JP3818928B2 - 表面形状測定方法および表面形状測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面形状測定方法および表面形状測定装置に関する。詳しくは、三次元測定機などに取り付けたプローブにより被測定物表面の形状を測定する表面形状測定方法および表面形状測定装置に関し、特に、スタイラス先端部を被測定物表面に自律倣い走査させ、連続的に被測定物表面を測定する表面形状測定方法および表面形状測定装置に関する。
【0002】
【背景技術】
三次元測定機などに取り付けた接触式あるいは非接触式プローブにより被測定物表面の形状を測定する表面形状測定方法において、スタイラス先端部を被測定物表面に自律倣い走査させ、連続的に被測定物の表面形状を測定する表面形状測定方法が知られている。
従来の表面形状測定方法をおこなう表面形状測定装置1は、図10に示されるように、被測定物Wの表面に接触する接触部22を有する接触式プローブ2と、この接触式プローブ2をX、YおよびZ方向に駆動させる駆動機構3と、この駆動機構3を介して接触式プローブ2の接触部22の移動を制御するコントローラ部4とを備える。
【0003】
接触式プローブ2は、図11に示されるように、先端に接触部22を有するスタイラス21と、このスタイラス21を支持するスタイラスホルダ23と、このスタイラスホルダ23に設けられスタイラス21を軸方向に振動させる加振手段24と、スタイラス21の振動変化を検出する検出手段25とを備える。ここで、加振手段24および検出手段25は圧電素子から構成されている。
【0004】
駆動機構3は、従来の三次元測定装置に用いられるX、YおよびZ方向スライド機構を備えたものが利用される。
コントローラ部4による接触部22の移動の制御方法は、接触部22が被測定物Wの表面に所定の押し込み強さで接触したときの検出信号を示す基準位置信号値が設けられ、次のステップ1〜4を実行する。
(ステップ1)接触部22を被測定物に対して非接触の状態から接触する方向に移動させる接近移動工程と、
(ステップ2)検出信号が基準位置信号値に達すると、接触部22を接近移動工程での移動方向に対して略直角方向で、かつ、予め設定された倣い方向および移動ピッチを有するベクトルに従って移動させる直角移動工程と、
(ステップ3)直角移動工程終了後、検出信号が前記基準位置信号値になるように接触部22を直前の移動方向に対して略直角方向に移動させる第1修正移動工程と、
(ステップ4)検出信号が基準位置信号値に達したときの接触部22の位置と、この直前に検出信号が基準位置信号に達したときの接触部22の位置とを結んだ延長方向に接触部22を予め設定された移動ピッチを有するベクトルに従って移動させる走査移動工程と
を行う。
【0005】
このような構成において、図12に示されるように、接触部22を被測定物Wの表面に連続的に接触させると、被測定物Wの表面形状が測定される。
図12に示される例を上から見た図を図13(A)に示す。図13(B)は、図13(A)の各点に応答した検出信号の出力である。
コントローラ部4に測定開始指令と直角移動工程および走査移動工程における接触部22の倣い方向および移動ピッチが指示されると、表面形状測定が開始される。
まず、接触部22が被測定物Wの表面に対して非接触である点P0から、接近移動工程によって被測定物Wに接触する方向に移動される(ステップ1)。すると、接触部22が被測定物Wの表面に接触され、検出信号が基準位置信号値に達する(点P1)。
【0006】
検出信号が基準接触信号値に達すると、直角移動工程によって接触部22が接近移動工程での移動方向に対して略直角方向で、かつ、予め設定された倣い方向および移動ピッチを有するベクトルに従って移動される(ステップ2)。このとき、被測定物Wの表面形状の凹凸によって接触部22が被測定物Wに強く押し込まれると、検出信号が変化する(点P2)。検出信号が変化すると、第1修正移動工程によって、検出信号が前記基準位置信号値になるように接触部22が直前の移動方向に対して略直角方向に移動される(ステップ3)。
【0007】
第1修正移動工程による接触部22の移動により、検出信号が基準位置信号値に達する(点P3)と、走査移動工程によって、この接触部22の位置点P3とこの直前に検出信号が基準位置信号値に達したときの接触部22の位置である点P1とを結んだ延長方向に、予め設定された移動ピッチを有するベクトルに従って接触部22が移動される(ステップ4)。
以下同様に、検出信号が離間を示すと第1修正移動工程が行われ(点P4から点P5)、検出信号が基準位置信号値に達すると走査移動工程が行われることにより、被測定物の表面形状に沿って接触部22が移動される。
検出信号が基準位置信号値に達したときの接触部22の位置を記録することによって、被測定物Wの表面形状を測定することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の表面形状測定方法では、複雑な表面形状を有する被測定物Wに対応できないという問題があった。つまり、検出信号が基準位置信号値からずれたとき、第1修正移動工程によって、直前の移動方向に対して直角に接触部22を修正移動させることによって、検出信号を基準位置信号値にできる表面形状に限定され、例えば、図14に示されるような被測定物Wの表面形状に対しては従来の表面形状測定方法では対応できない。
【0009】
図14において、点P6から点P7に接触部22が走査移動工程によって移動されると、接触部22が被測定物Wの表面に強く押し込まれるので、検出信号が基準位置信号値をはずれる。このとき、第1修正移動工程によって、直前の移動方向(点P6から点P7へ向かう方向)に対して直角方向(点P7から点P8)へ接触部22が移動されるが、点P7から点P8に向かう接触部22の移動では接触部22を被測定物Wの表面に強く押し込んでしまう。検出信号の値も基準位置信号値に復帰されることはなく、この時点で測定不能となる。
【0010】
本発明の目的は、従来の問題を解消し、複雑な表面形状に対して自律倣いでき、連続測定可能となる表面形状測定方法および表面形状測定装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の表面形状測定方法は、被測定物表面を検出する検出部を先端に有するスタイラスと、前記被測定物表面と前記検出部間の相対位置関係を検出して検出信号を発信する検出手段とを備えるプローブを用いて、被測定物表面形状を測定する表面形状測定方法において、前記検出部と前記被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を示す基準位置信号値と、前記基準位置信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第1限界信号値と、前記第1限界信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第2限界信号値とを予め設定する設定工程と、前記検出部を前記被測定物へ相対移動させて接近させる接近移動工程と、前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記接近移動工程での相対移動方向に対して所定の方向に相対移動させる前置移動工程と、前記検出信号が前記基準位置信号値と前記第1限界信号値との間にあるときは、前記検出信号が前記基準位置信号値になるように前記検出部と前記被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる第1修正移動工程と、前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、このときの前記検出部または被測定物の位置情報と、この以前に前記検出信号が前記基準位置信号に達したときの前記検出部または前記被測定物の位置情報とを用いて次の移動方向を求め、この方向に前記検出部と前記被測定物とを相対移動させる走査移動工程と、前記検出信号が前記第2限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記走査移動工程における移動方向と逆方向に相対移動させる第2修正移動工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、検出部を被測定物に接近させると被測定物と検出部間の相対位置関係が検出されるので、検出部が被測定物表面を検出可能な範囲に入ったことを検出できる。このとき検出部または被測定物の位置情報を記録することにより被測定物の表面形状を測定することができる。
