JP3815794B2 - リン酸カルシウムトランスフェクション法 - Google Patents

リン酸カルシウムトランスフェクション法 Download PDF

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Description

発明の属する分野
本発明は核酸トランスフェクションの分野、より詳細にはリン酸カルシウム共沈殿法による真核細胞の核酸トランスフェクション法に関する。
背景および関連技術分野の説明
真核宿主細胞に外来DNAを導入する能力は、組換えDNA技術の本質的手段の1つである。真核宿主細胞の外来DNAによるトランスフェクション法は大きく以下の4つのカテゴリーに分けることができる。(1)マイクロインジェクションまたは微細粒子衝撃法によるクローン化DNAの直接導入、(2)ウイルスベクターの使用、(3)キャリアー系へのカプセル化、および(4)リン酸カルシウムやジエチルアミノエチル(DEAE)−デキストランのような促進剤の使用。DNAトランスフェクションの促進剤として使用される試薬のうち、リン酸カルシウムはその単純さと種々の細胞タイプ全般に対して効果があることから依然として最も広く用いられている。
リン酸カルシウムトランスフェクション法の最初のプロトコールはGrahamおよびvan der Ebの、Virology, 52:456-467(1973)に記載された。この方法はWiglerら(Proc. Natl. Acad. Sci., 76:1373-1376(1979))およびChenとOkayama(Mol. Cell. Biol., 7:2745-2752(1987))によって改良された。それにも関わらず、最初のおよび改良されたプロトコールでは、一過性または安定なDNAの伝達に適合した実験においてトランスフェクション効率と発現が比較的低い。したがって、リン酸カルシウムトランスフェクション法の改良が依然として求められている。さらに、浮遊培養、特に大規模な浮遊培養の領域において、リン酸カルシウムトランスフェクション法が求められている。
本目的および他の目的は当業者に明らかであろう。
発明の要約
本発明は、Ca2+、PO4 3-、および所望の核酸を混合して沈殿混合物を形成させ、該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させて該粒子を平均直径約300nmまでに成長させ、次いで以下の工程からなる群から選ばれる工程を実施することを含む。真核宿主細胞に所望の核酸を導入する方法を提供するものである。(1)沈殿混合物を希釈すると同時に該沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度でさらに成長することができるトランスフェクション混合物を形成させる、および(2)該沈殿混合物を希釈して希釈された沈殿混合物を形成させ、次いで該希釈沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度でさらに成長することができるトランスフェクション混合物を形成させ、そして該トランスフェクション混合物をインキュベーションすることにより該粒子を該真核宿主細胞に取り込ませ、トランスフェクトされた細胞を形成させる。
さらに、本発明は、Ca2+、PO4 3-、および所望の核酸を混合して沈殿混合物を形成させ、該沈殿混合物を、約60秒間までインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む沈殿物を形成させ、次いで以下の工程からなる群から選ばれる工程を実施することを含む、真核宿主細胞に所望の核酸を導入する方法を提供するものである。(1)沈殿混合物を希釈すると同時に該沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度でさらに成長することができるトランスフェクション混合物を形成させる、および(2)該沈殿混合物を希釈して希釈された沈殿混合物を形成させ、次いで該希釈沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度でさらに成長することができるトランスフェクション混合物を形成させ、そして該トランスフェクション混合物をインキュベーションすることにより該粒子を該真核宿主細胞に取り込ませ、トランスフェクトされた細胞を形成させる。
本発明は、Ca2+、PO4 3-、および所望の核酸を混合して沈殿混合物を形成させ、該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させて該粒子を平均直径約300nmまでに成長させ、次いで以下の工程からなる群から選ばれる工程を実施することを含む、浮遊液中の真核宿主細胞に所望の核酸を導入する方法を提供するものである。(1)沈殿混合物を希釈すると同時に該沈殿混合物を浮遊液中の細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度でさらに成長することができるトランスフェクション混合物を形成させる、および(2)該沈殿混合物を希釈して希釈された沈殿混合物を形成させ、次いで該希釈沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度でさらに成長することができるトランスフェクション混合物を形成させ、そして該トランスフェクション混合物をインキュベーションすることにより該粒子を該真核宿主細胞に取り込ませ浮遊液中のトランスフェクトされた細胞を形成させる。
【図面の簡単な説明】
図1は、25μg/mL DNA、125mM Ca2+および0.6mM PO4 3-を用いて形成されたリン酸カルシウム沈澱物のDNA結合能に対する温度とインキュベーション時間の影響を示すグラフである。影付、白、および黒カラムのインキュベーション時間はそれぞれ1、5および20分である。
図2は、125mM Ca2+および0.6mM PO4 3-を用いて形成されたリン酸カルシウム沈殿物のDNA結合能に対するDNA濃度とインキュベーション時間の影響を示すグラフである。影、白、および黒カラムのインキュベーション時間はそれぞれ1、5および20分である。
図3は、50μg/mL DNAおよび0.75mM PO4 3-を用いて形成されたリン酸カルシウム沈殿物のDNA結合能に対するCa2+濃度、インキュベーション温度、およびインキュベーション時間の影響を示すグラフである。影、白、および黒カラムのインキュベーション時間はそれぞれ1、5および20分である。
図4は、細胞の全ポピュレーションのパーセンテージで表した、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−gal)染色陽性の宿主細胞数によって測定したトランスフェクトCHOまたは293宿主細胞中のβ−ガラクトシダーゼの一過性発現に対するDNA−リン酸カルシウム共沈殿のインキュベーション時間の影響を示すグラフである。DNA−リン酸カルシウム共沈殿は25μg/mL DNA、125mM Ca2+および0.75mM PO4 3-を用いて実施された。影付および黒カラムは、それぞれチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびヒト胎児腎293細胞(293細胞)宿主を示す。
図5は、ELISAで細胞培養上清中に検出されたヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)量によって測定されたトランスフェクトCHOまたは293細胞におけるtPAの一過性発現に対するDNA−リン酸カルシウム共沈殿のインキュベーション時間の影響を示すグラフである。DNA−リン酸カルシウム共沈殿は25μg/mL DNA、125mM Ca2+および0.75mM PO4 3-を用いて実施された。影付および黒カラムは、それぞれCHOおよび293細胞宿主を表す。
図6は、ELISAにより宿主細胞中に検出されたtPA量によって測定されたトランスフェクトCHO細胞におけるtPAの一過性発現に対するDNA−リン酸カルシウム共沈殿のインキュベーション時間の影響を示すグラフである。DNA−リン酸カルシウム共沈殿は25または50μg/mL DNA、250mM Ca2+および0.75mM PO4 3-を用いて実施された。白および黒カラムは、それぞれ25および50μg/mLのDNA濃度を表す。
図7は、37℃における、140mM NaClおよび30mM N−3−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−エタンスルホン酸(HEPES)(pH7.2)を含む溶液中のCa2+濃度とPO4 3-濃度の作用としてのリン酸カルシウムの溶解性を示すグラフである。
図8は、37℃における、30mM HEPESおよび0.95mM PO4 3-を含む溶液中の、Ca2+濃度とpHの作用としてのリン酸カルシウムの溶解性を示すグラフである。
図9は、浮遊培養中でトランスフェクトされた293宿主細胞におけるTNK tPAの一過性発現に対するDNA−リン酸カルシウム共沈殿混合物のPO4 3-濃度とトランスフェクション混合物のインキュベーション時間の影響を示すグラフである。発現レベルは、ELISAにより浮遊培養上清中に検出されたTNK tPAの量で示される。DNA−リン酸カルシウム共沈殿法は、50μg/mL DNA、125mM Ca2+、および0.75、1.125または1.5mM PO4 3-を用いて実施された。各PO4 3-濃度の暗い影付カラム(左外)は、20時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物の(「B」で示す)と27時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。各PO4 3-濃度の黒カラム(左中)は、20時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「B」で示す)と52時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。各PO4 3-濃度の白カラム(右中)は、4時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「A」で示す)と27時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。各PO4 3-濃度の明るい影付カラム(右外)は、4時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「A」で示す)と52時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。
