JP3805718B2 - 電力系統周波数変動発生検出方法、電力系統周波数偏差計測方法及び電力系統周波数計測方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統の周波数変動の発生の検出方法、周波数偏差の計測方法及び周波数の計測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電力系統の周波数検出は、波形のゼロクロス間の時間を検出し、その逆数から求める手法が用いられている[「高速サンプリングを適用した電力系統用高精度電圧検出方式の検討」電気学会論文集B、113巻5号、pp553/561(1993)]。しかしながら、この手法では周波数は1周期または半周期毎に検出される。近年、パワーエレクトロニクス機器などでは、高速な応答性を有する制御系が電力系統分野に導入されつつある。そのため応答速度に同期した連続的な周波数変動(周波数変動の発生、周波数偏差、変動した周波数)の検出精度の向上は、さらに機器の制御性能の向上をもたらすことが分かっている。
【0003】
従来技術の一手法として、正相分検出式PLL(Phase Locked Loop)を用いて位相と周波数を求める手法が提案されている[「電力系統事故時の異常電圧に対処したPLLおよび周波数検出法」電気学会論文集B、118巻9号、pp955/961(1998)]。この手法は、異常電圧耐性が優れている反面、演算による無駄時間、フィードバック制御系の遅れなどが存在する。一方、近年デジタル信号処理技術の応用がこの分野にも積極的に試みられ、DFT(Discrete Fourier Transform)を用いた位相検出法が提案されている[「DFT実時間位相検出の誤差評価と補正法」電気学会論文集B、120巻12号、pp1682/1690(2000)]。この論文では、DFTの設計周波数に対する系統周波数の偏差によって生じる位相検出誤差の評価とその補正法を検討している。しかしながら周波数自体を検出する手法については議論がない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のいずれの技術でも、周波数の変動の発生を早期に且つ高い精度で検出することができない問題がある。また従来の技術では、簡単に周波数の偏差の検出精度を高めることができない問題がある。更に従来の技術では、演算が複雑になるため、ソフトウエアによる処理が必ずしも容易ではないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、早期に周波数変動の発生を検出できる電力系統周波数変動発生検出方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、早期に且つ高い精度を持って電力系統の周波数偏差を計測できる方法を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、早期に且つ高い精度を持って電力系統の周波数を計測できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、通常のDFT(Discrete Fourier Transform)に比べて計算量を大幅に削減できる再帰的DFTを用いるフェーザ計測法を用いて、周波数の変動の発生を検出し、また周波数偏差を計測し、更に周波数を計測する。フェーザ計測法については、"Improved Control and Protection of Power Systems Through Synchronized Phasor Measurement"と題してControl and Dynamic Systems、Vol.43、pp.335/376(1991)に掲載されており、また「DSPとGPSを用いた高機能電力系統状態量同時計測システム」と題して高速信号処理応用技術学会誌(電子技術9月号)、3巻3号、pp20/25(2000)にも掲載されている。
【0009】
周波数の計測という観点から見れば、本発明の特徴は、DFTの設計周波数に対する系統周波数の偏差によって生じる位相の動揺を再帰的DFTより算出し、逆算して周波数を求めることにある。そして単相電力系統であれば、含有する基本波の約2倍の周波数となる動揺成分を移動平均フィルタ等のデジタルフィルタにより除去することで、連続的に周波数検出が実現できる。
【0010】
具体的には、まず単相電力系統における周波数(f)が基本周波数(f0)からある偏差分だけ変動したときを周波数変動発生時として検出する電力系統周波数変動発生検出方法では、次のステップを行う。なお基本周波数とは、我が国では50Hzまたは60Hzである。
【0011】
最初に予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における単相電力系統の電圧瞬時値νrを測定する。基本周波数の1周期をN回のサンプリング数でサンプリングすると仮定した場合、サンプリング時間Tsは、Ts=1/(f0N)となる。Nが100で基本周波数が60Hzであれば、Tsは約0.00017秒である。
