JP3817367B2 - 回線状態適応型通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回線状態適応型通信方法に係り、特に移動機間で無線回線を用いてデータ伝送を行うのに適した回線状態適応型通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動機間、あるいは移動機と固定局間のデータ通信においては、一般に回線状態が大幅に変動し、また送信電力も制限されている。このために、誤り検出/訂正のための符号化を行い、訂正不能の誤りが検出されたときはそのデータの再送を行う再送方式を用いている。
図5は、従来の移動機間のデータ通信の手順例を示すもので、その個々の手順は以下の(1)〜(5)のようである。
(1)データ送信
送信側は受信局アドレス、送信局アドレス及び送信データを規定の通信速度、例えば2400bpsにて変調し出力する。受信側は、自局アドレスを受信した場合、以降のデータを復調する。
(2)送信側にて送信データがなくなった場合、引き続き送信完了通知を規定通信速度にて出力する。
(3)再送要求
受信側は送信完了通知を認識後、受信データの誤りが存在し、受信側にて訂正不可能な場合、送信側に対し、その文字(バイト)を再送要求する(データ開始位置から何バイト目かを知らせる)。
(4)データ再送
受信側からの再送要求に応じて、送信側は再送を実施する。
(5)完了通知応答
誤りのない受信データが入力できるまで上記(3)、(4)を実施した後、送信完了通知に対する応答を受信側より規定通信速度にて出力する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
データ通信では、回線状態が良好なとき、即ち受信電界が十分高いときとそうでないときでは、使用可能な通信速度が変化する。従って、従来のように通信速度を固定すると、通信不能となる時間率が所定値以下となるようにするために、ある程度回線状態の悪いときに合わせてその通信速度を決定することになる。そうすると、回線状態が良好な時は、もっと高速伝送が可能であってもそれを十分利用できない。
また、固定された通信速度では、通信不能なまでに回線状態が悪化しているときは、データの再送が繰り返されるが、これは回線状態が回復するまでは意味のない動作となってしまうという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、回線状態が良好なときにはそれに見合った通信速度を用いて回線の使用効率を向上させることができ、また、再送時にも回線状態に応じた通信速度を用いて、再送動作をより有効なものにすることができる回線状態適応型通信方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、
無線回線の回線状態に応じてその情報通信速度が異なる複数の変調方法の1つを選択してデータ通信を行う回線状態適応型通信方法であって、
送信側装置が送信要求を行うときには、相手側となる受信側装置のアドレスを最も遅い情報通信速度の変調方式で送出するとともに前記複数の変調方式の各々を用いて所定のパターンの信号を順次送出し、
前記最も遅い情報通信速度の変調方式を受信するように待機していた受信側装置が自装置のアドレスを受信すると、続けて送られてくる前記所定のパターンを各変調方式に応じた復調方式で復調したのちその各々の誤り率を検出し、その検出した誤り率が予め定められた規定値以下の変調方式の内で最も早い情報通信速度を有する変調方式を選択し、該選択した変調方式でもってその変調方式を示す変調方式パターンを含む回線応答を前記送信側装置へ送信し、
該送信側装置は、前記回線応答を受信するとそのとき送られてきた変調方式パターンの示す変調方式で前記受信側装置へのデータ通信を行うことを特徴とする回線状態適応型通信方法を提供する。
【0006】
また、本発明は、
無線回線の回線状態に応じてその情報通信速度が異なる複数の変調方法の1つを選択してデータ通信を行う回線状態適応型通信方法であって、
送信側装置が送信要求を行うときには、相手側となる受信側装置のアドレスを最も遅い情報通信速度の変調方式で送出するとともに前記複数の変調方式の各々を用いて所定のパターンの信号を順次送出し、