設定工程では、まず、検出部と被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を基準位置信号値として設定する。続いてこの基準位置信号値に対して検出部の過剰近接または過大離間を示す検出信号を第1限界信号値とし、この第1限界信号値に対して検出部の過剰近接または過大離間を示す検出信号を第2限界信号値として設定する。
【0013】
検出信号は、検出部と被測定物との相対位置関係に相関して変化されるが、基準位置信号値を設定し、この基準位置信号値に達したときの検出部または被測定物の位置情報を記録すれば、検出部と被測定物との相対位置関係を常に一定とした位置情報を得ることができる。つまり、安定した精度の高い位置情報を得ることができる。
接近移動工程においては、検出手段が検出部と被測定物の位置関係を検出可能な位置に検出部と被測定物を相対移動させる。
【0014】
前置移動工程においては、接近移動工程のあと、検出信号が基準位置信号値に達したところで、検出部が被測定物表面に沿って倣うように、検出部と被測定物との相対移動方向を接近移動工程における移動方向に対して所定の方向に変更する。この前置移動工程における相対移動方向は、あらかじめ設定された方向や、あるいは設計データなどから被測定物の表面方向が既知の場合は、その表面方向とする。
第1修正移動工程においては、検出信号が基準位置信号値に一致せず、検出信号が基準位置信号値と第1限界信号値との間にあるとき、検出信号を基準位置信号値になるように検出部と被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる。
【0015】
ここでいう前記の被測定物の表面とは、検出部が以前に検出してきた被測定物表面の略延長上に位置する被測定物表面を意味し、たとえば、検出部が以前に検出してきた被測定物に対して90°以上の角度で鋭角に折れ曲がる被測定物表面を意味しない。
【0016】
走査移動工程においては、検出部と被測定物とが互いに倣って検出手段が相対位置関係を検出しつつ相対移動するための次の移動方向を選択する工程であり、検出信号が基準位置信号値に達したときの検出部または被測定物の位置情報と、この以前に基準位置信号値に達したときの検出部または被測定物の位置情報を用いて次の相対移動方向を求め、この方向に検出部と被測定物とを相対移動させる。例えば、以前に基準位置信号値に達したときの位置情報をいくつか結んだ方向の延長方向に検出部と被測定物とを相対移動させる。
【0017】
第2修正移動工程においては、検出信号が第1限界信号値を超えて第2限界信号値に達したとき、走査移動工程での検出部と被測定物との相対移動方向とは逆方向に検出部と被測定物とを相対移動させる。
第1限界信号値に達したときに、第1修正移動工程によって、検出部と被測定物は離間または近接する方向に相対移動される。しかし、被測定物表面が、以前の検出部または被測定物の位置情報から求めた被測定物表面の延長上に位置しない場合、つまり、以前に倣い測定してきた被測定物表面に対して90°以上の角度で鋭角に折れ曲がる複雑な形状である場合は、第1修正移動工程によっては検出信号は基準位置信号値に戻らない。すなわち、検出部と被測定物とが互いに倣って移動されないため、測定できない。
【0018】
第2修正移動工程によれば、走査移動工程での移動方向とは逆方向に検出部と被測定物が相対移動される、つまり引き返すという移動方向を選択する。よって、表面形状が、以前に倣い測定してきた被測定物表面に対して90°以上の角度で鋭角に折れ曲がる複雑な形状である場合でも、第2修正移動工程によって検出信号を基準位置信号値に戻すことができ、以降続けて、検出部と被測定物とを互いに倣って相対移動させることができる。その結果、従来測定不能であった複雑な表面形状を有する被測定物であっても、表面形状測定することができる。
【0019】
以上において、各工程が行われる順序は限定されない。例えば、第1修正移動工程を飛ばして第2修正移動工程を行う場合もありうる。検出信号が基準位置信号値から第1限界信号値を急激に超えて第2限界信号値に達した場合などである。
従って、第1限界信号値と第2限界信号値が設定されているので、検出信号が基準位置信号値からずれた状態、つまり、検出部が被測定物表面に対して過剰近接または過大離隔である状態を2段階で認識することができる。よって、第1限界信号値に達したときの検出部の修正移動によっても検出信号が基準位置信号値に戻らず、検出信号が第2限界信号値に達する場合、さらに、異なる方法で検出部を修正移動させて検出信号を基準位置信号値に戻すことができる。その結果、検出部を二つの異なる修正移動方法で移動させることができ、複雑な表面形状を有する被測定物表面に沿って検出部を倣い移動させることができる。
【0020】
請求項2に記載の表面形状測定方法は、請求項1に記載の表面形状測定方法において、前記前置移動工程は、予め設定された移動の方向および移動の大きさを有するベクトルに従って前記検出部と前記被測定物とを相対移動させることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、前置移動工程での移動方向が予めベクトルとして設定されているので、接近移動工程によって検出部が被測定物に接近して検出手段が被測定物表面と検出部間の相対位置関係を検出可能になったあと、測定者が設定した方向に検出部と被測定物とが相対移動する。具体的には、前置移動工程における相対移動方向は、接近移動工程での相対移動方向に対して、例えば、右または左の設定角度方向に折れ曲がる。測定部位が被測定物表面の一部分であると、接近移動工程の後、測定部位の方向に曲がれば、測定部位のみを効率よく測定することができる。
【0022】
また、前置移動工程での移動の大きさが予めベクトルとして設定されているので、測定を粗く行いたい場合は、この移動の大きさを大きく設定すればよく、また、測定を緻密に行いたい場合は移動の大きさを小さくすればよい。
【0023】
請求項3に記載の表面形状測定方法は、請求項2に記載の表面形状測定方法において、前記前置移動工程における前記予め設定された移動の方向は、前記接近移動工程での相対移動方向に対して略直角であることを特徴とする。
このような構成によれば、被測定物の表面方向の角度が未知の場合であっても、接近移動工程における接近移動方向を被測定物表面に対して略直角方向に移動させれば、前置移動方向における相対移動方向は被測定物の略表面方向となるので、効率の良い測定が行える。
【0024】
請求項4に記載の表面形状測定方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の表面形状測定方法において、前記走査移動工程は、前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記検出部の位置をこの直前に前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記検出部の位置から結んだ延長方向、または、前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記被測定物の位置をこの直前に前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記被測定物の位置から結んだ延長方向で、かつ、予め設定された移動の大きさを有するベクトルに従って前記検出部と前記被測定物とを相対移動させることを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、走査移動工程において、検出信号が基準位置信号値に達した後、次に検出部と被測定物が相対移動される方向と相対移動の大きさが決定される。
