JP3807461B2 - 動物容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動物飼育用容器に関し、さらに詳しくは、透明性が高く内容物視認性に優れており、動物の排泄物の洗浄が容易であり、各種殺菌剤等に対する耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性が優れた、動物容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ネズミや小型うさぎ等の哺乳類、ヘビ、蛙、亀、トカゲ等の両生類などをペット用あるいはマウス、ラット及びモルモットなどの哺乳類を実験用として飼育するための動物容器としては、金属製の網、金属製のかご、金属板、ガラス、透明または不透明の熱可塑性樹脂が素材として使用されている。これらの素材の中でも、容器の移送に関して重量が軽い事や、透明で容器内部が確認できる事、量産が可能である事、落下等乱暴な取り扱いをしても、変形したり破損しにくい事などから、透明な熱可塑性樹脂が好ましく用いられてきている。
【0003】
特に、実験用小動物用の飼育容器の場合は、水等で洗浄し、動物の病原菌感染防止のための滅菌を行った上で繰返し使用される。洗浄では、汚れを効果的に落すために、必要により洗剤や、作業者が火傷しない程度の温度の温水洗浄をすることもあるが、洗浄の際の取扱いや、動物を飼育して実験時に取扱いの際に破損しない機械強度が動物容器には要求される。また、動物容器のような容積の大きい物の殺菌では、各種殺菌剤等の水溶液に1晩浸漬したり、アルコール殺菌などの方法がとられるため、動物容器はアルコールや各種薬剤に対する耐薬品性を有していることが好ましい。
【0004】
従来、動物飼育用容器を成形するための熱可塑性樹脂材料としては、透明で、あることから、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やポリカーボネート樹脂などが用いられてきた。ところが、ポリエチレン樹脂は機械強度、耐薬品性は優れるが、透明性が低く、動物容器にした場合に内容物を外から確認するのが困難であるという問題点があった。ポリプロピレン樹脂は機械強度、耐薬品性は優れるが、透明性が十分で無い等の問題点があった。ポリスチレン樹脂は、透明であるいう点で優れているが、耐衝撃性をはじめとする機械強度が低く、成形時に割れやすいため動物容器のような大きな成形品を成形しにくく、できた動物容器も落したり、ぶつけたりのちょっとした衝撃で破損するという問題点があった。ポリカーボネート樹脂は透明性や耐衝撃性には優れるものの、耐薬品性が劣り、例えば動物飼育実験で慣用されるエチルアルコールなどの薬品に動物容器が接触した時にクラックと呼ばれる割れが発生し強度が低下するなどの不都合がある。以上のように、従来から用いられている熱可塑性樹脂材料には、透明で、耐衝撃性などの機械強度を有し、耐薬品性を備えた動物容器に適した材料は知られていなかった。
【0005】
また、動物容器には、飼育する動物の排泄物である糞や尿が付着し、洗浄しにく、汚れが堆積しやすいという問題がある。特に実験小動物用の容器の場合は、その痕跡に雑菌が発生した場合、当初の目的である動物実験に支障をきたすなどの問題があった。
【0006】
一方、透明性と耐熱性に優れ、成形収縮も小さい樹脂として、ノルボルネン類の開環重合体等が提案されており、該樹脂からなる成形材料で成形してなる成形品は、透明で、耐薬品性が良く、各種溶剤又は酸若しくはアルカリ等の各種薬品に対して侵されない、溶出物が少ないなどの特徴が知られており、主に使い捨てまたは短期の使用に適した医療用途への使用が知られていた。しかし、排泄物の付着やそれによる変性が少ないかどうか、動物飼育容器等の動物容器として長期間使用した時に成形品が変質するかどうかは知られておらず、また、従来の知見を元に予見することも不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、透明で、耐薬品性、耐衝撃性に優れ、しかも動物の排泄物の易洗浄性に優れた動物容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、特定の単量体組成から開環重合される樹脂からなる成形材料で成形された動物容器が、透明で、殺菌剤等に対する耐薬品性、耐衝撃性に優れていること、動物の排泄物が付着しにくく易洗浄性にも優れたものであることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
かくして本発明によれば、2環体若しくは3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体の開環重合体またはその水素添加物からなる成形材料を成形してなる動物容器が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
(ノルボルネン系開環重合体またはその水素添加物)
本発明においては、2環体若しくは3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体の開環重合体またはその水素添加物が用いられる。具体的には、特開昭63−264646号公報、特開昭64−1705号公報、特開平1−168724号公報、特開平1−168725号公報などに開示されるノルボルネン系単量体の開環重合体およびその水素添加物などのうち、原料となるノルボルネン系単量体が2環体若しくは3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むものである。
