JP3817964B2 - 防草シートを用いた花壇と植生工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規材料を用いた花壇及び植生工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
新規開拓する公園や河川敷、高速道路の中央分離帯や路肩、高圧送電線の設置場所、病院・学校等の敷地、野原等広範囲の敷地の花壇化に関して、従来は雑草を刈り取るか除草剤を散布したあと植生用の土壌を敷き詰め、新たな花や背の低い草木類の種を蒔いていた。しかし、これでは、大きな手間と費用がかかるばかりか、必要以上の農薬等を使用する為に環境的にも好ましくない。又、一時的に雑草等をなくしたとしても、地下茎が残り数ヶ月を経ず、土中に残っている根から再度芽が出て、再び雑草等が繁茂し折角植生した花や草木類を駆逐するようになる。
【0003】
こうした雑草を抑え、新たな花卉類や草木類等を効率的に植えるために、麻のマット等を敷き詰めた上に植物の草木の種子、培養土を含む植生用土壌を敷き花壇とする工法が行われているが、麻では繊維の太さが大きい為に、又分解期間が短い為に抑えた雑草の芽がそれを突き抜けて成長し繁茂し、十分に雑草を抑えることが出来ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは鋭意検討の結果本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目的は、未開拓の広い土地に新たに花壇等を作るに際して、雑草処理や整地に余り手間や農薬等をかけず効率的で、環境に優しい花壇及び花壇づくりを提案するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、ポリ乳酸繊維よりなり、エンボスローラで熱圧着されてなる防草用スパンボンド不織布を、地面に敷き、その上に植物の草木の種子、培養土を含む植生用土壌を厚みが少なくとも2cmに敷き詰めてなる花壇であって、該不織布の目付が70g/m2 以上で、かつ、該不織布の目付100g/m2換算での強力が10Kg/5cm以上であることを特徴とする花壇であり、本発明の第二は、目付が70g/m2以上で、かつ、目付100g/m2換算での強力が10Kg/5cm以上であるポリ乳酸繊維よりなり、エンボスローラで熱圧着されてなる防草用スパンボンド不織布を、地面に敷き、その上に植物の草木の種子、培養土を含む植生用土壌を厚みが少なくとも2cmになるように敷き詰めることを特徴とする花壇の植生工法である。
【0006】
本発明に使用する不織布に使用するポリ乳酸繊維は通常融点が少なくとも90℃、好ましくは少なくとも100℃、更に好ましくは少なくとも110℃、特に好ましくは少なくとも130℃のものである。融点が90℃より低い場合は、繊維を製造する際にも、又それを加工する際にも、又使用する際にも限定要因が多い。又、繊維の安定性の一つの目安になる結晶化度についても、高いほど好ましい。結晶化度の目安として、融点における融解熱にて示せば通常少なくとも15J/g、好ましくは20J/g、更に好ましくは25J/gである。
【0007】
ポリ乳酸は、光学活性の炭素を有し、L−体とD−体の混合物からなるが、自然界で分解・代謝されやすいのはL−体であり、好ましくはL−体が少なくとも90%、好ましくはL−体が少なくとも92%のL−体を有する。又、ポリ乳酸には他の成分例えば、乳酸と共重合性の良い脂肪族ジカルボン酸、鎖状ジオール、炭素原子数3以上のラクトン類、及び炭素原子数4以上のヒドロキシアルキルカルボン酸類の群より選ばれた化合物のひとつ或いは複数を共重合しても良い。例えば、脂肪族ジカルボン酸としては、飽和または不飽和で直鎖型または側鎖をもつもので炭素数4〜20程度のものが好ましく、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの飽和型が特に好ましい。
【0008】
又、鎖状ジオールとは、芳香核や脂環核を持たないジオールで、脂肪族ジオール、ポリアルキレンエーテルのオリゴマー、ポリアルキレンカーボネートのオリゴマー及びポリオルガノシロキサンのオリゴマーで両末端が水酸基のものを包含する。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなど炭素数2〜20程度の直鎖または側鎖を持つジオールが好ましい。
【0009】
