JP3808877B2 - ユニット式業務施設建物 - Google Patents

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Description

この発明は、店舗,事務所等の業務施設となるユニット式業務施設建物に関する。
外食産業やコンビニエンスストア等の店舗用建物では、不採算店舗などの場合に、構築後、早期に移設が必要な場合がある。また、状況に応じた事業展開のために、工期の短縮が強く求められる。このような移設の容易性や工期短縮の観点からは、ユニット式建物が好ましい。
特開平5−51972号公報
従来の店舗用のユニット式建物として、ユニットボックスを並べて設けたり、ユニットボックスと壁パネルとを併用したり、ユニットボックスと軸組み工法部分を交互に配置したもの等がある。これらの建物ではユニットボックスに天井および屋根が設けられる。
このような従来のユニット式建物では、間仕切り無しの大きな空間を材料効率良く確保することができなかった。店舗等では、間仕切り無しの大きな空間が必要とされる。
また、ユニットボックスに天井および屋根が設けられているため、ユニットボックスの運搬上の都合で、天井高さが2400mm程度までと低くなる。すなわち、道路交通法で、荷物を含み、トラックの横幅は2.5m以下、高さは3.8m以下と制限されており、荷台高さが1m余りであることを考慮すると、荷物の高さは2.7〜2.8m程度以下となる。上記の制限範囲を超える以上に大きな荷物を搬送するには届け出が必要であり、また一般のトラックが使用できず、運搬コストが高くなる。そのため、ユニットボックスの天井高さを制限せざるを得ない。
店舗用建物において、天井高さが2400mmと低いと、顧客に快適な店舗空間を感じさせることが難しい。このため、天井高さが欲しい場合は、ユニット工法以外の工法を採用することになり、移設の容易性、工期短縮、低コスト化を求めることが難しい。
また、従来の店舗用のユニット式建物は、空調設備の設置に十分な考慮がなされておらず、設置に手間がかかっている。在来工法の建物に対しては、空調設備をフレームに据え付けてユニット化した設備ユニットが提案されている。しかし、これは建物躯体とは別に設けられる設備フレームを現場で建物躯体の天井内等に据え付けるものであり、ユニット工法建物の利点を高めるものではなく、また上記のように天井高さの低いユニット建物に設置するには向かない。
この発明の目的は、ユニット工法を採用しながら、間仕切り無しの大きな空間を材料効率良く確保でき、天井高さも高くでき、ユニット工法建物の利点である移設の容易性、工期短縮、低コスト化を十分に発揮させることのできるユニット式業務施設建物を提供することである。
この発明のユニット式業務施設建物は、店舗,事務所等の業務施設となる平屋の建物であって、複数または一つの部屋ユニットを設置し、部屋ユニットに隣接してユニット無し部屋空間を形成する。複数の屋根ユニットを、前記各部屋ユニットの上および前記ユニット無し部屋空間の上に設置する。前記各部屋ユニットはボックス状に組まれた柱および梁を有し建物の部屋空間を内部に形成するものとする。前記各屋根ユニットは小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井とを設けたものとする。前記ユニット無し部屋空間の屋外に面する立面に、前記ユニット無し部屋空間の外壁となる外壁パネルを設置する。
この構成によると、ユニット工法を採用しながら、部屋ユニットに隣接してユニット無し部屋空間を形成し、この空間に対して外壁となる外壁パネルを設置したため、前記ユニット無し部屋空間により、間仕切り無しの大きな部屋空間を確保することができる。ユニット無し部屋空間は、床、天井ユニット、および外壁パネルで屋外に対して仕切った空間であり、部屋ユニットにおける梁等が存在しないため、材料効率良く広い空間を得ることができる。ユニット無し部屋空間において、鉛直荷重は外壁パネルで負担することもできる。
また、屋根ユニットは、小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井を設けたものされているので、部屋ユニットの高さが運搬上の都合で2700〜2800mm程度まで低く抑えられても、屋根ユニットの天井を高く設定することで、天井高さを2400mmよりも高くすることができ、快適な室内空間が得られる。また、ユニット工法を併用するため、移設の容易性、工期短縮、低コスト化が得られる。そのため、早期移設の必要な業務施設建物にも採用することができる。