図10は、浮遊培養中でトランスフェクトされた293細胞におけるTNK tPAの一過性発現に対するトランスフェクション混合物のCa2+濃度とインキュベーション時間の影響を示すグラフである。発現レベルは、ELISAにより浮遊培養上清中に検出されたTNK tPAの量で示される。DNA−リン酸カルシウム共沈殿は、50μg/mL DNA、125mM Ca2+、および1.125mM PO4 3-を用いて実施された。コントロールトランスフェクションは、細胞浮遊液をDNAおよびCa2+のみと接触させる(PO4 3-存在下であらかじめ共沈殿させることなしに)ことによって行った。示したCa2+濃度は、トランスフェクション混合物中の初期Ca2+濃度である。各Ca2+濃度の暗い影付カラム(左外)は、20時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「B」で示す)および27時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。各Ca2+濃度の黒カラム(左中)は、20時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「B」で示す)および52時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。各Ca2+濃度の白カラム(右中)は、4時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「A」で示す)および27時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。各Ca2+濃度の明るい影付カラム(右外)は、4時間インキュベーションしたトランスフェクション混合物(「A」で示す)および52時間インキュベーションしたトランスフェクション後培養(全体)を示す。
図11は、浮遊培養中でトランスフェクトされた293宿主細胞におけるDNaseの一過性発現と細胞密度の時間経過を示すグラフである。発現レベルは、ELISAにより浮遊培養上清中に検出されたDNaseの量で示される。トランスフェクションの時間を0時で示す。X’sは、全培養容量のパック細胞容量(PCV)パーセンテージで表した細胞密度であり、白抜括弧はDNase価(μg/mL)を示す。DNA−リン酸カルシウム共沈殿は、全容量60mL中、20μg/mL DNA、250mM Ca2+、および0.75mM PO4 3-を用いて実施された。該共沈殿物を室温で1〜2分間インキュベーションし、次いで0.19%PCVで1L浮遊培養に加え、トランスフェクション混合物中の初期Ca2+濃度を15mMとした。37℃で3.5時間培養した後、該トランスフェクション混合物に新鮮培地1Lを加えた。
好ましい態様の詳細な説明
A.定義
本明細書中で用いている用語「トランスフェクション」は、リン酸カルシウム共沈殿、ウイルスによる形質導入、リポソーム融合、マイクロインジェクション、微細粒子衝撃、およびエレクトロポーレーションなどを含む当該技術分野で知られたあらゆる方法によって宿主細胞に細胞外核酸を導入することと定義される。用語「宿主細胞による核酸の取り込み(uptake)」、「宿主細胞による核酸の取り込み(taking up)」、「宿主細胞による核酸含有粒子の取り込み(uptake)」、および「宿主細胞による核酸含有粒子の取り込み(taking up)」は、付随する物質を有するかまたは有しない細胞外核酸が宿主細胞に入るあらゆる方法を表す。
本明細書で用いている用語[核酸−リン酸カルシウム共沈殿」および「リン酸カルシウム共沈殿」は、溶液中の核酸、Ca2+およびPO4 3-が不溶性粒子、すなわち、ヒドロキシアパタイト((Ca5OH(PO432の近似化学式を有し、本明細書中で「リン酸カルシウム」と呼ばれている)と核酸を含む沈殿物を形成する方法を表す。この定義には、そのような粒子をさらに沈殿させるかまたは凝集および/または再配列することによる該粒子の成長も含まれる。
本明細書において用語「リン酸カルシウムトランスフェクション」は、リン酸カルシウムを用いて核酸の宿主細胞への取り込みを促進する宿主細胞のトランスフェクション法を表す。
本明細書において用語「形質転換」は、核酸を染色体統合物または染色体外エレメントとして複製可能とするために核酸を宿主細胞に導入することを表す。
本明細書において用語「細胞壁に欠く真核宿主細胞」は、哺乳動物細胞、鳥類細胞、は虫類細胞、再生類細胞、および魚類細胞のようなすべての脊椎動物細胞、ならびに昆虫細胞、甲殻類細胞および軟体動物細胞、および原生動物細胞などのような多細胞無脊椎動物細胞を含む、その細胞の天然の状態において細胞壁を持たないあらゆる有核細胞、ならびにその天然の細胞壁が取り除かれているかもしくはプロトプラストを形成することができるかまたはプロトプラストを形成するために処理されることができるすべての植物細胞を含む細胞壁が存在しない天然または人工的に誘導された状態にあるあらゆる有核細胞を表す。
本明細書において用語「所望の核酸」は、あらゆる所望のDNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッドを表す。
本明細書において用語[所望のDNA」は、例えば、2本鎖DNA、1本鎖DNA、鎖の1本または2本ともが2またはそれ以上のフラグメントからなる2本鎖DNA、鎖の1本または2本ともが連続したホスホジエステルバックボーンを有する2本鎖DNA、1またはそれ以上の1本鎖部分および1またはそれ以上の2本鎖部分を含むDNA、DNA鎖が完全に相補性である2本鎖DNA、DNA鎖の一部のみが相補性である2本鎖DNA、環状、共有結合的に閉じたDNA、直鎖状DNA、共有結合的に架橋したDNA、cDNA、化学的に合成されたDNA、半合成DNA、生合成DNA、天然の単離DNA、酵素消化されたDNA、切断されたDNA、プラスミドDNA、染色体DNA、放射性標識DNAやフルオロクロム標識DNAのような標識DNA、1またはそれ以上の非天然に生じる核酸を含むDNAなどを含む、宿主細胞をトランスフェクトするために選ばれるあらゆるポリデオキシヌクレオチドであると定義される。
本明細書において用語「所望のRNA」は、例えば、1本鎖RNA、2本鎖RNA、鎖の1本または2本ともが2またはそれ以上のフラグメントからなる2本鎖RNA、鎖の1本または2本ともが連続したホスホジエステルバックボーンを有する2本鎖RNA、1またはそれ以上の1本鎖部分および1またはそれ以上の2本鎖部分を含むRNA、RNA鎖が完全に相補性である2本鎖RNA、RNA鎖の一部のみが相補性である2本鎖RNA、共有結合的に架橋したRNA、酵素消化されたRNA、切断されたRNA、mRNA、hnRNA、荷電および非荷電のtRNAを含むtRNA、rRNA、すべての形のウイルスゲノムRNA、化学的に合成されたRNA、半合成RNA、生合成RNA、天然の単離RNA、放射性標識RNAやフルオロクロム標識RNAのような標識RNA、1またはそれ以上の非天然に生じる核酸を含むRNAなどを含む、宿主細胞をトランスフェクトするために選ばれるあらゆるポリリボヌクレオチドであると定義される。
本明細書において用語「所望のDNA/RNAハイブリッド」および「所望のハイブリッドDNA/RNA」は、DNA鎖とRNA鎖が、DNA鎖がRNA鎖と完全に相補性または一部のみが相補性であるハイブリッド、DNA鎖および/またはRNA鎖が不連続ホスホジエステルバックボーンを有するハイブリッド、DNA鎖および/またはRNA鎖が2またはそれ以上のフラグメントからなるハイブリッド、1またはそれ以上の1本鎖部分および1またはそれ以上の2本鎖部分を含むハイブリッド、相補性または部分的相補性DNAおよびRNAのアニーリングによって作製されるハイブリッド、共有結合的に架橋したハイブリッド、化学的に合成されたハイブリッド、半合成ハイブリッド、生合成ハイブリッド、天然に単離されたハイブリッド、放射標識ハイブリッドや蛍光色素標識ハイブリッドのような標識ハイブリッド、1またはそれ以上の非天然に生じる核酸を含むハイブリッドなどを含むあらゆるハイブリッド核酸であると定義される。
B.一般方法
一般に、本発明は浮遊培養におけるリン酸カルシウムトランスフェクション法を提供するものである。本発明の方法は、大規模な浮遊培養、例えば容量が少なくとも0.5Lの浮遊培養におけるトランスフェクションに特に有用である。本発明は付着細胞培養におけるリン酸カルシウムトランスフェクションの改良法をも提供する。
本発明の方法は、核酸−リン酸カルシウム共沈殿および宿主細胞のリン酸カルシウム促進核酸トランスフェクション法のこれまで知られていなかった特徴を使用する。一般に、リン酸カルシウムトランスフェクションは以下のごとく進行する。核酸はリン酸カルシウム沈殿物中に形成されるリン酸カルシウム粒子と強く結合する。宿主細胞の存在下で、核酸を有するリン酸カルシウム粒子は宿主細胞表面と接触し、核酸は宿主細胞に入り込む。本発明者らは、宿主細胞の核酸取り込み能力と核酸−リン酸カルシウム粒子のサイズの間に相関があること、および宿主細胞の核酸取り込み能力を最大にする最適粒子サイズが存在することをみいだした。本発明はいかなる特定の作用機序にも限定されるものではないが、粒子サイズの限定することによって宿主細胞と接触する粒子数を増加させ、トランスフェクション効率を増大させることができると考えられる。粒子が特定の粒子サイズに達した後に粒子の成長を制限すると、より小さな粒子の凝集や再配列によって生じる粒子数の減少が低下する。粒子サイズを限定することによって、核酸との結合に利用可能な粒子表面面積を最適化し、トランスフェクション効率を増加させることもできる。本明細書に示すように本発明者らは、最適粒子サイズは長さ約300nmまでのあらゆるサイズであることをみいだした(ここで、「長さ」はWeissとFrockの、「Rapid Analysis of Particle Size Distribution by Laser Light Dcattering」、Power Technology, 14:287(1976)の方法に従ってレーザー光スキャッタリングにより測定した粒子の最も広い部分の直径と定義される)。したがって、本発明の方法は、約300nmまでの平均長を有する粒子に宿主細胞を曝露することにより宿主細胞による核酸の取り込みを最大にするために計画された。
リン酸カルシウム粒子はあらゆる液体混合物中で安定していないため、該粒子を一定のサイズに保つことはできない。該粒子は、混合物中のリン酸カルシウムの溶解性依存性に、沈殿、凝集、および再配列により成長するか、または溶解する。したがって、本発明は核酸−リン酸カルシウム共沈殿工程中で粒子を最適サイズに成長させ、該粒子を希釈することにより粒子の不溶性を維持しながら粒子の成長速度を低下させ、最適サイズとなった粒子を宿主細胞と接触させる方法を提供するものである。本発明は、粒子が最適サイズより大きく成長し、縮小させて最低サイズまでもどし、宿主細胞と接触させる方法をも提供する。
宿主細胞は少なくとも以下の4通りの方法で最適サイズ化した粒子に曝露することができる。(1)DNA−リン酸カルシウム共沈殿物中で最適サイズ化粒子を形成し、次いで共沈殿物を希釈し、共沈殿物と宿主細胞培養を混合することにより一段階で宿主細胞と希釈した共沈殿物を接触させる。(2)DNA−リン酸カルシウム共沈殿物中で最適サイズ化粒子を形成し、該共沈殿物を希釈し、次いで希釈した共沈殿物を宿主細胞培養と混合する。(3)宿主細胞培養中で最適サイズ化粒子を形成させ、次いで宿主細胞培養を希釈する。(4)最適サイズより大きい粒子を形成させ、該粒子を最適サイズまで小さくさせ、次いでこの粒子を宿主細胞と接触させる。
I.共沈殿物の希釈と同時の宿主細胞への曝露
