイルの圧力によって押圧されて図中、右側に移動し、ストッパSに衝止されることで伸長位置を規定される。また、ロッド5〜7のうちのロッド7は、図3(C)に示すように、ロッド5のオイル給排口5Aから供給されるオイルの一部がオイル給排口6Bを介してロッド6の空間内に入り込むと、そのオイルの圧力によって押圧されて図中、右側に移動し、ストッパSに衝止されることで伸長位置に規定される。さらに、油圧シリンダ4は、図3(D)に示すように、ロッド7のオイル給排口7Bを介してロッド7の空間内にオイルが供給されると、伸縮ロッド4Aが伸長され、油圧シリンダ4内にて所定位置で伸縮ロッド4Aが係止される。
【0014】
ロッド5の空間内がオイル給排口5Aからの排油により負圧化されると、図3(D)において一点鎖線で示すオイルの流動方向による負圧化)、ロッド6のピストン6Aが吸引されて収縮移動し、さらにロッド6のオイル給排口6Bを介してロッド5の空間内の負圧の影響を受けることでロッド6の空間内も負圧化されてロッド7のピストン部7Aが収縮移動する。さらに、ロッド7のオイル給排口7Bを介してロッド5の空間内の負圧の影響を受けることで油圧シリンダ4の伸縮ロッド4Aが左側に吸引移動して収縮する。なお、ロッド5のオイル給排口5Aに対するオイルの給排制御、換言すれば、オイルの供給量は、各段のロッドの伸縮ストロークを検出可能なストロークセンサ(図示されず)からの信号に基づいて実行される。
【0015】
一方、係止装置8は、その構成の概念が図4に示されている。
図4において係止装置8は、伸長した掘進手段3Aをその位置に保持するためのものであり、掘進手段3Aと一体とされた中空円盤8Aを有し、その中空円盤8A内には、周方向に沿って複数の錐状部材8Bが中空円盤8Aの径方向に対して進退可能に設けられている。錐状部材8Bは、中空円盤8Aの中心側に引張りバネ9の一端が掛け止めされて通常、中空円盤8Aの外周から内部に後退する習性を付与されており、後退した状態での先端部近傍には、電磁石10が配置されている。電磁石10は、励磁されると錐状部材の鍔部8B1を吸引し、これによって錐状部材8Bが中空円盤8Aの外方に突出することができるようになっている。係止装置8の錐状部材8Bは、中空円盤8Aから外方に突出することにより、掘進手段3Aによって掘削された推進孔周囲の土中に進入することができ、これによって、油圧シリンダ4およびロッド5〜7が収縮した場合に不用意に掘進手段3Aが移動するのを阻止して掘進手段3Aを伸長位置に保持するようになっている。
【0016】
また、油圧シリンダ4およびロッド5〜7の伸長時でのロッド5の位置保持のために、ロッド5の端部にも上述した係止装置8が設けられている。なお、ロッド5側に設けられている係止装置8は、発進立抗Aから初めて油圧シリンダ4およびロッド5〜7が伸長する場合には動作をしないようになっており、その代わりにロッド5は、発進立抗A内に配置されている不動状態の支持部材に固定される。
【0017】
一方、ロッド5の内の最外側に位置するロッド5には、図2に示すように、その端部にフック11が設けられており、このフック11には、供給管1が連結されるようになっている。
つまり、図3(A)に示すように、ロッド5における掘進方向後方側の端部にはフック12が固定されており、このフック12に対して牽引部材を介して供給管1が連結されている。
【0018】
本実施例は以上のような構成の掘削推進装置3を用いて次の手順により新設対象である供給管1を敷設する。
(1)発進立抗A内に掘削推進装置3を設置し、かつ、支持部材を不動状態に設けてロッド5をその支持部材に固定する。
【0019】
(2)ロッド5に対してオイル供給ユニットからオイルを供給してロッド6、7および油圧シリンダ4の伸縮ロッド4Aを伸長し、推進孔を掘削する。
この場合には、図3において説明したように、各ロッド内の空間にオイルが供給されることで油圧シリンダ4の伸縮ロッド4Aが伸長し、掘進手段3Aが土中を進行する。
【0020】
(3)伸長し終わった掘進手段3Aは、係止装置8に有する錐状部材8Bが中空円盤8Aの外方に突出させられることにより伸長位置に保持される。
