JP3809114B2 - 流路切替装置およびその装置に用いる造影剤注入用チューブ - Google Patents

流路切替装置およびその装置に用いる造影剤注入用チューブ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流路切替装置およびその装置に用いる造影剤注入用チューブの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療現場においては、人体の機能を検査する装置としてさまざまなのもが開発されている。その中の1つに、人体の脳または循環器などの機能を診断するためのアンギオ撮影装置を用いた血管撮影がある。この血管撮影においては、インジェクタヘッドに装着されたシリンジ内の造影剤を患者に対して注入し、患者の体内に注入された造影剤に対してX線を用いて診断することにより、脳および循環器などの機能が診断される。
【0003】
たとえば心臓血管造影検査においては、シリンジ内への造影剤の吸引、患者の血圧をモニタリング等を行なう場合、シリンジと患者との間に設けられる造影剤注入用チューブにおいて、造影剤の流路を切替える必要がある。ここで、図37から図39を参照して、造影剤注入用チューブにおける造影剤の流路切替について説明する。
【0004】
まず、図37を参照して、造影剤2000が充填されるシリンジ1000には、ピストン1002が内装されており、このピストン1002には、ピストン1002を移動させるため、インジェクタヘッド(図示省略)に設けられるプランジャ6001が連結されている。
【0005】
シリンジ1000には、造影剤導入ポート1003と、造影剤導出ポート1004とが設けられている。造影剤導入ポート1003には、造影剤が蓄えられる造影剤ボトルが連結され、造影剤導出ポート1004には、自動流路切替器600が連結されている。
【0006】
この自動流路切替器600は、樹脂製の筒状の本体部601を有し、内部には、ピストン602と、このピストン602に付勢力を与えるためのコイルバネ603とが内装されている。ピストン602を挟んでコイルバネ603とは反対側には、造影剤導出ポート1004が連結される第1連結ポート604が設けられている。また、本体部601の胴部には、患者側に連結される第1チューブ605と、患者の血圧を測定するための圧力トランスジューサ4000側に連結される第2チューブ606とが設けられている。第2チューブ606の終端には生理食塩水7000が蓄えられる生理食塩水バッグが連結され、圧力トランスジューサ4000と生理食塩水バッグとの間には、ローラポンプ8000が設けられている。
【0007】
また、ピストン602は、図38に示すように、第1ピストン602aと、この第1ピストン602aに一端が連結される連結棒602bと、この連結棒602bの他端に連結される第2ピストン602cを備える2重ピストン構造が採用されている。
【0008】
図37に示す状態においては、ピストン602は、第1連結ポート604側に位置し、第1ピストン602aと第2ピストン602cとの間の空間において、第1チューブ605と第2チューブ606とが連通可能な状態となっている。
【0009】
次に、上記構成からなる自動流路切替器600を用いた場合の流路切替動作の概略について説明する。
【0010】
まず、図37に示す状態は、シリンジ1000内に、造影剤ボトルから造影剤2000が充填される状態を示している。プランジャ6001によりピストン1002が矢印方向に引かれると、造影剤導入ポート1003を介して造影剤ボトルから造影剤2000が吸引される。このとき自動流路切替器600のピストン602には、造影剤導出ポート1004からは圧力が加わらないため、第1ピストン602aにより第1連結ポート604が閉じられた状態となる。また、第1チューブ605と第2チューブ606とが連通可能な状態となっていることから、第1チューブ605および第2チューブ606を介して、圧力トランスジューサ4000により患者の血圧を測定することが可能となっている。なお、患者の血液が第1チューブ605から第2チューブ606側に向けて逆流してきた場合には、ローラポンプ8000により生理食塩水を第1チューブ605側に向けて送り出す(フラッシュさせる)ことにより、血液の逆流は解消される。また、生理食塩水を第1チューブ605側に向けて送り出す他の目的としては、測定ラインとカテーテルとの間に血液が長くとどまると血液が凝固して血圧の圧力測定に誤差がでる事と、血栓の発生をなくすことが挙げられる。
【0011】
次に、図39に示す状態は、シリンジ1000内に充填された造影剤2000が、患者に注入される状態を示している。プランジャ6001によりピストン1002が矢印方向に押された場合、第1連結ポート604を介して第1ピストン602aに圧力が加わり、コイルバネ603の付勢力に対抗して、ピストン602が第1連結ポート604とは反対側に移動する。これにより、第1ピストン602aが第1チューブ605と第2チューブ606との間に位置し、第1チューブ605と第2チューブ606との連通を遮断するとともに、第1チューブ605と第1連結ポート604とが連通する状態に流路が切替えられる。その結果、シリンジ1000内に充填された造影剤2000が、第1連結ポート604から第1チューブ605へと流れ、患者に注入される状態となる。このとき、第2チューブ606には、圧力が加わらないため、圧力トランスジューサ400に不要な圧力が加わることはない。
【0012】
このように、自動流路切替器600を用いることにより、従来のチューブに設けられたマニュホールドによる手動操作による煩雑な作業から術者を解放可能としている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記自動流路切替器600は、検査毎に取りかえられ、使用済みの自動流路切替器600は廃棄されることになる。しかし、上記自動流路切替器600は部品点数も多く、また、ピストン602は2重ピストン構造が採用される特殊構造からなるため、自動流路切替器600に必要とするコストが高くなる。その結果、医療機関および患者が負担すべきコストが高いものとなる問題が挙げられる。また資源の有効活用の観点からも、廃棄すべき資源は少ないほうが好ましい。
【0014】
したがって、この発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、造影剤の注入に用いられた後に廃棄される造影剤注入用チューブの構造を簡単な構造にすることを可能とする流路切替装置を提供するとともに、その装置に用いるための造影剤注入用チューブを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に基づいた流路切替装置においては、一端側に造影剤が充填されるシリンジの導出ポートが連結され、他端側が患者側に連結される主チューブと、この主チューブから分岐し、造影剤が蓄えられる造影剤貯留部材に連結される第1分岐チューブと、この第1分岐チューブよりも他端側において上記主チューブから分岐し、圧力トランスジューサおよび生理食塩水が蓄えられる生理食塩水貯留部材に連結される第2分岐チューブと、を備える造影剤注入用チューブに用いられる流路切替装置であって、上記第1分岐チューブの管壁を変形させることにより上記第1分岐チューブの流路を閉じ、上記第1分岐チューブの管壁を復元させることにより上記第1分岐チューブの流路を開放する第1分岐チューブ開閉手段と、上記第1分岐チューブと上記第2分岐チューブとの間に配置され、上記主チューブの管壁を変形させることにより上記主チューブの流路を閉じ、上記主チューブの管壁を復元させることにより上記主チューブの流路を開放する主チューブ開閉手段と、上記第2分岐チューブの管壁を変形させることにより上記第2分岐チューブの流路を閉じ、上記第2分岐チューブの管壁を復元させることにより上記第2分岐チューブの流路を開放する第2分岐チューブ開閉手段とを備える。
【0016】
この構造からなる流路切替装置を用いることにより、造影剤注入用チューブの構造としては、主チューブ、第1分岐チューブ、および第2分岐チューブのみの構成となるために、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる。その結果、従来のように、特注品からなる2重構造ピストン等の採用が不要になるため、造影剤注入用チューブのコストを大きく低下させることが可能になる。また、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる結果、造影剤注入用チューブ内でのエアの絡みも少なくすることが可能になる。
【0017】
また、上記流路切替装置において好ましくは、上記第1分岐チューブ開閉手段は、上記第1分岐チューブの管壁を変形させるため、上記管路を外側から挟み込む第1挟持手段を備え、上記主チューブ開閉手段は、上記主チューブの管壁を変形させるため、上記管路を外側から挟み込む主挟持手段を備え、上記第2分岐チューブ開閉手段は、上記第2分岐チューブの管壁を変形させるため、上記管路を外側から挟み込む第2挟持手段を備える。
【0018】
このように、流路切替装置において、主チューブ、第1分岐チューブ、および第2分岐チューブの外側から挟み込む挟持手段を採用することにより、造影剤注入用チューブを流路切替装置の所定位置にセットすることのみで、準備が完了するため、取扱操作を極めて簡略化することが可能になる。
【0019】
また、上記流路切替装置において好ましくは、上記主挟持手段により上記主チューブが挟持されて、上記主チューブの流路が閉じられている状態においては、上記第1挟持手段および上記第2挟持手段による上記第1分岐チューブおよび上記第2分岐チューブの流路が開放される第1状態が選択され、上記主挟持手段により上記主チューブの流路が開放されている状態においては、上記第1挟持手段および上記第2挟持手段により上記第1分岐チューブおよび上記第2分岐チューブの流路が閉じられる第2状態が選択される切替手段が設けられる。
【0020】