【0012】
次に、順次測定した電圧瞬時値νに基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って再帰的電圧フェーザを求める。再帰的ディスクリート・フーリエ変換で正確な演算を行うためには、周知のように、予め定めたサンプリング回数分のデータの蓄積が必要であり、概念的には1回のサンプリングが行われると蓄積した予め定めたサンプリング回数分のデータの最初のサンプリングデータが捨てられて、新規のサンプリングデータが加えられる演算が実行されることになる。
【0013】
再帰的電圧フェーザには、基本周波数を含まずに偏差Δf分を含む成分と、基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分及び偏差Δfを含んで変動する変動成分とが含まれる。そこで再帰的電圧フェーザから、移動平均フィルタ等のフィルタを用いて基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分を含む変動成分を除去し、併せてこのフィルタ処理によって量子化誤差に伴うノイズも除去する。
【0014】
次に、基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分を除去した再帰的電圧フェーザから、あるサンプリング時刻における位相成分(φ1,r)とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分(φ1,r-1またはφ1,r+1)とをそれぞれ求め、それらの差即ち位相偏差を演算により求める。そして位相偏差が発生したときを周波数変動発生として検出する。前述のように、再帰的電圧フェーザに基づいてあるアンプリング時刻における偏差を正確に計測するためには、予め定めサンプリング回数分(好ましくは基本周波数の半周期または1周期分)のサンプリング値の収集が必要である。しかしながら周波数変動が発生すると、直ちに位相偏差の演算結果には変動が現れる。したがってこの位相偏差の発生の有無を位相偏差と予め定めた閾値との比較として観察すれば、周波数変動の発生時(具体的には時刻)を早期に検出することができ、従来よりも電力系統の制御系における応答速度を速めることが可能になる。
【0015】
基本周波数(f0)からの偏差Δfを計測するためには、前述の位相偏差を利用すればよい。具体的には、[(φ1,r)−(φ1,r-1またはφ1,r+1)]/2πTsの演算を実行することにより、偏差を求めることができる。なお前述の通り、再帰的ディスクリート・フーリエ変換で正確な演算を行うためには、予め定めたサンプリング回数分のデータの蓄積が必要であるので、実際にはこの予め定めたサンプリング回数分のデータの蓄積後の演算結果を用いる。
【0016】
更に電力系統の周波数を求める場合には、前述のようにして求めた偏差Δfを基本周波数f0に加算すればよい。
【0017】
三相電力系統における周波数変動の発生、位相偏差及び周波数の計測を行う場合には、予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における前記三相電力系統の各相の電圧瞬時値をそれぞれ測定し、その各相の電圧瞬時値に基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って各相の再帰的電圧フェーザを求め、各相の再帰的電圧フェーザを用いて対称座標法により正相電圧フェーザを求める。そしてこの正相電圧フェーザから、あるサンプリング時刻における位相成分とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分との位相偏差を演算する。正相電圧フェーザの演算過程において、偏差Δfを含んで変動する変動成分が互いに打ち消されてしまうので、三相電力系統における周波数変動の発生、位相偏差及び周波数の計測を行う場合には、原理的には移動平均フィルタ等によるフィルタ処理は不要である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の方法の実施の形態について説明する。図1は、単相電力系統における周波数(f)が基本周波数(f0)からある偏差分だけ変動したときを周波数変動発生時として検出する本発明の電力系統周波数変動発生検出方法を実施する場合の実施の形態のステップを図示したものである。
【0019】
この実施の形態では、再帰的ディスクリート・フーリエ変換により、電圧瞬時値νに基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って再帰的電圧フェーザ(ベクトルとして表現されるXr)を求める。ここでまず再帰的電圧フェーザを求める場合には、演算回数が少なくて済むことを説明する。まず1周期分の電圧瞬時値νをディスクリート・フーリエ変換すると、サンプリング時刻[r×Ts(rはサンプリングの位置を示す数で1以上の正の整数)]における電圧フェーザは下記の(1)式に従って求めることができる。
