JP3818274B2 - 弾性表面波フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、梯子型の弾性表面波フィルタに関し、特にその耐電力特性の向上に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、携帯電話に代表される移動通信機器の市場が急速に膨らみつつあり、それら機器に使用する部品の小型・高性能化の要求が強まっている。
【0003】
移動通信端末の高周波回路のフロントエンドに位置するアンテナ分岐器は、高耐電力性が要求されるので、従来より誘電体フィルタが用いられて来た。しかし、機器の更なる小型化のためには弾性表面波(今後SAWとよぶ)フィルタに置き換える必要がある。また一方使用周波数の上昇とともにSAWフィルタの電極幅が微細になり、この故に益々の耐電力性が要求されてきている。
【0004】
梯子型のSAWフィルタは、並列腕と直列腕とに互いに共振特性の異なるSAW共振器(1端子対共振器)を配置したフィルタであり、これを用いることにより、櫛形電極対を多段に接続したトランスバーサル型のSAWフィルタを用いる場合と比べて、挿入損失を大幅に減少させることができる。SAW共振器の詳細は後程説明する。
【0005】
共振器のインピーダンスは、共振周波数fr で零であり、反共振周波数fa で最大である。逆にアドミタンスは共振周波数fr で最大であり、反共振周波数fa で零である。つまり、共振器は2重共振特性をもつ。
【0006】
このような共振器をL形に接続して2端子対共振器を構成し、その際に並列腕の共振器Rpの反共振周波数fapが直列腕の共振器Rsの共振周波数frsとほぼ一致するように、並列腕の共振器Rp及び直列腕の共振器Rsのそれぞれについて設定することにより、直列腕の共振器Rsの共振周波数frsを中心周波数とするバンドパスフィルタが形成される。そして、2端子対共振器を、図3Aの等価回路図に示す如く多段に接続して梯子型とすることにより、携帯電話などの仕様を満たすバンドパスフィルタ特性が得られる。
【0007】
SAWフィルタを携帯電話機などの高周波回路に組み込む場合には、その機器の最大送信出力に見合った耐電力性が要求される。特に出力増幅段を経た送信電力が加わるアンテナデュプレクサ(送受分波器)に用いる場合には、ジュール熱に対する配慮が厳しく求められる。アンテナデュプレクサは、送信周波数と受信周波数とが異なることを利用して送受信でアンテナを共用するためのデバイスであり、送信周波数帯域を通過域とする送信用バンドパスフィルタと受信周波数帯域を通過域とする受信用バンドパスフィルタとからなる。
【0008】
従来のSAWフィルタでは、フィルタ特性(バンドパス特性)における低周波側の減衰域(阻止域)の信号が入力されたときに、共振器を形成しているフィルタチップの温度が上昇して特性の劣化が進みやすいという問題があった。つまり、低周波側の減衰域における耐電力性が他の周波数帯域における耐電力性に比べて低かった。
【0009】
このため、例えば北米及び南米で採用されているアナログ携帯電話方式であるAMPS(Automatic Message Processing System )に適合するアンテナデュプレクサを従来のSAWフィルタで構成した場合には、送信周波数(824〜849MHz)が受信周波数(869〜894MHz)より低周波であることから、耐電力性の低い周波数帯域の信号(送信信号)が入力される受信用フィルタが、送信用フィルタよりも早期に劣化した。
【0010】
一方、SAWフィルタでは、フィルタ特性と電流経路との関係を模式的に示す図2のように、入力信号の周波数によって電流経路に違いが生じる。すなわち、原理的には、周波数が通過域Aの信号電流は直列腕を流れ、周波数が低周波側の減衰域B1の信号電流は主に並列腕を流れる。なお、高周波側減衰域B2の信号はフィルタ内部のいずれの共振器にもほとんど流れ込まない。
【0011】
また、梯子形のフィルタにおいて、各段の電流を比較すると、入力側初段から後段へ向かう順に小さくなる。すなわち、図3Aのように各共振器Rs1,Rs2,Rp1,Rp2,Rp3をそれぞれ流れる電流をIs1,Is2,Ip1,Ip2,Ip3とすると、式(1),(2)の関係が成り立つ。
