JP3812781B2 - ピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、パルプ及び紙の製造工程において、ピッチ障害を有効に抑制、防止することができ、特にゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる製紙工程において顕著な効果を発揮するピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パルプ及び紙の製造工程でピッチと言われているものは、木材、パルプ及び紙から遊離した天然樹脂やガム物質、さらには、パルプ及び紙の製造工程で使用される添加薬品などに由来する、有機物を主成分とする非水溶性の粘着物質である。木材中のピッチ、樹脂分は、未ざらしパルプに伴って漂白工程に持ち込まれ、装置の壁面や配管の内部に付着したり、製品パルプに斑点状に現れるピッチトラブルを起こしやすい。また、古紙を原料とする製紙工程にあっては、製本時の背糊として使用された粘着物質や、梱包材料として使用されたガムテープなどに由来する粘着物質が古紙原料中に含まれ、これらもピッチ発生の原因となる。
ピッチは、パルプ及び紙の製造工程中、特に白水中では、コロイド状になって分散しているが、何らかの外的作用、例えば、大きなせん断力、pHの急激な変化、硫酸バンドの過剰添加などにより、コロイド状態が破壊されて凝集、巨大化すると考えられている。凝集、巨大化したピッチは、その粘着性によりパルプや紙へ付着し、また、ファンポンプ、配管内、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロールなどの紙製造装置類へ付着したのち剥離して紙へ再付着し、紙の汚点、欠点の発生による品質の低下や、断紙の発生による生産性、作業性の低下などのピッチ障害を引き起こす。近年、紙の多様化による使用薬品類の増加と、工程で使用する水のクローズド化が進むにつれて、従来にも増してピッチ障害が多発するとともに、複雑化している。
このようなピッチ障害を防止するために、タルク、クレイその他の多孔性無機物を紙料に添加する方法が行われている。多孔性無機物質は、ピッチ粒子に吸着してピッチの粘着性と付着性を低下させ、さらに無機物填料として紙に抄き込むことができるので、現在広く利用されている。しかし、これらの多孔性無機物は、ピッチの吸着が必ずしも十分ではなく、紙への歩留り、定着も低いため、白水の汚濁やスラッジ堆積の原因になるほか、ワイヤーの摩耗や損傷が大きく、その改善が強く望まれている。
そのため、ピッチコントロール剤として合成高分子を用いる方法が提案されている。例えば、特開昭59−1793号公報には、ピッチをパルプスラリー中に分散させて凝集を防ぎワイヤーやフェルトへの付着を防止することができる製紙用ピッチ付着防止剤として、疎水性構成単位とスチレンスルホン酸単位などのアニオン性構成単位とを含む高分子電解質及びホスホン酸を含有する製紙用ピッチ付着防止剤が提案されている。しかし、高分子電解質などを紙料に直接添加する方法では、ピッチ含有量に応じて紙料への添加量を調節するが、紙料の流量が大きいために必然的に薬剤使用量が多くなり、処理コストが高くなることは免れられない。また、添加濃度がわずかに増加しても、必要な使用量が著しく増大し、処理コストが高くなるために、経済的に有効量を添加できない場合がある。
パルプ及び紙の製造におけるピッチの抑制手段として、特公平4−8556号公報には、アリルアミン単位又はジアリルアミン単位を有する線状の水溶性ポリマーを添加する方法が提案され、特公平7−113200号公報には、エピハロヒドリンとジアルキルアミンとカルボニル基をもたないアミンから誘導される水溶性のポリ−第四級アミン重合体を添加する方法が提案されている。これらの方法によれば、ゼータ電位が低い紙料においてはピッチ付着防止は可能であるが、ゼータ電位が高い紙料においては顕著な効果が得られない。
また、特開平4−300383号公報には、パルプ又は紙製造におけるピッチ抑制法として、水と連続的に接触していないパルプ又は紙製造装置に、別個に水溶性カチオン系重合体と水溶性アニオン系重合体を適用する方法が提案されている。この方法には、カチオン系とアニオン系の2種類の重合体が必要である上に、二重噴霧棒又は別個に操作できる2本の噴霧棒を必要とするなど、薬剤と装置が複雑になるという問題がある。
このために、パルプ及び紙の製造工程において、ピッチ障害を簡便かつ効果的に防止することができるピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パルプ及び紙の製造工程において、ピッチ障害を有効に抑制、防止し、製造装置へのピッチの付着や、パルプの汚れ、紙の汚点、欠点、断紙、作業性の低下などを防止し、ピッチ原因物質及びその状況にかかわらず、広い範囲に適用可能であり、特にゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる製紙工程において効果を発揮するピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩が、ゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる製紙工程において、優れたピッチ障害防止効果を示し、これらの化合物を紙の製造工程に用いられる水に添加することにより、ピッチ障害を効果的に防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を含有することを特徴とするピッチコントロール剤、