このように各状態が選択される切替手段を設けることにより、第1状態を選択することにより、シリンジ内の空気排出行程、主チューブへの造影剤注入行程、および、患者への造影剤注入行程を実現させることが可能となり、また、第2状態を選択することにより、シリンジ内への造影剤吸引行程、造影剤注入用チューブ内の空気排出行程、および、シリンジ内への造影剤再吸引行程を実現させることが可能となる。また、造影剤再吸引行程においては、主チューブの患者側と第2分岐チューブとが連通状態にあるために、患者の血圧を圧力トランスジューサによりモニタリングすることが可能になる。
【0021】
上述したように、2状態を選択することのみで、すべての流路切替の実現を可能としているが、上記切替手段の具体的な態様として、上記主挟持手段、上記第1挟持手段および上記第2挟持手段をそれぞれ別個独立に制御する構成や、上記主挟持手段、上記第1挟持手段および上記第2挟持手段のそれぞれが連動するように制御するためのリンク機構を採用する構成が考えられる。
【0022】
また、上記流路切替装置において好ましくは、当該流路切替装置は、上記主チューブを略水平状態に保持した状態において、上記シリンジの上記導出ポートを略上向きに保持すための状態と、上記シリンジの上記導出ポートを下方に向いて傾斜させる状態とを切替えるための、上記シリンジ保持状態切替手段をさらに備える。
【0023】
これにより、上記シリンジ内の空気排出行程、および主チューブへの造影剤注入行程において、シリンジの上記導出ポートを略上向きに保持すための状態を選択することにより、シリンジ内の空気は、常にシリンジの導出ポートに導かれることになるため、シリンジ内の空気を確実に外部に排出することが可能になる。
【0024】
また、患者への造影剤注入行程においては、シリンジの導出ポートを下方に向いて傾斜させる状態を選択することにより、不可避的に発生する気泡をシリンジの導出ポートの反対側に導くことが可能になり、造影剤注入用チューブ内への気泡の混入を防止することが可能になる。
また、この発明に基づいた流路切換装置の他の局面においては、一端側に造影剤が充填されるシリンジの導出ポートが連結され、他端側が患者側に連結される主チューブと、この主チューブから分岐し、造影剤が蓄えられる造影剤貯留部材に連結される第1分岐チューブと、この第1分岐チューブよりも他端側において上記主チューブから分岐し、圧力トランスジューサおよび生理食塩水が蓄えられる生理食塩水貯留部材に連結される第2分岐チューブと、を備える造影剤注入用チューブに用いられる流路切替装置であって、以下の構成を備えている。
上記第1分岐チューブの管壁を変形させることにより上記第1分岐チューブの流路を閉じ、上記第1分岐チューブの管壁を復元させることにより上記第1分岐チューブの流路を開放する第1分岐チューブ開閉手段と、上記第1分岐チューブと上記第2分岐チューブとの間に配置され、上記主チューブの管壁を変形させることにより上記主チューブの流路を閉じ、上記主チューブの管壁を復元させることにより上記主チューブの流路を開放する主チューブ開閉手段と、上記第2分岐チューブの管壁を変形させることにより上記第2分岐チューブの流路を閉じ、上記第2分岐チューブの管壁を復元させることにより上記第2分岐チューブの流路を開放する第2分岐チューブ開閉手段と、を備えている。
また、上記第1分岐チューブ開閉手段は、上記第1分岐チューブの管壁を変形させるため、上記管路を外側から挟み込む第1挟持手段を備え、上記主チューブ開閉手段は、上記主チューブの管壁を変形させるため、上記管路を外側から挟み込む主挟持手段を備え、上記第2分岐チューブ開閉手段は、上記第2分岐チューブの管壁を変形させるため、上記管路を外側から挟み込む第2挟持手段を備えている。
さらに、上記主挟持手段により上記主チューブが挟持されて、上記主チューブの流路が閉じられている状態において、上記第2挟持手段による上記第2分岐チューブの流路が開放される状態が選択される切替手段が設けられる
【0025】
また、上記目的を達成するため、この発明に基づいた造影剤注入用チューブにおいては、上述した流路切替装置に装着される造影剤注入用チューブであって、一端側に造影剤が充填されるシリンジが連結され、他端側が患者側に連結される主チューブと、上記主チューブから分岐し、造影剤が蓄えられる造影剤貯留部材に連結される第1分岐チューブと、上記第1分岐チューブよりも他端側において上記主チューブから分岐し、圧力トランスジューサおよび生理食塩水が蓄えられる生理食塩水貯留部材に連結される第2分岐チューブとを備える。
【0026】
この造影剤注入用チューブによれば、主チューブ、第1分岐チューブ、および第2分岐チューブのみの構成となるために、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる。その結果、従来のように、特注品からなる2重構造ピストン等の採用が不要になるため、造影剤注入用チューブのコストを大きく低下させることが可能になる。また、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる結果、造影剤注入用チューブ内でのエアの絡みを少なくすることが可能になる。
【0027】
また、上記造影剤注入用チューブにおいて好ましくは、当該造影剤注入用チューブを、上記流路切替装置に装着される状態にあらかじめ保持するための形態保持部材をさらに備える。このように、流路切替装置に装着される状態に造影剤注入用チューブをあらかじめ保持しておくことで、造影剤注入用チューブを、一回の操作(ワンタッチ)で、容易にかつ正確に流路切替装置に装着することが可能となる。また、造影剤注入用チューブが破損し、造影剤が噴出するようなことが生じた場合においても、形態保持部材により造影剤の噴出飛散が防止され、周囲の患者、技師、医療機材等への被害が及ぶことを回避することが可能になる。
【0028】
また、上記造影剤注入用チューブにおいて好ましくは、上記形態保持部材は、上記流路切替装置に対して、着脱可能に設けられる。これにより、造影剤注入用チューブの流路切替装置からの落下を防止することが可能となる。また、造影剤注入用チューブの交換も容易に行なうことが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に基づいた各実施の形態における流路切替装置および造影剤注入用チューブについて、図を参照しながら説明する。
【0030】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000について、図1から図17を参照しながら説明する。なお、図1および図2は、流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000の外観構造を示す第1および第2全体斜視図であり、図3から図5は、シリンジ保持状態切替手段の機構の動作を説明するための第1から第3模式図であり、図6から図11は、流路切替装置100に採用される、第1挟持手段101、主挟持手段102、および、第2挟持手段103の構造を説明するための図であり、図12から図17は、流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000を用いた患者への造影剤2000の注入行程を示すステップ図である。
【0031】
(流路切替装置100、造影剤注入用チューブ3000の概略構成)
まず、図1および図2を参照して、本実施の形態における流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000の概略構成について説明する。
【0032】
まず、造影剤注入用チューブ3000は、一端側には、造影剤が充填されるシリンジ1000の導出ポート1001が連結され、他端側には患者側が連結される主チューブを備える。この主チューブは、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および、第3主チューブ3010を有する。第1主チューブ3001の導出ポート1001側には、メス型コネクタ3002が設けられ、導出ポート1001にあらかじめ設けられているオス型コネクタとの連結を可能としている。
【0033】
第1主チューブ3001と第2主チューブ3006との連結部分には、Tコネクタ3003が配置され、第1主チューブ3001および第2主チューブ3006から分岐するように第1分岐チューブ3004が設けられている。第1分岐チューブ3004の先端部分には、オス型コネクタ3005が設けられ、造影剤2000が蓄えられる造影剤ボトルまたはシリンジ製剤に連結可能としている。
【0034】
第2主チューブ3006と第3主チューブ3010との連結部分には、Tコネクタ3007が配置され、第2主チューブ3006および第3主チューブ3010から分岐するように第2分岐チューブ3008が設けられている。第2分岐チューブ3008の先端部分には、オス型コネクタ3009が設けられ、圧力トランスジューサ4000が連結されている。第3主チューブ3010の他端側には、オス型コネクタ3011が設けられている。なお、図1および図2には図示していないが、圧力トランスジューサ4000には、生理食塩水7000が蓄えられる生理食塩水バッグが連結され、圧力トランスジューサ4000と生理食塩水バッグとの間には、ローラポンプ8000が設けられている(図12参照)。
【0035】
なお、第1分岐チューブ3004と第2分岐チューブ3008とは、相互に反対方向に延びるように設けられているが、第1分岐チューブ3004と第2分岐チューブ3008とを同一方向に延びるように設けることも可能である。
【0036】
なお、造影剤注入用チューブ3000は、外部から管壁を変形させるとともに復元させる必要があるため、弾性に富んだ材質を使用したチューブを用いることが好ましい。
【0037】
次に、流路切替装置100の概略構成について説明する。この流路切替装置100は、内部に制御機器が収容されるメインボード104Aを備え、このメインボード104A前面側には、第1分岐チューブ3004の管壁を変形させることにより第1分岐チューブ3004の流路を閉じ、第1分岐チューブ3004の管壁を復元させることにより第1分岐チューブ3004の流路を開放する第1分岐チューブ開閉手段としての第1挟持手段101が設けられている。この第1挟持手段101の構成要素としては、第1分岐チューブ3004の管壁を変形させるため、第1分岐チューブ3004の管路を外側から挟み込む円筒形状の1対の第1挟持部材101aおよび第2挟持部材101bとを有している。
【0038】