この発明のユニット式業務施設建物は、店舗,事務所等の業務施設となる平屋の建物であって、複数の部屋ユニットを横並びに並設し、このうち隣合う一対の部屋ユニットの並び間隔を開けて両側の部屋ユニットの間にユニット無し部屋空間を形成する。複数の屋根ユニットを、前記各部屋ユニットの上および前記ユニット無し部屋空間の上に設置する。前記各部屋ユニットはボックス状に組まれた柱および梁を有し建物の部屋空間を内部に形成するものとする。前記各屋根ユニットは小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井とを設けたものとする。前記ユニット無し部屋空間の上方に配置される屋根ユニットは、ユニット無し部屋空間の両側の部屋ユニット上の天井付き屋根ユニットに渡って架設する。前記ユニット無し部屋空間の両側の部屋ユニットの間に渡り、前記ユニット無し部屋空間の外壁となる外壁パネルを設置する。
この構成によると、ユニット工法を採用しながら、一対の部屋ユニットの並び間隔を開けてユニット無し部屋空間を形成し、この空間に対して外壁となる外壁パネルを設置したため、前記ユニット無し部屋空間により、間仕切り無しの大きな部屋空間を確保することができる。ユニット無し部屋空間は、床、天井ユニット、および外壁パネルで屋外に対して仕切った空間であり、部屋ユニットにおける梁等が存在しないため、材料効率良く広い空間を得ることができる。ユニット無し部屋空間の上方の屋根ユニットは、ユニット無し部屋空間の両側の部屋ユニット上の天井付き屋根ユニットに渡って架設するため、大きなユニット無し部屋空間を設けても強度確保が行える。ユニット無し部屋空間において、鉛直荷重は外壁パネルで負担することもできる。
また、屋根ユニットは、小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井を設けたものされているので、部屋ユニットの高さが運搬上の都合で2700〜2800mm程度まで低く抑えられても、屋根ユニットの天井を高く設定することで、天井高さを2400mmよりも高くすることができ、快適な室内空間が得られる。また、基本的にはユニット工法を採用するため、移設の容易性、工期短縮、低コスト化が得られる。そのため、早期移設の必要な業務施設建物にも採用することができる。
この発明において、前記各屋根ユニットのうちの全部または大部分が、内部空間に空調設備が設置されるものとしても良い。このように構成することにより、空調設備の設置作業が容易になる。例えば、設備専用のユニットを建物内に組み込むものと異なり、屋根ユニットそのものを、空調設備の設置用のユニットに兼用することができる。
この発明において、前記ユニット無し部屋空間の部屋ユニット並び方向の幅が、部屋ユニットの幅よりも大きいものとしても良い。これにより、間仕切り無しの部屋空間を、材料効率良く広く得ることができる。
これらの発明において、前記各部屋ユニットは、平面形状が長方形状であってその長辺で隣の部屋ユニットと並ぶように一列に並設され、前記複数の屋根ユニットで構成される屋根は、軒の幅方向が部屋ユニットの並び方向となる片流れ屋根もしくはY形屋根、または陸屋根であり、前記屋根ユニットは、内部に人が這って通れる高さのものであり、両端に外壁を有するものとしても良い。
このように、屋根ユニットの高さを、内部に人が這って通れるものとすることで、隣り合う屋根ユニット間の横引き配管等の設置作業が容易に行え、また空調設備の保守等を容易に行うことができる。
この発明において、前記ユニット無し部屋空間の床を土間としても良い。店舗の売り場等の場合は、土間の方が板間等に比べて歩行感が良く、好まれる。土間は、部屋ユニットを並設した部分では、部屋ユニットの床梁部分が邪魔となり、連続した大きな土間を得ることが困難であるが、外壁パネルで仕切ったユニット無し部屋空間であると、床梁等が存在せず、段差等のない連続した広い土間の構築が容易に行える。
この発明において、前記部屋ユニットは基礎上にこの基礎のアンカーボルトに設置される床梁を有し、前記各部屋ユニット、屋根ユニット、および外壁パネルは、施工後に互いに分解して再使用が可能なものであっても良い。これにより、移設がより容易になる。
この発明において、前記部屋ユニット上の屋根ユニットと、前記ユニット無し部屋空間の上方の屋根ユニットとを、互換性のあるものとしても良い。これにより、屋根ユニットを部屋ユニット上のものとユニット無し部屋空間上のものとに分けて準備する必要がなくて、撤去後に、屋根ユニットや部屋ユニットを組み換えて広さの異なる建物に再利用することが容易である。
