JP3813469B2 - 乳濁剤及び釉薬 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陶磁器用の釉薬に使用する乳濁剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、陶磁器用釉薬に用いる乳濁剤としては、珪酸ジルコニウム(ZrSiO3)又は酸化チタン(TiO2)又は酸化錫(SnO2)や、それらを併用したものが用いられている。
【0003】
そして、そのような乳濁剤は、釉薬組成に添加して用いる。つまり、そのような乳濁剤を基礎釉薬と混合させて釉薬を生成し、該釉薬を陶磁器素地に施釉して焼成する等して用いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の乳濁剤においては、できあがった陶磁器製品において、十分な白さを出すことができず、黄色味がかった白色しか出すことができなかった。よって、従来の乳濁剤を用いて衛生陶器を製造した場合には、どうしても黄ばんだ感じの白さしか出すことができず、上品な白さを演出することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、優雅で上品な白さを演出することができる乳濁剤を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、窯業用の釉薬に用いる乳濁剤であって、珪酸ジルコニウムからなる第1材料と、酸化ネオジウムからなる第2材料と、を有し、第1材料と第2材料の合計重量に対する第2材料の重量割合が、2.5/102.5〜8.0/108.0であることを特徴とする。この第1の構成の乳濁剤においては、酸化ネオジウムと、水酸化ネオジウムと、炭酸ネオジウムと、燐酸ネオジウムのいずれかからなる第2材料を含有するので、本発明の乳濁剤を用いた釉薬により施釉した窯業製品においては、暖かみのある質感を持った白さを表現することができる。
【0008】
また、第には、窯業用の釉薬であって、上記第1の構成の乳濁剤を含有することを特徴とする。この第2の構成の窯業用の釉薬においては、含有する乳濁材が、酸化ネオジウムと、水酸化ネオジウムと、炭酸ネオジウムと、燐酸ネオジウムのいずれかからなる第2材料を含有するので、本発明の釉薬により施釉した窯業製品においては、暖かみのある質感を持った白さを表現することができる。
【0009】
また、第には、窯業用の釉薬であって、基礎釉薬で、少なくとも、Na系長石と、珪石と、仮焼カオリンと、石灰石と、炭酸ストロンチウムと、仮焼タルクとを有する基礎釉薬と、上記第1の構成の乳濁剤と、を含有することを特徴とする。この第の構成の窯業用の釉薬においては、含有する乳濁材が、酸化ネオジウムと、水酸化ネオジウムと、炭酸ネオジウムと、燐酸ネオジウムのいずれかからなる第2材料を含有するので、本発明の釉薬により施釉した窯業製品においては、暖かみのある質感を持った白さを表現することができる。
【0010】
また、第には、上記第の構成において、上記第2材料の上記基礎釉薬に対する重量割合が、0.2〜2.0%であることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態としての実施例を説明する。本発明の第1実施例に基づく乳濁剤(「乳白剤」としてもよい)を用いた釉薬は、窯業用の釉薬であり、以下に説明する基礎釉薬に以下に説明する乳濁剤を添加したものである。なお、本実施例及び第2実施例における乳濁剤の用語は、乳白剤の意味を含むものである。
【0023】
まず、基礎釉薬について説明する。本実施例に用いる第1の基礎釉薬としての亜鉛系釉薬の組成と、第2の基礎釉薬としての石灰系釉薬の組成を示すと以下の表1に示すようになる。
【0024】
【表1】