(2)ゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる紙の製造工程に用いられる水に、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を添加することを特徴とするピッチコントロール方法、及び、
(3)紙の製造工程に用いられる水が、紙料調成装置の回転円筒状ワイヤーへのシャワー水、又は、抄紙機のワイヤーシャワー水、フェルトシャワー水若しくはロールへのシャワー水である第(2)項記載のピッチコントロール方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のピッチコントロール剤は、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を含有する。アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などを挙げることができる。本発明のピッチコントロール剤は、パルプ及び紙の製造工程において、ピッチが発生し、製造設備や製品に付着することによる工程上、品質上のトラブルを防止することができる。例えば、パルプの製造において、蒸解工程から漂白工程に持ち込まれ、特に塩素処理時に生成する粘稠な物質によるピッチトラブルなどを防止することができる。また、紙の製造においては、紙料調成工程、抄造工程、白水回収工程などにおけるピッチトラブルを防止することができる。
スチレンスルホン酸ナトリウムは、例えば、β−ブロモエチルベンゼンにクロロスルホン酸を反応してβ−ブロモエチルベンゼンスルホニルクロライドとしたのち、メタノール溶媒中で水酸化ナトリウムと反応し、脱臭化水素と酸クロライドの加水分解を同時に行うことによって得ることができる。スチレンスルホン酸ナトリウムを酸と反応することにより、遊離のスチレンスルホン酸を得ることができる。スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩の重合方法には特に制限はなく、例えば、これらの単量体を水溶液とし、ラジカル重合を行うことにより、ポリスチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩を得ることができる。
ポリイソプレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩は、例えば、イソプレンの配位重合又はアニオン重合によりポリイソプレンを得たのち、スルホン化、中和を行うことによって得ることができる。また、ポリイソプレンスルホン酸のアルカリ金属塩は、イソプレンに三酸化イオウと水酸化アルカリを反応して得られるイソプレンスルホン酸のアルカリ金属塩を、ラジカル重合することによっても得ることができる。ポリイソプレンスルホン酸は、通常、式[1]及び式[2]で表される構造単位を有している。
【化1】
ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムは、例えば、日本合成ゴム(株)製のPK−0289などとして、入手することができる。
【0006】
本発明のピッチコントロール方法は、ゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる紙の製造工程に用いられる水に、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を添加するものである。紙料のゼータ電位は、パルプを離解、叩解し、填料や添加薬剤などを配合して調成した紙料について、電気泳動法、沈降電位法、流動電流法、流動電位法、電気浸透法などにより測定することができる。ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩は、カチオン性環境であるゼータ電位が−5mV以上の紙料中においてピッチ成分と反応し、効果的にピッチ障害を防止することができる。
本発明方法においては、ワイヤー、各種ロール、フェルトなどのピッチが付着しやすい箇所へのシャワー水に、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を添加することが好ましい。紙の製造工程に適当なシャワー水系がない場合には、ピッチが付着しやすい個所に対して、専用のシャワー、噴霧ノズル、その他の供給装置を設置し、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を添加することができる。通常は、紙料調成装置の回転円筒状ワイヤーへのシャワー水、抄紙機のワイヤーシャワー水、フェルトシャワー水、ロールへのシャワー水に添加することが好ましい。
本発明方法において、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩の添加量には特に制限はなく、紙料中のピッチ成分の含有量、紙料中のピッチの付着性、各シャワー水の水量などに応じて適宜選定して連続添加することができる。ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩は、通常はシャワー水中の濃度が0.0001〜0.1重量%であることが好ましく、0.001〜0.05重量%であることがより好ましい。シャワー水中の濃度が0.0001重量%未満であると、ピッチ付着防止効果が不十分になるおそれがある。通常は、シャワー水中の濃度が0.1重量%以下で十分なピッチ付着防止効果が得られ、シャワー水中の濃度が0.1重量%を超えると経済的に不利となるおそれがある。
【0007】
