JP3811070B2 - 弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電力ケーブルの直線接続部を構成する為に使用する常温収縮チューブ等の弾性材製筒状部材の内径を弾性的に広げると共に、この弾性材製筒状部材の内径が弾性的に広がった状態を保持する方法、並びに、この方法を実施する為に使用する拡径装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電力ケーブルの直線接続部を構成する為に使用する常温収縮チューブは、弾性材により全体を円筒状に構成している。そして、使用時には、1対の電力ケーブルを構成するケーブル導体の端部同士を互いに電気的且つ機械的に接続した状態で、この接続部の周囲に配置し、その内周面を上記各ケーブル導体の周囲に設けたケーブル絶縁体の端部外周面に弾性的に当接させる。
【0003】
この様なケーブル接続部を構成する常温収縮チューブの様に、その内周面を所定部分の外周面に弾性的に当接させた状態で使用する弾性材製の筒状部材が、各種の分野で多種存在する。又、この様な筒状部材の設置を行なう場合、即ち、この筒状部材の内周面を上記所定部分の外周面に弾性的に当接させる場合に、筒状の拡径保持材を使用する事が一般的に行なわれている。即ち、この様な拡径保持材を使用して上記筒状部材の設置を行なう場合には、先ず、この筒状部材の内径を弾性的に広げて、この筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌する。これにより、この筒状部材の拡径状態を保持する。次いで、この様に拡径保持材に外嵌した筒状部材を、上記所定部分の周囲に配置する。その後、この筒状部材の内径側から上記拡径保持材を抜き取る事により、この筒状部材を自身の弾性に基づいて縮径させ、この筒状部材の内周面を上記所定個所の外周面に弾性的に当接させる。
【0004】
上記拡径保持材を使用して上記筒状部材を設置する手順は以上に述べた通りであるが、従来、上述の様に筒状部材の内径を弾性的に広げてこの筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌する作業(即ち、この筒状部材の拡径保持作業)は、大掛かりな装置を使用して行なっていた。この為、装置のコストが嵩むだけでなく、作業能率も良くなかった。この為、装置のコストを低減できると共に作業能率の向上を図れる技術の提供が望まれている。
【0005】
【先発明の説明】
そこで、本発明者は先に、上述の様な要望に応えられる拡径装置を発明した。図7〜16は、この様な先発明に係る拡径装置により、弾性材製筒状部材の拡径保持作業を行なう状況を示している。拡径保持作業の対象となる筒状部材1は、ゴム等の弾性材により全体を円筒状に構成している。又、この筒状部材1の拡径保持作業を行なう為の拡径装置2は、1対の拡径治具3、3と、ガイド棒4と、ぞれぞれが押圧手段を構成する1対ずつのナット5、5及び押圧板6、6と、1対の拡径保持材7、7とを備える。
【0006】
このうちの拡径治具3、3はそれぞれ、全体を厚肉円筒状に構成しており、外径寸法を上記筒状部材1の自由状態での内径寸法よりも大きくしている。又、これら各拡径治具3、3の先端部外周面は、先端側に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜する円すい凸面8としている。又、この円すい凸面8の先端縁の外径寸法は上記筒状部材1の自由状態での内径寸法以下にして、後述する拡径作業時に、上記各拡径治具3、3の先端部を上記筒状部材1の内径側に挿入し易くしている。又、上記各拡径治具3、3の内径寸法は、これら各拡径治具3、3の内径側に上記ガイド棒4を大きながたつきなく挿通させる事ができる様に規制している。
【0007】
又、上記ガイド棒4は、外周面に雄ねじを形成したねじ杆であり、上記各ナット5、5を螺合自在としている。又、上記各押圧板6、6はそれぞれ、全体を円輪状に形成しており、外径寸法を上記各拡径治具3、3の外径寸法よりも大きく(図示の例では、上記各拡径保持材7、7の外径寸法と同程度に)している。又、これら各押圧板6、6の内径寸法は、これら各押圧板6、6の内径側に上記ガイド棒4を大きながたつきなく挿通させる事ができる様に規制している。又、上記各拡径保持材7、7は、全体を薄肉円筒状に構成している。この様な各拡径保持材7、7は、上記各拡径治具3、3にがたつきなく外嵌自在であると共に、外嵌した状態でこれら各拡径治具3、3の外周面を軸方向に変位自在である。又、これら各拡径保持材7、7の先端面は、径方向外方に向かう程軸方向後端側に向かう方向に傾斜する傾斜面9、9としている。
【0008】
上述の様な拡径装置2を使用して前記筒状部材1の拡径保持作業を行なう場合には、先ず、図7に示す様に、この筒状部材1の軸方向両側に上記各拡径治具3、3を、互いの先端面同士を向かい合わせた状態で配置する。これと共に、これら筒状部材1及び拡径治具3、3の内径側に、上記ガイド棒4を挿通する。そして、このガイド棒4の両端寄り部に螺合させた上記各ナット5、5を、それぞれ上記各拡径治具3、3の基端面に当接させる。
【0009】
次いで、上記ガイド棒4を固定しつつ上記各ナット5、5を回転させるか、或はこれら各ナット5、5を回転不能に支持しつつ上記ガイド棒4を回転させる事により、これら各ナット5、5をこのガイド棒4の中央側に向け、互いに近付く様に軸方向移動させる。尚、この際に上記ガイド棒4を回転させる場合には、何れか一方のナット5の内周面に形成する雌ねじを逆ねじにすると共に、当該ナット5を螺合させる部分で上記ガイド棒4の外周面に形成する雄ねじを逆ねじにする。何れにしても、上述の様に各ナット5、5をガイド棒4の中央側に向け軸方向移動させる事により、上記各拡径治具3、3の基端面を押圧する。
【0010】
そして、この様に各拡径治具3、3の基端面を押圧する事により、これら各拡径治具3、3の先端部を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の両端開口から挿入する。そして、図8〜9に示す様に、上記各拡径治具3、3の先端部に設けた円すい凸面8、8により上記筒状部材1の内径を弾性的に広げながら、これら各拡径治具3、3の先半部をこの筒状部材1の内径側に押し込む。この押し込み作業は、上記図9に示す様に、上記各拡径治具3、3の先端面同士が上記筒状部材1の中央部内径側部分で互いに当接するまで行なう。
【0011】
上述の様な各拡径治具3、3の押し込み作業が完了したならば、次いで、図10に示す様に、上記筒状部材1から突出した上記各拡径治具3、3の基半部に、それぞれ拡径保持材7、7の先半部を外嵌する。これと共に、上記ガイド棒4の両端寄り部周囲に配置した前記各押圧板6、6の片側面を、上記各拡径保持材7、7の基端面に当接させる。更に、これら各押圧板6、6の他側面に上記各ナット5、5を当接させる。
【0012】
