JP3817545B2 - 有機物粒子の微粒化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機物系廃棄物で、特に、スラリー中に含まれる有機物粒子を極微細にするための有機物粒子の微粒化装置に関する。
食品加工や畜産、一般家庭からの廃棄物は、多量に有機物を含み、しかも有機物系廃棄物は、液状、泥状ないしスラリー状の形態になっているものが多い。例えば、販売店などにおける賞味期限を越えて廃棄される飲料水類、牛乳や牛乳加工品その他乳製品類、焼酎製造工程での排液、果汁製造におけるみかん、りんごその他の果汁採取後の絞りかす類、豆腐製造の副生物である「おから」、同様に日本酒製造工程からの酒粕、その他、油粕、畜産農家の牛舎や飼育場、牧場から排出される家畜糞尿、一般家庭やホテル、レストランからの生ごみ、汲取り屎尿、その他の汚泥などがあり、これら有機物系廃棄物は、肥料に再利用されたり、焼却されたりして、処理されている。
これら廃棄物は、種々の形態の成分を含んでおり、これらを例えば肥料として、利用するには、乾燥した粉末、ないし、顆粒、ペレットなどの形態に加工することが好ましいが、このためには、細かく粉砕ないし微粒化する必要がある。上記の廃棄物には、野菜の葉軸、根茎、畜糞中の藁などの相対的に長い繊維質や、硬質の骨質等を含み、また、油脂、脂肪など脂質も含み、これらを乾燥容易で造粒可能程度の形状に破砕し、微粒化する必要がある。しかも、これらの廃棄物は、通常は、多量の水分を含むので、その操作には、液体中に含まれたままで、微細の破砕されることが要求される。
有機物の微粉化についてキャビテーションを利用した先行技術が、下記特許文献1に開示するように、知られている。特許文献1には、箱状の容器内一端側に容器内部に向けて水噴射ノズルを配置し、空気を水ジェット中に巻き込ませて、積極的にキャビテーション泡を作り、反対端部の開口部から排出するタイプで、キャビテーション流により有機物の細胞の破壊、気液分離等をするものであった。
キャビテーションを利用した別の反応装置の例は、特許文献2に示すように、池などの水域中の水中に、高圧水噴射用のノズルとのノズル対向側に凹面を有するターゲット板とを浸漬して固定して、ノズルとターゲットの間で、キャビテーションを伴う高速水ジエットを自己循環的に作り、発生させたキャビテーションにより水中に含まれる有機物の分解や細菌細胞膜の破壊などをさせて、貯水などを長時間かけて浄化しようとするものであった。
特開平11−319819号 特開2001−017988
水噴出装置からの高速水流中においては、キャビテーションと呼ばれる空洞化現象が発生し、細菌細胞に対して強力に剪断や引張、圧縮等の大きな力が働き、生物細胞を切断し微細化することができる。このキャビテーションの破壊能力は、さらには、植物細胞やこれより構成させる植物の硬質組織や繊維を破壊して、上記廃棄物の微粒化に利用することが考えられる。
上記の特許文献1の従来技術は、高速流体の破壊力を使用して細菌細胞など比較的軟質な有機物超微細粒子を破壊するのであるが、高速水流中での瞬時の破砕であって、破壊力の持続性がなく、上記の廃棄物中に含まれる植物組織や動物の硬質部位を含む繊維組織や大きな塊状物においては、破砕効率が低く、実用性がなかった。特に、これら植物繊維や塊状物をジェット流中に効率よく供給することができなかった。また、動物質、特に脂肪成分を含むような廃棄物の処理にあっては、脂肪分が分離して、水中に懸濁してフィルタなどに沈着して装置を詰まらせることが多く、長期にわたり連続的に且つ効率的に運転することは困難であった。
また、容器内での粉砕ないし微粒化処理においては、箱状の容器内にキャビテーションの領域を作って連続的に操業するので、容器を構成する金属材料に対するキャビテーションによる侵蝕ないし腐食とともに、大きな繰り返し衝撃を受けるので、容器その他の部材の材料特性と構造には繰返し疲労破壊を考慮する必要がある。
本発明は、上記問題に鑑み、植物質ないし動物質有機物を含む廃棄物を連続的且つ効率的に微粒化できる装置を提供するものである。