a.宿主細胞の調整
本発明の方法では、細胞壁を欠くあらゆる真核宿主細胞を用いることができる。本発明の方法では哺乳動物細胞を用いることが好ましい。有用な哺乳動物細胞系の例には、SV40によって形質転換されたサル腎CV1系(COS−7、ACTT CRL 1651)、ヒト胎児腎系(293細胞または浮遊培養中で増殖させるためにサブクローンされた293細胞、Grahamらの、J. Gen Virol., 36:59(1977))、赤子ハムスター腎細胞(BHK、ACTT CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、UrlaubとChasinの、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216(1980))、マウスセルトリー細胞(TM4、Matherの、Biol. Repord., 23:241-251(1980))、サル腎細胞(CV1、ACTT CCL 70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL-1587))、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ACTT CCL2)、イヌ腎細胞(MDCK、ACTT CCL34)、バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ACTT CCL 75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL51)、TRI細胞(Mtherらの、Annuals N. Y. Acad. Sci., 383:44-68(1982))、MRC5細胞、FS4細胞、およびヒト肝癌細胞系(Hep G2)が含まれる。
選ばれた哺乳動物宿主細胞は、例えば35℃、5%CO2大気下、孵卵器中で、10%子ウシ血清添加ダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)を用いて細胞を単層で増殖させるような当該技術分野で知られたあらゆる方法によって培養することができる。特定の細胞タイプには他の方法を用いることができる。例えば、Drosophila細胞系は、Di NoceraおよびDawidの、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:7095-7098(1983)の記載に従って増殖させることができ、魚細胞系はArakiらの、Bull. Res. Inst. Aquaculture, 20:1-9(1991)の記載に従って増殖させることができる。
あるいはまた、浮遊細胞培養を用いることができる。浮遊液中の細胞はスピナーフラスコ中、100mLから10Lの容量範囲で、またはバイオリアクター中、0.5L〜10000Lの容量範囲で増殖させることができる。浮遊培養中の細胞は、当該技術分野で知られた多くの方法によって達成できる指数増殖期に保つ必要があり、その最も普通の方法は3〜6日ごとに新鮮培地で継代培養することである。標準的技術、方法、および装置については、Lubiniecki編の、Large Scale Mammalian Cell Culture Technology, Marcel Dekker, New York, and Dasle, 1990に記載されている。
植物細胞宿主の場合、本発明に使用するのに適した植物細胞プロトプラスト培養は、LichtensteinとDraplerの、「Genetic Engineering of Plants」、DNA Cloning Volume III:A Practical Approach, Glover編、IRL Press(1985)中,67-119頁に従って製造することができる。
b.DNAの製造
本発明の方法に用いるあらゆる所望のDNAは、当該技術分野で知られた種々の方法により製造することができる。これらの方法には、Engelsらの、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 28:716-734(1989)に記載の、トリエステル、ホスファイト、ホスホラミジト、およびH−ホスホネート法のようなあらゆる方法(これらの内容は本明細書の一部を構成する)によって化学的に合成されるがこれらに限定されるものではない。あるいはまた、所望のDNA配列は存在するクローンからか、または利用できるクローンがないときはDNAライブラリーをスクリーニングし、該ライブラリークローンから所望のDNA配列を構築することによって得ることができる。
本発明で使用するDNA鋳型の適切な量は、ほとんどのグラム陰性細菌宿主中で自己複製するための複製のpPB322起源を保有するプラスミドベクター、Bacillusおよび他のグラム陽性細菌宿主中で自己複製するための複製のpC194(Ehrlichの、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:1433-1436(1978))起源を保有するプラスミドベクター、またはほとんどの酵母宿主中で自己複製するための複製の起源を保有する2−ミクロン環状(2μプラスミド)ベクターのようなよく知られたクローニングベクターおよび宿主中で該DNAを増幅させることによって製造することができる。
あるいはまた、該DNA鋳型は、Saikiらの、Science, 230:1350(1985)、Mullisらの、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 51:263(1986)、MullisとFaloonaの、Methods Enzymol., 155:335(1987)、およびSaikiらの、Science, 239:487(1988)に記載のポリメラーゼ鎖反応(PCR)によって増幅させることができる。
c.RNAの製造
本発明の方法に用いるあらゆる所望のRNAは、当該技術分野で知られた種々の方法によって製造することができる。これらの方法には、Curent Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York(1990)に一般に記載されているRNAの化学的合成法およびDNA鋳型のin vitro翻訳法が含まれるがこれらに限定されるものではない。
あるいはまた、所望のRNAは宿主細胞培養から抽出された全細胞RNAから単離することができる。全細胞RNAは、哺乳動物細胞中で産生されるRNAの場合はFavaloroらの、Methodes Enzymol.,65:718(1980)、StallcupとWashingtonの、J. Biol. Chem., 258:2802(1983)、Birnboimの、Nucleic Acids Res., 16:1487(1988)、Gilsinらの、Biochemistry, 13:2633(1974)、Ullrichらの、Science, 196:1313(1977)、Strohmanらの、Cell, 10:265(1977)、およびMacDonaldらの、Methods Enzymol., 152:219(1987)に記載の方法のような当該技術分野で知られたあらゆる方法によって宿主細胞培養から単離することができる。
所望のRNAが全細胞RNAのポリアデニル化mRNA分画である場合は、該ポリアデニル化mRNAは、Edmondsらの、Proc. Natl. Acad. Sci., 68:1336(1971)に記載の方法やAvivとLederの、Proc. Natl. Acad. Sci., 69:1408(1972)に記載の方法のような当該技術分野で知られたあらゆる方法を用いてオリゴデオキシチミジレート(オリゴ(dT))−セルロースカラム・アフィニティ−クロマトグラフィーによって細胞RNAの大部分から分けることができる。
所望のmRNAのサイズが知られている場合は、Lemischkaらの、J. Mol. Biol., 151:101(1981)に記載に従って、メチル水酸化水銀の存在下でRNAをアガロースゲル電気泳動するか、またはSchweinfestらの、Proc. Natl. Acad. Sci., 79:4997(1982)の記載に従ってメチル酸化水銀存在下でショ糖密度勾配遠心することによって、該mRNA調製物をさらに精製し、該粒子サイズのmRNA分子を得ることができる。
さらに、所望のRNAは、レトロウイルス、タバコモザイクウイルス、インフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルスのような1本鎖RNAウイルス、およびロタウイルスやイネ萎病(rice dwarf)ウイルスのような2本鎖RNAウイルスを含むRNAウイルスの組換えまたは非組換えゲノムから得ることができる。所望のRNAは適切な宿主細胞培養中で選ばれたRNAウイルスを増進させ、ウイルス粒子を回収し、次いで該ウイルス粒子から所望のRNAを抽出することによって単離することができる。例えば、Moloneyネズミ白血病ウイルスのゲノムRNAはSchwartzbergらの、Cell, 37:1043(1984)に記載の方法に従って得ることができる。
d.DNA/RNAハイブリッドの製造
本発明の方法に用いるのに適したDNA/RNAハイブリッドは、当該技術分野で知られたあらゆる方法によって製造することができる。ある態様において、DNA鎖またはフラグメントは上記I(b)項の記載に従って製造され、RNA鎖またはRNAフラグメントは上記I(c)項の記載に従って製造され、DNAおよびRNA鎖またはフラグメントは一緒に混合され、アニールする。別の態様では、DNA/RNAハイブリッドは、上記の所望のDNA鎖を得、該DNA鎖を鋳型に用いたDNA指向性RNAポリメラーゼにより相補性RNA鎖を合成し、次いで転写反応が終了したらDNA/RNAハイブリッドを回収することによって製造することができる。あるいはまた、DNA/RNAハイブリッドは、上記の所望のRNA鎖を得、該RNA鎖を鋳型に用いてRNA指向性DNAポリメラーゼにより相補性RNA鎖を合成し、次いで逆転写反応が終了したらDNA/RNAハイブリッドを回収することによって製造することができる。
e.リン酸カルシウムトランスフェクションの手順
本発明には、所望の核酸、Ca2+、およびPO4 3+を混合して沈殿混合物を形成し、該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成し、次いでこの粒子を約300nmまでの平均長に成長させ、該沈殿混合物を希釈すると同時に細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が沈殿混合物中で成長した速度より実質的に遅い速度で成長することができるトランスフェクション混合物を形成させ、そして該トランスフェクション混合物をインキュベーションすることにより宿主細胞に該粒子を取り込ませ、トランスフェクトされた細胞を形成する、所望の核酸を真核宿主細胞中に導入するためのあらゆる方法が含まれる。
1.沈殿混合物の形成
