JP3811688B2 - ヒートポンプ式給湯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯用ヒートポンプ冷凍サイクルの能力制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のヒートポンプ式給湯装置は、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、貯湯タンクの底部から取り出した湯水をヒートポンプ式加熱器で貯湯目標温度に加熱し、貯湯タンク上部に供給して、高温の湯水を貯湯するように構成されている。そして貯湯するときは、貯湯タンクからの湯水と水道管からの水を混合して要求された湯温になるように調節している。
【0003】
【特許文献1】
特開2001‐296053号公報
【特許文献2】
特開2002−295899号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1、2に記載された貯湯タンクの湯温は、湯水循環量を調節することで行われている。
【0005】
上記従来技術に記載された貯湯タンク式のヒートポンプ式給湯装置では、一般的に貯湯タンクの湯を沸き上げる時間帯は深夜の安い電力料金帯を利用するため、昼間の湯の使用量が多いと貯湯タンク内の高温の湯がなくなってしまう、所謂、湯切れを起こしてしまうという問題がある。
【0006】
この為、水道水をヒートポンプ式給湯機で加熱し、加熱された湯水を台所、洗面所またはシャワーに直接給湯する瞬間式ヒートポンプ給湯機が考えられている。
【0007】
この給湯機は瞬間式であるため、供給水量は使用者が使用時に決めるため、上記従来技術の如く、水量を調節して湯温を制御することができない。
【0008】
従って、圧縮機から吐出された高温の冷媒と水との間で熱交換する水冷媒熱交換器の水の出力温度を使用者の要求する温度になるように圧縮機の回転数を制御することが考えられる。
【0009】
ヒートポンプを運転した時の応答特性は分のオーダーである。そのため、それほど高速な応答を必要としない空調用、冷凍・冷蔵用に利用するのが一般的であった。また、給湯用に利用する場合においても、上記従来技術に示すように、高温のお湯を蓄える大きなタンクを準備し、タンクにお湯を貯める為の熱源として利用する程度であったので、夜間じっくり運転すればいいものであった。
【0010】
しかしながら、給湯機を前記したように、瞬間式のヒートポンプ式給湯器とすると次のような問題が発生する。瞬間式給湯器とは、小さな高温のお湯を貯めるタンクを準備し、給湯要求が発生した直後は、タンクのお湯を給湯用に供給しながらヒートポンプの立ち上がりを待ち、ヒートポンプの出力する温水温度の上昇につれて、出力温水とタンク湯を混合しながら順次タンク湯の混合量を減じて、出力温水温度が給湯要求温度以上に上昇すれば、ヒートポンプの出力する温水のみを給湯に供給するようにして、瞬間給湯というコンセプトを実現しようとしたものである。
【0011】
ところが、ヒートポンプで温水を供給する過程では、給湯器の使用者が給湯栓の開度調整を行うことがしばしばある。たとえば、全開から全閉近くまで閉じられる場合、その逆の場合がある。
【0012】
前者の場合は、ヒートポンプ負荷が100%から0%近くまで急減することになる。この場合は、ヒートポンプの能力が過大となり、通常の制御では、ヒートポンプの吐出圧力が急上昇し、保護回路が動作して圧縮機を停止させてしまうため、再起動するためには冷凍サイクルの状態が平衡に達するまで待たねばならないので、給湯用の温水供給ができなくなるという問題が生ずる。
【0013】
後者の場合は、ヒートポンプ負荷が0%近くから100%まで増大することになる。この場合は、ヒートポンプの能力が過少となり、給湯温度が低下するという問題が生ずる。
【0014】
本発明の目的は、冷凍サイクルに水冷媒熱交換機を備え、この水冷媒熱交換器からの湯を利用者側に供給する瞬間式ヒートポンプ給湯器において、負荷の急変に対して、圧縮機を緊急停止することなく、追従する瞬間式ヒートポンプ給湯機を提供することにある。
【0015】
上記目的は、
圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と給水管から導入された水との間で熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段と前記圧縮機との間に設けられた第2熱交換器とを有するヒートポンプ回路と、
前記給水管から導入された水を、前記第1熱交換器によって昇温して、使用端末に給湯することができる瞬間式給湯回路と、
