JP3817753B2 - ディーゼルエンジン車の定速走行制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ディーゼルエンジン車の定速走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジン車においても定速走行制御の要望があり、車両の走行速度を所望の目標車速に保つことを要求する車速一定要求信号を入力したとき、この車速一定要求信号に従って目標車速を記憶し、この記憶した目標車速と現在の実車速とを比較し、両車速の差に対応して電子的ガバナパターンを強制的に移動させてディーゼルエンジンの燃料噴射量を決定し、車両の走行速度を目標車速に帰還制御する技術が提案されている(例えば、特公平2−21971号公報)。この技術では、定速走行制御開始時のガバナパターン上の制御初期ポイントは、車速一定要求信号入力時のアクセル開度のポイントとして設定していた。
【0003】
また、車速同士の比較ではなく、実車速と実回転数とからギヤ比を演算し、このギヤ比と目標車速とから目標回転数を算出し、実回転数と目標回転数との差を減らす方向にアクセル開度を算出し、燃料噴射量を補正する技術も提案されている(特開昭60−148723号公報)。この従来技術での制御初期ポイントの設定は、車速一定要求信号入力時のアクセル開度を目標エンジン回転数と実エンジン回転数との差に基づいて補正して設定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車速一定要求信号を入力する状況を考えると、運転者はアクセルを踏み込んで目標車速まで車両を加速させ、そこでアクセルを緩めながら定速走行指令のためのスイッチを操作するのが普通である。
【0005】
このため、車速一定要求信号が入力されたときのアクセル開度に基づいて制御初期ポイントを設定する従来技術では、制御の初期ポイントが低すぎ、定速走行突入時に一旦車速が大きく落込み易いという問題があった。
これに対し、目標車速やエンジン回転数などをパラメータとしたマップ補間により、定速走行突入時の実アクセル開度とは関係なく制御初期ポイントを設定する技術も考えられている。
【0006】
しかし、車両の運行状況を考えると、荷物の積載量や路面の勾配の違いなどによってエンジンの負荷状態は一律に定めることができない。このため、マップ補間によって一律に制御初期ポイントを定める技術では、やはり、最適な制御初期ポイントが定められない場合があった。加えて、マップを使用するため、車種毎、エンジン毎のマッチングをする必要があり、設計工数の面からも問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ディーゼルエンジン車において定速走行制御を行う場合にガバナパターン上の最適な制御初期ポイントを設定することができるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
本発明のディーゼルエンジン車の定速走行制御装置は、車両の走行速度を所望の目標車速に保つことを要求する車速一定要求信号を入力したとき、オールスピードガバナパターン上に制御の初期ポイントを設定すると共に、目標車速と実車速との差をなくす方向に前記オールスピードガバナパターン上の制御ポイントを演算して燃料噴射量を決定し、車両の走行速度を目標車速に帰還制御するディーゼルエンジン車の定速走行制御装置において、定速走行制御開始時に、車速一定要求信号が入力されたときのエンジン負荷状態に基づいて、前記オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントとして、アクセル開度の初期値を決定する制御初期ポイント決定手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
この定速走行制御装置によれば、車速一定要求信号が入力されたときの実アクセル開度とは関係なく、このときのエンジン負荷状態に基づいてオールスピードガバナパターン上の制御初期ポイント(アクセル開度の初期値)を決定する。
ここで、本発明の作用・効果をより分かり易くするため、図1に示すようなオールスピードガバナパターンの一例に基づいて説明する。
【0010】
オールスピードガバナパターンは、アクセル開度に対して一律にエンジン回転数を制御することができることはよく知られている。そして、エンジン負荷状態を表す曲線A,Bをこのオールスピードガバナパターンに重ねて見ると、図示の様に、各負荷曲線A,Bと目標エンジン回転数との交点▲1▼,▲2▼のアクセル開度a1%やa2%が設定すべきアクセル開度になることが分かる。
【0011】
