JP3812371B2 - 3,4−ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法 - Google Patents
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- Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを中間体として経由して、3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法に関する。3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルは、医薬・農薬等の合成原料、特に抗癌剤として有用なキナゾリン化合物の原料となり得る化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法としては、例えば、J.Org.Chem.,62,4097(1997)に、N,N'-ジメチルイミダゾリジノン中にて、185℃の高温下で、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに過剰量(5倍モル以上)のリチウムジイソプロピルアミドを反応させて、収率94%で3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、発火性が高いリチウムジイソプロピルアミドを用いなければならず、又、反応条件が過酷で、後処理が繁雑となる等、工業的な製造法としては不利であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを高収率で得る、工業的に好適な3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、
(A)塩素化合物の存在下、式(1)
【0005】
【化7】
【0006】
で示される3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに分子状塩素を反応させて、式(2)
【0007】
【化8】
【0008】
で示される2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルとする第一工程、
(B)次いで、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを加水分解して式(3)
【0009】
【化9】
【0010】
で示される3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとする第二工程、
を含んでなることを特徴とする、3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法によって解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、
(A)塩素化合物の存在下、式(1)で示される3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに分子状塩素を反応させて、式(2)で示される2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルとする第一工程、
(B)次いで、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを加水分解して式(3)で示される3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとする第二工程、
を含んでなる二つの工程によって3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを反応生成物として得るものである。
【0012】
引き続き、前記の二つの工程を順次説明する。
(A)第一工程
本発明の第一工程は、塩素化合物の存在下、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに分子状塩素を反応させて、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルとする工程である。
【0013】
本発明の第一工程で使用される塩素化合物とは、三塩化リン、五塩化リン、塩化スルフリル、塩化チオニル、塩化ニトロシル等が挙げられるが、好ましくは三塩化リン、五塩化リンが使用される。これら塩素化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0014】
前記塩素化合物の使用量は、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1molに対して、好ましくは0.05〜5mol、更に好ましくは0.1〜2molである。
【0015】
本発明の第一工程において使用される分子状塩素の量は、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1molに対して、好ましくは1〜50mol、更に好ましくは1〜10molである。
【0016】
本発明の第一工程は、溶媒の存在下で行っても良く、使用される溶媒としては反応を阻害せず、それ自体が塩素化され難い溶媒ならば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、t-ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-デカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、カルボン酸エステル類、更に好ましくは芳香族炭化水素類、カルボン酸エステル類が使用される。これら溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0017】
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1gに対して、好ましくは1〜50ml、更に好ましくは2〜20mlである。
【0018】
本発明の第一工程は、例えば、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル、塩素化合物及び溶媒を混合して、分子状塩素として塩素ガス(不活性ガスで希釈されていても良い)を供給しながら、攪拌する等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは25〜150℃、更に好ましくは25〜100℃であり、反応圧力及び塩素ガスの供給速度は特に制限されない。
【0019】
本発明の第一工程では、主な生成物として2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを含んだ溶液が得られるが、本発明においては、通常、該溶液をそのまま又は濃縮した後に次の工程を行う。しかし、場合によっては、生成した2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを、例えば、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって一旦単離した後に、次の工程を行っても良い。
【0020】
(B)第二工程
本発明の第二工程は、第一工程で得られた2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを加水分解して3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとする工程である。
【0021】
本発明の第二工程は、一般的に行われる加水分解方法であれば特に限定されないが、好ましくは酸と水を加える等して酸性条件下で行う。なお、第一工程において得られた反応液(主な生成物として2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを含んだ溶液であり、濃縮されていても良い)をそのまま用いる場合には、新たに酸を添加する必要はなく、水のみを加えれば良い。
【0022】
前記水の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、第一工程で使用した3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1gに対して、好ましくは1〜50g、更に好ましくは2〜20gである。
【0023】
本発明の第二工程は、例えば、不活性ガス雰囲気にて、第一工程で得られた2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリル又はこれを含む反応液(濃縮されていても良い)及び水を混合して、攪拌する等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは5〜100℃、更に好ましくは25〜70℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0024】
本発明の第二工程で得られた3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルは、例えば、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