検出信号が基準位置信号値に達した後、次の移動方向を決定する際、直前の位置情報を参照するので、この2点を結ぶ延長上に被測定物表面が存在すれば第1修正移動工程または第2修正移動工程を行う必要はなく、また、被測定物表面の凹凸が緩やかであれば、検出部が被測定物の表面から大きくそれることはないので、第1修正移動工程によって、検出信号を基準位置信号値に戻すことができる。
【0026】
走査移動工程において、参照する位置情報は2点でよいので、簡便なる演算処理によって、移動方向を決定することができ、演算処理ユニットを小型化することができる。
また、走査移動工程での移動の大きさが予めベクトルとして設定されるので、測定を粗く行いたい場合は、この移動の大きさを大きく設定すればよく、また、測定を精密に行いたい場合は移動の大きさを小さくすればよい。
【0027】
請求項5に記載の表面形状測定方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の表面形状測定方法において、前記第1修正移動工程における相対移動方向は、直前の走査移動工程における相対移動方向に対して略直角方向であることを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、走査移動工程における移動方向に対して略直角方向に曲がることによって、検出部と被測定物とが互いに離間または接触する方向に相対移動され、検出信号が基準位置信号値に戻される。
ここで、走査移動工程での移動方向に対する略直角方向のうち、右方向または左方向の選択は、検出信号が基準位置信号値に対して大きい側(過大離間を示す)の第1限界信号値に達しているのか、または、基準位置信号値に対して小さい側(過剰近接を示す)の第1限界信号値に達しているのかによって選択される。例えば、検出信号が基準位置信号値に対して大きい側の第1限界信号値に達している場合(検出部が被測定物に対して過大離間である場合)は、接近移動工程における移動方向と同方向に相対移動させる。また、検出信号が基準位置信号値に対して小さい側の第1限界信号値に達している場合(検出部が被測定物に対して過剰近接である場合)は、接近移動工程における移動方向と反対方向に相対移動させる。
ただし、走査移動工程での移動方向が前置移動工程での移動方向と逆方向になっている場合(曲面状の被測定物表面において、接近移動工程での接触面に対して裏側に回りこんだ場合)には、前記と逆方向に第1修正移動工程が行われる。
【0029】
請求項6に記載の表面形状測定方法は、請求項1〜5のいずれかに記載の表面形状測定方法において、前記第2修正移動工程における相対移動方向は、直前の前記走査移動工程における相対移動方向に対して略平行で、かつ、逆向きであることを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、第1修正移動工程によっても検出信号が基準位置信号値に戻らない場合でも、さらに、第2修正移動工程を行うことによって、検出信号を基準位置信号値に戻すことができる。
第1修正移動工程によっても検出信号が基準位置信号値に戻らないケースとしては、被測定物の表面形状が鋭角(90°以上)の角度で鋭角に折れ曲がっている鋭角内壁面または鋭角外壁面である。このとき、第2修正移動工程によって直前の走査移動工程における移動方向と平行かつ逆向きに検出部と被測定物とを相対移動させれば、検出信号を基準位置信号値に戻すことができる。その結果、従来測定不能であった複雑な表面形状を有する被測定物であっても、表面形状測定することができる。
【0031】
請求項7に記載の表面形状測定装置は、被測定物表面を検出する検出部を先端に有するスタイラスと、前記被測定物表面と前記検出部間の相対位置関係を検出して検出信号を発信する検出手段とを備えるプローブと、前記検出部と前記被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を示す基準位置信号と、前記基準位置信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第1限界信号値と、前記第1限界信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第2限界信号値を記憶した記憶手段と、前記検出部と前記被測定物を相対移動させる相対移動手段と、前記相対移動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検出部を前記被測定物へ相対移動させて接近させる接近移動手段と、前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記接近移動工程での相対移動方向に対して所定の方向に相対移動させる前置移動手段と、前記検出信号が前記基準位置信号値と前記第1限界信号値との間にあるときは、前記検出信号が前記基準位置信号値になるように前記検出部と前記被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる第1修正移動手段と、前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、このときの前記検出部または被測定物の位置情報と、この以前に前記検出信号が前記基準位置信号に達したときの前記検出部または前記被測定物の位置情報とを用いて次の移動方向を求め、この方向に前記検出部と前記被測定物とを相対移動させる走査移動手段と、前記検出信号が前記第2限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記走査移動工程における移動方向と逆方向に相対移動させる第2修正移動手段とを備えていることを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる表面形状測定装置とすることができる。つまり、記憶手段に記憶された第1限界信号値もしくは第2限界信号値を参照して、制御手段によって相対移動手段を制御することによって、複雑な形状を有する被測定物表面形状を測定することができる。
【0033】
請求項8に記載の表面形状測定方法は、被測定物表面を検出する検出部を先端に有するスタイラスと、前記被測定物表面と前記検出部間の相対位置関係を検出して検出信号を発信する検出手段とを備えるプローブを用いて、被測定物表面形状を測定する表面形状測定方法において、前記検出部と前記被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を示す基準位置信号値と、前記基準位置信号値に対して前記検出部の過剰近接を示す第1限界信号値と、前記第1限界信号値に対して前記検出部の過剰近接を示す第2限界信号値と、前記基準位置信号値に対して過大離間を示す領域において、前記基準位置信号値から段階的に過大離間を示す複数の限界信号値とを予め設定する設定工程と、前記検出部を前記被測定物へ相対移動させて接近させる接近移動工程と、前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記接近移動工程での相対移動方向に対して所定の方向に相対移動させる前置移動工程と、前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、このときの前記検出部または被測定物の位置情報と、この直前に前記検出信号が前記基準位置信号に達したときの前記検出部または前記被測定物の位置情報とのいくつかを結んだ方向に前記検出部と前記被測定物とを相対移動させる走査移動工程と、前記検出信号が前記基準位置信号値と前記第1限界信号値との間にあるときは、前記検出信号が前記基準位置信号値になるように前記検出部と前記被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる第1修正移動工程と、前記検出信号が前記第2限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記走査移動工程における移動方向と逆方向に相対移動させる第2修正移動工程と、前記検出信号が過大離間を示す領域において第p番目の前記限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを直前の相対移動方向に対して、前記pと相関して設定されたqを用いて、(π/2q)の角度をなす方向に前記検出信号が前記基準位置信号値になるまで連続して相対移動させる修正分割移動工程とを備えることを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、過大離間を示す検出信号の領域において、基準位置信号値に対して検出部の過大離間を示す限界信号値が段階的に複数設けられ、さらに、修正分割移動工程が備えられているので、被測定物表面形状が鋭角外壁面であっても、被測定物表面と検出部とを互いに倣って滑らかに相対移動させることができる。
