JP3810741B2 - 修飾c反応性タンパク質を使用する癌細胞検出用組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は修飾C反応性タンパク質(“mCRP”)による癌の治療方法に関する。また、本発明は哺乳類中の癌細胞を同定するための像形成剤(imaging agent)としてのmCRPの使用に関する。
【発明が解決しようとする課題】
発明の背景
米国では毎年約400,000人の死亡が癌に原因すると推定されていた。癌細胞の増殖及び転移の単一の決定基がないことは明らかである。むしろ、癌細胞が増殖し、転移する傾向は、多数の細胞特性の合計であり、また個々の癌細胞は同じ結果を得るのに異なる機構を使用し得る[ワイス(Weiss)著、Clinical and Experimenta1 Metastasis,7:127-167(1989)]。
手術、化学療法、及び放射線療法の如き治療戦略が近年改良してきたが[例えば、クラコフ(Krakoff)著、CA-A Cancer Journal for Clinicians, 41:264-278(1991)]、かなりの数の癌が治療に耐性であり、最終的には患者の死亡を生じる。こうして、癌療法の新規かつ有益な手段を発見する必要が現れる。
1.CRP の構造及び活性
C反応性タンパク質は、チレット(Tillett)及びフランシス(Fransis)[J.Exp.Med.,52:561-71(1930)]により最初に記載され、彼らは急性の病気の患者からの血清がストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumonia)の細胞壁のC多糖で沈殿することを観察した。続いて、その他の研究者が反応性血清因子をタンパク質、ひいては名称“C反応性タンパク質”即ち“CRP”として同定した。キルパトリック(Kilpatrick)ら著、Immunol.Res.,10:43-53(1991)はCRPの最近の総説を示す。
【0002】
CRPは、5つの同一のサブユニットからなる五量体分子である[オズマンド(0smand)ら著、Proc.Natl.Acad.Sciences,U.S.A.,74:739-743(1977)。CRPのこの五量体形態はしばしば“天然CRP”と称される。
ヒトCRPの遺伝子配列がクローン化された[レイ(Lei)ら著、J.Biol.Chem., 260:13377-13383(1985)]。加えて、ウサギCRPの一次配列[ワング(Wang)ら著、J.Biol.Chem., 257:13610-13615(1982)]及びマウスCRPの一次配列が報告されており[ホワイトヘッド(Whitehead)ら著、Biochem.J.,266:283-290(1990)]、ラット、犬、ウマ、ヤギ、及びヒツジにつき研究中である。臨床上の観察及び実験室の観察は、血液の良く特定された変化により古典的に定義された急性期応答[ペピイズ(Pepys)ら著、Advances in Immunology, 34:141-212(1983)]が、悪性腫瘍形成、虚血性壊死、並びにバクテリア、ウイルス、もしくは菌類寄生虫の感染症を含む疾患及び障害の種々の状態中に発生することを測定した。CRPの如き血清急性期反応体の測定が、全身性エリテマトーデス(SLE)[ブラボー(Bravo)ら著、J.Rheumatology,8:291-294(1981)]、慢性関節リウマチ[ディクソン(Dixon)ら著、Scand.J.Rheumatology,13:39-44(1984)]、対宿主性移植片病[ウォーカー(Walker)ら著、J.Clin.Path., 37:1022-1026(1984)]を含む種々の症状だけでなく、多くのその他の疾患を有する患者の診断及び臨床上の管理のための臨床試験に使用されていた。
腫瘍細胞に対する試験管内のCRPの活性が研究されていた。例えば、ホルヌング(Hornung)は、リンパ球とともに添加されたCRPが培養の72時間後にヒトメラノーマ細胞の増殖を抑制したことを開示している[ホルヌング著、Proc.Soc.Exp.Biol.Med., 139:1166-1169(1972)]。また、ホルヌングは、CRPが細胞培養中にリンパ球に毒性であったことを開示している。
バーナ(Barna)ら著、Cancer Research, 44:305-310(1984)は、マウスマクロファージ活性化に関するヒトCRPを含む多ラメラ小胞の効果に関する試験管内の研究を記載している。バーナらは、マウスマクロファージがCRPを含む多ラメラ小胞を食作用し、そして小胞への露出後に、スーパーオキサイドアニオンの増進された産生を示し、同系マウスT241繊維肉腫、同系マウスB-16メラノーマ細胞、及び同種異系マウスサルコーマ-1細胞に対し抗腫瘍活性を増大したことを報告している。また、抗腫瘍活性はウィン(Winn)中和アッセイを使用して生体内で発生された[また、バーナら著、FASEB J.,2274a(1983)を参照のこと]。また、バ−ナらは、封入されていないCRPが試験管内でマクロファージスーパーオキサイドアニオン活性を高めたが、多ラメラの封入された投薬の10〜100倍大きい濃度でのみその活性を高めたことを報告している。ガウタム(Gautam)ら著、J.Biol.Res.Modifiers,8:560-569(1989)は、ヒトCRPを含む多ラメラ小胞の抗転移作用がマクロファージに加えてT細胞マーカー及び/またはNK細胞マーカーを有する細胞を伴い得ることを教示している。
【0003】
ザヘジ(Zahedi)ら著、Cancer Research, 46:5077-5083(1986)は、精製されたヒトCRPが試験管内で殺腫瘍性状態へのマクロファージの活性化を媒介できることを開示している。著者らは、誘発されたマクロファージが30分〜2時間にわたってヒトCRPに露出された場合に、殺腫瘍活性がマウスP815肥満細胞腫細胞系、マウスL-929繊維芽細胞癌腫細胞系、及びヒトCAK-1癌腫細胞系に対し誘発されたことを教示している。また、ザヘジらは、CRPが殺腫瘍活性を測定する前に85℃で1時間熱凝集された場合に、CRPが熱凝集されなかったCRPよりもかなり小さい死滅活性を有していたことを教示している。ザヘジらは、リンホカインと組み合わされた場合に、相乗効果がCRPにより示されなかったことを開示している。
バーナら著、J.Biol.Resp.Mod.,7:483-487(1988)は、試験管内の精製されたヒトCRPへのヒト肺胞マクロファージの露出がヒトSK-MEL-28メラノーマ細胞及びヒトCRL 1718星状細胞腫細胞に対するマクロファージ細胞毒性を高めたことを開示している。また、バーナらは、CRPに対するマクロファージ応答性が喫煙により悪影響され得ることを教示している。
トマセン(Thomassen)ら著、FASEB J.,6:1151a(1992)は、CRPから誘導された合成ペプチドによるヒト単球及びヒト肺胞マクロファージの殺腫瘍活性の試験管内の変調を開示している。トマセンらは、合成ペプチドで処理された単球が腫瘍壊死因子(TNF)及びIL-1分泌の2倍以上の増進を示し、一方、肺胞マクロファージがTNFまたはIL-1の増進された分泌を示さなかったことを報告している。
【0004】
バーナら著、Cancer Research, 47:3959-3963(1987)は、試験管内のヒトCRPの急性期の量へのヒト末梢血単球の露出が高められたスーパーオキサイドアニオン産生及びヒト星状細胞腫細胞に対する細胞毒性を生じたことを開示している。また、バーナらは、CRP誘発細胞毒性がホスホリルコリンにより抑制されたことを開示している。著者らは、CRP活性化がヒト血清の成分へのCRP結合と関連し得ることを示唆している。
腫瘍増殖に関するCRPの効果に関する幾つかの生体内の研究が行われていた。例えば、リズク(Rizk)ら著、Cancer,58:55-61(1986)は、ウサギにおけるV x2癌腫細胞系に関するウサギCRP及びポリカチオン、ポリ−L−アルギニン(PLA)の効果を記載している。リズクらは、CRPがPLAの不在下で生体内で抗腫瘍効果を有していなかったことを教示している。
オコナー(O'Connor)らの米国特許第4,857,314号は、精製されたヒトC反応性タンパク質と組み合わせて腫瘍壊死因子(TNF)を投与してTNFの殺腫瘍活性を高めることによる動物またはヒトにおけるMeth A肉腫の治療方法を開示している。オコナーらは、単独で投与されたヒトCRPがわずかに最小または若干の抗腫瘍活性を有していたことを教示している。
デオダー(Deodhar)ら著、Cancer Research, 42:5084-5088(1982)は、マウス繊維肉腫T241の肺転移に対する生体内のヒトCRPを含む多ラメラ小胞の活性を記載している。デオダーらは、T241原発性腫瘍が切除された後のCRPを含む多ラメラ小胞の静脈内注射で治療された動物が更に少なくかつ小さい肺転移を有していたことを報告している。また、デオダーらは、多ラメラ小胞中のCRPの封入が抗転移効果を大いに高めたことを報告している。何となれば、多ラメラ小胞で与えられるよりも40倍多い投薬量で投与された遊離(封入されていない)CRPは匹敵する効果を示さなかったからである[同文献、また、デオダーら著、Cleveland Clinic Quarterly, 53:223-234(1986)を参照のこと]。
【0005】
トムバー(Thombre)ら著、Cancer lmmunol. Immunother., 16:145-150(1984)は、マウス結腸腺癌(MCA-38)に対するヒトCRPを含む多ラメラ小胞の抗転移活性を記載している。トムバーらは、原発性腫瘍の増殖後に非経口投与されたCRPを含む多ラメラ小胞で治療された動物が対照動物と較べて少ない肝臓転移及び長い生存を示したことを報告している(同文献)。
また、デオダーらは、CRPから誘導された合成ペプチドを含む多ラメラ小胞の抗腫瘍効果を記載している[デオダーら著、Proc.Am.Assoc.Cancer Research, 32:404(1991)]。しかしながら、デオダーらは、匹敵する投薬量の封入されていない合成ペプチドの投与が有効ではなかったことを報告している[同文献]。バーナら著、Proc.Am.Assoc.Cancer Research, 32:237(1991)は、T241肺転移モデルで実証された抗腫瘍活性が血液から肺へのMAC 1+細胞の増進された浸潤の結果として生じ得ることを示唆している。
デオダーら著、FASEB J., 3:831a(1989)は、マウス繊維肉腫T241の肺転移に対するIL-2と組み合わせた精製されたヒトCRPまたはペプチドフラグメントの活性を更に記載している。デオダーらは、1×104UのIL-2とCRPまたはペプチドフラグメントの組み合わせの投与が5×104UのIL-2の投与よりも有効であったことを報告している。バーナらは、CRPペプチドフラグメントとIL-2の組み合わせがヒト単球活性を増強するが、ナチュラルキラー(NK)活性を増強しないことを示唆する試験管内の細胞溶解データを開示している[FASEB J., 6:1433a(1992)]。
【0006】
2. 修飾 CRP の構造及び活性
ほぼ1983年に、CRPの別の形態(これは“修飾C反応性タンパク質”または“mCRP”と称される)が発見された。mCRPは天然CRPと比較してかなり異なる電荷、サイズ、溶解性及び抗原性特性を有する[ポテンパ(Potempa)ら著、Mol.Immunol., 20:1165-75(1983)]。また、mCRPはその結合特性の点で天然CRPと異なる。例えば、mCRPはホスホリルコリンを結合しない[同文献;チュドウィン(Chudwin)ら著、J.Allergy Clin. Immunol., 77:216a(1986)]。
mCRPの明瞭な抗原性は“ネオCRP”と称された。ネオCRP抗原性は、
1)或る条件下で酸、尿素または熱で処理されたCRP;
2)ヒト及びウサギのCRPをコードするDNAの一次翻訳産物;及び
3)プラスチック表面で固定化されたCRP
で発現されることが知られている[ポテンパら著、Mol.Immunol., 20:1165-75(1983); マントゾラニス(Mantzouranis)ら著、Ped.Res., 18:260a(1984); サモルズ(Samols)ら著、Biochem.J., 227:759-65(1985); ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)]。ネオCRPに特異的なポリクローナル抗体と反応性の分子が末梢血リンパ球(主としてNK細胞及びB細胞)の10〜25%、単球の80%、及び好中球の60%の表面だけでなく、組織損傷の部位で同定された[ポテンパら著、FASEB J., 2:731a(1988); ブライ(Bray)ら著、Clin.Immunol.Newsletter, 8:137-140(1987); リース(Rees)ら著、Fed.Proc., 45:263a(1986)]。更に、mCRPはその生物活性の点で天然CRPと異なる。mCRPは、単球細胞毒性の発生に影響でき、単球のアクセサリー細胞機能を改良でき、凝集IgG誘発食細胞酸化的代謝を強化でき、かつ単球によるインターロイキン-1、プロスタグランジンE及びリポキシゲナーゼ生産物の産生を増大できることが報告されていた[ポテンパら著、Protides Biol.Fluids, 34:287-290(1987); ポテンパら著、Inflamation, 12:391-405(1988); チュー(Chu)ら著、Proc.Amer.Acad.Cancer Res., 28:344a(1987); ポテンパら著、Proc.Amer.Acad.Cancer Res., 28:344a(1987); ゼラー(Zellar)ら著、Fed.Proc., 46:1033a(1987); チューら著、Proc.Amer.Acad.Cancer Res., 29:371a(1988)]。
mCRPを用いた生体内実験が行われて、mCRPがストレプトコッカル・ニューモニアの致死投与量に対し保護効果を与えることができるかどうかを測定した[チュードウィンら著、J.Allergy Clin. Immunol., 77:216a(1986)]。これらの研究は、mCRPの静脈内投与が致死性ストレプトコッカル・ニューモニアから動物を保護するだけでなく、mCRP効力が天然CRPよりも3〜4倍大きいことを実証した。
【0007】
また、mCRPは、1990年10月3日に出願された共同未決米国特許出願第07/582,884号に開示されているように、免疫複合体を結合するのに使用し得る。この出願はPCT出願の国際出願US89/01247号(1989年10月19日にWO 89/09628 号として公開された)として出願され、1988年4月4日に出願され、現在放棄されている米国特許出願第07/176,923号の一部継続出願である。更に、mCRPは、1991年11月27日に出願された共同未決米国特許出願第07/799,448号に開示されているように、ヒト免疫不全ウイルス1(“HIV-1”)の如きウイルス感染症を治療するのに有益である。最後に、mCRPは、1991年11月27日に出願された共同未決米国特許出願第07/800,508号に開示されているように、非ストレプトコッカスのバクテリア感染症及び内毒素セプシスを治療するのに使用し得る。
試験管内の研究において、mCRPは、抗殺腫瘍性単球を誘発するのに使用された物質に応じて単球中の殺腫瘍機能の発生を抑制または増進することがわかった[チュウーら著、Proc.Am.Acad.Cancer Res., 29:371a(1988); チュウーら著、Proc.Am.Acad.Cancer Res., 30:333a(1989)]。本件出願人の知るところによれば、生体内のmCRPの抗癌活性に関する論文はなかった。更に、本件出願人は、mCRPが哺乳類の癌を治療するのに使用されるという論文を知らない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明の要約
本発明は、医薬上許される担体中の有効量の修飾CRPを哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の癌の治療方法を提供する。
また、本発明は、有効量の修飾CRPを集合的に含む複数のリポソームを哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の癌の治療方法を提供する。
また、本発明は、別の薬剤と組み合わせて修飾CRPを哺乳類に投与し、その組み合わせが癌に対し有効であるように充分な量で両者を投与することを特徴とする哺乳類の癌の治療方法を提供する。
更に、本発明は、修飾CRPを含む像形成剤を使用して哺乳類の癌細胞を同定する方法を提供する。そうするために、標識された修飾CRPが投与され、哺乳類中で検出し得る。また、修飾CRPを結合する標識成分が投与され、哺乳類中で検出し得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
現在好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、修飾C反応性タンパク質(“mCRP”)を使用する癌の治療方法を提供する。本発明の実施に有益なmCRPは、あらゆる種からのものであってもよい。異なる種からのC反応性タンパク質(“CRP”)のアミノ酸配列の間にかなりの相同性がある。例えば、種々の哺乳類種からのCRPの間に約50%〜約80%の配列相同性がある[ヒュー(Hu)ら著、Biochem., 25:7834-39(1986); ホワイトヘッドら著、Biochem.J., 266:283-90(1990); キルパトリックら著、Immunol.Res., 10:43-53(1991)]。それ故、あらゆる種からのmCRPが癌を治療するのに有効であろうと予想される。こうして、癌を有する哺乳類が異種からのmCRPで治療し得る(例えば、マウスがヒトmCRPで治療し得る)。また、好ましくは、哺乳類がmCRPに対する免疫反応を避けるために同種mCRPで治療される(例えば、ヒトがヒトmCRPで治療される)。
mCRPは、出発物質として天然CRPを使用してつくられることが好ましい。天然源からのCRPの単離方法が当業界で知られており、例えば、ボラナキス(volanakis)ら著、J.Immuno1., 113:9-17(1978); デ・ビール(de Beer)ら著、J.Immunol.Meth., 50:17-31(1982); ポテンパら著、Mol.Immuno1., 24:531-541(1987)に記載されている。CRPはホスホリルコリン置換バイオゲル(Biogel)A 0.5m(カリフォルニア州、リッチモンドにあるバイオラド・ラボラトリィズ(BioRad Laboratories)から得られたアガロース系樹脂)を使用するカルシウム依存性アフィニティークロマトグラフィー[ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)を参照のこと]により胸膜液または腹水から単離されることが好ましい。このCRP単離方法が下記の実施例1に更に記載される。この単離方法を使用して、約99%の純度であるCRPを得ることができる。
【0010】
ヒト、マウス、及びウサギのCRPをコードするゲノムクローン及びcDNAクローンが単離されていた[レイ(Lei)ら著、J.Biol.Chem., 260:13377-83(1985); ウォー(Woo)ら著、J.Biol.Chem., 260:13384-88(1985); ヒューら著、Biochem., 25:7834-39(1986); ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988); ホワイトヘッドら著、Biochem.J. 266:283-90(1990)]。異種からのCRPの間の実質的な相同性を仮定すると、別の種からのCRPをコードするゲノムクローン及びcDNAクローンが単離し得るようにプローブを容易に調製し得る。このようなプローブを調製し、ゲノムクローン及びcDNAクローンを単離する方法が当業界で公知である。例えば、レイら著、J.Biol.Chem., 260:13377-83(1985); ウォーら著、J.Biol.Chem., 260:13384-88(1985); ヒューら著、Biochem., 25:7834-39(1986);ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988); ホワイトヘッドら著、Biochem.J. 266:283-90(1990)を参照のこと。既知のクローンの一種または新たに単離されたクローンを使用して、通常の公知の組換えDNA技術並びに細胞培養条件及び醗酵条件を使用してCRPを調製することができる。例えば、ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988)を参照のこと。しかしながら、五量体の天然CRPを得るために、真核生物宿主細胞、好ましくは哺乳類宿主細胞が使用されるべきである。サモルズら著、Protides Biol.Fluids, 34:263-66(1986); ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988)を参照のこと。