そして、この状態で、前述の様にして上記各ナット5、5を上記ガイド棒4の中央側に向け軸方向移動させる事により、上記各拡径保持材7、7の基端面を、上記各押圧板6、6を介して押圧する。これにより、図11に示す様に、上記各拡径保持材7、7の先端側部分を、上記各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に、この筒状部材1の内径を前記各傾斜面9、9により弾性的に広げつつ押し込む。この様な押し込み作業は、上記図11に示す様に、上記各拡径保持材7、7の先端縁同士が上記筒状部材1の中央部内径側部分で互いに当接するまで行なう。そして、最後に、図12に示す様に、上記各拡径保持材7、7の内径側から、上記ガイド棒4と上記各拡径治具3、3とを抜き取る。この状態で、上記各拡径保持材7、7により、上記筒状部材1の拡径状態が保持される。尚、この筒状部材1の設置作業を行なう際に、この筒状部材1の内径側から上記各拡径保持材7、7を抜き取る場合には、これら各拡径保持材7、7を軸方向反対側に引っ張る。
【0013】
上述した様な先発明の場合には、拡径装置2を比較的簡単な構造にできる為、この拡径装置2の製造コストを低減できる。又、上記筒状部材1を拡径する為の部材として、軸方向に二分割されているもの、即ち、1対の拡径治具3、3(及び1対の拡径保持材7、7)を使用している。そして、これら1対の拡径治具3、3(及び1対の拡径保持材7、7)を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の両端開口から押し込む様にしている。この為、単一の拡径用部材を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の全長に亙り押し込む場合に比べて、押し込みの際の摩擦抵抗力の最大値を半分以下にできる。従って、この筒状部材1の拡径作業の容易化を図れる。又、同様に、上記1対の拡径保持材7、7を上記筒状部材1の内径側から抜き取る際の摩擦抵抗力を小さくできる為、この筒状部材1の設置作業の容易化も図れる。
【0014】
尚、前述の図10〜11に示す様に、上記各拡径保持材7、7を上記各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に押し込む際に、これら各拡径保持材7、7の外周面と筒状部材1の内周面との接触部に働く摩擦抵抗力が大きく、押し込み力が過大となる場合には、図13〜16に示す様に、1乃至複数本のガイドロッド12、12を使用して、この押し込み力を低減させる事ができる。即ち、前述の図9に示す様に、上記筒状部材1の内径側に上記各拡径治具3、3の先端側部分を押し込んだ後、図13〜14に示す様に、これら各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に、この筒状部材1の両端開口からそれぞれ1乃至複数本(図示の例では4本)ずつのガイドロッド12、12を押し込む。これら各ロッド12、12は、図13(B)及び図14(B)に示す様に、円周方向に関してほぼ等間隔に配置する。尚、これら各ガイドロッド12、12の表面と上記筒状部材1の内周面及び上記各拡径治具3、3の外周面との接触面積は小さい、即ち、これら各接触部に働く摩擦力は小さい為、上記各ガイドロッド12、12の押し込み作業は比較的小さい力で行なえる。又、この様に上記各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に上記各ガイドロッド12、12を押し込んだ結果、図13(B)及び図14(B)に示す様に、これら各ガイドロッド12、12の円周方向両側部分に、それぞれ隙間が生じる。
【0015】
上述の様に複数のガイドロッド12、12を押し込んだならば、次いで、図15〜16に示す様に、上記各拡径治具3、3の外周面と上記各ガイドロッド12、12との間に、上記筒状部材1の両端開口からそれぞれ拡径保持材7、7を押し込む。この際、図16(B)に示す様に、上記各ガイドロッド12、12が存在する部分及びその円周方向両側部分で、上記各拡径保持材7、7の外周面と上記筒状部材1の内周面とが接触しない為、これら各拡径保持材7、7の外周面とこの筒状部材1の内周面との接触面積を小さくできる。又、上記各ガイドロッド12、12と上記各拡径保持材7、7とは、何れもゴム以外の滑り易い材料により造れるので、これら両部材12、7同士の接触部に働く摩擦係数は小さい。この結果、上記各拡径保持材7、7に関する各接触部に働く摩擦力を小さくでき、これら各拡径保持材7、7の押し込みに要する力を小さくできる。
【0016】
尚、上述した例では、上記筒状部材1の内径側に、上記1対の拡径治具3、3と上記1対の拡径保持材7、7とを順番に押し込んだが、これら各拡径治具3、3と各拡径保持材7、7とは、互いに同心に組み合わせた状態で上記筒状部材1の内径側に同時に押し込む事もできる。又、上述した先発明を実施する場合、1対の拡径治具3、3(及び1対の拡径保持材7、7)の外径を互いに異ならせれば、上記筒状部材1の拡径量を軸方向両側で互いに異ならせる事ができる。この様に筒状部材1の拡径量を軸方向両側で異ならせれば、この筒状部材1の内径側に設置する部材の径寸法がこの筒状部材1の軸方向両側で異なる場合(例えば、この筒状部材1の内径側に異径ケーブル同士の直線接続部を設置する場合)でも、この筒状部材1の設置作業を効率良く行なえる。又、上記各拡径治具3、3及び上記各拡径保持材7、7及び前記各押圧板6、6は、それぞれ複数の部分円筒状若しくは部分円輪状の素子同士を互いに分離可能に組み合わせて構成する事により、組み付けの容易化を図る事もできる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先発明の場合には、拡径寸法の異なる筒状部材1毎に、外径寸法の異なる拡径治具3、3及び拡径保持材7、7を備えた拡径装置2を用意する必要がある。これに対し、上記筒状部材1の拡径保持作業をより効率良く行なう為には、この筒状部材1の拡径寸法に拘らず、1つの拡径装置で拡径保持作業を行なえる様にする事が望ましい。
本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置のうち、請求項1〜2に記載した弾性材製筒状部材の拡径保持方法は、弾性材により全体を円筒状に構成された筒状部材の内径を弾性的に広げると共に、この筒状部材の内径が弾性的に広がった状態を保持する方法である。
このうち、請求項1に記載した弾性材製筒状部材の拡径保持方法は、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の筒状素子同士を互いに同心に且つ軸方向の相対変位可能に組み合わせて成ると共に、これら複数の筒状素子の中から選択した何れかの筒状素子を最外層の筒状素子とする事によりその外径寸法を多段階に調節自在とした拡径治具を、1対用意する。そして、これら各拡径治具を構成する複数の筒状素子の中から拡径すべき上記筒状部材の内径寸法に見合った外径寸法を有する筒状素子を選択し、当該筒状素子を上記各拡径治具を構成する最外層の筒状素子とする。そして、この状態で、これら各拡径治具を上記筒状部材の内径側に、それぞれこの筒状部材の両端開口から押し込む事により、この筒状部材の内径を弾性的に広げる。その後、上記各拡径治具とも、上記最外層の筒状素子以外の筒状素子を上記筒状部材の内径側から抜き取って、これら各最外層の筒状素子により上記筒状部材の内径を弾性的に広げた状態を保持する。
【0019】