つまり、限界信号値を複数設けるとともに、修正移動の方向を過大離間の程度に応じて選択することにより、常に一定角度で修正移動する場合に比べて、多様な被測定物の表面形状に応じて被測定物表面と検出部とを互いに倣って滑らかに相対移動させることができる。
【0035】
請求項9に記載の表面形状測定方法は、請求項8に記載の表面形状測定方法において、前記修正分割移動工程において、前記検出信号が前記第p番目の限界信号値に達したときの前記検出部と前記被測定物との相対移動の大きさは、前記pと相関して設定されたrを用いて、予め設定された移動ピッチのr分の1であることを特徴とする。
【0036】
このような構成によれば、修正分割移動工程における検出部と被測定物との相対移動の大きさは、検出信号が基準位置信号からのずれの程度に応じて選択される。
検出信号が過大離間を示す領域において、基準位置信号値からのずれが大きいときは、検出部と被測定物との離間距離が大きいことになるが、本発明により、例えば、短いピッチで小刻みに連続して検出部と被測定物が相対移動させることができるので、検出部と被測定物が離間した位置から近い地点で再び検出部と被測定物とが近接することができる。よって、被測定物表面形状が鋭角外壁面であっても、被測定物表面と検出部とを互いに倣って滑らかに相対移動させることができる。
【0037】
請求項10に記載の表面形状測定方法は、請求項8または9に記載の表面形状測定方法において、前記p、q、rは互いに等しいことを特徴とする。
このような構成によれば、検出信号が基準位置信号値からずれて、第p番目の限界信号値に達したとき、修正分割移動工程において、直前の移動方向に対して、(π/2p)の角度をなし、かつ、予め設定された移動ピッチのp分の1の大きさを有するベクトルに従って検出部と被測定物とが移動される。
従って、修正分割移動工程における検出部と被測定物との相対移動の角度および大きさは、検出信号が基準位置信号値からのずれの程度に応じて選択される。その結果、検出部と被測定物とを互いに倣って滑らかに相対移動させることができる。
【0038】
請求項11に記載の表面形状測定方法は、請求項1、2、3、4、5、6、8、9、10のいずれかに記載の表面形状測定方法において、前記プローブは、前記検出部を振動させる加振手段を備え、前記検出手段は前記検出部が前記被測定物表面に接触した際の前記検出部の振動の変化を検出する振動プローブ、前記検出手段によって前記検出部の変位を検出する倣いプローブ、前記検出手段によって前記検出部の基準位置から前記被測定物表面までの距離を非接触で検出する非接触プローブのいずれかであることを特徴とする。
【0039】
請求項12に記載の表面形状測定装置は、請求項7に記載の表面形状測定装置において、前記プローブは、前記検出部を振動させる加振手段を備え、前記検出手段は前記検出部が前記被測定物表面に接触した際の前記検出部の振動の変化を検出する振動プローブ、前記検出手段によって前記検出部の変位を検出する倣いプローブ、前記検出手段によって前記検出部の基準位置から前記被測定物表面までの距離を非接触で検出する非接触プローブのいずれかであることを特徴とする。
【0040】
このような構成において、振動プローブによれば、微小な検出部(接触部)を備え、この接触部を被測定物へ押圧して測定を行う際の測定力(押圧力)を極めて低くしたプローブを精度良く製作することが可能なため、例えば0.1mm以下の微小で複雑な表面形状を有する被測定物であっても極めて高精度な測定を行うことができる。
【0041】
倣いプローブによれば、例えばプローブ本体に対する検出部(接触部)のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3軸直交方向の変位を独立に検出可能なので、航空機の翼やプロペラフィンのような複雑な自由曲面を有する被測定物であっても、精度良く、高速に測定を行うことが出来る。
ここで、検出手段として、光学スケールなどの精度の高い測長センサを用いれば、プローブ本体に対する接触部の変位を、精度よく直接的に検出できる。つまり、例えば電圧から距離に変換する変換誤差などが発生せず、変換時間も不要なので、被測定物を精度良く、高速に測定を行うことが出来る。
【0042】
非接触式プローブによれば、非接触で測定できるので、複雑な表面形状を有する柔らかな物質から構成される被測定物であっても、精度良く、高速に測定を行うことが出来る。
ここで、非接触プローブは、光学式、磁気式、静電式などのいずれでも良く、例えば光学式非接触プローブとしては、CCDやラインセンサを検出素子として用いた2次元あるいは3次元画像プローブであってもよい。また、3次元画像プローブなどの場合の基準位置は、XY平面画像においては中心位置、Z軸焦点方向としては焦点調節可能範囲における中心位置とすることができる。
【0043】
なお、検出部を被測定物に接触させて測定を行う接触式のプローブにおける基準位置とは、検出部が被測定物に対して接触を開始した位置(押圧力=0)に対してプローブ本体を被測定物に対してさらに所定量だけ相対移動させた位置をいう。つまり、振動プローブの場合は、スタイラスがわずかにしなった状態で所定の押圧力のもとに検出部(接触部)が被測定物に押圧されている状態が維持される位置をいう。また、倣いプローブの場合は、プローブ本体に対して検出部が変位するが、その検出部の変位可能範囲内の所定位置をいう。
【0044】
また、接触式のプローブにおける過剰近接とは、基準位置に対してプローブ本体がさらに被測定物側へ相対近接した結果、検出部の被測定物への押圧力が増加、あるいは検出変位が増加した状態をいう。同様に、過大離間とは、基準位置に対してプローブ本体が被測定物から相対離間した結果、検出部の被測定物への押圧力が減少、または検出変位が減少した状態、あるいは検出部が被測定物から離れた状態をいう。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
(第1実施形態)
本発明にかかる表面形状測定装置の一実施形態は、背景技術で説明した図10の表面形状測定装置1と同様の構成を備えているが、コントローラ部4に特徴を有する。
すなわち、この表面形状測定装置1は、図10に示されるように、被測定物Wの表面に接触する接触部22(検出部)を有する接触式プローブ2と、この接触式プローブ2を被測定物Wに対して移動させる相対移動手段としての駆動機構3と、この駆動機構3を制御する制御手段としてのコントローラ部4とを備える。
【0046】
接触式プローブ2は背景技術において説明したものを利用できる。
駆動機構3は、コントローラ部4からの指令に基づいて接触式プローブ2をX方向、Y方向、Z方向に駆動させて接触部22を被測定物Wに接触させるものであり、従来知られた三次元測定機に用いられている駆動機構3が利用できる。
【0047】
コントローラ部4は、図1に示されるように、記憶装置41と、移動ベクトル生成部42と、差分器43と、修正ベクトル生成部44と、動作指令部45と、メモリ46と、形状演算部47とを備えて構成されている。
【0048】