また、CRPからmCRPをつくる方法が当業界で知られている[例えば、ポテンパら著、Mol.Immunol., 20:1165-1175(1983)を参照のこと]。例えば、mCRPはCRPを変性することにより調製し得る。CRPは通常のキレート剤(好ましくはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)またはクエン酸)の存在下で有効量の尿素(好ましくは8M)による処理により変性し得る。更に、CRPは、そのタンパク質のpHを約3以下または約11〜12以上に調節することにより処理されてmCRPを生成し得る。最後に、mCRPはカルシウムの不在下または上記の如きキレート剤の存在下で変性を生じるのに充分な時間にわたって50℃以上(好ましくは63℃で2分間)にCRPを加熱することにより生成し得る。
【0011】
また、mCRPは組換えDNA技術を使用して調製し得る。CRP遺伝子の一次翻訳産物(preCRP)が、ネオCRP抗原性を発現することがわかった[マントゾウラニスら著、Ped.Res., 18:260a(1984)]。それ故、mCRPは、CRPサブユニットが宿主細胞中で五量体の天然CRPに集合されないように条件を選択することにより調製し得る。これは、原核生物宿主中で所望のゲノムクローンまたはcDNAクローンを発現することにより行い得る。サモルズら著、Prot. Biol.Fluids, 34:263-66(1986)を参照のこと。このようにして生成されたmCRPは、CRPサブユニット及び/またはpreCRPそしておそらくその他のCRPペプチドの集合体からなることが明らかである。同文献を参照のこと。mCRPのこの形態は不溶性であり、更に精製に問題がある。しかしながら、この不溶性物質を更に処理しないで懸濁液として哺乳類に注射することは可能であるべきである。何となれば、血清精製mCRPの凝集形態は、下記の実施例4に更に記載されるように、有効であることが示されたからである。
mCRPは、幾つかの基準により天然CRPから区別し得る。背景部分で注目されたように、修飾CRPはネオCRP抗原性を発現し、一方、天然CRPは発現しない。ネオCRP抗原性は、ネオCRPに特異的なポリクローナル抗血清を使用して検出し得る[ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)を参照のこと]。しかしながら、mCRPは、共同未決米国特許出願第07/374,166号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されたようなモノクローナル抗体を使用して天然CRPから区別される。その共同未決米国特許出願に開示されたモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマが、メリーランド、ロックビルにあるアミリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に寄託され、HB10175(mAb 15.2C10)、HB10176(mAb 26.8C10)、HB10177(mAb 13.3H12)、及びHB10178(mAb 15.1D6)として登録されている。また、これらのモノクローナル抗体がイング(Ying)ら著、J.Immunol., 143:221-28(1989)に記載されている。その抗血清及び抗体が、例えば、ELISAアッセイ、好ましくは下記の実施例1、パートCに記載されたDot-ELIFAアッセイに使用されてmCRPを天然CRPから区別し得る。
【0012】
mCRPを天然CRPから区別する別の基準は、共同未決米国特許出願第07/582,884号及び公開されたPCT出願WO 89/09628 号に記載されているように、mCRPが免疫複合体及び凝集免疫グロブリンを結合し、一方、天然CRPがそれらを結合しないことである。加えて、mCRPは、背景部分に記載されているように電荷、溶解性、結合特性及び生物活性に基いて天然CRPから区別し得る。しかしながら、製剤がmCRPを含むことを示すためには、その製剤が1)mCRPのみに見られるエピトープに特異的な抗体と積極的に反応し、または2)凝集免疫グロブリン(例えば、凝集IgG)を結合することを確かめることが通常充分である。
特別な理論により束縛されることを願わないが、mCRPは5つのCRPサブユニットの解離により生成され、これらの夫々が、その後、自然な配座変化を受けてmCRPを生成すると考えられる。ブライら著、Clin.Imunol.Newsletter, 8:137-140(1987)を参照のこと。それ故、CRPサブユニットのフラグメントがmCRPにつき本明細書に記載されたのと同じ活性を有し得ることは可能であり、このようなフラグメントの使用は本発明の範囲内に入ると考えられる。
また、CRPと実質的に相同のタンパク質はmCRPにつき本明細書に記載された活性を有するであろうと考えられ、このようなタンパク質がまた本発明の範囲内に入ると考えられる。例えば、CRP遺伝子の部位誘導突然変異誘発により付加、欠失または置換された或る種のアミノ酸を有するCRPサブユニットが、おそらく、癌の治療に有効であり、mCRPを置換し得るであろう。特に、mCRPは、本明細書中でCRP遺伝子の一次翻訳産物を含むものと定義される。
哺乳類の癌の第一の治療方法によれば、有効量のmCRPが哺乳類に投与される。本発明における“癌”という用語は広い意味で使用され、通常、調節されない細胞増殖を特徴とする哺乳類の生理学的症状を表す。mCRPは種々の癌(腺癌、リンパ腫、繊維肉腫、及び白血病を含むが、これらに限定されない)を治療するのに使用し得ることが意図されている。哺乳類中の癌細胞の存在が最初に検出される時、または癌があまりにひどくなる前に、mCRPが哺乳類に投与し得る。また、mCRPは、癌細胞の転移を低下し、転移性腫瘍を減少し、または原発性腫瘍の苦しみを軽減するように癌の進行後に投与し得る。
【0013】
mCRPは、医薬上許される担体中で哺乳類に投与し得る。医薬上許される担体は当業者に公知である。例えば、mCRPを投与するのに適した担体として、液体、例えば、水、塩類液、及び緩衝液が挙げられる。トリス(Tris)または食塩加リン酸緩衝液が担体として使用されることが更に好ましい。或る種の担体が、例えば、投与の経路及び投与されるタンパク質の濃度に応じて更に好ましいことは、当業者に明らかであろう。
また、有効量のmCRPを集合的に含む複数のリポソームが哺乳類に投与し得る。本発明における“リポソーム”という用語は、mCRPを封入できる包状または中空の小胞状の構造に関するものであり、多ラメラ小胞、単一ラメラ小胞、及び赤血球細胞形骸が挙げられるが、これらに限定されない。リポソームを調製し、分子をリポソーム中に封入する方法は当業界で公知である。
mCRPを含むリポソームは、本明細書中で“ルベット”と称される押出により形成された単一ラメラ小胞であることが好ましい。ルベットの調製方法が、マクドナルド(MacDonald)ら著、Biochim.Biophys.Acta, 1061:297-301(1991)に記載されており、更に下記の実施例1、パートCに記載される。ルベットはmCRPを封入するのに特に有益であると考えられる。何となれば、小胞が、タンパク質構造に化学的または物理的に殆ど影響しない押出方法を伴う物理的に温和な条件下で形成されるからである。また、ルベットはmCRPを投与するのに特に有益であると考えられる。何となれば、ルベットはリポソームを調製するのに普通使用される有機溶媒及び洗剤の痕跡量を含まないからである。また、ルベットは単一の脂質二層により形成され、比較的大きい内容積を含み、また典型的には多ラメラ小胞と比較して大きな封入効率を有する。mCRPを含むリポソームが機能する一つ以上の機構は充分に理解されていないが、リポソームは癌細胞へのmCRPの有効な送出のためのビヒクルとして作用し得ると考えられる。
【0014】
mCRPは注射(例えば、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射)により哺乳類に投与されることが好ましい。mCRPを投与するのに有効な投薬量及びスケジュールは実験により決められてもよく、このような決定をすることは当業者の技量内にある。本件出願人は、哺乳類の体重1kg当たり約0.10mg〜約20mg、好ましくは1kg当たり約2mg〜約10mgのmCRP(mCRPが医薬上許される担体中で投与され、またはリポソーム中に含まれるかを問わない)が癌を治療するのに有効であることを見出した。投与される必要があるmCRPの投薬量は、例えば、mCRPを受け取る哺乳類、癌の種類、癌細胞の増殖または転移の程度、一つ以上の腫瘍の生物学的部位または生体区画、投与の経路、及び哺乳類に投与されるその他の薬剤または治療、例えば、放射線治療または手術治療の同一性に応じて変化するでろうことは、当業者により理解される。また、1回より多いmCRPの投与を施すことが必要であり得ることが理解される。一般に、多回数のmCRPの投与が哺乳類に与えられる必要がある。投与の間隔は約1日〜約3日であることが好ましい。mCRPの投与は、健康が哺乳類につき回復されるまで続けられるべきである。
哺乳類の癌の別の治療方法によれば、有効量のmCRPが別の薬剤と組み合わせて哺乳類に投与される。mCRPは、上記のように、医薬上許される担体またはリポソーム中で哺乳類に投与し得る。mCRPと組み合わせて投与される薬剤は、天然産または合成の物質であってもよく、抗癌活性を有することが好ましい。
その方法の一実施態様において、薬剤は細胞毒性薬剤である。細胞毒性薬剤は当業界で知られている化学療法の化合物であることが好ましい。本発明により意図されている化学療法の化合物として、チオテパ、ブスルファン、シクロホスファミド、メトトレキセート、シタラビン、ブレオマイシン、シスプラチン、ドキソルビシン、メルファラン、メルカプトプリン、ビンブラスチン、及び5-フルオロウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。その他の化学療法の化合物が、本明細書に参考として含まれるクラコフ(Krakoff)著、CA-A Cancer Journa1 For Clinicians, 41:264-278(1991)に列記されている。典型的には、細胞毒性薬剤は細胞を破壊し、かつ/またはそれらの増殖を妨げるように機能し、こうして癌を治療するのに有益である。充分には理解されていないが、mCRPはこのような化学療法の化合物と関連する毒性副作用または宿主防御を刺激することによりこのような化学療法の化合物から生じる毒性副作用に対し保護し得ると考えられる。
【0015】
その方法の別の実施態様において、薬剤は免疫アジュバントまたはサイトカインである。“生物応答変更因子”とも称される免疫アジュバント及びサイトカインは、当業界で知られている。一般に、このような分子は宿主防御機構を刺激または増進するのに有益であり、それ故、抗癌治療に有益である。投与し得る免疫アジュバントまたはサイトカインの例として、一種以上のインターフェロン、コロニー刺激因子(CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、ステロイドの如きホルモン、並びにインターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、及びIL-6が挙げられる。
薬剤は、医薬上許される担体、例えば、水、塩類液、または緩衝液中で投与されることが好ましい。薬剤は哺乳類に経口投与されてもよく、また注射(例えば、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射)により投与されてもよい。許される担体及び薬剤を投与する適当な手段を決めることは、当業者の技量内にある。mCRP及び薬剤は同じ手段または異なる手段により投与し得る。例えば、mCRPは静脈内注射により哺乳類に投与されてもよく、一方、薬剤は哺乳類に経口投与される。
mCRPを投与するのに有効な投薬量及びスケジュールは上記されている。薬剤をmCRPと組み合わせて投与するのに有効な投薬量及びスケジュールは実験により決められてもよく、このような決定をすることは当業者の技量内にある。薬剤及びmCRPを投与する前に、有害な作用を避けるように一種以上の薬剤の毒性レベルを測定することが好ましい。投与される薬剤に応じて、薬剤及びmCRPは累積的活性または相乗活性を有し得る。例えば、mCRPの投与は、投与される薬剤の有効投薬量を減少し得る。投与される薬剤の投薬量は、例えば、治療される哺乳類、癌の種類、癌の全身の位置、哺乳類に投与されるmCRPの量に応じて変化することは、当業者により理解されるであろう。一般に、薬剤の多重投薬量がmCRPと組み合わせて投与される必要がある。また、薬剤はmCRP投与と異なる時間間隔で投与されることが好ましい。薬剤はmCRPを投与する約4時間〜約8時間前または後に投与されることが好ましい。薬剤及びmCRPの投与は、健康が哺乳類につき回復されるまで続けられるべきである。
【0016】
また、本発明は、mCRPを像形成剤として使用して哺乳類の癌細胞を同定する方法に関する。癌細胞を同定するために、mCRPが注射(例えば、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射)により哺乳類に投与される。次いで、mCRPが、下記の実施例2及び3に更に記載されるように、癌細胞部位に局在化し、癌細胞に結合する。
一実施態様において、標識mCRPが哺乳類に投与し得る。その方法に有益な標識は当業界で公知であり、酵素、蛍光体、放射性同位元素、及びビオチン−アビジンが挙げられるが、これらに限定されない。次いで、標識が、当業界で知られている技術により容易に検出し得る。
また、mCRPに結合する標識成分が哺乳類に投与し得る。例えば、mCRPエピトープに特異的な反応性を有する酵素標識抗体またはフルオレセイン標識抗体が哺乳類に投与されて、mCRPが結合した癌細胞の存在及び位置を同定し、検出し得る。
【0017】
【実施例】
実施例1:EMT6 胸部腺癌に対する mCRP の抗腫瘍活性
生体内実験を行って、mCRPがマウス胸部腺癌であるEMT6に対する抗腫瘍活性を示すか否かを測定した。mCRPの活性を、原発性腫瘍増殖及び転移を調べることにより評価した。
A.CRP の調製及び精製
ヒト腹水を、イリノイ州、シカゴにあるノースウエスタン・メモリアル病院(Northwestern Memorial Hospital)の病因学部の細胞学部門、反びイリノイ州、エバンストンにあるエバンストン病院(Evanston Hospital)から入手した。滅菌技術を使用して、これらの液体をフィルター・フラッフ(fluff)により濾過し、次いでCaCl2を2〜5mMの最終濃度まで添加した。その液体−CaCl2混合物を4℃で貯蔵した。
夫々の液体をサンプリングし、クロウル(Crowle)著、Immunodiffusion, アカデミック・プレス(Academic Press), ニューヨーク, 3章(1973)により記載された方法の改良に従ってCRPにつき放射状免疫拡散アッセイで分析した。25μg/mlより大きいCRP濃度を有する腹水を、ボラナキスら[J.Immunol., 126:1820-1825(1981)]及びデ・ビール[J.Immuno.Methods, 50:17-31(1982)]により記載された方法の改良により、連続のカルシウム依存性アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。液体約3〜4リットルを、325 mlのカラム容積を有するホスホリルコリン置換バイオ−ゲルA 0.5m(バイオラド、リッチモンド、CA)アフィニティーカラムに36〜48時間にわたって適用した。280nmにおける溶離液の吸光度が0.05未満になるまで、カラムを平衡緩衝液(75 mMのトリス-HCl、150 mMのNaCl、2 mMのCaCl2、pH7.3)で徹底的に洗浄した。次いで、0.25以上の280nmにおける吸光度を有するCRPを含む画分をトリス−クエン酸塩キレート化緩衝液(75 mM のトリス−HCl、7.5 mMのクエン酸塩、150 mMのNaCl、pH7.3)により溶離した。
【0018】
CRP画分を溜め、脱イオン蒸留水で3倍に希釈し、pH7.3に調節した。次いで希釈画分を、希釈CRP各500 mlに対し50gの樹脂の比でDE-52陰イオン交換カラム(ワットマン・バイオケミカルズ(Whatman Biochemicals)、ケント、英国)に適用した。次に、CRPを含む画分を10 mM のトリス-HCl、pH7.3中の線形の0.05〜0.5MのNaCl勾配で溶離した。残留SAPを除去するために、これらの画分を未置換バイオ−ゲルA 0.5mカラム(バイオラド)に適用し、上記の平衡緩衝液で溶離した。CRPを放射状免疫拡散法(RID)により試験し、IgG及びSAPにつき陰性と確認し、二重拡散アッセイによりIgM、IgE、並びに補体成分C1q及びC3につき陰性と確認した。
タンパク質濃度を、ソレンソン(Sorenson)ら[Experientia, 42:161-162(1986)]により記載されたビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイ(ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Co.)、ロックフォード、IL)の改良、またワッデル(Waddell)[J.Lab.Clin.Med., 48:311-314(1956)]により記載されたような215nm及び225nmにおける分光吸光度アッセイにより測定した。全CRP含量を、280nmにおけるCRPの1.95cm-1(mg/ml)の吸光率を使用することにより計算した[ウッド(Wood)ら著、J.Clin.Invest., 30:616-622(1951)]。CRPの純度を、CRPのの合計量を同一試料中のタンパク質の合計量で割り、100を掛けることにより計算した。CRPのタンパク質純度はこれらの計算値から98.5%以上であることが決定された。
また、CRP純度を、4.0%のスタッキング(stacking)ゲル、12.0%の分割ゲル、及びラエムリ(Laemmli)著、Nature, 227:680-685(1970)に記載された緩衝系を使用して還元条件下でナトリウムドデシルスルフェート−ポリアクリルアミドゲルにより確認した。色素前部がスタッキングゲルに完全に入るまでゲルを100Vの一定電圧設定で4℃で運転した。その後ゲルを完結まで200Vで運転した。全てのCRPタンパク質が約22.5 Kd の単一バンドとして移動し、ウルトロスキャン(UltroScan)XLデンシトメーター(LKBインストルメンツ(Instruments))によるレーザーデンシトメトリーにより測定したところ、99%より大きい純度であった。
精製CRPを、アミコン(Amicon)PM-30膜(アミコン、デンバー、MA)を使用して窒素雰囲気下で限外濾過により1 mg/ml に濃縮し、トリス緩衝塩類液−カルシウム(10 mM のトリス-HCl、150 mMのNaCl、2 mMのCaCl2、pH7.3)に対し透析した。次いでCRPを0.45ミクロン及び0.2ミクロンのアクロディスク(Acrodisc)フィルター集成装置(ゲルマン・サイエンシィズ(Gelman Sciences)、アン・アーバー、MI)により連続して濾過し、滅菌ガラスバイアル中で4℃で貯蔵した。
【0019】
B.mCRP 調製
修飾CRP(“mCRP”)を、ポテンパら[Mol. Immunol., 20:1165-1175(1983); Mol. Immunol., 24:531-541(1987)]により先に記載された方法を使用して調製した。トリス緩衝塩類液−カルシウム緩衝液中で1 mg/ml で上記のようにして調製した精製された天然CRPを5 mMのEDTAでキレート化し、8Mの尿素中で37℃で2時間インキュベートした。次いで尿素を低イオン濃度のトリス緩衝塩類液(10 mMのトリス-HCl、50 mM のNaCl、pH7.3)に対し透析することにより除去した。mCRPの凝集を最小にするように、mCRPを低イオン濃度の緩衝液中で調製することが好ましい。次いでmCRP濃度を、上記のように、280nmにおける1.95cm-1(mg/ml)の吸光率及びBCAタンパク質アッセイを使用して測定した。mCRPを上記のように滅菌濾過し、滅菌ガラスバイアル中で低イオン濃度のトリス緩衝塩類液中に4℃で貯蔵した。
C.ルベット調製
天然CRPもしくはmCRP(上記のようにして調製した)、または対照緩衝液を含むルベットを、マクドナルドら著、Biochim.Biophys.Acta, 1061:297-301(1991)により報告された方法の改良に従って調製した。更に詳しくは、使用した方法は二つの先に記載された方法−生物活性巨大分子の取り込みに温和な条件を使用する第一の方法[キルビィ(Kirby)ら著、Liposome Technology, I巻, Preparation of Liposomes, CRC Press, 19-27頁(1984)]と、良く規定されたサイズ及び均一性の小胞を形成する第二の方法[オルソン(0lson)ら著、Biochim.Biophys.Acta, 557:9-23(1979)]の組み合わせであった。
