JP3810580B2 - 牽引駆動式交通システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道桁と、軌道桁に沿って案内される走行車両と、軌道桁に沿って配設されるとともに軌道桁に沿って走行する索条とを備え、走行車両に取り付けられた握索機が索条を把持することにより、走行車両が握索機を介して索条から牽引されて走行する構成とされた牽引駆動式交通システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のシステムとしては、例えば、図5,6に示すようなものが知られている。図5において、符号1は、軌道桁を表しており、軌道桁1には、走行車両2が懸吊されている。
【0003】
走行車両2は、軌道桁1に案内されて走行する走行装置3と、走行装置3から懸吊されるとともに、旅客、荷物等を運搬可能な車両本体4とを備えた構成となっている。走行装置3は、軌道桁1の下部フランジ1a上を走行するとともに、走行車両2の荷重を支持する走行輪5と、軌道桁1の側面1bに沿って走行し、走行車両2の進行方向を案内する役割を果たす走行輪6とを備えた構成とされている。これら走行輪5および6は、図5に示すように、軌道桁1に関して対称の位置に対をなすように設けられるとともに、図6に示すように走行装置3の前部および後部に計2対設けられている。
【0004】
また、図5中に示すように、走行装置3の側面3aには、握索機7が固定されている。握索機7はその上端に握索部8を備えた構成とされており、握索部8は、固定グリップ10および可動グリップ11により、軌道桁1に沿って配設されたロープ(索条)12を、握索および放索することが可能な構成となっている。
【0005】
すなわち、駅などで、走行車両2の発進を行う際には、可動グリップ11を閉じることにより、握索部8において固定グリップ10および可動グリップ11によりロープ12を把持するようにする。これにより、走行車両2が、一定速度で軌道桁1に沿って移動するロープ12から握索機7を介して牽引され、軌道桁1に沿って走行することが可能となる。また、駅などで、走行車両2を停止させる場合には、可動グリップ11を開くことにより、握索部8からロープ12を解放するようにする。これにより、走行車両2は、ロープ12により牽引されることがなくなり、徐行、停止する。
【0006】
この場合、駅における発進・加速または徐行・停止をスムーズに行うために、握索機7によりロープ12の把持または解放を行う区間においては、図5に示すように、軌道桁1側に一次リニアモータ13を配置し、走行装置3側に二次リニアモータ14を配置するようにしている。すなわち、発進時には、走行装置3の速度を、これらリニアモータによりロープ12の移動速度と略同一となるまで加速し、また停止時には、走行装置3の速度をロープ12の移動速度から徐々に減ずるようにリニアモータを駆動制御するようにしている。
【0007】
また、握索機7によるロープ12の把持または解放を行う区間においては、握索部8によるロープ12の把持および開放時に、握索部8がロープ12をつかみ損なったり、あるいは、握索部8やロープ12が損傷を受けることのないように、図5中に示すように、軌道桁1に沿って一対の案内部材(ガイド輪用案内部材)15,15を設け、これら案内部材15,15により、握索機7の上部に取り付けられたガイド輪16をガイドして、握索部8の位置を一定に保つようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の構成においては、駅付近等において、握索機7がロープ12を解放することとなるため、この際に、リニアモータ13,14が正常に作動しなかったり、あるいは、走行車両2の進行方向と逆向きの強風が吹いた場合に、走行車両2が逆進することが懸念される。
【0009】
特に、上述の牽引駆動式交通システムは、ロープ12を用いて走行車両2を牽引することとしているため、登坂性能に優れており、このため、急勾配地に設置されることも多いが、このような場合には、絶対に逆進が発生することのないようにする必要がある。
【0010】
このような事情により、本発明においては、握索機がロープを解放した場合においても、走行車両の逆進を確実に防ぎ、これにより、安全性の向上を図ることのできる技術を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、請求項1に記載の牽引駆動式交通システムは、軌道桁と、該軌道桁に沿って案内される走行車両と、前記軌道桁に沿って配設されるとともに前記軌道桁に沿って走行する索条とを備え、前記走行車両に取り付けられた握索機が前記索条を把持することにより、前記走行車両が前記握索機を介して前記索条から牽引されて走行する構成とされた牽引駆動式交通システムであって、前記握索機にガイド輪が取り付けられ、前記握索機による前記索条の把持または解放が行われる位置を含む前記軌道桁に沿った一定領域に、前記ガイド輪を案内するガイド輪用案内部材が、前記軌道桁と平行に設けられ、該ガイド輪用案内部材には、前記ガイド輪の通過対象領域を含む位置に配置されて、前記ガイド輪の前記走行車両の走行方向の移動を許容するとともに、その逆方向の移動を規制する逆進防止装置が設けられ、一対の前記ガイド輪用案内部材が、前記ガイド輪を両側方から案内する構成とされ、前記逆進防止装置は、それぞれの前記ガイド輪用案内部材における前記走行車両の走行方向と逆方向の端部に、前記ガイド輪用案内部材と平行に取り付けられた一対の梁材と、これら梁材の一方に対して鉛直軸周りに回転可能に取り付けられるとともに前記ガイド輪の通過対象領域内において前記走行車両の走行方向と交差する方向に延在配置されるアームとを備え、該アームと前記梁材の他方との間に弾性部材を備え、前記アームの前記梁材の他方に面した側にストッパを備えると共に前記梁材の他方の下側にストッパ受けを備え、前記弾性部材により前記ストッパが前記ストッパ受けに対して一定の力で押圧することで、前記アームの前記走行方向側への変位を弾性的に許容しつつ前記走行方向と反対側への変位を規制することを特徴としている。
