JP3813527B2 - ホットランナ金型の型内ノズル構造 - Google Patents

ホットランナ金型の型内ノズル構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂製の成型品を成形する際に用いるホットランナ金型の型内ノズル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の型内ノズル構造の説明図であり、型内ノズル構造は、金型101内に型内ノズル本体102を配置し、この型内ノズル本体102の中央に溶融した樹脂103を導く流路104,105を形成し、型内ノズル本体102の外周面106に加熱手段107を取付けた構造で、加熱手段107により流路104の樹脂103を所定温度に保ち、流路104内で凝固するのを防止することができるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記に示す構造では、金型101から成形品を離した際に糸引きを起こす場合がある。次図で従来の型内ノズル構造に起因する糸引きを説明する。
図6は従来の型内ノズル構造の課題を説明する図である。
金型から成形品108を矢印方向に離す際に、ランナ部109に糸引き111が生じるとともに、流路104内の溶融した樹脂103の先端112にも糸引き113が生じる。この樹脂が糸状に延びた糸引き113は成形の際に成形品に介在して成形不良の原因となる。
糸引き111、113を防止するためには、樹脂103の温度制御を細かく行ったり、弁による制御も考えられるが構造が複雑になり金型の生産コストが嵩む。
【0004】
そこで、本発明の目的は、糸引きの発生を防止し、金型の生産コストを抑えたホットランナ金型の型内ノズル構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1では、キャビテイに臨むゲートまたはランナに型内ノズルを配置し、この型内ノズルを加熱手段で加熱するようにしたホットランナ金型において、型内ノズルは、ノズル外周面に加熱手段と、断熱溝と、伝熱リングを樹脂の流れ方向に順に備えるとともに、先端側に開けられて、溶融した樹脂を供給するテーパ孔であるランナを備え、断熱溝は、型内ノズルの先端側に形成されるとともに、ランナの位置するノズル外周面に形成されて、加熱手段の熱が先端のランナ伝わるのを抑え、伝熱リングは、型内ノズルの先端で且つ、ランナの位置するノズル外周面に取付けられるとともに、型内ノズルを嵌めるノズル取付け穴に外面の嵌合面が熱膨張で密着してノズル先端のランナの熱を金型側へ逃がすようにしたことを特徴とする。
【0006】
型内ノズルでは、ノズル外周面に断熱溝と、伝熱リングを樹脂の流れ方向に順に備えることで、断熱溝で加熱手段の熱がノズルの先端に向かうのを抑え、伝熱リングでノズル先端の熱を金型側へ逃がす。この結果、ノズル先端側の樹脂を効果的に冷却することができ、成形品をノズル先端から離す際に、成形品と型内ノズルの先端との間で糸引きは発生しない。
また、型内ノズルは、加熱手段と、断熱溝と、伝熱リングとを備えた構成なので、構成は簡単である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るホットランナ金型の側面図であり、ホットランナ金型10は、樹脂成形品11を造るための型で、固定金型12と、この固定金型12に嵌合する可動金型13と、からなり、射出成形機14に取付けて樹脂成形品11を成形する。
【0008】
射出成形機14は、架台16と、この架台16に配置した押出し機17と、型締め機構18とを備える。
型締め機構18は、固定盤21と、この固定盤21に取付けたタイバー22・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)と、これらのタイバー22・・・にスライド可能に取付けた可動盤23とを有し、可動盤23を矢印▲1▼の如くスライドさせて可動盤23に取付けた可動金型13を二点鎖線で示すように所定圧力で型閉する。また、矢印▲2▼の方向に可動盤23をスライドさせて可動金型13を実線に示す位置まで戻して型開を行う。