L−α−レシチン(ホスファチジルコリン)、スフィンゴミエリン(アバンチ・ポーラー・リピッズ社(Avanti Polar Lipids, Inc.)、ペルハム、AL)及びコレステロール(シグマ(Sigma))の混合物を1:1:1のモル比で丸底フラスコに入れ、HPLC銘柄クロロホルム(シグマ)に溶解した。これらの脂質成分合計35.5mgをクロロホルム6.75mlに懸濁させ、ロータリー・エバポレーター(ブッチ・ロート−バック(Buchi Roto-vac)、ベルン、スイス)を使用して50℃の水浴中で高真空下で少なくとも1時間乾燥させてフラスコの壁部に薄いフィルムを形成した。次いで、乾燥した脂質内容物を封入すべき水相媒体(即ち、天然CRP、mCRP、または対照緩衝液)3.5 mlで水和して15.9 mM の脂質濃度を生じた。
【0020】
自然に形成した小胞を、二つの0.5 mlのハミルトン・シリンジ(ハミルトン、レノ、NV)がはめ込まれた手動押出装置[R.C.マクドナルドの研究所で開発され、マクドナルドら著、Biochim.Biophys.Acta,1061:297-301 (1991)に記載されている]中に取り付けた単一の0.1ミクロンのポリカーボネート膜(ヌクレオポアー(Nucleopore)、プリーサントン、CA)を通して加圧下で9回の押出にかけた。押出の奇数回の通過を行って試料の水和中の大きな小胞(これらは第一回の通過の際にフィルターを通過していなかったかもしれない)からの可能な汚染を避けた。押出方法からのルベットは約0.1ミクロンの均一かつ良く規定されたサイズ分布を有していた。ルベットを1〜2時間の期間にわたって4℃で貯蔵した。
ルベットに封入されたタンパク質、天然CRPまたはmCRPの量を、カプラン(Kaplan)ら著、Meth.Enzymol., 172:393-399(1989)により記載された操作の適用により測定した。室温で、夫々のルベット試料20μlを蒸留脱イオン水2.0 mlで希釈した。その希釈試料に、下記の物質を順に添加した:10%(w/v)のSDS 200μl、トリス-SDS(1Mのトリス-HCl、1%(w/v)のSDS、pH7.5)300μl及び10%のトリクロロ酢酸(TCA)600μl。夫々の添加後に、その混合物を10秒間連続的に攪拌した。その混合物をTCA工程後に室温で5分間インキュベートした。
夫々の試料をミリポア(Millipore)HAWP 09000 フィルター(ミリポア・コーポレーション、ベッドフォード、MA)で濾過し、6%(w/v)のTCA 2.0 mlで洗浄した。洗浄後、フィルターを、シェーカーテーブル上でアミドブラック染色液[45:10:45の比のメタノール/氷酢酸/水に溶解した0.1%(w/v)のアミドブラック10B(バイオ−ラド)]200 ml中に3分間入れた。フィルターを除去し、シェーカーテーブル上で蒸留脱イオン水約200 mlで2分間洗浄した。次いでフィルターをふき、きれいなレーザーブレードで細断し、その後、それをアミドブラック溶離緩衝液(25 mM のNaOH、0.05 mM のEDTA、50%のエタノール)700μlに入れた。室温で30分間のインキュベーション中に時々攪拌して色素をフィルターから溶離し、溶離液の吸光度を630nmで測定した。吸光度値を使用して、2〜24μgのBSAを含む試料で作成した線形標準曲線からタンパク質濃度を計算した。
【0021】
ルベット封入効率を、カルセイン容積相アッセイ(内在化容積を測定するため)及びアミドブラックタンパク質アッセイ(タンパク質の量を測定するため)により測定した。また、封入効率を、オク(Oku)ら著、Biochim.Biophys.Acta,691:332-340(1982)により記載されたような蛍光水相容積マーカーを使用して測定した。脂質比として表される、測定された天然CRPの量は、脂質1μモル当たり2.0μgのCRPであった。また脂質比として表される、小胞内在化容積は、脂質1μモル当たり2.02μlであった。計算されたルベット封入効率は、990μgのCRP/ml±20μg/ml内部容積であった。
また、ルベットを天然CRP及びmCRPにつき抗原決定基特性に関して評価して、ルベットが均一な天然CRP製剤またはmCRP製剤のいずれを含むかを測定し、またこれらのCRP形態の相互変換があるか否かを測定した。特定の天然CRPまたはmCRP抗原決定基の存在を測定し、定性化するために、天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットを、ドット−酵素結合免疫濾過アッセイ(“Dot-ELIFA”)により分析した。Dot-ELIFA[クラーク(Clark)ら著、J.Biotechniques, 印刷中(1992)により記載されている]を、先に記載されたプロトコル[ホークス(Hawkes)ら著、Analyt.Biochem., 119:142-147(1982); パパス(Pappas)ら著、J.Immunol.Meth., 64:205-214(1983)]の適用により開発した。このアッセイはプラスチックマイクロタイタ・プレートに代えてニトロセルロース膜を使用し、こうしてプラスチック表面に吸収された時に配座変化を受けることが知られているCRPの如きタンパク質で特に有益である[ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)を参照のこと]。
簡単に言えば、天然CRP、mCRP、及び天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットの系列希釈液をイージー−タイタ(Easy-Titer, 商標)ユニット(ピアス・ケミカル社、ロックフォード、IL)により0.45ミクロンのニトロセルロース膜に適用した。全てのウェルを試料緩衝液100μlで洗浄して未結合タンパク質を除去した。残っている未結合部位をウシ血清アルブミン(BSA)のバックコートでブロックした。次いでニトロセルロース膜をファースト・プロット・ディベロッパー(Fast Blot Developer, 商標)ユニット(ピアス・ケミカル社)に入れた。
【0022】
次に、その膜を天然CRPまたはmCRPに特異的な一次抗体でインキュベートした。イリノイ州、エバンストンにあるイムテク・インターナショナル社(Immtech International, Inc.)のローレンス・ポテンパ博士から入手した下記のモノクローナル抗体(“mAbs”)を試験した:15.1D6(天然CRPに特異的な反応性);13.3H12、26.7A8、及び26.8C10(mCRPに特異的な反応性);並びに15.2C10(天然CRP及びmCRPに特異的な反応性)。これらの抗体は、共同未決米国特許出願第07/374,166号明細書、及びイング(Ying)ら著、J.Immuno1., 143:221-228(1989)に記載されている。
洗浄して未結合の一次抗体を除去した後、その膜をヤギまたはウマ抗マウスIgGホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)接合体でインキュベートした。次いでその膜を洗浄して未結合二次抗体を除去し、HRP基質で展開した。
Dot-ELIFA試験の結果は、mAb 13.3H12がmCRPエピトープに特異的であり、またmAb 15.1D6が天然CRPエピトープに特異的であることを確かめた。また、これらの結果は、ルベットに封入された天然CRPの1%未満がmAb 13.3H12により認識されたmCRPエピトープを示すことを示した。それ故、天然CRPの1%未満がルベット押出操作によりmCRPに変換されていた。ルベットに封入されたmCRPは天然CRP形態への変換を生じそうにないと考えられたが、mCRPを含むルベットを13.3H12抗体及び15.1D6抗体との反応性につき調べた。これらの結果は、天然CRPエピトープがmCRPを含むルベットにつき実質的に発現されないことを示した。
比較のために、天然CRPを含む多ラメラ小胞(“MLVs”)をデオダーら著、J.Biol.Rep.Modifiers, 1:27-34(1982)により記載された方法に従って調製した。次いで、天然CRPを含むMLVsを、上記のように、Dot-ELIFA分析を使用してCRPエピトープ及びmCRPエピトープにつき試験した。
投薬量依存様式で、MLV製剤はmAb 13.3H12及びmAb 15.1D6の両方により認識された抗原決定基を示した。検出された15.1D6の量は、天然CRP 2048ngを含むMLVアリコートまで試験した全ての滴定点で13.3H12よりも大きかった。総合して、そのデータは、デオダーらにより報告された方法によりMLVsに封入された天然CRPの約40%がmCRPに変換されることを示した。
【0023】
また、これらのMLVsの封入効率を、カルセイン容積相アッセイ及びアミドブラックタンパク質アッセイを使用して評価した。これらのMLV製剤中、脂質に対する比として報告されるCRPの量は、脂質1μモル当たり0.28μgのCRPであった。脂質に対する容積比として報告されるMLV内在化容積は、脂質1μモル当たり0.82μlであった。アミドブラックタンパク質アッセイからのCRPタンパク質/脂質比及びカルセイン容積相アッセイからの容積/脂質比を使用して、MLV封入効率は341.5μgのCRP/ml±53μg/ml内部容積であった。
ルベットと比較してMLVsの性質の幾つかを、下記の表1に示す。
【表1】
表1に示されるように、ルベットは脂質の量当たりに封入された多量のタンパク質を生じただけでなく、更に大きい内在化容積及び封入効率を生じた。また、ルベットに封入された天然CRPはmCRPへの天然CRPの検出可能な変換を生じなかった。こうして、ルベットはMLVsよりも優れていることが結論された。
D.mCRP の生体内の毒性の研究
天然CRP、mCRP、または天然CRP、mCRP、もしくは対照緩衝液を含むルベットを試験動物に投与する前に、生体内の毒性の研究を行って、mCRPの投与が有害な副作用により伴われるか否かを測定した。
生後10〜12週の合計80匹の雌のBALB/cマウス(ハーラン・ラボラトリィズ(Harlan Laboratories)、マジソン、WIから入手した)を、夫々5匹のマウスの対照群及び実験群にランダムに分けた。実験群に1μg/マウス〜100μg/マウスの範囲のmCRP投薬量を注射し、一方、対照群に食塩加リン酸緩衝液を注射した。注射は静脈内、腹腔内または皮下であり、4日目、11日目、及び18日目に投与した。
【0024】
最初の注射の前に、全ての実験群動物及び対照群動物の基準データを記録した。動物を体重並びに血液、タンパク質、グルコース、及びpHに関する尿検査(アメス社(Ames Co.)、ヘマ−コンビスティクス・リージェント・ストリップス(Hema-combistix Reagent Strips))の3週毎の測定により監視した。動物の大半、80匹のうちの75匹(93%より大きい)が体重値を普通に許容される変化限度(これらは最初の体重の10%より大きくない体重損失と定義される)内で増加または維持した。80匹の動物のうちの合計5匹が最初の体重の10%より大きい値だけ全体重を減少した。この群のマウスは、24%を越える体重の減少を経験しなかった。
夫々の実験群と比較して対照群の体重の変化率(%)の平均値の差の有意差を測定するために、ツー・テールド(two-tailed)スチューデントt−検定を使用し、0.05未満のpが有意差があると考えられる。試験結果は、全ての群につき体重の変化率(%)に統計上有意差がないことを示した。
尿検査試験は、試験した全ての群につき測定パラメーターの最小の変化を明らかにした。いずれの時点でも、グルコースまたは血液が尿中に検出されなかった。全ての動物に関する尿のタンパク質含量は例外なしに30μg/mlで一貫して測定された。尿pH値は正常な限度内で最小に変化し、いずれの個々の動物についても変化の単一のpH単位を決して越えなかった。
その他に、全ての群の全般の外観及び活動を写真に撮り、記録した。観察し得る活動及びグルーミング(3個の別個のケージ内で動物により示されたバーベリング(barbering)の現象の傾向を含む)は正常の限度内であった。全てのこれらの結果は、種々の投薬量で、記載された種々の投与の経路により投与されたmCRPが、記載されたパラメータ一により測定して有害な副作用を誘発しないことを実証する。
【0025】
E.EMT6 原発性腫瘍増殖及び転移に関する天然 CRP 及び mCRP の効果
生体内の腫瘍増殖アッセイを行って、マウスEMT6胸部腺癌腫瘍の増殖に関するmCRP及び天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットの効果を測定した。マウスEMT6胸部腺癌細胞系、即ち、EMT6を、バージニア州、リッチモンドにあるバージニア医科大学のジョン・ウィルソン(John Wilson)博士から入手し、10%の加熱不活化ウシ胎児血清、11.25μg/mlのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.5μg/mlのアンフォテリシンBを補給したRPMI-1640培地中で培養した。細胞系を試験し、測定したところ、マイコプラスマ及びその他の微生物汚染を含まなかった。
研究の1日目に、約3×106の生存可能なEMT6細胞/0.10mlのRPMI-1640を、ハーラン・ラボラトリィズ、マジソン、WIから入手したBALB/cマウスに注射した。これらの細胞を、全ての動物の右後肢の踵骨の近位に皮下注射し、動物を下記の表2に列記されたような7つの群にランダムに分けた。7日目に、腫瘍塊が全ての動物で成長した。
【表2】
夫々の群につき表2に記載された治療を、7日目に開始して13日にわたって2日毎に静脈内注射により投与した。注射の前に、天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットを使い捨ての2.5 mlのバイオ−ゲルA 0.5mカラム(約1〜2mlの床容積/mgタンパク質)による分離クロマトグラフィーにかけてルベットと会合していない天然CRPまたはmCRPを除去した。ルベットは空隙容積でカラムを通過し、濁った外観であった。封入されなかったタンパク質を、ルベット画分から2〜3カラム容積間隔でカラムから溶離する280nmで吸光度を有する遅く移動する画分として測定した。
マックイントッシュ(McIntosh)ら著、Cancer Research, 49:1408-1414(1989)により記載されているようにして、開始の一次部位における腫瘍の増殖を、副尺カリパーを使用して、最も近い0.05mmまでの隆起腫瘍塊の最短寸法及び最長寸法に沿って測定することにより評価した。小半径(a)及び大半径(b)を使用して、長球面の式:
容積=4/3πa2b
を使用して腫瘍容積(mm3)を計算した。計算腫瘍容積は腫瘍の苦しみを反映する。夫々の試験群は15〜16匹の動物を含んでいた。平均の腫瘍の苦しみを治療群につき計算し、ツー・テールド・スチューデントt−検定を使用して比較し、0.05未満のp値が統計上有意であると考えられた。
【0026】
治療を受けない動物(群1)及びルベット中の天然CRPを受ける動物(群4)と比較して、ルベット中のmCRPを受ける動物(群5)中の原発性腫瘍の増殖が、治療が施された日数にわたって図1に示される。静脈内治療注射を、図1に示された矢印により示された日に行った。
腫瘍移植の7日後に、種々の群中の平均腫瘍塊は459mm3から863mm3まで変化した。腫瘍増殖速度を平均腫瘍容積(立方ミリメートル)±平均の標準偏差としてプロットする。ルベット中の天然CRPを受ける動物中の腫瘍は速い速度で増殖し続け、治療を受けない対照群の動物で観察された速度と平行であり、殆ど異ならない。対照的に、ルベット中のmCRPを受ける動物の腫瘍増殖速度はこの時間の期間にわたって最小であった。スチューデントt−検定を使用して、ルベット中のmCRPで治療された動物の腫瘍増殖は、治療を受けない対照動物の腫瘍増殖とは9日目でp<0.025、また11〜19日目にp<0.001とかなり異なっていた。
治療を(19日目の後に)29日目まで一旦停止すると、ルベット中の天然CRPで治療された動物の腫瘍増殖は影響されず、速い速度で統いた。図2(腫瘍増殖が7日目に測定されたその腫瘍サイズからの変化率(%)としてプロットされる)に見られるように、治療を受けない対照群及びルベット中の天然CRP群の両方における腫瘍は、7日目に測定された腫瘍よりも10倍(1000%)よりも大きかった。ルベット中のmCRP群における腫瘍増殖は、治療が停止された後に増大し、治療を受けない対照群における同様のサイズの腫瘍で観察された増殖速度に匹敵する速度で成長した。
【0027】
線形増殖速度と仮定し、また治療後の日数と比較して治療の日における腫瘍増殖に関して最小2乗線形回帰分析を使用して(下記の表3に要約される)、治療を受けない対照群の動物の腫瘍増殖速度は7〜19日目中203.5±12.7mm3/日であり、19〜29目中366.9±34.1mm3/日であった。天然CRP-ルベット群の動物の腫瘍増殖速度は、治療中186.8±24.4mm3/日であり、19〜29目中367.0±33.7mm3/日であった。ルベット中のmCRP群の動物は治療日、7〜19日目中に44.7±24.4mm3/日のごくわずかの平均腫瘍増殖を有し、増殖速度は19〜29目中327.6±18.1mm3/日まで増大した。
【表3】
腫瘍増殖は、ルベット中のmCRP治療の停止後に対照群の動物と同様の速度まで増大した。それにもかかわらず、ルベット中のmCRPで治療した動物は、治療を受けない対照群またはルベット中の天然CRPで治療した群で測定した腫瘍よりも21〜29日目の全ての時点でp<0.01と統計上小さい腫瘍を有し続けた。
図3において、mCRPで治療した群(群3、緩衝液中のmCRPを受ける)が、研究の29日の経過にわたって腫瘍増殖(平均腫瘍容積)に関して治療を受けない群(群1)と比較される。その結果は、mCRPがまたマウス胸部腺癌腫瘍の増殖を阻止するのに有効であったことを示す。mCRPは、ルベット中のmCRPによる治療(群5)で観察されたような、最初の治療投薬量で開始する即時の保護効果を示さなかった。9日目反び11日目に、mCRP治療群で測定された平均腫瘍容積は、治療を受けない対照群(及びルベット中の天然CRPで治療した群)の動物と平行して増大した。第三のmCRP−緩衝液投薬量の投与後(その時点で、平均腫瘍容積は約1500mm3に達していた)、mCRP治療は有効になり、治療期間の残り(19日目まで)にわたって治療動物で更なる平均腫瘍増殖を生じなかった。全治療日数(7〜19日目)の腫瘍増殖速度は67.3±22.9mm3/日であり、ルベット中のmCRPによる治療群よりも50%大きい速度であった(表3)。しかしながら、線形回帰が、mCRP−緩衝液治療が腫瘍増殖を行うことが明らかになった日(11〜19日目)のみにわたる腫瘍増殖速度につき行われる場合、その増殖速度は15.0±24.2mm3/日まで低下する。有意差につきツー・テールド・スチューデントt−検定を使用して、この腫瘍増殖はゼロ増殖速度と殆ど異ならない。
【0028】
19日目後に、腫瘍増殖は、有効な抗腫瘍活性を示さない群で測定された速度に匹敵する速度で増大した。平均腫瘍容積が7日目に測定された腫瘍サイズからの変化率(%)としてプロットされる場合(図4)、mCRP治療を受ける動物は、ルベット中の天然CRPによる治療(及び治療を受けない対照)と比較して、治療の最初の3日間中に腫瘍増殖のわずかな遅延を示した。11日目から19日目まで、平均腫瘍増殖が実質的に生じなかった。13日目に、mCRP治療は治療を受けない対照またはルベット中の天然CRPによる治療とは0.025より小さいp値で有意に異なっていた。15〜19日目に、測定された差が両方の群と比較して0.001より小さいp値で有意であり続けた。治療を停止し、腫瘍が再度成長し始めた(21〜29日目)後に、mCRP治療群の平均腫瘍容積は、天然CRP−ルベット治療群とは、23日目まで0.001より小さいp値で、29日目まで0.02より小さいp値で有意に異なり続けた。
これらのデータは、天然CRPではないmCRPがマウス胸部腺癌の増殖を阻止するのに有効な治療であることを示唆する。更に、mCRPは、リポソーム中で注射され、または緩衝液中で単独で注射されても有効である。
mCRPの抗腫瘍効果を更に完全に特徴付けるため、壊死性病変を示す動物の数、進行性腫瘍増殖速度対変動する腫瘍増殖速度、肺転移の数、及び夫々の群中の個々の動物の死亡数に関するデータを測定した。これらのデータが上記の表2に示される。