本発明方法においては、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩とともに、各種の洗浄剤、スケール防止剤、他のピッチコントロール剤などを組み合わせて使用することができる。
本発明方法によれば、ゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる紙の製造工程において、紙料調成装置や抄紙機へのピッチの付着を効果的に抑制し、防止することができる。本発明方法は、紙料に直接ピッチコントロール剤を添加するのでなく、製紙設備のうちピッチが付着しやすい部位のシャワー水などにポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を添加するものであり、シャワー水などの流量は、通常は紙料中の水量に比べ著しく少ないので、薬剤の添加濃度を高くしても薬剤の全使用量は少なくてすみ、しかも効果的にピッチの付着を防止することができる。
紙料中のピッチ成分や各種の粘着物は、その由来がさまざまであり、成分としても多数の化合物の混合物である。したがって、これらの化学物質の性質も一様ではなく、ピッチの付着機構も未だ十分には解明されていない。本発明のピッチコントロール方法によるピッチ付着の抑制機構についても明らかではないが、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩により、製紙装置のピッチの付着しやすい部分の表面が親水性のピッチ低付着性層によりコーティングされ、そのコーティングが連続的に補充されるために、効果的なピッチコントロールが可能になるものと考えられる。
【0008】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例において、下記の重合体を使用した。
(1)ポリスチレンスルホン酸:コロイド当量−5.6meq/リットル、固有粘度0.2dl/g。
(2)ポリイソプレンスルホン酸ナトリウム:日本合成ゴム(株)、PK−0289、分子量が数万で、下記の構造単位を有するもの。
【化2】
(3)ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド:コロイド当量6.2meq/リットル、固有粘度0.5dl/g。
(4)スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比70/30)共重合体、コロイド当量−4.6meq/リットル、固有粘度0.2dl/g。
(5)スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比30/70)共重合体、コロイド当量−2.8meq/リットル、固有粘度0.2dl/g。
また、実施例及び比較例において、ゼータ電位は、PEN KEM INC.のLAZER ZEE METER MODEL 501を用い、紙料の上澄液について電気泳動法により測定した。
実施例1
実機による中性上質紙抄紙工程において、製紙機の汚れ付着防止を試みた。抄紙に用いるパルプスラリーは、SS0.6重量%、pH4.3、ゼータ電位−0.8mVである。
水ドクターのシャワー水に、ポリスチレンスルホン酸を濃度0.005重量%になるよう添加して、24時間抄紙を継続した。ロールへの付着物は認められず、水ドクター中のSS濃度は0.07重量%であった。
実施例2
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールへの付着物は認められず、水ドクター中のSS濃度は0.08重量%であった。
比較例1
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いた以外は、実施例1と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには多量の付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.37重量%であった。
比較例2
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比70/30)共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.20重量%であった。
比較例3
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比30/70)共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには多量の付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.37重量%であった。
比較例4
水ドクターのシャワー水にピッチコントロール剤を添加することなく、実施例1と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには多量の付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.37重量%であった。
実施例1〜2及び比較例1〜4の結果を、第1表に示す。
【0009】
【表1】
【0010】
第1表の結果に見られるように、水ドクターのシャワー水にポリスチレンスルホン酸を添加した実施例1、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムを添加した実施例2においては、ロールへの付着物は認められない。また、水ドクター中のSSは、掻き取られたロール付着物であるので、実施例1及び実施例2において、水ドクターのSS濃度が低いことから、ロールへのSS付着が少なく、汚れ付着防止効果が発揮されていることが分かる。
