JP3817484B2 - 駆動装置,搬送装置及びドアシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動子と固定子からなる駆動装置及びそのような駆動装置を利用したドアシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、リニアモータに代表される直線駆動を利用した駆動装置の需要が増大している。リニアモータは直線駆動が必要とされる分野では回転モータと比較して高速度・高精度位置決めが可能,保守が容易である等の利点を有しており、特に半導体製造装置,工作機械等の分野で需要が高い。しかしこれらの分野にとどまらず、上記の利点を活かしたドアシステム等の他の分野においてもリニアモータの需要が高まっていくことが予想される。
【0003】
リニアモータには様々な方式がある。例えば、特開平10−174418号公報(以下、従来例1と呼ぶ)には、固定子をコイルを巻いた複数のC型鉄心,可動子を永久磁石を複数配置した板状のもので構成し、可動子を固定子鉄心のギャップ間に配置したリニアモータが記載されている。また、特開2001−28875号公報(以下、従来例2と呼ぶ)には、製造の容易化,省スペース化及び電力効率の向上を図るために固定子側に巻くコイルを一本だけとし、固定子には2種類の形状の鉄心を一つおきに同種のものとなるように複数配置したリニアモータが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のリニアモータを長ストローク駆動用途に用いた場合、固定子が長くなり、固定子の自重,加工精度の限界等の原因により固定子に変形が生じる。このような場合に、可動子が移動するときに固定子と可動子が接触し、摩擦抵抗によるロスが生じるため効率が低下する、という課題が生じる。特に固定子の変形が大きい場合には、可動子が固定子とレールとの間隔が狭い箇所を通過できなくなるという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、駆動装置及びドアシステムにおいて、固定子が変形しているときの摩擦抵抗によるロスを低減することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の駆動装置は、第1の支持体により支持される固定子と、第2の支持体により支持される可動子と、前記第2の支持体を可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体とを有することを特徴とするものである。
【0007】
また、上記課題を達成するために、本発明の駆動装置は、上部磁極歯と下部磁極歯を有する第1極性の磁極と、上部磁極歯と下部磁極歯を有する第2極性の磁極とが交互に配置され、コイルが巻かれた可動子と、複数の永久磁石が配置された固定子と、前記固定子を支持する第1の支持体と、前記可動子を支持する第2の支持体と、前記第2の支持体を前記可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状の部材により接続され、前記可動子の移動方向に移動可能に支持され、前記固定子を支持する第4の支持体とを有することを特徴とするものである。
【0008】
また、上記課題を達成するために、本発明の搬送システムは、第1の支持体により支持される固定子と、第2の支持体により支持される可動子と、前記第2の支持体を可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体と、前記可動子に支持される搬送物とを有し、前記第4の支持体は前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状の部材により接続されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記課題を達成するために、本発明のドアシステムは、第1の支持体により支持される固定子と、第2の支持体により支持される可動子と、前記第2の支持体を可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体と、前記可動子に支持されるドアとを有し、前記第4の支持体は前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状の部材により接続されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、上記課題を達成するために、本発明のドアシステムは、上部磁極歯と下部磁極歯を有する第1極性の磁極と、上部磁極歯と下部磁極歯を有する第2極性の磁極とが交互に配置され、コイルが巻かれた可動子と、複数の永久磁石が配置された固定子と、前記固定子を支持する第1の支持体と、前記可動子を支持する第2の支持体と、前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体と、前記第2の支持体を前記可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体とを有し、前記第4の支持体は前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状のものにより接続されることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は比較例の駆動装置の全体図、図2は比較例に用いられる可動子3,固定子6の詳細図である。可動子3,固定子6の向きは図に記した座標軸に示す通りである。図1及び図2において、固定子6はリニアモータの二次側に相当し、第1の支持体30a,30bに固定的に支持されている。固定子6には複数の永久磁石34がN極,S極の向きが交互になるように配置されている。