腫瘍部位を壊死性病変に関する研究中に目視で調べた。7日目の腫瘍の目視試験は、隆起した皮下の充実性腫瘍塊の存在を示し、良く形成された境界が腫瘍の全表面にわたって均一な色及び組織を有していた。壊死性病変を、組織の可能な退化を伴う皮膚表面の黒化と定義した。対照群の動物(合計30匹の動物−群1、2A、2B、及び2C)は壊死の徴候を示さなかった。対照的に、ルベット中のmCRPで治療された16匹の動物のうちの12匹(おそらく14匹)、及びmCRPで治療された15匹の動物のうちの7匹(おそらく8匹)が壊死を示したが、一方、ルベット中の天然CRPによる治療を受ける15匹の動物のうちの1匹(おそらく2匹)が壊死を示した。ルベット中のmCRPによる治療を受ける15匹の動物のうちの6匹が最初の治療の48時間後の9日目に壊死性部位を発生した。19日目までに、この治療群の幾つかの動物が二つまたは三つの別個の病変を示した。壊死性病変は柔らかく、触診に対し柔軟であり、かつ全腫瘍表面の1/3までを覆っている良く形成された皮下の兆候であった。微細なニードル吸引バイオプシーを壊死性部位で行って、これがその部位における死亡した腫瘍細胞並びに圧倒的多数の多形核白血球及びマクロファージを確かめた。また、バイオプシーの分析は、観察された壊死が感染プロセスの結果ではないことを示した。
【0029】
壊死性病変は可変のサイズ及び形状のものであり、最大測定寸法で15回を越えなかった。最初に認識された病変は触診により展性であったが、時間がたつにつれて、それらは触れると非柔軟性になり、また退縮により毛質になり、わずかにへこんだ境界を有していた。腫瘍を剖検で切除した場合、付加的な不連続の巣状壊死性病変が表面試験により目視できない腫瘍塊中で発見された。その他の器官または組織はmCRP治療(緩衝液中のmCRPまたはルベット中のmCRP)により異常に影響されないことがわかり、これはmCRPが非毒性であるとともに直接の抗腫瘍効果を有することを示した。
また、個々の動物中の腫瘍の増殖特性は、表2に列記された種々の群間で重要な差異を示した。例えば、群5中の15匹の動物のうちの6匹が、7日目の治療の前の腫瘍容積と比較された場合に60%までの腫瘍サイズの減少(腫瘍サイズの半分の減少より大きい)を有することが実証された。更に、群5中の動物の44%(7/16)の腫瘍増殖が、腫瘍増殖の変動する進行を示した。
対照的に、両方の対照群(天然CRPまたはmCRPを受けない群1、2A、2B、及び2C)の原発性腫瘍増殖の測定は、動物間で殆ど変化しないで一貫した腫瘍増殖を示した(群2A中のわずかに1匹の腫瘍を有する動物が腫瘍サイズの変動する増大を示した)。対照緩衝液を含むルベットを受ける動物(群2B及び2C)の腫瘍増殖は、ルベットそれ自体が原発性腫瘍増殖に対し抑制効果を有しないことを示した。また、両方の対照群の腫瘍増殖の速度は匹敵していた。その他の二つの群において一貫した腫瘍容積増大/変動する増大を示す動物の数は、群3(緩衝液中のmCRPによる治療)(10/5)、及び群4(天然CRP-ルベットによる治療)(9/6)であった。
また、全ての解剖した動物の肺組織を転移につき評価した。表2に示されるように、対照群1及び2は転移の高発生率を有していた。群1及び2を構成する30匹の動物のうちの20匹(67%)が肺中に転移性腫瘍増殖を有していた。更に詳しくは、群2A、2B、及び2Cを構成する15匹の動物のうちの12匹の動物(80%)が、観察できる転移性肺腫瘍を有していた。また、群4の動物(ルベット中の天然CRPを受ける)が、転移の比較的高い発生率を示した。群4中、15匹の動物のうちの10匹(67%)が肺転移を有していた。
対照的に、mCRPまたはルベット中のmCRPを受ける群3及び群5の動物は夫々転移の低下された発生率を示した。群3中、15匹の動物のうちの6匹(40%)が肺転移を有し、一方、肺転移性腫瘍が群5の16匹の動物のうちのわずかに1匹(6.25%)で観察された。
こうして、この生体内の研究からのデータは、mCRPで治療された動物及びルベット中のmCRPで治療された動物が腫瘍壊死の高発生率、及び腫瘍サイズの大きな減少、または変動を有することを明らかにした。また、これらの結果は、mCRPが原発性腫瘍増殖に対する効果に加えて、腫瘍の転移を減少することを示唆する。
【0030】
実施例2 : EMT6 胸部腺癌細胞への天然 CRP 及び mCRP の結合
天然CRPまたはmCRPがEMT6組織培養細胞を結合するか否かを測定するために、細胞遠心分離を使用してサイトスピン(cytospin)スライドを調製した。実施例1、パートEに記載された培養EMT6細胞を洗浄し、食塩加リン酸緩衝液(PBS)中で約1-2×106/mlまで再度懸濁させた。カードカバーを備えたガラス顕微鏡スライドを細胞遠心分離機中に取付け、EMT6細胞懸濁液0.2〜0.3 mlを溜めに入れた。次いで細胞を15分間にわたって遠心分離によりスライドに固着させた。得られる細胞単層を30分間空気乾燥させ、室温で貯蔵した。
次いでスライドを、実施例1、パートA及びBに記載され、100μg/mlに希釈された緩衝液中の天然CRPまたはmCRP 200μlでオーバーレイし、保湿室中で37℃で30分間インキュベートした。次に、スライドをPBSの2種の変化中ですすぎ、ブロッキング溶液[PBS中1%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.5%の正常なウマ血清]で15分間プレインキュベートした。PBSで2回洗浄した後、4μg/mlのmAb 15.1D6(実施例1に記載)または10μg/mlのビオチニル化ポリクローナル抗体LP5[イリノイ州、エバンストンにあるイムテック・インターナショナル社のローレンス・ポテンパ博士から入手され、ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)に記載されている]を37℃の保湿室中の30分間のインキュベーションのために添加した。ケンダール(Kendall)ら著、J.Immunol.Meth., 56:329-339(1983)及びフス(Hsu)ら著、J.Histochem.Cytochem., 27:1131-1145(1981)に記載されたプロトコルの改良を使用して抗体をビオチニル化した。
スライドをPBSで2回洗浄し、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ二次試薬を適用した。次に、ジアミノベンジジン基質緩衝液[PBS10ml中のDAB四塩酸塩(シグマ)6mg、+3%のH2O2 0.1ml]を調製し、濾過して沈殿を除去した。次いでスライドをその緩衝液中に15分間浸漬した。その反応を、流水中で10分間洗浄することにより停止した。洗浄後、スライドをメイヤーのヘマトキシリン(Hematoxylin)(シグマ)中の3分間の浸漬により対比染色し、水中ですすいで過剰の染色液を除去し、その後、20秒間で30mMのNH4OHを添加した。スライドを再度水中で洗浄し、パーマウント(Permount)を使用してガラスカバースリップで取り付けた。
天然CRPまたはmCRPによるEMT6サイトスピンスライドのインキュベーションはEMT6細胞への天然CRP及びmCRPの両方の直接結合を示した。10μg/mlの天然CRPによるインキュベーション後に、EMT6細胞は13.3H12 mAb (5.5μg/ml)に優先して15.1D6 mAb (5.5μg/ml)を結合した。結合された15.1D6の染色パターンは膜関連されており、特に細胞膜及び少ない程度に、核膜に膜関連されていることが明らかであった。この染色パターンは、10μg/mlの濃度の天然CRPによる競合抑制研究により無効にされ、また10μg/mlのmCRPにより外観上影響されなかった。
10μg/mlのmCRP、続いて13.3H12 mAb または15.1D6 mAbでインキュベートされたサイトスピンスライドは、15.1D6ではなく13.3H12への結合を示した。13.3H12による染色パターンは膜関連されており、若干の拡散核特異性を示すことが明らかであった。
【0031】
実施例3:ヒト肺腺癌腫瘍部位への天然 CRP 及び mCRP の生体内局在化
生体内研究を行って、天然CRP及びmCRPが肺腺癌腫瘍を有する動物中の腫瘍部位に局在するか否かを測定した。
ヒト肺腺癌細胞系、A549(メリーランド、ロックビルにあるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手した)を、10%の加熱不活化ウシ胎児血清、11.25μg/mlのL−グルタミン、100 U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.5μg/mlのアンフォテリシンBを補給したRPMI-1640培地中で培養した。培養後、細胞をRPMI-1640中で2回洗浄し、3×106の生存可能な腫瘍細胞/0.10 mlの濃度で再度懸濁させた。次いで、細胞懸濁液0.10mlを生後6〜8週のBALB/cヌード(胸腺欠損)マウス(ハーラン−スプラギュー−ダウレイ・ラボラトリィズ(Harlan-Sprague-Dawley Laboratories)、マジソン、WIから入手した)に右後肢の足蹠に近位に皮下注射した。
7日目までに、触診可能の腫瘍増殖を測定できた。次いで動物を、下記の表4に示されるように、動物の4つの群(群当たり1匹の動物)にランダムに分けた。
【表4】
7日目に、モノクローナル抗体443A6を注射した。mAb 443A6(これはA549肺腺癌細胞を特異的に結合する)を、イリノイ州、シカゴにあるノースウェスタン大学医療センターのジェームスA.ラドセビッチ(James A.Radosevich)博士から入手した。また、その抗体はニュージャージー州、ネシャニック・ステーションにあるアフィニティー・バイオリージェンツ社(Affinity BioReagents, Inc.)から市販されている。mAb 443A6 の調製及びその活性が米国特許第4,816,402号明細書及びラドセビッチら著、Cancer Research, 46:5808-5812(1985)に更に記載されている。抗体治療を受ける群2、3及び4に関して、mAb 443A6 500 μgを腹水1.0 mlに希釈し、100μlを静脈内注射し、一方、900μlを腹腔内注射した。
【0032】
翌日、8日目に、100μgの天然CRPまたはmCRP(実施例1、パートA及びBに記載されたようにして調製した)を動物に静脈内注射した。約90分〜2時間後に、動物を犠牲にした。次いで腫瘍を切除し、対側肢骨格筋、肝臓、脾臓、及び肺組織試料を犠牲にした動物から切除した。
凍結組織切片を、組織の小さい試料、約0.5 cm3 を切開し、直ちにそれを正方形のアルミニウム箔の上に溜めたポリビニルアルコール、ポリエステルグリコール、及びジメチルベンジルアンモニウムクロリドのゼラチン混合物中に浸漬することにより調製した。こうして形成されたカプセルをドライアイスで徐々に凍結し、その後、箔を包装し、−80℃で貯蔵した。
切出し前に、きれいなガラススライドを0.005%のポリ−L−リシン(脱イオン水500 ml中で希釈され、濾過されたもの)で被覆した。スライドをその濾過溶液中に15分間浸漬し、除去し、使用または貯蔵の前に30分間空気乾燥させた。約8ミクロンの組織切片を被覆スライド上で回収し、室温で30分間空気乾燥させ、次いで−70℃で貯蔵した。
染色のため、固着組織切片を有するガラススライドを室温に温め、次いで水道水に2分間浸漬した。内在性ペルオキシダーゼ活性をマスクするため、水道水インキュベーションに続いて15分間にわたって0.03%のH2O2-PBS溶液インキュベーションを行った。次いで組織切片を、天然CRPに特異的なビオチニル化mAbまたはmCRPに特異的なビオチニル化ポリクローナル抗体と反応させ、ブロックし、上記の実施例2に記載されたようにして染色した。
染色パターンは、天然CRPに特異的なmAbが天然CRP注射を受けたA549腫瘍を有するBALB/cヌードマウスから切除した腫瘍組織切片と反応性であることを示した。同様に、mCRPに特異的なポリクローナル抗体はmCRP注射を受けたマウスから切除した腫瘍組織切片と反応性であった。天然CRPを受けるマウスからの腫瘍組織は、mCRP特異的ポリクローナル抗体で探査された場合にmCRP反応性を示さなかった。また、天然CRP反応性は、mCRPを受けるマウスからの腫瘍組織中で検出されなかった。ビオチニル化抗体は、肝臓組織を除いて宿主動物からのその他の切除組織(肺、脾臓、骨格筋)と反応性ではなかった。しかしながら、肝臓組織との反応性は、肝臓中の内在性ビオチンのために予想されなかった。要約すると、静脈内投与されたCRPの特定の形態(天然CRPまたはmCRP)に相当する特定の抗原決定基は、普通の免疫組織化学技術により容易に検出できるレベルで、先に樹立されたA549原発性腫瘍の柔組織に局在化した。
腫瘍組織切片を評価することに加えて、実施例2に記載されたようにしてサイトスピンスライドを調製することによりA549組織培養細胞を評価した。天然CRPまたはmCRP(夫々、フルオレセインイソチオシアネートと接合された)によるA549サイトスピンスライドのインキュベーションは、細胞への天然CRP及びmCRPの両方の直接結合を示した。更に、天然CRPまたはmCRPでインキュベートされたA549細胞は、夫々、mAb 15.1D6及びmAb 13.3H12との抗体反応性を示した。
【0033】
実施例4:生体内で P388 白血病を治療するための mCRP 及び 5- フルオロウラシルの使用
生体内の研究を行って、5-フルオロウラシルと組み合わせたmCRPでP388腫瘍を有する動物を治療する効果を測定した。
雌のCD2-F1マウス(ニューヨーク、ジャーマンタウンにあるタコニック・ファームズ(Taconic Farms)から入手したBALB/c x DBA/2 F1 ハイブリッド)を通常の実験室条件下で収容し、市販の実験室用のげっ歯類食物(プリナ(Purina))を与えた。ハウジングを12時間の明暗サイクルで18〜22℃(64〜72°F)に保った。全てのその他の条件をGuide for the Care and Use of Laboratory Animals(NIH刊行物N0.86-23、1985年に改定)に記載されたようにして維持した。研究の目的のために、動物を、下記の表5に示されるように、10の群に分けた。
【表5】
P388白血病細胞(メリーランド、ロックビルにあるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手した)をDBA/2マウスに1×106の細胞の腹腔内移植片として2回通過させた。2回目の通過後に、細胞を1×106/0.1 mlの希釈腹水まで濃縮し、研究の1日目に、CD2-F1マウスに腹腔内注射した。
2種の投薬量の5-フルオロウラシル(“5-FU”)(シグマ)を、5-FUを滅菌蒸留水に1.0mg/ml及び2.0mg/mlの濃度で溶解することにより調製した。表5に示されるように、体重1kg当たり10mgまたは20mgの5-FUを2〜6日目の朝に腹腔内注射した。夫々の動物に注射された5-FUの容積は、それらの夫々の2日目の体重に基いていた。
【0034】
2〜6日目の午後に、mCRPを表5に示されるように群5〜10の動物に静脈内注射した。mCRPをイリノイ州、エバンストンにあるイムテック・インターナショナル社のローレンス・ポテンパ博士から入手し、以下のようにして調製した。CRPを実施例1、パートAに記載されたようにして調製した。mCRPをつくるため、1mg/mlのCRPを10mMのEDTAの存在下で37℃で1時間にわたって8Mの超純粋な尿素(シュワルツ−マン(Schwartz-Mann)、スプリング・バレイ、NY)中でインキュベートした。尿素を、0.015Mの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)による透析により除去した。
mCRPを0.20ミクロンのフィルター(ゲルマン(Gelman))により滅菌濾過した。次いで濃度を、0.015Mの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4で0.5mg/mlに調節して0.1 mlの容積中の低投薬量(50μg)mCRP投与のための溶液を生成した。
滅菌濾過した可溶性mCRPの一部を、塩化ナトリウムを添加して0.15MのNaClの最終濃度を得ることにより生理イオン濃度に調節し、次いで氷浴中で15分間インキュベートした。このmCRP製剤の大半は自己凝集して乳光液を生成し、これを約5000×gで10分間遠心分離してタンパク質を沈降させた。沈降したタンパク質を0.15MのNaClを含む滅菌10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4中に再度懸濁させて2 mg/ml の最終濃度を得た。このmCRPを0.1 mlの容積中の高投薬量(200μg)mCRP治療として投与した。
全ての動物の体重を、ANDエレクトロニック天秤(AND社、東京、日本)(これは使用前に較正されていた)を使用して2日目及び6日目に記録した。全ての動物の体重は研究の2日目に12.1g〜19.0gであった。
図5に示されるように、治療を受けない群1の平均体重は研究の6日目に16.8gであった。低投薬量及び高投薬量を受ける群2(15.2g)の動物及び群3(16.6g)の動物の平均体重は未治療の対照動物と異なるとは考えられなかった。mCRP50μgの投与(群5)は6日目に動物の平均体重を変化させなかった。同様に、mCRP200μgの投与(群6)は6日目に体重の変化により測定されるように毒性を示さなかった。
【0035】
5-FU 20mg の投与(群4)は6日目に体重を20%減少した。低投薬量のmCRPの投与と理論最適投薬量の化学療法薬剤の組み合わせ(群7)は6日目に体重を10%減少した。高投薬量のmCRPとの組み合わせ治療(群8)は、体重の10%減少により測定されるように動物に対し毒性ではなかった。同様に、高投薬量(群9)または低投薬量(群10)のmCRPと準最適投薬量の5-FUの組み合わせ治療は、体重分析に基いて毒性を誘発しなかった。
対照群1の動物の平均寿命は20日であった。低投薬量(群2)または高投薬量(群3)緩衝液を投与された動物の寿命は、群1の対照の腫瘍を有するマウスと異ならなかった。体重1kg当たり20mg/kgの5-FUの投与(群4)は、腫瘍を有する動物の寿命を著しく変化させなかった。また、50μg(群5)または200μg(群6)のmCRPの投与は、腫瘍を有する動物の寿命を変化させなかった。
50μgのmCRPと組み合わせた20mg/kgの5-FUの組み合わせ治療(群7)は、動物の寿命を40%短縮した。対照的に、200μgのmCRPとの組み合わせ(群8)は、対照群に対して動物の寿命を変化させなかった。しかしながら、50μgまたは200μgのmCRPと体重1kg当たり10mg/kgの5-FUの組み合わせ治療(群9及び10)は、寿命を夫々128%及び133%増大した。
mCRP治療組み合わせ群(群8、9及び10)からの18匹の動物のうちの5匹の動物は、研究の終了まで生存した。また、5-FU治療群(群4)からの1匹の動物が研究の終了まで生存した。生存している動物中の白血病細胞の存在を、31日目に麻酔された動物の腹膜洗浄を行うことにより調べた。最初に、塩類液を腹腔に注射し、抜取り、処理した。細胞カウントを行い、次いでサイトスピンスライドを調製した。サイトスピンスライドをヘマトキシリン及びエオシンで染色し、評価した。次いで、生存している動物を米国獣医学協会ガイドラインに従って犠牲にした。
腹膜洗浄細胞カウント及びサイトスピン評価の結果を、下記の表6に示す。31日目まで生存した動物からの腹膜細胞の試験は、群4中で生存している動物が“ノー・テーク(no take)"であることを示した。これは腹腔中の白血病細胞の不在に基いていた。白血病細胞は群8、9、及び10からの生存している動物の腹腔中に依然として存在していた。しかしながら、白血病細胞の数は、5-FUと組み合わせたmCRPの投与が腫瘍細胞増殖を抑制することを示した。更に、mCRPが腹膜中に通常見られる細胞の型を変化させないことを示す内在性の核形成細胞の正常な補体があった。
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、研究の7日目〜19日目中のマウスEMT6胸部腺癌原発性腫瘍容積に関するmCRP(ルベット(LUVET)中)治療、天然CRP(ルベット中)の効果と、無治療の比較を示すグラフである。
【図2】図2は、研究の7日目〜29日目中のマウスEMT6胸部腺癌原発性腫瘍容積の変化率(%)に関するmCRP(ルベット中)治療、天然CRP(ルベット中)治療の効果と、無治療の比較を示すグラフである。
【図3】図3は、研究の7日目〜29日目中のEMT6胸部腺癌原発性腫瘍容積に関するmCRPの効果と、無治療の比較を示すグラフである。
【図4】図4は、マウスEMT6胸部腺癌原発性腫瘍の腫瘍容積の変化率(%)に関するmCRP、ルベット中のmCRP、及びルベット中の天然CRPの効果の比較を示すグラフである。
【図5】図5は、P388腫瘍を有する動物の体重及び寿命に関する5-フルオロウラシルの効果とmCRP治療の効果の比較を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は修飾C反応性タンパク質(“mCRP”)による癌の治療方法に関する。また、本発明は哺乳類中の癌細胞を同定するための像形成剤(imaging agent)としてのmCRPの使用に関する。