【0012】
Is1>Is2 …(1)
Ip1>Ip2>Ip3 …(2)
したがって、特に入力側初段の並列腕の共振器Rp1を流れる電流Ip1によるジュール熱を低減することが、低周波側の減衰域B1の耐電力性を高める上で有効であると考えられる。
【0013】
ここで、共振器Rp1のインピーダンスZは、図3(B)に基づいて(4)式で表される。
【0014】
Z=Z1・Z2/(Z1+Z2) …(4)
ここで Z1:−j/ωC0
Z2:R+jωL−j/ωC1 である。
【0015】
そして、ジュール熱に係わる抵抗成分(インピーダンスZの実数部)Zrは、(5)式で表される。
【0016】
Figure 0003818274
この抵抗成分Zrの内、抵抗Rは、図1に示す櫛歯電極111の開口長xと対の数とを適切に選定することによって低減することができる(特開平6−29779号)。
【0017】
しかし、本発明者らによって、フィルタチップの発熱に、薄膜で形成された配線導体の抵抗が大きく関与していることが後述の実験によって確かめられた。入力側初段の並列腕において、フィルタチップの発熱に係わる実際の抵抗成分ZR1は、(6)式で表される。(6)式のR1は、上記配線導体の内の、共振器とボンディングワイヤとの間の部分の抵抗である。
【0018】
ZR1=Zr+R1 …(6)
【0019】
【発明の開示】
本発明は、以上の考察を踏まえてなされたもので、共振器とボンディングワイヤとの間の薄膜導体の、特に入力側初段の並列腕の共振器の発熱を低減して共振器の温度上昇を抑え、耐電力性の向上、その結果として当SAWフィルタの信頼性の向上を図ることを目的としている。
【0020】
共振特性或いは反共振特性を有する共振器を梯子型に構成した弾性表面波フィルタにおいて、特に入力側初段の並列腕の共振器Rp1を構成する複数の櫛歯電極111の内の接地側に接続される櫛歯電極のそれぞれの1端が接続電極の内の接地側の接続電極の1端に各々接続され、一対の接続電極の内の接地側の接続電極上或いは当該接続電極の長さ方向に延長した引き出し導体130−1上にボンディングワイヤ33,31が前記複数の櫛歯電極の群の中心線C1 の両側に振り分けられた位置に接合されている。上記ボンディングワイヤは更に上記中心線C1 のほぼ上にも接合されていてもよい。上記ボンディングワイヤは上記中心線C1 に関し対称の位置にあるのが好ましい。
【0021】
また、上記接続電極130上或いは当接続電極の長さ方向に延長した引き出し導体130−1上、前記中心線C1 の両側に振り分けられた位置に、上記接続電極から櫛歯電極と反対方向に複数の突出した部分130−3を設け、該突出した部分130−3のそれぞれにボンディングワイヤ33’’を接合する。上記複数の突出した部分130−3の間の部分130−4が電気的導体によって埋められていてもよい。上記ボンディングワイヤ接続構造はSAW共振器のみに適用できる。
【0022】
特に入力側初段の並列腕の共振器Rp1について、その接地側の接続電極それ自体の電気抵抗と共にボンディングワイヤに到る迄の電気抵抗を減少しジュール熱の発生が低減されて共振器の温度上昇が抑えられる。
【0023】
【発明を実施する為の最良の形態】
梯子型構成の並列腕と直列腕に用いられるSAW共振器Rp,Rs共通の電極構造の一例の平面図を図1で示す。
【0024】
SAW共振器(以下、単に「共振器」という)は、複数の櫛歯電極111を対向する複数の櫛歯電極の間に対をなして挿入し、その開放端を接続電極130で接続している励振部と、上記櫛歯電極対の弾性表面波伝播方向両側に配置された反射器120とで形成されている。上記励振部は励振及び受信のための入出力端子となる。図1の例の反射器は先端が互いに短絡された複数の櫛歯電極で形成されている。しかし、開放型の櫛形電極又はストリップアレイ状電極を反射器として用いることも出来る。反射器は引き出し導体130−1によって励振部と電気的に接続されて描かれているが、フィルタの特性設計の要求により接続されないで構成されることもある。
【0025】
