JP3815940B2 - 平版印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする平版印刷版、特に銀錯塩拡散転写法を用いる平版印刷版に関すものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディフュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの2方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57-158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48-30562号、同51-15765号、特開昭51-111103号、同52-150105号などの各公報に詳しく記載されている。
【0004】
紙を支持体とした平版印刷版は、印刷中の版伸びや水分のしみ込みなどのため耐刷性を含め高品質の印刷は困難である。これらの問題点を改良し印刷性能を向上する目的でフィルム支持体が用いられる。例えば、酢酸セルロースフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、或はポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレンフィルムなどをポリエチレンフィルムで被覆した複合フィルム等が支持体として利用できる。
【0005】
しかしながら、フィルムを支持体とした平版印刷版は紙ベースの印刷版と比べ、版伸び性や水分のしみ込みなどの点で改良されたものの、耐刷性、保水性、更には印刷機への版掛け性等の点で問題を残している。
【0006】
そこで、上に述べた紙やフィルムを支持体とした平版印刷版の種々の問題点を解決するために、金属特にアルミニウム板を支持体とした銀塩方式の平版印刷版が知られており、特開昭57-118244号、同57-158844号、同63-260491号、特開平3-116151号、同4-282295号などの各公報に詳しく記載されている。
【0007】
これら各公報では平版印刷版に印刷適性を与えるため、表面を粗面化している。この粗面化の方法としては機械的に粗面化する方法や、電気的に粗面化する方法、さらに特開昭54−63902にあるようにそれらを組み合わせて用いる方法が知られている。この中で機械的に粗面化するだけでは、印刷版として保水性に欠け、また、電気的に粗面化するだけでは、コストがかかるため、従来のPS版ではこれら2つを併用することが多く用いられていた。
【0008】
ところが、銀塩方式の平版印刷版に於いては非常に粘度の低い物理現像核層を最初に塗布するために、機械研磨で生成されるピットの巨大なものが塗布故障の原因となり、これがために損版率が大きくなる原因となっている。塗布故障を減らすために核に増粘剤を入れることもできるが、この場合には画像部の耐刷力が落ちることがあり、この方法も限界があった。低コストのプレートを製造するためには電解研磨法のみでは限界があり、安価で高性能な機械粗面化と電解粗面化法を組み合わせたベースを使ってなおかつ、物理現像核層での塗布故障の少ないプレートを製造する方法が熱望されていた。
【0009】
一方、特開平10−301291には物理現像核層に硝酸イオンを含有させることが開示されているが、ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層が塗布された平版印刷版についての記載であり、本発明の平版印刷版とは構成が全く異なり、また、本発明のアルミニウム支持体に由来する課題も示されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は物理現像核層での塗布故障の少ない、特に機械粗面化法で粗面化されたベースを使った平版印刷版を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、粗面化され、陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核層を有する平版印刷版において、前記物理現像核層が硝酸イオン、または亜硝酸イオンを0.05mmol/m 2 以上含有すること特徴とする平版印刷版を用いることによって達成された。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の物理現像核層は硝酸イオンまたは亜硝酸イオンを含有する。
【0013】
本発明において、物理現像核層に、硝酸イオンもしくは亜硝酸イオンを含有させる量は0.05mmol/m2以上が好ましく、0.5 〜5mmol/m2の範囲がより好ましい。
【0014】
本発明において、硝酸イオン、亜硝酸イオンは硝酸塩及亜硝酸塩として含有させることができる。硝酸塩としては例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸リチウムなどがあり、亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カルシウムなど公知の塩類を用いることができるが、陽イオンにはアルミとの反応を防ぐために標準電極電位がアルミニウムより小さい金属イオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどを選ぶことが好ましい。これらは、単独もしくは混合して用いることができる。
【0015】
