JP3809141B2 - 免震建物用エレベーターの乗場装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基部建築体に免震装置を介して免震建築体が支持されて免震建築体に設けられた昇降路が基部建築体に対向して配置され、基部建築体及び昇降路の間に乗降通路が設けられた免震建物用エレベーターの乗場装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の免震建物用エレベーターの乗場装置において、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体と、免震建築体に形成されて基部建築体に嵌合状態に配置された昇降路とが設けられて、基部建築体と昇降路との間に乗降通路が配置される。すなわち、昇降路に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口が配置され、また基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置され乗降通路の他側を形成する基部出入口が配置される。
【0003】
また、乗降通路は複数個のロ字状をなす角筒体がテレスコピック−パイプ状に組立てられ、内面によって床、側面、天井が形成されて伸縮自在に構成される。そして、テレスコピック−パイプ形態の一側が基部出入口に、他側が昇降路出入口に接続されて、地震時、強風時の基部建築体と昇降路の双方の相互間距離等の変化に乗降通路が対応する。このような構成によって、地震時等であって上記双方が水平方向に相対変位した場合に、乗降通路が変位したり、また伸縮するような構成にしている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−171429号公報(実施の形態5、図26〜図30)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
免震建物用エレベーターにおいて、地震時等であって基部建築体と昇降路とに相対変位が発生した場合に、基部建築体の基部出入口と昇降路の昇降路出入口の両者が前後、左右または傾斜する方向に相対変位する。しかし、従来の免震建物用エレベーターの乗場装置では、乗降通路がテレスコピック−パイプ状に組立てられた複数個のロ字状の角筒体によって構成される。この構成において上記両者が出入口の間口方向に相対変位した場合に、相対変位に乗降通路が十分対応できず、ロ字状の角筒体に変形が発生することがあるという問題点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、基部建築体の基部出入口と昇降路の昇降路出入口の両者の間に設けられた乗降通路が、上記両者の間口方向に相対変位に容易に対応する免震建物用エレベーターの乗場装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る免震建物用エレベーターの乗場装置においては、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、この免震建築体に設けられて基部建築体に対向して設けられた昇降路と、基部建築体及び昇降路の間に設けられた乗降通路と、昇降路に設けられて乗降通路の一側を形成した昇降路出入口と、基部建築体に設けられて乗降通路の他側を形成した基部出入口と、基部出入口の側縁部に鉛直軸線を介して枢着され昇降路出入口に向かって突設されて、乗降通路の基部出入口側の壁面を形成した基部側壁板と、昇降路出入口の側縁部に一側が配置されて基部出入口に向かって突設されて基部側壁板に重合し、乗降通路の昇降路出入口側の壁面を形成し、基部側壁板に係合されて乗降通路の間口方向への変位を拘束された昇降路側壁板と、一側が昇降路出入口の側縁部に装着された取付金具と、一側が取付金具の他側に鉛直軸線を介して枢着され、他側は昇降路側壁板の昇降路出入口寄りの縁部表面に重合して配置された回動板と、この回動板に一端が固定されて昇降路側壁板に空隙を形成して挿通された取付棒と、この取付棒の他端に係合されて回動板を昇降路側壁板に押圧する方向に付勢する付勢体とが設けられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図5は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1は縦断側面図、図2は図1の要部横断平面図、図3は図2のA部拡大図、図4は図3の回動板の回動状況を示す図、図5は図3において昇降路側壁板が過回動した状態を示す図である。図において、大地(図示しない)に基部建築体1が建設され、基部建築体1の上の免震装置(図示しない)によって免震建築体(図示しない)が支持される。
【0009】
そして、免震建築体から基部建築体1及び免震建築体に対応する昇降路2が設けられて、図示が省略してあるがエレベーターのかご、つり合おもりが昇降路2を昇降する。また、基部建築体1に基部出入口3が設けられ、昇降路2には昇降路出入口4が設けられる。そして、昇降路出入口4に昇降路出入口4を開閉する乗場の戸5、昇降路出入口4の下縁部に乗場の戸5の下端を案内する敷居6が設けられる。