各共振器Rs1,Rs2,Rp1,〜Rp3の導体パターン(櫛形電極及び反射器)とその他の配線導体は、A1−2%Cu(125nm)/Cu(45nm)/A1−2%Cu(125nm)の三層構造の薄膜導体からなる。また、共振器Rs1,Rs2,Rp1,〜Rp3はAMPSの受信用フィルタ(AMPS−Rx:受信帯域869〜894MHz)の仕様を満たすように設計されている。
【0026】
SAWフィルタ1は、図4に示すように数ミリ角程度の大きさのセラミック製パッケージ10、パッケージ10の底面部10Aの内面にボンディングされたフィルタチップ20、及び例えば25μmφのAu線又はA1線からなるボンディングワイヤ31〜35などから構成されている。
【0027】
パッケージ10には、枠状の側壁部10Bにおける対向する2辺に沿ったボンディング台部10Cが設けられている。ボンディング台部10Cの上面には、例えばAu膜からなる外部接続用の端子T1〜3が設けられている。
【0028】
フィルタチップ20は、36°回転Yカット−X伝播LiTaO3 (タンタル酸リチウム)の単結晶基板上に、別途詳述の所定パターンの薄膜導体を設けたものであり、従来より広く知られたプロセスによって作製される。
【0029】
フィルタチップ20には、梯子型フィルタにおける直列腕の構成要素である2つの共振器Rs1,Rs2、並列腕の構成要素である3つの共振器Rp1,Rp2,Rp3、及びボンディングパッドを含む所定の配線導体が形成されている。合計5つの共振器Rs1,Rs2,Rp1,〜Rp3はそれぞれの弾性表面波の伝播路が互いに干渉しないように図4の縦方向に互いにずらせて配置されている。
【0030】
図1に示す共振器は、本発明によって励振部の櫛歯電極の幅wは例えば約1.2μm、長さは例えば約81μmであり、櫛歯の数は例えば58対である。櫛歯電極を接続する接続電極130は励振の櫛歯電極の全部を接続する幅、即ちSAW伝播方向の長さ、L(L’)を有し、それに直角方向、即ち櫛歯長さ方向の幅bを有する。長さL(L’)は約278μm、その幅bは約80μm、その厚みは上記の如く約300nmである。この幅bの値は櫛歯の幅wに較べて充分に大きい。
【0031】
入力側の並列腕の共振器Rp1は図1に示す構成で、その接続電極130の長さ方向、即ち櫛歯電極111の群の配列方向、にそれぞれ接続された引き出し導体130−1の開放端に図4に示す如くパッド130−2を設け、それぞれに1本づつボンディングワイヤ33を超音波など広く用いられている方法によって接合し、接地端子T3に接続している。即ち励振部の中心線C1 によって割り振られた2か所に接合されている。並列腕の共振器Rp1の入力励振側にも接続導体131が接続導体130同様に接続されているが、その長さ全体を励振部の幅を幅とする引き出し導体131−1が直列腕の入力段の共振器Rs1の接続電極131−2に伸びている。この引き出し導体131−1上、共振器の中心線C1 によって振り分けられた位置に2本のボンディングワイヤ31が接合されて、信号入力端子T1に接続している。
【0032】
直列腕の入力段の共振器Rs1の出力側と、第2段の直列腕の共振器Rs2の入力側と、第2段の並列腕の共振器Rp2の入力側は薄膜配線132で互いに接続されている。薄膜配線132と各共振器との接続には接続電極130と同様に接続電極がそれぞれの共振器に設けられているが、特に図示してない。第2段の並列腕の共振器Rp2の接地側は接続電極130と同様に接続電極133が設けられ、接続電極130と同様に接続電極の中心線によって振り分けられた位置に2本のボンディングワイヤ34が溶接されて、接地用端子T3に接続されている。第3段の並列腕の共振器Rp3の接地側は接続電極130、その引き出し導体130−1とパッド130−2と同様に2本のボンディングワイヤ35によって接地用端子T3と接続されている。
【0033】
入力側初段の共振器Rp1の接地側2本のボンディングワイヤ33の溶接位置は、接続電極130の長さL方向の中心線c1に対して両側に振り分けられていると説明したが、更に、この溶接位置は、共振器Rp1の接続電極130の中心線c1を挟んで対称の位置、即ち互いに反対方向にほぼ等しい距離だけ離れた位置であることが、電気抵抗の減少に望ましい。
【0034】