前記最も遅い情報通信速度の変調方式を受信するように待機していた受信側装置が自装置のアドレスを受信すると、続けて送られてくる前記所定のパターンを各変調方式に応じた復調方式で復調したのちその各々の誤り率を検出し、その検出した誤り率が予め定められた規定値以下の変調方式の内で最も早い情報通信速度を有する変調方式を選択し、該選択した変調方式でもってその変調方式を示す変調方式パターンとチェックパターンを含む回線応答を前記送信側装置へ送信し、
該送信側装置は、前記回線応答を受信するとその中の前記チェックパターンについて誤り率を検出し、その検出した誤り率が所定値以下の時はそのとき送られてきた変調方式パターンの示す変調方式で、検出した誤り率が所定値を越えているときは前記変調方式パターンの示す変調方式よりも1つ遅い情報通信速度の変調方式があればその変調方式で前記受信側装置へのデータ通信を行うことを特徴とする回線状態適応型通信方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、
前記データ送信完了後に誤り率訂正不可能な誤りが前記受信側装置で検出されたときには、前記受信側装置は最も遅い変調方式でもって再送要求とチェックパターンを送信側装置へ送信し、
前記データ送信完了後に最も遅い変調方式を受信するように待機していた送信側装置が前記再送要求を受信すると、前記データ通信を行ったときより1つ遅い情報通信速度の変調方式があればその変調方式でもって該当するデータの再送を行うことを特徴とする回線状態適応型通信方法を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、
前記複数の変調方式が、同一シンボルレートを有する16QAM方式、QPSK方式、及びBPSK方式であることを特徴とする回線状態適応型通信方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明になる回線状態適応型通信方法を具備したシステムの構成例を示すブロック図で、2つの移動機100、200が示されている。これら各移動機の構成は同じであるが、その一方の移動機100を送信側、他方の移動機200を受信側として以下では説明する。この各移動機は送信データ蓄積回路11、21、アドレス管理回路12、22、変調回路13、23、復調回路14、24、及び誤り検出回路15、25から成っている。
【0010】
変調回路13、23と復調回路14、24は、複数の変調方式の変調と復調がサポート可能なものとする。ここでは図2に示したようにBPSK、QPSK、及び16QAMの3つの変調方式がサポートされているとする。これらの変調方式は、いずれもシンボルレートは同一であって、1秒に1200シンボルが送信されるが、その変調の多値数が異なっているので、情報伝送速度(ビットレート)でみると1200bps、2400bps、及び4800bpsとなる。そして、同一受信C/Nに対する誤り率特性は、ビットレートが大きい程大きくなることはよく知られている。
【0011】
図3は、図1に示した回線状態適応型通信システムにおけるデータ通信の手順を示すもので、以下の(1)〜(7)の手順から成っている。
(1)送信要求出力
送信データが移動機100に入力された場合、送信データ蓄積回路11は1つ分の送信データを蓄積し、アドレス管理回路12に送信を促す。アドレス管理回路12が送信データを送りたい相手局のアドレス(受信アドレス)と自局のアドレス(送信アドレス)とを変調回路13へ出力すると、変調回路13は、アドレス管理回路12からのアドレスをビットレートが一番遅い変調方式(本システムの場合BPSK:1200bps)にて変調し出力する。また引き続き回線状態確認用として各変調方式における固定パターンを一定時間ずつ出力する。即ち16QAM:4800bps、QPSK:2400bps、BPSK:1200bpsの順番に各変調方式に対する既知の固定パターンを出力する。
受信側の移動機200の復調回路24は、一番遅い変調方式で受信待機しており、変調入力があった場合それを復調し、アドレス管理回路22へ出力する。アドレス管理回路22は、自局に対応する受信アドレスを入力した場合、アドレス確認通知を復調回路24へ出力し、また次に入力される送信アドレスを記憶する。復調回路24は、それ以降の復調を各変調方式ごとに一定時間行い、その復調出力を誤り検出回路25へ出力する。誤り検出回路25ではエラーがシステム規定値より少なく、かつなるべく高速な変調方式を選択する。
【0012】
