JP3814834B2 - 固定サンプリングによる高調波検出方法 - Google Patents

固定サンプリングによる高調波検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
固定サンプリング方式によって基本波、及び高調波の成分、位相差を計算する際の演算方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電力系統に含まれる高調波成分を盤内で測定する場合には、系統同期サンプリング方式によって得られたサンプリングデータ(離散値)をフーリエ変換して高調波の演算を行っていた。図19に系統同期サンプリング方式の構成図を示す。
【0003】
同図において、同期信号の検出は、同期入力を変成器TおよびバンドパスフィルタBPFを介して系統同期検出回路Sで検出し、測定入力1,2…nは、変成器Tl〜Tn,ローパスフィルタLPFl〜LPFnを介してサンプルホルダS/Hl〜S/Hnに入力され、各サンプルホルダS/Hl〜S/Hnで系統同期検出回路Sの出力信号に同期した信号を得、この信号をマルチプレクサMPXを経てアナログ、デイジタル変換器A/Dでデイジタル信号に変換してコンピュータCPUに入力され、当該コンピュータCPUでフーリエ変換して高調波の演算を行う。
【0004】
離散値からフーリエ変換によって高調波の演算を行う際には以下の式を用いる。
【0005】
第n次高調波の実効値をCn,位相をθnとすると測定入力y(t)は
【0006】
【数1】
Figure 0003814834
【0007】
と表す事ができる。大きさCn,位相θn
【0008】
【数2】
Figure 0003814834
【0009】
で求められる。
【0010】
ここで、mは基本波周波数1サイクル分のサンプリング点数である。
【0011】
フーリエ変換は1サイクルをm点で等間隔にサンプリングする事によって基本波f(1)成分、第2次調波f(2)成分、・・・・・第n次調波f(n)成分を求める。
【0012】
図20は、この系統同期サンプリング方式のフロー図で、ステップS1で、0クロス点を検出し、次に系統同期検出(S2)を行い、1周期分のサンプリングデータを収集し(S3)、フーリエ変換を実施しn次調波(nは任意の整数)成分を演算(S4)する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
系統同期サンプリング方式ではサンプリング周波数が入力信号の周波数の整数倍になるように調節が行われるので、常に入力信号をm点で等間隔にサンプリングしている。故に演算は正確に行われる。しかし、
A.高調波の演算に系統同期サンプリング方式を用いると、
a.図19で示した通り、同期検出回路を設けなければならない。
【0014】
b.電圧・電流測定用のハードと共用できないため、専用ハードとなる。
【0015】
(電圧・電流測定用のハードは固定サンプリング方式を採用している。)
c.サンプリング信号が電圧・電流測定用と異なるため、専用のバスを設けなければならない。
【0016】
等の理由により、コストがアップしてしまうという問題点があった。
【0017】
B.コストアップを抑えるため、高調波演算用のハードを電圧・電流測定用と共用する方式が提案されたが、電圧・電流測定用のハードは、同期検出回路を実装していない固定サンプリング方式であるため以下のような問題点が生じてくる。
【0018】
a.測定入力の基本波周波数が基準となる周波数からずれると
(a)測定入力に含まれる高調波成分が正確に求められない
(b)測定入力に含まれていない高調波成分が演算誤差によって見かけ上発生してしまう
(c)サンプリングの開始点の位相により演算結果がばらつく
b.サンプリング開始点の位相により演算の結果求まる成分が異なる。
【0019】
図21に周波数49.5Hzの純正弦波をサンプリング周波数4800Hz,96点の固定サンプリング方式でフーリエ変換を行って、演算した場合の結果の1例を示す。なお、同図において、横軸は次数、縦軸は成分である。
【0020】
実際に入力しているのは基本波成分のみであるのに、第2次調波成分に1.22%もの誤差成分が現れている。
【0021】
また、図22にサンプリングの開始点の位相を変化させたときの当該次数成分の演算結果を示す。同図は横軸はサンプリング開始位相(度)、縦軸に成分(%)をとったもので、曲線aは第1次、bは第3次、cは第5次、dは第7次、eは第9次、fは第11次の演算結果を示している。