本発明は、特に、脂肪やその他閉塞原因を含むような廃棄物においても装置を阻害することなく、効率的に微粒化することのできる装置を提供するものである。さらに、キャビテーションの衝撃に対して構造的にも機械的にも耐えることのでき、長時間にわたって実施可能な微粒化装置を提供するものである。
本発明の微粒化装置は、円筒状の容器内に略同心状の2つの円筒壁の間に環状流路を設け、水噴出装置を配置して、環状流路に接線方向に水を注入して円周方向の高速水流れの循環を作り、内筒又は外筒の何れかの円筒壁にスロット状ノズルを設けて環状流路内に有機物粒子含有スラリーを高速水流中に供給放散して、高速の水流により有機物粒子を微粒化するものである。
この装置は、環状流路内で高速の回転水流を作り、有機物を含むスラリーを、スロット状ノズルを通じて、供給することにより、スロット状ノズル出口付近での環状流路を循環する高速水流の剪断力と気泡の生成崩壊を伴うキャビテーション現象を利用して、有機物粒子を細かく引裂して、微細化し水中に懸濁させるのである。
この装置は、さらに、環状流路内で、半径方向で外側に速く内側で遅いような速度分布を作り、しかも、下側に対して上側で遅い速度分布を生成して、水流中の速度分布による剪断力によって、上記粒子を破断し、微細化を促進するのである。
高速水流は、水噴出装置から水を環状流路に円筒壁の接線方向に沿って高速で注入することによって連続的に得られ、これにより、高速水流中で、有機物粒子は、連続して剪断破砕されるので、微粒化を効率的にすることができる利点があり、さらに、油脂分を多量に含む有機物であっても、これに起因した閉塞は生じない。
本発明の微粒化装置は、円筒状容器内少なくとも2重にした円筒壁の内の環状流路内で高速水流によりキャビテーションを起こさせるので、装置は構造的に強化されていて、衝撃による装置の破壊ないし損傷に対する強度を高めることができる。さらに、本発明の微粒化装置は、実施の形態で後述のように3重以上の多重円筒壁の構造にして、環状流路の内側と外側の円筒壁層内にも水を充填する構造にすることができて、水の層は、キャビテーションの衝撃を吸収でき、装置構造を強化することができる利点がある。
本発明の微粒化装置は、略同心状に2層以上の円筒壁を有し、隣り合う円筒壁間に環状流路を設けた円筒状容器と、環状流路に接線方向に 加圧水を注入して円周方向の高速水流を作る水噴出装置と、上記隣り合う何れかの円筒壁に配置して有機物粒子含有スラリーを上記高速水流中に供給するスロット状ノズルと、高速水流が流れる上記環状流路に上記スロット状ノズルを介して連通したいずれかの上記環状流路に接続され、有機物粒子含有スラリーを当該微粒化装置に供給するスラリー供給口と、高速水流が流れる上記環状流路に、及び/又は高速水流が流れる上記環状流路に連通すると共に高速水流が流れる該環状流路に対して上記スラリー供給口が接続されていない外側又は内側のいずれかの上記環状流路に接続され、微粒化された粒子を含む水流を排出する排出口と、から構成し、スロット状ノズルから高速水流に供給した該有機物粒子を高速水流により剪断して微粒化するのである。
円筒状容器は、有底容器内に環状流路が形成され、環状流路は、同心状に重ねた2つの円筒壁の間に形成してある。本発明においては、円筒容器は、円筒壁を垂直軸周りに同心状に配置した竪型でも、また円筒壁を水平軸周りにほぼ同心状に配置した横型でよい。円筒容器は、さらに、水平面から傾斜した傾斜軸周りにほぼ同心状に配置した傾斜型にすることもできる。以下の説明では、もっぱら、竪型の微粒化装置での実施形態を説明するが、その内容は、横型にも傾斜型にも適用することができる。
水噴出装置は、先端の吐出口の吐出方向がこの環状流路に開口して円筒壁の接線方向に沿うように配置された水噴出管を有し、水噴出管は、給水ポンプに接続されており、給水ポンプにより加圧された水が、吐出口から高速で環状流路に供給され、環状流路に沿って高速水流を環流させる。
水噴出管の一例は、先端の吐出口に至る管路途中にテーパ部を設けて先細にして、環状流路に吐出するべき水の流速を高めるのが好ましい。例えば、その先に小径の直管部を30cm以上確保して先端を吐出口として噴出水流の吐出速度を高めることができる。