Ca2+、PO4 3+、および所望の核酸をあらゆる順序で混合することにより、該核酸とリン酸カルシウムが共沈殿している沈殿混合物を形成させることができる。ある態様では、Ca2+とPO4 3+を混合する前または混合するのと同時に核酸と沈殿混合物を混合することにより、該沈殿混合物中に形成された核酸およびリン酸カルシウムを含む粒子の数を最大にする。核酸をCa2+およびPO4 3+を欠く緩衝液中に懸濁させ、次いでCa2+およびPO4 3+を連続的または同時に該核酸懸濁液と混合することができる。あるいはまた、該核酸をCa2+またはPO4 3+を含む緩衝液中に懸濁させ、次いで適切な対イオンと該核酸懸濁液を混合して共沈殿を開始することができる。
沈殿混合物中の反応体濃度と反応条件は、約300nmまでの平均長を有する核酸とリン酸カルシウムを含む粒子を産生するように選択される。好まし態様では、反応体濃度と反応条件は、約100nmまたはそれ以下の平均長を有する粒子を産生するように選択される。粒子形成を決定する主な因子は、混合物中の粒子成長動態と反応時間である。粒子形成速度は所望の粒子サイズを達成するのに必要な反応時間を決定する。粒子成長速度は混合物中の核酸濃度とリン酸カルシウムの溶解性に依存し、またリン酸カルシウムの溶解性は沈殿混合物のCa2+濃度、PO4 3+濃度、pH、および温度に依存する。
沈殿混合物のCa2+濃度、PO4 3+濃度、pH、および温度は、混合物中の実際のCa2+濃度とPO3+濃度より十分低いリン酸カルシウム溶解性を生じ、したがって、リン酸カルシウムと核酸の共沈殿をもたらすCa2+およびPO4 3+イオンの過飽和をもたらすように選ばれる。核酸は該粒子表面に付着して粒子の成長を遅らせるため、核酸濃度も過飽和混合物中の粒子成長動態に影響する。
沈殿混合物において、Ca2+は約125mM〜約375mM、好ましくは約250mM〜約375mMの初期濃度で存在することができ、PO4 3+は約0.5mM〜約1.125mM、好ましくは約0.75mMの初期濃度で存在することができる。該PO4 3+濃度では、より高いCa2+濃度においてより速い速度と高頻度で粒子形成を生じることができる。したがって、最適核酸濃度は沈殿混合物中のCa2+濃度によって変更することができる。沈殿混合物中の約125mM、250mMおよび375mMの初期Ca2+濃度と約0.75mMの初期PO4 3+濃度を用いるDNAトランスフェクションの態様では、該沈殿混合物中の初期DNA濃度はそれぞれ約25μg/mL、50μg/mL、および75μg/mLまでであり得る。
あるいはまた、該Ca2+濃度では、より高いPO4 3+濃度を用いることにより所望のリン酸カルシウム結晶形成速度と頻度を得ることができる。したがって、最適核酸濃度は沈殿混合物中のPO4 3+濃度によって変更することができる。約1.125mMの初期PO4 3+濃度を用いるDNAトランスフェクションの態様では、初期DNA濃度は約50μg/mLまでであり得る。
大規模浮遊培養でのトランスフェクションにおける容量的制約のために、沈殿混合物を接種する前に該浮遊液中のCa2+濃度を上昇させることが好ましい。この環境下では、浮遊培養中のCa2+濃度の上昇を補うために沈殿混合物のCa2+濃度を低下させるのが好都合である。次に、沈殿混合物中の初期PO4 3+濃度を上昇させ、所望のリン酸カルシウム粒子形成速度を維持する。ある浮遊培養の態様において、PO4 3+とCa2+は、それぞれ初期濃度1.125mMおよび125mMで沈殿混合物中に存在する。
沈殿混合物のpHは、約6.8〜約7.6であり得、好ましくは約7.05である。沈殿混合物の温度は、約0℃〜約37℃、好ましくは約20℃〜約37℃、より好ましくは約32℃〜約37℃であり得る。しかしながら、本発明の方法において、前記の温度範囲以外のあらゆる温度を含むあらゆる沈殿混合物のインキュベーション温度を、所望の粒子形成速度を生じる他の反応パラメーターと組み合わせて使用することが予期される。浮遊培養におけるトランスフェクションのある態様において、沈殿混合物は温度約0℃〜約50℃でインキュベーションされる。
沈殿混合物の所望のpHを含むpH範囲で有効なあらゆるpH緩衝液を用いて沈殿混合物の反応体を懸濁させることができる。本発明で使用するのに適した緩衝液には、25mM HEPESおよび140mM NaClのような適切な濃度のN−3−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝生理食塩液、および25mM BESおよび140mM NaClのようなN,N−bis(3−ヒドロキシエチル)−3−アミノエタンスルホン酸(BES)緩衝生理食塩液が含まれる。
沈殿混合物は、リン酸カルシウムと核酸を含む粒子が約300nmまでの平均長、好ましくは約100nmまたはそれ以下の平均長に成長するのに十分なあらゆる期間インキュベーションされる。上記の反応条件下において、沈殿混合物中で形成される粒子は、約60秒間までのインキュベーション期間の後、約300nmまたはそれ以下の平均長を有することができる。したがって、沈殿混合物は約60秒間までインキュベーションすることができる。好ましい態様では、沈殿混合物は約30秒またはそれ以下の期間インキュベーションされる。しかしながら、本発明には、沈殿混合物中、種々の反応条件下で所望の粒子サイズを得るために他のインキュベーション期間を用いることも含まれる。浮遊液中で細胞をトランスフェクションするためのいくつかの態様において、沈殿混合物を約1時間までの期間インキュベーションすることができるが、好ましくは約2分間までの期間、より好ましくは約1分間までの期間、さらに好ましくは約30秒間までの期間インキュベーションすることができる。
2.トランスフェクション混合物の形成
リン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子が沈殿混合物中で約300nm(またはそれ以下)までの平均長に成長した後、該沈殿混合物を希釈すると同時に細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、トランスフェクション混合物を形成する。真核細胞は、上記I(a)項に記載の浮遊細胞培養または付着細胞培養の形で得られる。本発明が提供する沈殿混合物は、粒子を溶解させることなく沈殿混合物中の該粒子の増殖速度に比べてトランスフェクション混合物中の粒子の増殖速度が実質的に遅くなるように宿主細胞培養と混合することによって希釈し、宿主細胞の最適サイズ化粒子に対する曝露を最大とする。
浮遊細胞培養を用いる好ましい態様では、沈殿および希釈工程は、核酸、Ca2+、およびPO4 3+を取り込みパイプに供給し、次いで培養容器に移す自動化システム中で達成される。核酸、Ca2+、およびPO4 3+はあらゆる好都合な順序で取り込みパイプに供給することができる。好ましくは、核酸は、リン酸カルシウム沈殿形成の開始点の上流の取り込みパイプに供給される。あるいはまた、核酸、Ca2+、およびPO4 3+はほぼ同じ地点で取り込みパイプに供給される。ある態様では、核酸および1または2種類のイオンを含む溶液および対イオンを含む溶液を取り込みパイプに合流する別のチューブラインを通して供給される。取り込みパイプを通過する流速と取り込みパイプの長さは、取り込みパイプ内で核酸−リン酸カルシウム共沈殿を生じるのに所望されるインキュベーション期間を達成するよう調節することができる。好ましくは、浮遊培養は、宿主細胞と最適サイズのリン酸カルシウムと核酸の粒子の接触を最大にするように攪拌される。
本発明の方法は、あらゆるサイズの浮遊培養中の細胞をトランスフェクトするのに使用することができる。好ましくは、本発明の方法は、総量少なくとも約1L、より好ましくは総量少なくとも約20Lを含む浮遊培養をトランスフェクションするのに使用される。浮遊培養中でトランスフェクションするための所望の細胞密度は、例えば、規定量のたね(種)培養を特定の細胞密度まで増殖させることによって達成することができる。あるいはまた、種培養からの細胞を濾過および/または遠心によって回収し、所望の密度に再浮遊させる。別の態様において、所望の細胞密度は種培養を希釈することによって達成される。
浮遊培養中でトランスフェクションするための細胞密度は、約0.2%〜約5%パック細胞容量(PCV)であり得る。しかしながら、本発明は浮遊培養中でのトランスフェクションの許容されるレベルをもたらす、それより高いまたは低い密度を使用することも含まれる。例えば、本発明は、バイオリアクターから細胞を濃縮し、高密度細胞スラリーを得、次いで沈殿混合物をこの細胞スラリーと混合することによって実施することができる。ある態様において、約108個/mL以上の細胞密度が用いられる。別の態様では約108個/mL〜約109個/mLの細胞密度が用いられる。濃縮スラリーは、細胞浮遊液をバイオリアクターからHerwaus Sepatech Contifuge(登録商標)17RS(1994 Hereas Instruments Catalog No. 75003571, Hereaus Instruments Gmbh, D63405, Hanau, Germany)のような半連続無菌遠心器にポンプで供給し、該細胞浮遊液を約500xg〜約6000xg、好ましくは約5300xgで遠心し、無菌ローターボールに細胞を捕らえることにより得られる。バイオリアクター中の細胞培養の細胞密度に依存して、約100Lまでの浮遊培養を遠心ローターボール中に回収することができる。次に、高密度細胞スラリーを該ボールから取り出し、DNA−リン酸カルシウム共沈殿物と混合してトランスフェクション混合物を形成する。ある態様では、高密度細胞スラリーを、取り込みパイプ中でDNA−リン酸カルシウム共沈殿物と混合することにより、バイオリアクターに入る前にトランスフェクション混合物インラインが形成される。あるいはまた、DNA−リン酸カルシウム共沈殿および高密度細胞スラリーを、それぞれ供給および接種ポートから別々にバイオリアクター中に導入することができる。本発明では、トランスフェクション混合物を形成する前に、高密度細胞スラリー中の細胞濃度を、例えば新鮮増殖培地を加えて補正し、トランスフェクションのための最適濃度とする態様も提供される。特定の宿主細胞をトランスフェクションするのに有用な細胞濃度は日常的試験により容易に決定することができることは理解されよう。
浮遊細胞培養を用いる別の態様では、先の(e)(1)項の記載に従って沈殿混合物を接種する前に、浮遊培養のCa2+濃度を上昇させる。好ましい態様では、沈殿混合物を接種する前に浮遊培養中のCa2+濃度を約7.5mMに上昇させる。
本発明は、最適粒子サイズに達した後に粒子の成長を制限するために粒子の成長速度を実質的に減少させる。Ca2+濃度の低下、PO4 3-濃度の低下、pHの低下、核酸濃度の上昇、蛋白濃度の上昇、温度の低下、またはそれらのあらゆる組み合わせを含むあらゆる方法を用いることが含まれる。ある態様では、沈殿混合物を宿主細胞培養と混合して希釈し、初期Ca2+濃度が約9mM〜約17mMのトランスフェクション混合物を形成させる。さらに別の態様では、トランスフェクション混合物は沈殿混合物の初期Ca2+濃度より少なくとも10倍低い初期Ca2+濃度を有する。好ましい態様では、沈殿混合物は約250mM〜約375mMの初期Ca2+濃度を有し、トランスフェクション混合物は約12mMの初期Ca2+濃度を有する。
