JP3812312B2 - 有料道路における自動料金課金方法、路側装置及び自動料金課金システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有料道路における自動料金課金システム(以下ETC=Electronic Toll Collection Systemという)に関し、特に携帯電話を利用した自動料金課金システム(ETC)及び料金所に設置される路側通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すように、従来のETCは自動車のダッシュボード上などにクレジットカード会社が発行するETCカード(ETCに対応した料金決済用のICカード)を読み取る車載器302を設置し、この車載器302と有料道路の料金所の路側装置(料金所の料金ゲートを通過するための各自動車通行路上に設けられた自動料金課金のための装置)300内に設置する路側通信装置305との間の無線通信により、料金所で自動車を一時停止させることなく自動的に通行料を課金するものである。
【0003】
図3は2000年4月から日本道路公団及び首都高速道路公団(以下有料道路事業者という)によってモニタ実験が行われている料金所の路側装置300の説明図である。このシステムに関しては月刊「カードウェーブ」、2000年6月号(株式会社シーメディア)に特集されている。この路側装置300は、料金所の料金ゲートを通過するための各自動車通行路上に設けられ、自動車301が路側装置300内の所定の通信領域309内(斜線で示す)に存在することを検出する車載検知器303と、路側通信装置305と、通信装置支持台306と、自動車の通行及び停止を制御する遮断機307と、自動車の運転者に必要な情報を表示するための表示装置308とを含む。上記車載検知器303の4本のポールで囲まれた領域が実質上の通信領域309(斜線で示す)となっている。
【0004】
路側装置300は有料道路の入口と出口に設けられ、入口に設けられる路側装置の場合には、車載器302を搭載した自動車301が上記通信領域309内に侵入すると、この車載器302と上記路側通信装置305との間で無線通信が開始され、車載器302に挿入されたクレジットカード会社発行のETCカード上に記録されているユーザID等の情報が上記路側通信装置305を経由して有料道路事業者のコンピュータ405(図4参照)に記録される。
【0005】
有料道路の出口に設けられた路側装置の場合には、入口の場合と同様に車載器302を搭載した自動車301が上記通信領域309内に侵入すると、この車載器302と上記路側通信装置305との間で無線通信が開始され、車載器302に挿入された上記ETCカード上に記録されているユーザID等の情報が上記路側通信装置305を経由して有料道路事業者のコンピュータ405(図4参照)に転送される。コンピュータ405は先に入口からの情報により記録したユーザID等と出口から転送されたユーザID等とを照合して入口と出口間の料金を料金表から求めて表示装置308に表示すると共にクレジットカード会社別に仕分けしてクレジットカード会社経由でユーザから料金を徴収する。出口の路側装置の場合、上記通信領域309内に上記自動車301が存在する間に上記路側通信装置と上記車載器との間の通信が完了しなかったり、入り口からのユーザID等と出口からのユーザID等が一致しない場合にその旨を表示装置308に表示し、また遮断機307を閉鎖したりする。図4は従来のETCシステムにおける情報の流れをブロック図で示したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のETCでは1台3万円乃至5万円といわれている車載器の費用を一般ユーザが負担しなければならず、その上クレジットカード会社と新たに契約してETCカードを発行してもらわなければならない。更に、風雨から防護されたダッシュボードのような車載器の設置場所がない2輪自動車には対応できないという欠点がある。
そこで本発明は2000年現在既に日本国内において6000万台以上普及しているといわれている携帯電話を利用してユーザに追加負担がなく、新たにETCカードの発行手続きも不要で、且つ2輪自動車にも対応可能なETCシステムを提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では上記車載器の代わりに既に6000万人以上のユーザがある携帯電話ネットワークとその料金決済システムを利用する。各携帯電話端末はその電源をオンにしておけば常に最寄りの基地局と通信を行って当該携帯電話端末がどの通信セル(1つの基地局がカバーする通信領域)内にいるかを確認している。この携帯電話端末を上記車載器とみなして利用し、携帯電話ネットワークの基地局の機能の一部(携帯電話の通信プロトコルを使用して端末の識別等を行い、且つ携帯電話端末から発信されるダイアルされた番号等の信号を検出)を上記路側通信装置に組み込むことによって、当該携帯電話端末が通行した有料道路区間を路側装置によって検出し、同時に既に確立している携帯電話の料金決済システムを利用して電話料金と合わせて通行料をユーザから徴収するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による路側装置の1例の説明図である。