また、メインボード104A前面側には、第1分岐チューブ3004と第2分岐チューブ3008との間に位置する第2主チューブ3006の管壁を変形させることにより第2主チューブ3006の流路を閉じ、第2主チューブ3006の管壁を復元させることにより第2主チューブ3006の流路を開放する主チューブ開閉手段としての主挟持手段102が設けられている。この主挟持手段102の構成要素としては、第2主チューブ3006の管壁を変形させるため、第2主チューブ3006の管路を外側から挟み込む円筒形状の1対の第3挟持部材102aおよび第4挟持部材102bとを有している。
【0039】
また、このメインボード104A前面側には、第2分岐チューブ3008の管壁を変形させることにより第2分岐チューブ3008の流路を閉じ、第2分岐チューブ3008の管壁を復元させることにより第2分岐チューブ3008の流路を開放する第2分岐チューブ開閉手段としての第2挟持手段103が設けられている。この第2挟持手段103の構成要素としては、第2分岐チューブ3008の管壁を変形させるため、第2分岐チューブ3008の管路を外側から挟み込む円筒形状の1対の第5挟持部材103aおよび第6挟持部材103bとを有している。
【0040】
なお、図1に示す状態は、流路切替装置100により、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および、第3主チューブ3010を略水平状態に保持した状態において、シリンジ1000の導出ポート1001を略上向きに保持した状態を示し、図2に示す状態は、シリンジ1000の導出ポート1001を下方に向いて傾斜させる状態を示している。
【0041】
(シリンジ保持状態切替手段の機構)
次に、図3から図5を参照して、この流路切替装置100に付加されるシリンジ保持状態切替手段の機構について説明する。まず、図3を参照して、このシリンジ保持状態切替手段は、保持レバー機構5000を有し、この保持レバー機構5000の一端は、流路切替装置100に対して枢軸5001により回転可能に連結され、保持レバー機構5000の他端は、シリンジ1000が保持されるインジェクタヘッド6000に対して枢軸5002により回転可能に連結されている。保持レバー機構5000は、インジェクタヘッド6000に対して流路切替装置100を回動させた場合においても、流路切替装置100が水平状態を維持させながら、インジェクタヘッド6000を回転させることを可能とする機構が採用されている。
【0042】
その結果、図3に示すシリンジ1000の導出ポート1001を略上向きに保持した状態(自動セットアップ姿勢)から、インジェクタヘッド6000を中心にして流路切替装置100を反時計回転方向に回動させた場合、図4に示すように、流路切替装置100およびインジェクタヘッド6000を水平状態(水平姿勢)にすることができ、さらに流路切替装置100を反時計回転方向に回動させた場合、図5に示すように、シリンジ1000の導出ポート1001を下方に向いて傾斜させる状態(注入姿勢)にすることができる。
【0043】
(第1挟持手段101、主挟持手段102、および、第2挟持手段103の構造)
次に、図6から図11を参照して、本実施の形態における第1挟持手段101、主挟持手段102、および、第2挟持手段103の構造について説明する。本実施の形態における各挟持手段は、それぞれ別個独立に制御する機構が採用されている。また、後述するが、第1挟持手段101および第2挟持手段103は、通常状態においては閉状態が多いため、常時閉動作を行なう挟持手段の機構が採用され、主挟持手段102は、通常状態においては開状態が多いため、常時開動作を行なう挟持手段の機構が採用されている。
【0044】
まず、第1挟持手段101および第2挟持手段103の構造について説明する。なお、第1挟持手段101および第2挟持手段103の構造は、同じであるため、第1挟持手段101の構造についてのみ説明する。なお、図中のかっこ内の参照符号は、対応する第2挟持手段103の構成を示す。
【0045】
図6を参照して、この第1挟持手段101(第2挟持手段103)は、円筒形状の第1挟持部材101a(第5挟持部材103a)が、レバー110の一端側に取付けられている。このレバー110の略中心位置に設けられる軸芯孔112によって、ピン114およびワッシャ120により、レバー110は回転可能にベースプレート118に取付けられている。ベースプレート118には、ソレノイド115が取付けられ、ソレノイド115の駆動ピン116の先端部分117にレバー110の他端に設けられた摺動長孔111がピン113により連結されている。第1挟持部材101aから見てソレノイド115側のベースプレート118には、円筒形状の第2挟持部材101b(第6挟持部材103b)が取付けられている。また、駆動ピン116には、コイルバネ121aが装着されている。
【0046】
この構成からなる第1挟持手段101の場合、図7に示すように、第1挟持部材101aと第2挟持部材101bとが近接する位置となる状態、いわゆる閉状態が通常状態である。一方、図8に示すように、第1挟持部材101aと第2挟持部材101bとが離れる開状態とするためには、ソレノイド115をON状態にして駆動ピン116をA1方向に駆動させることにより、レバー110がピン114を中心にして回転し、第1挟持部材101aがB1方向に移動する。また、図8に示す開状態から、図7に示す閉状態に戻す場合は、ソレノイド115をOFF状態にすることにより、コイルバネ121aにより駆動ピン116が図7に示す位置に戻されることになる。
【0047】
次に、図9を参照して、主挟持手段102は、円筒形状の第3挟持部材102aが、レバー110の一端側に取付けられている。このレバー110の略中心位置に設けられる軸芯孔112によって、ピン114およびワッシャ120により、レバー110は回転可能にベースプレート118に取付けられている。ベースプレート118には、ソレノイド115が取付けられ、ソレノイド115の駆動ピン116の先端部分117にレバー110の他端に設けられた摺動長孔111がピン113により連結されている。第3挟持部材102aから見てソレノイド115とは反対側のベースプレート118には、円筒形状の第4挟持部材102bが取付けられている。また、駆動ピン116には、コイルバネ121bが装着されている。
【0048】
この構成からなる主挟持手段102の場合、図10に示すように、第3挟持部材102aと第4挟持部材102bとが離れる位置となる状態、いわゆる開状態が通常状態である。一方、図11に示すように、第3挟持部材102aと第4挟持部材102bとが近接する閉状態とするためには、ソレノイド115をON状態にして駆動ピン116をA1方向に駆動させることにより、レバー110がピン114を中心にして回転し、第3挟持部材102aがB1方向に移動する。また、図11に示す開状態から、図10に示す開状態に戻す場合は、ソレノイド115をOFF状態にすることにより、コイルバネ121bにより駆動ピン116が図10に示す位置に戻されることになる。
【0049】
なお、上記構造においては、レバー110を駆動させる手段としてソレノイド115を用いる場合について説明しているが、その他、モータ(ギヤードモータ、ギヤレスモータ等)等の駆動装置を用いることも可能である。
【0050】
(造影剤2000の注入行程)
次に、図12から図17を参照して、流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000を用いた患者への造影剤2000の注入行程について説明する。なお、図12から図15に示す行程は、初期セットアップ行程であり、図16から図17に示す行程は、造影剤注入行程となる。したがって、初期セットアップ行程においては、シリンジ1000の導出ポート1001は略上向きに保持される状態が選択され、造影剤注入行程においては、シリンジ1000の導出ポート1001は略水平、または導出ポート1001が下方に向いて傾斜させる状態が選択されている。両状態の切替は、上記図3から図5において説明したシリンジ保持状態切替手段により実現される。また、初期セットアップ行程においては、第3主チューブ3010の先端部は、患者側には接続されておらず、造影剤注入行程において、第3主チューブ3010の先端部が患者側には接続されている。なお、造影剤注入用チューブ3000は、図1および図2に示すように、流路切替装置100にセットされる。
【0051】
(シリンジ内の空気排出行程)
まず、図12を参照して、シリンジ1000内の空気排出行程について説明する。まず、造影剤が充填されていないシリンジ1000内の空気を排出させるため、ピストン1002をプランジャ6001により前進させる。このプランジャ6001の前進制御にともなって、インジェクタヘッド6000による制御信号によって流路切替装置100が以下のように制御される。まず、第1挟持手段101および第2挟持手段103は閉状態が選択され、主挟持手段102は開状態が選択される。これにより、第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008の管路が閉じ、第2主チューブ3006が開放される結果、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および第3主チューブ3010が連通状態となり、第3主チューブ3010の先端部から、シリンジ1000内の空気が外方に排出される。
【0052】
(シリンジ内への造影剤吸引行程)
次に、図13を参照して、シリンジ1000内への造影剤2000の吸引行程について説明する。ピストン1002をプランジャ6001により後退させる。このプランジャ6001の後退制御にともなって、インジェクタヘッド6000による制御信号によって流路切替装置100が以下のように制御される。第1挟持手段101および第2挟持手段103は開状態が選択され、主挟持手段102は閉状態が選択される。これにより、第1分岐チューブ3004と第1主チューブ3001が連通状態となり、造影剤ボトルまたはシリンジ製剤から造影剤2000がシリンジ1000内へ吸引充填される。
【0053】
(主チューブへの造影剤注入行程)