【0009】
固定金型12は、本体24内に設けた押出し機17に連通するランナ部材25と、このランナ部材25に接続する型内ノズル26と、この型内ノズル26に連通するランナ27と、このランナ27および図に示していないゲートに連通する型面28を有する。29は型面28と可動金型13とで形成するキャビテイを示す。
【0010】
図2は図1の2部詳細図であり、型内ノズル26を示す。
型内ノズル26は、ノズル本体31の端にランナ部材25に接続するフランジ部32を形成し、ノズル本体31の中央に流路33を形成するとともに、ランナ34を形成し、ノズル外周面35に加熱手段36、断熱溝37および伝熱リング38を樹脂の流れ方向(矢印▲3▼の方向)に順に設けたものである。41はフランジ部32のシート面、42はノズル本体31の先端43のシート面、44は固定金型12に形成したノズル取付け穴を示す。
ノズル本体31の材質は、炭素鋼であり、例えば、S45Cである。
【0011】
流路33は、内径をDに設定し、先端に絞り部45を形成し、絞り部45の内径をDsに設定した。
ランナ34は、絞り部45から連続するテーパ孔で、テーパの角度をθに設定した。テーパ孔および絞り部45を形成することで、型開の際に成形品を絞り部45から切り離すことができる。
加熱手段36は、バンドヒータであり、容量をQに設定し、流路33側を加熱する。
【0012】
断熱溝37は、絞り部45の近傍で且つノズル本体31の外周面35に形成したもので、深さをM、幅をBに設定した。
伝熱リング38は、内面にノズル本体31のおねじにねじ込むめねじを形成し、外面にノズル取付け穴44に密着する嵌合面46を形成したものである。
伝熱リング38の材質は、例えば、アルミニウム(合金を含む)または銅(合金を含む)である。
【0013】
ここで、型内ノズル26の流路33側の温度をTnとし、固定金型12の温度をTfとしたときに、型内ノズル26の先端43側の温度はTt、伝熱リング38の温度はTrである。このときの固定金型12の温度Tfは、Tf<Tr<Tt<Tnである。
【0014】
次に、型内ノズル26の組付け要領を簡単に説明する。
まず、ノズル本体31の外周面35に加熱手段36を取付け、引き続き、ノズル本体31に伝熱リング38をねじ込んで取付ける。その次に、固定金型12のノズル取付け穴44にノズル本体31とともに伝熱リング38を嵌める。最後に、ランナ部材25を取付け、シート面41,42を押圧して密着させる。
【0015】
図3は図2の3−3線断面図であり、固定金型12のノズル取付け穴44に伝熱リング38の外面の嵌合面46を密着させたことを示す。このように、伝熱リング38は成形中に熱膨張してノズル取付け穴44に密着するので、隙間の発生を防止することができる。
【0016】
以上に述べたホットランナ金型の型内ノズル構造の作用を次に説明する。
図4は本発明に係るホットランナ金型の型内ノズル構造の作用図である。
型内ノズル26の流路33内の樹脂51は矢印▲4▼の如く流れ、ランナ34,27を介してキャビテイ29(図1参照)を満たした後、キャビテイおよびランナ34,27で凝固を始める。その際、型内ノズル26では、ノズル本体31の外周面35に設けた加熱手段36で絞り部45近傍を矢印▲5▼,▲5▼の如く加熱することにより、樹脂51に熱を伝達し、流路33内の樹脂51を所定温度に保持することができ、樹脂51の温度低下を抑えて凝固を防ぐことができる。
【0017】
また、型内ノズル26では、ノズル本体31の外周面35に断熱溝37を設けることで、先端43と加熱手段36との間におけるノズル本体31の表面積を大きくし、先端43側への熱の伝導を抑えることができる。この結果、型内ノズル26の先端43側の温度上昇を抑えることができる。
【0018】
さらに、ノズル本体31の先端43の外周面35に伝熱リング38を設けると、伝熱リング38と固定金型12との密着によって型内ノズル26の先端43は固定金型12と一体的になるので、先端43側の熱は矢印▲5▼,▲5▼の如く固定金型12に伝導し、先端43側の温度Ttを流路33側の温度Tnより下げることができる。従って、ランナ34内の溶融した樹脂51を効率よく冷却することができ、糸引きの発生を防止することができる。