ところが、定速走行制御セット時のアクセル開度をそのまま初期値とすると、アクセル開度の初期設定が0%になってしまい、ガバナパターン上の制御初期ポイントが図示のXの点になってしまうおそれがある。このため、ここから正しい制御ポイント▲1▼,▲2▼に収束するのに時間がかかり、一旦、大きく車速が落ち込むおそれがあるのである。
【0012】
これに対し、本発明は、車速一定要求信号入力時のエンジン負荷に基づいて制御初期ポイントを決定するので、例えば負荷曲線Aの状態であるなら、▲1▼の正しいポイントに対して、▲1▼’のそこそこのポイントを制御初期ポイントとして設定することができる。よって、速やかに▲1▼のポイントへと収束することができ、車速の落込みはあっても小さいものとなる。
【0013】
そして、車両の積荷の状況などにより、負荷曲線Bの如き状態にあるときには、制御初期ポイントは例えば▲2▼’となり、やはり最適な制御ポイント▲2▼に近いところから定速走行制御を開始できる。
この結果、本発明によれば、車速一定要求信号が入力されたときのアクセルの操作状況がどのようであろうと、また、車両の積荷の積載状況や走行路面の勾配がどのようであろうとも、適切な制御初期ポイントを決定することができ、その後の制御がスムーズに進行し、大きな車速の落込みを招くことなく迅速に安定した定速走行制御へと移行することができる。
【0014】
なお、具体的に、前記制御初期ポイント決定手段は、車速一定要求信号が入力されたときの実際の燃料噴射量と、目標車速に対応する目標エンジン回転数とから、オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントとして、アクセル開度の初期値を逆算する手段として構成することができる。
【0015】
即ち、上記の説明からも分かる通り、実燃料噴射量と目標エンジン回転数との交点は、負荷曲線と目標エンジン回転数との交点からそれほど離れない点として求めることができるから、車速一定要求信号入力時の実燃料噴射量と目標エンジン回転数との関係をオールスピードガバナパターンに当てはめてやれば、制御初期ポイントとしての適切なアクセル開度を決定することができるのである。
【0016】
従って、より具体的な構成としては、前記制御初期ポイント決定手段は、車速一定要求信号が入力されたときの実際の燃料噴射量と、目標車速と、ギヤ比とから、オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントとして、アクセル開度の初期値を逆算する手段として構成することができる。
【0017】
即ち、ギヤ位置センサなどの検出結果からギヤ比を求めたり、あるいは実エンジン回転数と実車速との関係から演算によりギヤ比を求めてやり、これと目標車速との関係から目標エンジン回転数を算出し、この目標エンジン回転数と実燃料噴射量との関係から定速走行制御の初期ポイントとしてのアクセル開度を決定するようにしてやればよいのである。
【0018】
以上説明した本発明のディーゼルエンジン車の定速走行制御装置によれば、積載貨物の状況や、走行路の勾配の様子などに関係なく、また、運転者のアクセル操作状況にも大きな影響を受けずに、応答性よく、かつ滑らかに定速走行制御へと移行することができる。しかも、元々車種、エンジンに応じて設定されるガバナパターンをそのまま使用しているだけなので、制御の初期ポイントを決定するための車種毎、エンジン毎のマッチングをしておく必要がなく、設計工数の点でもきわめて有利な効果を有する。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を適用したディーゼルエンジン搭載車両用のオートクルーズ制御装置の実施例について説明する。
図2は、実施例で採用する燃料噴射システムの構成を示した概略図である。燃料噴射ポンプ1には、燃料タンク2よりフィードポンプ3を通して燃料が供給される。燃料噴射ポンプ1は、燃料噴射制御装置4からの燃料噴射指令信号TQによって制御されている。燃料噴射制御装置4は、マイクロコンピュータを内蔵しており、エンジンや車両の運行状態を検出する各種のセンサ信号、クルーズ要求信号及びクルーズ解除信号などが入力されるようになっている。制御装置4において入力信号をパラメータにして演算した燃料噴射量指令信号TQは、噴射ポンプ1の燃料噴射量を直接コントロールするアクチュエータ5に出力され、噴射量をコントロールする。そして、噴射ポンプ1からの燃料が、インジェクタ6を通してエンジンの各気筒内に噴射される。
【0020】
制御装置4の具体的な構成及びその入力信号を図3に示す。制御装置4には、運転状態検出センサ信号として、エンジン又は噴射ポンプの回転数信号Vnを発生するための回転数検出センサ100、車速を検出するための車速検出センサ101、アクセル開度を検出するアクセル位置センサ102からの各センサ信号が入力され、回転数検出センサ100及び車速検出センサ101の信号は波形整形回路110を通して、アクセル位置センサ102の信号はAD変換器111でAD変換された後、マイクロコンピュータ113内に入力される。
