JP3809635B2 - コイルの銅抵抗補償回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高周波発振型近接センサに組み込まれて、高周波発振回路の一部を構成する検出用コイルの検出感度を改善するに好適なコイルの銅抵抗補償回路に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
検出対象物の有無(接近)を非接触で検出する近接センサの一種に、例えば図8にその概略構成を示す高周波発振型近接センサがある。この近接センサには、高周波発振回路の一部を構成する検出用コイル1が備えられている。この近接センサの検出用コイル1の近傍に導電性の検出対象物S(例えば金属)が存在または接近すると、電磁誘導作用により該検出用コイル1の抵抗成分や自己インダクタンス成分が変化する。そして、この変化を発振振幅や発振周波数の変化として捉えるため、該検出用コイル1のQの変化を利用する。尚、検出用コイル1のQは、検出対象物Sの有無によって変化する検出用コイル1の抵抗成分Rに大きく依存する。この検出用コイル1のQは、検出用コイル1の自己インダクタンスをL、この検出用コイル1と共振用コンデンサ(図示せず)とにより形成されるLC共振回路における共振角周波数をωとしたとき近似的に[Q=ωL/R]として与えられる。そして検出対象物Sの有無による検出用コイル1のQの変化の大きさは、その近傍に検出対象物SがあるときのQの値[Qin]と、検出対象物SがないときのQの値[Qout]との比、即ち、[Q比=Qin/Qout]として捉えることができる。
【0003】
このQの変化を高周波発振回路2の振幅の変化として検出するため、高周波発振回路2の次段に検波回路3が設けられている。そして、検波回路3の出力レベルが予め定められた所定のレベルに従って出力回路4は、例えばトランジスタ5などのスイッチング素子のオン/オフを選択駆動し、負荷の駆動制御を行う。ちなみに、出力回路4には検出対象物Sの有無(近接)の表示をするため、例えばLED(発光ダイオード)6などの表示素子が設けられることもある。
【0004】
上記のような検出対象物の有無検出以外に、検出対象物Sの位置変動に伴う検波回路3の出力レベルの変化を線形化回路(図示せず)により直線化し、検出対象物の多点的(または連続的)な位置の測定に供する場合もある。
尚、これらの回路の電源として定電圧回路7が設けられ、近接センサ内の各部に安定した電圧を供給している。
【0005】
ところで、このような高周波発振型近接センサには、一般的にその検出特性が安定であることのみならず、その検出距離を十分に長く設定し得ること等が要求され、従来から種々の改良が施されている。例えば特開平1−212005号公報には、検出用コイルが持つ銅抵抗Rcuの温度依存性を補償することによって検出特性の安定化と長距離化を図る手法として、図9にその概略構成を示す発振回路が提唱されている。この発振回路は検出用コイル1に生起された電圧を取り出す増幅器8を設け、この増幅器8の出力をコンデンサC2を介して90°位相を回転した後、検出用コイル1の他方のコイル(銅抵抗補償用コイル)L2に帰還するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した検出特性の安定化を図ると共に、その検出距離を伸ばすためには、例えば前述した公報に開示されている発振回路において、一方の帰還経路の帰還量を帰還量調整抵抗Rおよび帰還コンデンサC2の容量および利得調整用抵抗Pを調整することによって自己発振点の温度特性が補償される条件を見出し、かつ、被検出体の位置に応じた自己発振点の最適化を図ることが必要なので、その回路定数の最適化が相当な手間となる等の問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、検出用コイルの銅抵抗Rcuを仮想的に短絡することができ、その動作特性の安定化を図ると共に、検出感度の向上を図ることのできる簡易な構成の高周波発振型近接センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため、本発明に係るコイルの銅抵抗補償回路は、一端を共通接続して縒り合わせた実質的に2本のコイル導体の一方を共振回路用コイルとし、他方を銅抵抗補償用コイルとした2糸コイルと、この2糸コイルの共通接続した一端に駆動電圧を印加する発振駆動回路と、前記共振回路用コイルの一端からその他端に流れる電流と大きさが等しい電流を前記共振回路用コイルの他端から前記銅損補償用コイルの他端に向けて流し、前記共振回路用コイルの銅抵抗成分に電流が流れないようにすることによって、前記共振回路用コイルの銅抵抗成分を仮想的に短絡する補償手段とを備えている。
【0009】