【0020】
【数1】
上記(1)式において、f0は設計周波数または基本周波数であり、我が国では50Hzまたは60Hzである。またTsはサンプリング時間であり、N(=1/(f0Ts)は基本周波数の1周期分のサンプリング数である。この電圧フェーザを用いて表現される電圧瞬時値νを再帰的ディスクリート・フーリエ変換して得られる再帰的電圧フェーザ(ベクトルとして表現されるXr)は、下記(2)式の通りである。
【0021】
【数2】
上記(2)式に上記(1)式を代入して、時刻(r+1)Tsにおける再帰的電圧フェーザを求めると下記(3)式のように表すことができる。
【0022】
【数3】
上記(1)式と(3)式とを対比すると分かるように、上記(1)式によりディスクリート・フーリエ変換を用いて電圧フェーザを求める場合には、実部及び虚部の積和演算回数が(4N+1)回必要であるのに対して、上記(3)式により再帰的ディスクリート・フーリエ変換を用いて再帰的電圧フェーザを求める場合には、実部及び虚部の積和演算回数が6回となり、大幅に演算回数が減る。そのため再帰的ディスクリート・フーリエ変換を用いると、ソフトウエアを用いて演算する場合の演算処理が大幅に簡単になり、1つの演算プロセスでの処理が可能になる。再帰的ディスクリート・フーリエ変換で正確な演算を行うためには、周知のように、予め定めたサンプリング回数分(半周期分、一周期分等)のデータの蓄積が必要であり、概念的には1回のサンプリングが行われると蓄積した予め定めたサンプリング回数分のデータの最初のサンプリングデータが捨てられて、新規のサンプリングデータが加えられる演算が実行されることになる。これは(3)式で見ると、虚部中のνr+1が、時刻(r+1)Tsにおける電圧瞬時値(最新のサンプリング値)であり、νr−N+1がN+1回前のサンプリングで取得した電圧瞬時値であり、再帰的ディスクリート・フーリエ変換では、電圧瞬時値(νr+1とνr−N+1)の加減算を行っていることから理解できる。
【0023】
そこで本実施の形態では、予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における単相電力系統の電圧瞬時値νrを測定し、順次測定した電圧瞬時値νrに基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って再帰的電圧フェーザ(ベクトルと表されるXr)を求める。
【0024】
電圧瞬時値νrは下記(4)式のように表される。
【0025】
【数4】
上記(4)式において、Vは振幅であり、φ0は初期位相であり、fが入力電圧波形の周波数である。入力電圧波形の周波数fが、基本周波数f0から偏差Δfだけ変動した場合、再帰的電圧フェーザ(ベクトルとして表されるXr)は、上記(1)式と(2)式とを用いテーラ展開を行うと、下記(5)式のように変換され、最終的には基本周波数を含まずに偏差Δf分を含む成分と、基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分及び偏差Δfを含んで変動する変動成分とからなる2つのベクトルの和として表される。なお(4)式が、(5)式の最初の式におけるνk+r−Nに代入されている。ただし(5)式における振幅成分B1及びB2、位相成分φ1、r及びφ2、rは下記の(6)に示すとおりである。
【0026】
【数5】
【数6】
また上記(5)式を最終的な2つのベクトルの和として表現するために、下記(7)式の等比数列を用いている。
【0027】
【数7】
次に、振幅成分B1及びB2並びに位相成分φ1、r及びφ2、rについて考える。周波数偏差Δfを±5Hz以内にとり、(6)式でB1、B2を求めた結果を図2に示す。図2から分かるようにB1≒1.0、B2≒0.0となっており、これは再帰的電圧フェーザの実効値がV/√2であることを示す。さらに、位相成分φ1、r及びφ2、rは(6)式にあるように、時刻rTsに対して、それぞれ2πΔfと、2π(2f0+Δf)の比例係数を有していることがわかる。特に、2π(2f0+Δf)は、基本周波数と一緒に変動する変動成分である。B2が殆ど0であるとしても、この変動成分は大きな影響を示す。そこでこのような変動成分を除去するために、この実施の形態では、2f0のカットオフ周波数の(またはN/2の幅をもつ)移動平均フィルタを用いて基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分即ち(2f0+Δf)の周波数成分を除去する。そしてこのフィルタ処理によって量子化誤差に伴うノイズも除去される。
【0028】
その結果、再帰的電圧フェーザは、下記(8)式によって表現することができる。
【0029】
【数8】
フィルタ処理を行って求めた再帰的電圧フェーザの値を上記(8)式に代入して逆算すれば、位相成分(φ1,r)を求めることができる。このようにして再帰的電圧フェーザからあるサンプリング時刻における位相成分(φ1,r)とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分(φ1,r-1またはφ1,r+1)とをそれぞれ求め、それらの差即ち位相偏差を演算により求め、(9)式の演算を実行すれば、周波数の偏差Δfを求めることができる。
