JP3811375B2 - 射出成形機の押出機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は射出成形機の押出機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4(A)〜(C)を参照して、従来の射出成形機の押出機構の概略構成とその動作を説明する。
【0003】
図中1は固定ダイプレート、2はリアプレートであり、図示しないベース上に互いに対向して配置されている。固定ダイプレート1とリアプレート2との間には移動ダイプレート3が進退可能に保持されている。例えば、固定ダイプレート1とリアプレート2との間に2本のボールネジ4のネジ軸を回転可能に保持し、移動ダイプレート3にボールネジ4のナットを固定してボールネジ4のネジ軸がナットを介して移動ダイプレート3を貫通するように構成している。各ボールネジ4のネジ軸の後端部(図では左端側)と、図示しないモータの軸にベルトが懸け渡されており、モータの回転によりボールネジ4のネジ軸が回転し、移動ダイプレート3の進退が制御される。
【0004】
固定ダイプレート1には固定金型5が保持される。移動ダイプレート3には固定金型5に対向するように移動金型6が保持される。リアプレート2には移動ダイプレート3に向かって押出ピン7が取り付けられている。移動ダイプレート3には押出ピン7が挿通される貫通孔3aが設けられている。移動金型6の後部空間には、移動ダイプレート3の貫通孔3aに挿通された押出ピン7によって押し出される押出プレート8と、押出プレート8に取り付けられ移動金型6の前部を貫通して移動金型6の前端(固定金型5側)に達する突き出しピン9と、押出プレート8を後方(図では左側)に付勢するバネ10が内蔵されている。
【0005】
従来の押出機構の動作を説明する。図4(A)に示すように、移動ダイプレート3を固定ダイプレート1側へ前進させて、固定金型5に対して移動金型6を合わせて型締めした状態で、図示しない射出成形機により樹脂を射出して所定の条件で成形する。次に、図4(B)に示すように、移動ダイプレート3をリアプレート2側へ後退させて型開きを行い、移動ダイプレート3の貫通孔3aにリアプレート2に取り付けられた押出ピン7を挿通させ、押出ピン7の前端を押出プレート8に押し当てる。その後、図4(C)に示すように、移動ダイプレート3をリアプレート2側へさらに後退させて押出ピン7により押出プレート8を押し出し、突き出しピン9を移動金型6の前端より突出させて成形品11を押し出す。上述したように、この押出機構では移動ダイプレート3の後退動作を利用して成形品を押し出す。
【0006】
しかし、従来の押出機構は以下のような欠点を有する。例えば、ユーザーが押出ピン7の長さと押出量の設定を誤った場合、押出工程の最終段階で図5に示すように押出プレート8の前端がストローク限まで達して、押出ピン7、押出プレート8および移動金型6に過負荷が働く。この場合、移動金型6が破損するか、移動金型6の取付ボルトが脱落して移動金型6が落下するおそれがある。同時に、リアプレート2が押出ピン7によって後方(図では左方向)へ押され、リアプレート2が破損するおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ユーザーの誤設定や偶発的な不具合による、移動金型およびリアプレートの破損事故を防止できる射出成形機の押出機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る射出成形機の押出機構は、固定ダイプレートと、前記固定ダイプレートに保持された固定金型と、前記固定ダイプレートに対向して配置されたリアプレートと、前記リアプレートに保持された押出ピンと、前記固定ダイプレートと前記リアプレートとの間に進退可能に配置され、前記押出ピンが挿通される貫通孔が設けられた移動ダイプレートと、前記移動ダイプレートに前記固定金型に対向するように保持され、前記押出ピンに押し出される押出プレートおよび突き出しピンを内蔵した移動金型とを備えた射出成形機の押出機構において、前記押出ピンを後方から前記リアプレートを貫通させて保持し、前記リアプレートの後方面に前記押出ピンの後端部を押圧するバネを収納したケースを取り付け、前記押出ピンが過負荷を受けて後退したことを検知する機構を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明においては、押出ピンが過負荷を受けると後退するので、押出ピンの後退を検知して例えばアラームを発するようにすれば、移動金型およびリアプレートの破損事故を防止できるとともに、ユーザーの誤設定や偶発的な不具合があることがわかる。
【0010】
本発明において、押出ピンの後退を検知する機構としては、例えば前記押出ピンの後端部に設けられ前記ケース外に突出した突起と、この突起の後退を検知するセンサとを含むものが用いられる。このような機構では、センサによる検知信号を制御部に転送して押出機構の動作を制御することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照して、本発明に係る射出成形機の押出機構について説明する。
【0012】
図1に示すように、ベース(図示せず)上に固定ダイプレート1とリアプレート2とが互いに対向して配置されている。固定ダイプレート1とリアプレート2との間には移動ダイプレート3が進退可能に保持されている。すなわち、固定ダイプレート1とリアプレート2との間に2本のボールネジ4のネジ軸を回転可能に保持し、移動ダイプレート3にボールネジ4のナットを固定してボールネジ4のネジ軸がナットを介して移動ダイプレート3を貫通するように構成している。図2に示すように、2本のボールネジ4のネジ軸は、金型の中心軸を中心として斜めの互いに対称な位置に並列に配置されている。各ボールネジ4のネジ軸の後端部にはプーリ4aが取り付けられ、図示しないモータの軸に取り付けられたプーリとの間にベルト12が懸け渡されており、モータの回転によりボールネジ4のネジ軸が回転し、移動ダイプレート3の進退が制御される。なお、移動ダイプレート3は油圧駆動させてもよい。