【0019】
図4に示すように、型内ノズル26は、加熱手段36と、断熱溝37と、伝熱リング38とを備えた構成であり、構成が簡単で金型の生産コストを抑えることができる。
【0020】
伝熱リング38の材質には、ノズル本体31の材質より熱伝導率の高い材料のアルミニウム(合金を含む)または銅(合金を含む)を用いることで、熱伝導の向上を図り、固定金型12へ型内ノズル26の先端43の熱を効率的に伝えることができる。
【0021】
尚、本発明の実施の形態に示した図2の固定金型12のランナ27に型内ノズル26を接続したが、樹脂成形品の形態によってはゲートに型内ノズル26を接続してもよい。
断熱溝37の形状は任意である。
ノズル本体31に伝熱リング38をねじ込んだが、ねじの有無は任意である。
伝熱リング38の近傍の金型に金型冷却の媒体を流すことも可能である。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、ホットランナ金型のキャビテイに臨むゲートまたはランナに配置した型内ノズルは、ノズル外周面に加熱手段と、断熱溝と、伝熱リングを樹脂の流れ方向に順に備えるとともに、先端側に開けられて、溶融した樹脂を供給するテーパ孔であるランナを備え、断熱溝は、型内ノズルの先端側に形成されるとともに、ランナの位置するノズル外周面に形成されて、加熱手段の熱がノズルの先端のランナ伝わるのを抑え、伝熱リングは、型内ノズルの先端で且つ、ランナの位置するノズル外周面に取付けられるとともに、型内ノズルを嵌めるノズル取付け穴に外面の嵌合面が熱膨張で密着してノズル先端のランナの熱を金型側へ逃がすようにした。この結果、ノズル先端のランナ内溶融した樹脂を効果的に冷却することができ、成形品をノズル先端のランナから離す際に、成形品と型内ノズルの先端のランナとの間での糸引きの発生を防止するこができる。
また、型内ノズルは、加熱手段と、断熱溝と、伝熱リングとを備えた構成なので、構成が簡単で金型の生産コストを抑えることができる。
さらに、伝熱リングは、成形中に熱膨張してノズル取付け穴に密着するので、隙間の発生を防止することができる。その結果、伝熱リングと固定金型との密着によって、先端側の熱は固定金型に伝導し、ランナ内の溶融した樹脂を効率よく冷却することができ、糸引きの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るホットランナ金型の側面図
【図2】図1の2部詳細図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】本発明に係るホットランナ金型の型内ノズル構造の作用図
【図5】従来の型内ノズル構造の説明図
【図6】従来の型内ノズル構造の課題を説明する図
【符号の説明】
10…ホットランナ金型、26…型内ノズル、27…固定金型のランナ、29…キャビテイ、34…型内ノズルのランナ、35…ノズル外周面、36…加熱手段、37…断熱溝、38…伝熱リング、43…ノズルの先端。

Claims (1)

  1. キャビテイに臨むゲートまたはランナに型内ノズルを配置し、この型内ノズルを加熱手段で加熱するようにしたホットランナ金型において、
    前記型内ノズルは、ノズル外周面に加熱手段と、断熱溝と、伝熱リングを樹脂の流れ方向に順に備えるとともに、先端側に開けられて、溶融した樹脂を供給するテーパ孔であるランナを備え、
    前記断熱溝は、型内ノズルの先端側に形成されるとともに、前記ランナの位置する前記ノズル外周面に形成されて、加熱手段の熱が先端のランナ伝わるのを抑え、
    前記伝熱リングは、型内ノズルの先端で且つ、前記ランナの位置する前記ノズル外周面に取付けられるとともに、型内ノズルを嵌めるノズル取付け穴に外面の嵌合面が熱膨張で密着してノズル先端のランナの熱を金型側へ逃がすようにしたことを特徴とするホットランナ金型の型内ノズル構造。
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