微粒化処理に供される有機物には、上述の如く、有機物、例えば、食品廃棄物や、家庭からの生ごみ類、油粕、おから類等の食品圧搾残滓、屎尿、家畜糞尿等を含むが、これらの有機物廃棄物その他の有機物源は、予め、破砕して、固形物は粉砕し、繊維質は適当な大きさに切断し、このように破砕された有機物源は、後述のように、少なくとも、供給ノズルを通過することのできる大きさにされる。そのため、有機物粒子は、ある程度の大きさないし長さに、例えば、20mm以下、好ましくは、5mm以下に、特に1mm以下にしておき、破砕した有機物源は、全体としてある程度の流動性を確保するのが好ましく、ポンプと配管による給送可能なスラリー状に調製しておく。有機物粒子を含むスラリーは、円筒壁に開設した後述のスロット状ノズルを通して、上記環状流路の高速水流中に供給され、高速水流中で微粒化する。
本発明においては、スロット状ノズルは、環状流路を構成している円筒壁に設けられるが、円筒壁の中心軸の方向に長いスロット状のノズル(以下、竪型円筒容においては、単に、縦スロット状ノズルと言う)が利用できる。スロット状ノズルの形状は、スラリーの供給方向が該壁面に対して概ね垂直になるように、配向されているものが利用できる。
このような有機物粒子を微粒化するには、環状流路中の環流している水の平均速度を、平均8m/s以上とするのが好ましく、特に、10m/s以上とする。流速8m/s未満では、微粒化作用が不充分となる。
上記の水の流速を、滞留時間を確保するために、環状流路の容積に対する水の供給流量が決めることができる。一例として、環状流路の体積100リットルあたり水噴出装置からの供給流量は、17〜35リットル/sの範囲が利用できる。この範囲は、環状流路内での水の平均的な滞留時間3〜6秒が確保でき、この滞留時間は、上記規定の流速の下で、供給ノズルから供給された有機物粒子が高速水流中で微粉砕効果を受けるに必要な時間を確保する点で好ましい。
スロット状ノズル、そのスラリーの供給方向を環状流路中の高速水流に対向するように、配置されてもよい。スロット状ノズル、スラリーの供給方向を高速水流の回転方向と同じ方向に配向するように配置することもできる。
環状流路内の高速水流には、半径方向における流速差及び/又は、回転軸方向(例えば、竪型装置では上下位置方向)における流速差を設けてもよく、有機物粒子を剪断作用により微粒化することもできる。
本発明の装置においては、スロット状ノズルは、環状流路を成す内側の円筒壁に、固定されていてもよく、この場合は、この円筒壁の内側にスラリー供給口を設けてスラリーが供給され、上記の環状流路内には高速水流の一部を排出する排出口を設けて、微粒化した有機物を含む水を排出して回収するようにすることができる。
本発明の別の形態は、上記スロット状ズルを、環状流路を成す外側の円筒壁に設けることができ、上記の筒状容器は、当該外側の円筒壁をさらに囲繞して且つスラリー供給口を設けた最外円筒壁を含む。また、この形態は、環状流路内の高速水流の一部を水噴出装置に戻すための循環路を設けることもでき、高速水流はスラリーからの有機物粒子を含むので、その一部を回収して水噴出装置から環状流路内に戻すことにより、有機物粒子の微細化効果を高めることができる。
本発明は、環状流路を成す内側の円筒壁には回収用のスロットを設けて、内側円筒壁の内部には排出口を接続すると共に、内側円筒壁の内部に上記の循環路を接続する微粒化装置を含む。
本発明の微粒化装置は、さらに、環状流路での水流速度を確保するために、環状流路を成す隣り合う上記の二つの円筒壁の何れか一方を垂直軸廻りに回転可能に軸支して、当該円筒壁を回転させる回転駆動手段に接続し、当該円筒壁の上部には、軸廻りに突出して環状流路の上部水流を回転加速させる羽根を設けることもできる。この駆動手段は、円筒壁下部に軸廻りに設けて高速水流を受けて回転する放射状の羽根を用いることができる。別の回転駆動手段としては、装置に固定した電動モータと、該円筒壁に上記電動モータの回転力を伝動する伝動部材であってもよい。
実施形態1.