次に、図14を参照して、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および、第3主チューブ3010への造影剤2000の注入行程について説明する。ピストン1002をプランジャ6001により前進させる。このプランジャ6001の前進制御にともなって、インジェクタヘッド6000による制御信号によって流路切替装置100が以下のように制御される。第1挟持手段101および第2挟持手段103は閉状態が選択され、主挟持手段102は開状態が選択される。これにより、第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008の管路が閉じ、第2主チューブ3006が開放される結果、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および第3主チューブ3010が連通状態となり、シリンジ1000内の造影剤2000が、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および第3主チューブ3010へ送り込まれる。
【0054】
(造影剤注入用チューブ内の空気排出行程)
次に、図15を参照して、造影剤注入用チューブ3000内の空気排出行程について説明する。ピストン1002は静止させた状態が選択される。このプランジャ6001の静止制御にともなって、インジェクタヘッド6000による制御信号によって流路切替装置100が以下のように制御される。まず、第1挟持手段101および第2挟持手段103は開状態を選択し、主挟持手段102は閉状態を選択する。これにより、第1分岐チューブ3004と第1主チューブ3001が連通状態となる。次に、ローラポンプ8000を駆動させて、生理食塩水バッグ内の生理食塩水7000を、第1分岐チューブ3004および第1主チューブ3001に送り込む。これにより、造影剤注入用チューブ3000内は造影剤2000または生理食塩水7000に満たされた状態となり、造影剤注入用チューブ3000内の空気が完全に排出される。これにより、初期セットアップ行程が完了する。
【0055】
(シリンジ内への造影剤再吸引行程)
次に、図16を参照して、シリンジ1000内への造影剤2000の再吸引行程について説明する。ピストン1002をプランジャ6001により後退させる。このプランジャ6001の後退制御にともなって、インジェクタヘッド6000による制御信号によって流路切替装置100が以下のように制御される。まず、第1挟持手段101および第2挟持手段103は開状態が選択され、主挟持手段102は閉状態が選択される。これにより、第1分岐チューブ3004と第1主チューブ3001が連通状態となり、造影剤ボトルまたはシリンジ製剤から造影剤2000が再びシリンジ1000内へ吸引充填される。
【0056】
(患者への造影剤注入行程)
次に、図17を参照して、患者への造影剤2000の注入行程について説明する。インジェクタヘッド6000による制御信号によって流路切替装置100が以下のように制御される。第1挟持手段101および第2挟持手段103は閉状態が選択され、主挟持手段102は開状態が選択されことにより、第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008の管路が閉じ、第2主チューブ3006が開放される結果、第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および第3主チューブ3010が連通状態となる。その後、ピストン1002をプランジャ6001により前進させる。これにより、第3主チューブ3010の先端部から、シリンジ1000内の造影剤2000が患者に注入されることになる。
【0057】
なお、上記造影剤再吸引行程においては、第2分岐チューブ3008と第3主チューブ3010とが連通状態となるため、患者の血圧を圧力トランスジューサ4000によりモニタリングすることが可能である。
【0058】
なお、圧力トランスジューサ4000とローラポンプ8000との間には、この間のチューブ管路の開閉を行なうため、第3挟持手段104が設けられている。この第3挟持手段104は、第7挟持部材104aと第8挟持部材104bとを備え、その構造は、第1挟持手段101等と同様の構造を有している。
【0059】
(作用効果)
以上、本実施の形態における流路切替装置100を用いることにより、造影剤注入用チューブ3000の構造としては、主チューブ3001,3006,3010、第1分岐チューブ3004、および第2分岐チューブ3008のみの構成となるために、造影剤注入用チューブ3000の構造の簡略化を図ることが可能になる。その結果、従来のように、特注品からなる2重構造ピストン等の採用が不要になるため、造影剤注入用チューブ3000のコストを大きく低下させることが可能になる。また、造影剤注入用チューブ3000の構造の簡略化を図ることが可能になる結果、造影剤注入用チューブ3000内でのエアの絡みを少なくすることが可能になる。
【0060】
また、流路切替装置100において、主チューブ3001,3006,3010、第1分岐チューブ3004、および第2分岐チューブ3008の外側から挟み込む挟持手段101,102,103を採用することにより、造影剤注入用チューブ3000を流路切替装置100の所定位置にセットすることのみで、準備が完了するため、取扱操作を極めて簡略化することが可能になる。
【0061】
さらに、挟持手段101,102,103の開閉状態が選択される切替手段を設けることにより、主挟持手段102により第2主チューブ3006が挟持されて、第2主チューブ3006の流路が閉じられている状態においては、第1挟持手段101および第2挟持手段103による第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008の流路が開放される第1状態を選択することにより、シリンジ内の空気排出行程、主チューブへの造影剤注入行程、および、患者への造影剤注入行程を実現させることが可能となる。
【0062】
また、主挟持手段102により第2主チューブ3006が解放されて、第2主チューブ3006の流路が解放されている状態においては、第1挟持手段101および第2挟持手段103による第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008の流路が閉じられる第2状態を選択することにより、シリンジ内への造影剤吸引行程、造影剤注入用チューブ内の空気排出行程、および、シリンジ内への造影剤再吸引行程を実現させることが可能となる。
【0063】
また、造影剤再吸引行程においては、第3主チューブ3010の患者側と第2分岐チューブ3008とが連通状態にあるために、患者の血圧を圧力トランスジューサ4000によりモニタリングすることが可能になる。
【0064】
なお、初期セットアップ行程である、シリンジ内の空気排出行程、および主チューブへの造影剤注入行程において、シリンジ1000の導出ポート1001を略上向きに保持すための状態を選択することにより、シリンジ1000内の空気は、常にシリンジ1000の導出ポート1001に導かれることになるため、シリンジ1000内の空気を確実に外部に排出することが可能になる。
【0065】
また、患者への造影剤注入行程においては、シリンジ1000の導出ポート1001を下方に向いて傾斜させる状態を選択することにより、不可避的に発生する気泡をシリンジ1000の導出ポート1001の反対側に導くことが可能になり、造影剤注入用チューブ内への気泡の混入を防止することが可能になる。
【0066】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2における流路切替装置200について、図18から図21を参照しながら説明する。なお、実施の形態2においても上記実施の形態1における造影剤注入用チューブ3000の使用が可能であるため、造影剤注入用チューブ3000の構造についての説明は省略する。また、流路切替装置200を用いた、造影剤2000の注入行程についても、図12から図17において説明した上記実施の形態1の場合と同じであるため、その説明は省略する。なお、図18は、実施の形態2における流路切替装置200の構成を示す分解斜視図であり、図19から図21は、流路切替装置200の動作を示す模式図である。
【0067】
本実施の形態における流路切替装置200の特徴は、第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)のそれぞれの動作制御をリンク機構により実現可能としたものである。
【0068】
(流路切替装置200の構造)
まず、図18を参照して、流路切替装置200の構造について説明する。この流路切替装置200は、メインボードを構成する前面パネル201と、背面パネル244とを備える。前面パネル201と、背面パネル244とは、背面パネル244の四隅に設けられたスペーサ240,241,242,243により、前面パネル201と背面パネル244との間に所定の空間が規定されるように、ネジ205,206,207,208を用いて固定されている。前面パネル201には、ネジ205,206,207,208を貫通させるためのネジ孔210,211,211,212が設けられている。
【0069】
スペーサ240には、後述する駆動プレート225の側面部をガイドするためのベアリング231が嵌められており、また、ベアリング231の位置決めを行なうための位置決スペーサ217,235が、ベアリング231を挟みこみように、スペーサ240に嵌められている。同様に、スペーサ241には、ベアリング232、位置決スペーサ216,236が嵌められ、スペーサ242には、ベアリング233、位置決スペーサ215,237が嵌められ、スペーサ243には、ベアリング234、位置決スペーサ221,238が嵌められている。
【0070】
前面パネル201の上方右側領域には、第2挟持部材101bがネジ213により固定され、この第2挟持部材101bの左側には、横方向に延びる長孔202が設けられている。また、前面パネル201の中央領域には、第4挟持部材102bがネジ214により固定され、この第4挟持部材102bの上側には、上下方向に延びる長孔203が設けられている。さらに、前面パネル201の下方左側領域には、第6挟持部材10bがネジ209により固定され、この第6挟持部材106bの右側には、横方向に延びる長孔204が設けられている。
【0071】
