JP3810630B2 - 基板設計製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、顧客から依頼された設計CADデータに基づいてCAMシステムにて基板製造データを生成して基板製造を行う基板設計製造システム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報関連技術の著しい進歩発展により、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)をはじめとする情報関連機器が大量に普及している。例えば、パソコンにおいては、データ処理の高速化や処理するデータが大容量化しており、これに伴いCPUなどの半導体装置の動作周波数も高速化している。よって、半導体装置を搭載したプリント配線板の特性として、基板各層に形成された導体層を電流が効率良く流れるようにするため、インピーダンスコントロールが適正に行われたプリント配線板(インピーダンスコントロール基板)へのニーズが高まっている。また、パソコンなどの情報関連機器は、当該機器自体の性能の向上やOSなどのソフトウエアのバージョンアップに伴って比較的短期間で製品が代替わりする場合が多い。
【0003】
よって、プリント配線板の受注製造を行う基板製造会社においては、多品種の基板につき短納期でしかもインピーダンスコントロールが適正にされた基板を製造することが要求されている。以下に、インピーダンスコントロール基板を受注製造場合の手順について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0004】
先ず、顧客が所有する設計CADを用いて基板設計シミュレーションを行い、設計CADデータが作成される。基板設計シミュレーションは、基板の層構成、穴径(スルーホール径)、ライン/スペースなどを考慮して、CADシステムの仮想平面上で各レイヤー毎にパターン配線が形成される(ステップS51〜S53)。CADシステムを用いたパターン配線が終了すると、設計CADデータが所期のインピーダンス値(理論値)を満たしているか否か設計検証を行う(ステップS54)。
【0005】
この顧客側で作成された設計CADデータが直接或いはインターネットなどにより基板製造会社に持ち込まれ、製造現場のCAMシステムで基板製造データを生成する(ステップS55)。そして、基板製造シミュレーションを行う。このとき、基板設計データと基板製造データとの食い違いや基板製造データが基板製造会社にとって製造可能な範囲か否か、基板の仕上がり精度にばらつきがあるか否か、特にインピーダンス測定値のばらつきが許容範囲にあるか否かなどについて検討する(ステップS56)。
【0006】
基板製造シミュレーションが終了すると、基板製造データを基に実際に基板製造システムを通じてプリント配線板を試作製造する(ステップS57)。そして、製造されたプリント配線板についてインピーダンス測定試験を含む各種測定試験が行われ(ステップS58)、測定値のばらつきが公差に収まっていることを確認すると、所定納期までにプリント配線板を顧客へ納品するようになっている(ステップS59)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般にCAD上で設計できる範囲は、実際の製造現場で製造可能な範囲を超えて設計される場合も多い。即ち、顧客より基板製造会社へ持ち込まれた設計CADデータは、基板製造会社の製造能力や仕上がり精度、基板材料の有無など製造上のルールを考慮せずに設計されている。このため、基板製造会社側が基板製造データを検証して再度顧客側に設計CADデータの変更を促したり、設計のやり直しを依頼したりすることになり、その都度打合せや作業に時間を裂いて同じ工程を繰り返すのは、時間と労力に無駄が多く、特に短納期でプリント配線板を試作納品する場合には、顧客側及び基板製造会社側ともに過大な負担が強いられる。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、基板製造会社の有する設計情報や製造情報をネットワーク上で開示して顧客に利用を促し、インピーダンスコントロール基板の基板設計から製造までを迅速かつ効率的に行える基板設計製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