【0025】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0026】
実施例1(3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び導入管を備えた内容積200mlのフラスコに、窒素雰囲気にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル10.00g(67.97mmol)及びトルエン50mlを加えた。次いで、攪拌しながら三塩化リン0.96g(6.99mmol)を滴下した。更に、反応液を50℃まで昇温後、塩素ガスを3.5時間かけて供給しながら反応させた。その後、室温まで冷却し、減圧下でトルエンを留去した後、濃縮物に水50mlを加え、反応液を50℃まで昇温後、同温度で30分間攪拌した。反応終了後、反応液を5℃まで冷却し、更に1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、水で洗浄した後に減圧下50℃で乾燥させ、白色結晶として3,4-ジヒドロキシベンゾニトリル8.41gを得た(単離収率:92%)。
【0027】
実施例2〜5
実施例1において、溶媒、反応時間を変えたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例6(2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び導入管を備えた内容積50mlのフラスコに、窒素雰囲気にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル5.00g(34.0mmol)及びベンゼン25mlを加えた。次いで、攪拌しながら三塩化リン0.47g(3.4mmol)を滴下した。更に、反応液を50℃まで昇温後、塩素ガスを逐次的に供給しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下50℃で濃縮して、橙色結晶として2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリル5.90gを得た(単離収率:96%)。
2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルは、以下の物性値で示される新規な化合物である。
【0030】
CI-MS(m/e);182(MH+)
1H-NMR(C6D6、δ(ppm));6.07(1H,d,J=8.06Hz)、6.29(1H,d,J=1.71Hz)、6.45(1H,dd,J=1.71,8.06Hz)、6.99(1H,s)
【0031】
【発明の効果】
本発明により、簡便な方法にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを高収率で得る、工業的に好適な3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを中間体として経由して、3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法に関する。3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルは、医薬・農薬等の合成原料、特に抗癌剤として有用なキナゾリン化合物の原料となり得る化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法としては、例えば、J.Org.Chem.,62,4097(1997)に、N,N'-ジメチルイミダゾリジノン中にて、185℃の高温下で、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに過剰量(5倍モル以上)のリチウムジイソプロピルアミドを反応させて、収率94%で3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、発火性が高いリチウムジイソプロピルアミドを用いなければならず、又、反応条件が過酷で、後処理が繁雑となる等、工業的な製造法としては不利であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを高収率で得る、工業的に好適な3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、
(A)塩素化合物の存在下、式(1)
【0005】
【化7】
【0006】
で示される3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに分子状塩素を反応させて、式(2)
【0007】
【化8】
【0008】
で示される2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルとする第一工程、
(B)次いで、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを加水分解して式(3)
【0009】
【化9】
【0010】
で示される3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとする第二工程、
を含んでなることを特徴とする、3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法によって解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、
(A)塩素化合物の存在下、式(1)で示される3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに分子状塩素を反応させて、式(2)で示される2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルとする第一工程、
(B)次いで、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを加水分解して式(3)で示される3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとする第二工程、
を含んでなる二つの工程によって3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを反応生成物として得るものである。
【0012】
引き続き、前記の二つの工程を順次説明する。
(A)第一工程
本発明の第一工程は、塩素化合物の存在下、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルに分子状塩素を反応させて、2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルとする工程である。
【0013】
本発明の第一工程で使用される塩素化合物とは、三塩化リン、五塩化リン、塩化スルフリル、塩化チオニル、塩化ニトロシル等が挙げられるが、好ましくは三塩化リン、五塩化リンが使用される。これら塩素化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0014】
前記塩素化合物の使用量は、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1molに対して、好ましくは0.05〜5mol、更に好ましくは0.1〜2molである。
【0015】
本発明の第一工程において使用される分子状塩素の量は、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1molに対して、好ましくは1〜50mol、更に好ましくは1〜10molである。
【0016】
本発明の第一工程は、溶媒の存在下で行っても良く、使用される溶媒としては反応を阻害せず、それ自体が塩素化され難い溶媒ならば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、t-ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-デカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、カルボン酸エステル類、更に好ましくは芳香族炭化水素類、カルボン酸エステル類が使用される。これら溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0017】
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1gに対して、好ましくは1〜50ml、更に好ましくは2〜20mlである。
【0018】
本発明の第一工程は、例えば、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル、塩素化合物及び溶媒を混合して、分子状塩素として塩素ガス(不活性ガスで希釈されていても良い)を供給しながら、攪拌する等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは25〜150℃、更に好ましくは25〜100℃であり、反応圧力及び塩素ガスの供給速度は特に制限されない。
【0019】