本発明で用いるアルミニウム支持体にはアルミニウム純度が93重量%以上、好ましくは99重量%以下の純度のアルミニウム支持体を使用する。アルミニウム不純物としては鉄、ケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、ビスマス、鉛、ジルコニウム、ニッケルなど通常アルミニウム合金として用いられている元素が使用できる。また、特に好ましいアルミ合金としては1050、1100、3003などが挙げられる。
【0016】
本発明で用いられるアルミニウム支持体は公知の方法で圧延される。すなわち、アルミニウムのインゴットを溶解保持してスラブを鋳造し、スラブ表面の不純物組織部分を面削機にかけて3〜10mmずつ切削する面切削工程を経た後、均熱炉において480〜540℃、6〜12時間保持する均熱化処理工程を行い、しかる後に熱間圧延で5〜40mmの厚みに圧延した後、室温で所定の厚みに冷間圧延を行う。またその後組織の均一化のために焼鈍を行い圧延組織等を均質化した後、規定の厚みに冷間圧延を行い、平坦度の良い板にするため矯正する。支持体の厚さは通常約0.13〜0.50mmの範囲である。
【0017】
本発明に用いられる支持体には、この技術分野において通常使用されている脱脂処理、粗面化処理及び陽極酸化処理等が施されるが、少なくとも粗面化処理及び陽極酸化処理がこの順で行なわれた支持体を用いる。
【0018】
本発明で用いるアルミニウム板は表面から脂肪性物質を除去するために脱脂処理を行う。脱脂処理としてはトリクレン、シンナー等の溶剤脱脂、界面活性剤、ケロシン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウムを混ぜたエマルジョン脱脂、酸脱脂、アルカリ脱脂などがある。
【0019】
本発明で用いるアルミニウム板は感光層との密着性を良好にし、かつ保水性を改善するために粗面化処理をされる。粗面化処理の方法としては機械的処理、化学的処理、電気化学的処理があり、これらを単独もしくは組み合わせて処理を行うが、特にコスト的に機械研磨を組み合わせることが好ましい。表面の形状は一般に粗さ計により表されるが、その大きさは中心線平均粗さ;Raの値で0.3〜1.0μmが適当である。
【0020】
機械的粗面化処理としてボールグレイン法、ナイロンブラシ法、バフ研磨法、ブラスト研磨法等を用いることができる。また化学的粗面化には塩化物、フッ化物等で化学的にアルミニウムを溶解する方法がある。
【0021】
電気化学的粗面化処理方法は他の方法に比較して電解液組成及び電解条件によって、砂目の形状及び表面粗さを微妙にコントロールすることが可能なのでこの方法を用いることが好ましい。電気化学的粗面化処理は直流、交流または両者の組み合わせで行うことができる。交流波としては単相又は3相の商業用交流あるいはこれらを含めた10〜300Hzの範囲の正弦波、矩形波、台形波等がある。
【0022】
アルミニウム板に供給される電力は電解液の組成、温度、電極間距離等により変わるが、印刷版として適切な砂目を得るためには、一般に電圧では1〜60A/dm2、電気量では50〜4000Cの範囲で使われる。また電極とアルミニウム板との距離は1〜10cmの範囲が好ましい。
【0023】
電解液としては硝酸あるいはその塩、塩酸あるいはその塩、あるいはそれらの1種または2種以上の混合物の水溶液が使用できる。更に必要に応じて硫酸、リン酸、クロム酸、硼酸、有機酸、あるいはそれらの塩、アンモニウム塩、アミン類、界面活性剤、その他の腐食防止剤、腐食促進剤、安定化剤を加えて使用することもできる。
【0024】
電解液の濃度としては上記の酸類の濃度が0.1〜10%であり、電解液中のアルミニウムイオンの濃度を0〜10g/Lの範囲に維持したものが好ましい。電解液の温度は0〜60℃が好ましい。
【0025】
本発明においてデスマットとは粗面化と陽極酸化の間に行う化学エッチング工程のことを指す。デスマットには酸あるいはアルカリを用いて行うことができるが酸処理が好ましい。酸には、硝酸、リン酸、クロム酸、硫酸、塩酸、フッ酸などを単独、あるいは数種混合して用いることができる。アルカリデスマットには水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、第三リン酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、珪酸ナトリウムなどを単独、もしくは数種混合して用いることができる。またそのデスマット液の濃度、処理時間はスマットを完全に除去できるだけの濃度が必要である。スマットの発生量はその前段階の粗面化の処理方法に依存しているので、必要なデスマットの程度は粗面化の方法に依存する。しかしスマットの除去の程度は走査型顕微鏡で容易に観察できるので、これで処理したアルミの表面を観測することでスマットが完全に除去されるデスマットの程度を容易に決定することができる。実際には廃液の処理の関係もあり、酸あるいはアルカリの合計で5〜40%程度で、その処理時間は30秒〜2分が好ましい。処理温度は40〜60℃が好ましい。
【0026】
本発明においてデスマット工程は2回以上に分けることも可能である。この場合酸デスマットとアルカリデスマットとを組み合わせることも可能であるが、アルカリデスマットを先にするほうが好ましい。
【0027】
このような粗面化処理、デスマット処理を行った後、陽極酸化処理が施される。陽極酸化の電解液には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸または有機酸(例えばスルファミン酸、ベンゼンスルホン酸など)またはそれらの混合物が好ましく、また特に生成酸化膜の溶解性の低い酸が好ましい。
