JP3807908B2 - 水栓の凍結破損防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯器等に内蔵されている水栓の凍結破損防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の技術として、実用新案登録第2523747号公報、特開平10−281320号公報に開示された技術が知られている。これらの技術は、水栓のハウジングに水栓カバーを押し付ける固定金具を変形可能に設け、内部の水が凍結して体積膨張すると、固定金具が変形して体積膨張を吸収することで凍結破損を防ぐものであり、凍結が溶けると固定金具が元の形状に復元するというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、固定金具が凍結によって変形すると、永久歪みによる塑性変形が発生するため、凍結が溶けた場合、固定金具は元の形状には復元しない。このため、凍結と解凍を繰り返すと、繰り返す毎に塑性変形が大きくなり、水栓内部の水容積が増量し、最終的に水栓が性能不良を起こす可能性がある。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、凍結と解凍を繰り返しても、性能不良を起こすことのない信頼性の高い水栓の凍結破損防止装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の目的を達成するために次の手段を採用する。
〔請求項1の手段〕
水栓の凍結破損防止装置は、
水の制御装置を内蔵したハウジングと、
このハウジングの開口部に取り付けられる水栓カバーと、
前記ハウジングに固定され、前記水栓カバーを前記ハウジングに押し付けて固定する固定金具と、
前記水栓カバーと前記固定金具との間に配置され、圧縮変形可能なゴム部材とを具備し、
前記ゴム部材と前記水栓カバーとの間には、擦れ防止金具が配置され、
前記ゴム部材は、加硫によって前記固定金具および前記擦れ防止金具に一体結合して設けられたことを特徴とする
【0009】
【作用および発明の効果】
〔請求項1の作用および効果〕
水が凍結して体積が膨張すると、凍結による膨張によって水栓カバーが外側、つまり固定金具側へ押し出される。すると、水栓カバーと固定金具との間に配置されたゴム部材が圧縮変形して、凍結の膨張を吸収する。
凍結が溶けて収縮すると、ゴム部材の復元力によって水栓カバーを元の位置に復元する。
このように、凍結と解凍を繰り返しても、ゴム部材の圧縮と復元によって水栓内の水の凍結の膨張を吸収するため、固定金具にかかる負荷が抑えられ、固定金具の塑性変形を防ぐことができる。このため、凍結の繰り返しによって水栓内部の水容積が増える不具合がなく、長期に亘って水栓が性能不良を起こす不具合がない。
【0010】
ム部材を固定金具に加硫により一体結合して設けたため、固定金具に対するゴム部材の組付け精度を容易に高めることができる。
【0011】
ム部材と水栓カバーとの間に擦れ防止金具を配置し、ゴム部材の圧縮および復元時の形状変化によるゴム部材と水栓カバーの擦れを防止してゴム部材の摩擦熱が抑えられる。 このため、ゴム部材の疲労耐久性が向上し、長期に亘ってゴム部材の初期性能を維持できる。
【0012】
ム部材を擦れ防止金具に加硫により一体結合して設けたため、ゴム部材に対する擦れ防止金具の組付け精度を容易に高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、第1実施例および変形例を用いて説明する。
〔第1実施例〕
図1、図2は第1実施例を示すものであり、図1はガス給湯器に搭載される水栓の要部断面図である。
【0014】
水栓1は、樹脂あるいは黄銅等からなるハウジング2と、このハウジング2の開口部2a内に配置され、ハウジング2とともに開口部2aの内側に水室Aを形成する樹脂製の水栓カバー3とを備える。ハウジング2と水栓カバー3との間には、ハウジング2の内部に配置された止水弁座4の開閉を行うためのダイヤフラム5が挟持されている。
水栓カバー3の中心には、スピンドル6がシールリング7を介して摺動自在にガイドされており、スピンドル6の先端には、ダイヤフラム5の開閉操作に必要な力を低減するためのパイロット弁8が取り付けられている。このパイロット弁8は、バネ9によって閉弁方向に付勢されている。
【0015】