上記従来技術の問題点を確認し、発明の構成の効果を確認するために、入力段の並列腕の共振器Rp1の接地側の接続電極とそれに接続する引き出し導体と、それらに接続するボンディングワイヤの数とその位置を変化させて、図6A〜図6Fに示すようにボンディング位置の異なる6種の試料1A〜Fを作製した。なお、全ての試料1A〜Fにおいて、初段の接地側を除く他の共振器Rp2,Rp3のボンディング位置はいずれも同じである。いずれの試料も、接続電極とその引き出し導体の厚さは約300nm、その幅は約80μmである。それぞれの温度と耐電力性を測定した。
【0035】
試料1Aと1Bは従来技術による構成である。試料1Aと1Bでは、共振器Rp1の接続電極の一端から延長された引き出し導体30の先端部にボンディングワイヤが接合されている。試料1Aではボンディングワイヤが1本であって、試料1Bでは3本である。
【0036】
試料1C〜1Fは本発明に適用できる構成である。試料1Cでは、共振器Rp1の接続電極の中心線c1上、即ち中央部に、1本のボンディングワイヤが接合されている。試料1Dでは、共振器Rp1の両端部にそれぞれ1本ずつボンディングワイヤが接合されており、ボンディング位置は中心線c1に対して対称である。試料1Eは図4にほぼ近い構成であって、接続電極130の長さ方向両側に延長する形で引出し導体130−1が設けられている。2本のボンディングワイヤ接合位置はそれぞれ櫛歯電極の群の端からほぼ150μm外側の引出し導体130−1上である。
【0037】
試料1Fでは、共振器Rp1の中央部と両端部とにそれぞれ1本ずつ計3本のボンディングワイヤが接合されており、ボンディング位置は中心線c1に対して対称である。
【0038】
これらの試料1A〜Fを恒温槽内に配置して環境温度を85℃に保ち、840〜930MHzの範囲内で周波数を1MHzずつ変化させながら一定(例えば初期値1W)の電力を印加し、その後に電力の印加を停止してからフィルタ特性を測定した。特性劣化がなければ、さらに印加電力を0.1Wずつ増加させていって同様の測定を行った。そして、フィルタ特性の後述の様に劣化が顕著になったときの印加電力を耐電力値とした。即ち、通過域の帯域幅の減少分が2MHzに達したとき、又は低周波側の減衰極の劣化分が5dBに達したときの印加電力を耐電力値と定義した。
【0039】
なお、フィルタ特性の測定と並行して、共振器Rp1の近傍に設けたミアンダ状の導体パターンの抵抗値を測定して温度に換算することにより、フィルタチップ20の温度(チップ温度)を測定した。
【0040】
表1に各試料1A〜Fの耐電力値、低周波側の減衰極の周波数における並列腕のインピーダンスの実数部ZR1、チップ温度(1.3W入力時)をまとめて示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003818274
【0042】
表1から明らかなように、ボンディング位置を、共振器Rp1の中心線c1上の位置、中心線c1の両側の位置、又は、中心線c1上及びその両側の位置に設定した場合(試料1C〜Fの場合)は、ジュール熱に係わるインピーダンスの実数部が小さく、チップ温度の上昇が抑えられている。そのため、耐電力性が高まっている。また、図示しないスミスチャートによる分析の結果、減衰域における反射係数が増大し、アンテナデュプレクサに用いたときに送信用と受信用との間のフィルタ特性の干渉が軽減されることが確かめられた。
【0043】
図4に示す第1の実施例では信号の入出力端子が、それぞれ2本のボンディングワイヤ31,32を介して信号入力端子T1又は信号出力端子T2と接続されているが、ここにそれぞれ1本のボンディングワイヤを接続し、さらに接続電極の幅bが10μm、引き出し導体131−1の幅が70−80μmの図示しない従来の構成の試料と実際に比較試験を行ったところ、各入出力端子に対して1本ずつボンディングワイヤ31,32を張った場合の耐電力値は1.4Wであった。それに対して、2本ずつ張った場合の耐電力値は1.6Wであった。
【0044】
第2の実施例を、第1の実施例の薄膜配線導体とボンディングワイヤを部分的に変更して図5に示す。この実施例では入力端子T1から1本のボンディングワイヤ31’で共振器入力側の引き出し導体131−1のほぼ中央に接続されている。引き出し導体131−1は並列と直例の共振器Rp1とRs1それぞれの接続電極131と131−2に接続している。接続電極131の幅は20μmと広く、接続電極131の長さ方向の、幅は100μmであって櫛歯群の幅のほぼ1/3を占める。従って、ボンディングワイヤ接合点から櫛歯電極への電流は充分に分散されている、即ち充分電気抵抗は低い。