好ましくは、前記補償手段による前記共振回路用コイルの銅抵抗成分の仮想的短絡は、前記2糸コイルのインダクタンス成分と交流抵抗成分との直列回路に、前記共振回路用コイルおよび前記銅抵抗補償用コイルの各銅抵抗成分をそれぞれ共通に直列接続した等価回路における共通接続点を仮想接地するものである。
より好ましくは、前記補償手段は、前記銅抵抗補償用コイルの他端に生じる電圧を反転増幅して前記共振回路用コイルの他端に負帰還する反転増幅器から構成される。
【0010】
また前記反転増幅器は、その増幅利得を等価的に無限大とした演算増幅器で構成してもよい。
したがって、本発明によれば検出用コイルの銅抵抗Rcuを仮想的に短絡することができるので、その動作特性の安定化を図ると共に、検出感度の向上を図ることのできる簡易な構成の高周波発振型近接センサを提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るコイルの銅抵抗補償回路について説明する。
図1はこの実施形態に係る高周波発振型近接センサの発振回路概略構成図を示している。この発振回路は、例えば一端を共通に接続した実質的に2本の高周波リッツ線を互いに縒り合わせた2糸コイルL1,L2を樹脂製のボビンに巻装し、該ボビンにフェライトコア挿入した検出用コイル1として備えたものである。ちなみに2糸コイルとは複数本のリッツ線などが巻かれたコイル導体を縒り分けて実質的に2本(2糸)のコイルとなるように構成したコイルであって、単に2本のコイル導体からなるものだけに限定されるものではない。そして、該検出用コイル1の一方の共振回路用コイルL1に並列に接続されたコンデンサCとの間でLC並列共振器を形成している。
【0012】
この2糸コイルの銅抵抗補償用コイルL2の他端は、演算増幅器10のマイナス(−)側の入力端子に接続されて、該演算増幅器10のプラス(+)側の入力端子はグランド(GND)に接続され接地されている。このため演算増幅器10は反転増幅器として動作する。つまり、入力信号と逆極性(逆位相)の信号が演算増幅器(反転増幅器)10から出力される。そして、この演算増幅器10の出力端子は共振回路用コイルL1の他端に接続されている。
【0013】
また増幅器9は、上記検出用コイル1に接続されて該検出用コイル1を発振駆動する高周波発振回路を構成するもので、更に検出用コイル1のQの変化に応じて該検出用コイル1に生起される発振振幅を変化させる役割を担う。この増幅器9は、基本的には前記検出用コイル1に生起された電圧を入力して増幅し、その増幅出力電圧を前記検出用コイル1に出力して検出用コイル1を発振駆動する。そして、この高周波信号はバッファアンプ11によって次段の検波回路(図示せず)の入力信号として相応しいレベルになるよう増幅され出力される。
【0014】
ここで2糸コイルからなる検出用コイル1の性質について考察してみると、この検出用コイル1は、例えば図2(a)に示すように、等価的にはその自己インダクタンスL(L1,L2)と、銅抵抗成分Rcu1、Rcu2、交流抵抗成分Riおよび被検出体における渦電流損Rtとに分けて考えることができる。ここで、被検出体における渦電流損成分Rtも交流抵抗成分の一部分であるが、検出対象という特別な意味があるので、便宜上Riから分けておく。
【0015】
ちなみに交流抵抗Riは、
▲1▼ フェライトコアおよび金属ケースに生ずるヒステリシス損、うず電流損、残留損
▲2▼ 充填材に生ずる誘電体損
▲3▼ コイル自身の線材間に生ずる近接効果損
などの要因によって生起される損失を抵抗成分として表したものである。
【0016】
ところで発明者らは上述した2糸コイルを評価・解析したところ、2糸コイル間の結合が十分強い場合、図2(b)に示すように検出用コイル1に含まれる銅抵抗Rcu1およびRcu2を、交流抵抗成分Riおよび渦電流損成分Rtから分離した等価回路として捉えられることを発見した。
この図2(b)に示す検出コイルの等価回路において、例えばコイルL1とL2が同じ線径の導線を縒り合わせた高周波リッツ線からなる場合、[コイルL1の縒り数:コイルL2の縒り数=n:m]とすると、[Rcu1∝1/n、Rcu2∝1/m]であるので、[Rcu1=(m/n)・Rcu2]という関係を導くことができる。
【0017】
特に、コイルL1とL2の縒り数が等しい場合、Rcu1=Rcu2という関係が成り立つ。
そして、この等価回路から検出用コイル1における一方のコイルL1を共振回路用とし、他方のコイルL2を銅抵抗補償用として図1に示す発振回路の概略構成図を描き直したものを図3に示す。
【0018】
図3に示す回路を参照すると、前述した検出用コイル1の銅抵抗補償用コイルL2の銅抵抗Rcu2は反転増幅器10のマイナス(−)入力端子に接続されている。この反転増幅器10として、例えば演算増幅器(オペアンプ)を用いた場合、該オペアンプの入力インピーダンスは非常に大きく反転増幅器10の入力端子には電流が流れないと考えてよい。