本発明の第1の実施形態は、上記スロット状ノズルから有機物含有スラリーを、環状流路の水流の方向に対して略直角方向に供給するものである。このためのスロット状ノズルは、内筒又は外筒の何れかの壁に貫通する縦長のスロット形状とし、スロット状ノズルを通じて、スラリーを環状流路内の高速水流に供給し、高速水流のキャビテーションまたは剪断作用により、スラリーの有機物粒子を微細化するものである。
図1には、この実施形態の一例を示すが、円筒状容器10には、底板16と天板17との間に、環状流路20を構成する内側の円筒壁(以下、内筒とする)23と外側の円筒壁(以下、外筒とする)22とが、同心状に設けられている。外筒22には、底板16近くに水噴出装置3の水噴出管33が備えられ、水噴出管33の絞り部31の先端吐出口30が、外筒の壁の接線方向に配向するように、固定されている。そして、その吐出口30は、外筒22内面に突出するように固定されて開口しており、水噴出管33の他方側には給水源との間に給水ポンプ35が接続されている。作動時には、給水ポンプ35からの水が先端の吐出口30から噴出して、噴出された水が環状流路20内を高速で循環して、高速水流11を形成する。
微粒化すべき有機物はスラリーに調製されているが、スラリー60は、スラリー供給管6のスラリー供給口61から、内筒23内に供給され、環状流路20への供給は、図中、内筒23の壁に上下3個1組の縦長のスロット状ノズル41を、内筒23の周面にいくつかの組で形成した供給スロット状ノズル4を配置している。内筒23内のスラリー60が、供給スロット状ノズル4より環状流路20中の高速水流11に供給され、混合領域12を形成してスラリー中の有機物粒子が高速水流11により剪断とキャビテーションにより破壊されて、いっそう微粒子化される。さらに、環状流路20内を循環する高速水流11に沿っても速度差により剪断作用が生じて、微粒子化が進む。
縦長のスロット状ノズル41は、長手方向(この例では縦方向)の長さは比較的任意であるが、横方向の幅は、スラリーを高速水流11内に高速で吐出させることのできる程度に狭幅として、例えば、5〜25mmの範囲、好ましくは、10〜15mm、一例は、12mmとするのが好ましい、これらスロット状ノズル41のスロットを成す縁部は、適当な丸みを形成して、その丸みにより、ノズルの詰りなどを防止している。スロット状ノズル41から出たスラリーは、環状流路の高速水流11との相互作用について、スロット状ノズル41とその周辺部位12にキャビテーションを生じさせて、水と気泡との強度の撹乱状態作り、この現象により生じる大きな衝撃により、容易に有機物粒子を微小化し、有機物細胞まで破壊することのできる効果が生れる。これにより、通常、1〜10μm程度まで、微細化することができる。
環状流路20の高速水流11は、水噴射管33からの水とスロット状ノズル41からのスラリーを含むが、この高速水流11は、排出管7の出口71とそれに接続された排出管路7を通じて、排出水70として排出される。
排出された排出水70は、適当な脱水装置、固液分離装置などにより微粒子を含む固体と水とを分離し、固体は適当な含水状態で回収される。他方の回収水は、通常は、上記の給水ポンプ35を通じて、水噴出管33により、管状流路20に高速水流11に戻される。
実施形態2.