Figure 0003813469
【0025】
つまり、第1の基礎釉薬である亜鉛系釉薬の組成としては、Na系長石(KNa2O・Al23・6SiO2)と、珪石(SiO2)と、仮焼カオリン(Al23・2SiO2)と、石灰石(CaCO3)と、炭酸ストロンチウム(SrCO3)と、仮焼亜鉛(ZnO)と、仮焼タルク(MgO・1.3SiO2)とを有している。そして、各組成の重量割合(「重量比」としてもよい。以下においても同じ)としては、上記の表1に示すように、上記Na系長石(KNa2O・Al23・6SiO2)が33.0%、上記珪石(SiO2)が22.0%、上記仮焼カオリン(Al23・2SiO2)が12.0%、上記石灰石(CaCO3)が16.0%、上記炭酸ストロンチウム(SrCO3)が6.5%、上記仮焼亜鉛(ZnO)が6.5%、上記仮焼タルク(MgO・1.3SiO2)が4.0%となっている。
【0026】
また、この第1の基礎釉薬の組成を化学式で示すと以下の化1に示すようになる。
【0027】
【化1】
Figure 0003813469
【0028】
また、本実施例に用いる第2の基礎釉薬である石灰系釉薬の組成としては、Na系長石(KNa2O・Al23・6SiO2)と、珪石(SiO2)と、仮焼カオリン(Al23・2SiO2)と、石灰石(CaCO3)と、炭酸ストロンチウム(SrCO3)と、仮焼タルク(MgO・1.3SiO2)と、ワラストナイト(CaSiO3)と、炭酸リチウム(Li2CO3)と、蛙目粘土(Al23・2SiO2)を有している。各組成の重量割合としては、Na系長石(KNa2O・Al23・6SiO2)が42.2%、珪石(SiO2)が17.8%、仮焼カオリン(Al23・2SiO2)が5.6%、石灰石(CaCO3)が7.2%、炭酸ストロンチウム(SrCO3)が6.7%、仮焼タルク(MgO・1.3SiO2)が3.3%、ワラストナイト(CaSiO3)が10.6%、炭酸リチウム(Li2CO3)が3.3%、蛙目粘土(Al23・2SiO2)が3.3%となっている。
【0029】
また、この第2の基礎釉薬の組成を化学式で示すと化2に示すようになる。
【0030】
【化2】
Figure 0003813469
【0031】
上記の各基礎釉薬の組成は、基本的には、従来からある基礎釉薬の組成と同様であるといえ、上記の組成には限られない。
【0032】
次に、本実施例の乳濁剤について説明する。本実施例の乳濁剤は、珪酸ジルコニウム(ZrSiO3)と酸化ネオジウム(Nd23)とを混合したものである。つまり、本実施例の乳濁剤には、酸化ネオジウムが含有されている。この珪酸ジルコニウムと酸化ネオジウムの混合割合としては、重量割合において、珪酸ジルコニウム100に対して酸化ネオジウムを2.5〜8.0程度とする。
【0033】
なお、本実施例の乳濁剤において、酸化ネオジウムは、珪酸ジルコニウムに対する補助剤として機能させるので、酸化ネオジウムの乳濁剤全体の重量割合は、1〜30%の範囲とするのが好ましい。
【0034】
なお、上記の説明では、乳濁剤に、珪酸ジルコニウムを含有させるものとして説明したが、珪酸ジルコニウムの代わりに、珪酸ジルコニウム以外のジルコニウム化合物や、酸化ジルコニウム(ZrO2)を含有させるようにしてもよく、また、該珪酸ジルコニウムの代わりに、酸化錫(SnO2)又は酸化チタン(TiO2)を含有させるようにしてもよい。また、酸化ネオジウムの代わりに、水酸化ネオジウム、炭酸ネオジウム、燐酸ネオジウム等のネオジウム化合物を用いてもよい。なお、上記「酸化ネオジウム又はその化合物」における「その化合物」には、水酸化ネオジウム、炭酸ネオジウム、燐酸ネオジウム等が当たるといえる。
【0035】