【0019】
また、反転増幅器10の入力インピーダンスは前述のように大きいのでマイナス(−)入力端子に電流が流れない。このため、銅抵抗補償用コイルL2の銅抵抗Rcu2に電圧降下が生じないので、C点の電位VCとD点の電位Vdは常に等しくなる。つまり、銅抵抗補償用コイルL2の銅抵抗Rcu2の値の大小には無関係となる。そして、反転増幅器10のプラス(+)入力端子が接地されているので反転増幅器10は、この接地電位(0[V])を基準として、
▲1▼D点の電位Vdが正[Vd > 0]の場合、反転増幅器10の出力は負(−)の電圧を出力する。
【0020】
▲2▼D点の電位Vdが負[Vd < 0]の場合、反転増幅器10の出力は正(+)の電圧を出力する。
そして反転増幅器10のマイナス(−)入力端子とプラス(+)入力端子の電位が常に等しく(VC = Vd)なるよう帰還される。このため、C点の電位が反転増幅器10のプラス(+)入力端子の電位、即ち、接地電位0[V]になるよう帰還され、維持されることになる。つまり、前述したようにC点の電位VCとD点の電位Vdは常に等しくなり、Vd = 0[V]になるよう構成されている。即ち、D点を仮想的に接地したことと等価になる。
【0021】
このように構成することで共振回路用コイルL1とコンデンサC1とからなる並列共振回路から共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1を仮想的に短絡することができる。このため共振回路用コイルL1、交流抵抗成分Ri、被検出体における渦電流損RtおよびコンデンサC1で共振回路が形成され、共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1には共振回路の電流が流れない。より詳しくは、共振回路用コイルL1のリアクタンスωL1に対して、共振回路用コイルL1の交流抵抗成分Riおよび渦電流損Rtは十分小さい。このため、共振回路用コイルL1の自己インダクタンスLによって生起されたA点の電位をVaとすると、該共振回路用コイルL1に流れる電流i1はVaに対して位相が90°遅れた電流となる。そして、この電流i1によって、共振回路用コイルL1の銅損に依存するオーム性の抵抗Rcu1には、Rcu1・i1の電圧降下が生じる。
【0022】
一方、反転増幅器10の出力電圧Voutは、前述のように常にD点の電位Vdが零[0]になるように出力されるため、
Vout−Vd = Vout = −Rcu1・i1 = Rcu1・i2
∴i1 = −i2
の関係が成立する。したがって、A点の電位Va、共振回路用コイルL1に流れる電流i1、反転増幅器10が出力する電流i2の関係を図示すると図4に示すようになる。つまり、共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1に流れる電流と大きさが等しく逆位相の電流を反転増幅器10から出力することによって、D点が接地されたことと等価になり抵抗Rcu1を仮想的に短絡することになる。
【0023】
換言すれば、反転増幅器10の出力側から共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1に流れる電流と大きさが等しく、逆極性(逆位相)の電流を銅抵抗Rcu1に流して銅抵抗Rcu1を打ち消している。このため、D点の電位Vdが零[0]となり仮想的に接地されたことになるので共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1の影響を取り去ることができる。
【0024】
また、前述したようにD点を仮想接地することによって共振回路用コイルL1から銅抵抗Rcu1に流れる電流を零[0]にしている。このとき、端子A-B間からコイルL1を見たとき、D点の電位が零[0]であるので、検出用コイル1に内在する銅抵抗Rcu1が実質的に見えなくなり、銅抵抗Rcu1を0[Ω]と見なすことができる。
【0025】
このように本発明に係るコイルの銅抵抗補償回路によれば、検出用コイル1に含まれる銅抵抗Rcu1を仮想的に短絡することができる。この結果、検出用コイル1のQ比を大幅に改善し、また銅抵抗Rcu1に起因する温度依存性を除去してその発振動作の安定化を、ひいては近接センサとしての動作の安定化を図ることが可能となる。更には近接センサの検出距離を伸ばすことが可能となると共に、検出精度の高い近接センサを構成することが可能となる。
【0026】
このようにして検出用コイル1に含まれる銅抵抗Rcu1を打ち消した場合、この検出用コイル1を銅抵抗消去回路付きのコイルとして捉えることができる。従って前述した増幅器9を設計するに際しては、銅抵抗Rcu1が存在しないコイルを対象としてその回路定数を決定すればよいので、その設計が容易であり、回路構成の簡素化を図ることも容易である。