水栓1は、筒状を呈した開口部2a内に配置された水栓カバー3を、後述するゴム部材13を介してハウジング2に押し付けて固定するための固定金具10を備える。この固定金具10は、図2(a)に示すように、板金を打ち抜き加工したものであり、中央には水栓カバー3の中央部を外部に突出させるための中央孔10aが形成され、周囲には固定金具10をハウジング2に固定するビス11を挿通するためのビス孔10bが形成されている。
【0016】
水栓カバー3の周囲の環状溝には、シール用のOリング12が装着されており、水栓カバー3がハウジング2の開口内で摺動しても、水漏れが発生しないように設けられている。
【0017】
ここで、水栓カバー3と固定金具10との間には、圧縮変形可能なリング状のゴム部材13(シリコンゴム、ブチルゴム等)が配置されている。
また、ゴム部材13と水栓カバー3との間には、リング状の擦れ防止金具14が配置されている。この擦れ防止金具14は、ゴム部材13の圧縮および復元時の形状変化によるゴム部材13と水栓カバー3の擦れを防止してゴム部材13の摩擦熱を抑えるものである。
【0018】
このゴム部材13は、図2(b)に示すように、加硫によって固定金具10および擦れ防止金具14に一体結合して設けられたもので、組付け時の精度が高まるように設けられている。
ゴム部材13は、水栓カバー3と固定金具10との間に圧縮(押圧力は17.5kgf/cm2 以上に設定)して配置されるものであり、ゴム部材13による水栓カバー3の押圧力は、ハウジング2や水栓カバー3の形状を変更しなくても、ゴム部材13の材質、幅、厚み等を変更することで容易に調節することができる。
【0019】
通常使用時、水栓カバー3は、固定金具10に圧縮されるゴム部材13によりハウジング2側に押圧されて固定されている。
ここで、気温の低下により、水栓1内の水が凍結してくると、体積膨張により水室A内の内圧が上昇する。この内圧がゴム部材13の押圧力よりも大きくなると、図1(b)に示すように、ゴム部材13が通常使用状態から圧縮変形し、水栓カバー3が大気側に押されて摺動する。
気温が上昇して水室A内の氷が溶けると、凍結による膨張がなくなるため、水室A内の内圧が戻り、図1(a)に示すように、ゴム部材13が通常使用状態に戻る。つまり、水栓カバー3は、通常使用時の位置に再び固定される。
【0020】
上述したように、水抜きを忘れて水栓1内が凍結しても、ゴム部材13が圧縮変形して凍結による膨張を吸収するとともに、凍結が溶けて収縮すると、ゴム部材13の復元力によって水栓カバー3を元の位置に復元する。このため、固定金具10にかかる負荷が抑えられ、固定金具10の塑性変形を防ぐことができる。この結果、凍結と解凍を繰り返しても、従来技術のように水栓1内部の水容積が増える不具合がなく、長期に亘って凍結破損を生じない。
【0021】
また、ゴム部材13と水栓カバー3との間に擦れ防止金具14を配置し、ゴム部材13の圧縮および復元時の形状変化によるゴム部材13と水栓カバー3の擦れを防止するため、ゴム部材13の摩擦熱が抑えられる。このため、ゴム部材13の疲労耐久性が向上し、長期に亘ってゴム部材13の初期性能を維持できる。さらに、ゴム部材13を固定金具10および擦れ防止金具14に加硫により一体結合して設けたため、組付け性の精度が向上するとともに、組付け性が増し、製造コストを抑えることができる。
【0023】
〔変形例〕
記の実施例では、ゴム部材13をリング状に設けた例を示したが、ポイント的に配置しても良い。つまり、例えば、固定金具10に1つあるいは複数のゴム部材13をポイント的に固着しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水栓の要部断面図である(第1実施例)。
【図2】 固定金具を示す図である(第1実施例)
【符号の説明】
1 水栓
2 ハウジング
2a 開口部
3 水栓カバー
10 固定金具
13 ゴム部材
14 擦れ防止金具

Claims (1)

  1. 水の制御装置を内蔵したハウジングと、
    このハウジングの開口部に取り付けられる水栓カバーと、
    前記ハウジングに固定され、前記水栓カバーを前記ハウジングに押し付けて固定する固定金具と、
    前記水栓カバーと前記固定金具との間に配置され、圧縮変形可能なゴム部材とを具備し、
    前記ゴム部材と前記水栓カバーとの間には、擦れ防止金具が配置され、
    前記ゴム部材は、加硫によって前記固定金具および前記擦れ防止金具に一体結合して設けられたことを特徴とする水栓の凍結破損防止装置。
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