本実施例における釉薬は、上記基礎釉薬と乳濁剤とを混合したものであり、その混合割合としては、重量割合で、基礎釉薬を100とした場合に、乳濁剤を15〜20程度とする。つまり、上記第1の基礎釉薬を用いて釉薬を生成する場合には、上記第1の基礎釉薬と乳濁剤とを混合して釉薬を生成し、また、上記第2の基礎釉薬を用いて釉薬を生成する場合には、上記第2の基礎釉薬と乳濁剤とを混合して釉薬を生成する。
【0036】
なお、この釉薬の製造に当たっては、上記基礎釉薬と、珪酸ジルコニウムと、酸化ネオジウムとを混合するようにしてもよい。つまり、重量割合において、上記基礎釉薬100に対して、珪酸ジルコニウムを8〜15、酸化ネオジウムを0.2〜2.0添加する。
【0037】
なお、本実施例における釉薬における酸化ネオジウムの含有量は、重量割合において、基礎釉薬を100とした場合に、5.0以下とするのが好ましいといえるが、より好適な白さを表現するには、0.2〜2.0とするのがより好ましいといえる。
【0038】
本実施例の釉薬の使用方法としては、通常の釉薬と同様に使用する。つまり、具体的には、陶磁器素地に施釉した後に焼成する。例えば、素焼きをした陶磁器素地に釉薬を塗布した後に焼成を行う。なお、素焼きをしていない陶磁器素地に施釉する場合もある。
【0039】
本実施例の釉薬を用いた試験結果について説明する。まず、本実施例の釉薬を用意する。ここでは、重量割合において、上記の基礎釉薬100に対して、珪酸ジルコニウムを15、酸化ネオジウムを0.2〜2.0添加したものとする。つまり、重量割合で、上記基礎釉薬:珪酸ジルコニウム:酸化ネオジウム=100:15:0.2〜2.0とする。このようにして本実施例における釉薬を作成する。具体的には、以下の表2に示すように、試験体Aの釉薬は、上記第1の基礎釉薬100に対して、重量割合で、珪酸ジルコニウム15、酸化ネオジウム0.2〜2.0を添加したものとする。また、試験体Bの釉薬は、上記第2の基礎釉薬100に対して、重量割合で、珪酸ジルコニウム15、酸化ネオジウム0.2〜2.0を添加したものとする。
【0040】
一方、比較対照に用いる釉薬(以下「比較対照釉薬」とする)としては、上記試験体Aにおいて酸化ネオジウムを添加していないもの及び試験体Bにおいて酸化ネオジウムを添加していないものとする。つまり、以下の表2に示すように、試験体Cの比較対照釉薬は、上記第1の基礎釉薬100に対して、重量割合で、珪酸ジルコニウム15を添加したものである。また、試験体Dの比較対照釉薬は、上記第2の基礎釉薬100に対して、重量割合で、珪酸ジルコニウム15を添加したものである。
【0041】
【表2】
Figure 0003813469
【0042】
そして、各釉薬について釉薬スラリーを製造する。つまり、試験体A〜Dのそれぞれについて、60%の水分を有する糊剤を各釉薬に対して重量割合で0.2%添加する。つまり、重量割合で釉薬100に対して糊剤を0.2添加する。その後、糊剤を添加した各釉薬をポットミルで湿式粉砕して釉薬スラリーを製造する。
【0043】
上記のようにして各釉薬スラリーをテストピース(10cm×10cm、半磁器質の角タイル)に12g/pcを施釉して焼成(1200℃/90min、Soaking E.K)する。
【0044】
焼成後の各テストピースの色について比較したところ、上記比較対照釉薬を用いた場合、つまり、試験体C及び試験体Dの場合には、鉱物質の硬さと淡黄味を帯びた冷たさとを感じる質感の白色を有しているのに対して、本実施例の釉薬の場合、つまり、試験体A及び試験体Bの場合には、非常に優雅な暖かみのある質感を持った白さを得ることができた。
【0045】
また、酸化ネオジウムの添加量を変化させた試験を行った結果、酸化ネオジウムの添加量を増加させると淡青味を感じるが白色度がより強くなることが分かった。つまり、珪酸ジルコニウムに対する混合割合を多くすることにより、淡青味を感じるものの白色度がより強くなる。
【0046】