【0021】
入力バッファ112に接続されたクルーズメインSW103,クルーズセットSW104及びクルーズリジュームSW105は、クルーズ制御を開始するためクルーズ要求信号を入力するSW類であり、同じく入力バッファ112に接続されたクルーズリリースSW106,ブレーキSW107,クラッチSW108及びニュートラルSW109はクルーズ制御を解除するためのクルーズ解除信号を入力するSW類である。これらのSW入力は、入力バッファ回路112を通してマイクロコンピュータ113に入力される。
【0022】
マイクロコンピュータ113には、制御プログラム、制御定数、マップなどをあらかじめ記憶させた読出専用メモリ(ROM)114、及び計算処理などの一時記憶のための読出書込可能なメモリ(RAM)115が内蔵され、又は外部に接続されている。
【0023】
また、マイクロコンピュータ113内で計算された噴射量指令値TQ’は、噴射量コントロールアクチュエータ駆動回路116に出力される。このアクチュエータ駆動回路116は、マイクロコンピュータ113からの噴射量指令値TQをアクチュエータ5に出力し、噴射量をコントロールする。
【0024】
本実施例のシステムでは、クルーズ制御中に使用するガバナパターンに、図4に示すようなオールスピードガバナパターンを採用している。オールスピードガバナパターンは、アクセル開度に対して一律にエンジン回転数を制御することができ、同図(A),(B)の様に、車種やエンジンに応じて定められている。
【0025】
なお、クルーズ制御中以外においては、こうしたオールスピードガバナパターンをそのまま使用してもよいが、図5に例示するようなミニマム/マキシマムスピードガバナパターンに切り換える様にしてもよい。
本実施例では、図4に例示したようなオールスピードガバナパターンを使用して、セットSW104の操作によるクルーズ突入時や、リジュームSW105の操作によるクルーズ再突入時に、実燃料噴射量と、目標車速と、ギヤ比とからクルーズ制御用アクセル開度を逆算する。そして、この逆算により求めたアクセル開度を初期値として、実車速と目標車速との差に応じたクルーズ用アクセル開度のP.I.D制御を行う。
【0026】
この一連の制御の様子を、詳細なフローチャートに従って説明する。
実施例の噴射量算出ルーチンでは、図6に示す様に、まず、エンジン回転数検出センサ100からのパルス入力を基にエンジン回転数NEを算出する(ステップ01)。また、アクセル位置センサ102からの電圧出力をA/D変換した入力を基に、実アクセル開度ACCPを算出する(ステップ02)。そして、これら実エンジン回転数NEと実アクセル開度ACCPとから、マップ補間又は演算により基本噴射量QBASEを算出する(ステップ03)。また、車速検出センサ101からのパルス入力を基に、実車速VSを求め(ステップ04)、実エンジン回転数NEと実車速VSとより、ギヤ比GRを算出する(ステップ05)。次に、このギヤ比GRから、マップ検索又は演算にて、ギヤ位置GPを算出する(ステップ06)。そして、クルーズ突入判定ルーチン(ステップ07)を実行する。
【0027】
クルーズ突入判定ルーチンに続いては、まず、目標車速TVSを算出する(ステップ08)。そして、ステップ09で、クルーズの状態と、実車速VS、目標車速TVS、ギヤ位置GP、クルーズ制御用アクセル開度積分項ACCRIに基づいて、マップ補間又は演算にて、クルーズ制御用アクセル開度ACCRを算出する(ステップ09)。なお、アクセル開度積分項ACCRIは、ステップ07のクルーズ突入判定ルーチンにおいて算出される値であり、詳しくは後述する。
【0028】
こうしてクルーズ制御用アクセル開度ACCRが算出できたら、このACCRと実エンジン回転数NEとから、クルーズ制御用噴射量QNEをマップ補間又は演算にて算出する(ステップ10)。次にクルーズ制御フラグXCCの設定状態により、通常走行中(XCC=0)であるか、クルーズ制御中(XCC=1)であるかを判断する(ステップ11)。通常走行中(XCC=0)であれば、噴射量演算値QREGに基本噴射量QBASEを採用し(ステップ12)、クルーズ制御中(XCC=1)であれば、噴射量演算値QREGにクルーズ制御用噴射量QNEを採用する(ステップ13)。
【0029】
なお、ステップ08〜10は、クルーズ突入判定ルーチンにおいてTVSやACCRIが算出されていないときは、無意味な計算を行うことになる。よって、ステップ08〜10は、XCC=1のときにだけ実行するようにしておいてもよい。
【0030】