【0022】
図22から高い次数ほど実際の入力よりも低い演算結果が現われる傾向が強くなり、またサンプリングの開始点の位相によって演算結果が異っている。
【0023】
以上の点に鑑み、本発明は固定サンプリング方式により、正確な高調波成分の検出を行う方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明において、上記の課題を解決するための手段および作用は、請求項1の発明は、測定入力の基本波周波数に含まれている高調波成分を固定サンプリングでフーリエ変換して検出する方法において、前記基本波周波数の1周期分のサンプリングデータを収集し、この収集したデータをフーリエ変換してn次高調波成分を演算した後、サンプリング開始時の位相角を求め、その時点における実数成分と虚数成分から第n次高調波の実効値と位相を求め、位相補正演算を実施して位相補正を行い、位相補正演算で得られた演算結果を実数成分と虚数成分とに分解してベクトル量の平均化処理を行って高調波成分を得るようにしたことを特徴とする。このようにすることにより高調波成分、重畳位相角を正確に求められる。
【0027】
請求項2の発明にあっては、測定入力の基本波周波数に含まれている高調波成分を固定サンプリングでフーリエ変換して検出する方法において、前記基本周波数の2周期分のサンプリングデータを収集し、フーリエ変換と請求項1の演算とを同時に実施してn次調波の実数成分と虚数成分を演算し、位相補正とベクトル量による平均化処理とを同時に行うことを特徴とする。
【0028】
このようにすることにより、演算量が大幅に低減でき、重畳位相結果については請求項2と同等の精度が得られる。
【0029】
請求項3の発明にあっては、測定入力の基本波周波数に含まれている高調波成分を固定サンプリングでフーリエ変換して検出する方法において、請求項1又は2による演算結果をシミュレーションによって求め、この値から次の式による演算結果をあらかじめ用意し、
演算結果an=−0.1286n2(Δf)2+100(%)
但しΔfは入力の基本波周波数の変動分
サンプリング周波数をサンプリング点数で割った値から測定対象となる基本波の周波数を求め、入力の基本波周波数との差Δfを計算して、この計算結果のΔfを上式に代入し、更にan’=100/{−0.1286n2(Δf)2+100}×anの演算をして第n次高調波成分を得るようにしたことを特徴とする。
【0030】
このようにすることにより、請求項2によって高調波成分を求めた後、本発明を用いて演算結果の補正を行えば、請求項1によって得られた演算結果よりも高精度な結果が得られる。さらに請求項2で必要な演算量と本発明で必要な演算量を合わせても、その量は請求項1で必要な演算量よりも格段に少ないので、請求項2本発明を組み合わせれば速く、且つ正確な演算が行える。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0032】
本発明は、固定サンプリング方式により高調波成分を演算するもので、第1の実施例はベクトル量として平均化処理を行い、他次数成分誤差を大幅に低減する方式に関する。
【0033】
実施例1:ベクトル量として平均化処理を行う方法
サンプリング開始位相を変化させた時の当該次数成分、及び他次数成分をベクトルとして捕らえ場合、そのベクトル軌跡は図1,図2のようになる。
【0034】
なお、図1は周波数49.5Hzの純正弦波を入力としたときの基本波成分のベクトル軌跡、図2は同じく入力49.5Hzの時の第2次成分についてのベクトル軌跡を示し、横軸に実数分(%)、縦軸に虚数分(%)を採っている。
【0035】
これらの図から、図2のベクトル軌跡からサンプリング開始位相を1周期分変化させた時の演算結果を求め、それのベクトル和を取れば他次数成分誤差が大幅に低減できることがわかる。
【0036】
図3はこの演算方法のフロー図で、まず1サイクルのサンプリング点数m(サンプリング周波数が4800Hzで基本波50Hzの場合、m=96点で、以下96点で説明する)を0から1周期分(96点分)のサンプリングデータを収集(S2)し、フーリエ変換を実施し、n次調波(nは任意の整数)成分を演算する(S3)。次にその演算結果を実数成分an(m)と虚数成分bn(m)に分解する(S4)。そしてサンプリング点数mに1をプラスし(S5)、96と比較し(S6)。m>96のときはステップS7で式1を演算する。m<96の場合はステップS8でサンプリング開始して位相を1サンプリング分進め、ステップS2に戻り、以下同様にm>96になるまで1サンプリング分進め、96回これを繰返した後にS7に進む。
