JP3812038B2 - 有機リン化合物及びこれを含む触媒を用いる不飽和アルコールの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な有機リン化合物及びこれを一成分とする触媒を用いる不飽和アルコールの製造法に関するものである。本発明に係る有機リン化合物は熱や加水分解等に対する安定性に優れているので、これを含む触媒は水が存在する反応系においても安定した触媒活性を示す。
【0002】
【従来の技術】
水素化、ヒドロホルミル化、ヒドロエステル化、ヒドロシアノ化、オレフィンのオリゴメリゼーション等の工業的に重要な反応が、遷移金属錯体触媒を用いて行ない得ることが知られている。これらの遷移金属錯体触媒には、多くの場合、有機ホスフィンなどの有機リン化合物が配位子として用いられている。最近では、有機ホスフィンよりも高活性で且つ目的化合物に対する高い選択性を示す触媒を与える配位子として、有機ホスファイトなどのリン−酸素結合を有する化合物が注目され、高性能の配位子の開発が進められている(特開昭62−116535号、WO95/14659号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
リン−酸素結合を有する有機リン化合物であるホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト等は優れた配位子であるが、分子構造中に加水分解、熱分解などを受け易いリン−酸素結合を有しているため、使用条件が制限されるという問題がある。工業的な錯体触媒反応は、一般的には反応液から生成物を蒸留や抽出などで分離したのち、触媒を含む残留液を反応系に循環して触媒を再利用するので、配位子としては反応条件下で安定であることに加えて、反応液の処理工程でも安定であることが強く要求されている。本発明はこのような要求に応える新規な有機リン化合物を提供せんとするものである。また、本発明は、この新規な有機リン化合物を配位子とする触媒を用いて不飽和アルコールを製造する方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機リン化合物は下記一般式(1)で表わされる。
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、Xは酸素原子を表わす。A1 は置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を表わし、A2 及びA3 は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を表わし、A4 はエチレン単位を有する2価の有機基を表わす。Q1 及びQ2 は、それぞれ独立して、−CR1 R2 −、−O−、−S−、−SO2 −、−NR3 −、−SiR4 R5 −又は−CO−を表わし、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、トリル基若しくはアニシル基を表わし、R3 、R4 及びR5 は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表わす。X、Y、m及びnは、それぞれ独立して、1又は0を表わす)
また、本発明によれば、パラジウム化合物及び上記の有機リン化合物を含む触媒の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応させることにより、共役アルカジエンが多量化した骨格を有する不飽和アルコールを製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明すると、本発明に係る一般式(1)の化合物と公知の有機リン化合物との最も大きな相異点は、一般式(1)の化合物がA4 で表わされるエチレン単位を有する2価の有機基を有していることである。そして、この有機基がリン−酸素結合を立体配置的に保護するので、一般式(1)の化合物が加水分解や酸化などの分解反応に対して高い安定性を示すものと考えられる。
【0008】
一般式(1)の化合物において、A1 としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基などのアルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアリール置換アルキル基;トリル基、キシリル基などのアルキル置換フェニル基が好ましく、その炭素数は通常30以下である。また、これらの基には、メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基などの炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、スルホン酸ソーダ基(−SO3 Na)、カルボン酸ソーダ基(−COONa)、メトキシカルボニルなどのカルボン酸エステル基などの置換基が結合していてもよい。
【0009】
A2 及びA3 の芳香環は、通常はアルキル基やフェニル基などの置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環であり、その炭素数は通常30以下である。これらのベンゼン環やナフタレン環、フェニル基などには、メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基などの炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、スルホン酸ソーダ基、カルボン酸ソーダ基、メトキシカルボニルなどのカルボン酸エステル基などの置換基が結合していてもよい。好ましくはA2 及びA3 はベンゼン環であり、その1−位にX、2位に(CH2 )X 又は−(CH2 )Y 、6−位にA4 が結合している。残りの3〜5−位のいずれかには置換基が存在していてもよく、置換基としては炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。また、A2 及び/又はA3 がナフタレン環の場合には、α−位に(CH2 )X 又は(CH2 )Y 、その隣りのβ−位にX又はQ2 、さらにその隣りのβ−位にA4 が結合しているのが好ましい。
【0010】
Q1 としては−CR1 R2 で表わされるメチレン基が好ましく、R1 及びR2 はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。またQ2 は−O−であるのが好ましい。
A4 で表わされるエチレン単位(−CH2 −CH2 −)を有する2価の有機基は、通常は両末端間の最少炭素原子数が6〜30である飽和炭化水素である。A4 の両末端の炭素原子、すなわちA2 又はA3 の芳香環に結合する炭素原子は、嵩高い4級炭素であるのが好ましい。A4 として最も好ましいのは、両末端が4級炭素原子であり、かつ炭素数10〜20の鎖長を有するアルキレンである。一般式(1)で表わされる化合物のいくつかを表−1に例示する。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【表6】
【0017】
【表7】
【0018】