好ましくは、粒子成長速度を、トランスフェクション混合物中の血清またはウシ血清アルブミンのような血清蛋白の存在によって実質的に低下させる。蛋白は核酸同様にリン酸カルシウム粒子表面と強く結合することにより粒子の成長を妨げる。ある態様では、トランスフェクション混合物はウシ胎児血清のような約2%〜約10%血清を含む。別の態様では、トランスフェクション混合物はウシ血清アルブミンのような血清アルブミン約0.2g/L〜約4g/Lを含む。
本発明の方法に使用するトランスフェクション混合物の初期PO4 3-濃度は、細胞培養培地中に存在するPO4 3-によって好都合に得ることができる。他の濃度も適切であるが、血清添加細胞培養培地中の約1mMの該PO4 3-濃度は、本発明で使用するのに十分である。
トランスフェクション混合物のpHと温度は宿主細胞が耐える生理的レベルに維持される。哺乳動物宿主細胞の場合は、pHを約6.0〜約8.0、好ましくは約7.2〜約7.5の範囲に、温度を約15℃〜約39℃、好ましくは約32℃〜約37℃の範囲に維持することが好ましい。同様に、トランスフェクション混合物は特定の宿主細胞が容易に最適化される時間インキュベーションされる。
浮遊細胞培養中でトランスフェクションする場合は、リン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を溶解させないように該粒子の溶解性を可能な限り低くするように、pH、Ca2+濃度、PO4 3-濃度、および温度を正確に調節することができる。好ましい態様では、トランスフェクション混合物をpH約7.2および温度約37℃で維持し、そのCa2+濃度とPO4 3-濃度を、図7に示すリン酸カルシウム溶解曲線より高いポイントにあるように維持する。別の好ましい態様では、トランスフェクション混合物のPO4 3-濃度を約1mMに、温度を約37℃に維持し、Ca2+濃度とpHを図8に示すリン酸カルシウム溶解曲線より高いポイントにあるように維持する。
リン酸カルシウム沈殿物は宿主細胞によっては毒性がある。したがって、所望のトランスフェクションの所望のインキュベーション期間後に該沈殿物を溶解させることが好都合であり得る。トランスフェクション混合物中のリン酸カルシウム沈殿物は、例えばトランスフェクション混合物中のpHを低下させ、そして/またはCa2+濃度を低下させることにより溶解させることができる。Ca2+濃度は、新鮮培養培地をトランスフェクション混合物に加えることによって好都合に低下させることができる。ある浮遊培養の態様では、トランスフェクション混合物は約1分間〜約24時間、好ましくは約0.5時間〜約12時間、より好ましくは約3.5時間〜約5時間インキュベーションされ、次いで細胞培養培地約1容量〜約500容量で希釈され、約1日間〜約14日間インキュベーションされる。
宿主細胞によっては、トランスフェクションのインキュベーション期間終了時にトランスフェクション混合物をグリセロールやジメチルスルホキシト(DMSO)で衝撃を与えることによりトランスフェクション率が改善される。典型的には、トランスフェクション混合物を約15%容量/容量濃度のグリセロールに特定の宿主細胞に応じて約30秒間から約3分間曝露し、次いで新鮮培地中で約1〜6日間インキュベーションする。
あるいはまた、トランスフェクション後に宿主細胞を、グリセロール衝撃を与えることなく新鮮培地中で所望の時間培養することができる。
II.共沈殿物の希釈、次いで宿主細胞に対する曝露
本発明には、所望の核酸、Ca2+、およびPO4 3-を混合し、沈殿混合物を形成させ、該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させ、この粒子を約300nmまでの平均長に成長させ、該沈殿混合物を希釈して希釈沈殿混合物を形成させ、該希釈沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合してトランスフェクション混合物を形成させる(ここで、該粒子は該粒子が該沈殿混合物中で成長した速度より実質的に遅い速度で成長することができ、該トランスフェクション混合物は該宿主細胞が該粒子を取り込むようにインキュベーションしてトランスフェクトされた細胞を形成させる)。
a.沈殿混合物の形成
沈殿混合物は上記I(e)(1)項の記載に従って得、インキュベーションされる。所望の核酸−リン酸カルシウム共沈殿の形成後、この沈殿混合物を、あらゆる好都合な方法、例えば、トランスフェクションに用いられる適切な緩衝剤を加えるかまたは細胞培養培地を加えることによって希釈することができる。本発明に使用するのに適した緩衝剤および培地は、上記I(a)およびI(e)(1)項に記載されている。希釈剤は、核酸−リン酸カルシウム粒子の成長速度を低下させるが、得られる希釈沈殿混合物中でそのような粒子を溶解させない十分な量で該沈殿混合物に加えられる。
これを宿主細胞と混合してトランスフェクション混合物が形成されるまで、該希釈沈殿混合物は核酸−リン酸カルシウム粒子の、遅いが連続した成長を許す条件下で維持される。遅い粒子成長速度を得るのに適した条件は、上記I(e)(2)項のトランスフェクション混合物に関する説明中に示している。
b.トランスフェクション混合物の形成
本発明が提供する希釈沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、トランスフェクション混合物を形成させる(ここで、DNA−リン酸カルシウム粒子は沈殿混合物中の該粒子成長速度より実質的に遅い速度で増殖するであろう)。真核細胞は上記I(a)項に記載の付着細胞培養または浮遊細胞培養の形で得られ、該細胞培養と希釈沈殿混合物を混合して上記I(e)(2)に記載のトランスフェクション混合物を形成させる。
希釈沈殿混合物中の粒子の希釈およびトランスフェクション混合物中の粒子の希釈は、全体の希釈が粒子を溶解させることなく粒子の成長速度を実質的に低下させるように選ばれる。好ましい態様では、全体の希釈は沈殿混合物中の初期Ca2+濃度より少なくとも10倍低いトランスフェクション混合物中の初期Ca2+濃度をもたらす。
別の好ましい態様において、ほとんどの全体の希釈は最適粒子サイズに達した後できるだけ速やかに粒子の成長を遅くするために希釈沈殿混合物の形成をもたらす。
それにも関わらず、本発明には、希釈沈殿混合物の形成をもたらす該希釈がトランスフェクション混合物中の全体希釈に比べて小さい方法も含まれることは理解されよう。そのような態様では、平均粒子サイズが最適範囲を越える前に粒子の成長速度の実質的な低下を達成するために希釈沈殿混合物と宿主細胞培養を速やかに混合させることが好ましい。
あるいはまた、希釈沈殿混合物の形成をもたらす全体の希釈のパーセンテージおよびトランスフェクション混合物の形成をもたらす全体の希釈のパーセンテージは、この2工程間の時間の長さに応じて変化させることができる。短時間の間隔では希釈沈殿混合物においてより小さな希釈を使用できるであろうが、一方、より長い間隔ではトランスフェクション活性の過度の損失を防ぐために希釈沈殿混合物においてより大きな希釈を使用する必要があろう。
好ましくは、希釈沈殿混合物は宿主細胞の、最適サイズの核酸−リン酸カルシウム粒子に対する曝露を最大にするために宿主細胞と速やかに混合される。しかしながら、本発明の態様には、トランスフェクション混合物が形成される時点で、希釈沈殿混合物が宿主細胞に対するいくらかのトランスフェクト能を維持しているという条件で、希釈沈殿混合物が宿主細胞と混合される前のあらゆる期間維持されることも含まれる。
浮遊細胞培養を用いる好ましい態様では、沈殿および希釈工程は、核酸、Ca2+およびPO4 3-を取り込みパイプに供給して核酸−リン酸カルシウム共沈殿を生じさせ、核酸、Ca2+およびPO4 3-の取り込み口の下流のある地点で別の取り込みパイプを介して該沈殿混合物に希釈剤を供給し、次いで希釈沈殿混合物を培養容器に移す自動化システムによって達成される。核酸、Ca2+およびPO4 3-は上記I(e)(2)項に記載のあらゆる好都合な順序で取り込みパイプに供給することができる。沈殿混合物を含む取り込みパイプの流速と希釈剤取り込みパイプおよび培養容器の取り込み口の下流の位置を調節し、該沈殿混合物の所望のインキュベーション期間と培養容器中で沈殿混合物が希釈されるのと宿主細胞と混合される間の所望の遅れを達成することができる。好ましくは、該浮遊培養を攪拌し、宿主細胞とリン酸カルシウムと核酸の最適サイズ化粒子の接触を最大にする。
形成後、トランスフェクション混合物を上記I(e)(2)項に記載の条件下でインキュベーションすることができる。
III.宿主細胞培養中の共沈殿物の形成
本発明には、Ca2+、PO4 3-、核酸および細胞壁を欠く真核宿主細胞を混合して沈殿混合物を形成させ、該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させ、この粒子を約300nm間での平均長まで成長させ、該沈殿混合物を希釈してトランスフェクション混合物を形成させ(ここで、該粒子は該沈殿混合物中で該粒子が成長したより実質的に遅い速度で成長することができる)、該トランスフェクション混合物をインキュベーションして宿主細胞に該粒子を取り込ませてトランスフェクトされた細胞を形成する、所望の核酸を真核宿主細胞に導入するためのあらゆる方法も含まれる。
a.沈殿混合物の形成
適切な宿主細胞培養は上記I(a)項に記載のごとく得ることができる。増殖培地を細胞から除去し、この細胞を、上記I(e)(1)項に記載の適切な濃度の核酸、Ca2+およびPO4 3-に曝露して、沈殿混合物を形成させる。本発明の実施において、核酸、Ca2+およびPO4 3-を混合する順序は重要でないことは理解されよう。細胞は、核酸、Ca2+およびPO4 3-成分またはその組み合わせのいずれかを含む混合物と接触させるかまたは該混合物中に浮遊させることができる。あるいはまた、細胞は核酸、Ca2+およびPO4 3-成分と同時にすべて混合することができる。
好ましい態様では、該沈殿混合物は、宿主細胞を、所望の濃度の核酸、Ca2+およびPO4 3-を含む適切な無血清増殖培地と接触させることによって形成される。蛋白は核酸−リン酸カルシウム共沈殿物の成長を実質的に低下させるので、血清または他の蛋白を含む培地を該沈殿混合物に使用するのは望ましくない。
沈殿混合物の反応条件とインキュベーション期間は、上記I(e)(1)項に記載のリン酸カルシウムと核酸を含む最適サイズ化粒子を形成するように選ばれる。
b.トランスフェクションの形成
所望のサイズの核酸−リン酸カルシウム粒子の形成後、沈殿混合物を希釈し、トランスフェクション混合物を形成させる(ここで、該粒子は沈殿混合物中の粒子成長速度より実質的に遅い速度で成長するであろう)。ある態様において、沈殿混合物は宿主細胞に適切な血清添加増殖培地を加えることによって希釈される。得られるトランスフェクション混合物を、宿主細胞に核酸−リン酸カルシウム粒子が取り込まれる条件下でインキュベーションし、トランスフェクション細胞を形成させる。そのような方法は上記I(e)(2)項に記載されている。
IV.共沈殿物の過剰成長の低下とその後の宿主細胞への曝露