(2)回線応答
受信側移動機200の変調回路23は、受信信号に含まれていた送信アドレスをアドレス管理回路22から受け取り、これを受信アドレスとして、また自局のアドレスを送信アドレスとして、さらにチェックパターンを付加して送信側へ送信する。この時手順(1)で誤り検出回路25により選択された変調方式で送信する。さらにどの変調方式で送信しているかを送受側移動機100へ知らせるために、変調方式ごとに定めた変調方式パターンを受信アドレス及び送信アドレスに先立って送信する。
【0013】
図4は、この変調方式パターンの例を示すための説明図で、各変調方式ごとに丸印で囲んだ符号が順次繰り返し送信される。これを受信する送信側移動機100の復調回路14は、まず16QAM方式として復調動作を行うと、BPSKのときの“0”、“1”はそれぞれ“0000”、“1100”と受信され、QPSKのときの“01”、“10”はそれぞれ“0100”、“1000”と受信され、16QAMのときの“0010”、“0101”、“1110”、“1001”はそのまま受信される。従ってBPSKのとは“0”、“1”を交互に、QPSKのときは“01”、“10”を交互に、16QAMのときは4つのパターンを順次送るとすると、復調回路14で16QAMとして復調されるパターンは次のようになる;
BPSK :0000 1100 0000 1100・・・
QPSK :0100 1000 0100 1000・・・
16QAM:0010 0101 1110 1001・・・
従ってこのパターンを適当な長さにわたって最初に送信すれば、どの変調方式が選択されたかを移動機100で知ることができる。むろんここで述べたパターンは種々のものが使用可能である。
【0014】
(3)データ送信
送信側移動機100の復調回路14では、上記のようにして変調方式パターンを受信し変調方式を判定すると、その変調方式に対する復調動作により続く受信アドレスと送信アドレスを復調し、受信アドレスが自局あてのものであることを確認すると相手局アドレスとしての送信アドレスをアドレス管理回路へ出力する。そしてチェックパターンを復調し、誤り検出回路15へ送る。誤り検出回路15では入力されたチェックパターンの誤り率を調べ、その誤り率が所定値以下ならば変調方式パターン対応の変調方式を選択し、所定値以上ならば変調方式パターン対応のものより1つ遅いビットレートの変調方式(BPSKのときはそのまま)を選択する。そしてこの選択した変調方式によりデータ送信を行う。但しこのデータ送信時の変調方式を受信側移動機200の側へ知らせるために、データに先立って変調方式パターンを送信するものとする。また、送受アドレスを付加することも送信要求時と同様である。
このように、回線状態に応じて誤り率が規定値を越え、かつなるべく早いビットレートの変調方式でデータ伝送が行えるので、回線状態の変動の激しい無線回線を有効に利用することができる。なお、簡単のため、チェックパターンの送信、その誤り率に応じた変調方式の選択はなくした方法も可能である。
【0015】
(4)送信完了通知
送信側移動機100にて送信データがなくなった場合、引き続き送信完了通知をビットレートの一番遅い変調方式にて変調し出力する。このときも送受アドレスを付加することはいうまでもない。
【0016】
(5)再送要求
受信側移動機200は送信完了通知を認識後、誤り検出回路25にて受信データの誤り検出を行い、受信側にて訂正不可能な誤りがあると、送信側に対してその文字(バイト)を再送要求する。これは、データ開始位置から何バイト目が必要かを知らせることであり、この情報が誤っていると送信手順が混乱する恐れがあるので、ビットレートが最小の変調方式を用いるものとする。
【0017】
(6)データ再送
送信側移動機100では、受信側からの再送希望内容に応じて、送信データ蓄積回路11から必要なデータを受け取り、これを送信する。この時の変調方式は、前回にデータ送信を行ったときのビットレートより1つ遅いものを用い、データ再送が繰り返される回数を抑制するようにする。但しBPSKの場合はそのままの方式で繰り返す。
【0018】
(7)完了通知応答
誤りのない受信データが入力できるまで上記(5)、(6)を実施した後、送信完了通知に対する応答を受信側より規定通信系の一番遅い変調方式にて変調し出力する。なお、(5)以降の各手順においても、送信、受信アドレスをもとに送信して相手の識別を行うことはいうまでもない。