前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、給水流量とに基づいて前記圧縮機の回転数を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記使用端末の開度が全開から全閉近くまで2秒以内で閉じられた場合、給湯されている湯の温度を保つように、前記圧縮機の回転数を低減させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機
によって達成される。
また、上記目的は、
圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と給水管から導入された水との間で熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段と前記圧縮機との間に設けられた第2熱交換器とを有するヒートポンプ回路と、
前記給水管から導入された水を、前記第1熱交換器によって昇温して、使用端末に給湯することができる瞬間式給湯回路と、
前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、給水流量とに基づいて求められるヒートポンプ負荷変動に基づいて前記圧縮機の回転数を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記設定温度が下げられた結果、前記使用端末の開度が全開から全閉近くまで2秒以内で閉じられた場合の、ヒートポンプ負荷変動以上のヒートポンプ負荷変動が生じた場合、当該下げられた設定温度の湯を給湯するように、前記圧縮機の回転数を低減させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機
によって達成される。
また、上記目的は、
圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と給水管から導入された水との間で熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段と前記圧縮機との間に設けられた第2熱交換器とを有するヒートポンプ回路と、
前記給水管から導入された水を、前記第1熱交換器によって昇温して、使用端末に給湯することができる瞬間式給湯回路と、
前記第1熱交換器によって昇温された湯に、第1の混合手段を介して、給湯タンクに貯湯された湯を供給して、前記使用端末に給湯することができるタンク給湯回路と、
前記第1熱交換器と前記給湯タンクとをバイパスして、前記第1の混合手段を通過した湯に、第2の混合手段を介して、前記給水管から導入された水を混合することができるバイパス回路と、
前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、給水流量とに基づいて前記圧縮機の回転数を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記使用端末の開度が全開から全閉近くまで2秒以内で閉じられた場合、給湯されている湯の温度を保つように、前記圧縮機の回転数を低減させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機
によって達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の考え方を簡単に述べた後、詳細な実施例を続けて説明する。ヒートポンプ負荷の急変を感知し、ヒートポンプの能力制御を行うモータの速度制御に優先して、負荷急変分を補正する手段を準備するものである。
【0017】
すなわち、(1)給湯時の給水流量検知手段、給水温度検知手段、ヒートポンプ負荷(=(ヒートポンプ出口温水温度目標値―給水温度)*給水流量)の検知手段を設ける。(2)ヒートポンプ負荷の変化を検知するヒートポンプの負荷変動検知手段を設ける。(3)所定以上の負荷変動分をモータの速度変化量に変換する負荷変換手段を設ける。(4)ヒートポンプの制御論理に優先して、負荷変換手段の出力を即時にモータ速度に反映する速度指令記憶手段を設ける。
【0018】
本発明にかかるヒートポンプ式の瞬間式給湯器の一実施例を、図4、図5を用いて説明する。
【0019】
まず、図4によって、ヒートポンプ式の瞬間式給湯器のヒートポンプサイドの構成の概要を説明する。図4において、500はヒートポンプ式の瞬間式給湯器の制御装置、400は制御装置500の中に設けられたモータ駆動手段によって駆動されるモータによって回転駆動される圧縮機、220は室外に設けられる空気熱交換器、230は室外送風機、240は室外送風機を駆動する室外ファンモータ、250は膨張弁であり、室外の熱源側装置200を構成している。