【0037】
従来のように単純にフーリエ変換を行っただけでは、n次調波の入力が例えばn+1次、又はn−1次といった他の次数成分の演算結果に影響(これを以下、他次数に及ぼす影響と称す)が大きいので正確な演算はできないが、本実施例においては、この他次数に及ぼす影響が大幅に除去される。
【0038】
実施例2:位相補正演算を行って平均化処理を行う方法
実施例1においては、他次数成分だけでなくn次の入力に対するn次成分の演算結果(これを以下、当該次数成分と称す)まで除去してしまう。
【0039】
即ち、サンプリング開始位相を基本波の1周期分だけ変化させたときのベクトル和を取ることで他次数成分は大幅に除去できるが、しかし単純にベクトル和を取っただけでは図1に示される当該次数成分も除去してしまうのでこれを防ぐため実施例2においては、位相補正演算を行った後に、ベクトル和を取る手法を実施する。その手順は次の通り。
【0040】
手順1:サンプリング開始位相がθの時のa1、b1(これをa10、b10とする)を求める。
【0041】
手順2:a10、b10から(2)式によりθ1を計算する(これをθ10とする)。
【0042】
手順3:手順1と同様にサンプリング開始位相がθの時のaa、ba(これをaa0、ba0とする)を求める。
【0043】
手順4:an0、bn0から(2)式によりCnとθnを計算する(これをCn0,θn0とする)。
【0044】
手順5:次式により位相補正演算後のan,bn(これをan0’,bn0’とする)を計算する。
【0045】
【数3】
Figure 0003814834
【0046】
手順6:サンプリング開始位相をθ〜θ+360°の間で1サンプリング分ずつ変化させ、その度、an,bnを計算する。(計算は手順1〜5を繰り返し、サンプリング開始位相がθの時はan0’,bn0’、θ+サンプリング分(3.75°)の時はan1’,bn1’とする。以下同様にan95’,bn95’まで計算する。)
手順7:次式によりan,bnの平均化処理を行い、最終的なCn,及びθn(以下これをCa’,θn’と称す。)を得る。
【0047】
【数4】
Figure 0003814834
【0048】
位相補正演算前と位相補正演算後のベクトル軌跡を図4,及び図5に示す。
【0049】
即ち、図4は基本波成分(当該次数成分)についてのベクトル軌跡の比較で(a)は位相補正演算前、(b)は位相補正演算後を示している。
【0050】
また、図5は第2次調波成分(他次数成分)についてのベクトル軌跡の比較で、(a)は位相補正演算前、(b)は位相補正演算後を示す。
【0051】
図4及び図5から前述した位相補正演算を行うことにより、当該次数成分を残しながら、他次数成分を大幅に低減できることがわかる。
【0052】
図6は基本波が他次数成分に与える影響を表わしたもので、49.5Hzの純正弦波を入力したときの第2次〜第13次に現われる演算誤差を示す。
【0053】
補正前は第2次調波成分に約1.3%もの誤差成分が現われていたが、補正後ではほとんど零に近い値をとっている。
【0054】
図7に上記手順で位相補正と平均化処理を行ったときの位相特性を示す。入力として49.5Hzの基本波に30°の位相差を持たせて重畳させた第3調波を加えたときの(ここで言う30°とは、第3調波1周期を360°としたときの30°である)、演算結果から求められた位相差を示したものである。補正を行う前に比べて、極めて正確に重畳位相が演算できているのが分かる。
【0055】
図8は本実施例のフロー図で、図3のフローチャート(アルゴリズム)のステップS2の次にステップ3として位相補正演算を追加したものである。
【0056】
本実施例では、高調波成分、重畳位相共に正確に求めることができる。但し、演算量が膨大となるので、10秒に1回の割合で高調波成分を求める、といった比較的処理が遅くてもよいような装置に適する。
【0057】
実施例3:フーリエ変換と位相補正演算を同時に行う方法
本実施例は、フーリエ変換と位相補正演算を同時に行って演算量の低減を図ったものである。
【0058】
実施例2では、
【0059】
【数5】
Figure 0003814834