【0019】
以上、変調方式としてはBPSK、QPSK、及び16QAM方式を例に説明したが、これは別の方式を用いても本発明を実現できることが明らかである。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、回線状態がよいときにはより多くの情報を送信でき、またデータ再送時には伝送速度を落とすことによって無駄な再送の繰り返しを抑止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる回線状態適応型通信方法を具備したシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のシステムで用いる変調方式の説明図である。
【図3】図1のシステムにおけるデータ伝送手順を示す図である。
【図4】変調方式パターンの例を示す図である。
【図5】従来のデータ通信手順の例を示す図である。
【符号の説明】
11、21 送信データ蓄積回路
12、22 アドレス管理回路
13、23 変調回路
14、24 復調回路
15、25 誤り検出回路
100 送信側移動機
200 受信側移動機
Claims (4)
- 無線回線の回線状態に応じてその情報通信速度が異なる複数の変調方法の1つを選択してデータ通信を行う回線状態適応型通信方法であって、
送信側装置が送信要求を行うときには、相手側となる受信側装置のアドレスを最も遅い情報通信速度の変調方式で送出するとともに前記複数の変調方式の各々を用いて所定のパターンの信号を順次送出し、
前記最も遅い情報通信速度の変調方式を受信するように待機していた受信側装置が自装置のアドレスを受信すると、続けて送られてくる前記所定のパターンを各変調方式に応じた復調方式で復調したのちその各々の誤り率を検出し、その検出した誤り率が予め定められた規定値以下の変調方式の内で最も早い情報通信速度を有する変調方式を選択し、該選択した変調方式でもってその変調方式を示す変調方式パターンを含む回線応答を前記送信側装置へ送信し、
該送信側装置は、前記回線応答を受信するとそのとき送られてきた変調方式パターンの示す変調方式で前記受信側装置へのデータ通信を行うことを特徴とする回線状態適応型通信方法。 - 無線回線の回線状態に応じてその情報通信速度が異なる複数の変調方法の1つを選択してデータ通信を行う回線状態適応型通信方法であって、
送信側装置が送信要求を行うときには、相手側となる受信側装置のアドレスを最も遅い情報通信速度の変調方式で送出するとともに前記複数の変調方式の各々を用いて所定のパターンの信号を順次送出し、
前記最も遅い情報通信速度の変調方式を受信するように待機していた受信側装置が自装置のアドレスを受信すると、続けて送られてくる前記所定のパターンを各変調方式に応じた復調方式で復調したのちその各々の誤り率を検出し、その検出した誤り率が予め定められた規定値以下の変調方式の内で最も早い情報通信速度を有する変調方式を選択し、該選択した変調方式でもってその変調方式を示す変調方式パターンとチェックパターンを含む回線応答を前記送信側装置へ送信し、
該送信側装置は、前記回線応答を受信するとその中の前記チェックパターンについて誤り率を検出し、その検出した誤り率が所定値以下の時はそのとき送られてきた変調方式パターンの示す変調方式で、検出した誤り率が所定値を越えているときは前記変調方式パターンの示す変調方式よりも1つ遅い情報通信速度の変調方式があればその変調方式で前記受信側装置へのデータ通信を行うことを特徴とする回線状態適応型通信方法。 - 前記データ送信完了後に誤り率訂正不可能な誤りが前記受信側装置で検出されたときには、前記受信側装置は最も遅い変調方式でもって再送要求とチェックパターンを送信側装置へ送信し、
前記データ送信完了後に最も遅い変調方式を受信するように待機していた送信側装置が前記再送要求を受信すると、前記データ通信を行ったときより1つ遅い情報通信速度の変調方式があればその変調方式でもって該当するデータの再送を行うことを特徴とする請求項1または2記載の回線状態適応型通信方法。 - 前記複数の変調方式は同一シンボルレートを有する16QAM方式、QPSK方式、及びBPSK方式であることを特徴とする請求項1〜3の内の1つに記載の回線状態適応型通信方法。
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