本発明に係る化合物は公知の合成手段を組合せることにより合成することができる。その一方法によれば先ずA1 −P結合を形成させ、次いでこれに下記式(2)で表わされる部分構造を結合させる。また他の方法によれば上記(2)式で
【0019】
【化3】
【0020】
表わされる部分構造とリン化合物とを反応させて、下記(3)式で表わされる部分構造を形成し、次いでこれにA1 部分を結合させればよい。
【0021】
【化4】
【0022】
A1 −P結合の形成は、A1 −Br化合物とマグネシウムとを反応させてグリニヤール化合物とし、P−Cl結合を有する化合物と反応させればよい。
また、(3)式の部分構造の形成は、(2)式の部分構造に第3級アミンなどの塩基性化合物の存在下に3塩化リンを反応させればよい。
(2)式の部分構造の形成は、A2 とA3 とを先ず−(CH2 )x −(Q1 )n −(CH2 )Y −で結合し、次いでA4 で両者を更に結合してもよく、また、その逆であってもよい。
【0023】
本発明に係る有機リン化合物は、種々の錯体触媒の配位子として有用である。例えばパラジウム化合物と本発明に係る有機リン化合物とから成る錯体触媒は、共役ジエンと水とのテロメリゼーションによる不飽和アルコールの製造に優れた触媒能を発揮する。この不飽和アルコールの製造について説明すると、原料である共役アルカジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3−オクタジエン等が用いられる。1,3−ブタジエンを原料とする場合には、精製1,3−ブタジエンの外にいわゆるBB留分、すなわちナフサ分解生成物中のC4留分混合物を用いることもできる。
【0024】
なおBB留分を原料とする場合には、BB留分中に含有されるアセチレン類およびアレン類を予め除去しておくことが望ましい。アセチレン類及びアレン類を低減化するための方法は特に限定されず、公知の諸方法が適宜採用可能である。1,3−ブタジエンの水和偶数量化反応(例えば、水和2量化、水和4量化)によりオクタジエノール類又はヘキサデカテトラエノール類を製造する場合には、原料中のアセチレン類及びアレン類の総濃度は、可能な限り低いことが望ましいが、通常1,3−ブタジエンに対して1.0重量%以下程度が望ましい。
【0025】
もう一方の原料である水としては、水和偶数量化反応に影響を与えない程度の純度の水であればよい。水の使用量については特に限定的ではないが、共役アルカジエン1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲から選択される。
触媒調製に用いるパラジウム化合物の形態及びその原子価状態については限定的ではなく、0価又は2価のいずれのパラジウム化合物も使用することが出来る。例えば、硝酸パラジウム等のパラジウム無機酸塩;酢酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩;ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(トリブチルホスフィン)パラジウム酢酸塩等の2価パラジウム錯体や、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、(1,5−シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パラジウム等の0価パラジウム錯体が挙げられる。また、本発明に係る有機リン化合物自身が配位したパラジウム錯体であるビス(ホスフィナイト)パラジウム錯体、トリス(ホスフィナイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホスフィナイト)パラジウム錯体、ビス(ホスホナイト)パラジウム錯体、トリス(ホスホナイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホスホナイト)パラジウム錯体、ビス(ホスファイト)パラジウム錯体、トリス(ホスファイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホスファイト)パラジウム錯体等を用いることも出来る。
【0026】
これらのパラジウム化合物の使用量は広範囲に変化させ得るが、通常、共役アルカジエン1モルについて、パラジウムとして0.000002〜1モル、好ましくは0.00002〜0.1モルの範囲内で選択される。
本発明に係る有機リン化合物の使用量は、通常パラジウム1モルに対して0.1〜250モル(リン原子換算)程度から選択されるが、好ましくは2モル〜150モル、更に好ましくは、2モル〜100モル程度であり、上記範囲の中で反応の条件下で反応液中に溶解する範囲内が望ましい。
【0027】
共役アルカジエンと水との反応は、パラジウム化合物及び本発明に係る有機リン化合物、並びに二酸化炭素又は周期律表3A族、4A族、5A族、6A族、ほう素、インジウム、ゲルマニウム、アンチモン、テルルの含酸素化合物の存在下に行われる。なお二酸化炭素は、反応系で二酸化炭素として存在するものであればよく、特にその供給形態は問わない。例えば、分子状の二酸化炭素、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩、又は二酸化炭素若しくは炭酸とアミンとの付加物が用いられる。通常、二酸化炭素はパラジウム1モルに対して1モル以上、好ましくは10モル以上使用される。その上限は任意であり、大量に使用しても反応は阻害されない。上記含酸素化合物を使用する場合、その使用量は通常パラジウム1モルに対して0.1モル〜10000モル、好ましくは1モル〜1000モルの範囲で使用される。
【0028】
本発明方法においては、反応液中のパラジウム化合物や有機リン化合物を安定化させたり、又は二酸化炭素若しくは前記含酸素化合物の溶解性を高め、所望の不飽和アルコールへの反応性や選択性を高める等の目的で、反応液中に塩基性化合物を存在させてもよい。塩基性化合物としては、アミン化合物、ピリジン誘導体、アミド類等が挙げられる。これらのうち、特にアミン化合物が好ましい。使用するアミン化合物は特に限定されないが、2級以下のアミン化合物を用いた場合には共役アルカジエンと反応して副生成物を与えることがあるので、3級アミン化合物が最も好ましい。アミン化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどで代表されるトリアルキルアミン類、1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノール、1−(N,N−ジメチルアミノ)−3−ブタノールなどのアミノアルコール類、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のヘテロ芳香族アミン、およびN,N−ジメチル−2−メトキシエチルアミン、N,N−ジメチル−3−エトキシプロピルアミン等のアルコキシアルキルアミン類、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン等の環状アミン類、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン類などが挙げられる。これらのうち反応成績、沸点、溶解性、価格などの諸点を考慮すると、トリエチルアミンが特に好ましい。
【0029】