【0012】
このような構成とされるために、この牽引駆動式交通システムにおいては、索条が解放された場合に、逆進防止装置によってガイド輪の走行方向と逆方向の移動が規制され、これにより、走行車両の逆進を防止することができる。
【0014】
また、このような構成とされるために、この牽引駆動式交通システムにおいては、ガイド輪の通過対象領域に配置されたアームが、走行方向の下流側から当接するガイド輪の通過を規制するように作用する。また、アームに走行方向の上流側からガイド輪が当接した場合には、アームはいったん走行方向下流側に変位してガイド輪の通過を許容するとともに、弾性部材の弾性力によって再びもとの位置に戻ることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
なお、この実施の形態における牽引駆動式交通システムの主要な構成は、上記従来の技術と同一であるため、ここでは、上記従来の技術と異なる点のみを述べるとともに、上記従来の技術と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
図1および図2は、ともに、本発明の一実施の形態である牽引駆動式交通システムにおける案内部材(ガイド輪用案内部材)15,15の要部を示す図であり、図1は、その平面図、図2は、その側面図である。
【0017】
案内部材15,15は、駅の近傍において軌道桁1に沿って設けられたものであり、握索機7がロープ12を把持または解放する部分を含む一定領域に配置されて、握索機7に取り付けられたガイド輪16を両側方からガイドするようになっている。これにより、案内部材15,15は、握索機7によるロープ12の把持または解放位置を一定に保つように機能することとなる。
【0018】
また、図1中に示すように、案内部材15,15における走行車両2の走行方向(図中x方向)と反対側の端部15aには、逆進防止装置18が設けられている。逆進防止装置18は、案内部材15,15の端部15a,15aからx方向と逆方向に突出状態に設けられた一対の梁材19および20と、梁材19のx方向と逆方向の端部19aに取り付けられたアーム21とにより概略構成されている。
【0019】
アーム21は、その一端21aが、梁材の端部19aに設けられたピン取付座22に対し、ピン23を介して取り付けられた構成となっている。また、アーム21は、ガイド輪16の通過対象領域P内において、x方向と交差する方向に延在配置され、その他端21bには、x方向に面した側に、硬質ゴムよりなる受け部材25が、梁材20に面した側に、ストッパ26が固定された構成となっている。
【0020】
また、アーム21と梁材20との間には、バネ(弾性部材)27が配設されており、このバネ27の弾性力により、アーム21は、一定の力で梁材20側に引っ張られている。また、これにより、ストッパ26が、梁材20の下側に固定されたストッパ受け28に対して一定の力により押圧されるようになっている。
【0021】
さらに、アーム21は、ストッパ26とストッパ受け28とが当接することにより、走行車両2の走行方向(x方向)上流側への変位が規制された構成とされ、なおかつ、バネ27により、走行方向下流側への変位が弾性的に許容された構成となっている。
【0022】
図3は、図2におけるA−A断面を示す図である。図中に示すように、ストッパ26は、ガイド輪16の走行を妨げないように、ガイド輪16の通過対象領域Pよりも上方に設けられている。また、受け部材25は、異常時に逆進してくるガイド輪16を受け止めるべく、ガイド輪16の通過対象領域P内に位置させて設けられている。
【0023】
図4は、図2におけるB−B断面を示す図である。図中に示すように、バネ27は、その一端27aが、ピン30を介して、梁材20の下面に取り付けられており、また、その他端27bが、ピン31を介して、アーム21の上面に取り付けられた構成となっている。これにより、アーム21の開閉によってバネ27が伸縮しても、ガイド輪16の走行の妨げとならないようになっている。
【0024】
このような構成とされた牽引駆動式交通システムにおいて、走行車両2がロープ12に牽引されて駅に入構する場合、握索部8によりロープ12が解放された後、走行車両2が、ロープ12による牽引から、リニアモータによる駆動制御に切り換えられて走行することとなる。この場合、握索機7に取り付けられたガイド輪16は、案内部材15,15によってガイドされる。
【0025】
