JP3811157B2 - スピン偏極エミッタ - Google Patents

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Description

本発明は、スピン偏極電子を放出するスピン偏極エミッタに関する。
近年、伝導電子の電荷に加え、スピンの性質を利用したデバイスが開発されている(スピン・エレクトロニクス)。スピン・エレクトロニクスでは、磁性半導体や磁性金属等の材料が用いられるため、その微小領域の磁気的性質を評価する必要性がある。その有力な評価方法の一つに、スピン偏極電流を用いる方法があるが、その実現には、微小かつ高効率のスピン偏極エミッタの開発が不可欠である。
従来、スピン偏極電流の放出は強磁性探針を用いる方法やGaAs等のIII−V化合物の探針に円偏光を照射する方法等が知られている。しかし、強磁性深針を用いる方法では偏極率の高い電流を得るのが困難であり、III−V化合物の深針を用いる方法は放出時に光照射が必要なため、その結果生じる種々の問題点が指摘されている。
また、従来のエミッタは探針の先端に強い電界を集中させ電子放出を行うが、強電界の印加により先端が劣化するため放出効率が低下してしまう。近年、比較的低電界で電子を放出する金属―絶縁体―金属(MIM)型の電子放出素子が開発されているが(特許文献1参照)、ホットエレクトロンを生成するトンネル接合の電気的耐圧が低いという欠点や、電子放出の効率が低いという欠点を持っている。
米国特許出願公開第2003/71555号明細書
本発明は、スピン偏極率の高い電子を高効率で放出することができ、電気的耐圧の良好なスピン偏極エミッタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1によれば、金属膜と、金属膜に積層形成されたトンネル絶縁膜と、トンネル絶縁膜に積層形成され、一方向の固定磁化が付与された複数の強磁性金属層と複数の強磁性金属層間に形成された非磁性金属層を具備する強磁性積層膜と、強磁性積層膜に積層形成された非磁性金属膜とを備えることを特徴とするスピン偏極エミッタを提供する。
また、本発明の第2によれば、金属膜と、金属膜に積層形成され、絶縁膜と、絶縁中に分散形成された一方向の固定磁化が付与された複数の強磁性粒子とを備えたトンネル絶縁膜と、トンネル絶縁膜に積層され、トンネル絶縁膜を介して金属膜と対向する非磁性金属膜とを備えることを特徴とするスピン偏極エミッタを提供する。
このようなスピン偏極エミッタは、スピン偏極走査プローブ顕微鏡及びスピン偏極電子回折装置等に用いて、高精度の分析を可能にすることができる。
本発明によれば、強磁性からなるスピンフィルター部を備えることにより、高スピン偏極率かつ高い電子放出効率を持つスピン偏極エミッタを得ることができる。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施の形態や実施例を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、参照する各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、図面表示の便宜上、形状や寸法、比等は実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(第1の実施の形態)
まず、本発明のスピン偏極エミッタに関する第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るスピン偏極エミッタの断面模式図である。
スピン偏極エミッタは、第1の電極1、第1の電極1上に形成されたトンネル絶縁膜3、トンネル絶縁膜3上に形成された強磁性積層膜5、及びトンネル絶縁膜3及び強磁性積層膜5を介して第1の電極1と対向する第2の電極7とを備える。
第1の電極1、強磁性積層膜5は金属であり、第1の電極1、絶縁体のトンネル絶縁膜3、強磁性積層膜5は、MIM構造を形成する。このMIM構造はホットエレクトロン生成部をなし、第1の電極1と強磁性積層膜5の間に電圧を印加することにより、一方の金属から他方の金属へホットエレクトロン11を注入することができる。
第1の電極1は非磁性金属膜であっても強磁性金属膜であってもよい。第1の電極1にFe,Co、Ni、やこれらのいずれかを含む合金、化合物等による強磁性金属膜を用い、この強磁性金属膜に強磁性積層膜5が持つ磁化と同じ向きの固定磁化を与えると、注入するホットエレクトロンのスピンの向きを揃えることができ、非磁性金属膜を用いたエミッタに比べてエミッション効率を最大で2倍程度高めることができる。