アミン化合物の使用量は、通常、共役アルカジエンに対して、0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜5重量部の範囲から任意に選択される。
共役アルカジエンと水との反応に際しては、反応をより円滑に行うために溶媒を使用するのが好ましい。溶媒としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン等のアルケン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニトロメタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピコリン等のピリジン誘導体、アセトアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は混合溶媒として用いてもよい。これらのうち、特に低級アルコールを使用する場合には、アルコキシアルカジエン等の副生成物の生成を伴い、低級カルボン酸を使用する場合には、アシルオキシアルカジエン等の副生成物の生成を伴い、反応系を複雑にする可能性があるので共に注意を要する。
【0030】
溶媒の使用量は必ずしも限定的ではないが、通常、共役アルカジエン1重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲から任意に選択される。
共役アルカジエンと水とを反応させるための反応温度は、室温から180℃程度の範囲から選択することができるが、50〜130℃程度の温度範囲を選ぶのがより一般的であり、好ましくは、75〜110℃の温度範囲がより望ましい。
【0031】
反応圧力は常圧から200kg/cm2 程度の範囲から選択される。この際、二酸化炭素の他に窒素、ヘリウム、アルゴン等の反応に不活性な気体を共存させることも可能である。
反応は、連続式、半連続式、及び回分式のいずれの方法でも実施し得る。反応生成液中には、主生成物である共役アルカジエンが多量化した骨格を有する不飽和アルコール、副生成物の不飽和炭化水素類、不飽和エーテル類、有機カルボン酸及びエステル類、並びに溶媒、未反応の共役アルカジエン、触媒や水等が含有されている。原料共役アルカジエンが、1,3−ブタジエンの場合、不飽和アルコールとしては1,3−ブタジエンの偶数量化によって得られた骨格を有するオクタ−2,7−ジエン−1−オール、オクタ−1,7−ジエン−3−オール、6−ビニル−2,8,13−テトラデカトリエン−1−オールが、副生成物としては、オクタトリエン類、ヘキサデカテトラエン類、ジオクタジエニルエーテル類、有機カルボン酸およびエステル類が生成する。
【0032】
本発明の方法によれば、パラジウム化合物及び本発明に係る有機リン化合物から成る触媒を用いることにより、1,3−ブタジエンと水との反応において、従来公知の不飽和アルコールであるオクタ−2,7−ジエン−1−オール、及び、オクタ−1,7−ジエン−3−オールを高収率で取得することが可能であり、しかも1−オクタノールの原料となるオクタ−2,7−ジエン−1−オールを高選択率で取得することができる。更に、本発明の方法によれば、1,3−ブタジエンの水和4量化物である6−ビニル−2,8,13−テトラデカトリエン−1−オールを取得することが可能である。また、得られた不飽和アルコールは水素化することにより対応する飽和アルコールに転換することが出来る。
【0033】
なお、本発明方法により不飽和アルコールを製造する際には、所望の不飽和アルコールの種類に応じて、前記の反応条件内で適宜条件を選定すればよいが、オクタ−2,7−ジエン−1−オールを高収率、高選択率で取得するためには特に塩基性化合物の存在下で反応を行うのが好ましい。また、6−ビニル−2,8,13−テトラデカトリエン−1−オールを高収率で取得するためには、塩基性化合物の非存在下で反応を行うのが好ましい。
反応後、不飽和アルコール類は、例えば特開昭54−144306号公報に記載されたような蒸留法、又は特開昭57−134427号公報に記載されたような抽出法などを適用することにより反応生成液から分離される。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下においてTHFはテトラヒドロフランを示す。
両末端に不飽和二重結合を有する長鎖ジエンの合成;
乾燥THF50ml中にマグネシウム4.10gを入れ、激しく撹拌しつつ、これに1,12−ジブロモドデカン25gの乾燥THF溶液を滴下し、グリニヤール試薬を調製した。メタリルクロライド23mlを乾燥THF50mlに溶かし、これにニッケルビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライドを108mg添加したものに、上記で調製したグリニヤール試薬を滴下し、加熱して反応させた。反応液を水洗し、有機相を乾燥したのち、溶媒留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、2,17−ジメチル−1,17−オクタデカジエン18.2gを得た。
【0035】
両末端に4級炭素を有する長鎖炭化水素を連結基とするビスフェノールの合成;
p−クレゾール5.11gとp−トルエンスルホン酸一水和物0.76gを100℃に加熱し、これに2,17−ジメチル−1,17−オクタデカジエン2.66gのトルエン溶液を滴下して2時間反応させた。水、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液で順次洗った後、有機相を乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、長鎖炭化水素でo−位同士が連結されたビスフェノールである1,16−テトラメチル−1,16−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘキサデカン3.34gを得た。
【0036】
環状ビスフェノールの合成;
乾燥THF10ml中にマグネシウム0.346gを入れ、激しく撹拌しつつ、これにo−ブロモトルエン2.43gを滴下して、グリニヤール試薬を調製した。これに上記と同様にして得られた、長鎖炭化水素でo−位同士が連結されたビスフェノール3.49gのTHF溶液を滴下して反応させた。THFを留去したのち残渣をトルエンに溶かし、これにパラホルムアルデヒド0.304gを加えて24時間加熱還流した。1N塩酸で酸性にしたのち、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液で順次洗った後、有機相を乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、長鎖炭化水素で片方のo−位同士が架橋され、メチレンでもう片方のo−位同士が架橋された、環状ビスフェノール0.67gを得た。
【0037】
実施例1 ホスホナイト(1)の合成
上記と同様の方法で調製した環状ビスフェノール2.71gとトリエチルアミン1.75mlのトルエン溶液に、フェニルジクロロホスフィン0.73mlのトルエン溶液を滴下した。生成した無機塩を濾別後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記の式(4)で示されるホスホナイト(1)の白色粉末1.45gを得た。
【0038】