【0028】
陽極酸化膜は陽極にのみ生成するので電流は通常直流電流が使用される。陽極酸化の条件としては液濃度1〜40%、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜100Vの範囲で使用される。陽極酸化膜の厚みは電流密度と時間により変えられ、印刷版の耐刷グレードによって適宜調整されるが、3g/m2以下、好ましくは2.8g/m2〜1g/m2、更に好ましくは好ましくは2.3g/m2〜1g/m2必要となる。温度は陽極酸化膜の硬度に影響を与え、低温では硬度は高くなるが、可撓性に劣るため通常は常温付近の温度で処理される。これら作成した陽極酸化膜の量はJIS H86807「皮膜質量法」に基づいて測定できる。
【0029】
また、陽極酸化処理を行なった後、必要に応じて後処理を行うことも出来る。後処理としては当該業者に知られた方法、例えば珪酸塩処理、弗化ジルコン酸処理などの無機塩類での後処理、アラビアガム、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸等の有機高分子処理、水和封孔処理などがある。
【0030】
本発明では物理現像銀の析出量を増すためにアルミニウム支持体と感光性ハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核層を設ける。本発明で用いられる物理現像核層の物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることもできる。これらの詳細及び製法については、例えば、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディフュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0031】
本発明の印刷版の感光性ハロゲン化銀乳剤層には保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることができる。即ち、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、グラフト化ゼラチン等各種ゼラチンを用いることが出来る他、ポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有させることが出来る。用いられる親水性コロイドとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、好ましくは、物理現像後の親水性コロイド層の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0032】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀乳剤の種類としては、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択される。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することが出来る。
【0033】
本発明においてハロゲン化銀乳剤層にはベンゾトリアゾールもしくはその誘導体、メルカプト基もしくはチオン基を有する含窒素複素環化合物を含有させることもできる。その量は1〜100mg/m2、好ましくは5〜30mg/m2である。
【0034】
ベンゾトリアゾール誘導体としては5−メチルベンゾトリアゾール、5−クロルベンゾトリアゾール等が挙げられる。またメルカプト基もしくはチオン基を有する含窒素複素環化合物の複素環としてはイミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリドン、トリゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等があり、中でもイミダゾール、トリアゾール、テトラゾールが好ましい。
【0035】
メルカプト基もしくはチオン基を有する含窒素複素環化合物の具体例を以下に挙げる。2−メルカプト−4−フェンルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1エチル−2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2メルカプト−ベンズイミダゾール、1,3ジエチル−ベンズイミダゾリン−2−チオン、1,3ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2,2−ジメルカプト−1,1’−デカメチレン−ジイミダゾリン−2−チオン、2メルカプト−4−フェニルチアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−メルカプトナフトチアゾール、3−エチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリドン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−5−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−5−ペンタデシル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−フェニル1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、2−メルカプト−5−ニトロピリジン、1−メチル−キノリン−2(1H)−チオン、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニルピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラッジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル1,3,5トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン、1,5−ジメルカプト−3,7−ジフェニル−S−トリアゾリノ[1,2−a]−S−トリアゾリン等が挙げられる。