顧客から発注を受けた設計CADデータに基づいてCAMシステムにおいて基板製造データを生成してインピーダンスコントロール基板の製造を行う基板設計製造方法において、基板製造会社がネットワーク上で提供するWebサイトにアクセスした顧客端末にインターネットサーバーより顧客登録を促すステップと、顧客登録が行なわれた顧客端末にインターネットサーバーがインピーダンスコントロール基板の基板製造情報に対応するデータメニューを提示するステップと、顧客登録が行われた顧客端末からのメニュー選択に応じて、インターネットサーバーが基板製造会社の専ら使用するCAD設計パラメータデータを含む設計情報、並びに基板材料、層構成、導体線幅、導体厚を含むインピーダンス情報及び最小線幅や最小間隙を含む製造能力情報を蓄積するデータベースサーバーより各種データを読み出して顧客端末へダウンロードを促すステップと、前記顧客端末にダウンロードされたデータに基づいて当該顧客端末において基板製造会社の設計ルールや製造能力に見合った設計CADデータの作成及び設計検証を促すステップと、前記顧客登録された顧客端末で設計検証された設計CADデータに基づくインピーダンスコントロール基板の製造発注を待ってCAMシステムにて基板製造データを生成し、基板製造部においてインピーダンスコントロール基板の製造を行うステップを含むことを特徴とする。
また、前記顧客登録された顧客端末で作成された設計CADデータがネットワークを通じて基板製造会社の製造部端末に送信されてCAMシステムにて基板製造データを生成し、基板製造部においてインピーダンスコントロール基板の製造を行うことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
本実施例では、各種プリント配線板のうち、動作クロック周波数の高速化に対応したインピーダンスコントロール基板を製造する基板設計製造システム及び方法について説明する。
図1は基板設計製造システム全体のブロック説明図、図2はWebサイトの構成とデータ処理の流れを示すブロック説明図、図3はインピーダンス情報の一例を示す説明図、図4は製造能力情報の一例を示す説明図、図5は基板設計から基板製造に至るまでのプロセスを示すフローチャート、図6(a)は図3の基板の導体幅に関する顧客側設計CADデータと基板製造会社側製造データとの比較図であり、図6(b)は顧客側及び基板製造会社側設計データに基づいて製造した基板どうしをレイヤーL1、L3、L6、L8毎にインピーダンスを幅方向に測定したインピーダンス測定値に関する比較図、図7は顧客側設計データに基づいて製造した基板のレイヤーL1、L3、L6、L8毎のインピーダンス測定値に関するグラフ図、図8は基板製造会社側設計データに基づいて製造した基板のレイヤーL1、L3、L6、L8毎のインピーダンス測定値に関するグラフ図である。
【0012】
先ず、図1を参照して、インターネットを利用した基板設計製造システムの構成について説明する。1は基板製造会社であり、基板製造会社端末2を有している。3はデータ通信手段の一例であるインターネット(World・Wide・Web)サーバーであり、基板製造会社1はインターネットサーバー3に会社ホームページを登録してインターネット上にWebサイトを開設している。WWWブラウザを起動して基板製造会社1がインターネット上で提供するWebページ(ポータルサイト)にアクセスした顧客に、設計情報や製造情報などを含む各種データメニューを提示してダウンロードを促す。
4はデータ蓄積手段の一例であるデータベースサーバーであり、設計パラメータデータを含む設計情報や製造情報などの各種データを後述する各種データベースに蓄積している。
インターネットサーバー3とデータベースサーバー4とのデータ交換は予めプログラミングされた取り決めにしたがって行われる。インターネットサーバー3及びデータベースサーバー4は、基板製造会社1に設置されていても良いが、その管理下にある会社などに設置されていても良い。顧客端末5よりインターネットを通じて基板製造会社1が提供するWebサイトにアクセスし、顧客登録(顧客名、住所等の登録など)を済ませた顧客に対し、インターネットサーバー3はID番号の発行、パスワードの登録を促す。
【0013】