又、請求項2に記載した弾性材製筒状部材の拡径保持方法は、請求項1に記載した方法を実施した後、上記各最外層の筒状素子の内径側に、その外径寸法が筒状部材の自由状態での内径寸法よりも大きい拡径保持材を挿通する。次いで、上記各最外層の筒状素子を上記筒状部材の内径側から抜き取る事により、この筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌させる事で、この筒状部材の内径を弾性的に広げた状態を保持する。
【0020】
又、請求項3に記載した弾性材製筒状部材の拡径装置は、1対の拡径治具と、ガイド棒と、押圧手段とを備える。
このうちの1対の拡径治具はそれぞれ、弾性材により全体を円筒状に構成した筒状部材の自由状態での内径寸法よりも大きい外径寸法を有し、この筒状部材の内径側にそれぞれこの筒状部材の両端開口から押し込む事により、この筒状部材の内径を弾性的に広げる事が可能である。本発明の場合、この様な1対の拡径治具はそれぞれ、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の筒状素子同士を互いに同心に且つ軸方向の相対変位可能に組み合わせて成ると共に、これら複数の筒状素子の中から選択した何れかの筒状素子を最外層の筒状素子とする事によりその外径寸法を多段階に調節自在である。
又、上記ガイド棒は、上記各拡径治具及び筒状部材の中心孔に挿通自在である。
又、上記押圧手段は、上記各拡径治具の基端面を押圧自在である。
【0021】
【作用】
上述の様な本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置の場合、拡径すべき弾性材製筒状部材の拡径寸法(所望とする拡径後の内径寸法)に合わせて、1対の拡径治具を構成する最外層の筒状素子を選択する事により、当該弾性材製筒状部材の拡径保持作業を適切に行なえる。この様に本発明の場合には、拡径すべき弾性材製筒状部材の拡径寸法に拘らず、この弾性材製筒状部材の拡径保持作業を1つの拡径装置により適切に行なえる。この為、この拡径装置のコスト低減と、拡径保持作業の能率化とを図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜6は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の拡径装置2aの構造上の特徴は、1対の拡径治具3a、3aを多重管構造にした点にある。その他の基本構造に就いては、前述の図7〜12に示した先発明の拡径装置2とほぼ同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分並びに前述した先発明と異なる部分を中心に説明する。
【0023】
本例の場合、上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、上記先発明の拡径装置2に組み込む拡径治具3、3と同様の外形を有する。即ち、上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、全体を円筒状に構成すると共に、先端部外周面を、先端側に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜する円すい凸面8としている。特に、本例の場合、上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の円筒状素子10a〜10d同士を互いに同心に、且つ、軸方向の相対変位可能に組み合わせて成る。尚、この様に複数の円筒状素子10a〜10d同士を互いに組み合わせて上記各拡径治具3a、3aを構成した状態で、これら各拡径治具3a、3aの先端部外周面に上記円すい凸面8が形成される様に、上記各円筒状素子10a〜10dの先端部の形状を規制している。又、この様に構成する上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、上記複数の円筒状素子10a〜10dの中から選択した何れかの円筒状素子を最外層の円筒状素子とする事により、その外径寸法を多段階に調節自在である。
【0024】
上述の様な1対の拡径治具3a、3aを含んで構成する本例の拡径装置2aを使用して、弾性材製の筒状部材1の拡径保持作業を行なう場合には、先ず、上記各拡径治具3a、3aを構成する複数の円筒状素子10a〜10dの中から、上記筒状部材1の拡径寸法(所望とする拡径後の内径寸法)に見合った外形寸法を有する円筒状素子(本例では、円筒状素子10d)を選択する。そして、当該円筒状素子10dを、上記各拡径治具3a、3aの最外層の円筒状素子とする。
【0025】
そして、この様に構成した各拡径治具3a、3aを、図1に示す様に、これら各拡径治具3a、3aを互いの先端面同士を互いに向かい合わせた状態で、上記筒状部材1の軸方向両側に配置する。これと共に、これら筒状部材1及び拡径治具3a、3aの内径側に、ねじ杆であるガイド棒4を挿通する。そして、このガイド棒4の両端寄り部周囲に配置した円輪状の押圧板6、6の片側面を、それぞれ上記各拡径治具3a、3aの基端面に当接させると共に、上記ガイド棒4の両端寄り部に螺合させたナット5、5を、それぞれ上記各押圧板6、6の他側面に当接させる。
【0026】
次いで、前述した先発明の場合と同様にして、上記各ナット5、5を上記ガイド棒4の中央側に向け、互いに近付く様に軸方向移動させる事により、上記各拡径治具3a、3aの基端面を、上記各押圧板6、6を介して押圧する。これにより、これら各拡径治具3a、3aの先端部を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の両端開口から挿入する。そして、図2〜3に示す様に、上記各拡径治具3a、3aの先端部に設けた円すい凸面8、8により上記筒状部材1の内径を弾性的に広げながら、これら各拡径治具3a、3aの先半部をこの筒状部材1の内径側に押し込む。この押し込み作業は、上記図3に示す様に、上記各拡径治具3a、3aの先端面、即ち、最も内径側に位置する円筒状素子10a、10aの先端面同士が上記筒状部材1の中央部内径側部分で互いに当接するまで行なう。
【0027】
次いで、上記各拡径治具3a、3aを構成する最外層の円筒状素子10d、10dの基端面と上記各押圧板6、6の片側面との間に、それぞれこれら各円筒状素子10d、10dと径寸法が等しい円筒状の押込用スリーブ11、11を配置する(図4参照)。尚、この様な各押込用スリーブ11、11の配置作業は、これら各押込用スリーブ11、11を一体品とする場合には、上記ガイド棒4の両端部周囲から、一旦、上記各ナット5、5及び上記各押圧板6、6を取り外して行なう。これに対し、上記各押込用スリーブ11、11を複数の部分円筒状の素子(例えば、1対の半円筒状の素子)同士を互いに分離可能に組み合わせて構成する場合には、上記ガイド棒4の両端部周囲に上記各ナット5、5及び上記各押圧板6、6を取り付けたまま行なえる。
【0028】
何れにしても、上述の様に各押込用スリーブ11、11を上記各最外層の円筒状素子10d、10dの基端面と上記各押圧板6、6の片側面との間に配置したならば、上記各ナット5、5を上記ガイド棒4の中央部に向け、互いに近付く様に軸方向移動させる事により、上記各最外層の円筒状素子10d、10dの基端面を、上記各押込用スリーブ11、11を介して押圧する。これにより、図4に示す様に、上記各最外層の円筒状素子10d、10dを上記筒状部材1の奥に向け更に押し込み、これら両円筒状素子10d、10dの先端縁同士を、上記筒状素子1の中央部内径側部分で当接させる。