記憶装置41は、接触部22が被測定物Wの表面に所定の押し込み強さ(測定力)で接触したときの検出信号を示す基準接触信号値(基準位置信号値)と、基準接触信号値に対して接触部22の過剰接触(過剰近接)または過小接触(過大離間)を示す第1限界信号値と、この第1限界信号値に対して接触部22の過剰接触または過小接触を示す第2限界信号値と設定する設定工程において設定された値を記憶する。
図2には検出手段25からの検出信号の例が示されている。
基準接触信号値とは、図2に示されるように、接触部22が所定の押し込み強さで被測定物Wに接触して、接触部22の振動が所定強さで束縛されたときの検出信号である。この基準接触信号値に検出信号が達したところで、接触部22の位置がサンプリングされると、被測定物Wの表面と接触部22のオフセット量を一定として、被測定物Wの表面形状を測定できる。
【0049】
第1限界値信号とは、接触部22が所定の押し込み強さよりも、過剰接触または過小接触である場合に検出される検出信号の値である。ここでは、基準接触信号値に対して過小接触である場合の検出信号を第1限界信号値+G1とし、基準接触信号値に対して過剰接触である場合の検出信号を第1限界信号値-G1とする。さらに、第1限界信号値+G1よりも過小接触である場合の検出信号を第2限界信号値+G2とし、第1限界信号値-G1よりも過剰接触である場合の検出信号を第2限界信号値-G2とする。
【0050】
移動ベクトル生成部42は、接触部22の移動方向および移動の大きさを適宜選択するための接近移動手段421、前置移動手段422および走査移動手段423とを備えて構成されている。移動ベクトル生成部42で選択された接触部22の移動方向および移動の大きさは移動ベクトル指令として動作指令部45に発信される。
【0051】
差分器43は、検出手段25によって検出された検出信号と基準接触信号値とを比較して、検出信号が基準接触信号値に一致したときは、接触部22の位置情報をサンプリングするサンプリング指令を動作指令部45に発信する。また、差分器43は、検出信号が基準接触信号値に一致していないときは、検出信号が基準接触信号値に一致していない旨の修正指令を修正ベクトル生成部44に発信する。
【0052】
修正ベクトル生成部44は、差分器43からの修正指令を受けて、接触部22の移動の方向を選択する第1修正移動手段441および第2修正移動手段442とを備えて構成されている。第1修正移動手段441および第2修正移動手段442で選択された接触部22の移動の方向は修正ベクトル指令として動作指令部45に発信される。
【0053】
動作指令部45は、差分器43、移動ベクトル生成部42、修正ベクトル生成部44からの指令を受けて、駆動機構3に動作指令を発信する。
メモリ46は、差分器43からのサンプリング指令によってサンプリングされた接触部の位置情報を記録する。
形状演算部47は、メモリ46に記録された接触部22の位置情報を演算処理することにより、被測定物Wの表面形状を求める。
【0054】
接近移動手段421は、接触部22を被測定物Wの表面に非接触の状態から接触させる方向へ移動させる接近移動工程S1を行う。
前置移動手段422は、接近移動工程S1のあと、接触部22が被測定物Wの表面に接触して、検出信号が基準接触信号値に達したときに、予め設定された方向で、かつ、接近移動工程S1での移動方向とは直角方向に接触部22を移動させる前置移動工程S2を行う。前置移動工程S2における移動の方向および移動の大きさは、予め設定されている。
【0055】
走査移動手段423は、検出信号が基準接触信号値に達したときの接触部22の位置をこの直前に検出信号が基準接触信号値に達したときの接触部22との位置から結んだ延長方向に接触部22を移動させる走査移動工程S3を行う。走査移動工程S3における移動の方向は、直前に基準接触信号値を検出した位置から当該基準接触信号値を検出した位置へ結んだ方向の延長で、移動の大きさは予め設定されている。粗い測定を行う場合は、走査移動工程S3での移動ピッチを大きくすればよく、精密な測定を行う場合は、走査移動工程S3での移動のピッチを小さくとればよい。
【0056】
第1修正移動手段441は、検出信号が基準接触信号値からずれている、もしくは、検出信号が第1限界信号値+G1、-G1に達したときに、直前の走査移動工程S3での移動方向に直角方向に接触部を移動させる第1修正移動工程S4を行う。
第2修正移動手段442は、検出信号が第2限界信号値+G2、-G2に達すると、接触部22を直前の走査移動工程S3における移動の方向と平行かつ逆方向に移動させる第2修正移動工程S5を行う。
【0057】
このような構成からなる表面形状測定方法による測定方法を図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、測定を始めるにあたって設定工程S0において基準接触信号値、第1限界信号値+G1、-G1、第2限界信号値+G2、-G2を設定する。次に所定のパラメータを設定する。所定パラメータとは、前置移動工程S2における移動方向および移動ピッチ、走査移動工程S3における移動ピッチ等である。
所定パラメータが設定されると測定が開始される。まず、接近移動工程S1によって接触部22が被測定物Wの表面に接触される方向へ移動される。
接近移動工程S1で接触部22が被測定物Wの表面に接触されて、接触部22が被測定物Wを検出可能な範囲に入り、検出信号が基準接触信号値に達すると、このときの接触部22の位置がサンプリングされ、その後、前置移動工程S2が行われる。
【0058】
前置移動工程S2の最中に検出信号が第1限界信号値+G1、-G2に達した場合は、第1修正移動工程S4が行われる。
前置移動工程S2の終了時の検出信号が基準接触信号値であれば、接触部22の位置がサンプリングされる。
前置移動工程S2の終了時の検出信号が基準接触信号値に一致しない場合は、第1修正移動工程S4が行われる。
【0059】
第1修正移動工程S4が行われることによって、検出信号が基準接触信号値に一致した場合は、接触部22の位置がサンプリングされる。
第1修正移動工程S4が行われても、検出信号が基準接触信号に一致せず、かつ、検出信号が第2限界信号値に達したときは、第2修正移動工程S5が行われる。
第2修正移動工程S5によって、検出信号が基準接触信号値に達した場合は、接触部22の位置がサンプリングされる。
【0060】
サンプリングされた接触部22の位置情報は、メモリ46に送信され、記憶される。
メモリ46に記憶された接触部22の位置情報は、走査移動工程S3において参照され、走査移動工程S3が行われる。
走査移動工程S3の最中に検出信号が第1限界信号値+G1、-G1に達すると、第1修正移動工程S4が行われる。
以後、同様の工程が行われることにより、被測定物Wの表面に倣って接触部22が移動される。
メモリ46に記録された接触部22の位置情報を用いて、形状演算部47によって被測定物Wの表面形状が算出される。
【0061】
(具体例1)
このような構成からなる表面形状測定方法による表面形状測定を図4を参照して説明する。
図4には、鋭角内壁面が示されている。図5には、図4の各点における検出信号が示されている。
点P9から点P10への走査移動工程S3による接触部22の移動と、点P10から点P11への第1修正移動工程S4による接触部22の移動は、背景技術で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。
点P11において、検出信号が基準接触信号値に達したところで、差分器43からサンプリング信号が動作指令部45に発信されて、接触部22の位置のサンプリングが行われる。この位置情報はメモリ46に記録される。次に、走査移動工程において、点P9から点P11を結んだ延長方向に接触部22が移動される。すると、被測定物Wの表面が鋭角に折れ曲がっているため、接触部22が被測定物Wの表面に強く押圧され、接触部22の振動が束縛されるので、検出信号が減少し、点P12において検出信号が第1限界信号値-G1に達する。
【0062】