【0020】
110は利用側の高圧冷媒側に設けられた冷媒―水熱交換器であり、圧縮機より吐出された高温、高圧の冷媒が流入する。他方、太線矢印のごとく給水が流入し、高温、高圧の冷媒と熱交換し、流出口より温められた温水が流出するようになっていて、利用側装置100を構成している。なお、利用側の水(温水)流路には、種々の温水利用機器、装置が接続されているが、その1例を図5に示す。
【0021】
図5における細線で結合して示した部分は、ヒートポンプを温水生成装置として利用している。太線で示した部分は、風呂追い炊きという特殊用途に利用している。それぞれは、冷媒―水熱交換器110に独立な水流路を準備して接続されている。
【0022】
図5において、給水と記載したブロック矢印から給水(水道水)が流入し、減圧弁5500を通って適切なる水圧に調整される。給水流量は、給水流量センサ5600によって測定する。流入した給水は、ヒートポンプで温水を作る場合は、図の左側に向かって流入する。給水温度センサ2200は、給水温度を測定する。逆止弁5700によって、逆流を防止している。逆止弁5700を通過した給水は、冷媒―水熱交換器に流入し、温水となって流出する。熱交出口温度センサ2000は、冷媒―水熱交換器出口温水の流出温度を測定する。
【0023】
給湯の場合、すなわち、給湯蛇口5400のバルブが利用者によって開かれた場合は、図5の出湯と記載したブロック矢印に沿って、図4の操作手段510に設定された給湯要求温度、たとえば40℃のお湯を流出させる。センサ2000によって測定される冷媒―水熱交換器110よりの流出温水温度が低い場合は、タンク混合弁5100によって、タンク5000に蓄えられた高温の湯と混合され、給湯に必要な温水温度に調整される。流出温水温度が高い場合は、タンク5000の湯と混合することなく、タンク混合弁5100を通過させる。タンク混合弁5100を通過した温水温度は、タンク混合湯温度センサ2300によって測定する。さらに、給湯混合弁5200によって、給水と混合され、給湯要求温度に調整される。調整結果は、出湯温度センサ2400によって測定される。給湯絞り弁5300は、ヒートポンプ出力温水温度が低い場合に、流量を絞って出力温水温度を高くする場合に利用する。
【0024】
風呂への湯供給の場合は、すなわち、図4のリモコンなどの操作手段510によって、風呂への湯供給が指示された場合は、風呂給湯弁3200を開放し、風呂4000へ図4の操作手段510に設定された風呂湯張り温度の湯を供給する。温水供給の方法は、前述のとおりである。風呂への温水流入量は、風呂流量センサ3100で測定する。風呂水位は、風呂水位センサ3000で測定する。
【0025】
タンク5000に高温の湯を貯める場合は、タンク湯循環ポンプ5800を運転し、給湯混合弁5200の流路を閉じて、タンク混合弁5100の開度を調整して、水熱交換機の出力温水を高温にして、タンク湯の循環を通して、タンク5000の上部より高温のお湯を流入させる。
【0026】
風呂温度保持(追炊き)などのためには、図5の太線で示した独立な水流路を使って、風呂循環ポンプ4100の運転によって、風呂4000の温度の低下した温水を冷媒―水熱交換器に導き、高温として風呂4000に戻す。風呂温度は、風呂湯温度センサ4200によって測定する。
【0027】
なお、ここで、タンク5000は、容量100リットル程度の小さいもので、給湯または風呂への湯供給時に、ヒートポンプが立ち上がるまでの間の温水供給の補助熱源として準備している。したがって、ヒートポンプが立ち上がって、要求の温水を供給できるようになれば、タンク5000の湯は使わない。
【0028】
以上のような構成のヒートポンプ式の瞬間式給湯器においては、給湯栓の操作が利用者に委ねられているために、給湯栓が全開から全閉近くまで閉じられたり、その逆が起こった時には、ヒートポンプの負荷急変が発生する。負荷急変に対処するための本発明の実施例を図1によって説明する。
【0029】
図1において、2200、5600、510、400、2000は、図4、図5にて示したものと同一のものである。本実施例では、図4に示した制御装置500の内部に、次のヒートポンプ出力目標温度設定手段501、加え合わせ点502、サンプラTn503、速度増分指令生成手段504、速度指令記憶手段508、インバータ509、ヒートポンプ負荷検出手段505、ヒートポンプ負荷変動検出手段506および負荷変換手段507を備えている。
【0030】