【0029】
そして、最後に、図5に示す様に、上記各最外層の円筒状素子10d、10dの内径側から、これら最外層の円筒状素子10d、10dの径方向内方に存在する各円筒状素子10a〜10cと上記ガイド棒4とを抜き取る。この状態で、上記各最外層の円筒状素子10d、10dにより、上記筒状部材1の拡径状態が保持される。この筒状部材1の設置作業を行なう際に、この筒状部材1の内径側から上記各最外層の円筒状素子10d、10dを抜き取る場合には、これら各最外層の円筒状素子10d、10dを軸方向反対側に引っ張る。
【0030】
尚、上述の様に、最外層の円筒状素子10d、10dを上記筒状部材1の拡径保持材として使用する代わりに、例えば図6に示す様な別構造の拡径保持材13(外形寸法が上記筒状部材1の自由状態での内径寸法よりも大きいもの)を使用する事もできる。この様な別構造の拡径保持材13を使用する場合には、図5に示した状態で、上記最外層の円筒状素子10d、10dの内径側に上記別構造の拡径保持材13を挿通する。そして、この状態で、上記各最外層の円筒状素子10d、10dを上記筒状部材1の内径側から抜き取る。この結果、この筒状部材1が自身の弾性により縮径し、この筒状部材1が上記別構造の拡径保持材13の外周面に弾性的に外嵌される。尚、図6に例示した別構造の拡径保持材13は、線材14をスパイラル状に巻回して成る、周知構造のものである。
【0031】
上述した様な本例の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置の場合、拡径すべき筒状部材1の拡径寸法に合わせて、1対の拡径治具3a、3aを構成する最外層の円筒状素子(10a〜10d、更には10dよりも外径側に設置する、図示しない円筒状素子)を選択する事により、当該筒状部材1の拡径保持作業を適切に行なえる。この様に本例の場合には、拡径すべき筒状部材1の拡径寸法の相違に拘らず、この筒状部材1の拡径保持作業を同一の拡径装置2aにより適切に行なえる。この為、この拡径装置2aのコスト低減と、拡径保持作業の能率化とを図れる。
【0032】
尚、上述した実施の形態の様に、上記筒状部材1の内径側に上記各拡径治具3a、3aをそれぞれ一度に(これら各拡径治具3a、3aを構成する総ての円筒状素子を一遍に)押し込む様にすると、例えば上記筒状部材1の自由状態での内径寸法と拡径後の内径寸法との差が大きい等の場合に、上記各拡径治具3a、3aに付与すべき押し込み力が過度に大きくなる場合がある。この様な場合、上記各拡径治具3a、3aを構成する複数の円筒状素子10a〜10dを、数段階に分けて(外径の小さい円筒状素子から順番に)上記筒状部材1の内径側に押し込む様にすれば、付与すべき押し込み力を低減する事ができる。尚、この様に複数の円筒状素子10a〜10dを数段階に分けて筒状部材1の内径側に押し込む場合、前述の図13〜16に示した様な複数のガイドロッド12、12を使用する押し込み方法を実施すれば、押し込み力の更なる低減を図れる。又、上記各円筒状素子10a〜10dの外周面に軸方向に亙る溝を、1乃至複数本形成すれば、これら各円筒状素子10a〜10dの外周面と上記筒状部材1の内周面との接触面積を減らす事ができ、この接触部に働く摩擦抵抗力を小さくできる。
【0033】
又、上述した様な拡径装置2aにより上記筒状部材1の拡径を行なう場合、上記1対の拡径治具3a、3aを構成する最外層の円筒状素子の外径寸法を互いに異ならせれば、上記筒状部材1の拡径量を軸方向両側で互いに異ならせる事ができる。この様に筒状部材1の拡径量を軸方向両側で異ならせれば、前述した先発明の場合と同様に、この筒状部材1の内径側に設置する部材の径寸法がこの筒状部材1の軸方向両側で異なる場合でも、この筒状部材1の設置作業を効率良く行なえる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置は、以上に述べた様に構成され作用するので、サイズの異なる弾性材製筒状部材の拡径作業を同一の拡径装置により適切に行なえる。この為、この拡径装置のコストを低減できると共に、拡径作業の能率化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を、拡径保持作業の初期段階で示す部分切断側面図。
【図2】図1に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図3】図2に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図4】図3に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図5】拡径保持作業の終了状態を示す部分切断側面図。
【図6】拡径保持材の1例を示す断面図。
【図7】先発明の1例を、拡径保持作業の初期段階で示す部分切断側面図。
【図8】図7に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図9】図8に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図10】図9に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図11】図10に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図12】拡径保持作業の終了状態を示す部分切断側面図。
【図13】先発明の別例を、拡径保持作業の途中段階で示しており、(A)は部分切断側面図、(B)は(A)の側方から見た端面図。
【図14】図13に続く作業段階を示す、同図と同様の図。
【図15】図14に続く作業段階を示す、部分切断側面図。
【図16】図15に続く作業段階を示す、図13と同様の図。
【符号の説明】
1 筒状部材
2、2a 拡径装置
3、3a 拡径治具
4 ガイド棒
5 ナット
6 押圧板
7 拡径保持材
8 円すい凸面
9 傾斜面
10a〜10d 円筒状素子
11 押込用スリーブ
12 ガイドロッド
13 拡径保持材
14 線材
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電力ケーブルの直線接続部を構成する為に使用する常温収縮チューブ等の弾性材製筒状部材の内径を弾性的に広げると共に、この弾性材製筒状部材の内径が弾性的に広がった状態を保持する方法、並びに、この方法を実施する為に使用する拡径装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電力ケーブルの直線接続部を構成する為に使用する常温収縮チューブは、弾性材により全体を円筒状に構成している。そして、使用時には、1対の電力ケーブルを構成するケーブル導体の端部同士を互いに電気的且つ機械的に接続した状態で、この接続部の周囲に配置し、その内周面を上記各ケーブル導体の周囲に設けたケーブル絶縁体の端部外周面に弾性的に当接させる。
【0003】