強磁性積層膜5は、複数の強磁性金属層と非磁性金属層とが交互に積層された膜であり、複数の強磁性金属層の磁化方向を揃えることで、ホットエレクトロン11をそのスピンの向きにより選択的に透過させる(フィルタリングする)ことができる。つまり、強磁性金属層の磁化方向に平行な向きのスピンを持つホットエレクトロンのみがこの膜5を透過して、第2の電極7に伝達することができる。このような強磁性積層膜5をスピンフィルター膜という。
強磁性積層膜5の強磁性金属層には、Fe,Co、Ni、これらの金属を少なくとも1つを含む合金や化合物等の強磁性金属材料を用いることができる。また、その積層方向の厚さは、約1nm以上約10nm以下とすることができる。
強磁性積層膜中の非磁性金属層には、Au、Cu、Ag、Al、及びこれらの金属の少なくとも一つを含む合金や化合物等の非磁性金属材料を用いることができる。また、その積層方向の厚さは、約1nm以上約30nm以下とすることができる。
強磁性積層膜5中の非磁性金属層を介して隣接する強磁性金属層は、互いに強磁性的に結合しており、互いの磁化は略平行に揃っている。強磁性積層膜5中の磁性金属層と非磁性金属層との積層回数は、1回以上5回以下にする。
第1の電極1には、Au、Ag、Cu、Al、Pt,Ti、Cr、V、Ta,W、Nb、Mo等の磁性を示さない金属膜を用いることができ、その厚さは約10nm以上約200nm以下とする。また、上述のように、第1の電極1に磁性材料を用いてエミッション効率を上げることもできる。
第2の電極7にはAu、Pt、Pd、カーボン等の非磁性金属膜を用いることができ、その厚さは約1nm以上約20nm以下とすることができる。
トンネル絶縁膜3には、AlO、HfO、AlN、HfN、AlHfO、AlHfN、MgO等を用いることができる。また、その厚さは約1nm以上約2nm以下とすることができる。
尚、スピン偏極エミッタの形状は、例えば、幅(図1の紙面左右方向)が約1μm以上約10μm以下、奥行き(図1の紙面垂直方向)が約1μm以上約10μmの四角柱とすることができる。
次に、このスピン偏極エミッタの動作について説明する。
第1及び第2の電極1,7間に電圧源9により電圧を印加すると、第1の電極1から第2の磁性積層膜5へホットエレクトロン11を注入することができる。注入されたホットエレクトロンは磁性積層膜5において、そのスピンの向きにより選択的に透過/非透過される。磁性積層膜5を透過した一部のホットエレクトロン11、つまり所定のスピンを持つホットエレクトロンは第2の電極7の放出面よりスピン偏極電子13として真空中に放出される。
次に、このスピン偏極エミッタの電子放出効率、スピン偏極率について説明する。
このようなスピン偏極エミッタの電子放出効率はエミッション電流と素子に流れるダイオード電流の比として、近似的に与えられる。
本実施の形態のスピン偏極エミッタでは、スピン偏極率の高い電流を放出することができる。これは、磁性積層膜5におけるホットエレクトロン電流の減衰長λがスピンの向きに大きく依存するためである。
ここで、後述する実施例で述べる方法により測定した磁性積層膜5中のスピン依存減衰長を表1に示す。
Figure 0003811157
表1からわかるように、磁性積層膜5中の減衰長は電子のスピンの向きに大きく依存し、上向きスピン電子の減衰長λ↑は50オングストローム程度であるが、下向きスピン電子の減衰長λ↓は僅か10オングストローム程度である。
放出されるホットエレクトロンのスピン偏極率は、アップスピンのホットエレクトロンによる電流I↑とダウンスピンのホットエレクトロンによる電流I↓を用いて与えられる。
電流I↑と電流I↓は、磁性積層膜5中の強磁性層の厚さdとスピンに依存したホットエレクトロンの減衰長λとにより与えられる。
例えば、約1.5eVのエネルギーを持つホットエレクトロンを厚さdが20オングストローム程度のCo84Fe16層を透過させた場合、表1から、Co84Fe16層のアップスピン電子の減衰長λ↑は50オングストローム、ダウンスピン電子の減衰長λ↓は8オングストロームであり、スピン偏極率は約90%という高い偏極率の電流が得られる。
一方、強磁性積層膜5中の強磁性金属層と非磁性金属層の界面の電流透過率は一般的に数10%と高いことが知られている。また、非磁性金属層中の減衰長も一般的に長くAuやCu等の貴金属中では200オングストローム程度である。
