JP3807953B2 - 過電流通報装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は配電線の過電流通報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧配電線に流れる電流を検出して、一定以上の過電流が流れたら表示部の色を、例えば白色から橙色に変えて事故の発生を表示する過電流通過表示装置が公知で、この表示装置は高圧配電線に直接吊り下げて使用され、しかも事故発生表示後約5時間経過すると自動的に復旧して、表示が橙色から白色に戻るようになっている。この種の過電流通過表示装置としては、例えば特開平10−304553号公報に記載のものがある。以後、これを第1の従来技術という。
【0003】
この種の過電流通過表示装置(以後OCIと略記することもある)の詳細を図9〜図12に従って説明する。図9のブロック図において、OCIを配電線路の電線Aに吊り下げた状態では、コの字形の上部コア1と下部コア2とが互いにその接合部同士を当接させて、両コアで環状のコアを形成する。下部コア2に巻き付けられた巻線3には電線Aに流れる電流に応じた電圧が誘起する。こうして、両コア1,2と巻線3とは変流器CT4を構成している。巻線3の誘起電圧は整流部5で整流されて信号処理部6の電圧比較部7に印加され、予め設定された設定値と比較され、設定値を超えた場合に、過電流が電線Aを通過したとして電圧比較部7から所定の信号が出力される。8は比較部7の信号を受けて表示信号を発生させる表示信号発生部で、この表示信号発生部からの表示信号で表示部9を電磁的に駆動して、表示体10による表示を白色から橙色に変える。
【0004】
時間計測部11は常にクロック発振部12のクロック出力により時間を計数しており、表示信号発生部8から表示信号を受けると計数値をリセットして再度時間の計数を開始し、5時間計数後に信号を出力する。この信号出力を受けて復帰信号発生部13が復帰信号を出力して表示部9を電磁的に駆動して表示体10を復帰させて表示を橙色から白色に復帰させる。整流部5の出力は電源部14にも供給され、コンデンサ15で平滑された後、電圧安定化部16で所定の電圧に安定化されて、パワーオンリセット回路17や他の各部へ給電される。パワーオンリセット回路17は、電源部14から供給される電圧が所定の設定値を超えた時にリセット信号を出力して、上記時間計測部11の計数値を零にリセットする、いわゆるパワーオンリセットの動作を行う。
【0005】
図10と図11はOCIの全体を示す正面図と平面図で、本体ケース18内に前記信号処理部6等の電子回路を実装したプリント配線基板が収納されている。表示体10は本体ケース18の下部に取り付けた表示カバー19の表示窓から見えるように配設されている。表示窓は、表示カバーの下面に2つと、側面に2つ設けられている。また表示カバーの外周と下面は、透明カバー20によって覆われて保護されている。本体ケース18の上部には電線受部21が設けられ、OCIを電線に吊り下げるには、図10に示すように、先ず締付ボルト22のナット23を緩めて、締付ボルト22をピン24の周りに符号22′で示すように時計方向に回動させ、上部金具25をピン26の周りに符号25′で示すように反時計方向に回動させて、図示されていない電線Aを下方から受けるように電線受部21を電線Aに当接させ、上部金具25を符号25で示す実線の位置に戻し、電線押え27で電線受部21の間に電線Aを挟み込んで締付ボルト22を符号22で示す実線の位置に戻してナット23を締め付けることでOCI28を電線に吊り下げる。
【0006】
図12(a)(b)はOCIの下部に配設された表示部9を斜め下方から見た図で、表示カバー19を透かし、かつ前記表示カバー19の表示窓を透かして表示体を視認する状態を示す。同図(a)では、表示体の白色部10aが側面と下面の表示窓を通して見えている。また、同図(b)では、表示体の橙色部10bが側面と下面の表示窓を通して見えている。なお、同図(b)で橙色部に施したハッチングは、表示色が橙色であることを明示するために描いたもので、断面を意味するハッチングではない。
【0007】
また、特開平11−281702号公報に記載の配電線過電流検出装置は、配電線に設置する変流器と、変流器からの出力信号が入力される判定部と、判定部により判定された判定結果に応じた制御信号を送出する制御部と、制御部から入力された制御信号に基づいて事故が発生したか否かの情報を遠隔地の監視装置に報知する移動電話を備えている。そして、移動電話の電源は変流器から分岐して接続される電源部と、この電源部により充電される二次電池(バッテリ)から供給されるようになっている。なお、この配電線用過電流検出装置は電柱に設置されるとしている。以後、これを第2の従来技術という。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記第1の従来技術では、事故区間を特定するためには、各区間にそれぞれ設置された過電流通過表示装置の表示色を作業員が監視する必要があって面倒であった。また、第2の従来技術では、二次電池(バッテリ)の重量が重くなるため、電線に吊り下げて使用することができないとか、バッテリの寿命が短いという問題があった。