この様なケーブル接続部を構成する常温収縮チューブの様に、その内周面を所定部分の外周面に弾性的に当接させた状態で使用する弾性材製の筒状部材が、各種の分野で多種存在する。又、この様な筒状部材の設置を行なう場合、即ち、この筒状部材の内周面を上記所定部分の外周面に弾性的に当接させる場合に、筒状の拡径保持材を使用する事が一般的に行なわれている。即ち、この様な拡径保持材を使用して上記筒状部材の設置を行なう場合には、先ず、この筒状部材の内径を弾性的に広げて、この筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌する。これにより、この筒状部材の拡径状態を保持する。次いで、この様に拡径保持材に外嵌した筒状部材を、上記所定部分の周囲に配置する。その後、この筒状部材の内径側から上記拡径保持材を抜き取る事により、この筒状部材を自身の弾性に基づいて縮径させ、この筒状部材の内周面を上記所定個所の外周面に弾性的に当接させる。
【0004】
上記拡径保持材を使用して上記筒状部材を設置する手順は以上に述べた通りであるが、従来、上述の様に筒状部材の内径を弾性的に広げてこの筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌する作業(即ち、この筒状部材の拡径保持作業)は、大掛かりな装置を使用して行なっていた。この為、装置のコストが嵩むだけでなく、作業能率も良くなかった。この為、装置のコストを低減できると共に作業能率の向上を図れる技術の提供が望まれている。
【0005】
【先発明の説明】
そこで、本発明者は先に、上述の様な要望に応えられる拡径装置を発明した。図7〜16は、この様な先発明に係る拡径装置により、弾性材製筒状部材の拡径保持作業を行なう状況を示している。拡径保持作業の対象となる筒状部材1は、ゴム等の弾性材により全体を円筒状に構成している。又、この筒状部材1の拡径保持作業を行なう為の拡径装置2は、1対の拡径治具3、3と、ガイド棒4と、ぞれぞれが押圧手段を構成する1対ずつのナット5、5及び押圧板6、6と、1対の拡径保持材7、7とを備える。
【0006】
このうちの拡径治具3、3はそれぞれ、全体を厚肉円筒状に構成しており、外径寸法を上記筒状部材1の自由状態での内径寸法よりも大きくしている。又、これら各拡径治具3、3の先端部外周面は、先端側に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜する円すい凸面8としている。又、この円すい凸面8の先端縁の外径寸法は上記筒状部材1の自由状態での内径寸法以下にして、後述する拡径作業時に、上記各拡径治具3、3の先端部を上記筒状部材1の内径側に挿入し易くしている。又、上記各拡径治具3、3の内径寸法は、これら各拡径治具3、3の内径側に上記ガイド棒4を大きながたつきなく挿通させる事ができる様に規制している。
【0007】
又、上記ガイド棒4は、外周面に雄ねじを形成したねじ杆であり、上記各ナット5、5を螺合自在としている。又、上記各押圧板6、6はそれぞれ、全体を円輪状に形成しており、外径寸法を上記各拡径治具3、3の外径寸法よりも大きく(図示の例では、上記各拡径保持材7、7の外径寸法と同程度に)している。又、これら各押圧板6、6の内径寸法は、これら各押圧板6、6の内径側に上記ガイド棒4を大きながたつきなく挿通させる事ができる様に規制している。又、上記各拡径保持材7、7は、全体を薄肉円筒状に構成している。この様な各拡径保持材7、7は、上記各拡径治具3、3にがたつきなく外嵌自在であると共に、外嵌した状態でこれら各拡径治具3、3の外周面を軸方向に変位自在である。又、これら各拡径保持材7、7の先端面は、径方向外方に向かう程軸方向後端側に向かう方向に傾斜する傾斜面9、9としている。
【0008】
上述の様な拡径装置2を使用して前記筒状部材1の拡径保持作業を行なう場合には、先ず、図7に示す様に、この筒状部材1の軸方向両側に上記各拡径治具3、3を、互いの先端面同士を向かい合わせた状態で配置する。これと共に、これら筒状部材1及び拡径治具3、3の内径側に、上記ガイド棒4を挿通する。そして、このガイド棒4の両端寄り部に螺合させた上記各ナット5、5を、それぞれ上記各拡径治具3、3の基端面に当接させる。
【0009】
次いで、上記ガイド棒4を固定しつつ上記各ナット5、5を回転させるか、或はこれら各ナット5、5を回転不能に支持しつつ上記ガイド棒4を回転させる事により、これら各ナット5、5をこのガイド棒4の中央側に向け、互いに近付く様に軸方向移動させる。尚、この際に上記ガイド棒4を回転させる場合には、何れか一方のナット5の内周面に形成する雌ねじを逆ねじにすると共に、当該ナット5を螺合させる部分で上記ガイド棒4の外周面に形成する雄ねじを逆ねじにする。何れにしても、上述の様に各ナット5、5をガイド棒4の中央側に向け軸方向移動させる事により、上記各拡径治具3、3の基端面を押圧する。
【0010】
そして、この様に各拡径治具3、3の基端面を押圧する事により、これら各拡径治具3、3の先端部を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の両端開口から挿入する。そして、図8〜9に示す様に、上記各拡径治具3、3の先端部に設けた円すい凸面8、8により上記筒状部材1の内径を弾性的に広げながら、これら各拡径治具3、3の先半部をこの筒状部材1の内径側に押し込む。この押し込み作業は、上記図9に示す様に、上記各拡径治具3、3の先端面同士が上記筒状部材1の中央部内径側部分で互いに当接するまで行なう。
【0011】
上述の様な各拡径治具3、3の押し込み作業が完了したならば、次いで、図10に示す様に、上記筒状部材1から突出した上記各拡径治具3、3の基半部に、それぞれ拡径保持材7、7の先半部を外嵌する。これと共に、上記ガイド棒4の両端寄り部周囲に配置した前記各押圧板6、6の片側面を、上記各拡径保持材7、7の基端面に当接させる。更に、これら各押圧板6、6の他側面に上記各ナット5、5を当接させる。
【0012】
そして、この状態で、前述の様にして上記各ナット5、5を上記ガイド棒4の中央側に向け軸方向移動させる事により、上記各拡径保持材7、7の基端面を、上記各押圧板6、6を介して押圧する。これにより、図11に示す様に、上記各拡径保持材7、7の先端側部分を、上記各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に、この筒状部材1の内径を前記各傾斜面9、9により弾性的に広げつつ押し込む。この様な押し込み作業は、上記図11に示す様に、上記各拡径保持材7、7の先端縁同士が上記筒状部材1の中央部内径側部分で互いに当接するまで行なう。そして、最後に、図12に示す様に、上記各拡径保持材7、7の内径側から、上記ガイド棒4と上記各拡径治具3、3とを抜き取る。この状態で、上記各拡径保持材7、7により、上記筒状部材1の拡径状態が保持される。尚、この筒状部材1の設置作業を行なう際に、この筒状部材1の内径側から上記各拡径保持材7、7を抜き取る場合には、これら各拡径保持材7、7を軸方向反対側に引っ張る。
【0013】