前面パネル201と背面パネル244との間には、側面部がベアリング231,232,233,234によって上下方向に移動可能なように支持される上記駆動プレート225が設けられている。ここで、図19を参照して、ベアリング231,232は、駆動プレート225の側面225aを支持し、ベアリング233は、駆動プレート225の側面225bを支持し、ベアリング234は、駆動プレート225の凹部側面225cを支持する。駆動プレート225に凹部側面225cを設けるようにしたのは、誤動作による駆動プレート225のオーバーランを防止するためである。
【0072】
再び、図18を参照して、駆動プレート225の中央部には、前面パネル201に設けられた長孔202に挿入可能なように、第3挟持部材102aがネジ239により固定されている。駆動プレート225の上方左側には、左から右に向かって下方に傾斜する長孔230が設けられている。駆動プレート225の中央部の長孔230の下方には、上下方向に延びる長孔229が設けられている。駆動プレート225の上方右側には、上下方向に延びる長孔226が設けられている。駆動プレート225の下方左側には、右から左に向かって下方に傾斜する長孔227が設けられている。駆動プレート225の下方中央部には、横方向に延びる長孔228が設けられている。
【0073】
駆動プレート225の側面225a側には、駆動プレート225が上下方向に移動した場合の3位置を検出するためのフォトセンサ250,251,252が上下方向に並んで配置され、側面225aには、フォトセンサ250,251,252の光軸を遮るための突出ピン225pが設けられている。
【0074】
前面パネル201と、駆動プレート225との間には、第1リンクプレート218および第2リンクプレート222が配置されている。第1リンクプレート218の一端側には、前面パネル201に設けられた長孔202に挿入可能なように、第1挟持部材101aが取付けらている。また、第1リンクプレート218の第1挟持部材101aが取付けられる反対側には、駆動プレート225に設けられる長孔230に挿入可能な、ベアリング220が取付けられている。一方、第1リンクプレート218の他端側には、駆動プレート225に設けられる長孔229に挿入可能な、ガイドピン219が設けられている。
【0075】
第2リンクプレート222の一端側には、前面パネル201に設けられた長孔204に挿入可能なように、第5挟持部材103aが取付けらている。また、第2リンクプレート222の第5挟持部材103aが取付けられる反対側には、駆動プレート225に設けられる長孔227に挿入可能な、ベアリング224が取付けられている。一方、第2リンクプレート222の他端側には、駆動プレート225に設けられる長孔226に挿入可能な、ガイドピン223が設けられている。
【0076】
駆動プレート225と背面パネル244との間には、プーリ246が配置され、このプーリ246には、回転中心から偏芯した位置に、駆動プレート225に設けられる長孔228に挿入可能な駆動ピン249が設けられている。プーリ246には、無端ベルト248が掛けられており、この無端ベルト248は駆動装置247によって回転駆動させられている。
【0077】
(流路切替装置200の動作)
次に、上記構成からなる流路切替装置200の動作について、図19から図21を参照して説明する。図19に示す状態は、ニュートラル状態であり、流路切替装置200に造影剤注入用チューブ3000を装着可能な状態を示している。第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)はいずれも開状態となっている。
【0078】
次に、図20を参照して、駆動ピン249が、時計回転方向に、45°回転した状態を示す(図中矢印R1方向)。駆動ピン249の回転により、駆動プレート225は、下方に(図中矢印D方向)に所定距離移動する。これにより、第1挟持部材101aは、長孔202に沿って図中矢印a1方向に移動する。その結果、第1挟持手段101は開状態となる。また、第3挟持部材102aは、駆動プレート225とともに下方に(図中矢印b1方向)に移動する。その結果、主挟持手段102は閉状態となる。また、第5挟持部材103aは、長孔227に沿って図中矢印c1方向に移動する。その結果、第2挟持手段103は開状態となる。
【0079】
次に、図21を参照して、駆動ピン249が、図19に示すニュートラル位置から、時計回転方向とは反対方向に、45°回転した状態を示す(図中矢印R方向)。駆動ピン249の回転により、駆動プレート225は、上方に(図中矢印U方向)に所定距離移動する。これにより、第1挟持部材101aは、長孔202に沿って図中矢印a2方向に移動する。その結果、第1挟持手段101は閉状態となる。また、第3挟持部材102aは、駆動プレート225とともに上方に(図中矢印b2方向)に移動する。その結果、主挟持手段102は開状態となる。また、第5挟持部材103aは、長孔227に沿って図中矢印c2方向に移動する。その結果、第2挟持手段103は閉状態となる。
【0080】
(作用効果)
以上、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、駆動プレート225の上下方向のスライド移動にリンクさせて、第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)の開閉動作の制御を可能としている。また、駆動プレート225の上方向への移動または下方向への移動を選択することのみで、すべての挟持手段の流路切替の実現を可能としている。
【0081】
また、駆動プレート225を上下にスライドさせる機構を採用することで、中心に位置する主挟持手段102の位置を、第2主チューブ3006の延びる方向に沿って、任意の位置に設けることができる。その結果、たとえば、主挟持手段102を、圧力トランスジューサ4000寄りの位置に配置させることが可能になる。
【0082】
なお、駆動プレート225の上下方向のスライド移動機構として、プーリを用いる機構を採用したが、これに限定されるものでなく、たとえば、ワイヤを用いてワイヤの操作による上下方向のスライド移動機構を採用することも可能である。
【0083】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3における流路切替装置300について、図22から図25を参照しながら説明する。なお、実施の形態3においても上記実施の形態1における造影剤注入用チューブ3000の使用が可能であるため、造影剤注入用チューブ3000の構造についての説明は省略する。また、流路切替装置300を用いた、造影剤2000の注入行程についても、図12から図17において説明した上記実施の形態1の場合と同じであるため、その説明は省略する。なお、図22は、実施の形態3における流路切替装置300の構成を示す分解斜視図であり、図23から図25は、流路切替装置300の動作を示す模式図である。
【0084】
本実施の形態における流路切替装置300の特徴は、上記実施の形態2の場合と同様に、第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)のそれぞれの動作制御をリンク機構により実現可能としたものである。
【0085】
(流路切替装置300の構造)
まず、図22を参照して、流路切替装置300の構造について説明する。この流路切替装置300は、メインボードを構成する前面パネル301と、背面パネル340とを備える。前面パネル301と、背面パネル340とは、背面パネル340の四隅に設けられたスペーサ336,337,338,339により、前面パネル301と背面パネル340との間に所定の空間が規定されるように、ネジ310,311,312,313を用いて固定されている。前面パネル301には、ネジ310,311,312,313を貫通させるためのネジ孔305,306,308,309が設けられている。
【0086】
前面パネル01の上方右側領域には、第2挟持部材101bがネジ等により固定され、この第2挟持部材101bの左側には、横方向に延びる長孔302が設けられている。また、前面パネル301の中央領域には、第4挟持部材102bが配置されるように、この第4挟持部材102bに設けられる軸ピン102cが貫通する貫通孔307が設けられている。この貫通孔307の上側には、上下方向に延びる長孔303が設けられている。さらに、前面パネル01の下方左側領域には、第6挟持部材103bがネジ等により固定され、この第6挟持部材10bの右側には、横方向に延びる長孔304が設けられている。
【0087】
前面パネル301と背面パネル340との間には、軸ピン102cを中心として回転する駆動プレート326が設けられている。駆動プレート326の中央部には、軸ピン102cが貫通する中心孔327が設けられている。この中心孔327の外側には、上下方向に長く延びる、所定の楕円軌道を有する第1ガイド溝328が形成されている。さらに、この第1ガイド溝328の外側には、上下方向とは直交する方向である横方向に長く延びる、所定の楕円軌道を有する第2ガイド溝329が形成されている。
【0088】
駆動プレート326の側面側には、駆動プレート326が回転移動した場合の3位置を検出するためのフォトセンサ342,343,344が円周上に並んで配置され、側面326aには、フォトセンサ342,343,344の光軸を遮るための突出ピン345が設けられている。
【0089】
前面パネル301と、駆動プレート326との間には、第1リンクプレート322、第2リンクプレート318、および第3リンクプレート314が配置されている。第1リンクプレート322の一端側には、前面パネル301に設けられた長孔302に挿入可能なように、第1挟持部材101aが取付けらている。また、第1リンクプレート322の第1挟持部材101aが取付けられる反対側には、駆動プレート326に設けられるに第2ガイド溝329に挿入可能な、ベアリング324が取付けられている。一方、第1リンクプレート322の他端側には、前面パネル301に対してピン325により回転可能に取付けるための軸孔323が設けられている。
【0090】