【発明が解決しようとする課題】
発明の背景
米国では毎年約400,000人の死亡が癌に原因すると推定されていた。癌細胞の増殖及び転移の単一の決定基がないことは明らかである。むしろ、癌細胞が増殖し、転移する傾向は、多数の細胞特性の合計であり、また個々の癌細胞は同じ結果を得るのに異なる機構を使用し得る[ワイス(Weiss)著、Clinical and Experimenta1 Metastasis,7:127-167(1989)]。
手術、化学療法、及び放射線療法の如き治療戦略が近年改良してきたが[例えば、クラコフ(Krakoff)著、CA-A Cancer Journal for Clinicians, 41:264-278(1991)]、かなりの数の癌が治療に耐性であり、最終的には患者の死亡を生じる。こうして、癌療法の新規かつ有益な手段を発見する必要が現れる。
1.CRP の構造及び活性
C反応性タンパク質は、チレット(Tillett)及びフランシス(Fransis)[J.Exp.Med.,52:561-71(1930)]により最初に記載され、彼らは急性の病気の患者からの血清がストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumonia)の細胞壁のC多糖で沈殿することを観察した。続いて、その他の研究者が反応性血清因子をタンパク質、ひいては名称“C反応性タンパク質”即ち“CRP”として同定した。キルパトリック(Kilpatrick)ら著、Immunol.Res.,10:43-53(1991)はCRPの最近の総説を示す。
【0002】
CRPは、5つの同一のサブユニットからなる五量体分子である[オズマンド(0smand)ら著、Proc.Natl.Acad.Sciences,U.S.A.,74:739-743(1977)。CRPのこの五量体形態はしばしば“天然CRP”と称される。
ヒトCRPの遺伝子配列がクローン化された[レイ(Lei)ら著、J.Biol.Chem., 260:13377-13383(1985)]。加えて、ウサギCRPの一次配列[ワング(Wang)ら著、J.Biol.Chem., 257:13610-13615(1982)]及びマウスCRPの一次配列が報告されており[ホワイトヘッド(Whitehead)ら著、Biochem.J.,266:283-290(1990)]、ラット、犬、ウマ、ヤギ、及びヒツジにつき研究中である。臨床上の観察及び実験室の観察は、血液の良く特定された変化により古典的に定義された急性期応答[ペピイズ(Pepys)ら著、Advances in Immunology, 34:141-212(1983)]が、悪性腫瘍形成、虚血性壊死、並びにバクテリア、ウイルス、もしくは菌類寄生虫の感染症を含む疾患及び障害の種々の状態中に発生することを測定した。CRPの如き血清急性期反応体の測定が、全身性エリテマトーデス(SLE)[ブラボー(Bravo)ら著、J.Rheumatology,8:291-294(1981)]、慢性関節リウマチ[ディクソン(Dixon)ら著、Scand.J.Rheumatology,13:39-44(1984)]、対宿主性移植片病[ウォーカー(Walker)ら著、J.Clin.Path., 37:1022-1026(1984)]を含む種々の症状だけでなく、多くのその他の疾患を有する患者の診断及び臨床上の管理のための臨床試験に使用されていた。
腫瘍細胞に対する試験管内のCRPの活性が研究されていた。例えば、ホルヌング(Hornung)は、リンパ球とともに添加されたCRPが培養の72時間後にヒトメラノーマ細胞の増殖を抑制したことを開示している[ホルヌング著、Proc.Soc.Exp.Biol.Med., 139:1166-1169(1972)]。また、ホルヌングは、CRPが細胞培養中にリンパ球に毒性であったことを開示している。
バーナ(Barna)ら著、Cancer Research, 44:305-310(1984)は、マウスマクロファージ活性化に関するヒトCRPを含む多ラメラ小胞の効果に関する試験管内の研究を記載している。バーナらは、マウスマクロファージがCRPを含む多ラメラ小胞を食作用し、そして小胞への露出後に、スーパーオキサイドアニオンの増進された産生を示し、同系マウスT241繊維肉腫、同系マウスB-16メラノーマ細胞、及び同種異系マウスサルコーマ-1細胞に対し抗腫瘍活性を増大したことを報告している。また、抗腫瘍活性はウィン(Winn)中和アッセイを使用して生体内で発生された[また、バーナら著、FASEB J.,2274a(1983)を参照のこと]。また、バ−ナらは、封入されていないCRPが試験管内でマクロファージスーパーオキサイドアニオン活性を高めたが、多ラメラの封入された投薬の10〜100倍大きい濃度でのみその活性を高めたことを報告している。ガウタム(Gautam)ら著、J.Biol.Res.Modifiers,8:560-569(1989)は、ヒトCRPを含む多ラメラ小胞の抗転移作用がマクロファージに加えてT細胞マーカー及び/またはNK細胞マーカーを有する細胞を伴い得ることを教示している。
【0003】
ザヘジ(Zahedi)ら著、Cancer Research, 46:5077-5083(1986)は、精製されたヒトCRPが試験管内で殺腫瘍性状態へのマクロファージの活性化を媒介できることを開示している。著者らは、誘発されたマクロファージが30分〜2時間にわたってヒトCRPに露出された場合に、殺腫瘍活性がマウスP815肥満細胞腫細胞系、マウスL-929繊維芽細胞癌腫細胞系、及びヒトCAK-1癌腫細胞系に対し誘発されたことを教示している。また、ザヘジらは、CRPが殺腫瘍活性を測定する前に85℃で1時間熱凝集された場合に、CRPが熱凝集されなかったCRPよりもかなり小さい死滅活性を有していたことを教示している。ザヘジらは、リンホカインと組み合わされた場合に、相乗効果がCRPにより示されなかったことを開示している。
バーナら著、J.Biol.Resp.Mod.,7:483-487(1988)は、試験管内の精製されたヒトCRPへのヒト肺胞マクロファージの露出がヒトSK-MEL-28メラノーマ細胞及びヒトCRL 1718星状細胞腫細胞に対するマクロファージ細胞毒性を高めたことを開示している。また、バーナらは、CRPに対するマクロファージ応答性が喫煙により悪影響され得ることを教示している。
トマセン(Thomassen)ら著、FASEB J.,6:1151a(1992)は、CRPから誘導された合成ペプチドによるヒト単球及びヒト肺胞マクロファージの殺腫瘍活性の試験管内の変調を開示している。トマセンらは、合成ペプチドで処理された単球が腫瘍壊死因子(TNF)及びIL-1分泌の2倍以上の増進を示し、一方、肺胞マクロファージがTNFまたはIL-1の増進された分泌を示さなかったことを報告している。
【0004】
バーナら著、Cancer Research, 47:3959-3963(1987)は、試験管内のヒトCRPの急性期の量へのヒト末梢血単球の露出が高められたスーパーオキサイドアニオン産生及びヒト星状細胞腫細胞に対する細胞毒性を生じたことを開示している。また、バーナらは、CRP誘発細胞毒性がホスホリルコリンにより抑制されたことを開示している。著者らは、CRP活性化がヒト血清の成分へのCRP結合と関連し得ることを示唆している。
腫瘍増殖に関するCRPの効果に関する幾つかの生体内の研究が行われていた。例えば、リズク(Rizk)ら著、Cancer,58:55-61(1986)は、ウサギにおけるV x2癌腫細胞系に関するウサギCRP及びポリカチオン、ポリ−L−アルギニン(PLA)の効果を記載している。リズクらは、CRPがPLAの不在下で生体内で抗腫瘍効果を有していなかったことを教示している。
オコナー(O'Connor)らの米国特許第4,857,314号は、精製されたヒトC反応性タンパク質と組み合わせて腫瘍壊死因子(TNF)を投与してTNFの殺腫瘍活性を高めることによる動物またはヒトにおけるMeth A肉腫の治療方法を開示している。オコナーらは、単独で投与されたヒトCRPがわずかに最小または若干の抗腫瘍活性を有していたことを教示している。
デオダー(Deodhar)ら著、Cancer Research, 42:5084-5088(1982)は、マウス繊維肉腫T241の肺転移に対する生体内のヒトCRPを含む多ラメラ小胞の活性を記載している。デオダーらは、T241原発性腫瘍が切除された後のCRPを含む多ラメラ小胞の静脈内注射で治療された動物が更に少なくかつ小さい肺転移を有していたことを報告している。また、デオダーらは、多ラメラ小胞中のCRPの封入が抗転移効果を大いに高めたことを報告している。何となれば、多ラメラ小胞で与えられるよりも40倍多い投薬量で投与された遊離(封入されていない)CRPは匹敵する効果を示さなかったからである[同文献、また、デオダーら著、Cleveland Clinic Quarterly, 53:223-234(1986)を参照のこと]。
【0005】
トムバー(Thombre)ら著、Cancer lmmunol. Immunother., 16:145-150(1984)は、マウス結腸腺癌(MCA-38)に対するヒトCRPを含む多ラメラ小胞の抗転移活性を記載している。トムバーらは、原発性腫瘍の増殖後に非経口投与されたCRPを含む多ラメラ小胞で治療された動物が対照動物と較べて少ない肝臓転移及び長い生存を示したことを報告している(同文献)。
また、デオダーらは、CRPから誘導された合成ペプチドを含む多ラメラ小胞の抗腫瘍効果を記載している[デオダーら著、Proc.Am.Assoc.Cancer Research, 32:404(1991)]。しかしながら、デオダーらは、匹敵する投薬量の封入されていない合成ペプチドの投与が有効ではなかったことを報告している[同文献]。バーナら著、Proc.Am.Assoc.Cancer Research, 32:237(1991)は、T241肺転移モデルで実証された抗腫瘍活性が血液から肺へのMAC 1+細胞の増進された浸潤の結果として生じ得ることを示唆している。
デオダーら著、FASEB J., 3:831a(1989)は、マウス繊維肉腫T241の肺転移に対するIL-2と組み合わせた精製されたヒトCRPまたはペプチドフラグメントの活性を更に記載している。デオダーらは、1×104UのIL-2とCRPまたはペプチドフラグメントの組み合わせの投与が5×104UのIL-2の投与よりも有効であったことを報告している。バーナらは、CRPペプチドフラグメントとIL-2の組み合わせがヒト単球活性を増強するが、ナチュラルキラー(NK)活性を増強しないことを示唆する試験管内の細胞溶解データを開示している[FASEB J., 6:1433a(1992)]。
【0006】
2. 修飾 CRP の構造及び活性
ほぼ1983年に、CRPの別の形態(これは“修飾C反応性タンパク質”または“mCRP”と称される)が発見された。mCRPは天然CRPと比較してかなり異なる電荷、サイズ、溶解性及び抗原性特性を有する[ポテンパ(Potempa)ら著、Mol.Immunol., 20:1165-75(1983)]。また、mCRPはその結合特性の点で天然CRPと異なる。例えば、mCRPはホスホリルコリンを結合しない[同文献;チュドウィン(Chudwin)ら著、J.Allergy Clin. Immunol., 77:216a(1986)]。
mCRPの明瞭な抗原性は“ネオCRP”と称された。ネオCRP抗原性は、
1)或る条件下で酸、尿素または熱で処理されたCRP;
2)ヒト及びウサギのCRPをコードするDNAの一次翻訳産物;及び
3)プラスチック表面で固定化されたCRP
で発現されることが知られている[ポテンパら著、Mol.Immunol., 20:1165-75(1983); マントゾラニス(Mantzouranis)ら著、Ped.Res., 18:260a(1984); サモルズ(Samols)ら著、Biochem.J., 227:759-65(1985); ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)]。ネオCRPに特異的なポリクローナル抗体と反応性の分子が末梢血リンパ球(主としてNK細胞及びB細胞)の10〜25%、単球の80%、及び好中球の60%の表面だけでなく、組織損傷の部位で同定された[ポテンパら著、FASEB J., 2:731a(1988); ブライ(Bray)ら著、Clin.Immunol.Newsletter, 8:137-140(1987); リース(Rees)ら著、Fed.Proc., 45:263a(1986)]。更に、mCRPはその生物活性の点で天然CRPと異なる。mCRPは、単球細胞毒性の発生に影響でき、単球のアクセサリー細胞機能を改良でき、凝集IgG誘発食細胞酸化的代謝を強化でき、かつ単球によるインターロイキン-1、プロスタグランジンE及びリポキシゲナーゼ生産物の産生を増大できることが報告されていた[ポテンパら著、Protides Biol.Fluids, 34:287-290(1987); ポテンパら著、Inflamation, 12:391-405(1988); チュー(Chu)ら著、Proc.Amer.Acad.Cancer Res., 28:344a(1987); ポテンパら著、Proc.Amer.Acad.Cancer Res., 28:344a(1987); ゼラー(Zellar)ら著、Fed.Proc., 46:1033a(1987); チューら著、Proc.Amer.Acad.Cancer Res., 29:371a(1988)]。
mCRPを用いた生体内実験が行われて、mCRPがストレプトコッカル・ニューモニアの致死投与量に対し保護効果を与えることができるかどうかを測定した[チュードウィンら著、J.Allergy Clin. Immunol., 77:216a(1986)]。これらの研究は、mCRPの静脈内投与が致死性ストレプトコッカル・ニューモニアから動物を保護するだけでなく、mCRP効力が天然CRPよりも3〜4倍大きいことを実証した。
【0007】
また、mCRPは、1990年10月3日に出願された共同未決米国特許出願第07/582,884号に開示されているように、免疫複合体を結合するのに使用し得る。この出願はPCT出願の国際出願US89/01247号(1989年10月19日にWO 89/09628 号として公開された)として出願され、1988年4月4日に出願され、現在放棄されている米国特許出願第07/176,923号の一部継続出願である。更に、mCRPは、1991年11月27日に出願された共同未決米国特許出願第07/799,448号に開示されているように、ヒト免疫不全ウイルス1(“HIV-1”)の如きウイルス感染症を治療するのに有益である。最後に、mCRPは、1991年11月27日に出願された共同未決米国特許出願第07/800,508号に開示されているように、非ストレプトコッカスのバクテリア感染症及び内毒素セプシスを治療するのに使用し得る。
試験管内の研究において、mCRPは、抗殺腫瘍性単球を誘発するのに使用された物質に応じて単球中の殺腫瘍機能の発生を抑制または増進することがわかった[チュウーら著、Proc.Am.Acad.Cancer Res., 29:371a(1988); チュウーら著、Proc.Am.Acad.Cancer Res., 30:333a(1989)]。本件出願人の知るところによれば、生体内のmCRPの抗癌活性に関する論文はなかった。更に、本件出願人は、mCRPが哺乳類の癌を治療するのに使用されるという論文を知らない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明の要約
本発明は、医薬上許される担体中の有効量の修飾CRPを哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の癌の治療方法を提供する。
また、本発明は、有効量の修飾CRPを集合的に含む複数のリポソームを哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の癌の治療方法を提供する。
また、本発明は、別の薬剤と組み合わせて修飾CRPを哺乳類に投与し、その組み合わせが癌に対し有効であるように充分な量で両者を投与することを特徴とする哺乳類の癌の治療方法を提供する。
更に、本発明は、修飾CRPを含む像形成剤を使用して哺乳類の癌細胞を同定する方法を提供する。そうするために、標識された修飾CRPが投与され、哺乳類中で検出し得る。また、修飾CRPを結合する標識成分が投与され、哺乳類中で検出し得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
現在好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、修飾C反応性タンパク質(“mCRP”)を使用する癌の治療方法を提供する。本発明の実施に有益なmCRPは、あらゆる種からのものであってもよい。異なる種からのC反応性タンパク質(“CRP”)のアミノ酸配列の間にかなりの相同性がある。例えば、種々の哺乳類種からのCRPの間に約50%〜約80%の配列相同性がある[ヒュー(Hu)ら著、Biochem., 25:7834-39(1986); ホワイトヘッドら著、Biochem.J., 266:283-90(1990); キルパトリックら著、Immunol.Res., 10:43-53(1991)]。それ故、あらゆる種からのmCRPが癌を治療するのに有効であろうと予想される。こうして、癌を有する哺乳類が異種からのmCRPで治療し得る(例えば、マウスがヒトmCRPで治療し得る)。また、好ましくは、哺乳類がmCRPに対する免疫反応を避けるために同種mCRPで治療される(例えば、ヒトがヒトmCRPで治療される)。
mCRPは、出発物質として天然CRPを使用してつくられることが好ましい。天然源からのCRPの単離方法が当業界で知られており、例えば、ボラナキス(volanakis)ら著、J.Immuno1., 113:9-17(1978); デ・ビール(de Beer)ら著、J.Immunol.Meth., 50:17-31(1982); ポテンパら著、Mol.Immuno1., 24:531-541(1987)に記載されている。CRPはホスホリルコリン置換バイオゲル(Biogel)A 0.5m(カリフォルニア州、リッチモンドにあるバイオラド・ラボラトリィズ(BioRad Laboratories)から得られたアガロース系樹脂)を使用するカルシウム依存性アフィニティークロマトグラフィー[ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)を参照のこと]により胸膜液または腹水から単離されることが好ましい。このCRP単離方法が下記の実施例1に更に記載される。この単離方法を使用して、約99%の純度であるCRPを得ることができる。
【0010】
ヒト、マウス、及びウサギのCRPをコードするゲノムクローン及びcDNAクローンが単離されていた[レイ(Lei)ら著、J.Biol.Chem., 260:13377-83(1985); ウォー(Woo)ら著、J.Biol.Chem., 260:13384-88(1985); ヒューら著、Biochem., 25:7834-39(1986); ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988); ホワイトヘッドら著、Biochem.J. 266:283-90(1990)]。異種からのCRPの間の実質的な相同性を仮定すると、別の種からのCRPをコードするゲノムクローン及びcDNAクローンが単離し得るようにプローブを容易に調製し得る。このようなプローブを調製し、ゲノムクローン及びcDNAクローンを単離する方法が当業界で公知である。例えば、レイら著、J.Biol.Chem., 260:13377-83(1985); ウォーら著、J.Biol.Chem., 260:13384-88(1985); ヒューら著、Biochem., 25:7834-39(1986);ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988); ホワイトヘッドら著、Biochem.J. 266:283-90(1990)を参照のこと。既知のクローンの一種または新たに単離されたクローンを使用して、通常の公知の組換えDNA技術並びに細胞培養条件及び醗酵条件を使用してCRPを調製することができる。例えば、ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988)を参照のこと。しかしながら、五量体の天然CRPを得るために、真核生物宿主細胞、好ましくは哺乳類宿主細胞が使用されるべきである。サモルズら著、Protides Biol.Fluids, 34:263-66(1986); ヒューら著、J.Biol.Chem., 263:1500-1504(1988)を参照のこと。