上述した様な先発明の場合には、拡径装置2を比較的簡単な構造にできる為、この拡径装置2の製造コストを低減できる。又、上記筒状部材1を拡径する為の部材として、軸方向に二分割されているもの、即ち、1対の拡径治具3、3(及び1対の拡径保持材7、7)を使用している。そして、これら1対の拡径治具3、3(及び1対の拡径保持材7、7)を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の両端開口から押し込む様にしている。この為、単一の拡径用部材を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の全長に亙り押し込む場合に比べて、押し込みの際の摩擦抵抗力の最大値を半分以下にできる。従って、この筒状部材1の拡径作業の容易化を図れる。又、同様に、上記1対の拡径保持材7、7を上記筒状部材1の内径側から抜き取る際の摩擦抵抗力を小さくできる為、この筒状部材1の設置作業の容易化も図れる。
【0014】
尚、前述の図10〜11に示す様に、上記各拡径保持材7、7を上記各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に押し込む際に、これら各拡径保持材7、7の外周面と筒状部材1の内周面との接触部に働く摩擦抵抗力が大きく、押し込み力が過大となる場合には、図13〜16に示す様に、1乃至複数本のガイドロッド12、12を使用して、この押し込み力を低減させる事ができる。即ち、前述の図9に示す様に、上記筒状部材1の内径側に上記各拡径治具3、3の先端側部分を押し込んだ後、図13〜14に示す様に、これら各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に、この筒状部材1の両端開口からそれぞれ1乃至複数本(図示の例では4本)ずつのガイドロッド12、12を押し込む。これら各ロッド12、12は、図13(B)及び図14(B)に示す様に、円周方向に関してほぼ等間隔に配置する。尚、これら各ガイドロッド12、12の表面と上記筒状部材1の内周面及び上記各拡径治具3、3の外周面との接触面積は小さい、即ち、これら各接触部に働く摩擦力は小さい為、上記各ガイドロッド12、12の押し込み作業は比較的小さい力で行なえる。又、この様に上記各拡径治具3、3の外周面と上記筒状部材1の内周面との間に上記各ガイドロッド12、12を押し込んだ結果、図13(B)及び図14(B)に示す様に、これら各ガイドロッド12、12の円周方向両側部分に、それぞれ隙間が生じる。
【0015】
上述の様に複数のガイドロッド12、12を押し込んだならば、次いで、図15〜16に示す様に、上記各拡径治具3、3の外周面と上記各ガイドロッド12、12との間に、上記筒状部材1の両端開口からそれぞれ拡径保持材7、7を押し込む。この際、図16(B)に示す様に、上記各ガイドロッド12、12が存在する部分及びその円周方向両側部分で、上記各拡径保持材7、7の外周面と上記筒状部材1の内周面とが接触しない為、これら各拡径保持材7、7の外周面とこの筒状部材1の内周面との接触面積を小さくできる。又、上記各ガイドロッド12、12と上記各拡径保持材7、7とは、何れもゴム以外の滑り易い材料により造れるので、これら両部材12、7同士の接触部に働く摩擦係数は小さい。この結果、上記各拡径保持材7、7に関する各接触部に働く摩擦力を小さくでき、これら各拡径保持材7、7の押し込みに要する力を小さくできる。
【0016】
尚、上述した例では、上記筒状部材1の内径側に、上記1対の拡径治具3、3と上記1対の拡径保持材7、7とを順番に押し込んだが、これら各拡径治具3、3と各拡径保持材7、7とは、互いに同心に組み合わせた状態で上記筒状部材1の内径側に同時に押し込む事もできる。又、上述した先発明を実施する場合、1対の拡径治具3、3(及び1対の拡径保持材7、7)の外径を互いに異ならせれば、上記筒状部材1の拡径量を軸方向両側で互いに異ならせる事ができる。この様に筒状部材1の拡径量を軸方向両側で異ならせれば、この筒状部材1の内径側に設置する部材の径寸法がこの筒状部材1の軸方向両側で異なる場合(例えば、この筒状部材1の内径側に異径ケーブル同士の直線接続部を設置する場合)でも、この筒状部材1の設置作業を効率良く行なえる。又、上記各拡径治具3、3及び上記各拡径保持材7、7及び前記各押圧板6、6は、それぞれ複数の部分円筒状若しくは部分円輪状の素子同士を互いに分離可能に組み合わせて構成する事により、組み付けの容易化を図る事もできる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先発明の場合には、拡径寸法の異なる筒状部材1毎に、外径寸法の異なる拡径治具3、3及び拡径保持材7、7を備えた拡径装置2を用意する必要がある。これに対し、上記筒状部材1の拡径保持作業をより効率良く行なう為には、この筒状部材1の拡径寸法に拘らず、1つの拡径装置で拡径保持作業を行なえる様にする事が望ましい。
本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置のうち、請求項1〜2に記載した弾性材製筒状部材の拡径保持方法は、弾性材により全体を円筒状に構成された筒状部材の内径を弾性的に広げると共に、この筒状部材の内径が弾性的に広がった状態を保持する方法である。
このうち、請求項1に記載した弾性材製筒状部材の拡径保持方法は、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の筒状素子同士を互いに同心に且つ軸方向の相対変位可能に組み合わせて成ると共に、これら複数の筒状素子の中から選択した何れかの筒状素子を最外層の筒状素子とする事によりその外径寸法を多段階に調節自在とした拡径治具を、1対用意する。そして、これら各拡径治具を構成する複数の筒状素子の中から拡径すべき上記筒状部材の内径寸法に見合った外径寸法を有する筒状素子を選択し、当該筒状素子を上記各拡径治具を構成する最外層の筒状素子とする。そして、この状態で、これら各拡径治具を上記筒状部材の内径側に、それぞれこの筒状部材の両端開口から押し込む事により、この筒状部材の内径を弾性的に広げる。その後、上記各拡径治具とも、上記最外層の筒状素子以外の筒状素子を上記筒状部材の内径側から抜き取って、これら各最外層の筒状素子により上記筒状部材の内径を弾性的に広げた状態を保持する。
【0019】
又、請求項2に記載した弾性材製筒状部材の拡径保持方法は、請求項1に記載した方法を実施した後、上記各最外層の筒状素子の内径側に、その外径寸法が筒状部材の自由状態での内径寸法よりも大きい拡径保持材を挿通する。次いで、上記各最外層の筒状素子を上記筒状部材の内径側から抜き取る事により、この筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌させる事で、この筒状部材の内径を弾性的に広げた状態を保持する。
【0020】
又、請求項3に記載した弾性材製筒状部材の拡径装置は、1対の拡径治具と、ガイド棒と、押圧手段とを備える。
このうちの1対の拡径治具はそれぞれ、弾性材により全体を円筒状に構成した筒状部材の自由状態での内径寸法よりも大きい外径寸法を有し、この筒状部材の内径側にそれぞれこの筒状部材の両端開口から押し込む事により、この筒状部材の内径を弾性的に広げる事が可能である。本発明の場合、この様な1対の拡径治具はそれぞれ、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の筒状素子同士を互いに同心に且つ軸方向の相対変位可能に組み合わせて成ると共に、これら複数の筒状素子の中から選択した何れかの筒状素子を最外層の筒状素子とする事によりその外径寸法を多段階に調節自在である。