この発明において、前記空調設備が設置される屋根ユニットは、空調設備の室内機とこの室内機にダクトで接続される室外機とを同じ屋根ユニットに設置し、その室内機を内部空間に配置したものであっても良い。
このように、空調接続部の室内機と室外機を同じ屋根ユニットに設置することにより、屋根ユニットごとに空調設備が独立したものとなり、屋根ユニット間にわたる横引き配管が不要になり、現場における天井裏での空調設備設置作業を少なくでき、ユニット式業務施設建物の施工がより容易になり、その工期をさらに短縮できる。
この発明のユニット式業務施設建物は、店舗,事務所等の業務施設となる平屋の建物であって、複数または一つの部屋ユニットを設置し、部屋ユニットに隣接してユニット無し部屋空間を形成し、複数の屋根ユニットを、前記各部屋ユニットの上および前記ユニット無し部屋空間の上に設置し、前記各部屋ユニットはボックス状に組まれた柱および梁を有し建物の部屋空間を内部に形成するものとし、前記各屋根ユニットは小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井とを設けたものとし、前記ユニット無し部屋空間の屋外に面する立面に、ユニット無し部屋空間の外壁となる外壁パネルを設置したため、ユニット工法を採用しながら、間仕切り無しの大きな空間を材料効率良く確保することができ、天井高さも高くでき、ユニット工法建物の利点である移設の容易性、工期短縮、低コスト化を十分に発揮させることができる。
この発明の第1の実施形態を図面と共に説明する。このユニット式業務施設建物は、店舗,事務所等の業務施設となる平屋の建物であって、図1にその分解斜視図を示すように、複数の部屋ユニット2を横並びに並設し、このうち隣合う一対の部屋ユニット2の並び間隔を開けて両側の部屋ユニット2の間にユニット無し部屋空間19を形成する。前記各部屋ユニット2の上および前記ユニット無し部屋空間19の上に屋根ユニット3を設置する。
ユニット式業務施設建物の施工現場では、予め基礎21を設置しておく。基礎21は、鉄筋コンクリート基礎やプレキャストコンクリート基礎等とし、水道,ガス等の配管の敷設しておく。
各部屋ユニット2は、建物の部屋空間を内部に形成するものであり、ボックス状に組まれた柱4および梁5を有する。部屋ユニット2は、柱・梁が剛接合であるラーメン構造のものであっても、ブレース使用の鉄骨軸組み構造のものであっても良い。使用場所に応じて、各部屋ユニット2は、床面材51、間仕切壁52、室内ドア55などを有する。
各屋根ユニット3は、小屋組となる骨組み体6(図4)に、屋根葺材7と下方の部屋空間(部屋ユニット2の空間およびユニット無し部屋空間19)の一部または全部の天井8とを設けたものである。したがって、各部屋ユニット2は、一部に天井8を設けたものや、場合によって天井8を有しないものに区分される。これらの天井8には、下方の部屋ユニット2やユニット無し部屋空間19の用途や場所に応じて、厨房排気口や給気口等(図示せず)が設けられると共に、天井裏を点検する天井点検口(図示せず)が設けられている。
これら複数の屋根ユニット3のうちの全部または大部分のものは、図4のように内部空間にエアコン等の空調設備9が設置されている。その設置は、顧客の要望等の状況により現場で行われることもあるが、基本的には予め工場で行われる。これにより、現場での空調設備9の設置作業が不要となり、ユニット式業務施設建物の施工が容易になる。なお、屋根ユニット3には、このほか換気扇や照明器具も設置される。
ユニット無し部屋空間19の上方に配置される屋根ユニット3は、隣合うもの同士が相互に接合されることにより、ユニット無し部屋空間19の両側の部屋ユニット2上の天井付き屋根ユニット3に渡って架設される。また、ユニット無し部屋空間19の両側の部屋ユニット2間に渡り、ユニット無し部屋空間19の外壁となる外壁パネル11Aが設置される。
図2はこのユニット式業務施設建物の間取りの一例を示し、図3(A)〜(D)は同建物の正面図,左側面図,背面図および右側面図を示す。図5は同建物の正面側から見た断面図を示す。この建物は、3個の部屋ユニット2と、これら部屋ユニット2に対応する3個の屋根ユニット3と、前記部屋ユニット2に挟まれるユニット無し部屋空間19に対応する4個の屋根ユニット3とを備えた店舗であって、正面の一部が玄関とされる。