第2リンクプレート318の一端側には、前面パネル301に設けられた長孔303に挿入可能なように、第3挟持部材102aが取付けらている。また、第2リンクプレート318の第3挟持部材102aが取付けられる反対側には、駆動プレート326に設けられるに第1ガイド溝328挿入可能な、ベアリング320が取付けられている。一方、第2リンクプレート318の他端側には、前面パネル301に対してピン321により回転可能に取付けるための軸孔319が設けられている。
【0091】
第3リンクプレート314の一端側には、前面パネル301に設けられた長孔304に挿入可能なように、第5挟持部材103aが取付けらている。また、第3リンクプレート314の第5挟持部材103aが取付けられる反対側には、駆動プレート326に設けられる第2ガイド溝329に挿入可能な、ベアリング317が取付けられている。一方、第3リンクプレート314の他端側には、前面パネル301に対してピン316により回転可能に取付けるための軸孔315が設けられている。
【0092】
駆動プレート326と背面パネル340との間には、プーリ330が配置され、このプーリ330には、無端ベルト334が掛けられており、この無端ベルト334は駆動装置333によって回転駆動させられている。プーリ330の回転中心には、軸孔331が設けられ軸ピン102cが貫通する。なお、軸ピン102cの端部は、背面パネル340に設けられた軸孔341に支持される。駆動プレート326とプーリ330とは同期して回転する必要があるため、プーリ330に設けられた貫通孔332を介してピン335が駆動プレート326に打ち込まれている。
【0093】
(流路切替装置300の動作)
次に、上記構成からなる流路切替装置300の動作について、図23から図25を参照して説明する。図23に示す状態は、ニュートラル状態であり、流路切替装置300に造影剤注入用チューブ3000を装着可能な状態を示している。第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)はいずれも開状態となっている。
【0094】
次に、図24を参照して、駆動プレート326が、時計回転方向に、45°回転した状態を示す(図中矢印R1方向)。駆動プレート326の回転により、第1挟持部材101aは、第2ガイド溝329に沿って図中矢印a1方向に移動する。その結果、第1挟持手段101は開状態となる。また、第3挟持部材102aは、第1ガイド溝328に沿って図中矢印b1方向に移動する。その結果、主挟持手段102は閉状態となる。また、第5挟持部材103aは、第2ガイド溝329に沿って図中矢印c1方向に移動する。その結果、第2挟持手段103は開状態となる。
【0095】
次に、図25を参照して、駆動プレート326が、図23に示すニュートラル位置から、時計回転方向とは反対方向に、45°回転した状態を示す(図中矢印R2方向)。駆動プレート326の回転により、第1挟持部材101aは、第2ガイド溝329に沿って図中矢印a2方向に移動する。その結果、第1挟持手段101は閉状態となる。また、第3挟持部材102aは、第1ガイド溝328に沿って図中矢印b2方向に移動する。その結果、主挟持手段102は開状態となる。また、第5挟持部材103aは、第2ガイド溝329に沿って図中矢印c2方向に移動する。その結果、第2挟持手段103は閉状態となる。
【0096】
(作用効果)
以上、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、本実施の形態においては、駆動プレート326の回転移動にリンクさせて、第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)の開閉動作の制御を可能としている。また、駆動プレート326の回転移動方向を選択することのみで、すべての挟持手段の流路切替の実現を可能としている。
【0097】
また、第1ガイド溝328および第2ガイド溝329の独立した2つの溝構造を採用することで、第1挟持部材101aおよび第5挟持部材103aと、第3挟持部材102aとの開閉のタイミングをそれぞれ、独立して調整することが可能になり、第1挟持手段101および第2挟持手段103と、主挟持手段102との開閉のタイミングの微調節を図ることが可能になる。その結果、一時的に、第1挟持手段101、第2挟持手段103、および主挟持手段102のすべてを、閉状態にすることが可能になる。
【0098】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4における流路切替装置400について、図26から図28を参照しながら説明する。なお、実施の形態4における基本的構造は、上記実施の形態3と同じである。相違点は、上記実施の形態3においては、駆動プレート326に第1ガイド溝328および第2ガイド溝329を設ける構造としたが、本実施の形態においては、同様の溝を駆動プレートに対して1つしか設けない構造を採用したものである。したがって、ここでは、駆動プレートおよびそれにリンクする機構についてのみ説明する。
【0099】
(流路切替装置400の構造)
まず、図26を参照して、流路切替装置400の構造について説明する。駆動プレート410を備え、この駆動プレート410には、45°方向に傾く細長のガイド溝411が設けられている。
【0100】
駆動プレート410の上方右側領域には、回転軸402(前面パネルに固定)を中心にして回転する第1リンクプレート401が設けられている。この第1リンクプレート401の一端側には、第1挟持部材101aが取付けらている。また、第1リンクプレート401の第1挟持部材101aが取付けられる反対側の他端側には、駆動プレート410に設けられるガイド溝411に挿入可能な、ベアリング403が取付けられている。
【0101】
駆動プレート410の中央上方領域には、回転軸405(前面パネルに固定)を中心にして回転する第2リンクプレート404が設けられている。この第2リンクプレート404の一端側には、第3挟持部材102aが取付けらている。また、第2リンクプレート404の第3挟持部材102aが取付けられる反対側の他端側には、駆動プレート410に設けられるガイド溝411に挿入可能な、ベアリング406が取付けられている。
【0102】
駆動プレート410の下方左側領域には、回転軸408(前面パネルに固定)を中心にして回転する第3リンクプレート407が設けられている。この第3リンクプレート407の一端側には、第5挟持部材103aが取付けらている。また、第3リンクプレート407の第5挟持部材103aが取付けられる反対側の他端側には、駆動プレート410に設けられるガイド溝411に挿入可能な、ベアリング409が取付けられている。
【0103】
(流路切替装置400の動作)
次に、上記構成からなる流路切替装置400の動作について、図26から図28を参照して説明する。図26に示す状態は、ニュートラル状態であり、流路切替装置400に造影剤注入用チューブ3000を装着可能な状態を示している。第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)はいずれも開状態となっている。
【0104】
次に、図27を参照して、駆動プレート410が、時計回転方向に、45°回転した状態を示す(図中矢印R1方向)。駆動プレート410の回転により、ガイド溝411に沿ってベアリング403が移動し、第1挟持部材101aは図中矢印a1方向に移動する。その結果、第1挟持手段101は開状態となる。また、ガイド溝411に沿ってベアリング406が移動し、第3挟持部材102aは、図中矢印b1方向に移動する。その結果、主挟持手段102は閉状態となる。また、ガイド溝411に沿ってベアリング409が移動し、第5挟持部材103aは、図中矢印c1方向に移動する。その結果、第2挟持手段103は開状態となる。
【0105】
次に、図28を参照して、駆動プレート410が、図26に示すニュートラル位置から、時計回転方向とは反対方向に、45°回転した状態を示す(図中矢印R2方向)。駆動プレート410の回転により、ガイド溝411に沿ってベアリング403が移動し、第1挟持部材101aは図中矢印a2方向に移動する。その結果、第1挟持手段101は閉状態となる。また、ガイド溝411に沿ってベアリング406が移動し、第3挟持部材102aは、図中矢印b2方向に移動する。その結果、主挟持手段102は開状態となる。また、ガイド溝411に沿ってベアリング409が移動し、第5挟持部材103aは、図中矢印c2方向に移動する。その結果、第2挟持手段103は閉状態となる。
【0106】
(作用効果)
以上、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、本実施の形態においては、駆動プレート410の回転移動にリンクさせて、第1挟持手段101(第1挟持部材101a、第2挟持部材101b)、主挟持手段102(第3挟持部材102a、第4挟持部材102b)、および、第2挟持手段103(第5挟持部材103a、第6挟持部材103b)の開閉動作の制御を可能としている。また、駆動プレート410の回転移動方向を選択することのみで、すべての挟持手段の流路切替の実現を可能としている。
【0107】
また、このように、駆動プレート410に対して1溝のみ形成する構造を採用することで、上記実施の形態2および3の構造と比較して、全体構造を簡素化することが可能になる。
【0108】
なお、上記実施の形態2および3において、駆動プレートに設けるガイド溝としては連続するガイド溝としている。これは、故障により駆動プレートの回転が停止しないような状態になった場合においても、リンクプレート等の破損を防止するためである。したがって、本発明を成立させる観点にのみ立てば、ベアリングが移動する範囲にのみガイド溝を設ければ良く、連続するガイド溝である必要はない。
【0109】
(チューブ脱落防止構造)
また、上記各実施の形態において、第1挟持部材101a、第2挟持部材101b、第3挟持部材102a、第4挟持部材102b、第5挟持部材103a、第6挟持部材103bに、造影剤注入用チューブ3000の脱落を防止するための機構を採用することも可能である。このチューブ脱落防止構造について、図29から図32を参照して説明する。なお、このチューブ脱落防止構造は、固定側である、第2挟持部材101b、第4挟持部材102b、および、第6挟持部材103bに設けることが好ましく、一例として、第2挟持部材101bに設ける場合についてのみ説明する。なお、図29および図31は、チューブ脱落防止構造を示す斜視図であり、図30および図32は、チューブ脱落防止構造を示す断面図である。