同様に、好ましいオリゴアルキレンエーテルの例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量5,000以下、特に分子量2,000以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテル、およびそれらの共重合体、例えばエチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、エチレングリコール/ブチレングリコール共重合体のオリゴマーが挙げられる。同様に、例えばブタンジオールやヘキサンジオールなどの脂肪族ジオールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させて得た、アルキレンエーテルの共重合オリゴマーも有用である。
【0010】
炭素数3〜12のポリラクトン類としては、炭素数3〜12の環状ラクトン例えば、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等の開環重合体やその共重合体が使用できる。
【0011】
脂肪族ポリエステル類としては、炭素数2〜12の脂肪族ジアルコールと炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸の共重合体であり、好ましくはポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、及びそれらに第三成分や第四成分を共重合した物が使用出来る。特に、アジピン酸の共重合により生分解速度の調整が可能になり、より好ましい。本発明の脂肪族ポリエステル類の重量平均分子量(Mw)は、通常70,000以上が好ましく、更に100,000以上、特に好ましくは120,000〜200,000である。
【0012】
微生物生産性のポリヒドロキシアルカノエート類としては、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレート(PHV)、或いはそれらの共重合のPH(B/V)等が使用できる。但し、微生物生産性の欠点は、分子量の調整や共重合比率の調整が必ずしも思うようにいかない。繊維製造には、分子量が高い場合は必要に応じて可塑剤を使用するか、他の分子量の低い生分解性ポリマーを適当にブレンドする必要がある。
【0013】
脂肪族ポリエステルカーボネートについては、原料の一成分としてエチレングリコール、トリメチレングリコール、1.4ブタンジオール、1.5ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、或いは炭素数18以下の高級アルキレンジオール等するものである。
【0014】
本発明のポリ乳酸ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常70,000以上であり、好ましくは100,000以上、更に好ましくは120,000〜200,000である。
【0015】
本発明の重合体或いは共重合体には、使用目的に応じ副次的添加剤として、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種無機粒子、各種フィラー、有機および無機系結晶核剤、撥水剤、親水剤、離型剤、可塑剤、生理活性剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することが出来る。特に、地表に敷き詰める物であり、土色や褐色、黒色、或いは植生の緑色を付ける事は好ましい。
【0016】
本発明のスパンボンド不織布は、長繊維不織布であり、短繊維不織布に比して、生産性の点、コストの点でより好ましい。
【0017】
本発明のスパンボンド不織布の目付は、通常70g/m2以上が好ましく、更に好ましくは100〜200g/m2である。又、かかるスパンボンド不織布の強力は、目付100g/m2換算で通常10Kg/5cm以上が好ましく、更に好ましくは12Kg/5cm以上である。
【0018】
かかる不織布の製造方法としては、特に制約されないが、特に長繊維不織布の製造方法としては、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸法等の方法が採用できるが、スパンボンドによる方法が不織布の強伸度等の物性が良好であり好ましい。或いは、かかる不織布を、異なる製法で製造した不織布を積層して形成することもでき、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンドの三層構造不織布も分解性の制御や素材の複合化と言う点で好ましい。
【0019】