よって、本実施例の乳濁剤を用いた釉薬を用いて施釉した製品においては、非常に優雅で暖かみのある質感を持った白さを表現することができる。よって、本実施例の乳濁剤や釉薬を用いる製品としては、衛生陶器が特に適している。つまり、大便器、小便器、便器のタンク、手洗い器、洗面器等の窯業製品に適している。また、衛生陶器以外の陶器(例えば、食器、花器、タイル、瓦等が挙げられる。なお、この陶器には、陶磁器の意味を含むものとしてもよい。)や、陶器以外の窯業製品にも適用可能である。つまり、そのような製品の釉薬として用いることにより、各製品において、非常に優雅で暖かみのある質感を持った白さを表現することが可能となる。特に、従来の衛生陶器においては、黄色味がかった白色しか表現することができなかったが、本実施例の釉薬により施釉することにより、非常に優雅で暖かみのある質感を持った白さを表現することが可能となる。
【0047】
次に、第2実施例について説明する。第2実施例における釉薬は、上記第1実施例の釉薬とほぼ同じ構成であるが、乳濁剤の一部を既反応としている点が異なる。
【0048】
つまり、本実施例における乳濁剤(「乳白剤」としてもよい)は、珪酸ジルコニウムと、以下に説明する複合乳濁剤とを混合させたものである。該珪酸ジルコニウムと複合乳濁剤の混合割合は、重量割合において、珪酸ジルコニウムを100とした場合に、複合乳濁剤を50とする。
【0049】
ここで、該複合乳濁剤は、以下の表3の第1例に示すように、酸化ネオジウムと珪酸ジルコニウムとが混合されたものであり、酸化ネオジウムと珪酸ジルコニウムとを混合、粉砕の後に焼成(1200℃/2Hr、Soaking E.K)して、その後粉砕したものである。ここで、酸化ネオジウムと珪酸ジルコニウムの混合割合は、重量割合で、酸化ネオジウムを10〜60%、珪酸ジルコニウム40〜90%とする。
【0050】
また、本実施例の複合乳濁剤の他の例としては、以下のものがある。つまり、第2例としての複合乳濁剤は、以下の表3の第2例に示すように、酸化ネオジウムと酸化錫とが混合されたものであり、酸化ネオジウムと酸化錫とを混合、粉砕の後に焼成(1200℃/2Hr、Soaking E.K)して、その後粉砕したものである。ここで、酸化ネオジウムと酸化錫の混合割合は、重量割合で、酸化ネオジウムを10〜60%、酸化錫40〜90%とする。つまり、この第2例の複合乳濁剤は、上記第1例の複合乳濁剤において、珪酸ジルコニウムの代わりに、酸化錫を用いたものといえる。
【0051】
また、第3例としての複合乳濁剤は、以下の表3の第3例に示すように、酸化ネオジウムと珪酸ジルコニウムと酸化錫とが混合されたものであり、酸化ネオジウムと珪酸ジルコニウムと酸化錫とを混合、粉砕の後に焼成(1200℃/2Hr、Soaking E.K)して、その後粉砕したものである。ここで、酸化ネオジウムと珪酸ジルコニウムと酸化錫の混合割合は、重量割合で、酸化ネオジウムを10〜60%、珪酸ジルコニウム20〜45%、酸化錫20〜45%とする。
【0052】
上記第1例〜第3例の複合乳濁剤の組成をまとめると以下の表3のようになる。
【0053】
【表3】
Figure 0003813469
【0054】
なお、複合乳濁剤中の酸化ネオジウムの重量の乳濁剤全体の重量に対する割合は、この酸化ネオジウムを補助剤として機能させることから、1〜30%の範囲とするのが好ましい。なお、上記複合乳濁剤を本発明における乳濁剤ととらえてもよい。
【0055】