【0060】
として行っていた演算を以下のように変更し、処理の高速化を図る(式中の_部が変更箇所)。
【0061】
【数6】
Figure 0003814834
【0062】
但しym:m回目のサンプリング時に於いてのサンプリングデータ,km=sin(ωmT):(2)式参照
これはサンプリング周波数が系統周波数の整数倍であるときに
【0063】
【数7】
Figure 0003814834
【0064】
なる関係式が成立する事を応用したものであり、この場合、a12
a12=2/96{y0・k0+y1+y2・k2+・・・・・+y94・k94+y95・k95} (8)
と変形できるのでフーリエ変換と位相補正演算が同時に行えたといえる。
【0065】
入力の周波数がサンプリング周波数の整数分の1から変動した場合でも、その変動分が微少なものであれば(7)式は
【0066】
【数8】
Figure 0003814834
【0067】
と置けるので、実施例2の補正方法を用いた場合と大差ない演算結果が得られる。
【0068】
図9に周波数49.5Hzの純正弦波の入力に対し、サンプリング周波数4800Hz,96点で演算を行った場合の第2次調波成分のベクトル軌跡を示す。ベクトル軌跡の形状がよく似ている事から、実施例3の補正方法でも実用上問題がないものと考えられる。
【0069】
図9は49.5Hz×1次のみを入力したときの第2次成分に対するベクトル軌跡で、(a)は実施例2の補正方法を実施した場合、(b)は実施例3の補正方法を実施した場合を示している。
【0070】
次に、図10に49.5Hzの純正弦波を入力したときの第2次〜第13次までの演算誤差を示す。同図のe2は実施例2の補正を実施した場合(最大値)、e3は実施例3の補正を実施した場合(最大値)を示している。前の実施例2と同じ条件でシミュレーションを行っているので補正前のグラフの代わりに実施例2の補正方法で補正を行ったときのグラフを載せている。図10から、演算誤差が実施例2,実施例3共に補正前に比べて、大幅に除去されている事から実施例3の補正方法でも実用上問題がない事が分かる。
【0071】
図11に(6)式の演算方法を用いて位相補正と平均化処理を同時に行ったときの位相特性を示す。同図のe2−g,e3−gは夫々実施例2、実施例3の処理実施後の最大値、e2−m,e3−mは夫々実施例2、実施例3の処理実施後の最小値を示している。入力として49.5Hzの基本波に30°の位相差を持たせて重畳させた第3調波を加えたときの、演算結果から求められた位相差を示したものである(図8と同様の条件)。実施例2の補正方法で得られた演算結果と同じくらい正確に重畳位相が演算できているのが分かる。
【0072】
図12は実施例3のフロー図で、図8に比してフロー図が簡単になっている。即ち、実施例2に比べて演算量が大幅に低減できる。重畳位相の演算結果については、実施例2と同等の精度が得られる。
【0073】
高調波成分の演算結果については、8次くらいまでは問題ないが、それより高い次数になると真値との誤差が無視できなくなってくる、などの課題が残る。
【0074】
実施例4:演算結果から得られる高次調波成分の補正方法
実施例2及び実施例3で述べた補正方法を用いると、図13に示すように、演算結果にばらつきのない、高精度な演算結果が得られる。
【0075】
図13は補正前と補正後の演算結果の比較を表わしたもので、横軸に対象次数(n)、縦軸に成分(%)を採り、Aは補正前の最大値,Bは補正前の最小値、e2は実施例2の補正実施後(最大、最小両方)、e3は実施例3の補正実施後(最大、最小両方)を示している。
【0076】
しかし、同図からわかるように測定対象とする次数が高くなるほど、実際の入力と演算結果との誤差は大きくなり、第13次では実施例2の補正方法で約2.5%、実施例3の補正方法では約4%の誤差が生じる。
【0077】
本実施例は、演算結果から得られる誤差の大きい高次調波成分の補正方法に関するものである。1例として実施例3の補正方法を用いた場合の演算結果の補正方法について説明する。
【0078】
演算結果の誤差は測定対象とする次数nと入力の基本波周波数の変動分Δfに起因している。図14に第13次調波成分について入力周波数が変動した場合の当該次数成分の演算結果を示す。
【0079】
シミュレーションによって得られた値から以下の経験式が導出された。
【0080】
演算結果=−0.1286n2(Δf)2+100(%) (10)