顧客登録を済ませた顧客端末5から、インターネットサーバー3に登録されたWebサイトのメニューを選択することによりデータベースサーバー4にアクセスすることができる。このデータベースサーバー4には、専ら基板製造会社1の使用するCAD設計パラメータデータを含む複数の設計パラメータデータを蓄積した設計データベース6、設計部品(メーカー名、品番など)を登録した部品データベース7、インピーダンス情報や製造能力情報を蓄積した製造情報データベース8などが格納されている。
【0014】
また、基板製造会社1は、基板製造ラインを備えた基板製造部(基板製造工場)9を有している。基板製造部9は、顧客より製造発注を受けたプリント配線板を製造する。基板製造部9には製造部端末10が設けられており、該製造部端末10に連絡するCAMシステム11が装備されている。製造部端末10には基板製造会社端末2より社内回線若しくはインターネットを通じて、また顧客端末5よりインターネットを通じて、設計CADデータが送信される。CAMシステム11は送信された設計CADデータを基に基板製造ラインに備えられた各種製造装置向けにフォーマット変換などを行って基板製造データを生成して基板製造が行われる。基板製造部9は基板製造会社1に隣接して配置されていても良いが、離間した場所にあっても良い。
【0015】
次に基板製造会社1がインターネット上に開設したWebサイトが提供する情報について、図2のブロック図を参照して具体的に説明する。
Webサイト12には、基板製造会社1がデータベースサーバー4に格納された各種データが参照可能になっている。Webサイト12が提供するメニューとしては、設計情報13、インピーダンス情報14、製造能力情報15、見積り情報16などがある。顧客は設計情報13を選択すると、インターネットサーバー3は、設計ライブラリーにアクセスして設計情報を読み出す。即ち、設計データベース6にアクセスして複数の設計パラメータデータの中から所望の設計パラメータデータを顧客端末5にダウンロードして使用することができる。尚、設計製造効率を高めるためには、顧客は専ら基板製造会社1が使用するCAD設計パラメータデータをダウンロードして設計することが望ましい。設計データベース6に格納されている各種設計パラメータデータは、ソフトウエアのバージョンアップに応じて逐次更新され、基板製造会社1の責任において最新の設計パラメータデータを提供可能になっている。
【0016】
また、顧客はWebサイト12より設計情報10を選択した際に、部品ライブラリーを参照することもできる。即ち、顧客端末5より、部品データベース7にアクセスして基板製造会社1が保有する設計部品(メーカー名、品番など)一覧をダウンロードして参照でき、該部品データを基板設計に反映させることができる。部品データベース7に蓄積されている各種部品データは、基板製造会社1の責任において逐次更新され、最新のデータを提供可能になっている。
【0017】
顧客は、Webサイト12よりインピーダンス情報14を選択すると、インターネットサーバー3は製造情報データベース8にアクセスしてインピーダンス情報を読み出す。インピーダンス情報には、基板製造会社1が提供する基板材料、層構成、導体線幅、導体厚などの情報が含まれており、これらを顧客端末5にダウンロードして参照できる。具体的には図3に示すような、インピーダンスコントロール基板の構成が参照できる。図3は、コア材17として両面銅張基板が用いられた10層基板の使用を例示するものである。コア材17の一方の面に形成された信号層(パターン配線層)18がプリプレグ層(接着剤層)19を介して上下に電源/グランド層20にシールドされて特性インピーダンスの値(設定値)が所定の公差に収まるように設計されている。インピーダンスコントロール基板においては、上述した基板製造会社1側のインピーダンス情報を顧客に開示することが設計効率を向上させるためには重要である。
【0018】
また、顧客は、Webサイト12より製造能力情報15を選択すると、インターネットサーバー3は製造情報データベース8にアクセスして製造能力情報を読み出す。この製造能力情報には、基板材料別特性情報、プレス層間厚ばらつき情報、銅めっき厚ばらつき情報、エッチング線幅ばらつき情報、SUEPエッチングばらつき情報、ソルダーレジスト厚ばらつき情報などの情報が含まれており、これらを顧客端末5にダウンロードして参照できる。具体的には、図4に示すような工程能力一覧表を参照できる。図4には、基板の板厚(層構成)、配線パターンのライン&スペース、スルーホール穴径やランド径、銅めっき厚などに関する製造情報を参照することができる。これにより、顧客は、基板製造会社1の製造能力を考慮したパターン配線等を行うことができ、設計の効率化を図ることができる。