この実施形態は、竪型の円筒状容器内に設けた環状流路内の高速水流に半径方向における流速差及び/又は上下方向における流速差を設けて、剪断作用により微粒化するようにした微粒化装置を含む。一般に、環状流路内の高速水流は、外筒側で大きく内筒側で小さくなり、水噴射管の吐出口を環状流路内の下底近くに配置すると、環状流路内の高速水流速度は、環状流路の下部で、平均して高く、上部側で、平均して低い(逆に水噴射管を上部側に配置すると、水流速度は逆に上部で速く下部で遅くなる)。このような環状流路内での水流の速度差の分布は、有機物粒子に剪断力を及ぼして細かく粒子を破壊することができる。この実施形態は、この性質を特に利用して、水噴出管を、内筒に対して外筒側に、しかも、下底近くに配置することにより、微粒化装置を構成する。スラリーの供給スロット状ノズルは、内筒、外筒いずれにも配置できるが、好ましくは、外筒側に配置し、大きな水流速度を利用するのが好ましい。
この例の装置を、図2に示すが、円筒状容器10内に底板16と天板17との間に、内筒23と共に環状流路20を形成している外筒22の外側に、さらに外筒(第2の外筒)21を配置して、外筒22(第1の外筒)に、縦長のスロット状ノズル42、42を適宜配置し、第1及び第2の外筒22、21の間の管路に、供給管6を経由して、スラリー60を供給し、上記のスロット状ノズル42、42を通じて、高速水流11中にスラリー60を供給する。
内筒23と第1の外筒22との間の環状流路20の幅は、高速水流11が半径方向の速度差を有するよう大きくなるように、相対的に広幅に、好ましくは、50〜200mmに、例えば、100mmに設定され、スロット状ノズル42は、環状流路20の高速水流の流速の大きくなる外側に供給され、その外筒22に配置されている。
この例は、内筒23の上部に、排出用の縦長の出口72、72を設けて、高速水流の一部11が出口72から落下して内筒23内に貯留され、入口71とそれに接続された排出管7を通じて、排出水70として排出される。
さらに、一般に、環状流路であって、第1の外筒の内面や内筒の外面に、適宜、障害物を配置してもよく、障害物の周辺及び後方にキャビテーションを生じさせ、その部位での有機物粒子の微細化を促進することができる。特に、障害物は、上記筒面に適度の長さで縦長に配置した棒状で、横断面が、矩形、三角形、台形、半円形の形状の部材が利用でき、円周に渡って、任意の間隔で設けるのが好ましい。
図2(A)には、断面三角形で、その一辺を外筒22(第1の外筒)の内面に固定した上下に長い障害物5(あるいは、邪魔板)を筒面円周方向4箇所に設けている。障害物5は、その周辺流域で、高速水流を乱して、キャビテーションを生じさせ、有機物粒子の切断を促進する効果がある。
実施形態3.
スラリーを供給するスロット状ノズルは、そのスラリーの供給方向が高速水流の流れの方向に対して対向するように、配置してもよい。この実施形態は、スロット状ノズルを、その出口が高速水流に向うように配置され、スロット状ノズルから出たスラリーの流れは、高速水流と衝突することになり、衝突の流域で大きな流れの撹乱と共に、キャビテーションが生成し、スラリー中の有機物粒子が微粒化される。このようなスロット状ノズルは、内筒側に形成することもできるが、好ましくは、流速の高い外筒の内面側に縦長に形成するのが好ましい。
この実施形態の例を、図3に示すが、円筒状の容器10の内部に内筒23と第1の外筒22の間に環状流路20を形成し、第1の外筒22に吐出口30を有する水噴出管33を流れの方向が接線方向になるように配置して、環状流路20内に高速水流11を形成している。
スロット状ノズル43は、この例では、縦方向に3段で、円周方向に2個所配置されている。各スロット状ノズル43は、第1の外筒22に表裏に貫通して開設した狭幅の竪溝45と、その内筒内側に、該縦溝45の後部側に一端を固定されて、他端側が前側に折り曲げた形状を有する整流板44を配置してある。整流板44とこれが対面する外筒22内面との隙間をスラリー60が流れて、その先側開口部46から環状流路20に流出して混合領域14を形成すようにされ、これにより、スラリー60は、高速水流11に対向する流れとなって、高速水流11を撹乱させ、大きなキャビテーションの混合領域14を作り、スラリー中に含有の有機物粒子を破壊して微粒化する。
排出においては、高速水流の11の一部が、内筒23上部に設けた 縦長の出口72を通じて、内筒23の内側に排出され、内筒23中の水は、排出水70として排出管路7を通して、排出される。
実施形態4.