【0010】
また、基部出入口3と昇降路出入口4の間に乗降通路7が設けられて、次に述べるように構成される。すなわち、基部出入口3の下縁部に配置されて昇降路出入口4に向かって突設された基部側床板8が設けられ、また基部出入口3の上縁部に配置されて昇降路出入口4に向かって突設された基部側天井板9が設けられる。また、基部出入口3の側縁部に基部側壁板11が設けられ、一側が鉛直軸線10を介して枢着されて他側は昇降路出入口4寄りに配置されて、乗降通路7の基部出入口3側の壁面を形成する。
【0011】
そして、昇降路出入口4の下縁部に昇降路側床板12が配置されて、一側が水平軸線13を介して枢着され、他側は基部出入口3寄りに配置されて基部側床板8の上面に重合し、先端部に先端が下方に傾斜した傾斜面14が形成される。また、昇降路出入口4の上縁部に昇降路側天井板15が配置されて、一側が水平軸線16を介して枢着され、他側は基部出入口3寄りに配置されて基部側天井板9の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面17が形成される。
【0012】
そして、昇降路側壁板18が設けられて昇降路出入口4の側縁部に一側が配置されて基部出入口3に向かって突設され、基部側壁板11に重合し、乗降通路7の昇降路出入口4側の壁面を形成する。また、昇降路側壁板18の先端部に先端が基部側壁体11面に接近する方向に傾斜した傾斜面19が形成される。
【0013】
なお、昇降路側天井板15は昇降路側壁板18の上縁部によって支持される。また、一側が昇降路出入口4の側縁部に装着された取付金具20が設けられて、取付金具20の他側にヒンジ21の一側が装着される。なお、取付金具20は昇降路出入口4の側縁部に高さ方向に沿って互いに離れて複数個が設けられる。
【0014】
また、ヒンジ21の他側に回動板22が装着されて、一側の端面は昇降路出入口4の側縁部に近接して配置され、他側は昇降路側壁板18の昇降路出入口4側の縁部に重合して配置される。そして、取付棒23が回動板22に設けられ取付棒23の一端が回動板22の裏面に固定されて、昇降路側壁板18との重合部に配置され昇降路側壁板18に設けられた挿通孔に空隙を形成して挿通される。
【0015】
なお、取付棒23は回動板21の高さ方向に沿って互いに離れて複数個が設けられる。また、引っ張りコイルばねからなる付勢体24が設けられて、引っ張りコイルばねの一端が取付棒23の挿通端に掛合され、他端は昇降路側壁板18の裏面側の屈折部25に掛合される。これにより、回動板22が昇降路側壁板18を押圧する方向に付勢される。
【0016】
また、基部側壁板11及び昇降路側壁板18の両者の裏面に上記両者を相互に乗降通路7の通行方向に沿う方向に変位可能に係合する係合機構26が設けられる。この係合機構26は基部側壁板11の裏面に設けられてこの裏面に沿う方向に長手が配置された係合溝27を有する係合体28及び昇降路側壁板18の裏面に設けられて係合体28の係合溝27に対して乗降通路7の間口方向に少ない空隙を形成して嵌合された係合腕29によって構成される。
【0017】
上記のように構成された免震建物用エレベーターの乗場装置において、常時、すなわち免震装置に水平方向の変形がない状態ではかご用案内レール、つり合おもり用案内レールが鉛直に配置されてかご、つり合おもりが昇降運転される。また、常時において図1に示すように基部出入口3、昇降路出入口4は相互に所定の間隔に配置され、かつそれぞれ鉛直姿勢に配置される。
【0018】
そして、基部側床板8の上に昇降路側床板12が重合して配置され、また基部側天井板9の下に昇降路側天井板15が重合して配置される。また、基部側壁板11における乗降通路7の内面に昇降路側壁板18が重合して配置され、基部側壁板11及び昇降路側壁板18の両者が係合機構26によって乗降通路7の通行方向には変位可能に、また乗降通路7の間口方向には変位が拘束された状態に係合される。
【0019】
また、回動板22は付勢体24によって昇降路側壁板18に押し付けられて、昇降路側壁板18に密接して配置される。
以上説明した構成によって、基部出入口3、昇降路出入口4の間に常時において、図1〜図3に示すように床面、壁面、天井面を有する乗降通路7が形成される。
【0020】
そして、地震時、強風時に免震装置に水平方向の変形が発生し、基部建築体1及び免震建築体が相対変位した場合に、基部建築体1すなわち基部出入口3と、昇降路出入口4すなわち昇降路2との間に相対変位が発生する。このときには、乗降通路7を構成した基部側床板8と昇降路側床板12等の互いに対応した昇降路側板体及び基部側板体、基部側壁板11及び昇降路側壁板18とが相対変位して、基部建築体1と昇降路2の相対変位に対応する。
【0021】
そして、図3に示す状態から基部側壁板11及び昇降路側壁板18が昇降路出入口4に対して図3に示す矢印B方向に変位した場合には図4に示す状態となる。図4に示す状態において、回動板22の一側の先端が昇降路出入口4の側縁部に対して接近した位置に配置されて、昇降路出入口4の側縁部との間に余計な空隙が生じることがない。
【0022】