さらに本発明には、Ca2+、PO4 3-および核酸を混合して沈殿混合物を形成させ、該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させ、該粒子を約300nmより大きい平均長まで成長させ、該粒子のサイズを低下させ、粒子が溶解することができる条件下で沈殿混合物をインキュベーションすることにより平均長約300nmまたはそれ以下の最適サイズ化粒子を形成させ、該最適サイズ化粒子を、細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合してトランスフェクション混合物を形成させ、該トランスフェクション混合物をインキュベーションして、宿主細胞に該粒子を取り込ませトランスフェクトされた細胞を形成させる、所望の核酸を真核宿主細胞に導入するあらゆる方法も含まれる。
a.過剰成長粒子の形成
過剰成長した核酸−リン酸カルシウム共沈殿物は、上記I(e)(1)項に記載のごとく沈殿混合物を作製し、リン酸カルシウムと核酸を含む粒子を約300nmより大きい平均長まで成長させる条件下で沈殿混合物をインキュベーションすることによって得ることができる。上記I(e)(1)項に記載の反応条件下で、沈殿混合物中で形成された粒子は、約60秒間インキュベーションした後に約300nmまたはそれ以下の平均長を有する。したがって、過剰成長沈殿物は少なくとも60秒間沈殿混合物をインキュベーションすることによって形成することができる。
b.過剰成長沈殿物の縮小
過剰成長沈殿物を沈殿混合物中で形成させ、次いで沈殿混合物の条件を変化させて該沈殿物中の粒子容積を減少させる。粒子の成長または縮小は、沈殿混合物中のリン酸カルシウムの溶解性に依存するため、粒子の縮小は、沈殿混合物中のリン酸カルシウムの溶解性を増大させることによって達成することができる。上記のように、リン酸カルシウムの溶解性は、Ca2+濃度、PO4 3-濃度、pH、および温度によって決定される。リン酸カルシウムの溶解性は、沈殿混合物中のCa2+濃度を低下させ、PO4 3-濃度を低下させ、pHを低下させ、そして/または温度を低下させることによって増大させることができる。好ましい態様では、沈殿混合物を適切な緩衝剤で希釈することによりCa2+濃度およびPO4 3-濃度を低下させる。別の態様では、該沈殿混合物を遠心し、適切な緩衝剤中にペレットを再浮遊させ、Ca2+およびPO4 3-の未飽和溶液を作製することによって希釈を行う。さらに別の好ましい態様では、沈殿混合物のpHは沈殿混合物のpHを低下させ、Ca2+およびPO4 3-の未飽和溶液を作製する。
沈殿混合物は、粒子が約300nmまたはそれ以下の、好ましくは約100nmまたはそれ以下の最適平均長に達するまで粒子を縮小させる条件下でインキュベーションされる。最適サイズ化粒子を形成するのに必要なインキュベーション期間は、縮小直前の過剰成長した粒子のサイズと沈殿混合物中の溶解速度に応じて異なる。したがって、該インキュベーション時間は、必要な粒子サイズの減少量および沈殿混合物中のCa2+およびPO4 3-の未飽和溶液によって決定される粒子の縮小速度に基づいて選ばれる。
c.トランスフェクション混合物の形成
沈殿混合物中の核酸−リン酸カルシウム粒子を最適サイズに縮小し、次いで沈殿混合物中の条件を再度変化させて最適サイズ化粒子をゆっくり成長させる。ある態様では、沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、上記I(e)(2)項に記載の遅い速度で粒子を成長させる適切なCa2+濃度、PO4 3-濃度、pH、および温度でトランスフェクション混合物を形成させる。別の態様では、沈殿混合物のCa2+濃度、PO4 3-濃度、pH、および温度、またはこれらのパラメーターのいずれか1つまたはあらゆる組み合わせを増加させて、粒子が遅い速度で成長するCa2+およびPO4 3-の過飽和レベルを達成し、次いで沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合してトランスフェクション混合物を形成させる。
最後に、トランスフェクション混合物を上記I(e)(2)項に記載のごとくインキュベーションする。
V.過剰成長共沈殿物の縮小を含む他の態様
沈殿物と宿主細胞を接触させる前に過剰成長した沈殿物を縮小させる方法に加え、本発明には、過剰成長した核酸−リン酸カルシウム粒子のサイズを小さくすると同時に該粒子で宿主細胞を曝露する方法も含まれる。これらの態様では、沈殿混合物を、希釈すると同時に宿主細胞培養と混合し、粒子のサイズを小さくすることができるトランスフェクション混合物を形成させ、該トランスフェクション混合物が、粒子の平均長が約300nmまたはそれ以下、好ましくは約100nmまたはそれ以下に達するまで粒子を縮小させる条件下でインキュベーションされる。粒子の溶解速度(トランスフェクション混合物のCa2+濃度、PO4 3-濃度、pH、および温度によって決定される)とインキュベーション時間は、上記IV(b)項に記載の所望の粒子縮小量をもたらすように選ばれる。次に、トランスフェクション混合物の条件を粒子の成長が遅くなるように変化させ、トランスフェクション混合物を宿主細胞が粒子を取り込むようにインキュベーションし、上記IV(c)項に記載の形質転換宿主細胞を形成させる。
あるいはまた、過剰成長した沈殿物を、希釈すると同時に宿主細胞培養と混合し、粒子が完全に溶解するまで粒子のサイズを徐々に縮小するトランスフェクション混合物を形成させ、次いで粒子の平均長が300nmまたはそれ以下に縮小する時に存在する最適サイズ化粒子を宿主細胞に取り込ませる。好ましい態様では、粒子サイズの縮小は、培養中の宿主細胞がCO2および乳酸を産生する結果、トランスフェクション混合物のpHを徐々に低下させることによって生じる。pHの漸減によってトランスフェクション混合物は、Ca2+およびPO4 3-の過剰飽和からCa2+およびPO4 3-の未飽和へと変化し、得られる粒子サイズの縮小速度が遅いことにより宿主細胞が最適サイズ化粒子に曝露されている期間が最大となる。
別の態様では、宿主細胞培養中の過剰成長粒子の初期溶解に次いで、新鮮過剰成長沈殿物をトランスフェクション混合物と混合し、トランスフェクション混合物中の該沈殿物を溶解させる周期を、所望のトランスフェクションレベルが得られるまで反復する。
本発明には、共沈殿を宿主細胞培養(上記III項に記載)中で生じさせ、これを粒子が最適サイズより大きくなるまで続けさせる方法も含まれる。この態様では、過剰成長した粒子は培養条件を変化させることによって最適サイズまで縮小し、最適粒子サイズに達した後、培養条件を、再度粒子の遅い成長を許し、宿主細胞が粒子を取り込むように変化させ、トランスフェクトされた細胞を形成させる。
さらに、本明細書に記載のすべての方法は、宿主細胞が最適サイズ化粒子に曝露される時間を最大にするために計画されたトランスフェクション混合物のインキュベーション時の粒子の過剰成長/粒子縮小の連続周期を組み合わせるために改良することができる。コンピュータ制御バイオリアクター中の浮遊培養を用いる好ましい態様では、トランスフェクション混合物の条件は、粒子サイズを評価し、細胞と最適サイズ化粒子の接触を最大にするのに必要な条件変化の程度とタイミングを計算するアルゴリズムに従って自動的に変えられる。
さらに本発明の詳細は本発明の範囲をさらに定義する以下の実施例によってさらに知ることができる。本明細書に記載のすべての引用文およびその中のすべての参考文献は本明細書の一部を構成する。
実施例1
材料と方法
1.沈殿物
β−ガラクトシダーゼ発現ベクターpSVβ(Clontech, Palo Alto, CA)またはRefinoらの、Thrombosis and Hematosis, 70:313-319(1993)に記載のtPA発現ベクターの、種々の量の精製プラスミドDNAを濃度が250mMから500mMまで変化するCaCl2を含むTE緩衝液(1mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、0.1mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、pH7.6)溶液中で希釈した。DNA/CaCl2溶液1容量をホスフェート溶液(50mM HEPES、280mM NaCl、1.5mM Na2HPO4、pH7.05)1容量に速やかに加え、この混合物をゆっくり渦巻き混合して沈殿物の形成を開始させた。種々の温度で種々の時間インキュベーションした後、該混合物の部分標本300μLを45秒間微量遠心し、上清の光学密度を260nm(OD260)で測定することにより結合していないDNAの量を定量した(OD260の1.0はDNA濃度50μg/μLに対応する)。
2.トランスフェクション
CHO細胞(CHO-DUKX DHFR minus, Urlaub and Chasinの、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216-4220(1980)およびヒト腎293細胞(ATCC CRL1573)。トランスフェクション用の細胞は、2%〜10%ウシ胎児血清を含むPSO4培地(Genentech, Inc.専売培地)(ダルベッコ改良イーグル培地およびハムF12培地(Gibco BRL 1990カタログ中、カタログ番号430-3000EBおよび430-1700EB, Gaithersburg, MD 20877)の最初の処方から開発)を用い、T−フラスコまたは500mLスピナーフラスコ中で3〜4日ごとに定期的に継代培養した。細胞培養は、Tissue Culture:Laboratory Procedures, Doyle, Griffiths and Newell編、J. Wiley and Sons, New York(1992)に記載の一般的方法に従って行った。トランスフェクションの1日前に、指数増殖期の培養から得た細胞を、2x105個/ウェルの密度で12ウェルプレートに接種し、各ウェルに2%〜10%ウシ胎児血清を添加した増殖培地1mLを加え、細胞培養プレートを5%CO2大気下、37℃で24時間培養した。
個々のウェルに最終Ca2+濃度12.5mMとなる容量:容量(v/v)比で、沈殿混合物を加えた(種々の温度で種々の時間インキュベーションした後)。pHを7.2またはそれ以上に保つとCa2+およびPO4 3-の過飽和条件が維持された。これを、3〜6時間該沈殿物に曝露し、15%グリセロールで30秒間衝撃を与え、1回洗浄し、次いで1〜6日間新鮮増殖培地中でインキュベーションした。293細胞を3〜20時間該沈殿物に曝露し、次いでグリセロール衝撃を与えることなく1〜6時間新鮮増殖培地中でインキュベーションした。
結果および考察
A.リン酸カルシウムDNA共沈殿の物理化学的パラメーター
1.温度
以下に開示するリン酸カルシウムトランスフェクションプロトコールは、DNA−リン酸カルシウム共沈殿が少なくとも10分間行われることを規定しており、ほどんどのプロトコールは20分間の共沈殿を推奨しているが、標準的条件(125mM Ca2+、0.75mM PO4 3-、25μg/mL DNA、20℃、pH7.05)下において、DNA/CaCl2溶液とホスフェート溶液を混合した後1分間以下でDNAの95%以上が該沈殿物と結合したことがわかった(図2の25μg/mL DNAのデータ参照)。温度の効果の検討を促進するため、低いホスフェート濃度(0.6mM PO4 3-)を用いて結晶の成長速度を低下させた。結晶の成長速度の低下により、DNAの該沈殿物への結合は0℃〜37℃の温度で20分間にわたり観察された(図1)。37℃で、DNA100%が1分間以内に該沈殿物と結合したが、0℃ではすべてのDNAが20分間溶液中に残っていた。この結果は、より低い温度でリン酸カルシウムの溶解性が高く、結晶形成頻度の低下と溶液の過剰飽和の低下が生じることによるものである。