【0027】
また上述したように本発明の銅抵抗補償回路では、反転増幅器10を介して、D点の電位が0[V]になるように維持している。この反転増幅器10から出力される電流は、共振回路用コイルL1のオーム性の抵抗Rcu1に流れる電流と大きさと周波数が等しく、その位相だけが180°異なる逆相電流である。このため、共振回路の共振周波数が変動して、該共振回路用コイルL1のオーム性抵抗Rcu1に流れる電流の周波数が変化しても、その変化した周波数と同一周波数の逆相電流が反転増幅器10から共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1に出力されるので、周波数変動による仮想接地の変動を防止することができ、銅抵抗Rcu1を仮想的に短絡することが可能となる。
【0028】
つまり、周波数変動による回路定数の変動を補償する回路が不要であり、共振回路用コイルL1は銅抵抗Rcu1が存在しない検出コイルとして回路定数を決定すればよいので、その設計が容易であり、回路構成の簡素化を図ることも容易である。
更には、反転増幅器10によって、常にD点が0[V]となるように仮想接地されるので、個々の部品の特性のばらつきに影響されることなく共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1の影響を効果的に排除することができる。
【0029】
ところで、上述したことを踏まえて発明者らは、本発明の一実施例に係るコイルの銅抵抗補償回路の効果を検証すべく、高周波近接センサに用いられる検出コイルを用いて、検出コイルの抵抗成分の測定を行った。具体的には検出コイルの周囲温度を常温(25℃)、低温(−25℃)、高温(70℃)に設定し、発振周波数を200[kHz]として測定した。
【0030】
図5はそれぞれの温度条件におけるコイルの抵抗成分を線材、コイル、コイルコア状態、金属ケース収納状態および検出コイルに近接させる検出体の位置を7[mm]にしたときの状態をグラフに表したものである。そして、この結果から検出用コイル1の銅抵抗Rcu、交流抵抗成分Ri、検出体中の渦電流損Rtとして、それぞれの抵抗成分を積み上げて表示している。
【0031】
この結果を検討すると、コイルを形成する線材自体が持っている銅抵抗Rcuは温度70[℃]〜−25[℃]の範囲において、約1.23[Ω]〜約0.87[Ω]である。この線材を用いて形成したコイルをコアに装着して検出コイルを形成する。そして、金属ケースにこの検出コイルを収納すると検出コイルに生じる交流抵抗成分Riが加味される。このとき、温度70[℃]〜 −25[℃]の範囲において、コイルの抵抗値は約2.27[Ω]〜 約1.8[Ω]となる。そして被検出体が検出コイルに近接した状態(7[mm])となると、被検出体内部で渦電流損が生じ、このためコイルにRtが加わることになる。
【0032】
このグラフが示すように検出コイルの抵抗分のうち銅抵抗の割合が大きく、温度変化によってコイル特性に大きな影響を与えることがわかる。ちなみに、この測定に用いたコイルにおいて、銅抵抗補償回路を用いない場合のQ比は、
Q比 = (Rcu+Ri)/(Rcu+Ri+Rt) = 91[%]
である。一方、本発明による銅抵抗補償回路を用いた場合のQ比は、
Q比 = Ri/(Ri+Rt) = 80[%]
となる。つまり、この測定に用いたコイルに本発明の銅抵抗補償回路を適用すればQ比が11[%]改善できる結果が得られた。これは仮想接地点を設けることによって銅損抵抗成分を仮想的に短絡した効果が顕著に現れたものといえる。
【0033】
ところで上述した実施形態においては、共振回路用コイルL1に流れる電流と逆位相の電流を流すため、反転増幅器10として演算増幅器(オペアンプ)を用いた構成を例示したが、例えば図6に示すように移相回路20と利得調整用の抵抗R0とを用いて構成してもよい。この場合、移相回路の出力と銅抵抗補償用コイルL2の他端との間に設ける抵抗R0 は、
R0 = ωL−Rcu1
となるように設定すればよい。
【0034】
このような移相回路20を用いれば、前述したように共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1を仮想的に短絡することが可能となる。
具体的には、移相回路20による構成で、バッファ8の出力電圧は移相回路20を介して移相され、検出用コイル1に帰還される。この場合は、図7にその等価回路を示すように、検出用コイル1の自己インダクタンスLには発振により生起された電圧Vを受けて、その共通接続点Aから電流i1が供給され、また端子Cからは移相回路20から利得調整用の抵抗R0を介して電流i2が供給されることになる。そしてこれらの電流i1,i2は、共振回路用コイルL1の銅抵抗Rcu1を分離した点Dにて合成されて該銅抵抗Rcu1に流れ込む。従って上記電圧Vは、