図6は部屋ユニット2の上に屋根ユニット3を設置した部分の断面図を示し、図7はユニット無し部屋空間19の上に屋根ユニット3を設置した部分の断面図を示す。図2の例では、建物内が厨房41、売り場42、バックヤード部分の倉庫43等に区分される。これにより、部屋ユニット2は厨房部屋ユニットや倉庫部屋ユニット等に区分される。ユニット無し部屋空間19は売り場42として利用され、その床はコンクリートまたはモルタルの土間とされている。床面は、地盤面から100〜150mm高いレベルとされる。このように、売り場42の床を土間とすることにより、売り場42での歩行感を良くすることができる。
ユニット無し部屋空間19の部屋ユニット2並び方向の幅は、部屋ユニット2の幅よりも大きいもの(ここでは部屋ユニット2の4個分)とされている。各部屋ユニット2の屋外に対向する面には外壁11が設けられる。外壁11は、柱や桟等の線材と面材等で組立られるが、外壁パネルを用いても良い。部屋ユニット2の外壁11やユニット無し部屋空間19の外壁パネル11Aのうち、窓12やドア13の設置部に対応するものは、それぞれドア付きや窓付きの外壁11および外壁パネル11Aとされている。外壁パネル11Aは、垂直荷重を負担するものとしても、また負担しないものとしても良い。
このように外壁パネル11Aを用い、部屋ユニット2を省略することで、部屋ユニット2の空間よりも十分広い部屋空間を、ユニット無し部屋空間19として材料効率良く確保できる。
部屋ユニット2上の屋根ユニット3と、ユニット無し部屋空間19の上方の屋根ユニット3とは、互換性のあるものとされる。これにより、屋根ユニット3を部屋ユニット2上のものとユニット無し部屋空間19上のものとに分けて設置する必要がなく、屋根ユニット3の設置を容易に行うことができる。
各部屋ユニット2は、平面形状が長方形状であって、その長辺で隣の部屋ユニット2と並ぶように一列に並設される。複数の屋根ユニット3で構成される屋根1は、軒の幅方向が部屋ユニット2の並び方向となる片流れ屋根とされている。この屋根ユニット3は、このほかY形屋根や陸屋根であっても良い。また、屋根ユニット3は、内部に人が這って通れる高さのものとされ、軒側の両端や建物端部に対応する側部等に外壁14を有する。このように、屋根ユニット3の高さを、内部に人が這って通れるものとすることで、前記空調設備9の保守等を容易に行うことができ、また屋根ユニット3間に渡る横引き配管の設置作業も容易に行える。
屋根ユニット3の骨組み体6は、ここでは図9に示すように、桁上弦材31、桁下弦材32、束材33、斜材34、柱35、母屋36、ブレース37等で構成されるが、柱・梁が剛接合であるラーメン構造のものであっても、ブレース使用の鉄骨軸組み構造のものであっても良い。
図8のように、部屋ユニット2の下部には、基礎21のアンカーボルト22に設置される床梁5Bを有する。床梁5Bは、部屋ユニット2の全周に枠組みされたH形鋼または溝形鋼等の形鋼からなる。この部屋ユニット2の基礎21上への設置は、部屋ユニット2の床梁5Bのボルト貫通孔(図示せず)に前記アンカーボルト22が貫通するように基礎21上に前記床梁5Bを載せ、アンカーボルト22に螺合させたナット24を床梁5Bのフランジ5Baに締め付けることにより行われる。図示しないが、ユニット無し部屋空間の外壁パネル11Aや間仕切壁も略同様にして基礎21上に設置される。
隣接する屋根ユニット3の取り合いは、図10に示すように行われる。すなわち、両屋根ユニット3の隣接する桁上弦材31の下面間に連棟用プレート38を掛け渡し、各桁上弦材31の側面に溶接したアングル39の横片39aをそれぞれ連棟用プレート38にボルト40で締結することにより、隣接する屋根ユニット3同士が連結される。
部屋ユニット2上への屋根ユニット3の設置の取り合いは、基本的には図11に示すように行われる。すなわち、部屋ユニット2における天井梁5Aのフランジ5Aaにボルト45を上方へ突出状態に設けておく。このボルト45に対して、屋根ユニット3における軒桁30のフランジ30aに設けられた孔(図示せず)を嵌め込むことで、部屋ユニット2上に屋根ユニット3を載せ、上記ボルト45にナット46を螺合させて屋根ユニット3を締結する。これにより、屋根ユニット3の相互の位置決めを精度良く行え、相互間の接合も容易に行える。
なお、基礎21のアンカーボルト22は、その位置精度の許容範囲が大きく認められており、部屋ユニット2間の位置の誤差はある程度大きいので、部屋ユニット2上への屋根ユニット3の設置の取り合いを上記構成とすることにより、アンカーボルト22の位置精度に左右されることなく、部屋ユニット2に対して屋根ユニット3を位置精度良く設置できる。