【0045】
図6に示した試料1C,1D,1Fの構成は特に独立して実施例として説明をしないが、その効果が明白なので、本発明の趣旨と実証データによって、共振器の引出し導体に適用され得ることは言うまでもない。
【0046】
更に、チップの温度上昇と耐電力特性の確認を行うために、接続電極の幅bと厚さh、即ち電気抵抗、を変化させたデータを図7Aと図7Bに示す。このデータは上記試料1Aを用いて測定した。同図に見られるように、接続電極の幅bと厚さhの増加はチップの温度上昇の低下に貢献していることがわかる。
【0047】
上記第1の実施例のフィルタとその入力側並列共振器の接地側に上記試料1Bを用いた従来技術のフィルタの寿命試験の結果を図8のカーブaとbに示す。同図の横軸は入力信号電力レベルを示す。環境温度を85℃とし、図示の如く3〜4種類の入力信号電力レベルによってそれぞれ寿命試験を行った。入力信号の周波数はフィルタの低周波側の減衰極の周波数である。寿命の判定は表1の場合と同様の条件を用いた。なお、同図にプロットされた線を延長して入力信号電力レベルを実用レベルである1Wの線と交差する点を求めると、従来技術の構成では6.9万時間、本発明の構成では2400万時間であって、本発明の効果が顕著であることが実証された。上記実施例では接続電極およびその長さ方向に延長した引出し導体上にボンディングワイヤを接合していたが、第3の実施例として接続電極の櫛歯電極と反対の側面を突出させて3個の引出し導体130−3をパッド状に設けて、そこにボンディングワイヤをそれぞれ接合している場合を図9に示す。この場合接続電極の幅bは必ずしも櫛歯電極の幅wより大きくする必要はなく、引出し導体130−3の形状と数、更に接続電極の厚さ等によって決定される。図9ではパッドの箇所のみ接続電極から突出させてあるが、点線で示すパッド相互の間の部分130−4が埋まっていても良い事は言うまでもない。上記実施例では接続電極の電気抵抗低減の手段としてその面積を大きくし、更に接続電極内で電流を分散させる様にボンディング位置を選定したが、その他に接続電極の厚みを増すことによって対応することも出来る。それを第4の実施例として図10示す。同図は櫛歯電極沿いの断面図を示し、櫛歯電極の厚さが300nmであるのに対し、接続電極はその厚さを1200nmとしている。ボンディングワイヤは接続電極上に接続されるが、その数は上述した実施例に従って選ばれる。この効果については図7Aと図7Bに述べた。なお、接続電極から引き出す引出し導体を導出し、ボンディングワイヤを引き出し導体上に接合してもよい。また接続導体も接続電極と同様の厚さに構成することも出来る。これらの厚さの増加分はリソグラフィ法を用いたパタニングの追加によって行われる。
【0048】
入力段並列共振器の接地側にボンディングワイヤを一本用いた場合を第5の実施例として図11に示す。ボンディングワイヤ33’’以外は図5に示す第2の実施例と同じである。ボンディングワイヤ33’’は接続電極130−1のほぼ中央部に接合されている。先に説明した如く接続電極130−1の幅bは80μmと充分に広いので、発熱は少なく、信頼性も充分である。この構成の利点はボンディングワイヤの数が少ないことである。第1の実施例で両側の引き出し電極130−1にそれぞれボンディングワイヤを引き出したのは、入力ボンディングワイヤ33との干渉を避ける目的もある。しかし、第5の実施例ではチップ表面を薄膜電極で覆うことによる特性上の効果もある。
【0049】
上述の実施例ではボンディングワイヤの数は1〜2本の場合を示したが、本発明の趣旨に基づき3本以上のボンディングワイヤを用いることができるのは言うまでもない。その場合、中央の1本は中心線c1付近に接合するのが好ましい。
【0050】
ボンディングワイヤの本数及び長さを適当に選定することによって図3Aに示すインダクタンスL1〜3を所望値に調整し、フィルタ特性を改善することを同時に考慮しながら、フィルタチップの構成とボンディングワイヤの数と長さと位置を決定することも出来る。(特開平5−183380号、特開平6−164309号)