V = i1・jωL+(i1+i2)・Rcu1 …(1)
として表すことができ、またバッファ8から帰還すべき電圧gVは、
gV = (i1+i2)・Rcu1+i2・(Rcu2+Ro) …(2)
として表すことができる。但し、上記gは帰還回路の利得である。そして銅抵抗Rcu1を仮想的に短絡することは、該銅抵抗Rcu1に流れる電流[i1+i2]を零[0]にすることを意味する。従って前述した利得調整用の抵抗R0の値が銅抵抗Rcu1よりも十分に大きいとすると(Rcu2<<Ro)、上記式(1),(2)から近似的に上記利得gを
g = j・(Ro/ωL)
として設定すればよい。
【0035】
このようにすることでRcu1に流れる電流を零[0]とすることができる。即ち、Rcu1の両端の電位が接地電位に等しくなり、D点を接地したことと等価になる。この為、検出用コイル1に含まれる銅抵抗Rcu1を仮想的に短絡することができる。
この場合は、発振角周波数ωに反比例するようなゲインを設定するだけでよいので、銅抵抗を仮想的に短絡するための仮想接地の回路設計の容易化を図ることが可能となる。更にはその周波数依存性を小さくすることができる等の効果が奏せられる。
【0036】
また上述した如くして移相回路20を用いる場合には、例えば利得調整用抵抗Roや移相量調整用の抵抗(Rconst)等にサーミスタ等の感温抵抗体を外付け部品として付加すれば、これによってその移相特性を容易に微調整することができるので、該銅抵抗Rcuを効果的に消去することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、検出用コイルに接続されて該検出用コイルを発振駆動する前記高周波発振回路を構成すると共に、該検出用コイルのQの変化に応じて前記検出用コイルに生起される発振振幅を変化させる増幅器を設け、更に前記検出用コイルに生起される発振出力電圧を位相回転させて該検出用コイルに帰還して前記検出用コイルの特性を補償する補償回路を備えるので、検出用コイルの銅抵抗成分を仮想的に短絡して検出用コイルのQおよびQ比を改善し、検出感度の向上を図ることができると共に、銅抵抗に起因する温度依存性を除去することができる。しかも反転増幅器を用いた簡単な構成で銅抵抗を仮想的に短絡することができるので、その実用的利点が多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高周波発振型近接センサの概略構成図。
【図2】検出コイルの等価回路を示す図。
【図3】本発明の一実施形態に係る高周波発振型近接センサの等価回路を示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る高周波発振型近接センサの検出コイルの電圧と電流の波形を示す概略図。
【図5】検出コイルの内部抵抗の測定結果を示す図。
【図6】本発明の別の実施形態に係る高周波発振型近接センサの概略構成図。
【図7】本発明の別の実施形態に係る高周波発振型近接センサの等価回路を示す図。
【図8】高周波発振型近接センサの概略構成を示すブロック図。
【図9】従来の検出コイルの銅抵抗補償回路を示す概略図。
【符号の説明】
1 検出用コイル
9 非線形増幅器
10 反転増幅器
11 バッファアンプ
20 移相回路
Claims (4)
- 一端を共通接続して縒り合わせた実質的に2本のコイル導体の一方を共振回路用コイルとし、他方を銅抵抗補償用コイルとした2糸コイルと、
この2糸コイルの共通接続した一端に駆動電圧を印加する発振駆動回路と、
前記共振回路用コイルの一端からその他端に流れる電流と大きさが等しい電流を前記共振回路用コイルの他端から前記銅抵抗補償用コイルの他端に向けて流し、前記共振回路用コイルの銅抵抗成分を仮想的に短絡する補償手段と
を具備したことを特徴とするコイルの銅抵抗補償回路。 - 前記補償手段による前記共振回路用コイルの銅抵抗成分の仮想的短絡は、前記2糸コイルの自己インダクタンス成分と交流抵抗成分との直列回路に、前記共振回路用コイルおよび前記銅抵抗補償用コイルの各銅抵抗成分をそれぞれ共通に直列接続した等価回路における共通接続点を仮想接地するものである請求項1に記載のコイルの銅抵抗補償回路。
- 前記補償手段は、前記銅抵抗補償用コイルの他端に生じる電圧を反転増幅して前記共振回路用コイルの他端に負帰還する反転増幅器からなる請求項1に記載のコイルの銅抵抗補償回路。
- 前記反転増幅器は、その増幅利得を等価的に無限大とした演算増幅器からなる請求項3に記載のコイルの銅抵抗補償回路。
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