又、上記ガイド棒は、上記各拡径治具及び筒状部材の中心孔に挿通自在である。
又、上記押圧手段は、上記各拡径治具の基端面を押圧自在である。
【0021】
【作用】
上述の様な本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置の場合、拡径すべき弾性材製筒状部材の拡径寸法(所望とする拡径後の内径寸法)に合わせて、1対の拡径治具を構成する最外層の筒状素子を選択する事により、当該弾性材製筒状部材の拡径保持作業を適切に行なえる。この様に本発明の場合には、拡径すべき弾性材製筒状部材の拡径寸法に拘らず、この弾性材製筒状部材の拡径保持作業を1つの拡径装置により適切に行なえる。この為、この拡径装置のコスト低減と、拡径保持作業の能率化とを図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜6は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の拡径装置2aの構造上の特徴は、1対の拡径治具3a、3aを多重管構造にした点にある。その他の基本構造に就いては、前述の図7〜12に示した先発明の拡径装置2とほぼ同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分並びに前述した先発明と異なる部分を中心に説明する。
【0023】
本例の場合、上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、上記先発明の拡径装置2に組み込む拡径治具3、3と同様の外形を有する。即ち、上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、全体を円筒状に構成すると共に、先端部外周面を、先端側に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜する円すい凸面8としている。特に、本例の場合、上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の円筒状素子10a〜10d同士を互いに同心に、且つ、軸方向の相対変位可能に組み合わせて成る。尚、この様に複数の円筒状素子10a〜10d同士を互いに組み合わせて上記各拡径治具3a、3aを構成した状態で、これら各拡径治具3a、3aの先端部外周面に上記円すい凸面8が形成される様に、上記各円筒状素子10a〜10dの先端部の形状を規制している。又、この様に構成する上記各拡径治具3a、3aはそれぞれ、上記複数の円筒状素子10a〜10dの中から選択した何れかの円筒状素子を最外層の円筒状素子とする事により、その外径寸法を多段階に調節自在である。
【0024】
上述の様な1対の拡径治具3a、3aを含んで構成する本例の拡径装置2aを使用して、弾性材製の筒状部材1の拡径保持作業を行なう場合には、先ず、上記各拡径治具3a、3aを構成する複数の円筒状素子10a〜10dの中から、上記筒状部材1の拡径寸法(所望とする拡径後の内径寸法)に見合った外形寸法を有する円筒状素子(本例では、円筒状素子10d)を選択する。そして、当該円筒状素子10dを、上記各拡径治具3a、3aの最外層の円筒状素子とする。
【0025】
そして、この様に構成した各拡径治具3a、3aを、図1に示す様に、これら各拡径治具3a、3aを互いの先端面同士を互いに向かい合わせた状態で、上記筒状部材1の軸方向両側に配置する。これと共に、これら筒状部材1及び拡径治具3a、3aの内径側に、ねじ杆であるガイド棒4を挿通する。そして、このガイド棒4の両端寄り部周囲に配置した円輪状の押圧板6、6の片側面を、それぞれ上記各拡径治具3a、3aの基端面に当接させると共に、上記ガイド棒4の両端寄り部に螺合させたナット5、5を、それぞれ上記各押圧板6、6の他側面に当接させる。
【0026】
次いで、前述した先発明の場合と同様にして、上記各ナット5、5を上記ガイド棒4の中央側に向け、互いに近付く様に軸方向移動させる事により、上記各拡径治具3a、3aの基端面を、上記各押圧板6、6を介して押圧する。これにより、これら各拡径治具3a、3aの先端部を上記筒状部材1の内径側に、この筒状部材1の両端開口から挿入する。そして、図2〜3に示す様に、上記各拡径治具3a、3aの先端部に設けた円すい凸面8、8により上記筒状部材1の内径を弾性的に広げながら、これら各拡径治具3a、3aの先半部をこの筒状部材1の内径側に押し込む。この押し込み作業は、上記図3に示す様に、上記各拡径治具3a、3aの先端面、即ち、最も内径側に位置する円筒状素子10a、10aの先端面同士が上記筒状部材1の中央部内径側部分で互いに当接するまで行なう。
【0027】
次いで、上記各拡径治具3a、3aを構成する最外層の円筒状素子10d、10dの基端面と上記各押圧板6、6の片側面との間に、それぞれこれら各円筒状素子10d、10dと径寸法が等しい円筒状の押込用スリーブ11、11を配置する(図4参照)。尚、この様な各押込用スリーブ11、11の配置作業は、これら各押込用スリーブ11、11を一体品とする場合には、上記ガイド棒4の両端部周囲から、一旦、上記各ナット5、5及び上記各押圧板6、6を取り外して行なう。これに対し、上記各押込用スリーブ11、11を複数の部分円筒状の素子(例えば、1対の半円筒状の素子)同士を互いに分離可能に組み合わせて構成する場合には、上記ガイド棒4の両端部周囲に上記各ナット5、5及び上記各押圧板6、6を取り付けたまま行なえる。
【0028】
何れにしても、上述の様に各押込用スリーブ11、11を上記各最外層の円筒状素子10d、10dの基端面と上記各押圧板6、6の片側面との間に配置したならば、上記各ナット5、5を上記ガイド棒4の中央部に向け、互いに近付く様に軸方向移動させる事により、上記各最外層の円筒状素子10d、10dの基端面を、上記各押込用スリーブ11、11を介して押圧する。これにより、図4に示す様に、上記各最外層の円筒状素子10d、10dを上記筒状部材1の奥に向け更に押し込み、これら両円筒状素子10d、10dの先端縁同士を、上記筒状素子1の中央部内径側部分で当接させる。
【0029】
そして、最後に、図5に示す様に、上記各最外層の円筒状素子10d、10dの内径側から、これら最外層の円筒状素子10d、10dの径方向内方に存在する各円筒状素子10a〜10cと上記ガイド棒4とを抜き取る。この状態で、上記各最外層の円筒状素子10d、10dにより、上記筒状部材1の拡径状態が保持される。この筒状部材1の設置作業を行なう際に、この筒状部材1の内径側から上記各最外層の円筒状素子10d、10dを抜き取る場合には、これら各最外層の円筒状素子10d、10dを軸方向反対側に引っ張る。
【0030】
尚、上述の様に、最外層の円筒状素子10d、10dを上記筒状部材1の拡径保持材として使用する代わりに、例えば図6に示す様な別構造の拡径保持材13(外形寸法が上記筒状部材1の自由状態での内径寸法よりも大きいもの)を使用する事もできる。この様な別構造の拡径保持材13を使用する場合には、図5に示した状態で、上記最外層の円筒状素子10d、10dの内径側に上記別構造の拡径保持材13を挿通する。そして、この状態で、上記各最外層の円筒状素子10d、10dを上記筒状部材1の内径側から抜き取る。この結果、この筒状部材1が自身の弾性により縮径し、この筒状部材1が上記別構造の拡径保持材13の外周面に弾性的に外嵌される。尚、図6に例示した別構造の拡径保持材13は、線材14をスパイラル状に巻回して成る、周知構造のものである。