本発明の第一工程では、主な生成物として2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを含んだ溶液が得られるが、本発明においては、通常、該溶液をそのまま又は濃縮した後に次の工程を行う。しかし、場合によっては、生成した2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを、例えば、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって一旦単離した後に、次の工程を行っても良い。
【0020】
(B)第二工程
本発明の第二工程は、第一工程で得られた2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを加水分解して3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとする工程である。
【0021】
本発明の第二工程は、一般的に行われる加水分解方法であれば特に限定されないが、好ましくは酸と水を加える等して酸性条件下で行う。なお、第一工程において得られた反応液(主な生成物として2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルを含んだ溶液であり、濃縮されていても良い)をそのまま用いる場合には、新たに酸を添加する必要はなく、水のみを加えれば良い。
【0022】
前記水の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、第一工程で使用した3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル1gに対して、好ましくは1〜50g、更に好ましくは2〜20gである。
【0023】
本発明の第二工程は、例えば、不活性ガス雰囲気にて、第一工程で得られた2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリル又はこれを含む反応液(濃縮されていても良い)及び水を混合して、攪拌する等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは5〜100℃、更に好ましくは25〜70℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0024】
本発明の第二工程で得られた3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルは、例えば、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって分離・精製される。
【0025】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0026】
実施例1(3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び導入管を備えた内容積200mlのフラスコに、窒素雰囲気にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル10.00g(67.97mmol)及びトルエン50mlを加えた。次いで、攪拌しながら三塩化リン0.96g(6.99mmol)を滴下した。更に、反応液を50℃まで昇温後、塩素ガスを3.5時間かけて供給しながら反応させた。その後、室温まで冷却し、減圧下でトルエンを留去した後、濃縮物に水50mlを加え、反応液を50℃まで昇温後、同温度で30分間攪拌した。反応終了後、反応液を5℃まで冷却し、更に1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、水で洗浄した後に減圧下50℃で乾燥させ、白色結晶として3,4-ジヒドロキシベンゾニトリル8.41gを得た(単離収率:92%)。
【0027】
実施例2〜5
実施例1において、溶媒、反応時間を変えたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例6(2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び導入管を備えた内容積50mlのフラスコに、窒素雰囲気にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリル5.00g(34.0mmol)及びベンゼン25mlを加えた。次いで、攪拌しながら三塩化リン0.47g(3.4mmol)を滴下した。更に、反応液を50℃まで昇温後、塩素ガスを逐次的に供給しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下50℃で濃縮して、橙色結晶として2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリル5.90gを得た(単離収率:96%)。
2-クロロ-ベンゾ[1,3]ジオキゾール-5-カルボニトリルは、以下の物性値で示される新規な化合物である。
【0030】
CI-MS(m/e);182(MH+)
1H-NMR(C6D6、δ(ppm));6.07(1H,d,J=8.06Hz)、6.29(1H,d,J=1.71Hz)、6.45(1H,dd,J=1.71,8.06Hz)、6.99(1H,s)
【0031】
【発明の効果】
本発明により、簡便な方法にて、3,4-メチレンジオキシベンゾニトリルから3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを高収率で得る、工業的に好適な3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法を提供することが出来る。
Claims (5)
- 第一工程で使用する塩素化合物が、三塩化リン又は五塩化リンである請求項1記載の3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法。
- 第一工程を溶媒中で行う請求項1記載の3,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法。
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JP2001184399A JP3812371B2 (ja) | 2001-06-19 | 2001-06-19 | 3,4−ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法 |
EP02013130A EP1270550B1 (en) | 2001-06-19 | 2002-06-14 | Process for producing 3, 4-Dihydroxybenzonitrile |
US10/170,360 US6573397B2 (en) | 2001-06-19 | 2002-06-14 | Process for producing 3,4-dihydroxybenzonitrile |
DE60201223T DE60201223T2 (de) | 2001-06-19 | 2002-06-14 | Verfahren zur Herstellung von 3,4-Dihydroxybenzonitril |
TW091113236A TW584625B (en) | 2001-06-19 | 2002-06-18 | Process for producing 3,4-dihydroxybenzonitrile |
CNB021214018A CN1254466C (zh) | 2001-06-19 | 2002-06-19 | 制备3,4-二羟基苄腈的方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001184399A JP3812371B2 (ja) | 2001-06-19 | 2001-06-19 | 3,4−ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法 |
Publications (2)
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JP3812371B2 true JP3812371B2 (ja) | 2006-08-23 |
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Family Applications (1)
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JP2001184399A Expired - Fee Related JP3812371B2 (ja) | 2001-06-19 | 2001-06-19 | 3,4−ジヒドロキシベンゾニトリルの製造法 |
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2001
- 2001-06-19 JP JP2001184399A patent/JP3812371B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2002371050A (ja) | 2002-12-26 |
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