【0036】
本発明で用いられる現像液には、現像主薬、例えばポリヒドロキシベンゼン類、3-ピラゾリジノン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセスロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物等の添加剤等を含ませることが出来る。
【0037】
現像液のpHとして通常約10〜14、好ましくは約12〜14であるが、使用する平版印刷版のアルミニウム支持体の前処理(例えば陽極酸化)条件、写真要素、所望の像、現像液中の各種化合物の種類及び量、現像条件等によって異なる。
【0038】
ゼラチン層を除去するためのウォッシュオフは、温度20〜30℃程度の流水で洗い流すことによって行なうことが出来る。
【0039】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお%は断りのないかぎり重量%を示す。
【0040】
実施例1
表1にあるようなアルミニウム板(材質1050)を4%水酸化ナトリウム水溶液で50℃1分脱脂処理を行い、水洗した後、400メッシュのパミストン懸濁液を用い、回転ナイロンブラシで研磨し、2.5%の塩酸水溶液中20℃で交流密度50A/dm2で60秒電解粗面化処理を行い、20%リン酸で50℃1分間デスマット処理した。その後25%硫酸溶液中で温度20℃電気密度3A/dm2、処理時間45秒で陽極酸化処理した。
【0041】
作製したアルミ支持体上に塗布量が3mg/m2となるよう物理現像核として硫化パラジウム核を、更に表1にあるよう硝酸塩、亜硝酸塩を含むよう核液を作成し塗布した。
【0042】
【表1】
【0043】
ヨウ素を0.5%含む塩化銀乳剤(平均粒径0.3μm)を金硫黄増感しまた赤色に色素増感した。つぎに作成したプレートにこの乳剤を塗布量が硝酸銀で2.0g/m2となるよう塗布乾燥し感光性平版印刷版を作成した。
【0044】
このようにして得られた平版印刷版に光源が赤色半導体レーザーであるイメージセッターSDP-α2400(三菱製紙社製)で2400dpi、175lpiで像露光及び全面網露光を行い、次に製版用プロセッサー(三菱製紙社製P-α880)で処理時間を変えて処理して平版印刷版を作製した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(22℃)、水洗処理工程(35℃の水洗水をシャワー噴射しながらスクラブローラーで乳剤層をウォッシュオフする)、仕上げ処理工程(21℃、シャワー)及び乾燥工程から構成されている。水洗処理工程は貯蔵タンクに貯留された20Lの水洗水をポンプで循環させて、平版印刷版にシャワー噴射した後、濾過フィルターで濾過して貯留タンクに回収し再使用するクローズドタイプとなっている。
【0045】
用いた現像液、水洗液、仕上げ液の構成は次の通りである。
<現像液>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 6g
エチレンジアミン4酢酸ナトリウム塩 5g
脱イオン水で1000mLとする。
pH(25℃)=13.4
【0046】
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL-15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
【0047】
この様にして作成した平版印刷板を、印刷機スプリント226(コモリコーポレーション)で印刷した。
【0048】
表2に印刷結果を示す。耐刷力は網点や細線にかけができたりした枚数を表わす。また、全面網に発生した異常点が3.7m2中にいくつ発生するか数え、平均1m2中に発生する個数も表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
表2より硝酸塩、亜硝酸塩を用いることで印刷性に影響なく、塗布故障を減らすことができることが判る。
【0051】
【発明の効果】
粗面化され、陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核層を有する平版印刷版において、前記物理現像核層が硝酸イオン、または亜硝酸イオンを含有することを特徴とする平版印刷版を用いることで塗布故障の少ない平版印刷版を得ることができる。
Claims (1)
- 粗面化され、陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核層を有する平版印刷版において、前記物理現像核層が硝酸イオン、または亜硝酸イオンを0.05mmol/m 2 以上含有することを特徴とする平版印刷版。
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