上式を基に以下の手順で当該次数の補正を行う。
【0081】
手順1:(6)式の要領でa10とa196,b10とb196を求め、入力の基本波の周波数を演算する。既に入力の基本波周波数が分かっている場合はこの作業は必要ない。
【0082】
手順2:サンプリング周波数をサンプリング点数で割った値から測定対象となる基本波の周波数を求め、入力の基本波周波数との差を計算する。これをΔfとする。
【0083】
(例:49.5Hzの純正弦波をサンプリング周波数4800Hz,サンプリング点数96点でサンプリングした場合、Δf=49.5−(4800/96)=−0.5(Hz)となる)
手順3:実施例3の補正方法で得られた演算結果をanとすれば
n’=(an)/{−0.1286n2(Δf)2+100×100}(11)として真値に極めて近い演算結果を得る事が可能となる。
【0084】
図15、図16に(11)式の補正を実施する前と補正を実施した後の演算結果を示す。図15は基本波成分についての比較、図16は第13次成分についての比較を示し、横軸に系統周波数(Hz)、縦軸に成分(%)を採り、実線は実際の値(補正前)、点線は補正後の値を示している。
【0085】
ばらつきの範囲を最悪でも−0.04%に抑えていることから、演算結果の補正に極めて有効な手段であることがわかる。
【0086】
図17は実施例4の演算手順のフロー図を示す。ステップSであらかじめシミュレーション等によって行っておくべき作業をしておく、この作業は実施3を用いた場合の演算結果をシミュレーションによって求め、これから基本波周波数と測定対象次数との関係式を得て、次に、近似式をマイコンユニット内のROMに記憶させておく。そして、スタート後、ステップS1で実施例3を用いてm次調波成分のan及びbnを求め、次に基本波の周波数を求め(ステップS2)ステップS3で求めたan,bnを近似式を用いて補正する。
【0087】
このようにして、実施例3における高次の高調波成分の演算結果が真値に対して大きく異ってくるのを解決できる。
【0088】
また、実施例3によって高調波成分を求めた後、実施例4を用いて演算結果の補正を行えば、実施例2によって得られた演算結果よりも高精度な結果が得られ、更に、実施例3で必要な演算結果を含めても、その量は実施例2で必要な演算量よりも格段に少ないので、実施例3と実施例4を組み合わせれば、速く、且つ正確な演算が可能となる。
【0089】
以上、固定サンプリング方式で単純にフーリエ変換を行った場合に生ずる問題点から、本発明を創設するに到る過程をフロー図で示すと図18のようになる。
【0090】
即ち、固定サンプリング方式による高調波演算(a)において、単純にフーリエ変換を行っただけでは、他次数成分に及ぼす誤差が大きいので実用的ないことが判り(a1)、実施例1を発明したが(a2)、この実施例1においては、当該次数成分まで除去してしまうという課題が残り、この課題を解決するために、当該次数成分は除去せずに、他次数成分のみを除去する実施例2を開発した(a3)。
【0091】
しかし、この実施例においては、演算量が膨大となり高速処理が出来ないという課題が発生した。そこで、実施例2の利点を維持しながら、演算量の大幅な低減を図った実施例3を発明した(a4)。しかし、この発明を実施すると、高次数調波成分の真の入力値と演算結果との誤差が大きくなるという課題が発生した。
【0092】
そこで、この課題を実施例3と組み合わせて実施することにより13次のような高次調波成分も正確に演算できる実施例4を発明し、課題の残らない固定サンプリングによる高調波演算方法を実現したものである(a5)。
【0093】
以上のことから、各実施例は従来の高調波演算法に比べて、それぞれメリットがあるが、特に、実施例3と実施例4とを組み合わせて高調波演算を実施することにより、処理速度、演算結果の正確さにおいて優れ、これを推奨するものである(a6)。
【0094】
なお、実施例4は、実施例3だけでなく実施例2と組み合わせて利用することもできることは勿論である。
【0095】
【発明の効果】
本発明は次の効果を奏する。
【0096】
(1)請求項1においては、測定入力に含まれる基本波、及び高調波が、他の次数に誤差成分を生じさせる影響を大幅に除去できる。
【0097】
(2)また、請求項1においては、上記の効果に加えて、測定入力に含まれる基本波、及び高調波の成分を正確に演算できる。
【0098】