【0011】
一般に開環重合は、ノルボルネン系単量体(分子内にノルボルネン環構造を有する単量体を主成分とする単量体をいう)を、メタセシス開環重合触媒系の存在下に反応させる。本発明においてはノルボルネン類(ノルボルネン環を有する単量体をいう)であって2環体若しくは3環体であるものを50重量%以上含むノルボルネン系単量体を用いる(ここで分子中に炭化水素環をn個有する単量体をn環体の単量体というものとする)。ノルボルネン類は2環体以上の多環体が多数知られているが、本発明では2環体若しくは3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体を用いる。動物容器は例えば内容積が5リットル程度以上と比較的大型で重く、洗浄や乾燥時には乱雑に扱われたり、空の動物容器は重ねて保管されるため、動物容器には乱雑な取扱いや積重ね保管に耐え得る耐衝撃性が特に必要であり、2環体若しくは3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体を用いることにより初めてそのような高度な耐衝撃性が達成される。
【0012】
更に、本発明者らは、鋭意研究の結果、上記のノルボルネン類組成からなるノルボルネン系単量体から開環重合される重合体またはその水素添加物からなる成形材料を成形してなる動物容器が、動物の排泄物が付着しにくく易洗浄性にも優れたものであることを見いだした。これは、該成形材料を使用した場合、動物容器の表面が滑らかで微少な凹凸が無いものとしやすいこと、動物の排泄物の成分が染込みにくいことや侵されにくいことに由来していると考えられる。
【0013】
2環体のノルボルネン類は、置換若しくは非置換の非環状オレフィン類若しくは非環状ジエン類とシクペンタジエンの付加物であり、具体的には、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなどのノルボルネン誘導体、およびこれらのノルボルネン誘導体のハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などの極性基により置換された置換体(例えば、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなど)を挙げることができる。これらの中でも、動物容器の耐薬品性および排泄物の易洗浄性の点から極性基を有さないノルボルネン誘導体が好ましい。
【0014】
3環体のノルボルネン類は、置換若しくは非置換の環状オレフィン類若しくは環状ジエン類とシクペンタジエンの付加物であり、シクロペンタジエンの2量体であるトリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、その部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロペンテンの付加物)であるトリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3−エン;シクロペンタジエンとシクロヘキサジエンの付加物であるトリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3−エン;シクロペンタジエンと脂環基若しくは芳香環基を有するビニル化合物との付加物である5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの3環体のノルボルネン類;などを挙げることができる。さらに、これらのノルボルネン類のハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などの極性基により置換された置換体(例えば、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの酸素原子を含む置換基を有するノルボルネン誘導体;5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む置換基を有するノルボルネン誘導体など)であっても良い。これらの中でも、動物容器の耐薬品性および排泄物の易洗浄性の点から極性基を有さないものが好ましく、更に耐衝撃性と耐熱性のバランスが優れる点でトリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3,7−ジエンが特に好ましい。
【0015】
これらの2環体のノルボルネン類と3環体のノルボルネン類は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いる。2環体若しくは3環体のノルボルネン類の合計量のうち3環体のノルボルネン類の量は、好ましくは50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、100重量%以下である。このような範囲にある時に成形される動物容器の耐衝撃性と耐熱性などの特性が高度にバランスして良好である。
【0016】
ノルボルネン系単量体中の、これらの2環体若しくは3環体のノルボルネン類以外の成分は共重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、通常は、4環体以上のノルボルネン類を用いることができる。
【0017】