【化5】
【0039】
このものの 1H−NMRのチャートを図1に示す。またこのものの31P−NMRのシフト値は166.3ppm、164.8ppm及び163.3ppmであった(リン酸基準)。
実施例2 ホスホナイト(2)の合成
三塩化リン0.747gのトルエン溶液に、上記と同様の方法で調製した環状ビスフェノール2.45gとトリエチルアミン1.5mlのトルエン溶液を滴下した。生成した無機塩を濾別後、溶媒を留去し、環状ビスフェノキシモノクロロホスフィンを黄白色固体として2.68g(31P−NMR 160ppm/リン酸基準)取得した。
【0040】
乾燥THF10ml中にマグネシウム0.244gを入れて激しく撹拌しつつ、これにネオペンチルブロマイド1.26mlのTHF溶液を滴下して、グリニヤール試薬を調製した。これに上記で得られた、環状ビスフェノキシモノクロロホスフィン2.68gのTHF溶液を加え、低温で反応させた。THF留去後、残渣をトルエンに溶解させた。水洗後、乾燥し、さらに溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記の式(5)で示されるホスホナイト(2)の白色粉末1.09gを得た。
【0041】
【化6】
【0042】
このものの 1H−NMRのチャートを図2に示す。またこのものの31P−NMRのシフト値は199.1ppm及び196.7ppm(リン酸基準)であった。
実施例3
内容積200mlのステンレス製オートクレーブに、窒素ガス雰囲気下で0.129ミリモルの酢酸パラジウム、1.01ミリモルの上記のホスホナイト(1)、47mlのアセトン、6.7mlの水及びガスクロマトグラフィ分析のための内部標準物質として2.0mlのo−キシレンを仕込み、更に13.1gの1,3−ブタジエンと8gの二酸化炭素を導入した。反応混合液を800rpmの速度で撹拌しながら20分かけて内温が75℃になるまで加温した。75℃で3時間反応を継続したのち、ガスクロマトグラフィで反応液を分析した結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、70.7%の、2,7−オクタジエン−1−オール(以下、1−HODと記載する)、3.8%の1,7−オクタジエン−3−オール(以下、3−HODと記載する)が得られた。反応液の31P−NMRを測定したところ、リン−酸素結合の切断されたリン化合物(ホスホナイトの分解物)は検出されなかった。
【0043】
実施例4
実施例3においてホスホナイト(1)の代りに上記のホスホナイト(2)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして反応を行った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、70.7%の1−HOD、6.8%の3−HODが得られた。
【0044】
比較例1
実施例3において、ホスホナイト(1)の代りに下記(6)式で示されるフェニル(2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4メチルフェノキシ)ホスホナイトを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、70.8%の1−HOD、3.9%の3−HODが得られた。反応液の31P−NMRを測定したところ、リン−酸素結合の切断されたリン化合物は検出されなかった。
【0045】
【化7】
【0046】
比較例2
実施例3において、ホスホナイト(1)の代りに下記の式(7)で示されるネオペンチル(2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4メチルフェノキシ)ホスホナイトを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、75.2%の1−HOD、6.8%の3−HODが得られた。反応液の31P−NMRを測定したところ、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比として、4.3%のリン−酸素結合の切断されたホスホナイトの分解したリン化合物が検出された。
【0047】
【化8】
【0048】
参考例1 ホスホナイト(1)の安定性試験
70mlのミクロオートクレーブに、酢酸パラジウムを0.10ミリモル、上記のホスホナイト(1)を0.53ミリモル、1−HODを17.5ml及びトリオクチルアミンを2.5ml仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間加熱し、反応液の31P−NMRを測定した。その結果、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比は、ホスホナイト(1)が81.6%、パラジウム−ホスホナイト(1)錯体が13.7%、ホスホナイトオキサイドが4.7%であり、リン−酸素結合の切断されたホスホナイト(1)の分解したリン化合物は検出されなかった。
【0049】
参考例2 ホスホナイト(2)の安定性試験
70mlのミクロオートクレーブに、酢酸パラジウムを0.049ミリモル、上記のホスホナイト(2)を0.266ミリモル、1−HODを8.8ml及びトリオクチルアミンを1.25ml仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間加熱し、反応液の31P−NMRを測定した。その結果、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比は、ホスホナイト(2)が66.7%、ホスホナイト(2)に含まれていた不純物が12.7%、パラジウム−ホスホナイト(2)錯体が14.3%、ホスホナイトオキサイドが4.7%であり、リン−酸素結合の切断されたホスホナイト(2)の分解したリン化合物は検出されなかった。
【0050】
参考例3 フェニル(2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ))ホスホナイトの安定性試験
参考例1において、ホスホナイト(1)の代りに前記の式(6)で示される標記のホスホナイトを用いた以外は、参考例1と全く同様にしてホスホナイトの安定性試験を行った。
その結果、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比は、ホスホナイトが52.9%、パラジウム−ホスホナイト錯体が16.2%、ホスホナイトオキサイドが12.9%であり、他にリン−酸素結合の切断されたホスホナイトの分解したリン化合物が18.0%検出された。
これらの安定性試験から明らかなように、本発明に係るホスホナイトは安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成した本発明に係るホスホナイト(1)の 1H−NMRのチャートである。
【図2】実施例2で合成した本発明に係るホスホナイト(2)の 1H−NMRのチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な有機リン化合物及びこれを一成分とする触媒を用いる不飽和アルコールの製造法に関するものである。本発明に係る有機リン化合物は熱や加水分解等に対する安定性に優れているので、これを含む触媒は水が存在する反応系においても安定した触媒活性を示す。