ユニット無し部屋空間19の上方の屋根ユニット3は、その軒桁30や桁下弦材32を外壁パネル11Aやユニット無し部屋空間19の内部に配置される間仕切壁の上枠材にボルト接合することにより設置される。ユニット無し部屋空間19の外壁パネル11Aや間仕切壁も、この建物の垂直荷重を負担することになる。建物の水平荷重は、屋根ユニット3で伝えられる。
屋根ユニット骨組み体6への天井面材16の取付けは、例えば図12に示すように、隣接する桁下弦材32間に跨がって溶接等により固定した桟部材17を介して行うことができる。
工場から現場へ搬入される屋根ユニット3は、図13に示すように、屋根ユニット3の並び方向の両端部において、屋根葺材7の設置を省略したものとされ、現場施工において、隣接する屋根ユニット3における繋ぎ部である屋根葺材7の非設置部に屋根葺材7を重ねて設置することで、屋根1全体に屋根葺材7が設置される。このように、隣接する屋根ユニット3における繋ぎ部に対して、現場で屋根葺材7の設置施工を行うことにより、屋根ユニット3の設置精度に多少の誤差が生じても、雨漏れのないように屋根葺材7を確実に設置できる。
上記したように、各部屋ユニット2は基礎21上にアンカーボルト22を介して締結され、また各屋根ユニット3は部屋ユニット2やユニット無し部屋空間19の外壁パネル11Aや間仕切壁上に締結されるので、各部屋ユニット2および屋根ユニット3を、施工後に互いに分解して再使用することができる。これにより店舗等の建物の場合、移設がより容易になる。そのため、早期移設が必要な建物にも適用でき、リース建物等への適用に有利である。
以上のように、この実施形態のユニット式業務施設建物では、複数の部屋ユニットを横並びに並設し、このうち隣合う一対の部屋ユニットの並び間隔を開けて両側の部屋ユニットの間にユニット無しの部屋空間を形成し、複数の屋根ユニットを、前記各部屋ユニットの上および前記ユニット無し部屋空間の上に設置したものとされているので、ユニット工法を採用しながら、間仕切り無しの大きな空間を材料効率良く確保できる。また、屋根ユニットは、小屋組となる骨組み体6に屋根葺材7と下方の部屋空間の天井8とを設けたものされているので、部屋ユニット2の高さが運搬上の都合で2700〜2800mm程度まで低く抑えられても、屋根ユニット3の天井8を高く設定することで、天井高さを2400mmよりも高くすることができる。例えば、2700〜3000mm程度とすることも容易である。天井高さを高くできることで、店舗などの建物の場合には、顧客に快適な店舗空間を感じさせることができる。
また、複数の屋根ユニット3のうちの全部または大部分のものを、内部空間に空調設備9を設置したものとしているので、空調設備9の設置作業が容易になる。
さらに、基本的にはユニット工法を採用し、一部に外壁パネルを併用することから、ユニット工法における移設の容易性、工期短縮、低コスト化が十分に発揮できる。
なお、上記実施形態では、空調設備9の全体を屋根ユニット3の内部空間に設置した場合を示したが、このほか図14のように、空調設備9の室内機9aを屋根ユニット3内に設置し、空調設備9の室外機9bを同じ屋根ユニット3に設置して、室内機9aと室外機9bをダクト20で接続するようにしても良い。このように、空調設備9の室内機9aと室外機9bを同じ屋根ユニット3に設置することにより、屋根ユニット3ごとに空調設備9が独立したものとなり、屋根ユニット3間にわたる横引き配管が不要になり、現場における天井裏での空調設備設置作業を少なくでき、ユニット式業務施設建物の施工がより容易になり、その工期をさらに短縮できる。
また、上記実施形態は、間隔を開けて設置した隣合う部屋ユニット2の間にユニット無し部屋空間19を形成したが、ユニット無し部屋空間19を片寄せて設けても良い。例えば、部屋ユニット2を一列または複列に並設し、その並び方向の片方にユニット無し部屋空間19を設けても良い。このようにユニット無し部屋空間19を片寄せて設けた場合、ユニット無し部屋空間19の3方の立面が屋外に面することになるので、3方の各立面に外壁パネル11Aを設置する。