【0019】
また、顧客は、Webサイト12より見積り情報16を選択すると、顧客が選択した製造情報(インピーダンス情報)に基づいて顧客端末5に対して見積り情報を提供可能になっている。見積り情報には、選択した構造のプリント配線板の納期、価格、層構成、材料等のIMPスペックファイルなどの情報が含まれており、これらを顧客端末5にダウンロードして参照できる。この見積り情報は、基板製造会社1の営業端末21にも送信され、該営業端末21からインターネットを通じて顧客端末5へ通信することで営業サイドからもフォローすることができる。
【0020】
インターネットサーバー3は、顧客端末5からの要求に応じてデータベースサーバー4のデータベースより基板製造情報を読み出して提示し、顧客端末5の仮想平面上で基板製造会社1の設計ルールや製造能力に見合った設計CADデータの作成及び設計検証を促す。そして、顧客端末5で作成検証された設計CADデータに基づく基板製造の発注を待って、当該設計CADデータに基づいてCAMシステム11にて基板製造データを生成して基板製造が行われる。具体的には、営業端末21は、顧客端末5から基板製造を受注すると、基板製造部9の製造部端末10へ作業指示書を発行する。また、顧客端末5より基板製造会社1の製造部端末10へ送信された設計CADデータを基にCAMシステム11が基板製造データを生成して基板製造を行う。尚、設計CADデータはインターネットによる送信に代えて、フロッピーディスク、CD―Rなどの記憶媒体に記憶させたものを基板製造会社1へ持ち込んだり、送付したりするようにしても良い。
【0021】
次に、基板設計から基板製造までの手順について図5に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、前提として、顧客は、顧客端末5よりWWWブラウザを起動して基板製造会社1が提供するWebサイト(ポータルサイト)にアクセスし、顧客登録(顧客名、住所等の登録など)を済ませ、ID番号の発行を受け、パスワードの登録が終了していることを要する。
【0022】
顧客登録を済ませた顧客端末5から、インターネットサーバー3に登録されたWebサイトのデータメニューを選択することによりデータベースサーバー4にアクセスして、設計データベース6より設計パラメータデータ、部品データベース7より部品情報(メーカー名、品番など)、製造情報データベース8よりインピーダンス情報や製造能力情報などを顧客端末5にダウンロードして設計CADデータを作成する、所謂基板設計シミュレーションを行う(ステップS1)。基板設計シミュレーションは、基板の層構成、穴径(スルーホール径)、ライン/スペースなどを考慮して、CADシステムの仮想平面上でレイヤー毎にパターン配線が形成される(ステップS2、S3)。このとき、顧客端末5は専ら基板製造会社1が使用しているCAD設計パラメータデータをダウンロードして設計し、基板製造会社1が保有する部品情報(メーカー名、品番など)をダウンロードして参照し、基板製造会社1側のインピーダンス情報や製造能力情報(仕上がり精度のはらつき)をダウンロードして参照しながら設計CADデータを作成できる。
【0023】
CADシステムを用いたパターン配線が終了すると、設計CADデータが所期のインピーダンス値(理論値)を満たしているか否か設計検証を行う(ステップS4)。この顧客端末5で作成された設計CADデータがインターネットを通じて基板製造部9の製造部端末10に送信され、CAMシステム11で基板製造データを生成する(ステップS5)。この基板製造データを基に実際に基板製造システムを通じてプリント配線板を試作製造する(ステップS6)。そして、製造されたプリント配線板についてインピーダンス測定試験を含む各種測定試験が行われる(ステップS7)、測定値のばらつきが公差に収まっていることを確認すると、所定納期までにプリント配線板を顧客へ納品するようになっている(ステップS8)。
【0024】