また、CRPからmCRPをつくる方法が当業界で知られている[例えば、ポテンパら著、Mol.Immunol., 20:1165-1175(1983)を参照のこと]。例えば、mCRPはCRPを変性することにより調製し得る。CRPは通常のキレート剤(好ましくはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)またはクエン酸)の存在下で有効量の尿素(好ましくは8M)による処理により変性し得る。更に、CRPは、そのタンパク質のpHを約3以下または約11〜12以上に調節することにより処理されてmCRPを生成し得る。最後に、mCRPはカルシウムの不在下または上記の如きキレート剤の存在下で変性を生じるのに充分な時間にわたって50℃以上(好ましくは63℃で2分間)にCRPを加熱することにより生成し得る。
【0011】
また、mCRPは組換えDNA技術を使用して調製し得る。CRP遺伝子の一次翻訳産物(preCRP)が、ネオCRP抗原性を発現することがわかった[マントゾウラニスら著、Ped.Res., 18:260a(1984)]。それ故、mCRPは、CRPサブユニットが宿主細胞中で五量体の天然CRPに集合されないように条件を選択することにより調製し得る。これは、原核生物宿主中で所望のゲノムクローンまたはcDNAクローンを発現することにより行い得る。サモルズら著、Prot. Biol.Fluids, 34:263-66(1986)を参照のこと。このようにして生成されたmCRPは、CRPサブユニット及び/またはpreCRPそしておそらくその他のCRPペプチドの集合体からなることが明らかである。同文献を参照のこと。mCRPのこの形態は不溶性であり、更に精製に問題がある。しかしながら、この不溶性物質を更に処理しないで懸濁液として哺乳類に注射することは可能であるべきである。何となれば、血清精製mCRPの凝集形態は、下記の実施例4に更に記載されるように、有効であることが示されたからである。
mCRPは、幾つかの基準により天然CRPから区別し得る。背景部分で注目されたように、修飾CRPはネオCRP抗原性を発現し、一方、天然CRPは発現しない。ネオCRP抗原性は、ネオCRPに特異的なポリクローナル抗血清を使用して検出し得る[ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)を参照のこと]。しかしながら、mCRPは、共同未決米国特許出願第07/374,166号(その開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されたようなモノクローナル抗体を使用して天然CRPから区別される。その共同未決米国特許出願に開示されたモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマが、メリーランド、ロックビルにあるアミリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に寄託され、HB10175(mAb 15.2C10)、HB10176(mAb 26.8C10)、HB10177(mAb 13.3H12)、及びHB10178(mAb 15.1D6)として登録されている。また、これらのモノクローナル抗体がイング(Ying)ら著、J.Immunol., 143:221-28(1989)に記載されている。その抗血清及び抗体が、例えば、ELISAアッセイ、好ましくは下記の実施例1、パートCに記載されたDot-ELIFAアッセイに使用されてmCRPを天然CRPから区別し得る。
【0012】
mCRPを天然CRPから区別する別の基準は、共同未決米国特許出願第07/582,884号及び公開されたPCT出願WO 89/09628 号に記載されているように、mCRPが免疫複合体及び凝集免疫グロブリンを結合し、一方、天然CRPがそれらを結合しないことである。加えて、mCRPは、背景部分に記載されているように電荷、溶解性、結合特性及び生物活性に基いて天然CRPから区別し得る。しかしながら、製剤がmCRPを含むことを示すためには、その製剤が1)mCRPのみに見られるエピトープに特異的な抗体と積極的に反応し、または2)凝集免疫グロブリン(例えば、凝集IgG)を結合することを確かめることが通常充分である。
特別な理論により束縛されることを願わないが、mCRPは5つのCRPサブユニットの解離により生成され、これらの夫々が、その後、自然な配座変化を受けてmCRPを生成すると考えられる。ブライら著、Clin.Imunol.Newsletter, 8:137-140(1987)を参照のこと。それ故、CRPサブユニットのフラグメントがmCRPにつき本明細書に記載されたのと同じ活性を有し得ることは可能であり、このようなフラグメントの使用は本発明の範囲内に入ると考えられる。
また、CRPと実質的に相同のタンパク質はmCRPにつき本明細書に記載された活性を有するであろうと考えられ、このようなタンパク質がまた本発明の範囲内に入ると考えられる。例えば、CRP遺伝子の部位誘導突然変異誘発により付加、欠失または置換された或る種のアミノ酸を有するCRPサブユニットが、おそらく、癌の治療に有効であり、mCRPを置換し得るであろう。特に、mCRPは、本明細書中でCRP遺伝子の一次翻訳産物を含むものと定義される。
哺乳類の癌の第一の治療方法によれば、有効量のmCRPが哺乳類に投与される。本発明における“癌”という用語は広い意味で使用され、通常、調節されない細胞増殖を特徴とする哺乳類の生理学的症状を表す。mCRPは種々の癌(腺癌、リンパ腫、繊維肉腫、及び白血病を含むが、これらに限定されない)を治療するのに使用し得ることが意図されている。哺乳類中の癌細胞の存在が最初に検出される時、または癌があまりにひどくなる前に、mCRPが哺乳類に投与し得る。また、mCRPは、癌細胞の転移を低下し、転移性腫瘍を減少し、または原発性腫瘍の苦しみを軽減するように癌の進行後に投与し得る。
【0013】
mCRPは、医薬上許される担体中で哺乳類に投与し得る。医薬上許される担体は当業者に公知である。例えば、mCRPを投与するのに適した担体として、液体、例えば、水、塩類液、及び緩衝液が挙げられる。トリス(Tris)または食塩加リン酸緩衝液が担体として使用されることが更に好ましい。或る種の担体が、例えば、投与の経路及び投与されるタンパク質の濃度に応じて更に好ましいことは、当業者に明らかであろう。
また、有効量のmCRPを集合的に含む複数のリポソームが哺乳類に投与し得る。本発明における“リポソーム”という用語は、mCRPを封入できる包状または中空の小胞状の構造に関するものであり、多ラメラ小胞、単一ラメラ小胞、及び赤血球細胞形骸が挙げられるが、これらに限定されない。リポソームを調製し、分子をリポソーム中に封入する方法は当業界で公知である。
mCRPを含むリポソームは、本明細書中で“ルベット”と称される押出により形成された単一ラメラ小胞であることが好ましい。ルベットの調製方法が、マクドナルド(MacDonald)ら著、Biochim.Biophys.Acta, 1061:297-301(1991)に記載されており、更に下記の実施例1、パートCに記載される。ルベットはmCRPを封入するのに特に有益であると考えられる。何となれば、小胞が、タンパク質構造に化学的または物理的に殆ど影響しない押出方法を伴う物理的に温和な条件下で形成されるからである。また、ルベットはmCRPを投与するのに特に有益であると考えられる。何となれば、ルベットはリポソームを調製するのに普通使用される有機溶媒及び洗剤の痕跡量を含まないからである。また、ルベットは単一の脂質二層により形成され、比較的大きい内容積を含み、また典型的には多ラメラ小胞と比較して大きな封入効率を有する。mCRPを含むリポソームが機能する一つ以上の機構は充分に理解されていないが、リポソームは癌細胞へのmCRPの有効な送出のためのビヒクルとして作用し得ると考えられる。
【0014】
mCRPは注射(例えば、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射)により哺乳類に投与されることが好ましい。mCRPを投与するのに有効な投薬量及びスケジュールは実験により決められてもよく、このような決定をすることは当業者の技量内にある。本件出願人は、哺乳類の体重1kg当たり約0.10mg〜約20mg、好ましくは1kg当たり約2mg〜約10mgのmCRP(mCRPが医薬上許される担体中で投与され、またはリポソーム中に含まれるかを問わない)が癌を治療するのに有効であることを見出した。投与される必要があるmCRPの投薬量は、例えば、mCRPを受け取る哺乳類、癌の種類、癌細胞の増殖または転移の程度、一つ以上の腫瘍の生物学的部位または生体区画、投与の経路、及び哺乳類に投与されるその他の薬剤または治療、例えば、放射線治療または手術治療の同一性に応じて変化するでろうことは、当業者により理解される。また、1回より多いmCRPの投与を施すことが必要であり得ることが理解される。一般に、多回数のmCRPの投与が哺乳類に与えられる必要がある。投与の間隔は約1日〜約3日であることが好ましい。mCRPの投与は、健康が哺乳類につき回復されるまで続けられるべきである。
哺乳類の癌の別の治療方法によれば、有効量のmCRPが別の薬剤と組み合わせて哺乳類に投与される。mCRPは、上記のように、医薬上許される担体またはリポソーム中で哺乳類に投与し得る。mCRPと組み合わせて投与される薬剤は、天然産または合成の物質であってもよく、抗癌活性を有することが好ましい。
その方法の一実施態様において、薬剤は細胞毒性薬剤である。細胞毒性薬剤は当業界で知られている化学療法の化合物であることが好ましい。本発明により意図されている化学療法の化合物として、チオテパ、ブスルファン、シクロホスファミド、メトトレキセート、シタラビン、ブレオマイシン、シスプラチン、ドキソルビシン、メルファラン、メルカプトプリン、ビンブラスチン、及び5-フルオロウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。その他の化学療法の化合物が、本明細書に参考として含まれるクラコフ(Krakoff)著、CA-A Cancer Journa1 For Clinicians, 41:264-278(1991)に列記されている。典型的には、細胞毒性薬剤は細胞を破壊し、かつ/またはそれらの増殖を妨げるように機能し、こうして癌を治療するのに有益である。充分には理解されていないが、mCRPはこのような化学療法の化合物と関連する毒性副作用または宿主防御を刺激することによりこのような化学療法の化合物から生じる毒性副作用に対し保護し得ると考えられる。
【0015】
その方法の別の実施態様において、薬剤は免疫アジュバントまたはサイトカインである。“生物応答変更因子”とも称される免疫アジュバント及びサイトカインは、当業界で知られている。一般に、このような分子は宿主防御機構を刺激または増進するのに有益であり、それ故、抗癌治療に有益である。投与し得る免疫アジュバントまたはサイトカインの例として、一種以上のインターフェロン、コロニー刺激因子(CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、ステロイドの如きホルモン、並びにインターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、及びIL-6が挙げられる。
薬剤は、医薬上許される担体、例えば、水、塩類液、または緩衝液中で投与されることが好ましい。薬剤は哺乳類に経口投与されてもよく、また注射(例えば、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射)により投与されてもよい。許される担体及び薬剤を投与する適当な手段を決めることは、当業者の技量内にある。mCRP及び薬剤は同じ手段または異なる手段により投与し得る。例えば、mCRPは静脈内注射により哺乳類に投与されてもよく、一方、薬剤は哺乳類に経口投与される。
mCRPを投与するのに有効な投薬量及びスケジュールは上記されている。薬剤をmCRPと組み合わせて投与するのに有効な投薬量及びスケジュールは実験により決められてもよく、このような決定をすることは当業者の技量内にある。薬剤及びmCRPを投与する前に、有害な作用を避けるように一種以上の薬剤の毒性レベルを測定することが好ましい。投与される薬剤に応じて、薬剤及びmCRPは累積的活性または相乗活性を有し得る。例えば、mCRPの投与は、投与される薬剤の有効投薬量を減少し得る。投与される薬剤の投薬量は、例えば、治療される哺乳類、癌の種類、癌の全身の位置、哺乳類に投与されるmCRPの量に応じて変化することは、当業者により理解されるであろう。一般に、薬剤の多重投薬量がmCRPと組み合わせて投与される必要がある。また、薬剤はmCRP投与と異なる時間間隔で投与されることが好ましい。薬剤はmCRPを投与する約4時間〜約8時間前または後に投与されることが好ましい。薬剤及びmCRPの投与は、健康が哺乳類につき回復されるまで続けられるべきである。
【0016】
また、本発明は、mCRPを像形成剤として使用して哺乳類の癌細胞を同定する方法に関する。癌細胞を同定するために、mCRPが注射(例えば、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射)により哺乳類に投与される。次いで、mCRPが、下記の実施例2及び3に更に記載されるように、癌細胞部位に局在化し、癌細胞に結合する。
一実施態様において、標識mCRPが哺乳類に投与し得る。その方法に有益な標識は当業界で公知であり、酵素、蛍光体、放射性同位元素、及びビオチン−アビジンが挙げられるが、これらに限定されない。次いで、標識が、当業界で知られている技術により容易に検出し得る。
また、mCRPに結合する標識成分が哺乳類に投与し得る。例えば、mCRPエピトープに特異的な反応性を有する酵素標識抗体またはフルオレセイン標識抗体が哺乳類に投与されて、mCRPが結合した癌細胞の存在及び位置を同定し、検出し得る。
【0017】
【実施例】
実施例1:EMT6 胸部腺癌に対する mCRP の抗腫瘍活性
生体内実験を行って、mCRPがマウス胸部腺癌であるEMT6に対する抗腫瘍活性を示すか否かを測定した。mCRPの活性を、原発性腫瘍増殖及び転移を調べることにより評価した。
A.CRP の調製及び精製
ヒト腹水を、イリノイ州、シカゴにあるノースウエスタン・メモリアル病院(Northwestern Memorial Hospital)の病因学部の細胞学部門、反びイリノイ州、エバンストンにあるエバンストン病院(Evanston Hospital)から入手した。滅菌技術を使用して、これらの液体をフィルター・フラッフ(fluff)により濾過し、次いでCaCl2を2〜5mMの最終濃度まで添加した。その液体−CaCl2混合物を4℃で貯蔵した。
夫々の液体をサンプリングし、クロウル(Crowle)著、Immunodiffusion, アカデミック・プレス(Academic Press), ニューヨーク, 3章(1973)により記載された方法の改良に従ってCRPにつき放射状免疫拡散アッセイで分析した。25μg/mlより大きいCRP濃度を有する腹水を、ボラナキスら[J.Immunol., 126:1820-1825(1981)]及びデ・ビール[J.Immuno.Methods, 50:17-31(1982)]により記載された方法の改良により、連続のカルシウム依存性アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。液体約3〜4リットルを、325 mlのカラム容積を有するホスホリルコリン置換バイオ−ゲルA 0.5m(バイオラド、リッチモンド、CA)アフィニティーカラムに36〜48時間にわたって適用した。280nmにおける溶離液の吸光度が0.05未満になるまで、カラムを平衡緩衝液(75 mMのトリス-HCl、150 mMのNaCl、2 mMのCaCl2、pH7.3)で徹底的に洗浄した。次いで、0.25以上の280nmにおける吸光度を有するCRPを含む画分をトリス−クエン酸塩キレート化緩衝液(75 mM のトリス−HCl、7.5 mMのクエン酸塩、150 mMのNaCl、pH7.3)により溶離した。
【0018】
CRP画分を溜め、脱イオン蒸留水で3倍に希釈し、pH7.3に調節した。次いで希釈画分を、希釈CRP各500 mlに対し50gの樹脂の比でDE-52陰イオン交換カラム(ワットマン・バイオケミカルズ(Whatman Biochemicals)、ケント、英国)に適用した。次に、CRPを含む画分を10 mM のトリス-HCl、pH7.3中の線形の0.05〜0.5MのNaCl勾配で溶離した。残留SAPを除去するために、これらの画分を未置換バイオ−ゲルA 0.5mカラム(バイオラド)に適用し、上記の平衡緩衝液で溶離した。CRPを放射状免疫拡散法(RID)により試験し、IgG及びSAPにつき陰性と確認し、二重拡散アッセイによりIgM、IgE、並びに補体成分C1q及びC3につき陰性と確認した。
タンパク質濃度を、ソレンソン(Sorenson)ら[Experientia, 42:161-162(1986)]により記載されたビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイ(ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Co.)、ロックフォード、IL)の改良、またワッデル(Waddell)[J.Lab.Clin.Med., 48:311-314(1956)]により記載されたような215nm及び225nmにおける分光吸光度アッセイにより測定した。全CRP含量を、280nmにおけるCRPの1.95cm-1(mg/ml)の吸光率を使用することにより計算した[ウッド(Wood)ら著、J.Clin.Invest., 30:616-622(1951)]。CRPの純度を、CRPのの合計量を同一試料中のタンパク質の合計量で割り、100を掛けることにより計算した。CRPのタンパク質純度はこれらの計算値から98.5%以上であることが決定された。
また、CRP純度を、4.0%のスタッキング(stacking)ゲル、12.0%の分割ゲル、及びラエムリ(Laemmli)著、Nature, 227:680-685(1970)に記載された緩衝系を使用して還元条件下でナトリウムドデシルスルフェート−ポリアクリルアミドゲルにより確認した。色素前部がスタッキングゲルに完全に入るまでゲルを100Vの一定電圧設定で4℃で運転した。その後ゲルを完結まで200Vで運転した。全てのCRPタンパク質が約22.5 Kd の単一バンドとして移動し、ウルトロスキャン(UltroScan)XLデンシトメーター(LKBインストルメンツ(Instruments))によるレーザーデンシトメトリーにより測定したところ、99%より大きい純度であった。
精製CRPを、アミコン(Amicon)PM-30膜(アミコン、デンバー、MA)を使用して窒素雰囲気下で限外濾過により1 mg/ml に濃縮し、トリス緩衝塩類液−カルシウム(10 mM のトリス-HCl、150 mMのNaCl、2 mMのCaCl2、pH7.3)に対し透析した。次いでCRPを0.45ミクロン及び0.2ミクロンのアクロディスク(Acrodisc)フィルター集成装置(ゲルマン・サイエンシィズ(Gelman Sciences)、アン・アーバー、MI)により連続して濾過し、滅菌ガラスバイアル中で4℃で貯蔵した。
【0019】
B.mCRP 調製
修飾CRP(“mCRP”)を、ポテンパら[Mol. Immunol., 20:1165-1175(1983); Mol. Immunol., 24:531-541(1987)]により先に記載された方法を使用して調製した。トリス緩衝塩類液−カルシウム緩衝液中で1 mg/ml で上記のようにして調製した精製された天然CRPを5 mMのEDTAでキレート化し、8Mの尿素中で37℃で2時間インキュベートした。次いで尿素を低イオン濃度のトリス緩衝塩類液(10 mMのトリス-HCl、50 mM のNaCl、pH7.3)に対し透析することにより除去した。mCRPの凝集を最小にするように、mCRPを低イオン濃度の緩衝液中で調製することが好ましい。次いでmCRP濃度を、上記のように、280nmにおける1.95cm-1(mg/ml)の吸光率及びBCAタンパク質アッセイを使用して測定した。mCRPを上記のように滅菌濾過し、滅菌ガラスバイアル中で低イオン濃度のトリス緩衝塩類液中に4℃で貯蔵した。
C.ルベット調製
天然CRPもしくはmCRP(上記のようにして調製した)、または対照緩衝液を含むルベットを、マクドナルドら著、Biochim.Biophys.Acta, 1061:297-301(1991)により報告された方法の改良に従って調製した。更に詳しくは、使用した方法は二つの先に記載された方法−生物活性巨大分子の取り込みに温和な条件を使用する第一の方法[キルビィ(Kirby)ら著、Liposome Technology, I巻, Preparation of Liposomes, CRC Press, 19-27頁(1984)]と、良く規定されたサイズ及び均一性の小胞を形成する第二の方法[オルソン(0lson)ら著、Biochim.Biophys.Acta, 557:9-23(1979)]の組み合わせであった。