【0009】
そしてまた、前記第1の従来技術の過電流通過表示装置は、広く実用化されて多数のものが配電線に直接吊り下げられて使用されている。このような実情に鑑み、本発明は既設の過電流通過表示装置の表示色を光電的に監視して、監視結果を通報する過電流通過装置を提供することを目的とする。そして、本発明の通報装置は配電線に直接吊り下げて使用できるように、小型・軽量化を目指すものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために 請求項1記載の発明は、配電線に吊り下げられた過電流通過表示装置に隣接して前記配電線に吊り下げられた通報装置で、
配電線に結合する変流器と、該変流器の信号を整流する整流部と、該整流部により充電されるコンデンサと、前記整流部の出力を電源として作動し、間欠的に短時間ずつ駆動信号を出力すると共に変流器からの信号が断たれたときにも駆動信号を出力する制御部と、前記駆動信号で発光して隣接する過電流通過表示装置の表示部における表示体の表面に投光する発光素子を備えた色センサと、表示部からの反射光を受光する光電素子と、該光電素子の出力に基づいて表示部の表示色の変化を検知して検知信号を出力する制御部と、前記整流部の出力を電源として作動し、前記制御部からの検知信号を受けて無線信号を送出する送出部とを具備した過電流通報装置であって、
この通報装置が過電流通過表示装置に隣接して配電線に吊り下げ配置される吊り下げ手段を設け過電流通過表示装置の前記表示体の表面と過電流通報装置の前記色センサとが互いに対向するように両装置を隣接して吊り下げ設置したことを特徴とする過電流通報装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施の形態を図面の実施例に従って説明する。図1(a)(b)において、28は前記過電流通過表示装置で、前記変流器4と表示部9等を備えており、配電線Aに吊り下げて使用される。符号29に示す過電流検出回路(OC検出回路)は前記図9で説明した整流部5と信号処理部6と電源部14とからなり、変流器4の出力から配電線Aに過電流が流れたことを検出して表示部9に表示信号を出力して表示部を白色から橙色に変え、前述のように一定時間、例えば5時間経過すると復帰信号を出力して表示部の色を橙色から白色に戻す。
【0013】
30は過電流通報装置で、過電流通過表示装置28と隣接して配電線Aに吊り下げて用いることができるように、過電流通過表示装置28について図10と図11で説明したように電線受部21や電線押え27を有する上部金具25等に相当する吊り下げ手段を有し、配電線Aに過電流通報装置30を吊り下げた状態では、その変流器31が配電線Aと結合して、配電線Aの電流に対応した電圧を誘起する。この電圧は制御部32に印加されるとともに電源部33に印加され、同図(b)に示すように整流部34で全波整流されてコンデンサ35を充電する。なお、31aは変流器31の巻線である。電源部33のコンデンサ35に充電された電圧は同図(a)の制御部32と送出部36に供給されて両部32と36を作動させる。制御部32は変流器31の出力があるとき、即ち配電線Aに電流が流れている正常時は一定間隔、例えば12分間隔で間欠的に色センサ37を駆動するように、12分間隔のタイミングで短時間、例えば0.2秒間ずつ電源部33のコンデンサ35の電圧を昇圧した電圧を色センサ37に印加する。色センサ37はその都度表示部9の橙色の補色である青色の光を表示部9に投光し、その反射光から表示部9の表示色を検知して制御部32へ出力する。制御部32は前回の色センサ37で検知した表示部9の色を記憶していて、今回の検知色が前回と変わっていたときには、表示色の変化を検知して送出部36に出力する。送出部36はこの信号を受けて、表示色が白色から橙色に変化したこと、即ち過電流が通過したことをアンテナ38から電波形式の無線信号で送出する。送出部36は免許の不要な微弱電力無線の無線機を用いることができる。また、この送出部36の信号電波は、近くの電柱に配設された中継局を通じて遠隔地の基地局へ通報される。
【0014】