検出信号が第1限界信号値-G1に達すると、第1修正移動工程S4によって、直前の走査移動工程S3による接触部22の移動方向とは直角方向、つまり点P12から点P13に向かう方向に接触部22が移動される。第1修正移動工程S4による点P12から点P13への接触部22の移動では、被測定物Wが鋭角内壁面であるため、接触部22は被測定物Wの鋭角内壁面に強く押圧され、接触部22の振動はさらに束縛され、検出信号が減少し、第2限界信号値-G2に達する。
【0063】
検出信号が第2限界信号値-G2に達すると、第2修正移動工程S5によって、直前の走査移動工程S3での接触部22の移動方向(点P11から点P12)とは平行かつ逆向き(点P13から点P14)に、接触部22が移動される。第2修正移動工程S5による接触部22の移動によって、検出信号が基準接触信号値に達すると、この位置での接触部22の位置がサンプリングされる。点P14で接触部22の位置がサンプリングされると、走査移動工程S3によって、直前に基準接触信号値に達した点P11と、現在の接触部の位置点P14とを結んだ方向の延長方向に接触部22が移動される(点P14から点P15へ)。以後、同様に繰り返されることで、接触部22が被測定物Wの表面を倣って移動される。
【0064】
(具体例2)
次に、被測定物Wの表面形状が図6に示されるような鋭角外壁面である場合について説明する。図7には、図6の各点での検出信号が示されている。
点P17から点P21への接触部22の移動は、背景技術および具体例1で説明した通りであるので、詳しい説明を省略する。
点P21で検出信号が基準接触信号値になると、この点で接触部22の位置がサンプリングされる。点P21で接触部22の位置がサンプリングされると、走査移動工程S3によって、接触部22は点P19から点P21へ結んだ延長方向へ移動される(点P21から点P22)。すると、被測定物Wが鋭角先端面であるため、点P22においては、接触部22と被測定物Wが過小接触であり、検出信号が第1限界信号値+G1に達する。検出信号が第1限界信号値+G1に達すると、第1修正移動工程S4によって、直前の走査移動工程S3における接触部22の移動方向(点P21から点P22)に直角方向(点P22から点P23)に接触部22を移動させる。すると、点P23において、検出信号が基準接触信号値に達するので、この点P23で、接触部22の位置がサンプリングされる。
【0065】
点P23から、走査移動工程S3によって、直前の基準接触信号を示した点P21から点P23へ結んだ方向の延長方向(点P23から点P24)へ接触部22が移動される。点P24においては、接触部22が被測定物Wの表面に対して過小接触であるので、検出信号が第1限界信号値+G1に達する。検出信号が第1限界信号値+G1に達すると、第1修正移動工程S4によって、直前の走査移動工程S3における接触部22の移動方向(点P23から点P24)と直角方向(点P24から点P25)に接触部22が移動される。
【0066】
しかし、被測定物Wの表面の形状が鋭角外壁面であるため、第1修正移動工程S4による接触部22の移動によっては、接触部22が被測定物Wに接触できず、検出信号が第2限界信号値+G2に達する。検出信号が第2限界信号値+G2に達すると、第2修正移動工程S5によって、直前の走査移動工程S3での移動方向(点P23から点P24)と平行かつ逆向き(点P25から点P26)に接触部22が移動される。すると、接触部22が被測定物Wに接触され、検出信号が基準接触信号値に達するので、この点P26での接触部22の位置がサンプリングされる。以後、同様に繰り返されることで、接触部22が被測定物Wの表面を倣って移動される。
【0067】
従って、このような構成からなる第1実施形態によれば、被測定物Wの表面形状が鋭角内壁面、鋭角外壁面であって、第1修正移動工程S4による接触部22の移動によって検出信号が基準接触信号値に戻らない場合でも、第2修正移動工程S5によって、検出信号を基準接触信号値に戻すことができる。その結果、複雑な表面形状を有する被測定物Wに対しても接触部22を被測定物Wの表面に自律倣いさせ、連続的に表面形状測定することができる。
【0068】
(第2実施形態)
本発明にかかる表面形状測定装置の第2実施形態としての表面形状測定装置1は、図8に示されるように、基本的構成要素を第1実施形態と略同様の構成とするが、記憶装置41および修正ベクトル生成部44に異なる特徴をもつ。
記憶装置41では、図9(B)に示されるように、検出信号が過小接触を示す領域において、接触部22の過小接触を示す限界信号値が段階的に第1限界信号値+G1から第2限界信号値+G2・・・と複数設定されている。
なお、検出信号が過剰接触を示す領域においては第1実施形態と同様に、第1限界信号値-G1、第2限界信号値-G2が設定されている。
修正ベクトル生成部44では、第1修正移動手段441と、第2修正移動手段442と、修正分割移動手段443を備えて構成される。
【0069】
修正分割移動手段443は、検出信号が過小接触を示す領域において、第p番目の限界信号値である第p限界信号値+Gpに達すると、接触部22を直前の移動方向に対して(π/2p)の角度をなす方向で、かつ、予め設定された移動ピッチのp分の1の大きさを有する修正分割ベクトルに従って、検出信号が基準接触信号値になるまで連続して移動させる修正分割移動工程S6を行う機構を有する。
なお、第1修正移動手段S4と第2修正移動手段S5は、検出信号が過剰接触を示す領域において、第1実施形態と同様の機構を有する。
【0070】
(具体例3)
このような構成からなる表面形状測定方法による表面形状測定を図9を参照して説明する。
図9(A)には、被測定物Wの表面形状が鋭角外壁面である場合が示されている。図9(B)には、図9(A)の各点に応答した検出信号の出力が示されている。
図9(A)において、点P31まで接触部22が進んだ後、走査移動工程S3によって点P31から点P32へ接触部22が移動されると、被測定物Wの表面が鋭角外壁面であるため検出信号が過小接触を示し、例えば、第3限界信号値+G3を示すとする。すると、接触部22は直前の移動方向(点P31から点P32)に対して(π/(2×3))=30°の角度をなす方向に連続的に移動される。
【0071】
このとき、接触部22の移動量は予め設定された移動ピッチの3分の1の大きさである。移動ピッチは修正分割ベクトルとして特別に設定されてもよく、また、走査移動工程S3において設定された移動ピッチと同じでもよい。
すなわち図9(A)において、接触部22は点P32から点P33へ移動され、点P32から点P33の移動方向に対して30°をなす方向である点P33から点P34へ移動され、以後同様に点P34から点P35へ移動される。点P35まで移動されると、検出信号が基準接触信号値に達するので、この点P35の接触部22の位置がサンプリングされる。
【0072】
従って、このような構成からなる表面形状測定方法によれば、修正分割移動工程S6によって、鋭角外壁面の周囲に沿ってより滑らかに接触部22を倣い移動させることができる。つまり、検出信号と基準接触信号とのずれの大きさに相関して修正分割移動工程S6での接触部22の移動方向および移動の大きさが選択されるので、鋭角外壁面の鋭角の程度に応じて接触部22が移動される。よって、複雑な表面形状を有する被測定物Wの表面に対して滑らかに倣って接触部22を移動させることができる。
【0073】
なお、第2実施形態において、被測定物Wの表面形状が鋭角内壁面である場合は第1実施形態と同様である。
また、上記実施形態においては、第p番目の限界信号値である第p限界信号値+Gpに達すると、接触部22を直前の移動方向に対して(π/2p)の角度をなす方向で、かつ、予め設定された移動ピッチのp分の1の大きさを有する修正分割ベクトルに従って、接触部を移動させるが、必ずしも、接触部の移動の角度や移動の大きさはこれに限られない。
例えば、第p限界信号値+Gpに対して、角度(π/2q)で、移動の大きさは移動ピッチのr分の1で、pとqとrは互いに相関を有していながら異なっていてもよい。
【0074】