L−α−レシチン(ホスファチジルコリン)、スフィンゴミエリン(アバンチ・ポーラー・リピッズ社(Avanti Polar Lipids, Inc.)、ペルハム、AL)及びコレステロール(シグマ(Sigma))の混合物を1:1:1のモル比で丸底フラスコに入れ、HPLC銘柄クロロホルム(シグマ)に溶解した。これらの脂質成分合計35.5mgをクロロホルム6.75mlに懸濁させ、ロータリー・エバポレーター(ブッチ・ロート−バック(Buchi Roto-vac)、ベルン、スイス)を使用して50℃の水浴中で高真空下で少なくとも1時間乾燥させてフラスコの壁部に薄いフィルムを形成した。次いで、乾燥した脂質内容物を封入すべき水相媒体(即ち、天然CRP、mCRP、または対照緩衝液)3.5 mlで水和して15.9 mM の脂質濃度を生じた。
【0020】
自然に形成した小胞を、二つの0.5 mlのハミルトン・シリンジ(ハミルトン、レノ、NV)がはめ込まれた手動押出装置[R.C.マクドナルドの研究所で開発され、マクドナルドら著、Biochim.Biophys.Acta,1061:297-301 (1991)に記載されている]中に取り付けた単一の0.1ミクロンのポリカーボネート膜(ヌクレオポアー(Nucleopore)、プリーサントン、CA)を通して加圧下で9回の押出にかけた。押出の奇数回の通過を行って試料の水和中の大きな小胞(これらは第一回の通過の際にフィルターを通過していなかったかもしれない)からの可能な汚染を避けた。押出方法からのルベットは約0.1ミクロンの均一かつ良く規定されたサイズ分布を有していた。ルベットを1〜2時間の期間にわたって4℃で貯蔵した。
ルベットに封入されたタンパク質、天然CRPまたはmCRPの量を、カプラン(Kaplan)ら著、Meth.Enzymol., 172:393-399(1989)により記載された操作の適用により測定した。室温で、夫々のルベット試料20μlを蒸留脱イオン水2.0 mlで希釈した。その希釈試料に、下記の物質を順に添加した:10%(w/v)のSDS 200μl、トリス-SDS(1Mのトリス-HCl、1%(w/v)のSDS、pH7.5)300μl及び10%のトリクロロ酢酸(TCA)600μl。夫々の添加後に、その混合物を10秒間連続的に攪拌した。その混合物をTCA工程後に室温で5分間インキュベートした。
夫々の試料をミリポア(Millipore)HAWP 09000 フィルター(ミリポア・コーポレーション、ベッドフォード、MA)で濾過し、6%(w/v)のTCA 2.0 mlで洗浄した。洗浄後、フィルターを、シェーカーテーブル上でアミドブラック染色液[45:10:45の比のメタノール/氷酢酸/水に溶解した0.1%(w/v)のアミドブラック10B(バイオ−ラド)]200 ml中に3分間入れた。フィルターを除去し、シェーカーテーブル上で蒸留脱イオン水約200 mlで2分間洗浄した。次いでフィルターをふき、きれいなレーザーブレードで細断し、その後、それをアミドブラック溶離緩衝液(25 mM のNaOH、0.05 mM のEDTA、50%のエタノール)700μlに入れた。室温で30分間のインキュベーション中に時々攪拌して色素をフィルターから溶離し、溶離液の吸光度を630nmで測定した。吸光度値を使用して、2〜24μgのBSAを含む試料で作成した線形標準曲線からタンパク質濃度を計算した。
【0021】
ルベット封入効率を、カルセイン容積相アッセイ(内在化容積を測定するため)及びアミドブラックタンパク質アッセイ(タンパク質の量を測定するため)により測定した。また、封入効率を、オク(Oku)ら著、Biochim.Biophys.Acta,691:332-340(1982)により記載されたような蛍光水相容積マーカーを使用して測定した。脂質比として表される、測定された天然CRPの量は、脂質1μモル当たり2.0μgのCRPであった。また脂質比として表される、小胞内在化容積は、脂質1μモル当たり2.02μlであった。計算されたルベット封入効率は、990μgのCRP/ml±20μg/ml内部容積であった。
また、ルベットを天然CRP及びmCRPにつき抗原決定基特性に関して評価して、ルベットが均一な天然CRP製剤またはmCRP製剤のいずれを含むかを測定し、またこれらのCRP形態の相互変換があるか否かを測定した。特定の天然CRPまたはmCRP抗原決定基の存在を測定し、定性化するために、天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットを、ドット−酵素結合免疫濾過アッセイ(“Dot-ELIFA”)により分析した。Dot-ELIFA[クラーク(Clark)ら著、J.Biotechniques, 印刷中(1992)により記載されている]を、先に記載されたプロトコル[ホークス(Hawkes)ら著、Analyt.Biochem., 119:142-147(1982); パパス(Pappas)ら著、J.Immunol.Meth., 64:205-214(1983)]の適用により開発した。このアッセイはプラスチックマイクロタイタ・プレートに代えてニトロセルロース膜を使用し、こうしてプラスチック表面に吸収された時に配座変化を受けることが知られているCRPの如きタンパク質で特に有益である[ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)を参照のこと]。
簡単に言えば、天然CRP、mCRP、及び天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットの系列希釈液をイージー−タイタ(Easy-Titer, 商標)ユニット(ピアス・ケミカル社、ロックフォード、IL)により0.45ミクロンのニトロセルロース膜に適用した。全てのウェルを試料緩衝液100μlで洗浄して未結合タンパク質を除去した。残っている未結合部位をウシ血清アルブミン(BSA)のバックコートでブロックした。次いでニトロセルロース膜をファースト・プロット・ディベロッパー(Fast Blot Developer, 商標)ユニット(ピアス・ケミカル社)に入れた。
【0022】
次に、その膜を天然CRPまたはmCRPに特異的な一次抗体でインキュベートした。イリノイ州、エバンストンにあるイムテク・インターナショナル社(Immtech International, Inc.)のローレンス・ポテンパ博士から入手した下記のモノクローナル抗体(“mAbs”)を試験した:15.1D6(天然CRPに特異的な反応性);13.3H12、26.7A8、及び26.8C10(mCRPに特異的な反応性);並びに15.2C10(天然CRP及びmCRPに特異的な反応性)。これらの抗体は、共同未決米国特許出願第07/374,166号明細書、及びイング(Ying)ら著、J.Immuno1., 143:221-228(1989)に記載されている。
洗浄して未結合の一次抗体を除去した後、その膜をヤギまたはウマ抗マウスIgGホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)接合体でインキュベートした。次いでその膜を洗浄して未結合二次抗体を除去し、HRP基質で展開した。
Dot-ELIFA試験の結果は、mAb 13.3H12がmCRPエピトープに特異的であり、またmAb 15.1D6が天然CRPエピトープに特異的であることを確かめた。また、これらの結果は、ルベットに封入された天然CRPの1%未満がmAb 13.3H12により認識されたmCRPエピトープを示すことを示した。それ故、天然CRPの1%未満がルベット押出操作によりmCRPに変換されていた。ルベットに封入されたmCRPは天然CRP形態への変換を生じそうにないと考えられたが、mCRPを含むルベットを13.3H12抗体及び15.1D6抗体との反応性につき調べた。これらの結果は、天然CRPエピトープがmCRPを含むルベットにつき実質的に発現されないことを示した。
比較のために、天然CRPを含む多ラメラ小胞(“MLVs”)をデオダーら著、J.Biol.Rep.Modifiers, 1:27-34(1982)により記載された方法に従って調製した。次いで、天然CRPを含むMLVsを、上記のように、Dot-ELIFA分析を使用してCRPエピトープ及びmCRPエピトープにつき試験した。
投薬量依存様式で、MLV製剤はmAb 13.3H12及びmAb 15.1D6の両方により認識された抗原決定基を示した。検出された15.1D6の量は、天然CRP 2048ngを含むMLVアリコートまで試験した全ての滴定点で13.3H12よりも大きかった。総合して、そのデータは、デオダーらにより報告された方法によりMLVsに封入された天然CRPの約40%がmCRPに変換されることを示した。
【0023】
また、これらのMLVsの封入効率を、カルセイン容積相アッセイ及びアミドブラックタンパク質アッセイを使用して評価した。これらのMLV製剤中、脂質に対する比として報告されるCRPの量は、脂質1μモル当たり0.28μgのCRPであった。脂質に対する容積比として報告されるMLV内在化容積は、脂質1μモル当たり0.82μlであった。アミドブラックタンパク質アッセイからのCRPタンパク質/脂質比及びカルセイン容積相アッセイからの容積/脂質比を使用して、MLV封入効率は341.5μgのCRP/ml±53μg/ml内部容積であった。
ルベットと比較してMLVsの性質の幾つかを、下記の表1に示す。
【表1】
表1に示されるように、ルベットは脂質の量当たりに封入された多量のタンパク質を生じただけでなく、更に大きい内在化容積及び封入効率を生じた。また、ルベットに封入された天然CRPはmCRPへの天然CRPの検出可能な変換を生じなかった。こうして、ルベットはMLVsよりも優れていることが結論された。
D.mCRP の生体内の毒性の研究
天然CRP、mCRP、または天然CRP、mCRP、もしくは対照緩衝液を含むルベットを試験動物に投与する前に、生体内の毒性の研究を行って、mCRPの投与が有害な副作用により伴われるか否かを測定した。
生後10〜12週の合計80匹の雌のBALB/cマウス(ハーラン・ラボラトリィズ(Harlan Laboratories)、マジソン、WIから入手した)を、夫々5匹のマウスの対照群及び実験群にランダムに分けた。実験群に1μg/マウス〜100μg/マウスの範囲のmCRP投薬量を注射し、一方、対照群に食塩加リン酸緩衝液を注射した。注射は静脈内、腹腔内または皮下であり、4日目、11日目、及び18日目に投与した。
【0024】
最初の注射の前に、全ての実験群動物及び対照群動物の基準データを記録した。動物を体重並びに血液、タンパク質、グルコース、及びpHに関する尿検査(アメス社(Ames Co.)、ヘマ−コンビスティクス・リージェント・ストリップス(Hema-combistix Reagent Strips))の3週毎の測定により監視した。動物の大半、80匹のうちの75匹(93%より大きい)が体重値を普通に許容される変化限度(これらは最初の体重の10%より大きくない体重損失と定義される)内で増加または維持した。80匹の動物のうちの合計5匹が最初の体重の10%より大きい値だけ全体重を減少した。この群のマウスは、24%を越える体重の減少を経験しなかった。
夫々の実験群と比較して対照群の体重の変化率(%)の平均値の差の有意差を測定するために、ツー・テールド(two-tailed)スチューデントt−検定を使用し、0.05未満のpが有意差があると考えられる。試験結果は、全ての群につき体重の変化率(%)に統計上有意差がないことを示した。
尿検査試験は、試験した全ての群につき測定パラメーターの最小の変化を明らかにした。いずれの時点でも、グルコースまたは血液が尿中に検出されなかった。全ての動物に関する尿のタンパク質含量は例外なしに30μg/mlで一貫して測定された。尿pH値は正常な限度内で最小に変化し、いずれの個々の動物についても変化の単一のpH単位を決して越えなかった。
その他に、全ての群の全般の外観及び活動を写真に撮り、記録した。観察し得る活動及びグルーミング(3個の別個のケージ内で動物により示されたバーベリング(barbering)の現象の傾向を含む)は正常の限度内であった。全てのこれらの結果は、種々の投薬量で、記載された種々の投与の経路により投与されたmCRPが、記載されたパラメータ一により測定して有害な副作用を誘発しないことを実証する。
【0025】
E.EMT6 原発性腫瘍増殖及び転移に関する天然 CRP 及び mCRP の効果
生体内の腫瘍増殖アッセイを行って、マウスEMT6胸部腺癌腫瘍の増殖に関するmCRP及び天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットの効果を測定した。マウスEMT6胸部腺癌細胞系、即ち、EMT6を、バージニア州、リッチモンドにあるバージニア医科大学のジョン・ウィルソン(John Wilson)博士から入手し、10%の加熱不活化ウシ胎児血清、11.25μg/mlのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.5μg/mlのアンフォテリシンBを補給したRPMI-1640培地中で培養した。細胞系を試験し、測定したところ、マイコプラスマ及びその他の微生物汚染を含まなかった。
研究の1日目に、約3×106の生存可能なEMT6細胞/0.10mlのRPMI-1640を、ハーラン・ラボラトリィズ、マジソン、WIから入手したBALB/cマウスに注射した。これらの細胞を、全ての動物の右後肢の踵骨の近位に皮下注射し、動物を下記の表2に列記されたような7つの群にランダムに分けた。7日目に、腫瘍塊が全ての動物で成長した。
【表2】
夫々の群につき表2に記載された治療を、7日目に開始して13日にわたって2日毎に静脈内注射により投与した。注射の前に、天然CRP、mCRP、または対照緩衝液を含むルベットを使い捨ての2.5 mlのバイオ−ゲルA 0.5mカラム(約1〜2mlの床容積/mgタンパク質)による分離クロマトグラフィーにかけてルベットと会合していない天然CRPまたはmCRPを除去した。ルベットは空隙容積でカラムを通過し、濁った外観であった。封入されなかったタンパク質を、ルベット画分から2〜3カラム容積間隔でカラムから溶離する280nmで吸光度を有する遅く移動する画分として測定した。
マックイントッシュ(McIntosh)ら著、Cancer Research, 49:1408-1414(1989)により記載されているようにして、開始の一次部位における腫瘍の増殖を、副尺カリパーを使用して、最も近い0.05mmまでの隆起腫瘍塊の最短寸法及び最長寸法に沿って測定することにより評価した。小半径(a)及び大半径(b)を使用して、長球面の式:
容積=4/3πa2b
を使用して腫瘍容積(mm3)を計算した。計算腫瘍容積は腫瘍の苦しみを反映する。夫々の試験群は15〜16匹の動物を含んでいた。平均の腫瘍の苦しみを治療群につき計算し、ツー・テールド・スチューデントt−検定を使用して比較し、0.05未満のp値が統計上有意であると考えられた。
【0026】
治療を受けない動物(群1)及びルベット中の天然CRPを受ける動物(群4)と比較して、ルベット中のmCRPを受ける動物(群5)中の原発性腫瘍の増殖が、治療が施された日数にわたって図1に示される。静脈内治療注射を、図1に示された矢印により示された日に行った。
腫瘍移植の7日後に、種々の群中の平均腫瘍塊は459mm3から863mm3まで変化した。腫瘍増殖速度を平均腫瘍容積(立方ミリメートル)±平均の標準偏差としてプロットする。ルベット中の天然CRPを受ける動物中の腫瘍は速い速度で増殖し続け、治療を受けない対照群の動物で観察された速度と平行であり、殆ど異ならない。対照的に、ルベット中のmCRPを受ける動物の腫瘍増殖速度はこの時間の期間にわたって最小であった。スチューデントt−検定を使用して、ルベット中のmCRPで治療された動物の腫瘍増殖は、治療を受けない対照動物の腫瘍増殖とは9日目でp<0.025、また11〜19日目にp<0.001とかなり異なっていた。
治療を(19日目の後に)29日目まで一旦停止すると、ルベット中の天然CRPで治療された動物の腫瘍増殖は影響されず、速い速度で統いた。図2(腫瘍増殖が7日目に測定されたその腫瘍サイズからの変化率(%)としてプロットされる)に見られるように、治療を受けない対照群及びルベット中の天然CRP群の両方における腫瘍は、7日目に測定された腫瘍よりも10倍(1000%)よりも大きかった。ルベット中のmCRP群における腫瘍増殖は、治療が停止された後に増大し、治療を受けない対照群における同様のサイズの腫瘍で観察された増殖速度に匹敵する速度で成長した。
【0027】
線形増殖速度と仮定し、また治療後の日数と比較して治療の日における腫瘍増殖に関して最小2乗線形回帰分析を使用して(下記の表3に要約される)、治療を受けない対照群の動物の腫瘍増殖速度は7〜19日目中203.5±12.7mm3/日であり、19〜29目中366.9±34.1mm3/日であった。天然CRP-ルベット群の動物の腫瘍増殖速度は、治療中186.8±24.4mm3/日であり、19〜29目中367.0±33.7mm3/日であった。ルベット中のmCRP群の動物は治療日、7〜19日目中に44.7±24.4mm3/日のごくわずかの平均腫瘍増殖を有し、増殖速度は19〜29目中327.6±18.1mm3/日まで増大した。
【表3】
腫瘍増殖は、ルベット中のmCRP治療の停止後に対照群の動物と同様の速度まで増大した。それにもかかわらず、ルベット中のmCRPで治療した動物は、治療を受けない対照群またはルベット中の天然CRPで治療した群で測定した腫瘍よりも21〜29日目の全ての時点でp<0.01と統計上小さい腫瘍を有し続けた。
図3において、mCRPで治療した群(群3、緩衝液中のmCRPを受ける)が、研究の29日の経過にわたって腫瘍増殖(平均腫瘍容積)に関して治療を受けない群(群1)と比較される。その結果は、mCRPがまたマウス胸部腺癌腫瘍の増殖を阻止するのに有効であったことを示す。mCRPは、ルベット中のmCRPによる治療(群5)で観察されたような、最初の治療投薬量で開始する即時の保護効果を示さなかった。9日目反び11日目に、mCRP治療群で測定された平均腫瘍容積は、治療を受けない対照群(及びルベット中の天然CRPで治療した群)の動物と平行して増大した。第三のmCRP−緩衝液投薬量の投与後(その時点で、平均腫瘍容積は約1500mm3に達していた)、mCRP治療は有効になり、治療期間の残り(19日目まで)にわたって治療動物で更なる平均腫瘍増殖を生じなかった。全治療日数(7〜19日目)の腫瘍増殖速度は67.3±22.9mm3/日であり、ルベット中のmCRPによる治療群よりも50%大きい速度であった(表3)。しかしながら、線形回帰が、mCRP−緩衝液治療が腫瘍増殖を行うことが明らかになった日(11〜19日目)のみにわたる腫瘍増殖速度につき行われる場合、その増殖速度は15.0±24.2mm3/日まで低下する。有意差につきツー・テールド・スチューデントt−検定を使用して、この腫瘍増殖はゼロ増殖速度と殆ど異ならない。
【0028】
19日目後に、腫瘍増殖は、有効な抗腫瘍活性を示さない群で測定された速度に匹敵する速度で増大した。平均腫瘍容積が7日目に測定された腫瘍サイズからの変化率(%)としてプロットされる場合(図4)、mCRP治療を受ける動物は、ルベット中の天然CRPによる治療(及び治療を受けない対照)と比較して、治療の最初の3日間中に腫瘍増殖のわずかな遅延を示した。11日目から19日目まで、平均腫瘍増殖が実質的に生じなかった。13日目に、mCRP治療は治療を受けない対照またはルベット中の天然CRPによる治療とは0.025より小さいp値で有意に異なっていた。15〜19日目に、測定された差が両方の群と比較して0.001より小さいp値で有意であり続けた。治療を停止し、腫瘍が再度成長し始めた(21〜29日目)後に、mCRP治療群の平均腫瘍容積は、天然CRP−ルベット治療群とは、23日目まで0.001より小さいp値で、29日目まで0.02より小さいp値で有意に異なり続けた。
これらのデータは、天然CRPではないmCRPがマウス胸部腺癌の増殖を阻止するのに有効な治療であることを示唆する。更に、mCRPは、リポソーム中で注射され、または緩衝液中で単独で注射されても有効である。
mCRPの抗腫瘍効果を更に完全に特徴付けるため、壊死性病変を示す動物の数、進行性腫瘍増殖速度対変動する腫瘍増殖速度、肺転移の数、及び夫々の群中の個々の動物の死亡数に関するデータを測定した。これらのデータが上記の表2に示される。
腫瘍部位を壊死性病変に関する研究中に目視で調べた。7日目の腫瘍の目視試験は、隆起した皮下の充実性腫瘍塊の存在を示し、良く形成された境界が腫瘍の全表面にわたって均一な色及び組織を有していた。壊死性病変を、組織の可能な退化を伴う皮膚表面の黒化と定義した。対照群の動物(合計30匹の動物−群1、2A、2B、及び2C)は壊死の徴候を示さなかった。対照的に、ルベット中のmCRPで治療された16匹の動物のうちの12匹(おそらく14匹)、及びmCRPで治療された15匹の動物のうちの7匹(おそらく8匹)が壊死を示したが、一方、ルベット中の天然CRPによる治療を受ける15匹の動物のうちの1匹(おそらく2匹)が壊死を示した。ルベット中のmCRPによる治療を受ける15匹の動物のうちの6匹が最初の治療の48時間後の9日目に壊死性部位を発生した。19日目までに、この治療群の幾つかの動物が二つまたは三つの別個の病変を示した。壊死性病変は柔らかく、触診に対し柔軟であり、かつ全腫瘍表面の1/3までを覆っている良く形成された皮下の兆候であった。微細なニードル吸引バイオプシーを壊死性部位で行って、これがその部位における死亡した腫瘍細胞並びに圧倒的多数の多形核白血球及びマクロファージを確かめた。また、バイオプシーの分析は、観察された壊死が感染プロセスの結果ではないことを示した。