【0002】
【従来の技術】
水素化、ヒドロホルミル化、ヒドロエステル化、ヒドロシアノ化、オレフィンのオリゴメリゼーション等の工業的に重要な反応が、遷移金属錯体触媒を用いて行ない得ることが知られている。これらの遷移金属錯体触媒には、多くの場合、有機ホスフィンなどの有機リン化合物が配位子として用いられている。最近では、有機ホスフィンよりも高活性で且つ目的化合物に対する高い選択性を示す触媒を与える配位子として、有機ホスファイトなどのリン−酸素結合を有する化合物が注目され、高性能の配位子の開発が進められている(特開昭62−116535号、WO95/14659号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
リン−酸素結合を有する有機リン化合物であるホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト等は優れた配位子であるが、分子構造中に加水分解、熱分解などを受け易いリン−酸素結合を有しているため、使用条件が制限されるという問題がある。工業的な錯体触媒反応は、一般的には反応液から生成物を蒸留や抽出などで分離したのち、触媒を含む残留液を反応系に循環して触媒を再利用するので、配位子としては反応条件下で安定であることに加えて、反応液の処理工程でも安定であることが強く要求されている。本発明はこのような要求に応える新規な有機リン化合物を提供せんとするものである。また、本発明は、この新規な有機リン化合物を配位子とする触媒を用いて不飽和アルコールを製造する方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機リン化合物は下記一般式(1)で表わされる。
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、Xは酸素原子を表わす。A1 は置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を表わし、A2 及びA3 は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を表わし、A4 はエチレン単位を有する2価の有機基を表わす。Q1 及びQ2 は、それぞれ独立して、−CR1 R2 −、−O−、−S−、−SO2 −、−NR3 −、−SiR4 R5 −又は−CO−を表わし、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、トリル基若しくはアニシル基を表わし、R3 、R4 及びR5 は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表わす。X、Y、m及びnは、それぞれ独立して、1又は0を表わす)
また、本発明によれば、パラジウム化合物及び上記の有機リン化合物を含む触媒の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応させることにより、共役アルカジエンが多量化した骨格を有する不飽和アルコールを製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明すると、本発明に係る一般式(1)の化合物と公知の有機リン化合物との最も大きな相異点は、一般式(1)の化合物がA4 で表わされるエチレン単位を有する2価の有機基を有していることである。そして、この有機基がリン−酸素結合を立体配置的に保護するので、一般式(1)の化合物が加水分解や酸化などの分解反応に対して高い安定性を示すものと考えられる。
【0008】
一般式(1)の化合物において、A1 としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基などのアルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアリール置換アルキル基;トリル基、キシリル基などのアルキル置換フェニル基が好ましく、その炭素数は通常30以下である。また、これらの基には、メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基などの炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、スルホン酸ソーダ基(−SO3 Na)、カルボン酸ソーダ基(−COONa)、メトキシカルボニルなどのカルボン酸エステル基などの置換基が結合していてもよい。
【0009】
A2 及びA3 の芳香環は、通常はアルキル基やフェニル基などの置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環であり、その炭素数は通常30以下である。これらのベンゼン環やナフタレン環、フェニル基などには、メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジオクチルアミノ基などの炭素数2〜30のジアルキルアミノ基、スルホン酸ソーダ基、カルボン酸ソーダ基、メトキシカルボニルなどのカルボン酸エステル基などの置換基が結合していてもよい。好ましくはA2 及びA3 はベンゼン環であり、その1−位にX、2位に(CH2 )X 又は−(CH2 )Y 、6−位にA4 が結合している。残りの3〜5−位のいずれかには置換基が存在していてもよく、置換基としては炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。また、A2 及び/又はA3 がナフタレン環の場合には、α−位に(CH2 )X 又は(CH2 )Y 、その隣りのβ−位にX又はQ2 、さらにその隣りのβ−位にA4 が結合しているのが好ましい。
【0010】
Q1 としては−CR1 R2 で表わされるメチレン基が好ましく、R1 及びR2 はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。またQ2 は−O−であるのが好ましい。
A4 で表わされるエチレン単位(−CH2 −CH2 −)を有する2価の有機基は、通常は両末端間の最少炭素原子数が6〜30である飽和炭化水素である。A4 の両末端の炭素原子、すなわちA2 又はA3 の芳香環に結合する炭素原子は、嵩高い4級炭素であるのが好ましい。A4 として最も好ましいのは、両末端が4級炭素原子であり、かつ炭素数10〜20の鎖長を有するアルキレンである。一般式(1)で表わされる化合物のいくつかを表−1に例示する。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【表6】
【0017】
【表7】
【0018】
本発明に係る化合物は公知の合成手段を組合せることにより合成することができる。その一方法によれば先ずA1 −P結合を形成させ、次いでこれに下記式(2)で表わされる部分構造を結合させる。また他の方法によれば上記(2)式で
【0019】
【化3】
【0020】
表わされる部分構造とリン化合物とを反応させて、下記(3)式で表わされる部分構造を形成し、次いでこれにA1 部分を結合させればよい。
【0021】
【化4】
【0022】
A1 −P結合の形成は、A1 −Br化合物とマグネシウムとを反応させてグリニヤール化合物とし、P−Cl結合を有する化合物と反応させればよい。