なお、上記の説明では、第1例と第3例において、複合乳濁剤に、珪酸ジルコニウムを含有させるものとして説明したが、珪酸ジルコニウムの代わりに、珪酸ジルコニウム以外のジルコニウム化合物や、酸化ジルコニウム(ZrO2)を含有させるようにしてもよく、また、該珪酸ジルコニウムの代わりに、酸化錫(SnO2)又は酸化チタン(TiO2)を含有させるようにしてもよい。また、酸化ネオジウムの代わりに、水酸化ネオジウム、炭酸ネオジウム、燐酸ネオジウム等のネオジウム化合物を用いてもよい。なお、上記「酸化ネオジウム又はその化合物」における「その化合物」には、水酸化ネオジウム、炭酸ネオジウム、燐酸ネオジウム等が当たるといえる。なお、上記第1例〜第3例において、酸化ネオジウム以外の組成は、請求項4における添加剤に当たることになる。
【0056】
本実施例における乳濁剤は、上記複合乳濁剤のいずれかと、珪酸ジルコニウムとを混合したものである。なお、珪酸ジルコニウムの代わりに、珪酸ジルコニウム以外のジルコニウム化合物や、酸化ジルコニウム(ZrO2)を混合させるようにしてもよく、また、該珪酸ジルコニウムの代わりに、酸化錫(SnO2)又は酸化チタン(TiO2)を混合させるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施例における釉薬は、上記基礎釉薬と上記乳濁剤とを混合したものであり、その混合割合としては、重量割合で、基礎釉薬を100とした場合に、釉薬を15〜20程度とする。なお、基礎釉薬としては、上記第1実施例における第1の基礎釉薬又は第2の基礎釉薬が用いられる。つまり、上記第1の基礎釉薬を用いて釉薬を生成する場合には、上記第1の基礎釉薬と乳濁剤とを混合して釉薬を生成し、また、上記第2の基礎釉薬を用いて釉薬を生成する場合には、上記第2の基礎釉薬と乳濁剤とを混合して釉薬を生成する。
【0058】
なお、この釉薬の製造に当たっては、上記基礎釉薬と、珪酸ジルコニウムと、複合乳濁剤とを混合するようにしてもよい。つまり、重量割合において、上記基礎釉薬100に対して、珪酸ジルコニウムを10、複合乳濁剤を5添加する。
【0059】
なお、本実施例における釉薬を製造する際における酸化ネオジウムの投入量としては、重量割合において、基礎釉薬を100とした場合に、5.0以下とするのが好ましいといえるが、より好適な白さを表現するには、0.2〜2.0とするのがより好ましいといえる。
【0060】
本実施例の釉薬の使用方法としては、通常の釉薬と同様に使用する。つまり、陶磁器素地に施釉した後に焼成する。例えば、素焼きをした陶磁器素地に釉薬を塗布した後に焼成を行う。なお、素焼きをしていない陶磁器素地に施釉する場合もある。
【0061】
次に、この第2実施例の釉薬についての試験結果を説明する。まず、本実施例の釉薬を用意する。ここでは、重量割合において、上記の基礎釉薬100に対して、珪酸ジルコニウムを10、上記複合乳濁剤を5添加したものとする。つまり、重量割合で、上記基礎釉薬:珪酸ジルコニウム:複合乳濁剤=100:10:5とする。このようにして本実施例における釉薬を作成する。具体的には、基礎釉薬としては、上記第1の基礎釉薬と第2の基礎釉薬の場合があり、また、複合乳濁剤としては、上記のように、第1例〜第3例の場合があるので、可能な組み合わせの全ての釉薬を生成する。つまり、計6種類の釉薬を製造する。
【0062】
一方、比較対照に用いる釉薬(以下「比較対照釉薬」とする)としては、上記本実施例の釉薬に比して複合乳濁剤の混合されていないものとする。つまり、基礎釉薬と珪酸ジルコニウムとを混合したものとする。具体的には、上記第1の基礎釉薬と珪酸ジルコニウムとを混合してなる釉薬と、上記第2の基礎釉薬と珪酸ジルコニウムとを混合してなる釉薬とを用意する。
【0063】
つまり、この試験における本実施例の釉薬と、比較対照釉薬とを比較してまとめると、以下の表4のようになる。
【0064】
【表4】
Figure 0003813469
【0065】
そして、各釉薬について釉薬スラリーを製造する。つまり、本実施例の釉薬と比較対照釉薬のそれぞれについて、60%の水分を有する糊剤を各釉薬に対して重量割合で0.2%添加する。つまり、重量割合で釉薬100に対して糊剤を0.2添加する。その後、糊剤を添加した各釉薬をポットミルで湿式粉砕して釉薬スラリーを製造する。