図1(a)の色センサ37の構成を図2に示す。色センサ37はアンプ部39と、光ファイバーケーブル40,41とこれら両光ファイバーケーブルに接続した光ケーブルヘッド42とからなる光ケーブル部43とからなる。アンプ39は前記電源部33のコンデンサ35の電圧を安定化電源部44で安定化してCR発振回路45や制御部46等に供給する。CR発振回路の出力に応じて短い周期でドライバー回路47が青色発光ダイオード48を点滅させる。発光ダイオード48からの青色の光は光ファイバーケーブル41から光ケーブルヘッド42を経て表示体10の表面に投光され、その反射光は光ケーブルヘッド42から光ファイバーケーブル40を経て光電素子で電気信号に変換される。表示部の表示体の色が白色のときは光電素子49の出力は大きく、橙色のときは発光ダイオードの青色光に対して補色の関係にあるため光電素子49の出力は小さくなる。従って、この出力信号を増幅回路50で増幅し、制御部46で表示体10の色が白色か橙色を判定して出力信号を出す。この出力信号Cを図1(a)の制御部32が受けて、色センサ37が前回検知した出力信号Cと変わっていたときには色が変化したことを制御部32が検知して、その検知信号を送出部36に入力し、送出部36は表示部の色が白色から橙色に変化したこととか、橙色から白色に変化したことを電波で通報する。
【0015】
なお、図2の色センサ37は、竹中電子工業株式会社製のものを用いることができる。因みに、同社製のアンプユニットF70ABとかファイバユニットCS−DF30を図2のアンプ39と光ケーブル43に使用すると良い。
【0016】
このときの電波信号には、過電流通過表示装置28又は過電流通報装置30の識別コードとか、検出した色を表すコードとか、配電線のR相かS相かT相かの種類を区別するコード等の必要な情報を含むようにしてあり、ごく短時間、例えば数十msの長さの信号電波を数十msの間隔で3回送出するようにして通信の信頼性の確保とコンデンサ35の電力消費を低減するようにしている。
【0017】
図3は、図1(a)(b)における電源部33のコンデンサ35の電圧を制御部32で昇圧した電圧の時間的変化を示す図で、横軸は時間を、縦軸は昇圧後の電圧を示す。時間0で過電流通報装置30を配電線に吊り下げて、配電線の正常な電流によりコンデンサ35に充電された電圧が制御部32によって昇圧され、昇圧後の電圧は図3のように色センサ37の最低動作電圧Voを超えて更に上昇する。
【0018】
時間t1 で制御部32から色センサ37へ指令が出ると(即ち、色センサ37にコンデンサ35の電圧を制御部32で昇圧した電圧を印加すると)、発光ダイオード48が短時間発光して昇圧した電圧は一時的に低下し、再び充電されて上昇する。12分後、時間t2 で再度指令が出ると、発光ダイオードが短時間発光して昇圧した電圧は一時的に低下し、再び充電されて上昇する。更に12分後、時間t3 で再々度指令が出ると、発光ダイオードが短時間発光して昇圧した電圧は一時的に低下する。そしてその後、時間t3 からわずか経過して時間t4 で配電線の電流がなくなると、前記制御部32が配電線の電流の立下りを検出して色センサに指令を出して発光ダイオードを短時間発光させる。従って、昇圧した電圧は時間t1 ,t2 ,t3 のときの場合よりも更に低下する。ここで配電線が停電したままであると、制御部32は12分間隔の指令を出すのを止めたままとなる。そして、変流器31からの信号がなくなるので、昇圧は止まり、昇圧した電圧は図3で時間t3 以後に示すようにゆっくりと低下する。
【0019】
図4は、配電線の線路電流と色センサ動作タイミングの態様を示す図で、横軸は時間を示す。この場合、線路電流は正常な電流が継続している。線路電流が継続して正常な値のままであるので、OCIの表示は白色のままである。従って、色センサが12分間隔で0.2秒ずつの短時間ずつ監視動作を繰り返すが、いつも白色を検知していて色の変化は見られないので、通報装置30からの電波は出ない。
【0020】
図5は図4と異なる態様のときの線路電流と色センサ動作タイミングの図で、正常な線路電流の間は色センサが一定の12分間隔で0.2秒ずつ動作するが、線路に過電流が流れて変電所のリレーが作動して停電すると、線路電流の立下り点aで過電流通報装置30の制御部32がこの停電を検出して、色センサを作動させてOCIの色を確認する。
【0021】
OCIは停電直前の過電流を検出して橙色に変わっているので、立ち下り点aでの確認動作で過電流通報装置の制御部32がOCIの表示色の変化を検出し、橙色に変わったことを通報する。即ち過電流が流れたことを通報する。その後、通報装置はOCIの表示を監視する間欠動作を止め、線路電流が復帰して流れると間欠的な監視動作を再開する。そして、線路電流が復旧したd時点からほぼ5時間経ってOCIが白色に復帰すると、過電流通報装置30はOCIの表示色が復帰してから最初の監視動作で表示色が橙色から白色に復帰したことを検知して電波で通報する。この電波信号は中継局を介して基地局へ通報されるので、基地局ではOCIが復帰して橙色から白色に戻ったことがわかる。
【0022】