可動子3はリニアモータの一次側(コイルを巻いた磁性体を有する側)に相当し、第2の支持体32を有し、第2の支持体32によってx方向に移動可能に支持されている。第2の支持体32は第3の支持体であるレール33によりx方向に移動できるように支持されている。51は第1の対向部を有するコア、52は第2の対向部を有するコアでありコア51,52は磁性体で構成されている。コア51とコア52には上部と下部の磁極が互い違いになるように構成されている。ここで、コア51の上部磁極歯11aと下部磁極歯21bを第一の対向部と定義し、コア52の下部磁極歯12bと上部磁極歯22aを第2の対向部と定義する。よって、(2n−1)番目のコアは第1の対向部、(2n)番目のコアは第2の対向部になるように固定子を構成する(但し、n=1,2,3,……)。固定子6はコア51の第一の対向部及び第二の対向部に挟持されている。可動子3はコアとコイル4からなり、固定子6は永久磁石,磁性体,非磁性体からなる。また、各対向部の上部磁極歯と下部磁極歯の間に一定のギャップ8を設け、ギャップ8に固定子6を通すと、固定子6が第1の対向部及び第2の対向部に挟持された構造を形成する。可動子3と固定子6の相対的な位置に応じてコイル4に単相の交流電流を流すと、リニアモータ各対向部の上部磁極歯と下部磁極歯の間のギャップ8には磁束が上部と下部の磁極歯間を交番して上下に流れ、可動子3に電磁力による駆動力が発生する。
【0012】
固定子6が図3(a)のように完全に直線的に設置されていれば可動子3はスムーズにx方向に移動できる。しかし実際には、固定子6の自重,加工精度の限界等の原因により、固定子6に変形が生じる。図3(b)は固定子6に変形が生じた例である。このような場合に、固定子6とレール33との間隔が狭い箇所42を可動子3が通過するときに固定子6と可動子3の内側が接触し摩擦抵抗によるロスが生じ効率が低下する。特に、固定子6の変形が大きい場合には可動子3が固定子6とレール33との間隔が狭い箇所42を通過できなくなるという課題がある。以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図中において、同一符号で示す構成要素は、同一物又は相当物である。
【0013】
実施例1
図4は本発明の実施例1の駆動装置の全体図である。上記比較例と違う部分はレール33上に、レールに沿って移動できるように第4の支持体35a,35bが支持されている点である。第4の支持体35a,35bは固定子6を支持部36a,36bにより支持している。これにより、固定子6の変形を抑え、固定子6と可動子3との接触部の摩擦抵抗によるロスを低減できる。第4の支持体35の支持部36は例えば図4(b)に示すように車輪43,軸受部38により構成すると、支持体35a,35bがスムーズに移動できるので摩擦抵抗によるロスをさらに低減できる。
【0014】
また、第4の支持体35a,35bはワイヤ,ピアノ線,ひも,チェーン等のロープ状の部材39b,39cによって第2の支持体32に接続されている。第4の支持体35a,35bは可動子3に接続されていてもかまわない。図5(a)において、可動子3が矢印37の方向に移動した場合には、ロープ状の部材39aが伸びきった後に第4の部材35aは可動子3に引っ張られ、可動子3と一定の距離を保ったまま可動子3と同じ方向に移動する。同様に可動子3が矢印37とは逆の方向に移動した場合には、第4の支持体35bが可動子3と一定の距離を保ち移動する。したがって、第4の支持体35a,35bは可動子3から常に一定の距離内にあるので、可動子3の存在する位置における固定子6の変形を効果的に抑えることができる。これにより、固定子6と可動子3との接触部の摩擦抵抗がさらに低減できる。また、摩擦抵抗の低減により可動子3が移動しやすくなり、可動子3の位置決め精度,応答速度等の制御特性が向上するという効果もある。さらに、可動子3あるいは固定子6の摩擦による損傷が低減され、それらの部品の交換等にともなうメンテナンスの労力が軽減されるという効果もある。
【0015】
また、第4の支持体35a,35bはそれぞれロープ状の部材39a,39bにより第1の支持体30a及び30bに接続されている。ロープ状の部材39a,39bの長さの合計は、固定子6の長さよりも可動子3の長さ以上短くする。このようにすれば、可動子3が37の方向に移動し固定子6の端まで到達しても、可動子3が第1の支持体30bに接触することがないので可動子3の損傷を防ぐことができる。第1の支持体30aに接続されているロープ状の部材39aは第4の支持体35aに接続せずに、第2の支持体32あるいは可動子3に接続してもかまわない。
【0016】
本実施例では第2の支持体32を支持するレール33と第4の支持体35を支持するレール33を同一のものとしたが、別のものとしてもかまわない。
【0017】
また、ロープ状の部材39は可動子3への電力供給線,信号通信線を兼ねてもよい。このようにすると、配線の複雑化を避けることができる。
【0018】
実施例2
図6は本発明の実施例2の駆動装置を示す全体図である。実施例1と違う部分は第4の支持体35を5個としたことである。固定子6を支持する第4の支持体35の数が多いので、固定子6の変形を抑える効果がより大きくなる。
【0019】
実施例3
図7は本発明の実施例3の駆動装置を示す全体図である。実施例1及び2と違う点はレール33を可動子3の側面に配置したことである。第4の支持体35は実施例1と同様の方法により固定子6を支持する。本実施例によれば、スペースの制約によりレール33が可動子3の側面に配置された場合にも、固定子6の変形を抑えることができる。
【0020】
実施例4