【0110】
図29および図30を参照して、第2挟持部材101bの先端部に回転軸101fを中心として回転可能にレバー101eが設けられている。このレバー101eの下端部には、コイルバネ101gが内装されており、コイルバネ101gの付勢力により、レバー101eの一端が、第1挟持部材101aの先端部に当接するよう構成されている。これにより、第1挟持部材101bと第2挟持部材101bとの間が通常状態においては、閉ざされた状態となる。動作については、図31および図32に示すように、レバー101eの他端側を指等により下方(F1)方向に押し下げることにより、第1挟持部材101bと第2挟持部材101bとの間が開放された状態となり、造影剤注入用チューブ3000の脱着を可能としている。
【0111】
また、他のチューブ脱落防止構造として、図33から図35に示す構造を採用することも可能である。なお、図33は、後述するカセット500の全体構造を示す斜視図であり、図34および図35は、図33中の矢視A方向から見た場合の、カセット500のメインボード104Bへの装着動作を示す、模式図である。
【0112】
まず、図33を参照して、このチューブ脱落防止構造は、造影剤注入用チューブ3000を、上述した各流路切替装置と同様の構成を有する流路切替装置100のメインボード104Bに装着される状態にあらかじめ保持するための形態保持部材としてのカセット500を採用している点にある。このカセット500は、メインボード104Bに対して着脱可能に設けられることを特徴とし、造影剤注入用チューブ3000をメインボード104Bに装着される状態に保持するため、第1主チューブ3001を係止する第1係合部502、第1分岐チューブ3004を係止する第2係合部503、第2分岐チューブ3008を係止する第3係合部504、および第3主チューブ3010を係止する第4係合部505がカセット本体501の側壁を構成する側面部501aに設けられている。
【0113】
また、側面部501aの上面側および下面側には、それぞれ、メインボード104Bに設けられる係止部106,107(図34参照)に対して係合するための、係合プレート506および係合凹部507が設けられている。
【0114】
上記構成からなるカセット500のメインボード104Bへの装着は、図34に示すように、カセット500に造影剤注入用チューブ3000をあらかじめ固定した状態で、カセット500の係合凹部507を、メインボード104Bの係止部106に係合させた状態で、カセット500の係合プレート506をメインボード104Bの係止部106に嵌めこむようにして行なわれる(図35参照)。
【0115】
このように、流路切替装置100Aのメインボード104Bに装着される状態に造影剤注入用チューブ3000をあらかじめ保持しておくことで、造影剤注入用チューブ3000を、一回の操作(ワンタッチ)で、容易にかつ正確に流路切替装置100Aに装着することが可能となる。
【0116】
また、造影剤注入用チューブ3000の流路切替装置100Aのメインボード104Bへの装着位置を間違えることもないため、人為的な過誤が発生することを未然に防止することも可能になる。
【0117】
また、造影剤注入用チューブ3000が破損し、造影剤2000が噴出するようなことが生じた場合においても、カセット500により造影剤2000の噴出飛散が防止され、周囲の患者、技師、医療機材等への被害が及ぶことを回避することが可能になる。
【0118】
なお、上記各実施の形態においては、第1分岐チューブ3004の管壁を変形させるため、第1分岐チューブ3004の管路を外側から挟み込む円筒形状の1対の第1挟持部材101aおよび第2挟持部材101bを設け、第2主チューブ3006の管壁を変形させるため、第2主チューブ3006の管路を外側から挟み込む円筒形状の1対の第3挟持部材102aおよび第4挟持部材102bを設け、第2分岐チューブ3008の管壁を変形させるため、第2分岐チューブ3008の管路を外側から挟み込む円筒形状の1対の第5挟持部材103aおよび第6挟持部材103bを設ける構成を採用しているが、各チューブの管壁を変形させる手段としては、管路を外側から挟み込むだけでなく、各チューブを折り曲げる機構、管路を絞り込む機構等の採用も可能である。
【0119】
また、上述した各流路切替装置100,100A,200,300,400および造影剤注入用チューブ3000においては、第1分岐チューブ3004を上方に向けて配置し、第2分岐チューブ3008を下方に向けて配置する構成を示しているが、この構成に限定されるものでなく、たとえば、図36に示すように、第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008を下方に向けて配置する構成を採用することも可能である。
【0120】
また、上記実施の形態2から4の機構にいて、装置の故障により駆動プレートがスライドまたは回転が停止した場合のことを考慮し、駆動装置から切り離し、手動により駆動させる機構を設けておくことも可能である。
【0121】
したがって、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的に解釈されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施の形態ではなく特許請求の範囲によって画定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0122】
【発明の効果】
この発明に基づいた流路切替装置によれば、造影剤注入用チューブの構造としては、主チューブ、第1分岐チューブ、および第2分岐チューブのみの構成となるために、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる。その結果、従来のように、特注品からなる2重構造ピストン等の採用が不要になるため、造影剤注入用チューブのコストを大きく低下させることが可能になる。また、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる結果、造影剤注入用チューブ内でのエアの絡みを少なくすることが可能になる。
【0123】
また、この発明に基づいた造影剤注入用チューブによれば、従来のように、特注品からなる2重構造ピストン等の採用が不要になるため、造影剤注入用チューブのコストを大きく低下させることが可能になる。また、造影剤注入用チューブの構造の簡略化を図ることが可能になる結果、造影剤注入用チューブ内でのエアの絡みを少なくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000の外観構造を示す第1全体斜視図である。
【図2】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100および造影剤注入用チューブ3000の外観構造を示す第2全体斜視図である。
【図3】 本発明に基づいた実施の形態1におけるシリンジ保持状態切替手段の機構の動作を説明するための第1模式図である。
【図4】 本発明に基づいた実施の形態1におけるシリンジ保持状態切替手段の機構の動作を説明するための第2模式図である。
【図5】 本発明に基づいた実施の形態1におけるシリンジ保持状態切替手段の機構の動作を説明するための第3模式図である。
【図6】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100に採用される、第1挟持手段101および第2挟持手段103の構造を示す分解斜視図である。
【図7】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100に採用される、第1挟持手段101および第2挟持手段103の動作を示す第1模式図である。
【図8】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100に採用される、第1挟持手段101および第2挟持手段103の動作を示す第2模式図である。
【図9】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100に採用される、主挟持手段102の構造を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100に採用される、主挟持手段102の動作を示す第1模式図である。
【図11】 本発明に基づいた実施の形態1における流路切替装置100に採用される、主挟持手段102の動作を示す第2模式図である。
【図12】 本発明に基づいた実施の形態1におけるシリンジ1000内の空気排出行程を示す図である。
【図13】 本発明に基づいた実施の形態1におけるシリンジ1000内への造影剤2000の吸引行程を示す図である。
【図14】 本発明に基づいた実施の形態1における第1主チューブ3001、第2主チューブ3006、および、第3主チューブ3010への造影剤2000の注入行程を示す図である。
【図15】 本発明に基づいた実施の形態1における造影剤注入用チューブ3000内の空気排出行程を示す図である。
【図16】 本発明に基づいた実施の形態1におけるシリンジ1000内への造影剤2000の再吸引行程を示す図である。
【図17】 本発明に基づいた実施の形態1における患者への造影剤2000の注入行程を示す図である。
【図18】 本発明に基づいた実施の形態2における流路切替装置200の構成を示す分解斜視図である。
【図19】 本発明に基づいた実施の形態2における流路切替装置200の動作を示す第1模式図である。
【図20】 本発明に基づいた実施の形態2における流路切替装置200の動作を示す第2模式図である。
【図21】 本発明に基づいた実施の形態2における流路切替装置200の動作を示す第3模式図である。
【図22】 本発明に基づいた実施の形態3における流路切替装置300の構成を示す分解斜視図である。
【図23】 本発明に基づいた実施の形態3における流路切替装置300の動作を示す第1模式図である。
【図24】 本発明に基づいた実施の形態3における流路切替装置300の動作を示す第2模式図である。
【図25】 本発明に基づいた実施の形態3における流路切替装置300の動作を示す第3模式図である。