有料道路の入口に設置される路側装置100Aと出口に設置される路側装置100Bとは同一機能でよいがここでは説明の便宜上参照番号を別々にしておく。路側装置100A又は100Bは、有料道路料金所の料金ゲートを通過するための各自動車通行路上に設けられ、自動車101が路側装置100A又は100B内の所定の通信領域109内(斜線で示す)に存在することを検出する車両検知器103と、路側通信装置105と、通信装置支持台106と、自動車の通行及び停止を制御する遮断機107と、運転者に必要な情報を表示するための表示装置108とを含む。遮断機107及び表示装置108は有料道路の運用上(自動料金課金以外の目的で)必要であると思われるが自動課金システムとしては必ずしも必要ないものである。上記車両検知器103の4本のポールで囲まれた領域がほぼ通信領域109(斜線で示す)となっている。
【0009】
路側通信装置105は、どの携帯電話会社の携帯電話端末102とも通信できる通信機能を有し、該当する上記所定の通信領域109にある携帯電話端末102とのみ通信できるように強い指向性をもたせたアンテナ等を使用することによって当該通信領域外にある携帯電話端末とは通信できないように構成される。入り口料金所に設置された路側装置100Aにおいて、自動車101が上記所定の通信領域109に侵入すると自動的に当該自動車に搭載されている(電源オンの)携帯電話端末の識別番号を検出するが、更にこの通信領域内で上記自動車101内に搭載された携帯電話端末のうち通行料金を課金すべき携帯電話端末からその携帯電話端末を表す信号(例えば自端末の電話番号をダイアル発信)を発信し、この信号を上記路側通信装置105で検出し、先に自動的に検出した識別番号とユーザの操作によって発信されたこの信号とが同一の携帯電話端末を示す場合にその識別番号又は上記信号或いはその両方を有効とする。これによって、万一同一自動車101内に電源がオンとなった携帯電話端末102が2台以上ある場合にも、上記信号を発信することによって課金すべき携帯電話端末が特定できる。有効とされた上記識別番号又は上記信号或いはその両方(以下ID情報という)は料金計算用コンピュータ205へ転送され、そこで一旦記録される。
【0010】
出口に設置された路側装置100Bにおいても同様の動作が行われ、有効となった識別番号又は上記信号或いはその両方(ID情報)がコンピュータ205へ転送される。特に出口料金所においては、上記所定の通信領域内に自動車101が存在する間に上記ID情報を確定できない場合、或いは入り口からのID情報と出口からのID情報とが一致しない場合には上記表示装置108にその旨を表示したり、遮断機107を閉鎖して上記自動車101が料金所をそのまま通過できないようにしたりすることは従来技術と同様に本願によるシステムにおいても有料道路の運用上必要であろう。更に、通常有料道路の料金は車種によって異なる場合が多いので、カメラによって自動車のナンバープレートを撮影し、ナンバープレートに表示された車種を表す表示(例えば番号)を認識する車種認識装置110Bを設けて認識された車種情報を上記料金計算用コンピュータへ送り、このコンピュータで車種別の通行料金を計算することもできる。この場合夜間等明るさが十分でない場合には照明器具で投光するか或いは赤外線カメラを使用しても良い。また、上記車種認識装置110Bは有料道路入口の路側装置100A又は出口の路側装置100Bのうちの少なくともどちらかに設置されれば良いのであるが本願では図2において出口の路側装置100Bに設けた場合を示す。上記車両検知器103の4本のポールで囲まれた領域がほぼ通信領域109(斜線で示す)となっている。
【0011】
コンピュータ205内では先に入口の路側通信装置105から転送されて記録したID情報と出口から転送されたID情報とを照合して、一致したID情報について入口と出口間の料金を料金表から求めて出口料金所の表示装置108に表示すると共に携帯電話会社別に仕分けして携帯電話会社経由でユーザから料金を徴収する。車種認識装置110Bが設置されている場合には料金は車種別料金となる。従って本発明による料金課金システムにおいては、自動車101に搭載される電源オンの携帯電話端末102の台数が2台以上存在してもこの2台以上のうちの通行料金を課金すべき携帯電話端末からその端末を表す信号(例えば自端末の電話番号をダイアル発信)を発信しない限りID情報が有効とならないので、バスやタクシーを含めて自動車内に複数の携帯電話端末(電源オン)が搭載されていても二重検出することはなく、必ず上記信号を発信した携帯電話端末に課金することができる。図2は本発明によるETCシステムにおける情報の流れをブロック図で示したものである。
【0012】
【発明の効果】
携帯電話は既に6000万台以上の利用者があり、料金決済システム等そのインフラは整備されている。従って本発明によるETCの場合には新しく車載器を開発すする必要も、ICカード化されたETCカードを開発する必要もない。更に最大の効果として有料道路利用者は3万円乃至5万円といわれる車載器を新たに購入する必要がない。ユーザは単に既に所有している携帯電話端末をポケットに入れ、或いは車に乗せて運転し、路側装置の通信領域で例えば自端末宛にダイアル発信すれば、有料道路の料金所をノンストップで通過でき、6000万台以上の利用者に対して稼働中である携帯電話会社の料金決済システムを通じて自動的に料金の決済が行われる。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による路側装置を模試的に示す図である。