また、(3)式の部分構造の形成は、(2)式の部分構造に第3級アミンなどの塩基性化合物の存在下に3塩化リンを反応させればよい。
(2)式の部分構造の形成は、A2 とA3 とを先ず−(CH2 )x −(Q1 )n −(CH2 )Y −で結合し、次いでA4 で両者を更に結合してもよく、また、その逆であってもよい。
【0023】
本発明に係る有機リン化合物は、種々の錯体触媒の配位子として有用である。例えばパラジウム化合物と本発明に係る有機リン化合物とから成る錯体触媒は、共役ジエンと水とのテロメリゼーションによる不飽和アルコールの製造に優れた触媒能を発揮する。この不飽和アルコールの製造について説明すると、原料である共役アルカジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3−オクタジエン等が用いられる。1,3−ブタジエンを原料とする場合には、精製1,3−ブタジエンの外にいわゆるBB留分、すなわちナフサ分解生成物中のC4留分混合物を用いることもできる。
【0024】
なおBB留分を原料とする場合には、BB留分中に含有されるアセチレン類およびアレン類を予め除去しておくことが望ましい。アセチレン類及びアレン類を低減化するための方法は特に限定されず、公知の諸方法が適宜採用可能である。1,3−ブタジエンの水和偶数量化反応(例えば、水和2量化、水和4量化)によりオクタジエノール類又はヘキサデカテトラエノール類を製造する場合には、原料中のアセチレン類及びアレン類の総濃度は、可能な限り低いことが望ましいが、通常1,3−ブタジエンに対して1.0重量%以下程度が望ましい。
【0025】
もう一方の原料である水としては、水和偶数量化反応に影響を与えない程度の純度の水であればよい。水の使用量については特に限定的ではないが、共役アルカジエン1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲から選択される。
触媒調製に用いるパラジウム化合物の形態及びその原子価状態については限定的ではなく、0価又は2価のいずれのパラジウム化合物も使用することが出来る。例えば、硝酸パラジウム等のパラジウム無機酸塩;酢酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩;ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(トリブチルホスフィン)パラジウム酢酸塩等の2価パラジウム錯体や、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、(1,5−シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パラジウム等の0価パラジウム錯体が挙げられる。また、本発明に係る有機リン化合物自身が配位したパラジウム錯体であるビス(ホスフィナイト)パラジウム錯体、トリス(ホスフィナイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホスフィナイト)パラジウム錯体、ビス(ホスホナイト)パラジウム錯体、トリス(ホスホナイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホスホナイト)パラジウム錯体、ビス(ホスファイト)パラジウム錯体、トリス(ホスファイト)パラジウム錯体、テトラキス(ホスファイト)パラジウム錯体等を用いることも出来る。
【0026】
これらのパラジウム化合物の使用量は広範囲に変化させ得るが、通常、共役アルカジエン1モルについて、パラジウムとして0.000002〜1モル、好ましくは0.00002〜0.1モルの範囲内で選択される。
本発明に係る有機リン化合物の使用量は、通常パラジウム1モルに対して0.1〜250モル(リン原子換算)程度から選択されるが、好ましくは2モル〜150モル、更に好ましくは、2モル〜100モル程度であり、上記範囲の中で反応の条件下で反応液中に溶解する範囲内が望ましい。
【0027】
共役アルカジエンと水との反応は、パラジウム化合物及び本発明に係る有機リン化合物、並びに二酸化炭素又は周期律表3A族、4A族、5A族、6A族、ほう素、インジウム、ゲルマニウム、アンチモン、テルルの含酸素化合物の存在下に行われる。なお二酸化炭素は、反応系で二酸化炭素として存在するものであればよく、特にその供給形態は問わない。例えば、分子状の二酸化炭素、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩、又は二酸化炭素若しくは炭酸とアミンとの付加物が用いられる。通常、二酸化炭素はパラジウム1モルに対して1モル以上、好ましくは10モル以上使用される。その上限は任意であり、大量に使用しても反応は阻害されない。上記含酸素化合物を使用する場合、その使用量は通常パラジウム1モルに対して0.1モル〜10000モル、好ましくは1モル〜1000モルの範囲で使用される。
【0028】
本発明方法においては、反応液中のパラジウム化合物や有機リン化合物を安定化させたり、又は二酸化炭素若しくは前記含酸素化合物の溶解性を高め、所望の不飽和アルコールへの反応性や選択性を高める等の目的で、反応液中に塩基性化合物を存在させてもよい。塩基性化合物としては、アミン化合物、ピリジン誘導体、アミド類等が挙げられる。これらのうち、特にアミン化合物が好ましい。使用するアミン化合物は特に限定されないが、2級以下のアミン化合物を用いた場合には共役アルカジエンと反応して副生成物を与えることがあるので、3級アミン化合物が最も好ましい。アミン化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどで代表されるトリアルキルアミン類、1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノール、1−(N,N−ジメチルアミノ)−3−ブタノールなどのアミノアルコール類、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のヘテロ芳香族アミン、およびN,N−ジメチル−2−メトキシエチルアミン、N,N−ジメチル−3−エトキシプロピルアミン等のアルコキシアルキルアミン類、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン等の環状アミン類、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン類などが挙げられる。これらのうち反応成績、沸点、溶解性、価格などの諸点を考慮すると、トリエチルアミンが特に好ましい。
【0029】
アミン化合物の使用量は、通常、共役アルカジエンに対して、0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜5重量部の範囲から任意に選択される。