従って、磁性積層膜5を用いることにより、ホットエレクトロン電流に対して電流透過率が数10%、スピン偏極率が約90%程度のスピンフィルターを実現することができる。
尚、強磁性積層膜5中の磁性金属層の数を増やせば放出電子のスピン偏極率をさらに高めることができる。但し、電子放出効率は低下する。
次に、本実施の形態の変形例について、説明する。
変形例1のスピン偏極エミッタでは第2の電極7の電子放出面に仕事関数の小さいLi,Na等のアルカリ金属やMg,Ba等のアルカリ土類金属あるいはこれらの金属を含む合金若しくは化合物を設ける。Li,Na等のアルカリ金属やMg,Ba等のアルカリ土類金属あるいはこれらの金属を含む合金、化合物については、光電子放出や熱電子放出の効率向上に有効であり、第2の電極7から真空への電流透過率MSを改良することができる。
探針を用いた強電界電子放出では材料強度の点から難点があり、これらの金属を用いることは難しい。しかし、本実施の形態によるスピン偏極エミッタは強電界を用いずに放出できるホットエレクトロン型なので、これらの材料を放出効率改善のために用いることができる。
この放出効率の改善について、図2のエネルギーダイアグラムを用いて説明する。
図2中のEFはフェルミエネルギー準位を示す。アルカリ金属等の仕事関数の小さい金属を表面に用いると、実線で示したようにバリアーが低くなり、ホットエレクトロン11の真空への透過率を高めることができる。このような仕事関数の小さい金属は、Li,Na等のアルカリ金属や、Mg,Ba等のアルカリ土類金属、あるいはこれら金属を含む化合物である。
これに対し、仕事関数の大きい金属やその化合物では、図2中に点線で示したように真空との界面に高いバリアーが存在するため、ホットエレクトロンの透過率は低くなり放出効率は低下する。つまり、この変形例1によれば、第2の電極7から真空への電流透過率TMSを改良することができる。
次に、第1の実施の形態の変形例2に関するスピン偏極エミッタについて説明する。
この変形例2では、多重トンネル接合あるいは微粒子多重トンネル接合を用いることにより、トンネル接合の電気的耐圧を改善することができる。
ホットエレクトロン型エミッタの弱点はトンネル接合の電気的耐圧が低いことであり、トンネル接合が外部の電気的雑音や静電気等により破壊することが予想される。しかし、電気的耐圧を高めるためにトンネル絶縁膜を厚くするとトンネル接合抵抗が高くなり放出電流が減少してしまう。
そこで、図1のトンネル絶縁膜3に替えて、図3(a)の断面模式図に示した多重トンネル接合膜3Aあるいは図3(b)の断面模式図に示した微粒子多重トンネル接合膜3Bを用いる。このような多重トンネル接合膜3Aや微粒子多重トンネル接合膜3Bによれば、外部からの印加電圧を各接合に分散させることができ、トンネル接合の耐圧を著しく高めることができる。
多重トンネル接合膜3Aは、金属層31とこれを挟むように積層された複数の絶縁層33を備える。図3(a)に示すように、複数の金属層31と複数の絶縁層33を交互に積層してもよい。この金属層31には、Al、Cu等を用いることができ、その厚さは、例えば、約1nm以上約5nm以下とすることができる。絶縁層33には、AlO、AlN、AlCuOを用いることができ、その厚さは、例えば、約1nm以上約2nm以下とすることができる。
微粒子多重トンネル接合膜3Bは、金属層35と微粒子多重トンネル層37の積層膜である。金属層35は、例えば、Al、Cu、Ag、Pt等よりなり、厚さを約10n以上約200nmとする。微粒子多重トンネル層37は、AlO、BN、AlN、ダイヤモンドライクカーボン等の非磁性絶縁膜中に、直径約1nm以上約10nm以下程度の導電性の微粒子が分散された層である。微粒子多重トンネル層37の厚さは、例えば、約20n
m以上約100nm以下とすることができる。
微粒子多重トンネル接合膜3Bの微粒子多重トンネル層37は、絶縁体中に金属微粒子が分散されたものであるため、2つの金属微粒子間のトンネル接合が破壊して短絡が生じても、これにより微粒子多重トンネル層37全体が破壊されて金属層35と第2の電極7間が短絡することはない。従って、外部からの電気的雑音や静電気等に対する耐性を大幅に高めることができる。
次に、第1の実施の形態の変形例3について図4の断面模式図を用いて説明する。
変形例3では、図3(b)に示す微粒子多重トンネル接合膜3Bの金属微粒子に強磁性微粒子を用い、膜全体の強磁性微粒子に固定磁化を付与する。このような固定磁化を付与した多重トンネル接合膜を用いることで、スピンのフィルタリンングとホットエレクトロンの生成を同時に行うことができる。