これに対して、ピッチコントロール剤として公知であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比30/70)共重合体を水ドクターのシャワー水に添加した比較例1及び比較例3においては、ロールへの付着物が多く、水ドクター中のSS濃度は、ピッチコントロール剤を添加しない比較例4と同程度であり、汚れ付着防止効果はほとんど現れていない。また、スチレンスルホン酸/アクリルアミド(モル比70/30)共重合体を添加した比較例2においては、ピッチコントロール剤を添加しない比較例4よりは良好であるが、ロールへの付着物は認められ、水ドクター中のSS濃度もやや高い。
実施例3
実機による新聞紙抄紙工程において、製紙機の汚れ付着防止を試みた。抄紙に用いるパルプスラリーは、SS0.6重量%、pH4.5、ゼータ電位+1.8mVである。
水ドクター添加水に、ポリスチレンスルホン酸を水ドクターのシャワー水に濃度0.005重量%になるよう添加して、24時間抄紙を継続した。ロールへの付着物は認められず、水ドクター中のSS濃度は0.02重量%であった。
実施例4
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例3と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールへの付着物は認められず、水ドクター中のSS濃度は0.04重量%であった。
比較例5
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いた以外は、実施例3と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには多量の付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.35重量%であった。
比較例6
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比70/30)共重合体を用いた以外は、実施例3と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.19重量%であった。
比較例7
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比30/70)共重合体を用いた以外は、実施例3と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには多量の付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.30重量%であった。
比較例8
水ドクターのシャワー水にピッチコントロール剤を添加することなく、実施例3と同様にして製紙機の汚れ付着防止を試みた。24時間抄紙を継続したのち、ロールには多量の付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度は0.31重量%であった。
実施例3〜4及び比較例5〜8の結果を、第2表に示す。
【0011】
【表2】
【0012】
第2表の結果に見られるように、水ドクターのシャワー水にポリスチレンスルホン酸を添加した実施例3、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムを添加した実施例4においては、ロールへの付着物は認められない。また、水ドクターのSS濃度が低いことから、ロールへのSS付着が少なく、汚れ付着防止効果が発揮されていることが分かる。
これに対して、ピッチコントロール剤として公知であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、スチレンスルホン酸/アクリルリアミド(モル比30/70)共重合体を水ドクターのシャワー水に添加した比較例5及び比較例7においては、ロールへの付着物が多く、水ドクター中のSS濃度は、ピッチコントロール剤を添加しない比較例8と同程度であり、汚れ付着防止効果はほとんど現れていない。また、スチレンスルホン酸/アクリルアミド(モル比70/30)共重合体を添加した比較例6においては、ピッチコントロール剤を添加しない比較例8よりは良好であるが、ロールへの付着物が認められ、水ドクター中のSS濃度もやや高い。
【0013】
【発明の効果】
本発明のピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法によれば、ゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる紙の製造工程においても、製紙機へのピッチ、紙粉などの汚れの付着を効果的に抑制し、製品の品質低下、断紙、作業性の低下などの汚れ付着による障害を防止することができる。
Claims (3)
- ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を含有することを特徴とするピッチコントロール剤。
- ゼータ電位が−5mV以上の紙料を用いる紙の製造工程に用いられる水に、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩を添加することを特徴とするピッチコントロール方法。
- 紙の製造工程に用いられる水が、紙料調成装置の回転円筒状ワイヤーへのシャワー水、又は、抄紙機のワイヤーシャワー水、フェルトシャワー水若しくはロールへのシャワー水である請求項2記載のピッチコントロール方法。
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