ヒートポンプ出力目標温度設定手段501は、リモコンなどの操作手段510が保持している出湯温度目標値をもとに、ヒートポンプの熱交出口温水温度目標値を設定し、保持する。たとえば、操作手段510の保持する出湯温度目標値が42℃であれば、3℃のオフセット(余裕)を与えた45℃の熱交出口温水温度目標値を設定し保持する。オフセットの値は、負荷条件ほかを勘案し、種々の設定方法が考えられるが、特に、その方法は問わない。
【0031】
この熱交出口温水温度目標値は、冷凍サイクル側に設けた熱交出口温水温度検出手段2000の検出値(実温度)と加え合わせ点502で差し引かれ、温度制御偏差となる。
【0032】
温度制御偏差は、サンプラTn503において一定時間Tnごとにサンプルホールドされ、速度指令生成手段504への入力信号となる。このサンプリング周期は比較的長いので、この間に急激な負荷変動が発生すると、この負荷変動に追従できなくなり冷凍サイクルの高圧側圧力の増加等種々の問題を生ずる。
速度増分指令生成手段504は、温度制御偏差をもとに、周知のPI(比例積分)制御演算、ファジー制御演算などを行って、モータへの速度増分指令(先の指令に対して今回の制御ではどれだけ指令値を変化させるかを演算してその変化値、この変化値は正負取り得る)を生成する。なお、速度増分指令生成手段の制御演算は、上記の単一な制御演算のみでなく、内部に、図示していないが、冷凍サイクルの高圧圧力(圧縮機の吐出圧力、これは冷媒の凝縮温度に一義的に換算することができる)検知手段をフィードバック要素とするような冷凍サイクルの高圧圧力制御のマイナーループを含むようなものであってもよい。すなわち、温度制御偏差をもとにして、モータへの速度増分指令を生成し、ヒートポンプの能力制御を実現できるようになっていれば、その変形内容を問わない。
【0033】
速度指令記憶手段508は、速度増分指令生成手段504より速度増分指令が出力されたとき動作し、記憶手段のメモリに記憶しているインバータ509への速度指令に、速度増分指令を加算し、新たな速度指令として記憶するとともに、インバータ509に記憶している速度指令を出力する。ヒートポンプは、通常はこの制御ループによって能力制御される。
【0034】
ヒートポンプ負荷検出手段505は、ヒートポンプ出力目標温度設定手段の保持する熱交出口温水温度目標値Tr、給水流量センサ5600の給水量測定値Fr、給水温度センサ2200の給水温度測定値Tmを用いて、ヒートポンプ負荷Hを次のように算定し、出力する。
【0035】
H=(Tr−Tm)*Fr
ヒートポンプ負荷変動検出手段506は、ヒートポンプ負荷の時々刻々の微分をとって、ヒートポンプ負荷変動量を求め、出力する。
【0036】
なお、上記では、給水流量がそのまま熱交流入流量であるかのように扱ってよいようなシステム構成の場合もある。図5の例示の場合では、正確には、図5のタンク混合弁5100および給湯混合弁5200の開度比率を用いて、熱交流入量を按分するような方式をとったほうがより実際に近くなる。
【0037】
ヒートポンプの負荷変動量は、負荷変換手段507の入力となり、不感帯と飽和特性をもつ変換パターンにしたがって、負荷変動量に相当するヒートポンプ能力変動を与えるモータの速度変動量に変換出力される。
【0038】
不感帯と飽和特性の間に準備する変換特性は、直線であったり、曲線であったりとヒートポンプの特性に合わせて準備すればいい。また、演算によって処理する場合は、(速度増分)=(負荷変動量(%))*(インバータモータ現在速度)のような関係式を用いてもいい。飽和特性は、速度変動量に上限を設けるためのものである。不感帯特性は、軽微な負荷変動を無視するためのものである。したがって、速度増分変換手段の出力は、ヒートポンプ負荷変動が小さい場合は0であり、負荷が急変した場合のみ速度増分指令を生成することになる。
【0039】
負荷変換手段507の出力する速度増分は、速度増分を生成した時点で、速度指令記憶手段508に送られ、速度指令記憶手段に内蔵しているメモリに記憶している速度指令に加算され、新規速度指令として保持される。
【0040】
インバータ509は、速度指令記憶手段のメモリに記憶している速度指令にしたがってインバータモータを駆動し、それに直結された圧縮機の冷媒吐出能力を制御する。
【0041】
このように、一定のサンプリングレートで生成される速度指令増分とヒートポンプの負荷の急変によって生成される速度増分が、その生成された毎に速度指令記憶手段508に送られ、速度指令記憶手段のメモリの値に加算されて新規の速度指令としてインバータに送信されるようにしている。
【0042】