【0013】
固定ダイプレート1には固定金型5が保持され、移動ダイプレート3には固定金型5に対向するように移動金型6が保持される。リアプレート2には移動ダイプレート3に向かって押出ピン7が保持され、移動ダイプレート3には押出ピン7が挿通される貫通孔3aが設けられている。移動金型6の後部空間には、移動ダイプレート3の貫通孔3aに挿通された押出ピン7によって押し出される押出プレート8と、押出プレート8に取り付けられ移動金型6の前部を貫通して移動金型6の前端(固定金型5側)に達する突き出しピン9と、押出プレート8を後方(図では左側)に付勢するバネ10が内蔵されている。以上の構成は従来の押出機構と同様である。
【0014】
本実施形態においては、押出ピン7はリアプレート2の後方からリアプレート2を貫通して保持されている。リアプレート2の後方面には押出ピン7の後端部を包囲するようにケース21が設けられ、ケース21内には押出ピン7の後端部に所定のプリロードをかけて前方へ押圧するバネ22が収納されている。押出ピン7の後端部には、ケース21外に突出するようにボルト23が取り付けられている。このボルト23の後方には光学センサ24が設けられている。さらに、光学センサ24は押出機構のコントローラ25に接続されている。
【0015】
この押出機構の動作を説明する。移動ダイプレート3を固定ダイプレート1側へ前進させて、固定金型5に対して移動金型6を合わせて型締めして、図示しない射出成形機により樹脂を射出して所定の条件で成形する。次に、移動ダイプレート3をリアプレート2側へ後退させて型開きを行い、移動ダイプレート3の貫通孔3aにリアプレート2に取り付けられた押出ピン7を挿通させ、押出ピン7の前端で押出プレート8を押し出し、突き出しピン9を移動金型6の前端より突出させて成形品11を押し出す。
【0016】
このとき、ユーザーが押出ピン7の長さと押出量の設定を誤っていた場合、押出工程の最終段階で押出プレート8の前端がストローク限まで達して、押出ピン7、押出プレート8および移動金型6に過負荷が働く。
【0017】
本実施形態の押出機構では押出力の仕様値が例えば6kNに設定されており、この仕様値を上回る例えば7kNの過負荷を検知したときに移動金型6およびリアプレート2が破損しないように保護される。具体的には、バネ22によって押出ピン7を前方(移動ダイプレート3方向)に付勢するように、7kNのプリロードを加えておく。このようにバネ22によって押出ピン7にプリロードを加えているので、通常の押出動作では押出ピン7が後退することはない。
【0018】
そして、バネ22によるプリロードを超える過負荷がかかると、図3に示すように、バネ22が収縮して押出ピン7およびボルト23が後退する。ボルト23の後退は光学センサ24によって検出され、その検出信号はコントローラ25が転送される。その結果、コントローラ25は押出機構の停止信号を発し、押出機構が停止する。
【0019】
なお、光学センサ24によりボルト23の後退が検出されたときに、単にアラームを発するようにしてもよい。この場合でも、すでに押出ピン7の後退により移動金型6およびリアプレート2の破損事故を防止できているうえに、アラームによりユーザーの誤設定や偶発的な不具合があることがわかるので、これらを修正することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の射出成形機の押出機構では、ユーザーの誤設定や偶発的な不具合による、移動金型およびリアプレートの破損事故を防止でき、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出成形機の押出機構の正面図。
【図2】図1を後方側から見た側面図。
【図3】本発明に係る射出成形機の押出機構に過負荷が加わったときの動作を説明する断面図。
【図4】従来の射出成形機の押出機構の動作を説明する正面図。
【図5】従来の射出成形機の押出機構の欠点を説明する正面図。
【符号の説明】
1…固定ダイプレート
2…リアプレート
3…移動ダイプレート
4…ボールネジ
5…固定金型
6…移動金型
7…押出ピン
8…押出プレート
9…突き出しピン
10…バネ
11…成形体
12…ベルト
21…ケース
22…バネ
23…ボルト
24…光学センサ
25…コントローラ
Claims (3)
- 固定ダイプレートと、
前記固定ダイプレートに保持された固定金型と、
前記固定ダイプレートに対向して配置されたリアプレートと、
前記リアプレートに保持された押出ピンと、
前記固定ダイプレートと前記リアプレートとの間に進退可能に配置され、前記押出ピンが挿通される貫通孔が設けられた移動ダイプレートと、
前記移動ダイプレートに前記固定金型に対向するように保持され、前記押出ピンに押し出される押出プレートおよび突き出しピンを内蔵した移動金型と
を備えた射出成形機の押出機構において、
前記押出ピンを後方から前記リアプレートを貫通させて保持し、前記リアプレートの後方面に前記押出ピンの後端部を押圧するバネを収納したケースを取り付け、前記押出ピンが過負荷を受けて後退したことを検知する機構を設けたことを特徴とする射出成形機の押出機構。 - 前記押出ピンの後退を検知する機構が、前記押出ピンの後端部に設けられ前記ケース外に突出した突起と、前記突起の後退を検知するセンサとを含むことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の押出機構。
- 前記センサによる検知信号を制御部に転送して押出機構の動作を制御することを特徴とする請求項2記載の射出成形機の押出機構。
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- 2001-07-31 JP JP2001232033A patent/JP3811375B2/ja not_active Expired - Fee Related
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