【0030】
【数9】
図3は、時刻0.033秒の時点で周波数が60Hzからステップ状に0.1Hz変動したときの時間と周波数偏差Δfの関係を示すものである。図3中のデータ曲線Aはフィルタ処理を行わない場合[(5)式で演算した場合]の周波数偏差Δfを示しており、振動誤差を含んでいる。またデータ曲線Bは本実施の形態のようにフィルタ処理を行った場合の周波数偏差Δfを示している。この図から分かるように、周波数変動が発生すると、1周期である約0.017秒を経過する前に、周波数偏差が発生する。変動後の定常状態では、フィルタにより最大誤差率は100%程度から0.2%以下まで低減されている。前述のように、再帰的電圧フェーザに基づいてあるサンプリング時刻における偏差を正確に計測するためには(この例では0.1Hzの周波数偏差を計測するためには)、予め定めたサンプリング回数分(この例では1.5周期分即ち150回のサンプリング)のサンプリング値の収集が必要である。しかしながら時刻0.033秒の周波数変動が発生すると、直ちに位相偏差の演算結果には変動が現れる。したがってこの位相偏差または周波数偏差の発生の有無を、位相偏差または周波数偏差と予め定めた閾値とを比較して観察していれば、周波数変動の発生時(具体的には時刻)を早期に検出することができる。したがって本実施の形態の計測方法を用いれば、電力系統の制御系における応答速度を速めることが可能になる。電力系統の周波数を求める場合には、前述のようにして求めた偏差Δfを基本周波数f0に加算すればよい。
【0031】
図4は、三相電力系統における周波数変動の発生、位相偏差及び周波数の計測を行う場合の流れを示す図である。この場合には、予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における三相電力系統の各相の電圧瞬時値をそれぞれ測定し、その各相の電圧瞬時値に基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って各相の再帰的電圧フェーザを求め、各相の再帰的電圧フェーザを用いて対称座標法により正相電圧フェーザを求める。三相平衡時には各相の再帰的電圧フェーザ(ベクトルで表されるXa,r、Xb,r、Xc,r)の位相は(2/3)πずつの差をもち、三相対称座標変換による正相分即ち正相電圧フェーザ(ベクトルとして表示されるXpr)は下記の(10)式のようになる。
【0032】
【数10】
上記式(10)式から分かるように、正相電圧フェーザの演算過程において、偏差Δfを含んで変動する変動成分が互いに打ち消されてしまうので、三相電力系統における周波数変動の発生、位相偏差及び周波数の計測を行う場合には、原理的には移動平均フィルタ等によるフィルタ処理は不要である。(10)式以降の処理は、前述の式(9)を用いればよい。
【0033】
図3に、正相電圧フェーザを用いた場合の周波数偏差をデータ曲線Cとして示した。ここでは、時刻0.033秒において60.0Hzから60.1Hzにステップ状に変動する三相平衡電圧を用いた。N=100である。(10)式の正相分電圧を用いると、周波数偏差はランプ状に変化しており、1周期で正確な周波数偏差Δfを検出することができる。
【0034】
周波数変動の検出においては、変動時刻の検出、定常までの整定時間、検出精度が重要となる。周波数偏差の定常値の正確な検出には少なくとも変動開始後1周期を待たなければならない。本実施の形態では、1周期分の瞬時値をディスクリート・フーリエ変換により連続的に積分平均化するため、図3のデータ曲線C(正相分)のように、変動時刻の検出と整定時間に関しては理想的な特性を持つ。ただし、単相の解析では、前述の通り、振動除去のフィルタが必要となり、半周期の遅れを要する。また、精度に関しては、ディスクリート・フーリエ変換が本来有している高周波遮断特性[「DSPとGPSを用いた高機能電力系統状態量同時計測システム」と題して高速信号処理応用技術学会誌(電子技術9月号)3巻3号、pp20/25(2000)を参照]により、高調波や計測ノイズに対して高いS/N比を持つ。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、従来よりも早期に(例えば100マイクロ秒という極めて短い時間で)電力系統の周波数変動の発生を検出することができ、しかも電力系統の周波数偏差及び周波数を高い精度を持って計測することができる。また本発明の方法を用いると、1つのデジタルプロセッサを用いて完全なソフトウエア処理により計測を行うことが可能になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】単相電力系統における周波数が基本周波数からある偏差分だけ変動したときを周波数変動発生時として検出する本発明の電力系統周波数変動発生検出方法を実施する場合の実施の形態のステップを示す図である。