【図26】 本発明に基づいた実施の形態4における流路切替装置400の動作を示す第1模式図である。
【図27】 本発明に基づいた実施の形態4における流路切替装置400の動作を示す第2模式図である。
【図28】 本発明に基づいた実施の形態4における流路切替装置400の動作を示す第3模式図である。
【図29】 本発明に基づいたチューブ脱落防止構造および第1動作を示す斜視図である。
【図30】 本発明に基づいたチューブ脱落防止構造の内部構造を示す第1断面図である。
【図31】 本発明に基づいたチューブ脱落防止構造の第2動作を示す斜視図である。
【図32】 本発明に基づいたチューブ脱落防止構造の内部構造を示す第2断面図である。
【図33】 カセット500の全体構造を示す斜視図である。
【図34】 図33中の矢視A方向から見た場合の、カセット500のメインボード104Bへの装着動作を示す、第1模式図である。
【図35】 図33中の矢視A方向から見た場合の、カセット500のメインボード104Bへの装着動作を示す、第2模式図である。
【図36】 造影剤注入用チューブ3000の第1分岐チューブ3004および第2分岐チューブ3008を下方に向けて配置する構成を示す図である。
【図37】 従来の自動流路切替器具の構造および動作を示す第1の図である。
【図38】 従来の自動流路切替器具に採用される2重ピストン構造を示す図である。
【図39】 従来の自動流路切替器具の動作を示す第2の図である。
【符号の説明】
100,200,300,400 流路切替装置、101 第1挟持手段、101a 第1挟持部材、101b 第2挟持部材、101f 回転軸、101e,110 レバー、101g,121a,121b コイルバネ、102 主挟持手段、102a 第3挟持部材、102b 第4挟持部材、102c 軸ピン、103 第2挟持手段、103a 第5挟持部材、103b 第6挟持部材、104A,104B メインボード、104 第3挟持手段、104a 第7挟持部材、104b 第8挟持部材、106,107 係止部、111 摺動長孔、112 軸芯孔、113,114,316,321,325,335 ピン、115 ソレノイド、116 駆動ピン、117 先端部分、118 ベースプレート、120 ワッシャ、201,301 前面パネル、202,203,204,226,227,228,229,230,302,303,304 長孔、205,206,207,208,209,213,214,239,310,311,312,313 ネジ、210,211,212,305,306,308,309 ネジ孔、215,216,217,235,236,221,237,238 位置決スペーサ、218,322,401 第1リンクプレート、219,223 ガイドピン、220,224,231,232,233,234,317,320,324,403,406,409 ベアリング、222,318,404 第2リンクプレート、225,326,410 駆動プレート、225a,225b,326a 側面、225c 凹部側面、225p,345 突出ピン、240,241,242,243 スペーサ、244,340 背面パネル、246,330 プーリ、247,333 駆動装置、248,334 無端ベルト、249 駆動ピン、250,251,252,342,343,344 フォトセンサ、307,332 貫通孔、314,407 第3リンクプレート、315,323 軸孔、319,331,341 軸孔、327 中心孔、328 第1ガイド溝、329 第2ガイド溝、336,337,338,339 スペーサ、402,405,408 回転軸、411 ガイド溝、500 カセット、501 カセット本体、501a 側面部、502第1係合部、503 第2係合部、504 第3係合部、505 第4係合部、506 係合プレート、507 係合凹部、1000 シリンジ、1001 導出ポート、1002 ピストン、2000 造影剤、3000 造影剤注入用チューブ、3001 第1主チューブ、3002,3005 メス型コネクタ、3003 Tコネクタ、3004 第1分岐チューブ、3006 第2主チューブ、3007 Tコネクタ、3008 第2分岐チューブ、3009,3011オス型コネクタ、3010 第3主チューブ、4000 圧力トランスジューサ、5000 保持レバー機構、5001,5002 枢軸、6000 インジェクタヘッド、6001 プランジャ、7000 生理食塩水、8000 ローラポンプ。

Claims (8)

  1. 一端側に造影剤が充填されるシリンジの導出ポートが連結され、他端側が患者側に連結される主チューブと、この主チューブから分岐し、造影剤が蓄えられる造影剤貯留部材に連結される第1分岐チューブと、この第1分岐チューブよりも他端側において前記主チューブから分岐し、圧力トランスジューサおよび生理食塩水が蓄えられる生理食塩水貯留部材に連結される第2分岐チューブと、を備える造影剤注入用チューブに用いられる流路切替装置であって、
    前記第1分岐チューブの管壁を変形させることにより前記第1分岐チューブの流路を閉じ、前記第1分岐チューブの管壁を復元させることにより前記第1分岐チューブの流路を開放する第1分岐チューブ開閉手段と、
    前記第1分岐チューブと前記第2分岐チューブとの間に配置され、前記主チューブの管壁を変形させることにより前記主チューブの流路を閉じ、前記主チューブの管壁を復元させることにより前記主チューブの流路を開放する主チューブ開閉手段と、
    前記第2分岐チューブの管壁を変形させることにより前記第2分岐チューブの流路を閉じ、前記第2分岐チューブの管壁を復元させることにより前記第2分岐チューブの流路を開放する第2分岐チューブ開閉手段と、を備え
    前記第1分岐チューブ開閉手段は、前記第1分岐チューブの管壁を変形させるため、前記管路を外側から挟み込む第1挟持手段を備え、
    前記主チューブ開閉手段は、前記主チューブの管壁を変形させるため、前記管路を外側から挟み込む主挟持手段を備え、
    前記第2分岐チューブ開閉手段は、前記第2分岐チューブの管壁を変形させるため、前記管路を外側から挟み込む第2挟持手段を備え、
    前記主挟持手段により前記主チューブが挟持されて、前記主チューブの流路が閉じられている状態においては、前記第1挟持手段および前記第2挟持手段による前記第1分岐チューブおよび前記第2分岐チューブの流路が開放される第1状態が選択され、
    前記主挟持手段により前記主チューブの流路が開放されている状態においては、前記第1挟持手段および前記第2挟持手段により前記第1分岐チューブおよび前記第2分岐チューブの流路が閉じられる第2状態が選択される切替手段が設けられる、流路切替装置。
  2. 前記切替手段は、前記主挟持手段、前記第1挟持手段および前記第2挟持手段をそれぞれ別個独立に制御する、請求項に記載の流路切替装置。
  3. 前記切替手段は、前記主挟持手段、前記第1挟持手段および前記第2挟持手段のそれぞれが連動するように制御するためのリンク機構を有する、請求項に記載の流路切替装置。
  4. 当該流路切替装置は、前記主チューブを略水平状態に保持した状態において、前記シリンジの前記導出ポートを略上向きに保持すための状態と、前記シリンジの前記導出ポートを下方に向いて傾斜させる状態とを切替えるための、前記シリンジ保持状態切替手段をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の流路切替装置。
  5. 一端側に造影剤が充填されるシリンジの導出ポートが連結され、他端側が患者側に連結される主チューブと、この主チューブから分岐し、造影剤が蓄えられる造影剤貯留部材に連結される第1分岐チューブと、この第1分岐チューブよりも他端側において前記主チューブから分岐し、圧力トランスジューサおよび生理食塩水が蓄えられる生理食塩水貯留部材に連結される第2分岐チューブと、を備える造影剤注入用チューブに用いられる流路切替装置であって、
    前記第1分岐チューブの管壁を変形させることにより前記第1分岐チューブの流路を閉じ、前記第1分岐チューブの管壁を復元させることにより前記第1分岐チューブの流路を開放する第1分岐チューブ開閉手段と、
    前記第1分岐チューブと前記第2分岐チューブとの間に配置され、前記主チューブの管壁を変形させることにより前記主チューブの流路を閉じ、前記主チューブの管壁を復元させることにより前記主チューブの流路を開放する主チューブ開閉手段と、
    前記第2分岐チューブの管壁を変形させることにより前記第2分岐チューブの流路を閉 じ、前記第2分岐チューブの管壁を復元させることにより前記第2分岐チューブの流路を開放する第2分岐チューブ開閉手段と、を備え、
    前記第1分岐チューブ開閉手段は、前記第1分岐チューブの管壁を変形させるため、前記管路を外側から挟み込む第1挟持手段を備え、
    前記主チューブ開閉手段は、前記主チューブの管壁を変形させるため、前記管路を外側から挟み込む主挟持手段を備え、
    前記第2分岐チューブ開閉手段は、前記第2分岐チューブの管壁を変形させるため、前記管路を外側から挟み込む第2挟持手段を備え、
    前記主挟持手段により前記主チューブが挟持されて、前記主チューブの流路が閉じられている状態において、前記第2挟持手段による前記第2分岐チューブの流路が開放される状態が選択される切替手段が設けられる、流路切替装置。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の流路切替装置に装着される造影剤注入用チューブであって、一端側に造影剤が充填されるシリンジが連結され、他端側が患者側に連結される主チューブと、前記主チューブから分岐し、造影剤が蓄えられる造影剤貯留部材に連結される第1分岐チューブと、前記第1分岐チューブよりも他端側において前記主チューブから分岐し、生理食塩水が蓄えられる生理食塩水貯留部材に連結される第2分岐チューブと、を備える造影剤注入用チューブ。
  7. 当該造影剤注入用チューブを、前記流路切替装置に装着される状態にあらかじめ保持するための形態保持部材をさらに備える、請求項に記載の造影剤注入用チューブ。
  8. 前記形態保持部材は、前記流路切替装置に対して、着脱可能に設けられる、請求項に記載の造影剤注入用チューブ。
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