この微粒子多重トンネル接合膜3Bでは、強磁性微粒子の材料にFe、Co、NI、及びこれらのうちいずれかの金属を含む合金や化合物等を用い、各粒子の平均の径を約5nm以上約20nm以下とする。また、微粒子多重トンネル接合膜の厚さは約50nmとすることができる。
図4の断面模式図に示したように、非磁性金属の第1及び第2の電極と微粒子多重トンネル膜39の3層のみによりスピン偏極エミッタを構成することができる。この3層構成のスピン偏極エミッタによるスピン偏極率は約20%以上約30%以下と低いものの、第1及び第2の電極1,7に強磁性材料を用いる必要がないため、電流透過率を高めることができ、電流放出効率をさらに改善することが可能になる。
(実施例1) 磁性体中を進むホットエレクトロンの減衰長の測定
実施例1について図5の断面模式図を参照しつつ説明する。
Si層上に厚さ約1nmのCoSi2を介してCoFe層、Cu層、CoFe層からなるベース層、Al23トンネル絶縁膜を形成した。ベース層の各層の作製は、マルチチャンバーのMBE装置(2×10-10torr)を用いた。
はじめに第1のチャンバー内でn+Si(111)基板を約500℃、約2時間、続いて約700℃、約0.5時間加熱し、表面の吸着ガスを除去した。引き続き、弱いSiフラックス中でSi基板を約840℃に加熱し、表面酸化膜を除去した。この段階でRHEEDによりSi表面の7x7構造を確認した。
次に、この表面上にバッファー層としてノンドープSiを700℃で1μmの厚さに形成した。その後、化学量論組成のCoとSiを同時蒸着し、約600℃において10分間程度アニールすることにより厚さ約1nmのCoSi2膜を形成した。
ベース積層膜(CoFe層、Cu層、CoFe層)はMBE装置の第2のチャンバー内でイオンビーム・スパッタ法により形成した。Cu層の厚さを約2nmに固定し、二つのCoFeの膜厚を約1nm以上約10nm以下の間でそれぞれ変化させた。また磁気的な一軸異方性を付与するためCoFeは約1000Oeの磁場を印加しつつ形成した。
続いて、第3のチャンバー内でAl23トンネル絶縁膜を形成した。O2分圧10-5torrの下で、Alソースを用いてAl23を約1.5nmの厚さに形成した。
その後、厚さ約200nmのCaF2層間絶縁膜を形成して、ベース/エミッタ間トンネル接合の面積を約50×50μmとした後、エミッタとしてAl(10nm)/Au(100nm)積層膜を形成した。
CoFeの膜厚を変えたそれぞれのトランジスターについて、面内に磁場を印加して、電圧計9、電流計53を用いて電流/電圧特性を測定し電流透過率(コレクター電流/エミッタ−電流の比)を求めた。この電流透過率のCoFe膜厚依存性からCoFe膜中のスピンに依存したホットエレクトロン電流の減衰長を求めた。結果は、表1に示すように、エミッタ電圧約1.5Vでは、アップスピン電子の減衰長λ↑=約50オングストローム、ダウンスピン原子の減衰長λ↓=約8オングストロームであり、約2.0Vではλ↑=43オングストローム、λ↓=8オングストロームであった。
この結果から、強磁性積層膜を透過するホットエレクトロンの減衰長は、電子スピンの向きによって異なり、アップスピン電子の方が高い透過率を得られることがわかる。
(実施例2)スピンフィルター部にCu/CoFe/Au/Cs積層膜を用いたスピン偏極エミッタ
実施例1で用いた製造装置を用いて、Si基板上に図6に断面模式図を示したスピン偏極エミッタを作製した。
まず、下部電極として厚さ約200nmのAl膜を蒸着法により形成し、その表面を酸素雰囲気中で酸化することにより厚さ約2nm程度のAl23を形成してトンネル絶縁膜とした。引き続き、トンネル絶縁膜上にイオンビーム・スパッタ法によりスピンフィルター部のCu層(約10nm厚)、CoFe層(約2nm厚)、Au層(約1nm厚)の積層膜を形成した。CoFe層は実施例1と同様の方法で磁化を付与した。
得られたSi基板上の膜を、光リソグラフィー法とイオンミリング装置を用いて50×50μm2の接合サイズに加工し、スピン偏極エミッタを作製した。このエミッタに電流リードを取り付けた後、再び真空槽にセットして電子放出特性を測定した。電圧40Vを印加した時、ダイオード電流約10mAに対してエミッション電流は約0.1μAで、電子放出効率は10-5程度だった。
真空槽内で、同じエミッタの上部電極Au上にCsを約0.5nm程度蒸着した後、再び電子放出特性を測定した。約40Vの印加電圧において、ダイオード電流約10mAに対してエミッション電流は約0.7μAで、電子放出効率は約7×10ー5となり、Csを表面に蒸着することにより、電子放出効率の向上が見られた。