この場合には、図4に示したように、電磁石10が励磁されることで錐状部材8Bが土中に進入し、不用意に掘進手段3Aが後退しない状態とされる。
【0021】
(4)ロッド5の空間内から排油されることにより、ロッド6、7および油圧シリンダ4を収縮させる。
この場合には、掘進手段3Aが係止装置8によって伸長位置に保持されているので、ロッド6、7および油圧シリンダ4が収縮すると、掘進手段3A側に向けロッド5〜7および油圧シリンダ4が移動することになるので、この移動方向に応じてロッド5に連結されている供給管1が牽引されて引き込まれる。
【0022】
(5)ロッド5〜7および油圧シリンダ4の収縮が終了すると、収縮位置に置いてロッド5に有する係止装置8が錐状部材8Bを土中に進入させる態位とされると共に掘進手段3A側に位置する係止装置8の錐状部材8Bが初期状態に復帰して土中から引き抜かれ、再度、ロッド5に対してのオイルの供給によってロッド6、7および油圧シリンダ4が伸長させられる。
【0023】
(6)(5)においてロッド6、7および油圧シリンダ4の伸長が完了すると、再度、(4)の作業が実行される。
以降、上記(2)から(5)の作業が繰り返されて、いわゆる、尺取り虫状にロッド5〜7および油圧シリンダ4が土中を進行することによりロッド5〜7および油圧シリンダ4の収縮に伴って供給管1が順次引き込まれ、到達立抗Bに達することになる。
【0024】
以上のような実施例によれば、油圧シリンダ4に加えて各ロッド5乃至7を筍状に配置したシリンダで構成しているので、伸長ストロークに対して収縮状態での長さを闇雲の長くする必要がない。これにより立坑等の狭い空間への設置が容易となり、しかも必要な伸長ストロークを確保することが可能になる。
【0025】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、請求項1記載の発明によれば、伸縮動作によって掘進するシリンダに連動するロッドに対して供給管を連結し、掘進位置に保持されているシリンダの収縮動作に連動して、少なくとも第1及び第2のロッドを収縮させることにより供給管を引き込むことができるので、ロッド自体の回収作業を不要にして掘進作業に用いられるシリンダを用いて供給管の引き込みが可能になる。これにより、新たな管材を掘削推進と同時に引き込むことにより工程数を低減できると共に、掘進のために用いられる装置を用いて掘進直後に供給管を引き込むことで作業工数を低減して作業時間の短縮化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による新たな管材に相当する供給管の敷設状態を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した新たな管材を敷設する際に用いられる掘削推進装置の外観図である。
【図3】図2に示した掘削推進装置の内部構造の概念を説明するための模式図である。
【図4】図2に示した掘削推進装置に用いられる掘進手段の位置保持機構の概念を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 PE管を用いた新たな供給管
2 本支管
3 掘削推進装置
3A 掘進手段
4 油圧シリンダ
4A 伸縮ロッド
5〜7 ロッド
8 掘進手段の位置保持用係止装置

Claims (1)

  1. 地表から地中に向け掘進手段を推進させ、該掘進手段により形成された推進孔に新たな供給管を挿通する配管敷設工法であって、
    先端に掘進手段を装備した伸縮可能なシリンダを内装した複数段からなるロッドで構成された掘削推進装置に対して新設対象の供給管の一端を連結し、
    少なくとも第1のロッドに対して第2のロッドを伸長し、第2のロッドに対して上記シリンダを伸長させて、上記掘進手段を推進させる一方、上記掘進手段を掘進位置に保持した状態で上記シリンダおよびロッドを収縮させるのに連動して上記供給管を牽引して引き込むことを特徴とする配管敷設工法。
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