【0031】
上述した様な本例の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置の場合、拡径すべき筒状部材1の拡径寸法に合わせて、1対の拡径治具3a、3aを構成する最外層の円筒状素子(10a〜10d、更には10dよりも外径側に設置する、図示しない円筒状素子)を選択する事により、当該筒状部材1の拡径保持作業を適切に行なえる。この様に本例の場合には、拡径すべき筒状部材1の拡径寸法の相違に拘らず、この筒状部材1の拡径保持作業を同一の拡径装置2aにより適切に行なえる。この為、この拡径装置2aのコスト低減と、拡径保持作業の能率化とを図れる。
【0032】
尚、上述した実施の形態の様に、上記筒状部材1の内径側に上記各拡径治具3a、3aをそれぞれ一度に(これら各拡径治具3a、3aを構成する総ての円筒状素子を一遍に)押し込む様にすると、例えば上記筒状部材1の自由状態での内径寸法と拡径後の内径寸法との差が大きい等の場合に、上記各拡径治具3a、3aに付与すべき押し込み力が過度に大きくなる場合がある。この様な場合、上記各拡径治具3a、3aを構成する複数の円筒状素子10a〜10dを、数段階に分けて(外径の小さい円筒状素子から順番に)上記筒状部材1の内径側に押し込む様にすれば、付与すべき押し込み力を低減する事ができる。尚、この様に複数の円筒状素子10a〜10dを数段階に分けて筒状部材1の内径側に押し込む場合、前述の図13〜16に示した様な複数のガイドロッド12、12を使用する押し込み方法を実施すれば、押し込み力の更なる低減を図れる。又、上記各円筒状素子10a〜10dの外周面に軸方向に亙る溝を、1乃至複数本形成すれば、これら各円筒状素子10a〜10dの外周面と上記筒状部材1の内周面との接触面積を減らす事ができ、この接触部に働く摩擦抵抗力を小さくできる。
【0033】
又、上述した様な拡径装置2aにより上記筒状部材1の拡径を行なう場合、上記1対の拡径治具3a、3aを構成する最外層の円筒状素子の外径寸法を互いに異ならせれば、上記筒状部材1の拡径量を軸方向両側で互いに異ならせる事ができる。この様に筒状部材1の拡径量を軸方向両側で異ならせれば、前述した先発明の場合と同様に、この筒状部材1の内径側に設置する部材の径寸法がこの筒状部材1の軸方向両側で異なる場合でも、この筒状部材1の設置作業を効率良く行なえる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の弾性材製筒状部材の拡径保持方法及び拡径装置は、以上に述べた様に構成され作用するので、サイズの異なる弾性材製筒状部材の拡径作業を同一の拡径装置により適切に行なえる。この為、この拡径装置のコストを低減できると共に、拡径作業の能率化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を、拡径保持作業の初期段階で示す部分切断側面図。
【図2】図1に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図3】図2に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図4】図3に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図5】拡径保持作業の終了状態を示す部分切断側面図。
【図6】拡径保持材の1例を示す断面図。
【図7】先発明の1例を、拡径保持作業の初期段階で示す部分切断側面図。
【図8】図7に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図9】図8に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図10】図9に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図11】図10に続く作業段階を示す部分切断側面図。
【図12】拡径保持作業の終了状態を示す部分切断側面図。
【図13】先発明の別例を、拡径保持作業の途中段階で示しており、(A)は部分切断側面図、(B)は(A)の側方から見た端面図。
【図14】図13に続く作業段階を示す、同図と同様の図。
【図15】図14に続く作業段階を示す、部分切断側面図。
【図16】図15に続く作業段階を示す、図13と同様の図。
【符号の説明】
1 筒状部材
2、2a 拡径装置
3、3a 拡径治具
4 ガイド棒
5 ナット
6 押圧板
7 拡径保持材
8 円すい凸面
9 傾斜面
10a〜10d 円筒状素子
11 押込用スリーブ
12 ガイドロッド
13 拡径保持材
14 線材
Claims (3)
- 弾性材により全体を円筒状に構成された筒状部材の内径を弾性的に広げると共に、この筒状部材の内径が弾性的に広がった状態を保持する、弾性材製筒状部材の拡径保持方法であって、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の筒状素子同士を互いに同心に且つ軸方向の相対変位可能に組み合わせて成ると共に、これら複数の筒状素子の中から選択した何れかの筒状素子を最外層の筒状素子とする事によりその外径寸法を多段階に調節自在とした拡径治具を1対用意し、これら各拡径治具を構成する複数の筒状素子の中から拡径すべき上記筒状部材の内径寸法に見合った外径寸法を有する筒状素子を選択し、当該筒状素子を上記各拡径治具を構成する最外層の筒状素子とした状態で、これら各拡径治具を上記筒状部材の内径側にそれぞれこの筒状部材の両端開口から押し込む事によりこの筒状部材の内径を弾性的に広げた後、上記各拡径治具とも、上記最外層の筒状素子以外の筒状素子を上記筒状部材の内径側から抜き取って、これら各最外層の筒状素子により上記筒状部材の内径を弾性的に広げた状態を保持する、弾性材製筒状部材の拡径保持方法。
- 請求項1の方法を実施した後、各最外層の筒状素子の内径側に、その外径寸法が筒状部材の自由状態での内径寸法よりも大きい拡径保持材を挿通し、次いで、上記各最外層の筒状素子を上記筒状部材の内径側から抜き取る事により、この筒状部材を上記拡径保持材に弾性的に外嵌させる事で、この筒状部材の内径を弾性的に広げた状態を保持する、弾性材製筒状部材の拡径保持方法。
- それぞれが、弾性材により全体を円筒状に構成した筒状部材の自由状態での内径寸法よりも大きい外径寸法を有し、この筒状部材の内径側にそれぞれこの筒状部材の両端開口から押し込む事によりこの筒状部材の内径を弾性的に広げる事が可能な1対の拡径治具と、これら各拡径治具及び筒状部材の中心孔に挿通自在なガイド棒と、上記各拡径治具の基端面を押圧自在な押圧手段とを備え、上記各拡径治具は、それぞれの径寸法が互いに異なる複数の筒状素子同士を互いに同心に且つ軸方向の相対変位可能に組み合わせて成ると共に、これら複数の筒状素子の中から選択した何れかの筒状素子を最外層の筒状素子とする事によりその外径寸法を多段階に調節自在である、弾性材製筒状部材の拡径装置。
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