共役アルカジエンと水との反応に際しては、反応をより円滑に行うために溶媒を使用するのが好ましい。溶媒としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン等のアルケン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニトロメタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピコリン等のピリジン誘導体、アセトアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は混合溶媒として用いてもよい。これらのうち、特に低級アルコールを使用する場合には、アルコキシアルカジエン等の副生成物の生成を伴い、低級カルボン酸を使用する場合には、アシルオキシアルカジエン等の副生成物の生成を伴い、反応系を複雑にする可能性があるので共に注意を要する。
【0030】
溶媒の使用量は必ずしも限定的ではないが、通常、共役アルカジエン1重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲から任意に選択される。
共役アルカジエンと水とを反応させるための反応温度は、室温から180℃程度の範囲から選択することができるが、50〜130℃程度の温度範囲を選ぶのがより一般的であり、好ましくは、75〜110℃の温度範囲がより望ましい。
【0031】
反応圧力は常圧から200kg/cm2 程度の範囲から選択される。この際、二酸化炭素の他に窒素、ヘリウム、アルゴン等の反応に不活性な気体を共存させることも可能である。
反応は、連続式、半連続式、及び回分式のいずれの方法でも実施し得る。反応生成液中には、主生成物である共役アルカジエンが多量化した骨格を有する不飽和アルコール、副生成物の不飽和炭化水素類、不飽和エーテル類、有機カルボン酸及びエステル類、並びに溶媒、未反応の共役アルカジエン、触媒や水等が含有されている。原料共役アルカジエンが、1,3−ブタジエンの場合、不飽和アルコールとしては1,3−ブタジエンの偶数量化によって得られた骨格を有するオクタ−2,7−ジエン−1−オール、オクタ−1,7−ジエン−3−オール、6−ビニル−2,8,13−テトラデカトリエン−1−オールが、副生成物としては、オクタトリエン類、ヘキサデカテトラエン類、ジオクタジエニルエーテル類、有機カルボン酸およびエステル類が生成する。
【0032】
本発明の方法によれば、パラジウム化合物及び本発明に係る有機リン化合物から成る触媒を用いることにより、1,3−ブタジエンと水との反応において、従来公知の不飽和アルコールであるオクタ−2,7−ジエン−1−オール、及び、オクタ−1,7−ジエン−3−オールを高収率で取得することが可能であり、しかも1−オクタノールの原料となるオクタ−2,7−ジエン−1−オールを高選択率で取得することができる。更に、本発明の方法によれば、1,3−ブタジエンの水和4量化物である6−ビニル−2,8,13−テトラデカトリエン−1−オールを取得することが可能である。また、得られた不飽和アルコールは水素化することにより対応する飽和アルコールに転換することが出来る。
【0033】
なお、本発明方法により不飽和アルコールを製造する際には、所望の不飽和アルコールの種類に応じて、前記の反応条件内で適宜条件を選定すればよいが、オクタ−2,7−ジエン−1−オールを高収率、高選択率で取得するためには特に塩基性化合物の存在下で反応を行うのが好ましい。また、6−ビニル−2,8,13−テトラデカトリエン−1−オールを高収率で取得するためには、塩基性化合物の非存在下で反応を行うのが好ましい。
反応後、不飽和アルコール類は、例えば特開昭54−144306号公報に記載されたような蒸留法、又は特開昭57−134427号公報に記載されたような抽出法などを適用することにより反応生成液から分離される。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下においてTHFはテトラヒドロフランを示す。
両末端に不飽和二重結合を有する長鎖ジエンの合成;
乾燥THF50ml中にマグネシウム4.10gを入れ、激しく撹拌しつつ、これに1,12−ジブロモドデカン25gの乾燥THF溶液を滴下し、グリニヤール試薬を調製した。メタリルクロライド23mlを乾燥THF50mlに溶かし、これにニッケルビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライドを108mg添加したものに、上記で調製したグリニヤール試薬を滴下し、加熱して反応させた。反応液を水洗し、有機相を乾燥したのち、溶媒留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、2,17−ジメチル−1,17−オクタデカジエン18.2gを得た。
【0035】
両末端に4級炭素を有する長鎖炭化水素を連結基とするビスフェノールの合成;
p−クレゾール5.11gとp−トルエンスルホン酸一水和物0.76gを100℃に加熱し、これに2,17−ジメチル−1,17−オクタデカジエン2.66gのトルエン溶液を滴下して2時間反応させた。水、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液で順次洗った後、有機相を乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、長鎖炭化水素でo−位同士が連結されたビスフェノールである1,16−テトラメチル−1,16−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘキサデカン3.34gを得た。
【0036】
環状ビスフェノールの合成;
乾燥THF10ml中にマグネシウム0.346gを入れ、激しく撹拌しつつ、これにo−ブロモトルエン2.43gを滴下して、グリニヤール試薬を調製した。これに上記と同様にして得られた、長鎖炭化水素でo−位同士が連結されたビスフェノール3.49gのTHF溶液を滴下して反応させた。THFを留去したのち残渣をトルエンに溶かし、これにパラホルムアルデヒド0.304gを加えて24時間加熱還流した。1N塩酸で酸性にしたのち、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液で順次洗った後、有機相を乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、長鎖炭化水素で片方のo−位同士が架橋され、メチレンでもう片方のo−位同士が架橋された、環状ビスフェノール0.67gを得た。
【0037】
実施例1 ホスホナイト(1)の合成
上記と同様の方法で調製した環状ビスフェノール2.71gとトリエチルアミン1.75mlのトルエン溶液に、フェニルジクロロホスフィン0.73mlのトルエン溶液を滴下した。生成した無機塩を濾別後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記の式(4)で示されるホスホナイト(1)の白色粉末1.45gを得た。
【0038】
【化5】
【0039】
このものの 1H−NMRのチャートを図1に示す。またこのものの31P−NMRのシフト値は166.3ppm、164.8ppm及び163.3ppmであった(リン酸基準)。
実施例2 ホスホナイト(2)の合成
三塩化リン0.747gのトルエン溶液に、上記と同様の方法で調製した環状ビスフェノール2.45gとトリエチルアミン1.5mlのトルエン溶液を滴下した。生成した無機塩を濾別後、溶媒を留去し、環状ビスフェノキシモノクロロホスフィンを黄白色固体として2.68g(31P−NMR 160ppm/リン酸基準)取得した。