本発明の別の実施形態は、高速水流の排出した一部を上記水噴出装置に戻すための循環管路を設けた装置を含む。この装置では、微粒化操作の過程では、高速水流中で微粒化した有機物粒子を含むが、これを排出中に、その一部を水噴出装置に戻すことにより、高速水流中で再度微粒化させて、さらに粒子を微細化して、微粒化効率を高めるものである。この形態では、円筒状容器を多重筒にして、最外の円筒壁から内部のスラリーを、上述のような内筒と外筒とから構成する環状流路を流れる高速水流中に供給し、有機物粒子が微細化された水流の一部は、さらに内側に設けた内筒に供給して、その一部は高圧ポンプに供給して循環させ、他の部分は排出して回収するのである。
この実施形態の例を図4とに示すが、この例は、円筒状容器10内に、第1の外筒22と第1の内筒23との間を高速水流11の環状流路20にし、水噴射装置3の水噴射管33が、この環状流路20内で、第1の外筒22の筒壁に沿って吐出口30を配向し、この例は、第2の外筒21を配置して、供給配管6に接続した供給口6からスラリー60が第1及び第2の外筒22,21の間に供給され、第1の外筒22には、縦スロット状の供給ノズル45を設けている。この例は、整流板47を高速水流11の流れ方向に沿って配置して、供給スロット状ノズル4の下流側で、スラリー60と高速水流11とが混合し、有機物粒子を微粒化する。
この実施例において、第1の内筒23の内側には、さらに、第2の内筒24と第3の内筒25とを同心円状に配置し、これらの内筒23、24、25には、いずれも上部側に、出口72、73、74を開口して、それぞれ、環状流路20内の高速水流11の一部を順次内側に通過させて、第3の内筒25内部にまで供給することができる。さらに、第2の内筒24と第3の内筒25の間には、排出管7bの先端が挿入されて、排出水として排出され、第3の内筒25の内部には、循環用排出管7aの先端が挿入されて、その循環用排出管7aが、給水ポンプ35に接続されている。この構造により、環状流路20で微粒化された有機物を含む水は、一部は、排出水として排出回収され、一部は循環用排出管7aを経て、給水ポンプ35に戻され、再度、水噴射装置3の水噴出管33により、環状流路20に噴射され、高速水流として微粒化処理を受ける。
実施形態5.
次の実施形態は、環状流路を形成する内筒に軸廻りに突出する回転羽根を設けて垂直軸廻りに回転させ、環状流路の上部水流を高速に加速回転させるものである。回転駆動手段として、この回転内筒の下部にも垂直軸廻りに突出する羽根を設けて、水噴出装置からの高速水流により、下側羽根を回転させて、回転内筒を通じてこの回転力により上側回転羽根を回転させ、環状流路の上部水流を加速することができ、上部水流においても、有機物粒子の微細化を促進することができる。
図5には、第1の内筒23を回転内筒23として、その外周上部に上部羽根82と下部には下部羽根81とをそれぞれ、放射状に垂直な翼面を有するように設けている。この例では、回転内筒23は、上部支持板85と、下部支持板85に支持され、上部支持板85と、下部支持板85には、それぞれ軸受87、86を介して、内側の第2の内筒24に回転自在に軸支されており、回転内筒23の軸受87、86廻りの回転により、回転内筒23の羽根が、環状流路20内を回転移動することができる。
この例では、回転内筒23の外周下部に設けた下部羽根81が、水噴出管33の吐出口30と略同じレベルに位置付けてあり、水噴出装置33からの水の噴出とそれに伴なう高速水流11の力により、回転させられて、上記の上部羽根82を回転させ、これによる上部水流を高速に回転させる。スラリーは、第1の外筒22と第2の外筒21と間に供給され、第2の外筒22に縦長スロット状ノズル42を通って、環状流路20に供給され、有機物粒子は、上下に渡って高速化された高速水流により剪断されて微粒化する。有機物を含む水は、第1の内筒である回転内筒23の上部に設けた矩形状の出口72と、第2の内筒24の上部出口72を通過してその内部供給される。この例は、第2の内筒24内に、排出管7bの先端が挿入されて、排出水として排出され、さらに、循環用排出管7aの先端が挿入されて、その循環用排出管7aが、給水ポンプ35に接続されている。これにより、高速水流の一部が、排出水として排出回収され、一部は循環用に、ポンプを経由して再び環状流路20に戻されて、微粒化作用を受ける。
実施形態6.