なお、図1の実施例では、ヒートポンプ負荷変動検出手段506は、常時動作するように説明した。しかし、速度増分指令生成手段の制御サンプリングレートTn(たとえば40秒)に対して十分速いサンプリングレートTe(たとえば2秒)で動作するような構成としても同様の効果の得られることは明白である。より明確を期すために、今度は図2のフローチャートによってこれを説明する。
【0043】
図2において、ブロック9000は、本発明の全体制御部であり、エンドレスに々実行される処理である。ブロック9100において、本実施例の負荷急変時のヒートポンプ制御を行う。続いて、ブロック9600において、通常のヒートポンプ制御を行い、ブロック9950で処理を終了する。
【0044】
ブロック9100の負荷急変時のヒートポンプ制御部では、ブロック9150において、タイマTeの経過を待つ。経過していなければ、Noと記載した方向へ進み、結果としてブロック9500によって処理を終了する。経過すれば、Yesと記載した方向に進み、 ブロック9200においてタイマTeを再設定して、サンプリングレートTeの継続準備をする。続いて、ブロック9250において、図1のヒートポンプ負荷検出手段505に相当する動作を行い、ヒートポンプ負荷を検出する。続いて、ブロック9300において、図1のヒートポンプ負荷変動検出手段506に相当する動作を行い、今回負荷―前回負荷の演算によってヒートポンプ負荷変動を検出する。同時に、次回の負荷変動検出のために今回ヒートポンプ負荷をメモ(記憶)する。続いて、ブロック9350において、図1の負荷変換手段507に相当する動作を行い、負荷変動量から速度増分を演算する。変換手順は、前記したようなパターン変換でも、比率演算でもよい。続いて、ブロック9400において、図1の速度指令記憶手段に相当する動作を行い、速度指令のメモに今回の速度増分を加算して再度メモする。メモの内容は、常時インバータに送信され、インバータモータを駆動する。最後に、ブロック9500によって処理を終了する。
【0045】
ブロック9600の通常のヒートポンプ制御部では、ブロック9650において、タイマTnの経過を待つ。経過していなければ、Noと記載した方向へ進み、結果としてブロック9900によって処理を終了する。経過すれば、Yesと記載した方向に進み、ブロック9700においてタイマTnを再設定して、サンプリングレートTnの継続準備をする。続いて、ブロック9750において、図1の加え合わせ点502、および、速度増分指令生成手段504に相当する動作を行い、速度増分を計算する。続いて、ブロック9800において、図1の速度指令記憶手段に相当する動作を行い、速度指令のメモに今回の速度増分を加算して再度メモする。メモの内容は、常時インバータに送信され、インバータモータを駆動する。最後に、ブロック9900によって処理を終了する。
【0046】
このようにして、通常の制御をサンプリングレートTnで行い、負荷急変制御をそれより十分高速なサンプリングレートTeで行うようにして、本実施例の内容を実現している。
【0047】
以上によって、ヒートポンプは要求する負荷にあうように能力制御され、結果として目標の出湯を得ることができる。特に、出湯中に給湯蛇口の開度が変更されてヒートポンプ負荷が急変した場合、または、操作手段510が操作されて、給湯目標温度が変更されてヒートポンプ負荷が急変した場合、通常の制御論理、制御サンプリングレートに優先してヒートポンプ負荷が測定され、ヒートポンプ負荷に対応する速度増分がその時点の速度指令値に加算されるので、瞬時の負荷変動を吸収できるようになる。
【0048】
以上説明したごとく、本実施例では、給湯用ヒートポンプの通常の能力制御手段とは別に、常時優先的に作用するヒートポンプ負荷変動検出手段を設け、負荷の急変を検出したとき、負荷の急変分を補正するインバータモータの速度増分指令を生成し、即座に速度指令に反映させるようにしたので、負荷変動による出力温水温度変動、および、冷凍サイクルの能力不足または過負荷状態を回避する好適な給湯用ヒートポンプの能力制御方式を得ることができた。なお、図3に、本発明を適用した場合の負荷急減時のヒートポンプの挙動を例示する。給水流量の急減を検知してモータ速度を遅くしているので、水冷媒熱交換器の冷媒圧力が増大することを未然に防止していることがわかる。このため、緊急停止などを避けて安全に状態よく給湯を継続することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上本発明によれば、冷凍サイクルに水冷媒熱交換機を備え、この水冷媒熱交換器からの湯を利用者側に供給する瞬間式ヒートポンプ給湯器において、負荷の急変に対して、圧縮機を緊急停止することなく、追従する瞬間式ヒートポンプ給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図。