そして、マップ補間又は演算にて、現在の運転状態に応じた最大噴射量QNMRを算出し(ステップ14)、噴射量演算値QREGを最大噴射量QNMRでガードしたものを最終噴射量QFINとし(ステップ15)、アクチュエータ駆動回路に対して最終噴射量QFINから求めた指令値TQを出力する(ステップ16)。
【0031】
次に、クルーズ突入判定ルーチンの詳細を、図7のフローチャートに従って説明する。
このルーチンでは、まず、センサ類(回転数検出センサ100、車速検出センサ101及びアクセル位置センサ102)が異常か否か、実車速VSがクルーズ制御範囲外となっているか否か、エンジンの運転状態がリーンポンプのような異常状態か否か、クルーズの各SW103〜109類が異常か否か、クルーズメインSW103がOFFか否かを判定する(ステップ20〜24)。これらの判定において、ステップ20〜23のいずれかがYESとなるか、ステップ24でクルーズメインSWがOFFであると判定されたならば、リジューム許可フラグXRS、目標車速TVSを0クリアし(ステップ25)、さらに、クルーズ制御フラグXCC、クルーズ制御用アクセル開度ACCR、同積分項ACCRIを0クリアし(ステップ30)、クルーズ制御の完全解除を行う。
【0032】
一方、ステップ20〜23がいずれもNOで、かつステップ24でクルーズメインSWがONであると判定されたならば、次に、ブレーキSW107がONか否か、クルーズリリースSW106がONか否か、クラッチSW108がONか否か、ニュートラルSW109がONか否かを判定する(ステップ26〜29)。これらの判定において、いずれかのSWがONと判定されたならば、ステップ30に移行して、クルーズ制御フラグXCC,クルーズ制御用アクセル開度ACCR,同積分項ACCRIを0クリアし、一時解除を行う。この時、リジューム制御フラグXRS=1であれば、その状態を保持し、リジュームスタート(再スタート)可能な状態にしておく。
【0033】
これに対し、ステップ26〜29の判定の結果、いずれのSWもOFFであるならば、ステップ31の方へ進んでクルーズ制御フラグXCC=1か否かを判定する。XCC=1であれば、この後の判定を終了し、それ以外の時ステップ32へ移行する。
【0034】
ステップ32では、クルーズセットSWがONか否かを判定する。そして、ONならば、クルーズ制御フラグXCCとリジューム制御フラグXRSにそれぞれ1をセットし(ステップ33)、VSをTVSにコピーし、実車速を目標車速とする(ステップ34)。そして、ステップ38に進んで、クルーズ用アクセル開度の初期値(積分項)ACCRIを求めるルーチンを実行し、クルーズ制御を開始する。
【0035】
これに対し、ステップ32の判定において、クルーズセットSWがOFFであった場合には、さらにリジューム制御フラグXRS=1か否かを判定する(ステップ35)。そして、XRS=1でなければ判定を終了するが、XRS=1であった場合、クルーズリジュームSWがONであるか否かを判定する(ステップ36)。そして、クルーズリジュームSWがONである場合には、クルーズ制御フラグXCCに1をセットすると共に前回の定速走行制御時の目標車速TVSを読み出してセットし(ステップ37)、ステップ38の初期値演算ルーチンを実行した上で、クルーズの再突入を許可し、クルーズ制御を再スタートする。なお、ステップ36にて、クルーズリジュームSWがOFFであると判定されたときには、このルーチンの処理を終了する。
【0036】
次に、ステップ38の初期値演算ルーチンの詳細を図8のフローチャートに従って説明する。
このルーチンでは、まず、目標車速TVSと、ギヤ比GRにより、目標エンジン回転数TGTNEを算出する(ステップ40)。そして、図4に例示した様なクルーズ用ガバナパターンに従って、実燃料噴射量QFINと目標エンジン回転数TGTNEとから、クルーズ制御用アクセル開度の初期値である積分項ACCRIを逆算する(ステップ41)。
【0037】
このステップ40,41により積分項ACCRIが逆算される様子について図9,図10で説明する。
オートクルーズセット時には、図9に示すように、セット時の車速に対応するエンジン回転数NEがそのまま目標エンジン回転数TGTNEとなり、負荷曲線Bについて見ると、積分項ACCRIは、セット時の実燃料噴射量QFIN2’,QFIN2”に対応して最適ポイント▲2▼の近傍の▲2▼’や▲2▼”となり、セット時の実アクセル開度をACCRIとする従来技術に比べると、明らかに安定して、しかも大きく外れることなく制御初期ポイントを設定できることが分かる。そして、車両の走行状態が、負荷曲線Aの場合には、積分項ACCRIは実燃料噴射量QFIN1’,QFIN1”に対応して最適ポイント▲1▼の近傍の▲1▼’や▲1▼”となり、負荷状態が変化しても、負荷状態に対応した適切な制御初期ポイントを設定できることが分かる。