【0029】
壊死性病変は可変のサイズ及び形状のものであり、最大測定寸法で15回を越えなかった。最初に認識された病変は触診により展性であったが、時間がたつにつれて、それらは触れると非柔軟性になり、また退縮により毛質になり、わずかにへこんだ境界を有していた。腫瘍を剖検で切除した場合、付加的な不連続の巣状壊死性病変が表面試験により目視できない腫瘍塊中で発見された。その他の器官または組織はmCRP治療(緩衝液中のmCRPまたはルベット中のmCRP)により異常に影響されないことがわかり、これはmCRPが非毒性であるとともに直接の抗腫瘍効果を有することを示した。
また、個々の動物中の腫瘍の増殖特性は、表2に列記された種々の群間で重要な差異を示した。例えば、群5中の15匹の動物のうちの6匹が、7日目の治療の前の腫瘍容積と比較された場合に60%までの腫瘍サイズの減少(腫瘍サイズの半分の減少より大きい)を有することが実証された。更に、群5中の動物の44%(7/16)の腫瘍増殖が、腫瘍増殖の変動する進行を示した。
対照的に、両方の対照群(天然CRPまたはmCRPを受けない群1、2A、2B、及び2C)の原発性腫瘍増殖の測定は、動物間で殆ど変化しないで一貫した腫瘍増殖を示した(群2A中のわずかに1匹の腫瘍を有する動物が腫瘍サイズの変動する増大を示した)。対照緩衝液を含むルベットを受ける動物(群2B及び2C)の腫瘍増殖は、ルベットそれ自体が原発性腫瘍増殖に対し抑制効果を有しないことを示した。また、両方の対照群の腫瘍増殖の速度は匹敵していた。その他の二つの群において一貫した腫瘍容積増大/変動する増大を示す動物の数は、群3(緩衝液中のmCRPによる治療)(10/5)、及び群4(天然CRP-ルベットによる治療)(9/6)であった。
また、全ての解剖した動物の肺組織を転移につき評価した。表2に示されるように、対照群1及び2は転移の高発生率を有していた。群1及び2を構成する30匹の動物のうちの20匹(67%)が肺中に転移性腫瘍増殖を有していた。更に詳しくは、群2A、2B、及び2Cを構成する15匹の動物のうちの12匹の動物(80%)が、観察できる転移性肺腫瘍を有していた。また、群4の動物(ルベット中の天然CRPを受ける)が、転移の比較的高い発生率を示した。群4中、15匹の動物のうちの10匹(67%)が肺転移を有していた。
対照的に、mCRPまたはルベット中のmCRPを受ける群3及び群5の動物は夫々転移の低下された発生率を示した。群3中、15匹の動物のうちの6匹(40%)が肺転移を有し、一方、肺転移性腫瘍が群5の16匹の動物のうちのわずかに1匹(6.25%)で観察された。
こうして、この生体内の研究からのデータは、mCRPで治療された動物及びルベット中のmCRPで治療された動物が腫瘍壊死の高発生率、及び腫瘍サイズの大きな減少、または変動を有することを明らかにした。また、これらの結果は、mCRPが原発性腫瘍増殖に対する効果に加えて、腫瘍の転移を減少することを示唆する。
【0030】
実施例2 : EMT6 胸部腺癌細胞への天然 CRP 及び mCRP の結合
天然CRPまたはmCRPがEMT6組織培養細胞を結合するか否かを測定するために、細胞遠心分離を使用してサイトスピン(cytospin)スライドを調製した。実施例1、パートEに記載された培養EMT6細胞を洗浄し、食塩加リン酸緩衝液(PBS)中で約1-2×106/mlまで再度懸濁させた。カードカバーを備えたガラス顕微鏡スライドを細胞遠心分離機中に取付け、EMT6細胞懸濁液0.2〜0.3 mlを溜めに入れた。次いで細胞を15分間にわたって遠心分離によりスライドに固着させた。得られる細胞単層を30分間空気乾燥させ、室温で貯蔵した。
次いでスライドを、実施例1、パートA及びBに記載され、100μg/mlに希釈された緩衝液中の天然CRPまたはmCRP 200μlでオーバーレイし、保湿室中で37℃で30分間インキュベートした。次に、スライドをPBSの2種の変化中ですすぎ、ブロッキング溶液[PBS中1%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.5%の正常なウマ血清]で15分間プレインキュベートした。PBSで2回洗浄した後、4μg/mlのmAb 15.1D6(実施例1に記載)または10μg/mlのビオチニル化ポリクローナル抗体LP5[イリノイ州、エバンストンにあるイムテック・インターナショナル社のローレンス・ポテンパ博士から入手され、ポテンパら著、Mol.Immunol., 24:531-541(1987)に記載されている]を37℃の保湿室中の30分間のインキュベーションのために添加した。ケンダール(Kendall)ら著、J.Immunol.Meth., 56:329-339(1983)及びフス(Hsu)ら著、J.Histochem.Cytochem., 27:1131-1145(1981)に記載されたプロトコルの改良を使用して抗体をビオチニル化した。
スライドをPBSで2回洗浄し、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ二次試薬を適用した。次に、ジアミノベンジジン基質緩衝液[PBS10ml中のDAB四塩酸塩(シグマ)6mg、+3%のH2O2 0.1ml]を調製し、濾過して沈殿を除去した。次いでスライドをその緩衝液中に15分間浸漬した。その反応を、流水中で10分間洗浄することにより停止した。洗浄後、スライドをメイヤーのヘマトキシリン(Hematoxylin)(シグマ)中の3分間の浸漬により対比染色し、水中ですすいで過剰の染色液を除去し、その後、20秒間で30mMのNH4OHを添加した。スライドを再度水中で洗浄し、パーマウント(Permount)を使用してガラスカバースリップで取り付けた。
天然CRPまたはmCRPによるEMT6サイトスピンスライドのインキュベーションはEMT6細胞への天然CRP及びmCRPの両方の直接結合を示した。10μg/mlの天然CRPによるインキュベーション後に、EMT6細胞は13.3H12 mAb (5.5μg/ml)に優先して15.1D6 mAb (5.5μg/ml)を結合した。結合された15.1D6の染色パターンは膜関連されており、特に細胞膜及び少ない程度に、核膜に膜関連されていることが明らかであった。この染色パターンは、10μg/mlの濃度の天然CRPによる競合抑制研究により無効にされ、また10μg/mlのmCRPにより外観上影響されなかった。
10μg/mlのmCRP、続いて13.3H12 mAb または15.1D6 mAbでインキュベートされたサイトスピンスライドは、15.1D6ではなく13.3H12への結合を示した。13.3H12による染色パターンは膜関連されており、若干の拡散核特異性を示すことが明らかであった。
【0031】
実施例3:ヒト肺腺癌腫瘍部位への天然 CRP 及び mCRP の生体内局在化
生体内研究を行って、天然CRP及びmCRPが肺腺癌腫瘍を有する動物中の腫瘍部位に局在するか否かを測定した。
ヒト肺腺癌細胞系、A549(メリーランド、ロックビルにあるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手した)を、10%の加熱不活化ウシ胎児血清、11.25μg/mlのL−グルタミン、100 U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及び2.5μg/mlのアンフォテリシンBを補給したRPMI-1640培地中で培養した。培養後、細胞をRPMI-1640中で2回洗浄し、3×106の生存可能な腫瘍細胞/0.10 mlの濃度で再度懸濁させた。次いで、細胞懸濁液0.10mlを生後6〜8週のBALB/cヌード(胸腺欠損)マウス(ハーラン−スプラギュー−ダウレイ・ラボラトリィズ(Harlan-Sprague-Dawley Laboratories)、マジソン、WIから入手した)に右後肢の足蹠に近位に皮下注射した。
7日目までに、触診可能の腫瘍増殖を測定できた。次いで動物を、下記の表4に示されるように、動物の4つの群(群当たり1匹の動物)にランダムに分けた。
【表4】
7日目に、モノクローナル抗体443A6を注射した。mAb 443A6(これはA549肺腺癌細胞を特異的に結合する)を、イリノイ州、シカゴにあるノースウェスタン大学医療センターのジェームスA.ラドセビッチ(James A.Radosevich)博士から入手した。また、その抗体はニュージャージー州、ネシャニック・ステーションにあるアフィニティー・バイオリージェンツ社(Affinity BioReagents, Inc.)から市販されている。mAb 443A6 の調製及びその活性が米国特許第4,816,402号明細書及びラドセビッチら著、Cancer Research, 46:5808-5812(1985)に更に記載されている。抗体治療を受ける群2、3及び4に関して、mAb 443A6 500 μgを腹水1.0 mlに希釈し、100μlを静脈内注射し、一方、900μlを腹腔内注射した。
【0032】
翌日、8日目に、100μgの天然CRPまたはmCRP(実施例1、パートA及びBに記載されたようにして調製した)を動物に静脈内注射した。約90分〜2時間後に、動物を犠牲にした。次いで腫瘍を切除し、対側肢骨格筋、肝臓、脾臓、及び肺組織試料を犠牲にした動物から切除した。
凍結組織切片を、組織の小さい試料、約0.5 cm3 を切開し、直ちにそれを正方形のアルミニウム箔の上に溜めたポリビニルアルコール、ポリエステルグリコール、及びジメチルベンジルアンモニウムクロリドのゼラチン混合物中に浸漬することにより調製した。こうして形成されたカプセルをドライアイスで徐々に凍結し、その後、箔を包装し、−80℃で貯蔵した。
切出し前に、きれいなガラススライドを0.005%のポリ−L−リシン(脱イオン水500 ml中で希釈され、濾過されたもの)で被覆した。スライドをその濾過溶液中に15分間浸漬し、除去し、使用または貯蔵の前に30分間空気乾燥させた。約8ミクロンの組織切片を被覆スライド上で回収し、室温で30分間空気乾燥させ、次いで−70℃で貯蔵した。
染色のため、固着組織切片を有するガラススライドを室温に温め、次いで水道水に2分間浸漬した。内在性ペルオキシダーゼ活性をマスクするため、水道水インキュベーションに続いて15分間にわたって0.03%のH2O2-PBS溶液インキュベーションを行った。次いで組織切片を、天然CRPに特異的なビオチニル化mAbまたはmCRPに特異的なビオチニル化ポリクローナル抗体と反応させ、ブロックし、上記の実施例2に記載されたようにして染色した。
染色パターンは、天然CRPに特異的なmAbが天然CRP注射を受けたA549腫瘍を有するBALB/cヌードマウスから切除した腫瘍組織切片と反応性であることを示した。同様に、mCRPに特異的なポリクローナル抗体はmCRP注射を受けたマウスから切除した腫瘍組織切片と反応性であった。天然CRPを受けるマウスからの腫瘍組織は、mCRP特異的ポリクローナル抗体で探査された場合にmCRP反応性を示さなかった。また、天然CRP反応性は、mCRPを受けるマウスからの腫瘍組織中で検出されなかった。ビオチニル化抗体は、肝臓組織を除いて宿主動物からのその他の切除組織(肺、脾臓、骨格筋)と反応性ではなかった。しかしながら、肝臓組織との反応性は、肝臓中の内在性ビオチンのために予想されなかった。要約すると、静脈内投与されたCRPの特定の形態(天然CRPまたはmCRP)に相当する特定の抗原決定基は、普通の免疫組織化学技術により容易に検出できるレベルで、先に樹立されたA549原発性腫瘍の柔組織に局在化した。
腫瘍組織切片を評価することに加えて、実施例2に記載されたようにしてサイトスピンスライドを調製することによりA549組織培養細胞を評価した。天然CRPまたはmCRP(夫々、フルオレセインイソチオシアネートと接合された)によるA549サイトスピンスライドのインキュベーションは、細胞への天然CRP及びmCRPの両方の直接結合を示した。更に、天然CRPまたはmCRPでインキュベートされたA549細胞は、夫々、mAb 15.1D6及びmAb 13.3H12との抗体反応性を示した。
【0033】
実施例4:生体内で P388 白血病を治療するための mCRP 及び 5- フルオロウラシルの使用
生体内の研究を行って、5-フルオロウラシルと組み合わせたmCRPでP388腫瘍を有する動物を治療する効果を測定した。
雌のCD2-F1マウス(ニューヨーク、ジャーマンタウンにあるタコニック・ファームズ(Taconic Farms)から入手したBALB/c x DBA/2 F1 ハイブリッド)を通常の実験室条件下で収容し、市販の実験室用のげっ歯類食物(プリナ(Purina))を与えた。ハウジングを12時間の明暗サイクルで18〜22℃(64〜72°F)に保った。全てのその他の条件をGuide for the Care and Use of Laboratory Animals(NIH刊行物N0.86-23、1985年に改定)に記載されたようにして維持した。研究の目的のために、動物を、下記の表5に示されるように、10の群に分けた。
【表5】
P388白血病細胞(メリーランド、ロックビルにあるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手した)をDBA/2マウスに1×106の細胞の腹腔内移植片として2回通過させた。2回目の通過後に、細胞を1×106/0.1 mlの希釈腹水まで濃縮し、研究の1日目に、CD2-F1マウスに腹腔内注射した。
2種の投薬量の5-フルオロウラシル(“5-FU”)(シグマ)を、5-FUを滅菌蒸留水に1.0mg/ml及び2.0mg/mlの濃度で溶解することにより調製した。表5に示されるように、体重1kg当たり10mgまたは20mgの5-FUを2〜6日目の朝に腹腔内注射した。夫々の動物に注射された5-FUの容積は、それらの夫々の2日目の体重に基いていた。
【0034】
2〜6日目の午後に、mCRPを表5に示されるように群5〜10の動物に静脈内注射した。mCRPをイリノイ州、エバンストンにあるイムテック・インターナショナル社のローレンス・ポテンパ博士から入手し、以下のようにして調製した。CRPを実施例1、パートAに記載されたようにして調製した。mCRPをつくるため、1mg/mlのCRPを10mMのEDTAの存在下で37℃で1時間にわたって8Mの超純粋な尿素(シュワルツ−マン(Schwartz-Mann)、スプリング・バレイ、NY)中でインキュベートした。尿素を、0.015Mの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)による透析により除去した。
mCRPを0.20ミクロンのフィルター(ゲルマン(Gelman))により滅菌濾過した。次いで濃度を、0.015Mの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4で0.5mg/mlに調節して0.1 mlの容積中の低投薬量(50μg)mCRP投与のための溶液を生成した。
滅菌濾過した可溶性mCRPの一部を、塩化ナトリウムを添加して0.15MのNaClの最終濃度を得ることにより生理イオン濃度に調節し、次いで氷浴中で15分間インキュベートした。このmCRP製剤の大半は自己凝集して乳光液を生成し、これを約5000×gで10分間遠心分離してタンパク質を沈降させた。沈降したタンパク質を0.15MのNaClを含む滅菌10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4中に再度懸濁させて2 mg/ml の最終濃度を得た。このmCRPを0.1 mlの容積中の高投薬量(200μg)mCRP治療として投与した。
全ての動物の体重を、ANDエレクトロニック天秤(AND社、東京、日本)(これは使用前に較正されていた)を使用して2日目及び6日目に記録した。全ての動物の体重は研究の2日目に12.1g〜19.0gであった。
図5に示されるように、治療を受けない群1の平均体重は研究の6日目に16.8gであった。低投薬量及び高投薬量を受ける群2(15.2g)の動物及び群3(16.6g)の動物の平均体重は未治療の対照動物と異なるとは考えられなかった。mCRP50μgの投与(群5)は6日目に動物の平均体重を変化させなかった。同様に、mCRP200μgの投与(群6)は6日目に体重の変化により測定されるように毒性を示さなかった。
【0035】
5-FU 20mg の投与(群4)は6日目に体重を20%減少した。低投薬量のmCRPの投与と理論最適投薬量の化学療法薬剤の組み合わせ(群7)は6日目に体重を10%減少した。高投薬量のmCRPとの組み合わせ治療(群8)は、体重の10%減少により測定されるように動物に対し毒性ではなかった。同様に、高投薬量(群9)または低投薬量(群10)のmCRPと準最適投薬量の5-FUの組み合わせ治療は、体重分析に基いて毒性を誘発しなかった。
対照群1の動物の平均寿命は20日であった。低投薬量(群2)または高投薬量(群3)緩衝液を投与された動物の寿命は、群1の対照の腫瘍を有するマウスと異ならなかった。体重1kg当たり20mg/kgの5-FUの投与(群4)は、腫瘍を有する動物の寿命を著しく変化させなかった。また、50μg(群5)または200μg(群6)のmCRPの投与は、腫瘍を有する動物の寿命を変化させなかった。
50μgのmCRPと組み合わせた20mg/kgの5-FUの組み合わせ治療(群7)は、動物の寿命を40%短縮した。対照的に、200μgのmCRPとの組み合わせ(群8)は、対照群に対して動物の寿命を変化させなかった。しかしながら、50μgまたは200μgのmCRPと体重1kg当たり10mg/kgの5-FUの組み合わせ治療(群9及び10)は、寿命を夫々128%及び133%増大した。
mCRP治療組み合わせ群(群8、9及び10)からの18匹の動物のうちの5匹の動物は、研究の終了まで生存した。また、5-FU治療群(群4)からの1匹の動物が研究の終了まで生存した。生存している動物中の白血病細胞の存在を、31日目に麻酔された動物の腹膜洗浄を行うことにより調べた。最初に、塩類液を腹腔に注射し、抜取り、処理した。細胞カウントを行い、次いでサイトスピンスライドを調製した。サイトスピンスライドをヘマトキシリン及びエオシンで染色し、評価した。次いで、生存している動物を米国獣医学協会ガイドラインに従って犠牲にした。
腹膜洗浄細胞カウント及びサイトスピン評価の結果を、下記の表6に示す。31日目まで生存した動物からの腹膜細胞の試験は、群4中で生存している動物が“ノー・テーク(no take)"であることを示した。これは腹腔中の白血病細胞の不在に基いていた。白血病細胞は群8、9、及び10からの生存している動物の腹腔中に依然として存在していた。しかしながら、白血病細胞の数は、5-FUと組み合わせたmCRPの投与が腫瘍細胞増殖を抑制することを示した。更に、mCRPが腹膜中に通常見られる細胞の型を変化させないことを示す内在性の核形成細胞の正常な補体があった。
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、研究の7日目〜19日目中のマウスEMT6胸部腺癌原発性腫瘍容積に関するmCRP(ルベット(LUVET)中)治療、天然CRP(ルベット中)の効果と、無治療の比較を示すグラフである。
【図2】図2は、研究の7日目〜29日目中のマウスEMT6胸部腺癌原発性腫瘍容積の変化率(%)に関するmCRP(ルベット中)治療、天然CRP(ルベット中)治療の効果と、無治療の比較を示すグラフである。
【図3】図3は、研究の7日目〜29日目中のEMT6胸部腺癌原発性腫瘍容積に関するmCRPの効果と、無治療の比較を示すグラフである。
【図4】図4は、マウスEMT6胸部腺癌原発性腫瘍の腫瘍容積の変化率(%)に関するmCRP、ルベット中のmCRP、及びルベット中の天然CRPの効果の比較を示すグラフである。
【図5】図5は、P388腫瘍を有する動物の体重及び寿命に関する5-フルオロウラシルの効果とmCRP治療の効果の比較を示す。
Claims (3)
- 修飾CRPを含み、
該修飾CRPはCRPサブユニット、preCRP又はその両方からなりかつ該CRPサブユニット及びpreCRPは五量体構造に集合していない
ことを特徴とする、哺乳類中の癌細胞検出用組成物。 - 修飾CRPが標識されている、請求項1記載の組成物。
- 癌細胞の検出に使用するための修飾CRPを含み、
該修飾CRPはCRPサブユニット、preCRP又はその両方からなりかつ該CRPサブユニット及びpreCRPは五量体構造に集合していない
ことを特徴とする、癌細胞検出用組成物。
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