【図2】本発明の別の実施例を示すフローチャート。
【図3】本発明の効果の例示図。
【図4】本発明のヒートポンプ側構成例図。
【図5】本発明の給湯側構成例図。
【符号の説明】
501…ヒートポンプ出力目標温度設定手段、504…速度増分指令生成手段、505…ヒートポンプ負荷検出手段、506…ヒートポンプ負荷変動検出手段、507…負荷変換手段。
Claims (4)
- 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と給水管から導入された水との間で熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段と前記圧縮機との間に設けられた第2熱交換器とを有するヒートポンプ回路と、
前記給水管から導入された水を、前記第1熱交換器によって昇温して、使用端末に給湯することができる瞬間式給湯回路と、
前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、給水流量とに基づいて前記圧縮機の回転数を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記使用端末の開度が全開から全閉近くまで2秒以内で閉じられた場合、給湯されている湯の温度を保つように、前記圧縮機の回転数を低減させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。 - 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と給水管から導入された水との間で熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段と前記圧縮機との間に設けられた第2熱交換器とを有するヒートポンプ回路と、
前記給水管から導入された水を、前記第1熱交換器によって昇温して、使用端末に給湯することができる瞬間式給湯回路と、
前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、給水流量とに基づいて求められるヒートポンプ負荷変動に基づいて前記圧縮機の回転数を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記設定温度が下げられた結果、前記使用端末の開度が全開から全閉近くまで2秒以内で閉じられた場合の、ヒートポンプ負荷変動以上のヒートポンプ負荷変動が生じた場合、当該下げられた設定温度の湯を給湯するように、前記圧縮機の回転数を低減させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。 - 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と給水管から導入された水との間で熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段と前記圧縮機との間に設けられた第2熱交換器とを有するヒートポンプ回路と、
前記給水管から導入された水を、前記第1熱交換器によって昇温して、使用端末に給湯することができる瞬間式給湯回路と、
前記第1熱交換器によって昇温された湯に、第1の混合手段を介して、給湯タンクに貯湯された湯を供給して、前記使用端末に給湯することができるタンク給湯回路と、
前記第1熱交換器と前記給湯タンクとをバイパスして、前記第1の混合手段を通過した湯に、第2の混合手段を介して、前記給水管から導入された水を混合することができるバイパス回路と、
前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、給水流量とに基づいて前記圧縮機の回転数を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記使用端末の開度が全開から全閉近くまで2秒以内で閉じられた場合、給湯されている湯の温度を保つように、前記圧縮機の回転数を低減させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。 - 請求項3において、
前記制御手段は、前記第1の混合手段の開度比率、および、前記第2の混合手段の開度比率を用いて、前記給水流量を按分して前記第1熱交換器への入流量である熱交流入量を算出し、前記使用端末に給湯される湯の設定温度と、給水温度と、前記熱交流入量とに基づいて前記圧縮機の回転数を制御するヒートポンプ式給湯機。
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