【0038】
リジュームセット時には、図10に示すように、セット時のエンジン回転数NE1,NE2ではなく、メモリに記憶されている目標車速TVSに対応して目標エンジン回転数TGTNEが算出され、回転数負荷曲線A,Bに対して、やはり、最適ポイント▲1▼,▲2▼からそれほど大きく外れることのない▲1▼''' や▲2▼''' にACCRIが設定されることが分かる。
【0039】
以上の本実施例による作用・効果を、図11(A),(B)に例示する。これらの図は、本実施例のクルーズ制御と従来技術によるクルーズ制御の初期応答性の違いを示している。
図11(A)は、アクセルペダルを放した状態でクルーズ突入した場合の初期応答性を示している。実アクセル開度を初期値に使用する方法では、アクセル開度0%から積分を始めるので、車速が大きく落ち込む。通常、クルーズに突入したり再突入したりするときには運転者はアクセルペダルから足を離しながらセットSWを操作することが多いので、従来技術では、こうした自体が発生し易い。また、マップ補間などにより一律に初期値を求める方法と比べた場合、この方法も負荷変動に対応できないので、本実施例よりやや車速が落ち込んでしまう場合が考えられる。
【0040】
図11(B)は、アクセルを踏んでいる状態でクルーズ突入した場合の初期応答性を示しており、実アクセル開度を使用する方法と実施例の方法では、車速の落ち込みが現れない。例えば、登り坂を走行しながらクルーズに突入しようとする場合などには、こうした状態が予想される。そういった状態のときには、実アクセル開度を初期値に設定する技術でもそれほど車速の落込みはないのである。しかし、今度は、マップ補間によって一律に初期値を求める方法では、負荷変動に左右され、車速の落ち込みが発生する場合がある。
【0041】
以上説明した様に、本実施例によれば、通常走行中にオールスピードガバナパターンもしくは、ミニマム/マキシマムスピードガバナパターンのどちらを使用するとしても、クルーズ用としてはオールスピードガバナパターンを使用し、上述の様にエンジン負荷状態を反映してアクセル開度の初期値ACCRIを逆算するので、応答性の良い制御を行うことができる。
【0042】
しかも、この初期値ACCRIを決定するための専用のマッチングを必要としないので、車種やエンジン特性が異なっていても、新たな開発工数をかけることなく対応できる。
なお、実施例では、目標車速TVSとギヤ比GRとから目標エンジン回転数TGTNEを算出し、QFINとの関係からACCRIを逆算する処理として説明したが、初期値演算ルーチンを、数式で表すと、例えば、下式の様に表現することができる。
【0043】
【数1】
【0044】
ここで、CNSTB2,NEmax ,NEmin は、それぞれ、図12に示すように、オールスピードガバナパターンにおけるパターンの傾きと最大回転数及び最小回転数を意味する。aは、車種、エンジンに応じた定数であり、ギヤ比GRと車速VSとエンジン回転数NEのマッチングに対応する値である。
【0045】
上記の式は、次の(2)〜(4)をACCRについて解き、△QNE=QFINとしてやれば導き出すことができる。
【0046】
【数2】
【0047】
NEFMはオートクルーズ中の目標エンジン回転数を意味し、ACCRはオートクルーズ中のアクセル開度を意味する。そして、(2)式はオールスピードガバナパターン上でのオートクルーズ中の燃料噴射量の増分としての△QNEと実エンジン回転数NEとの関係を数式化したものであり、(3)式はオールスピードガバナパターン上でのNEFMとACCRとの関係を数式化したものである。(4)式は、実車速VSと実エンジン回転数NEとの関係をギヤ比GRにて表現した数式である。
【0048】
そして、(4)式をNEについて解くと、
【0049】
【数3】
【0050】
となるので、この(5)式と(3)式とを(2)式に代入し、さらにACCRについて解くと、
【0051】
【数4】
【0052】
を導くことができる。
これは、オートクルーズ制御が始まって適切なアクセル開度ACCRにサチュレートした状態での式である。クルーズ突入時については、この(6)式に、△QNE=QFIN、VS=TVSを代入してやることで、アクセル開度の積分項ACCRIを算出するための(1)式が導き出されるのである。
【0053】
(1)式によれば、関数ACCRIを決定するには、クルーズ突入時の燃料噴射量QFINと、目標車速TVSの二つの変数が定まればよいことが分かる。オートクルーズセット時であれば、TVS=VSが用いられ、リジュームセット時であれば、メモリに登録されている目標車速がTVSとして読み出されて使用されることになる。
【0054】