ここで、図3に示す10層基板を、顧客及び基板製造会社の設計CADデータに基づいて製造した場合の比較例を図6に示す。尚、基板の層構成は同一とし、インピーダンスの目標値は各レイヤ−50Ω±10%とする。図6(a)は導体幅に関する顧客側設計CADデータと基板製造会社側製造データとの比較図であり、図6(b)は顧客側及び基板製造会社側設計CADデータに基づいて製造された基板どうしをレイヤーL1、L3、L6、L8毎にインピーダンスを幅方向に測定したインピーダンス測定値に関する比較図である。インピーダンスは、各レイヤーとも10回(N1〜N10)ずつ測定して平均値(AVG)を算出した。
【0025】
図6(a)によれば、顧客側設計CADデータ(理論値)と基板製造会社側基板製造データ(実測値)との間に特にレイヤーL1、L8において導体幅にばらつきが生していることが分かる。
図6(b)において、上段が顧客側設計CADデータに基づいて製造された基板のインピーダンス測定値、下段が基板製造会社側設計CADデータに基づいて製造された基板のインピーダンス測定値を示す。これらをグラフ化したのが図7及び図8である。図7のグラフ図によれば、顧客側データに基づいて製造された基板は、各レイヤーともインピーダンス測定値のばらつきが大きく測定回によっては目標値の範囲を逸脱してしまう場合もあることが分かる。これに対して、図8のグラフ図によれば、基板製造会社側データに基づいて製造された基板は、各レイヤーともインピーダンス測定値のばらつきは少なく、インピーダンスコントロールが目標値の範囲内に収まっていることが分かる。
【0026】
以上の比較例からも分かるように、顧客の設計データと基板製造会社1の製造データとの間にばらつきが生じ易いことから、顧客が設計段階から、基板製造会社1の設計情報、製造情報(インピーダンス情報、製造能力など)を考慮しながら基板設計することが、顧客の要望を満たす基板を短納期で製造する上で重要となる。
【0027】
上述した基板設計製造システム及び方法を用いれば、顧客は設計段階から基板製造会社1が使用している設計パラメータデータを用い、製造能力や部品情報などの製造ルールを考慮して設計CADデータを作成できるので、CAMシステム11により生成した基板製造データに基づいて製造した基板の仕上がり精度にばらつきが少ない。特にインピーダンスコントロール基板を製造する上で、インピーダンス測定値のばらつきが目標値から許容範囲内になるように高精度に製造できる。
【0028】
よって、基板製造会社1側が基板製造データを検証して再度顧客側に設計CADデータの変更を促したり、設計のやり直しを依頼したり、その都度打合せをし直すなどの無駄な工程を省いて、短期間で基板設計から基板製造までを行える。特に短納期でプリント配線板を試作納品する場合には、顧客端末5にて作成した設計CADデータを基板製造会社1の製造部端末10に送信し、CAMシステム11により基板製造データを生成して基板製造を行うことができるので、顧客は基板製造会社1の基板製造部9を自らの製造工場のように利用できるので、極めて効率良くしかも短時間で、基板設計から基板製造を行うことができる。
また、データベースサーバー4に格納された各種データの内容は、基板製造会社1にて逐一最新のデータに更新されるので、データの信頼性や、使い勝っての良さは保証されている。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明は上述した各実施例に限定されるのものではなく、顧客端末5、基板製造業者端末2、製造部端末10は、固定端末に限らず移動端末(ノートパソコンなど)であってもよい。顧客(会員)端末5、基板製造業者端末2、製造部端末10とWWWサーバー1とを結ぶネットワークとしては、インターネットに限らず、会員制WWWサイト、他の専用回線などにより行っても良い等、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る基板設計製造方法を用いれば、顧客端末において設計段階から基板製造会社が所有しているCAD設計パラメータデータを用い、製造能力や部品情報などの製造ルールを考慮して設計CADデータを作成できるので、CAMシステムにより生成した基板製造データに基づいて製造したインピーダンスコントロール基板の仕上がり精度にばらつきが少ない。特にインピーダンスコントロール基板を製造する上で、インピーダンス測定値のばらつきが目標値から許容範囲内になるように高精度に製造できる。