尚、本発明の表面形状測定方法および表面形状測定装置は、上述の実施形態にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、駆動機構は、接触部を被測定物に対して移動させるものであったが、被測定物を接触部に対して移動させてもよい。
上記実施形態では、第1修正移動工程において、接触部と被測定物の相対移動方向は直前の走査移動工程での相対移動方向に対して直角方向であったが、これに限らず検出信号が基準接触信号値に戻るように、接触部と被測定物とを互いに離間または近接させる方向に移動させればよい。
【0075】
上記実施形態では、走査移動工程において、基準接触信号値に達した直前の接触部の位置を参照して、次の接触の移動方向を選択したが、基準接触信号値に達したときの接触部の位置を複数参照して、次の移動方向を選択してもよい。
上記実施形態では、第2修正移動工程において、直前の走査移動工程での接触部の移動方向に対して、逆向きかつ平行方向に接触部を移動させたが、逆向きであれば、必ずしも平行である必要はない。
【0076】
上記実施形態においては、記憶装置、差分器、移動ベクトル生成部、修正ベクトル生成部、メモリ、形状演算部、動作指令部はコントローラ部に設けられているが、必ずしも、これらはコントローラ部に収納されていなくてもよい。また、コントローラ部の制御を動作プログラムにより規定し、ソフト的に行ってもよい。
上記具体例では、接触部が平面的に移動される場合についてのみ説明しているが、接触部は、X、YおよびZ方向のいずれの方向に移動されてもよいことはもちろんである。
【0077】
上記実施形態では、プローブとして被測定物に接触する接触部(検出部)をスタイラスの先端に有する接触式プローブのみを示したが、プローブとしてはこれに限らず、検出部と被測定物の相対位置関係を連続的に検出、あるいは複数の相対位置関係を検出できるプローブであればどのようなプローブでも良い。
例えば、一般に三次元測定に用いられる倣いプローブを用いる場合は、検出部の変位を検出する検出手段である測長センサの出力値によって、基準位置信号値、第1限界信号値、第2限界信号値を設定すれば良い。この場合の検出部の位置は、駆動機構3によってプローブ本体が駆動された位置(X軸、Y軸、Z軸)と、プローブ内の測長センサ出力(X軸、Y軸、Z軸)について、各軸毎に加算すれば求められる。また、検出部と被測定物の相対位置関係を検出できる範囲は、測長センサで測長可能な測長範囲となる。
【0078】
また、例えば、プローブとして非接触プローブを用いる場合は、光学センサを用いた光学式、磁気センサを用いた磁気式、静電容量センサを用いた静電式などのいずれでも良く、例えば光学式非接触プローブとしては、CCD(Charge Coupled Device)を検出素子として用いた3次元画像プローブであってもよい。この場合、検出部と被測定物の相対位置関係を検出できる範囲は、XY平面においては、撮像画像範囲内、Z軸方向としては焦点調節可能範囲内となる。この場合の検出部の位置は、駆動機構3によってプローブ本体が駆動された位置(X軸、Y軸、Z軸)と、撮像画像内の基準位置(通常は撮像可能範囲の中心位置)と被測定物表面とのオフセット(X軸、Y軸、Z軸)について、各軸毎に加算すれば求められる。
【0079】
これらの倣いプローブや画像プローブのように、検出部の変位を、2次元(例えば直交2軸)あるいは3次元(例えば直交3軸)で測定可能なセンサを備えるプローブにおいては、各軸のセンサ(検出手段)出力の自乗和の平方根を求めた結果に対して、基準位置信号値、第1限界信号値、第2限界信号値を設定しても良い。
【0080】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の表面形状測定方法および表面形状測定装置によれば、複雑な表面形状に対して自律倣いでき、連続測定することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる表面形状測定装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】前記第1実施形態における検出信号の一例と、基準接触信号値、第1限界信号値および第2限界信号値とを示す図である。
【図3】前記第1実施形態における表面形状測定方法のフローチャートである。
【図4】前記第1実施形態において、被測定物が鋭角内壁面である具体例1を示す図である。
【図5】図4の具体例1において、各点における検出信号を示す図である。
【図6】前記第1実施形態において、被測定物が鋭角外壁面である具体例2を示す図である。
【図7】図6の具体例2において、各点における検出信号を示す図である。
【図8】本発明にかかる表面形状測定装置の第2実施形態を示す図である。
【図9】前記第2実施形態において、被測定物が鋭角外壁面である具体例3を示す図である。(A)接触部の移動の軌跡を示す図である。(B)各点における検出信号を示す図である。
【図10】従来の表面形状測定装置を示す図である。
【図11】従来の接触式プローブを示す図である。
【図12】表面形状測定における接触部と被測定物との相対移動を示す図である。
【図13】従来の表面形状測定方法を示す図である。(A)接触部の移動の軌跡を示す図である。(B)各点における検出信号を示す図である。
【図14】被測定物の表面形状が鋭角内壁面である場合を示す図である。
【符号の説明】
1 表面形状測定装置
2 接触式プローブ(プローブ)
3 駆動機構(相対移動手段)
4 コントローラ部(制御手段)
21 スタイラス
22 検出部
24 加振手段
25 検出手段
41 記憶装置(記憶手段)
421 接近移動手段
422 前置移動手段
423 走査移動手段
441 第1修正移動手段
442 第2修正移動手段
443 修正分割移動手段
S0 設定工程
S1 接近移動工程
S2 前置移動工程
S3 走査移動工程
S4 第1修正移動工程
S5 第2修正移動工程
S6 修正分割移動工程
Claims (12)
- 被測定物表面を検出する検出部を先端に有するスタイラスと、前記被測定物表面と前記検出部間の相対位置関係を検出して検出信号を発信する検出手段とを備えるプローブを用いて、被測定物表面形状を測定する表面形状測定方法において、
前記検出部と前記被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を示す基準位置信号値と、前記基準位置信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第1限界信号値と、前記第1限界信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第2限界信号値とを予め設定する設定工程と、
前記検出部を前記被測定物へ相対移動させて接近させる接近移動工程と、
前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記接近移動工程での相対移動方向に対して所定の方向に相対移動させる前置移動工程と、
前記検出信号が前記基準位置信号値と前記第1限界信号値との間にあるときは、前記検出信号が前記基準位置信号値になるように前記検出部と前記被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる第1修正移動工程と、
前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、このときの前記検出部または被測定物の位置情報と、この以前に前記検出信号が前記基準位置信号に達したときの前記検出部または前記被測定物の位置情報とを用いて次の移動方向を求め、この方向に前記検出部と前記被測定物とを相対移動させる走査移動工程と、
前記検出信号が前記第2限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記走査移動工程における移動方向と逆方向に相対移動させる第2修正移動工程とを備えることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項1に記載の表面形状測定方法において、