図6は更に異なる態様のときの線路電流と色センサ動作タイミングの図で、線路電流が正常な間は12秒間隔で0.2秒ずつ色センサが間欠的に監視動作を継続している。事故などによる停電があると、停電による線路電流の立下り点bで制御部32が線路電流の立下りを検出して、色センサ37へ指令を出して確認動作を行わせる。そして、このときのOCIの表示部の色(白色)を電波で通報する。停電がしばらくの間、例えば4時間程度継続した後、復旧して直ちに何らかのトラブルで過電流が一時的に流れたとすると、その過電流の立下り時点cで制御部32が色センサに指令を出して確認動作をさせるため、このときの過電流をOCIが検知して白色から橙色に変わっているため、通報装置30はc点での確認動作で白色から橙色への変化を検出して電波で通報する。その後、線路電流が回復すると通報装置の色センサは間欠監視を再開して12分間隔で0.2秒の短時間監視を繰り返して、OCIの色が前回の監視時点と変わったら電波で通報する。
【0023】
図7は電線Aに過電流通過表示装置(OCI)28と過電流通報装置30を隣接して吊り下げ設置した状態を示す図である。表示体10の表示色が白色か橙色かを過電流通報装置の色センサで間欠的に監視し、かつ線路電流が低下した時点にも確認動作で監視する。そしてOCIの表示色が前回の監視時の色と変化していることを検知すると、自動的に無線で通報する。なお図7で、OCI28と過電流通報装置30とは連結バンド51で連結され、相対的な関係位置がずれないように互いに固定されている。また図8に示すように、最終的にOCI28と過電流通報装置にプラスチック製の薄板からなる上部カバー52を被せて固着してある。
【0024】
なお、上述の実施例では既設のOCIに隣接して過電流通報装置を配設するようにしたが、OCIは既設のものに限るものではなく、過電流通報装置を設置するときに新しいものを新設するようにしてもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の過電流監視方法と過電流通報装置は上述のように構成されているので、寿命の短い二次電池(バッテリ)を用いる必要がないため、システムや装置の信頼性が向上する。また、電源部を小型・軽量化できるため、電線に吊り下げるべき装置の寸法・重量が軽減でき、実用的な通報装置を具体化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で(a)は全体の略図、(b)は要部の電気回路図。
【図2】図1の実施例に用いる色センサのブロック図。
【図3】本発明の実施例における電源部のコンデンサの電圧を制御部で昇圧した後の電圧の変化を示す図。
【図4】本発明の実施例における線路電流と色センサ動作タイミングの図。
【図5】図4と異なる態様のときの本発明の実施例における線路電流と色センサ動作タイミングの図。
【図6】図4,図5と異なる態様のときの本発明の実施例における線路電流と色センサ動作タイミングの図。
【図7】配電線に過電流通過表示装置と過電流通報装置を吊り下げた設置状態を示す側面図。
【図8】図8のものに上部カバーを被せた状態の側面図。
【図9】従来技術のブロック図。
【図10】従来技術の外形を示す正面図。
【図11】従来技術の平面図。
【図12】従来技術の表示部を斜め下方から見た斜視図で、(a)は表示が白色のとき、(b)は表示が橙色のときの図。
【符号の説明】
A 配電線
9 表示部
10 表示体
31 流器
32 制御部
34 整流部
36 送出部
37 色センサ
48 発光素子(発光ダイオード)
49 光電素子

Claims (1)

  1. 配電線に吊り下げられた過電流通過表示装置に隣接して前記配電線に吊り下げられた通報装置で、
    配電線に結合する変流器と、該変流器の信号を整流する整流部と、該整流部により充電されるコンデンサと、前記整流部の出力を電源として作動し、間欠的に短時間ずつ駆動信号を出力すると共に変流器からの信号が断たれたときにも駆動信号を出力する制御部と、前記駆動信号で発光して隣接する過電流通過表示装置の表示部における表示体の表面に投光する発光素子を備えた色センサと、表示部からの反射光を受光する光電素子と、該光電素子の出力に基づいて表示部の表示色の変化を検知して検知信号を出力する制御部と、前記整流部の出力を電源として作動し、前記制御部からの検知信号を受けて無線信号を送出する送出部とを具備した過電流通報装置であって、
    この通報装置が過電流通過表示装置に隣接して配電線に吊り下げ配置される吊り下げ手段を設け過電流通過表示装置の前記表示体の表面と過電流通報装置の前記色センサとが互いに対向するように両装置を隣接して吊り下げ設置したことを特徴とする過電流通報装置。
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