その他、梯子の段数、各共振器の電極パターン、各共振器の配置関係、配線導体の平面パターン、フィルタチップの薄膜導体の材質及び厚さ、圧電基板の材質、パッケージの構造、フィルタチップ20と各端子T1〜3との配置関係、ボンディングワイヤ31−35の材質及び寸法などは、種々変更することができる。
【0051】
先に説明した如く、入力段の並列腕の共振器Rp1の入出力回路以外は、共振器Rp1に較べて電流値が低いので、配線形状やボンディングワイヤの溶接位置とその箇所は入力段の並列腕の共振器Rp1にくらべて、厳しくない。上記実施例のどの形態を選ぶか、即ちボンディングワイヤの位置や数はインダクタンスの調整や、他のボンディングワイヤとの干渉の問題等との総合判断で決定されることが多い。
【0052】
上述の実施例では本発明をSAWフィルタに適用した場合を示したが、単なるSAW共振器に本発明を適用できることは言うまでもない。
【0053】
上述の如く、本発明の構成によれば、共振器のフィルタ特性に大きな影響を与えることなく、共振器とボンディングワイヤとの間の発熱を低減して共振器の温度上昇を抑え、弾性表面波フィルタの耐電力性と寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SAW共振器の構成を示す平面図である。
【図2】フィルタ特性と電流経路との関係を示す模式図である。
【図3】SAW共振器の等価回路図である。
【図4】本発明のSAWフィルタの第1の実施例の平面図である。
【図5】本発明のSAWフィルタの第2の実施例の平面図である。
【図6】ボンディングワイヤの接合位置を変化させた試料を示す図である。
【図7】接続電極の幅と厚みを変化させた場合のチップの温度と耐電力値を示す図である。
【図8】信号入力値を変化させた場合の寿命の比較データである。
【図9】本発明のボンディングワイヤの引出し方法の変化例を示す第3の実施例の平面図である。
【図10】本発明の接続電極の厚さを変えた第4の実施例の平面図である。
【図11】本発明のボンディングワイヤの数を1本にした第5の実施例の平面図である。

Claims (6)

  1. 第1の共振特性を有する第1の共振器の複数の並列腕と、前記第1の共振特性の反共振周波数に共振周波数がほぼ一致する第2の共振特性を有する第2の共振器の直列腕とが梯子型に構成された、弾性表面波フィルタであって、
    入力側初段の前記並列腕の第1の共振器においては、前記第1の共振器を構成する互いに平行な1対の櫛歯電極群の内の接地側に接続される櫛歯電極のそれぞれの1端が接続電極の内の接地側の接続電極の1端に各々接続され、前記接地側の接続電極に直接接続されるボンディングワイヤが前記1対の櫛歯電極群の中心線の両側に振り分けられて接続されるとともに、上記ボンディングワイヤは実質的に上記中心線の上にも接続されていることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
  2. 上記中心線の両側に配分されたボンディングワイヤは上記中心線に関し実質的に対称の位置に接続されていることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
  3. 上記接続電極の長さ方向に延長した引き出し導体上に上記ボンディングワイヤが接続されていることを特徴とする請求項1乃至2記載の弾性表面波フィルタ。
  4. 上記接続電極に、櫛歯電極と反対方向に複数の突出した部分を設け、該突き出し部分のそれぞれにボンディングワイヤを接合することを特徴とする請求項1乃至3記載の弾性表面波フィルタ。
  5. 上記複数の突出した部分の間の部分が電気的導体によって埋められていることを特徴とする請求項4記載の弾性表面波フィルタ。
  6. さらに、前記入力側初段の並列腕の第1の共振器の入力側の前記接続電極に対するボンディングワイヤが前記1対の櫛歯電極群の中心線の両側に振り分けられて接続されるとともに、前記入力側の接続電極の幅が前記櫛歯電極の幅よりも広く形成されてなることを特徴とする請求項1乃至5記載の弾性表面波フィルタ。
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