(3)請求項2においては、請求項1の補正方法に比べて精度的には若干劣るが、処理速度を大幅に向上させる事が可能となる。
【0099】
(4)請求項3においては、請求項1及び請求項2では補正しきれなかった高次数調波成分の演算結果を±0.04%という非常に高精度な領域に納める事ができる。
【0100】
(5)以上総合的にみて、
a.演算結果の精度、及び処理速度の面で従来の系統同期サンプリング方式と同等の効果を得られる。
【0101】
b.固定サンプリング方式の場合には系統同期検出回路が不要となるため回路の簡易化、及びコストダウンを図る事ができる。
【0102】
c.電流・電圧測定用ボード(プリント板)と共用して使用する事が可能となるので、高調波ユニットの省略、及びコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基本波成分のベクトル軌跡図。
【図2】第2次成分のベクトル軌跡図。
【図3】本発明の実施例のフロー図。
【図4】基本波成分についてのベクトル軌跡の比較図。
【図5】第2次調波成分についてのベクトル軌跡の比較図。
【図6】基本波が他次数成分に与える影響の説明図。
【図7】高調波を重畳させたときの重畳位相演算結果の説明図。
【図8】本発明の実施例2のフロー図。
【図9】49.5Hz×1次のみを入力したときの第2次成分に対するベクトル軌跡図。
【図10】基本波が他次数成分に与える影響の説明図。
【図11】重畳位相について比較した場合の説明図。
【図12】本発明の実施例3のフロー図。
【図13】補正前と補正と補正後の演算結果の比較図。
【図14】入力周波数が変動したときの演算結果の説明図。
【図15】基本波成分についての比較図。
【図16】第13次成分についての比較図。
【図17】本発明の実施例4のフロー図。
【図18】本発明の実施例1〜4を発明するまでの過程の説明図。
【図19】従来の回路構成図。
【図20】従来の系統同期サンプリング方式のフロー図。
【図21】固定サンプリングでフーリエ変換を行ったときの演算結果の説明図。
【図22】サンプリング開始点の位相を変化させた時の演算結果の説明図。
【符号の説明】
T,Tl〜Tn…変成器
BPF…バンドハスフィルタ
LPFl〜LPFn…ローパスフィルタ
S…系統同期検出回路
MPX…マルチプレクサ
A/D…アナログ・ディジタル変換器
CPU…コンピュータ

Claims (3)

  1. 測定入力の基本波周波数に含まれる高調波成分を固定サンプリングでフーリエ変換して検出する方法において、
    前記基本波を任意の周波数にてサンプリングし、サンプリングされたデータのうち基本波1周期分のサンプリングデータを収集し、フーリエ変換してn次高調波成分(nは任意の整数)を演算した後、サンプリング開始時の位相角を求め、その時点における実数成分と虚数成分から第n次高調波の実効値と位相を求め、位相補正演算を実施して位相補正を行い、位相補正演算で得られた演算結果を実数成分と虚数成分とに分解してベクトル量の平均化処理を行って高調波成分を得るようにしたことを特徴とする固定サンプリングによる高調波検出方法。
  2. 基本波周波数を任意の周波数にてサンプリングし、サンプリングデータを収集してフーリエ変換し、n次調波(nは任意の整数)成分を検出する方法において、
    前記サンプリングデータを基本波周波数の任意周期分収集してフーリエ変換し、n次調波成分を算出するとともに、サンプリング開始時の位相角を求め、その時点における実数成分と虚数成分から第n次高調波の実効値と位相を求め、位相補正演算を実施して位相補正を行い、位相補正演算で得られた結果を実数成分と虚数成分とに分解して、位相補正とベクトル量の平均化処理とを同時に行うことを特徴とする固定サンプリングによる高調波検出方法。
  3. 次式による補正係数を予め用意し、
    補正係数=100/{−0.1286n2(△f)2+100}
    但し、△fは入力の基本周波数の変動分
    サンプリング周波数をサンプリング点数で割った値から測定対象となる基本波の周波数を求めて入力の基本周波数との差△fを算出し、この△fを上式に代入して補正係数を求め、この補正係数にn次調波の実数成分を掛算することにより第n次高調波成分を得ることを特徴とする請求項1又は2記載の固定サンプリングによる高調波検出方法。
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