上記の(1)式は、図12の様な燃料噴射量QNEをエンジン回転数NEの一次関数で表現できるようなオールスピードガバナパターンから導いたものであるが、QNEが別の関数で表される様なものであっても構わない。その場合も、当該ガバナパターンにおける上記(2),(3)の関係式を導き、それらと(4)式とからACCRIを決定するための数式を導くことができるのはもちろんである。そして、この場合も、突入時のQFINと、目標車速TVSとから一義的にACCRIを算出することができるのである。
【0055】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、さらに種々なる態様にて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の作用を例示する説明図である。
【図2】 実施例における燃料噴制御装置の概略構成図である。
【図3】 実施例における制御装置周辺の概略構成図である。
【図4】 オールスピードガバナパターンの説明図である。
【図5】 ミニマム/マキシマムスピードガバナパターンの説明図である。
【図6】 実施例の制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】 実施例の制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】 実施例の制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】 実施例の作用を示す説明図である。
【図10】 実施例の作用を示す説明図である。
【図11】 実施例の効果を示す説明図である。
【図12】 オールスピードガバナパターンの説明図である。
【符号の説明】
1・・・燃料噴射ポンプ、2・・・燃料タンク、3・・・フィードポンプ、4・・・燃料噴射制御装置、5・・・アクチュエータ、6・・・インジェクタ、100・・・エンジン回転数検出センサ、101・・・車速検出センサ、102・・・アクセル位置センサ、103・・・クルーズメインSW、104・・・クルーズセットSW、105・・・クルーズリジュームSW、106・・・クルーズリリースSW、107・・・ブレーキSW、108・・・クラッチSW、109ニュートラルSW、110・・・波形整形回路、111・・・AD変換器、112・・・入力バッファ回路、113・・・マイクロコンピュータ、114・・・ROM、115・・・RAM、116・・・噴射量コントロールアクチュエータ駆動回路。
Claims (2)
- 車両の走行速度を所望の目標車速に保つことを要求する車速一定要求信号を入力したとき、オールスピードガバナパターン上に制御の初期ポイントを設定すると共に、目標車速と実車速との差をなくす方向に前記オールスピードガバナパターン上の制御ポイントを演算して燃料噴射量を決定し、車両の走行速度を目標車速に帰還制御するディーゼルエンジン車の定速走行制御装置において、
定速走行制御開始時に、車速一定要求信号が入力されたときのエンジン負荷状態に基づいて前記オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントを決定する制御初期ポイント決定手段を備え、
前記制御初期ポイント決定手段は、車速一定要求信号が入力されたときの実際の燃料噴射量と、目標車速に対応する目標エンジン回転数とから、オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントとして、アクセル開度の初期値を逆算する手段として構成されることを特徴とするディーゼルエンジン車の定速走行制御装置。 - 車両の走行速度を所望の目標車速に保つことを要求する車速一定要求信号を入力したとき、オールスピードガバナパターン上に制御の初期ポイントを設定すると共に、目標車速と実車速との差をなくす方向に前記オールスピードガバナパターン上の制御ポイントを演算して燃料噴射量を決定し、車両の走行速度を目標車速に帰還制御するディーゼルエンジン車の定速走行制御装置において、
定速走行制御開始時に、車速一定要求信号が入力されたときのエンジン負荷状態に基づいて前記オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントを決定する制御初期ポイント決定手段を備え、
前記制御初期ポイント決定手段は、車速一定要求信号が入力されたときの実際の燃料噴射量と、目標車速及びギヤ比から導出される目標エンジン回転数とから、オールスピードガバナパターン上の制御初期ポイントとして、アクセル開度の初期値を逆算する手段として構成されることを特徴とするディーゼルエンジン車の定速走行制御装置。
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