2.DNA濃度
DNA濃度はトランスフェクション効率に影響するため、DNA−リン酸カルシウム共沈殿に対するDNA濃度の影響について検討した(図2)。沈殿は0.75mMのホスフェート濃度を用いて20℃で行った。その結果、DNA濃度の25μg/mL〜50μg/mLへのDNA濃度の増加は沈殿物の結合能を劇的に低下させることが明らかになった(図2)。50gμ/mLの濃度では、90%以上のDNAが20分後に溶液中に残っており、45秒の微量遠心ではペレットはほとんどみられなかった。
3.カルシウム濃度
Ca2+は沈殿混合物中のPO4 3-濃度より170倍高濃度で存在したが、さらなるCa2+の増加は沈殿物の形成に大きく影響した(図3)。250mM Ca2+および50μg/mL DNAの存在下で、30〜45μg/mL DNAが沈殿物と結合した。ホスフェート濃度(0.74mM)、によって沈殿物の絶対量を制限した場合、すべてのホスフェートが沈殿すると沈殿物は最大125μg/mLとなると予測された。該沈殿物は、375mM Ca2+および75μg/mL DNAの存在下で50μg/mLまでのDNAと結合することがわかった。したがって。DNAは最適条件下で形成される沈殿物の量の約40%を占めることができる。
B.CHOおよび293細胞中の一過性発現
DNA−リン酸カルシウム共沈殿は標準的条件(25μg/mL DNA、125mM Ca2+、0.75PO4 3-)下で行った。種々の時間20℃でインキュベーションした後、沈殿物を指数増殖期の細胞培養と混合した。トランスフェクション効率は、Somesらの、EMBO, 5:3133-3142(1986)の方法に従いX−gal染色によって発現細胞を確認する細胞内β−ガラクトシダーゼ発現系によるか、またはBennetらの、J. Biol. Chem, 266:5191-5201(1991)の方法に従い分泌されたtPA産物をELISAアッセイによって定量するtPA発現系によって分析される。図4および5に示すように、試験した沈殿物のインキュベーション期間のうちで1分間の沈殿工程が最も高いDNAトランスフェクション効率と発現レベルをもたらした。宿主細胞に4時間曝露した後の沈殿物の光学顕微鏡(位相差、倍率20X)による検査では、1分間の沈殿では極めて大量の非常に小さな粒子が形成されたが、20分間の沈殿ではより大きいがはるかに少ない粒子しか形成されなかったことが示された。293細胞およびCHO細胞の両者における1分間沈殿物の高トランスフェクション効率は、1分間の沈殿では25μg/mL DNA、125mM Ca2+および0.75mM PO4 3-を含む沈殿混合物において100%のDNAが結合するのに十分であることを示す上記データと一致している。
高レベルの一過性発現は、250mMのCa2+濃度(結晶形成頻度を最大にした)および50μg/mLのDNA濃度(結晶の成長を飽和させた)を用いることによって達成された。図6に示すように、結晶サイズは非常に短いインキュベーション期間の後に沈殿物と細胞を混合することによって調節された。この条件下で、CHO宿主細胞において得られたtPA産物の力価は、2μg/mLと高く、トランスフェクション3日後で通常約1μg/mLであった。293細胞も250mM Ca2+および50μg/mL DNAを用いて30秒間で形成された沈殿物でトランスフェクションした後により高い一過性発現レベルを生じた。この条件下で、293細胞は約2μg/106細胞/日の一過性の特異的生産性でトランスフェクション後2日目にtPA5μg/mLを生じた。
実施例2
材料と方法
最初のマトリックスプレート試験において、種々の濃度(0.4mM〜2.5mM)のPO4 3-を、140mM NaCl、30mM HEPES(pH7.2)1mL中で種々の濃度(2mM〜10mM)のCa2+と混合した。プレートを37℃で一夜インキュベーションした。各ウェルを光学顕微鏡(位相差、倍率20X)下で試験し、沈殿物の存在をスコアづけした。
第二のマトリックスプレート試験では、種々の濃度(4.2mM〜18.0mM)のCa2+を種々のpH(6.8〜7.6)のPSO4培地中の30mM HEPESおよび0.95mM PO4 3- 1mLと混合した。混合物を37℃で一夜インキュベーションした。各ウェルを光学顕微鏡(位相差、倍率20X)下で試験し、沈殿物の存在をスコアづけした。
結果と考察
最初の試験で得られたデータを図7にまとめて示す。図7の曲線上のデータポイントは沈殿物を生じるCa2+とPO4 3-の最低濃度を示す。したがって、図7に示すデータポイントはCa2+濃度とPO4 3-濃度の作用としてのリン酸カルシウム溶解性曲線を描く。最小二乗法による回帰を用いて、Ca2+濃度とPO4 3-濃度の作用としてのリン酸カルシウムの溶解性が式y=(4.704)(x-0.82699)(ここで、yはCa2+濃度であり、xはPO4 3-濃度である)と近似していることがわかった。該曲線より上方のあらゆるポイント(x,y)において、リン酸カルシウム粒子は連続的に成長することができる。該曲線より下方のあらゆるポイント(x,y)において、沈殿物は速やかに溶解する。
第二の試験で得られたデータを図8にまとめて示す。図8に示すデータポイントは、Ca2+濃度およびpHの作用としてのリン酸カルシウム溶解性曲線を描く。最小二乗法による回帰を用いて、Ca2+濃度とpHの作用としてのリン酸カルシウムの溶解性が式y=(8.688612)(x-14.075)(ここで、yはCa2+濃度であり、xはpHである)と近似していることがわかった。該曲線より上方のあらゆるポイント(x,y)において、リン酸カルシウム粒子は連続的に成長することができる。該曲線より下方のあらゆるポイント(x,y)では、沈殿物は速やかに溶解する。
実施例3
材料と方法
1.沈殿
本明細書において「pPK TNK tPA」と呼んでいる発現ベクターpRK7-T103N,N117Q,KHRR(296-299)AAAA tPA(WO93/24635(1993年12月9日公開)参照)の精製プラスミドDNA0.25mgを250mM CaCl2溶液を含むTE緩衝液2.5mL中で希釈した。DNA/CaCl2溶液は1.5mM〜4.5mM PO4 3-、50mM HEPES(pH7.05)を含むホスフェート溶液2.5mLに速やかに加え、この混合物を静かに渦巻き混合し、沈殿物の形成を開始し、次いで室温で1分間インキュベーションした。
2.トランスフェクション
トランスフェクション用の293細胞(ATCC CRL1573)は上記実施例1に記載のごとく継代された。指数増殖期の浮遊培養から細胞を得、100mLスピナーフラスコ中、0.12%パック細胞容積(PCV)(細胞約0.4−0.5x106個/mL)の密度で新鮮培地100mLに接種した。浮遊培養の部分標本を遠心し、ペレットになった細胞を所望の細胞密度で新鮮培地に再浮遊する「培地交換」により浮遊培養から細胞を得た。。再浮遊した細胞を、約70rpmに設定した磁気攪拌器(magnetically driven impeller)によってスピナーフラスコ中で浮遊状態に保った。細胞接種後約2時間でスピナーフラスコ中のCaCl2濃度は6.5mM〜14.5mMの範囲から選ばれる濃度に増加した(培地中1mM CaCl2の標準濃度から)。
上記工程1に記載のごとくDNA/リン酸カルシウム共沈殿を1分間インキュベーションした後、共沈殿混合物2mLをスピナーフラスコに速やかに加え、初期DNA濃度1mg/Lの培地および初期Ca2+濃度9mM〜17mMでトランスフェクション混合物を形成させた。該トランスフェクション混合物をよく混合し、約70rpmに設定した磁気攪拌器で攪拌しながら37℃で4時間インキュベーションした。トランスフェクション混合物を二等分してパート(A)および(B)とした。パート(A)は新鮮培地1容量と混合され、パート(B)は無変化条件下でさらに16時間インキュベーションされ、ついで新鮮培地1容量と混合された。新鮮培地で希釈した後、この混合物を合計27時間〜52時間攪拌しながら37℃でインキュベーションした。遠心して培養上清を回収した。培養上清中に分泌されたTNK tPA産物を、天然配列tPAで標準化したELISA(EPO Pat. Publ. 93,619参照)を用いて定量することによりトランスフェクション効率を分析した。
結果と考察
得られたデータを図9〜10にまとめて示す。図9は沈殿工程におけるPO4 3-濃度(DNA濃度50μg/mLおよびCa2+濃度1254mM)とトランスフェクション工程におけるインキュベーション時間に関する一過性発現の最適化を示す。図9に示すように、一過性発現レベルは沈殿工程ではPO4 3-濃度1.125mMで、またトランスフェクション工程ではインキュベーション時間4時間で最適化される。この条件下において293細胞は、約500ng/106細胞/日の一過性の特異的生産性でのトランスフェクション後52時間でTNK tPA500ng/mLを産生した。
図10は、トランスフェクション工程におけるCa2+濃度とインキュベーション時間(沈殿工程では125mM Ca2+、1.125mM PO4 3-、および50μg/mL DNA)に関する一過性発現の最適化を示す。図10に示すように、一過性発現レベルはトランスフェクション工程ではインキュベーション時間4時間で最適化される。この条件下で293細胞は、約500〜800ng/106細胞/日の一過性の特異的生産性でトランスフェクション後52時間でTNK tPA 500〜750ng/mLを産生した。トランスフェクション工程におけるCa2+濃度9mM、12.5mM、および17mMではほぼ同等な一過性発現レベルを生じた。
100mLスピナーフラスコ(4時間トランスフェクションインキュベーションの上記の条件下で)を用いるかまたは250mLスピナーフラスコ(トランスフェクション混合物100mLを4時間インキュベーションし、次いで新鮮培地1容量と混合する上記条件を改良した条件で)を用いて得られたTNK tPAの最大力価は、5日後で3mg/Lおよび2日後で1.5mg/Lであった。得られた最大一過性特異的生産性はTNK tPA約1mg/106細胞/日であった。
実施例4
材料と方法
1.沈殿
発現ベクターpRK DNase3(1990年7月12日公開の、WO90/07572に記載)の精製プラスミドDNA1.2mgを500mM CaCl2を含むTE緩衝液30mLで希釈した。DNA/CaCl2溶液を、ゆっくり振とうさせながら、200mLフラスコ中の1.5mM PO4 3-、50mM HEPES(pH7.05)を含むホスフェート溶液30mLに速やかに加え、沈殿物の形成を開始し、室温で1〜2分間インキュベーションした。
2.トランスフェクション