【0040】
乾燥THF10ml中にマグネシウム0.244gを入れて激しく撹拌しつつ、これにネオペンチルブロマイド1.26mlのTHF溶液を滴下して、グリニヤール試薬を調製した。これに上記で得られた、環状ビスフェノキシモノクロロホスフィン2.68gのTHF溶液を加え、低温で反応させた。THF留去後、残渣をトルエンに溶解させた。水洗後、乾燥し、さらに溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記の式(5)で示されるホスホナイト(2)の白色粉末1.09gを得た。
【0041】
【化6】
【0042】
このものの 1H−NMRのチャートを図2に示す。またこのものの31P−NMRのシフト値は199.1ppm及び196.7ppm(リン酸基準)であった。
実施例3
内容積200mlのステンレス製オートクレーブに、窒素ガス雰囲気下で0.129ミリモルの酢酸パラジウム、1.01ミリモルの上記のホスホナイト(1)、47mlのアセトン、6.7mlの水及びガスクロマトグラフィ分析のための内部標準物質として2.0mlのo−キシレンを仕込み、更に13.1gの1,3−ブタジエンと8gの二酸化炭素を導入した。反応混合液を800rpmの速度で撹拌しながら20分かけて内温が75℃になるまで加温した。75℃で3時間反応を継続したのち、ガスクロマトグラフィで反応液を分析した結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、70.7%の、2,7−オクタジエン−1−オール(以下、1−HODと記載する)、3.8%の1,7−オクタジエン−3−オール(以下、3−HODと記載する)が得られた。反応液の31P−NMRを測定したところ、リン−酸素結合の切断されたリン化合物(ホスホナイトの分解物)は検出されなかった。
【0043】
実施例4
実施例3においてホスホナイト(1)の代りに上記のホスホナイト(2)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして反応を行った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、70.7%の1−HOD、6.8%の3−HODが得られた。
【0044】
比較例1
実施例3において、ホスホナイト(1)の代りに下記(6)式で示されるフェニル(2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4メチルフェノキシ)ホスホナイトを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、70.8%の1−HOD、3.9%の3−HODが得られた。反応液の31P−NMRを測定したところ、リン−酸素結合の切断されたリン化合物は検出されなかった。
【0045】
【化7】
【0046】
比較例2
実施例3において、ホスホナイト(1)の代りに下記の式(7)で示されるネオペンチル(2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4メチルフェノキシ)ホスホナイトを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行った。その結果、仕込1,3−ブタジエン当りの収率として、75.2%の1−HOD、6.8%の3−HODが得られた。反応液の31P−NMRを測定したところ、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比として、4.3%のリン−酸素結合の切断されたホスホナイトの分解したリン化合物が検出された。
【0047】
【化8】
【0048】
参考例1 ホスホナイト(1)の安定性試験
70mlのミクロオートクレーブに、酢酸パラジウムを0.10ミリモル、上記のホスホナイト(1)を0.53ミリモル、1−HODを17.5ml及びトリオクチルアミンを2.5ml仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間加熱し、反応液の31P−NMRを測定した。その結果、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比は、ホスホナイト(1)が81.6%、パラジウム−ホスホナイト(1)錯体が13.7%、ホスホナイトオキサイドが4.7%であり、リン−酸素結合の切断されたホスホナイト(1)の分解したリン化合物は検出されなかった。
【0049】
参考例2 ホスホナイト(2)の安定性試験
70mlのミクロオートクレーブに、酢酸パラジウムを0.049ミリモル、上記のホスホナイト(2)を0.266ミリモル、1−HODを8.8ml及びトリオクチルアミンを1.25ml仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間加熱し、反応液の31P−NMRを測定した。その結果、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比は、ホスホナイト(2)が66.7%、ホスホナイト(2)に含まれていた不純物が12.7%、パラジウム−ホスホナイト(2)錯体が14.3%、ホスホナイトオキサイドが4.7%であり、リン−酸素結合の切断されたホスホナイト(2)の分解したリン化合物は検出されなかった。
【0050】
参考例3 フェニル(2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ))ホスホナイトの安定性試験
参考例1において、ホスホナイト(1)の代りに前記の式(6)で示される標記のホスホナイトを用いた以外は、参考例1と全く同様にしてホスホナイトの安定性試験を行った。
その結果、NMR積分比から求めたリン化合物の存在比は、ホスホナイトが52.9%、パラジウム−ホスホナイト錯体が16.2%、ホスホナイトオキサイドが12.9%であり、他にリン−酸素結合の切断されたホスホナイトの分解したリン化合物が18.0%検出された。
これらの安定性試験から明らかなように、本発明に係るホスホナイトは安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成した本発明に係るホスホナイト(1)の 1H−NMRのチャートである。
【図2】実施例2で合成した本発明に係るホスホナイト(2)の 1H−NMRのチャートである。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表わされる有機リン化合物
- Q2 が−O−を表わし、X=Y=0であり、m=1であり、n=0であるか又はn=1で且つQ1 が−CR1 R2 −を表わすことを特徴とする請求項1記載の有機リン化合物。
- パラジウム化合物及び有機リン化合物を含む触媒の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応させて、共役アルカジエンが多量化した骨格を有する不飽和アルコールを製造する方法において、有機リン化合物として請求項1又は2に記載の有機リン化合物を用いることを特徴とする方法。
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