この実施形態は、水噴出装置の噴出口から高速水流と共に気泡をも循環水流中に吐出しようとするもので、図6に示す例は、図1に示す装置の変形例として、水噴出管33に空気吸込み管36を配置した例である。水噴出管33の絞り部31の先側に拡径管部311を形成して、拡径管部311先端の吐出口30が、外筒22の周壁に沿って配置されている。絞り部31からその拡径管部311に至るテーパ管312には、空気吸込み管36が接続され、空気吸込み管36の先側は、バルブ361を介して、この例では、大気に開放されている。ポンプ35により供給された水は、噴出管33の絞り部31で絞られて同時に加速され、テーパ管312で管路が拡大されて拡径管部311に至り、水が、先端の吐出口30から、環状流路20に吐出される。この際、テーパ管312から拡径管部311を通過する水圧を大気圧に対して負圧にすることができ、空気吸込み管36のバルブ361を開くことにより、大気から吸引して空気を拡径管部311に吸い込み、環状流路20の高速水流11に微細な気泡として供給することができる。空気吸込み管36は、拡径管部311に接続してもよい、バルブ361は、環状流路への空気吸い込み量を調節して、環状流路内の高速水流中の気泡の分布を制御することができる。高速水流中に供給された気泡は、高速水流11を一層攪乱させ、内筒壁に設けた供給スロット状ノズル4から高速水流中に供給されるスラリー中の有機物の微粒化を促進させて、微粒化効率を高めることができる。
上記の各実施形態に共通して、本発明の微粒化装置に供給される有機物含有スラリーは、予め適度に、破砕ないし剪断されて、適当な大きさに調節するのが好ましく、例えば、カッターポンプ、ハンマーポンプなどにより供給過程で破断ないし切断することができる。破砕ないし剪断されたスラリーは、微粒化装置に送る前に適当なフィルタ―ないしスクリーンにより粗大な粒や長い繊維を選別することも行なうこともできる。上記の予備的な破砕ないし剪断後の選別は、特に、長い繊維質を含む植物性廃棄物や畜糞などに適用するのがよい。これにより、有機物の長さないし大きさを30mm以下にしておくのが、後の微粒化装置での効率化の点で、好ましい。
また、本発明の微粒化装置からの排出水は、適当な脱水装置により、濾過されて脱水され、固形分として回収され、その後に用途に応じて、乾燥し、あるいは造粒され、例えば、肥料として供給される。
本発明の実施例に係る有機物粒子の微粒化装置の模式的な横断面図(A)と縦断面図(B)を示す。 本発明の別の実施例に係る有機物粒子の微粒化装置の模式的な横断面図(A)と縦断面図(B)を示す。 本発明のさらに別の実施例に係る有機物粒子の微粒化装置の模式的な横断面図(A)と縦断面図(B)を示す。 本発明のさらに別の実施例に係る有機物粒子の微粒化装置の模式的な横断面図(A)と縦断面図(B)を示す。 本発明の別の実施例に係る有機物粒子の微粒化装置の模式的な横断面図(A)と縦断面図(B)を示す。 本発明の別の実施例に係る有機物粒子の微粒化装置の図1(A)同様図。
符号の説明
10 円筒状の容器
11 高速水流
21 第2の外筒
22 外筒(第1の外筒)
23 内筒(第1の内筒)
24 第2の内筒
3 水噴出装置
30 吐出口
33 水噴出管
35 給水ポンプ
4 供給スロット状ノズル
41 スロット状ノズル
42 スロット状ノズル
47 整流板
6 供給管
60 スラリー
61 スラリー供給口
7 排出管
71 排出口
7a 循環用排出管
7b 排出管


Claims (12)