【図2】周波数偏差Δfを±5Hz以内にとり、(6)式でB1、B2を求めた結果を示す図である。
【図3】時刻0.033秒の時点で周波数が60Hzからステップ状に0.1Hz変動したときの時間と周波数偏差Δfの関係を示すものである。
【図4】三相電力系統における周波数変動の発生と位相偏差の計測を行う場合の流れを示す図である。
Claims (6)
- 単相電力系統における周波数(f)が基本周波数(f0)からある偏差分だけ変動したときを周波数変動発生時として検出する電力系統周波数変動発生検出方法であって、
予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における単相電力系統の電圧瞬時値νrを測定し、
その電圧瞬時値νrに基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って再帰的電圧フェーザを求め、
前記再帰的電圧フェーザからデジタルフィルタを用いて前記基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分を除去し、
前記基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分を除去した前記再帰的電圧フェーザからあるサンプリング時刻における位相成分(φ1,r)とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分(φ1,r-1またはφ1,r+1)との位相偏差を演算し、
前記位相偏差が発生したときを前記周波数変動発生として検出することを特徴とする電力系統周波数変動発生検出方法。 - 単相電力系統における周波数(f)が基本周波数(f0)からある偏差Δfだけ変動したことを計測する電力系統周波数偏差計測方法であって、
予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における単相電力系統の電圧瞬時値νrを測定し、
その電圧瞬時値νrに基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って再帰的電圧フェーザを求め、
前記再帰的電圧フェーザからフィルタを用いて前記基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分を除去し、
前記基本周波数(f0)の約2倍の周波数成分を除去した前記再帰的電圧フェーザからあるサンプリング時刻における位相成分(φ1,r)とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分(φ1,r-1またはφ1,r+1)との位相偏差を演算し、
前記位相偏差に基づいて前記あるサンプリング時刻における前記周波数の前記偏差Δfを計測することを特徴とする電力系統周波数偏差計測方法。 - 請求項2の方法により求めた前記偏差Δfに基づいて、前記電力系統の周波数を計測することを特徴とする電力系統周波数計測方法。
- 三相電力系統における周波数(f)が基本周波数(f0)からある偏差分だけ変動したときを周波数変動発生として検出する電力系統周波数変動発生検出方法であって、
予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における前記三相電力系統の各相の電圧瞬時値をそれぞれ測定し、
その各相の電圧瞬時値に基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って各相の再帰的電圧フェーザを求め、
前記各相の再帰的電圧フェーザを用いて対称座標法により正相電圧フェーザを求め、
前記正相電圧フェーザからあるサンプリング時刻における位相成分とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分との位相偏差を演算し、
前記位相偏差が発生したときを前記周波数変動発生として検出することを特徴とする電力系統周波数変動発生検出方法。 - 三相電力系統における周波数(f)が基本周波数(f0)からある偏差Δfだけ変動したことを計測する電力系統周波数偏差計測方法であって、
予め定めたサンプリング時間(Ts)で各サンプリング時刻[r×Ts(rは1以上の正の整数)]における前記三相電力系統の各相の電圧瞬時値をそれぞれ測定し、
その各相の電圧瞬時値に基づいて再帰的ディスクリート・フーリエ変換を行って各相の再帰的電圧フェーザを求め、
前記各相の再帰的電圧フェーザを用いて対称座標法により正相電圧フェーザを求め、
前記正相電圧フェーザからあるサンプリング時刻における位相成分とそのサンプリング時刻の直前又は直後のサンプリング時刻における位相成分との位相偏差を演算し、
前記位相偏差に基づいて前記周波数の前記偏差Δfを計測することを特徴とする電力系統周波数偏差計測方法。 - 請求項5の方法により求めた前記偏差Δfに基づいて、前記電力系統の周波数を計測することを特徴とする電力系統周波数計測方法。
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