本発明で使用する不織布の通気度は高々100cc/sec/m2以下であることが好ましく、更に好ましくは高々70cc/sec/m2 以下、特に好ましくは高々50cc/sec/m2 以下である。通気度が100cc/sec/m2 を超えては、該不織布で敷き詰めた下にある雑草等の芽が突き出て新たに植生を施した花壇の中にも生えてくるおそれがある。かかる通気性の制御手段としては、該不織布の製造条件(例えば、目付、圧着度、熱融着条件、等)や該不織布の後処理条件(カレンダーローラーやエンボスローラー等での熱圧着条件、樹脂のコーティング等)を適宜選択して採用することにより容易に制御することが可能である。
【0020】
本発明の防草用不織布は基本的には、その下になっている雑草の芽を通さない為に上述のように厚く密で丈夫な方が良いが、2〜3年も経つと雑草の種が他所より飛来し根付き雑草が繁茂するようになる。そうなると、再度本発明の防草用の不織布を敷き詰めその上に植物の種を含んだ植生土壌を敷き詰めることにより、新たな花壇等を作ることが必要となる。従って、再度敷き詰める際には前に使用した防草用不織布は強度が低下していた方が良い。例えば、3年経過後に好ましくは初期布帛強力の高々約6割、更に好ましくは初期布帛強力の高々5割である。かかる布帛強力の測定は不織布の縦横の方向にテンシロン等にて常法に従って測定することが出来る。又、防草用不織布を下に敷くことにより、適度の水はけや下の土からの水分の補給が出来、植生には非常に好都合である。
【0021】
発明の不織布の色は設置する周囲の環境に調和することが重要であり、通常好ましくは黄色、茶色、褐色、黒色等の土色に近いものである。着色は、繊維の製造時や不織布の製造時に顔料や染料を添加しても良いし、或いは不織布の後加工において染色や顔料をコーティングすることにより着色することも出来る。
【0022】
本発明の植生工法は図1に示すように、雑草を抑える手間を省き非常に効率的な植生工法である。広い場所でも又狭い場所でも或いは傾斜している場所でも効果的である。本発明の花壇や工法により、従来の方法からは極めて容易に花壇を作る事が出来る様になった。
【0023】
【実施例】
以下の実施例において、本発明を詳細に説明するが、%、部は特に断らない限り重量比である。
実施例1.
L−体を99.2%含む重量平均分子量13.8万のポリ乳酸を紡糸温度225℃にて紡出し、エアーエジェクターにより4300m/分の速度で引き取り、ネットコンベアーの上に落とし、次いで表面温度130℃のエンボスローラーにてエンボス処理をして巾300cmで目付け150g/m2の連続したスパンボンドを得た。スパンボンドの縦方向(MD)強力は16.8Kg/5cm、伸度は21.2%であり、横方向(TD)の強力は16.1Kg/5cm、伸度は18.3%で均一な地合をしており、通気度は53cc/sec/m2であった。
【0024】
本実施例の概略図を図1に示す。河川敷で雑草等(2)の繁茂した場所をローラーで整地を兼ねてならし、その上に上述のスパンボンド(3)を敷き詰めた。スパンボンドの四辺にブロック等(5)を並べてスパンボンドの上にコスモスの種と肥料を含んだ植生土壌(4)を約5cmの厚さにまいた。
秋には、雑草の生長はなく良好なコスモス畑が出来た。
【0026】
【発明の効果】
本発明の花壇は整地や農薬の散布による雑草の除去の手間を省き非常に効率的に雑草を抑え、目的とする植物の芽だけを出し、育成する事が出来る物であり、環境に優しい又費用が少なくて済む非常に効率的な工法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の花壇の断面図
【符号の説明】
1 大地
2 雑草等
3 防草用の繊維構造物
4 植生土壌
5 ブロック等

Claims (3)

  1. ポリ乳酸繊維よりなり、エンボスローラで熱圧着されてなる防草用スパンボンド不織布を、地面に敷き、その上に植物の草木の種子、培養土を含む植生用土壌を厚みが少なくとも2cmに敷き詰めてなる花壇であって、該不織布の目付が70g/m2以上で、かつ、該不織布の目付100g/m2換算での強力が10Kg/5cm以上であることを特徴とする花壇。
  2. 該不織布が、ポリ乳酸繊維を少なくとも50重量%含む請求項1に記載の花壇。
  3. 目付が70g/m2以上で、かつ、目付100g/m2換算での強力が10Kg/5cm以上であるポリ乳酸繊維よりなり、エンボスローラで熱圧着されてなる防草用スパンボンド不織布を、地面に敷き、その上に植物の草木の種子、培養土を含む植生用土壌を厚みが少なくとも2cmになるように敷き詰めることを特徴とする花壇の植生工法。
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