よって、基板製造会社側が基板製造データを検証して再度顧客側に設計CADデータの変更を促したり、設計のやり直しを依頼したり、その都度打合せをし直すなどの無駄な工程を省いて、短期間で基板設計から基板製造までを行える。特に短納期でプリント配線板を試作納品する場合には、顧客端末にて作成した設計CADデータを基板製造会社の製造部端末に送信し、CAMシステムにより基板製造データを生成して基板製造を行うことができるので、顧客は基板製造会社の基板製造部を自らの製造工場のように利用できるので、極めて効率良くしかも短時間で、基板設計から基板製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板設計製造システム全体のブロック説明図である。
【図2】Webサイトの構成とデータ処理の流れを示すブロック説明図である。
【図3】インピーダンス情報の一例を示す説明図である。
【図4】製造能力情報の一例を示す説明図である。
【図5】基板設計から基板製造に至るまでのプロセスを示すフローチャートである。
【図6】基板の導体幅に関する顧客側設計CADデータと基板製造会社側製造データとの比較図、並びに顧客側及び基板製造会社側設計データに基づいて製造した基板どうしをレイヤーL1、L3、L6、L8毎にインピーダンスを幅方向に測定したインピーダンス測定値に関する比較図である。
【図7】顧客側の設計データに基づいて各々製造した基板の各レイヤーL1、L3、L6、L8毎のインピーダンス測定値に関するグラフ図である。
【図8】基板製造会社側の設計データに基づいて各々製造した基板の各レイヤーL1、L3、L6、L8毎のインピーダンス測定値に関するグラフ図である。
【図9】従来の基板設計から基板製造に至るまでのプロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 基板製造会社
2 基板製造会社端末
3 インターネットサーバー
4 データベースサーバー
5 顧客端末
6 設計データベース
7 部品データベース
8 製造情報データベース
9 基板製造部
10 製造部端末
11 CAMシステム
12 Webサイト
13 設計情報
14 インピーダンス情報
15 製造能力情報
16 見積り情報
17 コア材
18 信号層
19 プリプレグ層
20 電源/グランド層
21 営業端末
Claims (2)
- 顧客から発注を受けた設計CADデータに基づいてCAMシステムにおいて基板製造データを生成してインピーダンスコントロール基板の製造を行う基板設計製造方法において、
基板製造会社がネットワーク上で提供するWebサイトにアクセスした顧客端末にインターネットサーバーより顧客登録を促すステップと、
顧客登録が行なわれた顧客端末にインターネットサーバーがインピーダンスコントロール基板の基板製造情報に対応するデータメニューを提示するステップと、
顧客登録が行われた顧客端末からのメニュー選択に応じて、インターネットサーバーが基板製造会社の専ら使用するCAD設計パラメータデータを含む設計情報、並びに基板材料、層構成、導体線幅、導体厚を含むインピーダンス情報及び最小線幅や最小間隙を含む製造能力情報を蓄積するデータベースサーバーより各種データを読み出して顧客端末へダウンロードを促すステップと、
前記顧客端末にダウンロードされたデータに基づいて当該顧客端末において基板製造会社の設計ルールや製造能力に見合った設計CADデータの作成及び設計検証を促すステップと、
前記顧客登録された顧客端末で設計検証された設計CADデータに基づくインピーダンスコントロール基板の製造発注を待ってCAMシステムにて基板製造データを生成し、基板製造部においてインピーダンスコントロール基板の製造を行うステップを含むことを特徴とする基板設計製造方法。 - 前記顧客登録された顧客端末で作成された設計CADデータがネットワークを通じて基板製造会社の製造部端末に送信されてCAMシステムにて基板製造データを生成し、基板製造部においてインピーダンスコントロール基板の製造を行うことを特徴とする請求項1記載の基板設計製造方法。
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