  1. 有機物粒子含有スラリー中の有機物粒子を微粒化する装置であって、該装置が、
    略同心状に2層以上の円筒壁を有し、隣り合う円筒壁間に環状流路を設けた円筒状容器と、
    環状流路に接線方向に 加圧水を注入して円周方向の高速水流を作る水噴出装置と、
    上記隣り合う何れかの円筒壁に配置して有機物粒子含有スラリーを上記高速水流中に供給するスロット状ノズルと、
    高速水流が流れる上記環状流路に上記スロット状ノズルを介して連通したいずれかの上記環状流路に接続され、有機物粒子含有スラリーを当該微粒化装置に供給するスラリー供給口と、
    高速水流が流れる上記環状流路に、及び/又は高速水流が流れる上記環状流路に連通すると共に高速水流が流れる該環状流路に対して上記スラリー供給口が接続されていない外側又は内側のいずれかの上記環状流路に接続され、微粒化された粒子を含む水流を排出する排出口と、
    を含み、
    高速水流中で該有機物粒子を剪断して微粒化する有機物粒子の微粒化装置。
  2. 上記スロット状ノズルが、当該ノズルを通してスラリーを高速水流中へ供給する方向が高速水流の方向に概ね垂直になるように、配置されている請求項1に記載の微粒化装置。
  3. 上記スロット状ノズルが、当該ノズルを通してスラリーを環状流路中の高速水流中へ供給する方向を高速水流に対向するように、配置されている請求項1に記載の微粒化装置。
  4. 上記スロット状ノズルが、スラリーの供給方向を環状流路中の高速水流と同じ方向に配向するように、配置されている請求項1に記載の微粒化装置。
  5. 環状流路内の高速水流には、半径方向における流速差及び/又は上下位置における流速差を設けて、有機物粒子を剪断作用により微粒化するようにした請求項1ないし4何れかに記載の微粒化装置。
  6. 上記スロット状ズルが環状流路を成す内側の円筒壁に固定されて、該円筒壁の内側にスラリー供給口を設けて、
    上記環状流路に、高速水流の一部を排出する排出口を設けた請求項2ないし5何れかに記載の微粒化装置。
  7. 水噴出装置が、水を加圧供給するための給水ポンプと、該給水ポンプに接続されて、環状流路に先端が開口した吐出口を含む水噴出管と、から成る請求項1ないし6何れかに記載の微粒化装置。
  8. 上記スロット状ズルが環状流路を成す外側の円筒壁に固定されて、
    上記の筒状容器が、当該外側の円筒壁を囲繞し且つスラリー供給口を設けた最外円筒壁を含み、
    環状流路内の高速水流の一部を上記水噴出装置に戻す循環路を設けた請求項1ないし7何れかに記載の微粒化装置。
  9. 環状流路を成す内側円筒壁には回収用のスロットを設けて、内側円筒壁の内部には排出口を接続すると共に、内側円筒壁の内部に上記の循環路が接続されている請求項8に記載の微粒化装置。
  10. 環状流路を成す隣り合う上記の円筒壁の何れか一方は垂直軸廻りに回転可能に軸支されて、当該円筒壁には当該円筒壁を回転させる回転駆動手段を接続し、当該円筒壁の上部には、軸廻りに突出して環状流路の上部水流を回転加速させる羽根が設けられている請求項1ないし9何れかに記載の微粒化装置。
  11. 上記駆動手段が、円筒壁下部に軸廻りに設けて高速水流を受けて回転する放射状の羽根である請求項10に記載の微粒化装置。
  12. 上記回転駆動手段が、装置に固定した電動モータと、該円筒壁に上記電動モータの回転力を伝動する伝動部材を含む請求項10に記載の微粒化装置。
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