図8は本発明の実施例4のドアシステムを示す図である。本実施例はドアシステムに実施例1の駆動装置を利用したものである。図8においてドア40は可動子3に固定的に支持されている。ドア40下部はガイド溝により支持され、ガイド溝とドアの間には摩擦低減部材、例えばローラベアリング等が用いられる。可動子3に駆動力が発生することにより矢印41の方向にドア40が移動し、ドア40が開閉する。固定子6を第4の支持体35によって支持することにより、固定子6の変形を抑えることができ、固定子6と可動子3との接触部における摩擦が低減される。したがって可動子3の移動にともなう摩擦抵抗によるロスが低減されるという効果がある。また、可動子3あるいは固定子6の損傷を低減することができ、部品の交換等の保守にともなう労力を軽減することができるという効果がある。またドア40がスムーズに開閉し、ドアシステムの利用者が利用しやすくなるという効果がある。
【0021】
本発明の技術思想は上記実施例に記載の駆動装置の方式に限らず、例えば可動子3,固定子6に引例1に記載のリニアモータを用いたものや、固定子に凹凸をつけた磁性体あるいは導体板を用いたもの、あるいは固定子をリニアモータの一次側とし、可動子を二次側としたもの等にも適用できる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動装置において固定子の変形によって生じる摩擦抵抗によるロスを低減できる。
【0023】
また、本発明によれば、ドアシステムにおいて固定子の変形によって生じる摩擦抵抗によるロスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例の駆動装置の全体図。
【図2】比較例の駆動装置に用いられるリニアモータの説明図。
【図3】比較例の駆動装置の説明図。
【図4】本発明の実施例1の駆動装置の全体図。
【図5】本発明の実施例1の動作の説明図。
【図6】本発明の実施例2の駆動装置の説明図。
【図7】本発明の実施例3の駆動装置を示す説明図。
【図8】本発明の実施例4のドアシステムの概略図。
【符号の説明】
3…可動子、4…コイル、6…固定子、11a…磁極1の上部磁極歯、12b…磁極1の下部磁極歯、21b…磁極2の下部磁極歯、22a…磁極2の上部磁極歯、30a,30b…第1の支持体、32…第2の支持体、33…レール、
34…永久磁石、35a,35b,35c,35d,35e,35f…第4の支持体、36a,36b…支持部、37…可動子の移動方向、39,39a,39b…ロープ状の部材、40…ドア、41…ドアの移動方向、42…固定子とレールとの間隔が狭い箇所、51…第1の対向部を有するコア、52…第2の対向部を有するコア。
Claims (7)
- 第1の支持体により支持される固定子と、
第2の支持体により支持される可動子と、
前記第2の支持体を可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、
前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体とを有することを特徴とする駆動装置。 - 請求項1の駆動装置において、
前記可動子はコイルを巻いた磁性体を有し、
前記固定子は永久磁石を配置したことを特徴とする駆動装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第1の支持体が前記第4の支持体、前記可動子あるいは前記第2の支持体のいずれかにロープ状の部材により接続されていることを特徴とする駆動装置。 - 上部磁極歯と下部磁極歯を有する第1極性の磁極と、上部磁極歯と下部磁極歯を有する第2極性の磁極とが交互に配置され、コイルが巻かれた可動子と、
複数の永久磁石が配置された固定子と、
前記固定子を支持する第1の支持体と、
前記可動子を支持する第2の支持体と、
前記第2の支持体を前記可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、
前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状の部材により接続され、前記可動子の移動方向に移動可能に支持され、前記固定子を支持する第4の支持体とを有することを特徴とする駆動装置。 - 第1の支持体により支持される固定子と、
第2の支持体により支持される可動子と、
前記第2の支持体を可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、
前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体と、
前記可動子に支持される搬送物とを有し、
前記第4の支持体は前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状の部材により接続されていることを特徴とする搬送システム。 - 第1の支持体により支持される固定子と、
第2の支持体により支持される可動子と、
前記第2の支持体を可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体と、
前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体と、
前記可動子に支持されるドアとを有し、
前記第4の支持体は前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状の部材により接続されていることを特徴とするドアシステム。 - 上部磁極歯と下部磁極歯を有する第1極性の磁極と、上部磁極歯と下部磁極歯を有する第2極性の磁極とが交互に配置され、コイルが巻かれた可動子と、
複数の永久磁石が配置された固定子と、
前記固定子を支持する第1の支持体と、
前記可動子を支持する第2の支持体と、
前記固定子を支持し、前記可動子の移動方向に移動可能に支持される第4の支持体と、
前記第2の支持体を前記可動子の移動方向に移動可能に支持する第3の支持体とを有し、
前記第4の支持体は前記可動子あるいは前記第2の支持体にロープ状のものにより接続されることを特徴とするドアシステム。
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