【0066】
上記のようにして各釉薬スラリーをテストピース(10cm×10cm、半磁器質の角タイル)に12g/pcを施釉して焼成(1200℃/90min、Soaking E.K)する。
【0067】
焼成後の各テストピースの色について比較したところ、上記比較対照釉薬を用いた場合、鉱物質の硬さと、淡黄味を備えた冷たさを感じる質感の白色を有しているのに対して、本実施例の釉薬の場合には、非常に優雅な暖かみのある質感を持った白さを得ることができた。また、上記第1例の複合乳濁剤を用いた釉薬と、上記第2例の複合乳濁剤を用いた釉薬と、上記第3例の複合乳濁剤を用いた釉薬とを比較すると、第1例の複合乳濁剤を用いた釉薬の場合に比較して、第2例の複合乳濁剤を用いた釉薬の場合には、ソフトな白濁色が得られ、かつ、透明度が高くなった。また、第3例の複合乳濁剤を用いた釉薬の場合には、第1例の複合乳濁剤を用いた釉薬の場合と、第2例の複合乳濁剤を用いた釉薬を用いた場合の中間的な釉調となった。
【0068】
本実施例の乳濁剤を用いた釉薬を用いて施釉した製品においては、非常に優雅で暖かみのある質感を持った白さを表現することができるので、本実施例の乳濁剤や釉薬を用いる製品としては、衛生陶器が特に適している。つまり、大便器、小便器、便器のタンク、手洗い器、洗面器等の窯業製品に適している。また、衛生陶器以外の陶器(例えば、食器、花器、タイル、瓦等が挙げられる。なお、この陶器には、陶磁器の意味を含むものとしてもよい。)や、陶器以外の窯業製品にも適用可能である。つまり、そのような製品の釉薬として用いることにより、各製品において、非常に優雅で暖かみのある質感を持った白さを表現することが可能となる。特に、従来の衛生陶器においては、黄色味がかった白色しか表現することができなかったが、本実施例の釉薬により施釉することにより、非常に優雅で暖かみのある質感を持った白さを表現することが可能となる。
【0069】
また、上記第1実施例の乳濁剤と上記第2実施例の乳濁剤のそれぞれについて、呈色試験を行ったところ、支障なく発色することが確認された。
【0070】
【発明の効果】
本発明に基づく乳濁剤、釉薬によれば、従来の乳濁剤を用いる場合に比べて、非常に優雅で暖かみがあり、さらに、清潔感を有する白濁効果を得ることができた。つまり、従来の乳濁剤を用いた場合には、硬く冷たい感じの白色しか得られないのに対して、本発明の乳濁剤によれば、非常に優雅で暖かみがあり、さらに、清潔感を有する白色を得ることができ、食器、衛生陶器、タイル、瓦等の製品に適用することができる。特に、衛生陶器においては、清潔感のある白さを表現することができるので、有効である。

Claims (4)

  1. 窯業用の釉薬に用いる乳濁剤であって、
    珪酸ジルコニウムからなる第1材料と、
    酸化ネオジウムからなる第2材料と、
    を有し、
    第1材料と第2材料の合計重量に対する第2材料の重量割合が、2.5/102.5〜8.0/108.0であることを特徴とする乳濁剤。
  2. 窯業用の釉薬であって、
    上記請求項1に記載の乳濁剤を含有することを特徴とする釉薬。
  3. 窯業用の釉薬であって、
    基礎釉薬で、少なくとも、Na系長石と、珪石と、仮焼カオリンと、石灰石と、炭酸ストロンチウムと、仮焼タルクとを有する基礎釉薬と、
    上記請求項1に記載の乳濁剤と、
    を含有することを特徴とする釉薬。
  4. 上記第2材料の上記基礎釉薬に対する重量割合が、0.2〜2.0%であることを特徴とする請求項に記載の釉薬。
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