【図2】図2は本発明によるETCシステムの情報の流れを示すブロック図である。
【図3】図3は従来技術による路側装置を模試的に示す図である。
【図4】図4は従来技術によるETCシステムの情報の流れを示すブロック図である。
【符号の説明】
102・・・・・・・携帯電話端末
105・・・・・・・路側通信装置
107、307・・・遮断機
108、308・・・表示装置
109、309・・・通信領域
110B・・・・・・車種認識装置
302・・・・・・・車載器(従来技術)
305・・・・・・・路側通信装置(従来技術)
Claims (3)
- 有料道路の入口の料金ゲートの自動車通行路上に設けられた所定の通信領域内に自動車が存在するときに
入口の車種認識装置によってその自動車のナンバープレートをカメラで撮影し、このナンバープレート上の車種を表す表示を認識して車種を検出することによって入口における車種情報を作成し、
入口の路側通信装置によって上記自動車内にある携帯電話端末と通信を行い、上記携帯電話端末の識別番号を検出すると共に上記携帯電話端末から発信される自端末を表す信号を検出して上記識別番号と上記自端末を表す上記信号とが同一の携帯電話端末を示していることを確認して上記識別番号及び上記自端末を表す上記信号のうち予め定めた少なくとも1つの情報を入口におけるID情報として上記入口における車種情報と共に料金計算用コンピュータへ伝送し、
上記有料道路の出口の料金ゲートの自動車通行路上に設けられた所定の通信領域内に上記自動車が存在するときに
出口の車種認識装置によってその自動車のナンバープレートをカメラで撮影し、このナンバープレート上の車種を表す表示を認識して車種を検出することによって出口における車種情報を作成し、
出口の路側通信装置によって上記自動車内にある携帯電話端末と通信を行い、上記携帯電話端末の識別番号を検出すると共に上記携帯電話端末から発信される自端末を表す信号を検出して上記識別番号と上記自端末を表す上記信号とが同一の携帯電話端末を示していることを確認して上記識別番号及び上記自端末を表す上記信号のうち予め定めた少なくとも1つの情報を出口におけるID情報として上記出口における車種情報と共に上記料金計算用コンピュータへ伝送し、
上記料金計算用コンピュータにおいて、上記入口におけるID情報と上記出口におけるID情報とが一致し、且つ上記入口における車種情報と上記出口における車種情報とが一致したときにこれらのID情報及び車種情報に基づいて上記入口と上記出口の間の車種別通行料金を計算し、携帯電話の通話料金と有料道路の通行料金とを合算して課金する有料道路の自動料金課金方法。 - 有料道路の料金ゲートの自動車通行路上に設けられる路側装置であって、上記自動車通行路上に設けられた所定の通信領域内に自動車が存在するときに
その自動車のナンバープレートをカメラで撮影し、このナンバープレート上の車種を表す表示を認識して車種を検出することによって車種情報を作成する車種認識装置と、
上記自動車内にある携帯電話端末と通信を行い、上記携帯電話端末の識別番号を検出すると共に上記携帯電話端末から発信される自端末を表す信号を検出して上記識別番号と上記自端末を表す上記信号とが同一の携帯電話端末を示していることを確認して上記識別番号及び上記自端末を表す上記信号のうち予め定めた少なくとも1つの情報をID情報として上記車種情報と共に料金計算用コンピュータへ伝送する路側通信装置と
を備えた路側装置。 - 有料道路の料金所で自動車を停止させることなく料金の課金を自動的に行うための自動料金課金システムであって、
有料道路の入口及び出口の料金ゲートの自動車通行路上にそれぞれ設けられ、上記自動車通行路上に設けられた所定の通信領域内に自動車が存在するときに
その自動車のナンバープレートをカメラで撮影し、このナンバープレート上の車種を表す表示を認識して車種を検出することによって車種情報を作成する車種認識装置と、上記自動車内にある携帯電話端末と通信を行い、上記携帯電話端末の識別番号を検出すると共に上記携帯電話端末から発信される自端末を表す信号を検出して上記識別番号と上記自端末を表す上記信号とが同一の携帯電話端末を示していることを確認して上記識別番号及び上記自端末を表す上記信号のうち予め定めた少なくとも1つの情報をID情報として上記車種情報と共に料金計算用コンピュータへ伝送する路側通信装置とを備えた路側装置を備え、
上記料金計算用コンピュータにおいて上記入口から伝送されたID情報と上記出口から伝送されたID情報とが一致し、且つ上記入口から伝送された車種情報と上記出口から伝送された車種情報とが一致したときにこれらのID情報及び車種情報に基づいて上記入口と上記出口の間の車種別通行料金を計算し、携帯電話の通話料金と有料道路の通行料金とを合算して課金する有料道路の自動料金課金システム。
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