トランスフェクション用の293細胞(ATCC CRL1573)は上記実施例1に記載のごとく継代された。トランスフェクションの2日前に指数増殖期の浮遊培養から細胞を得、2Lバイオリアクター中、0.05%パック細胞容積(PCV)の密度で新鮮培地1Lに接種した。浮遊培養の部分標本を遠心し、ペレットになった細胞を所望の細胞密度で新鮮培地に再浮遊した「培地交換」により成長している浮遊培養から細胞を得た。再浮遊した細胞を、約70rpmに設定した磁気攪拌器によって該リアクター中で浮遊状態に保ち、約0.2%PCVの細胞密度(約0.6−0.8x106細胞/mL)に達するまで37℃でインキュベーションした。
上記工程1に記載のごとくDNA/リン酸カルシウム共沈殿を1分間インキュベーションした後、該共沈殿混合物を60mLシリンジに入れ、該リアクター中に直接注入し、初期DNA濃度1.2mg/Lおよび初期Ca2+濃度15mMでトランスフェクション混合物が形成された。該トランスフェクション混合物を上記のごとく攪拌しながら37℃で3.5時間該リアクター中でインキュベーションした。新鮮培地1容量を加え、該培養を攪拌しながら37℃で合計74時間インキュベーションした。トランスフェクション後19、24、43、50、および74時間に培養サンプルを得た。遠心して培養上清を回収した。培養上清中に分泌されたDNase産物を、サンドイッチELISA法によって定量した。マイクロタイタープレートをヤギ抗組換えヒトDNase抗血清でコートし、コートされたプレートを培養上清と接触させ、プレートを洗浄して非結合DNaseを除去し、次いで結合DNaseをホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)と結合したウサギ抗組換えヒトDNase抗血清で検出した。
結果と考察
下記表Iは、トランスフェクション後のPCV対DNaseの一過性発現についての経時データを示す。
Figure 0003815794
表Iのデータは図11にグラフで示している。表Iおよび図11に示すように、トランスフェクトされた細胞培養はトランスフェクション後19時間に0.27%PCVで0.25μg/mL DNaseを生じ、74時間後に0.55%PCVで2.2μg/mL DNAaseを生じ、特異的生産性は約500ng/106/日であった。
実施例5
材料と方法
1.沈殿
発現ベクターpRK TNK tPA(WO93/24635)の精製プラスミドDNA20mgを250mM CaCl2を含むTE緩衝液200mL中で希釈した。40Lバイオリアクターに供給する前に一つにまとまる2本のチューブラインと2つのポンプヘッド付ポンプによって、DNA/CaCl2溶液を、2.5mM PO4 3-、50mM HEPES(pH7.05)を含むホスフェート溶液200mLとインラインで混合する。ポンプ速度と、バイオリアクターエントリーポートにインラインで混合するポイントからのチューブの長さを調節して該リアクター細胞培養中で希釈する前に沈殿混合物のインキュベーションを30秒間達成する。
2.トランスフェクション
トランスフェクション用の293細胞(ATCC CRL1573)は上記実施例1に記載のごとく継代される。トランスフェクションの2日前に、指数増殖期の浮遊培養から細胞を得、40Lバイオリアクター中、0.05%パック細胞容積(PCV)の密度で新鮮培地20Lに接種した。浮遊培養の部分標本を遠心し、ペレットになった細胞を所望の細胞密度で新鮮培地に再浮遊する「培地交換」により成長している浮遊培養から細胞を得る。再浮遊した細胞を、約50rpmに設定した磁気攪拌器によって該リアクター中で浮遊状態に保ち、約0.2%PCVの細胞密度(約0.6−0.8x10細胞/mL)に達するまで37℃でインキュベーションする。0.2%PCVでpHは、7.2−7.5に増加し、250mM CaCl2 800mLを加えCa2+濃度を7.5mM増加させる。
上記工程1に記載のごとくDNA/リン酸カルシウム共沈殿を30秒間インキュベーションした後、該共沈殿混合物を該リアクターに注入し、初期DNA濃度1.0mg/Lでトランスフェクション混合物を形成させる。該トランスフェクション混合物を上記のごとく攪拌しながら37℃で5時間該リアクター中でインキュベーションする。5時間インキュベーション後、新鮮培地20Lを加え、該培養を攪拌しながら37℃で合計3日間インキュベーションする。遠心および/または濾過により培養上清を回収する。培養上清中に分泌されたTNK tPA産物を、EPO Pat. Publ. 93,619に記載の標準的tPA ELISAを用いて定量することによりトランスフェクション効率を分析する。

Claims (25)

  1. 所望の核酸を真核宿主細胞に導入する方法であって、
    (a)Ca2+、PO4 3-、および所望の核酸を混合して沈殿混合物を形成させ、
    (b)該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させ、この粒子を平均長300nmまでに成長させ、
    (c)(1)沈殿混合物を希釈すると同時に該沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、工程(b)において沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度で成長することができるトランスフェクション混合物を形成させ、そして(2)該沈殿混合物を希釈して希釈された沈殿混合物を形成させ、次いで該希釈沈殿混合物を細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、工程(b)において沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度で成長することができるトランスフェクション混合物を形成させることからなる群から選ばれる工程を実施し、そして
    (d)該トランスフェクション混合物をインキュベーションして該粒子を真核宿主細胞に取り込ませることによりトランスフェクトされた細胞を形成させる、ことを含む方法。
  2. 工程(b)において該粒子を100nmまでの平均長に成長させるものである請求項1に記載の方法。
  3. 該真核宿主細胞が哺乳動物細胞である請求項1に記載の方法。
  4. 工程(b)において該沈殿混合物が60秒間までの期間インキュベーションされるものである請求項1に記載の方法。
  5. 工程(b)において該沈殿混合物が30秒間までの期間インキュベーションされるものである請求項4に記載の方法。
  6. 所望の核酸がDNAである請求項1に記載の方法。
  7. 工程(a)において、該沈殿混合物が初期Ca2+濃度250mMを含むものである請求項6に記載の方法。
  8. 工程(a)において、該沈殿混合物が初期濃度50μg/mLの所望のDNAを含むものである請求項7に記載の方法。
  9. 工程(c)において、該トランスフェクション混合物が工程(b)の沈殿混合物の初期Ca2+濃度より少なくとも10倍低い初期Ca2+濃度を含むものである請求項1に記載の方法。
  10. 所望の核酸を浮遊液中の真核宿主細胞に導入する方法であって、
    (a)Ca2+、PO4 3-、および所望の核酸を混合して沈殿混合物を形成させ、
    (b)該沈殿混合物をインキュベーションしてリン酸カルシウムと所望の核酸を含む粒子を形成させ、該粒子を平均長300nmまでに成長させ、
    (c)(1)沈殿混合物を希釈すると同時に該沈殿混合物を、浮遊液中の細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、工程(b)において沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度で成長することができるトランスフェクション混合物を形成させ、そして(2)該沈殿混合物を希釈して希釈された沈殿混合物を形成させ、次いで該希釈沈殿混合物を、浮遊液中の細胞壁を欠く真核宿主細胞と混合し、該粒子が、工程(b)において沈殿混合物中で成長する速度より実質的に遅い速度で成長することができるトランスフェクション混合物を形成させることからなる群から選ばれる工程を実施し、そして
    (d)該トランスフェクション混合物をインキュベーションして該粒子を真核宿主細胞に取り込ませることにより浮遊液中でトランスフェクトされた細胞を形成させる、ことを含む方法。
  11. 工程(b)において該粒子を100nmまでの平均長に成長させるものである請求項10に記載の方法。
  12. 工程(b)において該沈殿混合物を2分間までの期間インキュベーションするものである請求項10に記載の方法。
  13. 工程(b)において該沈殿混合物を1分間までの期間インキュベーションするものである請求項12に記載の方法。
  14. 工程(b)において該沈殿混合物を30秒間までの期間インキュベーションするものである請求項13に記載の方法。
  15. 工程(c)において該トランスフェクション混合物が少なくとも1Lの全容量を含むものである請求項10に記載の方法。
  16. 工程(c)において該トランスフェクション混合物が少なくとも20Lの全容量を含むものである請求項15に記載の方法。
  17. 真核宿主細胞が哺乳動物細胞である請求項10に記載の方法。
  18. 該所望の核酸がDNAである請求項10に記載の方法。
  19. 工程(a)において該沈殿混合物が初期PO4 3-濃度1.125mMを含むものである請求項18に記載の方法。
  20. 工程(a)において該沈殿混合物が初期濃度50μg/mLの所望のDNAを含むものである請求項19に記載の方法。
  21. 工程(d)の後にさらに該粒子を該トランスフェクション混合物中で溶解させ、浮遊液中でトランスフェクトされた細胞を成長させる工程(e)を含むものである請求項10に記載の方法。
  22. 工程(c)において、該沈殿混合物または希釈された沈殿混合物を浮遊液中の真核宿主細胞を含む混合物と混合する前に、浮遊液中の真核宿主細胞を含む混合物中のCa2+濃度を7.5mMに増加させるものである請求項10に記載の方法。
  23. 工程(a)において所望の核酸、Ca2+、およびPO4 3-を取り込みパイプに注入し、工程(b)において沈殿混合物を取り込みパイプ中でインキュベーションし、次いで工程(c)において取り込みパイプの沈殿混合物を、浮遊液中の真核宿主細胞を含む混合物を含む培養器中に注ぎ入れるものである請求項10の方法。
  24. 工程(a)において所望の核酸、Ca2+、およびPO4 3-を取り込みパイプに注入し、工程(b)において沈殿混合物を取り込みパイプ中でインキュベーションし、次いで工程(c)において希釈物を、該核酸、Ca2+、およびPO4 3-取り込み口の下流のポイントで別の取り込みパイプを介して該沈殿混合物に注ぎ入れ、該沈殿混合物を稀釈して稀釈された沈殿混合物を形成させ、次いで工程(c)において、取り込みパイプの稀釈された沈殿混合物を浮遊液中の真核宿主細胞を含む混合物を含む培養容器中に注ぎ入れるものである請求項10の方法。
  25. 工程(c)において、該トランスフェクション混合物が工程(b)の沈殿混合物の初期Ca2+濃度より少なくとも10倍低い初期Ca2+濃度を含むものである請求項10の方法。
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