また、図3に示す状態から基部側壁板11及び昇降路側壁板18が昇降路出入口4に対して図3に示す矢印C方向に過回動した場合には図5に示す状態となる。このときは、付勢体24による付勢力に抗して昇降路側壁板18が回動し、昇降路側壁板18面と回動板22との間に隙間が発生する。このため、昇降路側壁板18等の過回動時に昇降路側壁板18、回動板22に過大な負荷が作用することがない。
【0023】
このようにして、地震時等によって基部出入口3と昇降路2の昇降路出入口4の両者が間口方向の相対変位したときに、上記両者の間に設けられた乗降通路7が、回動板22等の構成部材に有害な変形を生じることなく、上記両者の相対変位に容易に対応する。このため、地震後にエレベーターを煩雑な手数を要することなく運転再開でき、また保守費を低減することができる。
【0024】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、この免震建築体に設けられて基部建築体に対向して設けられた昇降路と、基部建築体及び昇降路の間に設けられた乗降通路と、昇降路に設けられて乗降通路の一側を形成した昇降路出入口と、基部建築体に設けられて乗降通路の他側を形成した基部出入口と、基部出入口の側縁部に鉛直軸線を介して枢着され昇降路出入口に向かって突設されて乗降通路の基部出入口側の壁面を形成した基部側壁板と、昇降路出入口の側縁部に一側が配置され基部出入口に向かって突設されて基部側壁板に重合し、乗降通路の昇降路出入口側の壁面を形成し、基部側壁板に係合されて乗降通路の間口方向への変位を拘束された昇降路側壁板と、一側が昇降路出入口の側縁部に装着された取付金具と、一側が取付金具の他側に鉛直軸線を介して枢着され、他側は昇降路側壁板の昇降路出入口寄りの縁部表面に重合して配置された回動板と、この回動板に一端が固定されて昇降路側壁板に空隙を形成して挿通された取付棒と、この取付棒の他端に係合されて回動板を昇降路側壁板に押圧する方向に付勢する付勢体とを設けたものである。
【0025】
これによって、基部出入口と昇降路出入口の間に基部側壁板、昇降路側壁板及び回動板を要部として形成された乗降通路が構成される。そして、地震時、強風時に免震装置に水平方向の変形が発生して基部建築体及び免震建築体が相対変位した場合に、基部建築体すなわち基部出入口と、昇降路出入口すなわち昇降路の間に乗降通路の間口方向の相対変位が発生したときには、乗降通路を構成した基部側壁板及び昇降路側壁板が変位し、かつ出入口の側縁部に対して回動して基部建築体と昇降路の相対変位に対応する。また、昇降路側壁板等が昇降路出入口の側縁部に対して過回動した場合は、付勢体による付勢力に抗して昇降路側壁板が回動し、昇降路側壁板面と回動板との間に隙間が発生する。このため、昇降路側壁板等の過回動時に昇降路側壁板、回動板に過大な負荷が作用することがない。したがって、地震時等によって基部出入口と昇降路出入口の両者が出入口間口方向に相対変位したときに、乗降通路の構成部材に有害な変形を生じることなく上記両者の相対変位に正常に対応する。このため、地震後にエレベーターを煩雑な手数を要することなく運転再開でき、また保守費を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す縦断側面図。
【図2】 図1の要部横断平面図。
【図3】 図2のA部拡大図。
【図4】 図3の回動板の回動状況を示す図。
【図5】 図3において昇降路側壁板が過回動した状態を示す図。
【符号の説明】
1 基部建築体、 2 昇降路、 3 基部出入口、 4 昇降路出入口、 7 乗降通路、 10 鉛直軸線、 11 基部側壁板、 18昇降路側壁板、 20 取付金具、 21 ヒンジ(鉛直軸線)、 22 回動板、 23 取付棒、 24 付勢体。
Claims (1)
- 基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、この免震建築体に設けられて上記基部建築体に対向して設けられた昇降路と、上記基部建築体及び昇降路の間に設けられた乗降通路と、上記昇降路に設けられて上記乗降通路の一側を形成した昇降路出入口と、上記基部建築体に設けられて上記乗降通路の他側を形成した基部出入口と、上記基部出入口の側縁部に鉛直軸線を介して枢着され上記昇降路出入口に向かって突設されて上記乗降通路の上記基部出入口側の壁面を形成した基部側壁板と、上記昇降路出入口の側縁部に一側が配置されて上記基部出入口に向かって突設されて上記基部側壁板に重合し、上記乗降通路の上記昇降路出入口側の壁面を形成し、上記基部側壁板に係合されて上記乗降通路の間口方向への変位を拘束された昇降路側壁板と、一側が上記昇降路出入口の側縁部に装着された取付金具と、一側が上記取付金具の他側に鉛直軸線を介して枢着され、他側は上記昇降路側壁板の上記昇降路出入口寄りの縁部表面に重合して配置された回動板と、この回動板に一端が固定されて上記昇降路側壁板に空隙を形成して挿通された取付棒と、この取付棒の他端に係合されて上記回動板を上記昇降路側壁板に押圧する方向に付勢する付勢体とを備えた免震建物用エレベーターの乗場装置。
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