スピン偏極率の測定はモット検出器を用いて行った。モット検出器はスピン偏極電子が重原子によって散乱されるとき、スピン・軌道相互作用によってその空間分布が非対称になることを利用している。約40Vの印加電圧でのエミッション電流のスピン偏極率は、約60%だった。Csを表面に蒸着した素子とAuのみの素子とでは、スピン偏極率に大きな違いは見られなかった。この素子は、約60Vを印加すると絶縁破壊が起こった。
(実施例3) 微粒子多重トンネル層を用いたスピン偏極エミッタ
図7の断面模式図に示すような、絶縁層中に分散された微粒子層を多重トンネル伝導するスピン偏極エミッタを作製した。
Si基板上に下部電極Cu層(約100nm厚)をイオンビーム・スパッタにより成膜した後、Al23とCoFeを交互にスパッタし、Al23絶縁層にCoFe微粒子が分散した微粒子層(約40nm厚)を作製した。
その後、CoFe層(約1nm厚)とAu層(約10nm厚)をスパッタし、上部電極を成膜した。実施例1と同様な方法でCoFe層に一軸異方性を付与し、約50μm×50μmの接合サイズに加工し、電子放出特性を測定した。
電圧50Vを印加したときのダイオード電流5mAに対して、エミッション電流は50nAで、電子放出効率は10ー5であった。電圧100Vを印加したときのダイオード電流は20mAに対して、エミッション電流は2μAで、電子放出効率は10ー4であった。この素子は120Vの電圧を印加しても絶縁破壊を起こさなかった。モット検出器によりスピン偏極率を測定したところ、100V印加時のエミッション電流のスピン偏極率は、約40%だった。
この実施例3は、実施例2のエミッタと比較してスピン偏極率は低下するものの、耐圧が高いためエミッション電流を大きくすることができた。
本発明の第1の実施の形態に関わるスピン偏極エミッタを説明するための断面模式図。 第1の実施の形態の変形例1を説明するためのエネルギーダイアグラム 第1の実施の形態の変形例2を説明するための断面模式図 第1の実施の形態の変形例3を説明するための断面模式図 実施例1を説明するための断面模式図 実施例2を説明するための断面模式図 実施例3を説明するための断面模式図
符号の説明
1・・・第1の電極
3・・・トンネル絶縁膜
5・・・強磁性積層膜
7・・・第2の電極
9・・・電圧源
11・・・ホットエレクトロン
13・・・スピン偏極電子
3A・・・多重トンネル接合膜
3B・・・微粒子多重トンネル接合膜
31・・・金属膜
33・・・絶縁膜
35・・・金属膜
37・・・微粒子多重トンネル膜
39・・・強磁性微粒子多重トンネル接合膜
53・・・電流計

Claims (6)

  1. 金属膜と、
    前記金属膜に積層形成されたトンネル絶縁膜と、
    前記トンネル絶縁膜に積層形成され、一方向の固定磁化が付与された複数の強磁性金属層と前記複数の強磁性金属層間に形成された非磁性金属層を具備する強磁性積層膜と、
    前記強磁性積層膜に積層形成された非磁性金属膜とを備えることを特徴とするスピン偏極エミッタ。
  2. 前記トンネル絶縁膜は、複数の絶縁層と前記複数の絶縁層間に形成された金属層とを備える積層膜よりなることを特徴とする請求項1記載のスピン偏極エミッタ。
  3. 前記トンネル絶縁膜は、絶縁層と前記絶縁層中に分散された複数の金属粒子を備えることを特徴とする請求項1記載のスピン偏極エミッタ。
  4. 金属膜と、
    前記金属膜に積層形成され、絶縁膜と、前記絶縁膜中に分散形成された一方向の固定磁化が付与された複数の強磁性粒子とを備えたトンネル絶縁膜と、
    前記トンネル絶縁膜に積層され、前記トンネル絶縁膜を介して前記金属膜と対向する非磁性金属膜とを備えることを特徴とするスピン偏極エミッタ。
  5. 前記非磁性金属膜の電子放出面にアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の中から選択される元素のいずれかを含む層を備えることを特徴とする請求1乃至4のいずれかに記載のスピン偏極エミッタ。
  6. 前記金属膜が前記固定磁化と同じ向きに固定された磁化を備える強磁性層を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスピン偏極エミッタ。
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