また、ガイド輪16は、案内部材15,15によりガイドされる以前に、逆進防止装置18が設けられた位置を通過することとなるが、この場合、ガイド輪16は、案内部材15,15の上流側に設けられたアーム21と当接し、バネ27の張力に打ち勝って、これを押し開いて前進する。そして、逆進防止装置18においては、ガイド輪16の通過後に、バネ27が、ストッパ26がストッパ受け28に再び押し付けられるまで収縮し、これにより、即座にアーム21が閉じられる。
【0026】
その後、通常時であれば、走行車両2の前進に伴い、ガイド輪16が、案内部材15,15によりガイドされて前進することとなるが、リニアモータ駆動の異常や逆風等により、走行車両2が逆進した場合には、上述のようにアーム21がガイド輪16の通過後に即座に閉じられるために、アーム21に取り付けられた受け部材25に対してガイド輪16が衝突することとなる。この場合、逆進防止装置18は、ストッパ26とストッパ受け28とが当接することにより、アーム21の走行方向(x方向)上流側の変位が規制された構成となっているため、ガイド輪16の逆進を阻止するように作用し、これにより、走行車両2を停止させることが可能となる。
【0027】
以上述べた牽引駆動式交通システムにおいては、案内部材15に逆進防止装置18を取り付けて、走行車両2の逆進を防ぐようにしたため、従来に比べ、リニアモータの異常や強風等の際の走行安全性を向上させることができる。
【0028】
また、上述の牽引駆動式交通システムにおいては、案内部材15から延出する梁材19に、アーム21を、ガイド輪16の通過対象位置P内においてx方向と交差するように回転自在に取り付け、さらに、アーム21の走行方向上流側への変位を梁材20により規制するとともに、同下流側への変位をバネ27により弾性的に規制するようにしたため、簡易な構成により、ガイド輪16の逆進を阻止することができ、また、アーム21の開閉を確実に行うことが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る牽引駆動式交通システムにおいては、ガイド輪用案内部材に逆進防止装置を取り付けて、走行車両の逆進を防ぐようにしたため、従来に比べ、リニアモータ等の索条開放時の駆動手段の異常発生時や強風時等の際の走行安全性を向上させることができる。
【0030】
また、案内部材から延出する梁材の一方に、アームを、ガイド輪の通過対象領域内において、走行車両の走行方向と交差するように回転自在に取り付け、さらに、アームを備えた梁材の他方に構成されたストッパに当接していることにより、走行方向と逆方向への移動を規制し、アームの走行方向下流側への変位を弾性部材により弾性的に許容するようにしたため、簡易な構成により、ガイド輪の逆進を阻止することができ、また、アームの開閉を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す図であって、牽引駆動式交通システムに適用された案内部材の要部の平面図である。
【図2】 同、側面図である。
【図3】 図2におけるA−A線矢視断面図である。
【図4】 図2におけるB−B線矢視断面図である。
【図5】 本発明の従来の技術を示す牽引駆動式交通システムの立断面図である。
【図6】 図5に示した牽引駆動式交通システムにおける走行車両の要部拡大側面図である。
【符号の説明】
1 軌道桁
2 走行車両
7 握索機
12 ロープ(索条)
15 案内部材(ガイド輪用案内部材)
15a 端部
16 ガイド輪
18 逆進防止装置
19,20 梁材
21 アーム
P ガイド輪の通過対象領域
Claims (1)
- 軌道桁と、該軌道桁に沿って案内される走行車両と、前記軌道桁に沿って配設されるとともに前記軌道桁に沿って走行する索条とを備え、前記走行車両に取り付けられた握索機が前記索条を把持することにより、前記走行車両が前記握索機を介して前記索条から牽引されて走行する構成とされた牽引駆動式交通システムであって、
前記握索機にガイド輪が取り付けられ、
前記握索機による前記索条の把持または解放が行われる位置を含む前記軌道桁に沿った一定領域に、前記ガイド輪を案内するガイド輪用案内部材が、前記軌道桁と平行に設けられ、
該ガイド輪用案内部材には、前記ガイド輪の通過対象領域を含む位置に配置されて、前記ガイド輪の前記走行車両の走行方向の移動を許容するとともに、その逆方向の移動を規制する逆進防止装置が設けられ、
一対の前記ガイド輪用案内部材が、前記ガイド輪を両側方から案内する構成とされ、前記逆進防止装置は、それぞれの前記ガイド輪用案内部材における前記走行車両の走行方向と逆方向の端部に、前記ガイド輪用案内部材と平行に取り付けられた一対の梁材と、これら梁材の一方に対して鉛直軸周りに回転可能に取り付けられるとともに前記ガイド輪の通過対象領域内において前記走行車両の走行方向と交差する方向に延在配置されるアームとを備え、該アームと前記梁材の他方との間に弾性部材を備え、前記アームの前記梁材の他方に面した側にストッパを備えると共に前記梁材の他方の下側にストッパ受けを備え、前記弾性部材により前記ストッパが前記ストッパ受けに対して一定の力で押圧することで、前記アームの前記走行方向側への変位を弾性的に許容しつつ前記走行方向と反対側への変位を規制することを特徴とする牽引駆動式交通システム。
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