前記前置移動工程は、予め設定された移動の方向および移動の大きさを有するベクトルに従って前記検出部と前記被測定物とを相対移動させることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項2に記載の表面形状測定方法において、
前記前置移動工程における前記予め設定された移動の方向は、前記接近移動工程での相対移動方向に対して略直角であることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の表面形状測定方法において、
前記走査移動工程は、前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記検出部の位置をこの直前に前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記検出部の位置から結んだ延長方向または前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記被測定物の位置をこの直前に前記検出信号が前記基準位置信号値に達したときの前記被測定物の位置から結んだ延長方向で、かつ、予め設定された移動の大きさを有するベクトルに従って前記検出部と前記被測定物とを相対移動させることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の表面形状測定方法において、
前記第1修正移動工程における相対移動方向は、直前の前記走査移動工程における相対移動方向に対して略直角方向であることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の表面形状測定方法において、
前記第2修正移動工程における相対移動方向は、直前の前記走査移動工程における相対移動方向に対して略平行で、かつ、逆向きであることを特徴とする表面形状測定方法。 - 被測定物表面を検出する検出部を先端に有するスタイラスと、前記被測定物表面と前記検出部間の相対位置関係を検出して検出信号を発信する検出手段とを備えるプローブと、
前記検出部と前記被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を示す基準位置信号値と、前記基準位置信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第1限界信号値と、前記第1限界信号値に対して前記検出部の過剰近接または過大離間を示す第2限界信号値を記憶した記憶手段と、
前記検出部と前記被測定物を相対移動させる相対移動手段と、
前記相対移動手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出部を前記被測定物へ相対移動させて接近させる接近移動手段と、
前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記接近移動工程での相対移動方向に対して所定の方向に相対移動させる前置移動手段と、
前記検出信号が前記基準位置信号値と前記第1限界信号値との間にあるときは、前記検出信号が前記基準位置信号値になるように前記検出部と前記被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる第1修正移動手段と、
前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、このときの前記検出部または被測定物の位置情報と、この以前に前記検出信号が前記基準位置信号に達したときの前記検出部または前記被測定物の位置情報とを用いて次の移動方向を求め、この方向に前記検出部と前記被測定物とを相対移動させる走査移動手段と、
前記検出信号が前記第2限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記走査移動工程における移動方向と逆方向に相対移動させる第2修正移動手段とを備えていることを特徴とする表面形状測定装置。 - 被測定物表面を検出する検出部を先端に有するスタイラスと、前記被測定物表面と前記検出部間の相対位置関係を検出して検出信号を発信する検出手段とを備えるプローブを用いて、被測定物表面形状を測定する表面形状測定方法において、
前記検出部と前記被測定物表面との相対位置関係が基準位置にあるときの検出信号を示す基準位置信号値と、前記基準位置信号値に対して前記検出部の過剰近接を示す第1限界信号値と、前記第1限界信号値に対して前記検出部の過剰近接を示す第2限界信号値と、前記基準位置信号値に対して過大離間を示す領域において、前記基準位置信号値から段階的に過大離間を示す複数の限界信号値とを予め設定する設定工程と、
前記検出部を前記被測定物へ相対移動させて接近させる接近移動工程と、
前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記接近移動工程での相対移動方向に対して所定の方向に相対移動させる前置移動工程と、
前記検出信号が前記基準位置信号値に達すると、このときの前記検出部または被測定物の位置情報と、この直前に前記検出信号が前記基準位置信号に達したときの前記検出部または前記被測定物の位置情報とのいくつかを結んだ方向に前記検出部と前記被測定物とを相対移動させる走査移動工程と、
前記検出信号が前記基準位置信号値と前記第1限界信号値との間にあるときは、前記検出信号が前記基準位置信号値になるように前記検出部と前記被測定物とを離間または近接する方向に相対移動させる第1修正移動工程と、
前記検出信号が前記第2限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを前記走査移動工程における移動方向と逆方向に相対移動させる第2修正移動工程と、
前記検出信号が過大離間を示す領域において第p番目の前記限界信号値に達すると、前記検出部と前記被測定物とを直前の相対移動方向に対して、前記pと相関して設定されたqを用いて、(π/2q)の角度をなす方向に前記検出信号が前記基準位置信号値になるまで連続して相対移動させる修正分割移動工程とを備えることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項8に記載の表面形状測定方法において、
前記修正分割移動工程において、前記検出信号が前記第p番目の限界信号値に達したときの前記検出部と前記被測定物との相対移動の大きさは、前記pと相関して設定されたrを用いて、予め設定された移動ピッチのr分の1であることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項8または9に記載の表面形状測定方法において、
前記p、q、rは互いに等しいことを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項1、2、3、4、5、6、8、9、10のいずれかに記載の表面形状測定方法において、
前記プローブは、前記検出部を振動させる加振手段を備え、前記検出手段は前記検出部が前記被測定物表面に接触した際の前記検出部の振動の変化を検出する振動プローブ、
前記検出手段によって前記検出部の変位を検出する倣いプローブ、
前記検出手段によって前記検出部の基準位置から前記被測定物表面までの距離を非接触で検出する非接触プローブのいずれかであることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項7に記載の表面形状測定装置において、
前記プローブは、前記検出部を振動させる加振手段を備え、前記検出手段は前記検出部が前記被測定物表面に接触した際の前記検出部の振動の変化を検出する振動プローブ、
前記検出手段によって前記検出部の変位を検出する倣いプローブ、
前記検出手段によって前記検出部の基準位置から前記被測定物表面までの距離を非接触で検出する非接触プローブのいずれかであることを特徴とする表面形状測定装置。
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