この発明の一実施形態に係るユニット式業務施設建物の分解斜視図である。 同ユニット式業務施設建物の間取り図である。 (A)は同ユニット式業務施設建物の正面図、(B)は同建物の左側面図、(C)は同背面図、(D)は同右側面図である。 同ユニット式業務施設建物の側面断面図である。 同ユニット式業務施設建物の正面断面図である。 同ユニット式業務施設建物における部屋ユニット上での屋根ユニット骨組み体断面図である。 同ユニット式業務施設建物におけるユニット無し部屋空間での屋根ユニット骨組み体断面図である。 (A)は部屋ユニットの基礎への固定構造を示す側面図、(B)は同固定構造の断面図である。 (A)は屋根ユニット骨組み体の平面図、(B)は同骨組み体の側面図である。 隣接する屋根ユニット間の取合い構造を示す縦断面図である。 部屋ユニットと屋根ユニットの取合い構造を示す側面図である。 屋根ユニット骨組み体への天井材の取付構造を示す断面図である。 屋根ユニット骨組み体への屋根葺材の施工説明図である。 屋根ユニットへの空調設備の他の設置構造を示す斜視図である。
符号の説明
2…部屋ユニット
3…屋根ユニット
4…柱
5…梁
6…屋根ユニット骨組み体
7…屋根葺材
8…天井
9…空調設備
9a…室内機
9b…室外機
11A…外壁パネル
19…ユニット無し部屋空間
20…ダクト
21…基礎
22…アンカーボルト

Claims (9)

  1. 店舗,事務所等の業務施設となる平屋の建物であって、複数または一つの部屋ユニットを設置し、部屋ユニットに隣接してユニット無し部屋空間を形成し、複数の屋根ユニットを、前記各部屋ユニットの上および前記ユニット無し部屋空間の上に設置し、前記各部屋ユニットはボックス状に組まれた柱および梁を有し建物の部屋空間を内部に形成するものとし、前記各屋根ユニットは小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井とを設けたものとし、前記ユニット無し部屋空間の屋外に面する立面に、前記ユニット無し部屋空間の外壁となる外壁パネルを設置したユニット式業務施設建物。
  2. 店舗,事務所等の業務施設となる平屋の建物であって、複数の部屋ユニットを横並びに並設し、このうち隣合う一対の部屋ユニットの並び間隔を開けて両側の部屋ユニットの間にユニット無し部屋空間を形成し、複数の屋根ユニットを、前記各部屋ユニットの上および前記ユニット無し部屋空間の上に設置し、前記各屋根ユニットはボックス状に組まれた柱および梁を有し建物の部屋空間を内部に形成するものとし、前記各部屋ユニットは小屋組となる骨組み体に屋根葺材と下方の部屋空間の天井とを設けたものとし、前記ユニット無し部屋空間の上方に配置される屋根ユニットは、ユニット無し部屋空間の両側の部屋ユニット上の天井付き屋根ユニットに渡って架設し、前記ユニット無し部屋空間の両側の部屋ユニットの間に渡り、前記ユニット無し部屋空間の外壁となる外壁パネルを設置したユニット式業務施設建物。
  3. 請求項2において、前記各屋根ユニットのうちの全部または大部分が、内部空間に空調設備が設置されるものとしたユニット式業務施設建物。
  4. 請求項2または請求項3において、前記ユニット無し部屋空間の部屋ユニット並び方向の幅が、部屋ユニットの幅よりも大きいものとしたユニット式業務施設建物。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項において、前記各部屋ユニットは、平面形状が長方形状であってその長辺で隣の部屋ユニットと並ぶように一列に並設され、前記複数の屋根ユニットで構成される屋根は、軒の幅方向が部屋ユニットの並び方向となる片流れ屋根もしくはY形屋根、または陸屋根であり、前記屋根ユニットは、内部に人が這って通れる高さのものであり、両端に外壁を有するものとしたユニット式業務施設建物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記ユニット無し部屋空間の床を土間としたユニット式業務施設建物。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記部屋ユニットは基礎上にこの基礎のアンカーボルトに設置される床梁を有し、前記各部屋ユニット、屋根ユニット、および外壁パネルは、施工後に互いに分解して再使用が可能なものであるユニット式業務施設建物。
  8. 請求項1ないし請求項7のいすれか1項において、前記部屋ユニット上の屋根ユニットと、前記ユニット無し部屋空間の上方の屋根ユニットとを、互換性のあるものとしたユニット式業務施設建物。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記空調設備が設置される屋根ユニットは、空調設備の室内機とこの室内機にダクトで接続される室外機とを同じ屋根ユニットに設置し、その室内機を内部空間に配置したものであるユニット式業務施設建物。
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