4環体以上のノルボルネン類としては、テトラシクロ[4.4.12,5.17,100]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,100]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.12,5.17,100]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.12,5.17,100]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]−ドデカ−3−エンなどのテトラシクロドデセン(4環体)構造を有する4環体のノルボルネン類;8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エンなどのテトラシクロドデセン環構造と脂環若しくは芳香環をもつ5環体のノルボルネン類;テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14.01,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)などのテトラシクロドデセン環以外のノルボルネン環構造と芳香環を有する5環体のノルボルネン類;シクロペンタジエンの3量体で5環体の単量体であるペンタシクロ[6.5.11,8.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエンおよびペンタシクロ[7.4.13,6.110,13.01,9.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン;シクロペンタジエンの4量体以上の付加物;などが挙げられる。
【0018】
4環体以上のノルボルネン類は、上記の4環体以上のノルボルネン類の極性基を有する誘導体(例えば8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、などの酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン誘導体など)であっても良い。これらの4環体以上のノルボルネン類の中でも、動物容器の耐薬品性および排泄物の易洗浄性の点から極性基を有さないものが好ましい。
【0019】
ノルボルネン類(2環体若しくは3環体のノルボルネン類と4環体以上のノルボルネン類の合計)のうち、2環体若しくは3環体のノルボルネン類は50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、100重量%以下である。このような範囲にある時に成形される動物容器の耐衝撃性と耐熱性などの特性が高度にバランスして良好である。
【0020】
ノルボルネン系単量体(単量体の合計)のうちノルボルネン類(2環体若しくは3環体と4環体以上を合わせた量)は、70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、100重量%以下である。このような範囲にあるときに開環重合反応の活性が高く好適である。
【0021】
ノルボルネン系単量体(単量体の合計量)のうちノルボルネン類(2環体若しくは3環体と4環体以上を合わせた量)は、70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、100重量%以下である。このような範囲にあるときに開環重合反応の活性が高く好適である。
【0022】
共重合可能な他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜12からなるα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレンなどのスチレン類;1,3−ブタジエン、1,4−ブタジエン、イソプレンなどの直鎖または分岐のジエン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン単環の環状オレフィン系単量体:1、3−シクロペンタジエン、1、3−シクロヘキサジエン、1、3−シクロヘプタジエン、1、3−シクロオクタジエンなどの共役若しくは非共役の環状ジエン系単量体が挙げられる。
【0023】
上記のノルボルネン系単量体はメタセシス開環重合触媒系を用いて公知の方法により開環重合される。メタセシス開環重合触媒系は、主触媒と活性化剤からなり、必要に応じて反応調整剤を組合わせて使用する。
【0024】
開環重合の結果得られるノルボルネン系開環重合体は分子中に不飽和結合が残留するため、その不飽和結合により、ノルボルネン系開環重合体の耐候安定性や熱安定性が低下することがある。これを改良することを目的として、水素添加することにより不飽和結合の80%以上、好ましくは90%以上を飽和化させて用いることが好ましい。このような水素添加率とすることにより、動物容器を長時間使用した時の耐候変色が少なく、一層動物の排泄物が付着しにくく易洗浄性にも優れたものとなり好ましい。水素添加方法、水素添加触媒については公知の方法により行うことができる。
【0025】
ノルボルネン系開環重合体およびその水素添加物(以下ノルボルネン類系開環重合体等という)の分子量は、適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(ノルボルネン系開環重合体等が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定した数平均分子量(ポリイソプレン換算)で通常3,000〜200,000、好ましくは5,000〜100、000、特に好ましくは10、000〜80、000の範囲である。ノルボルネン系開環重合体等の数平均分子量がこの範囲にある時に耐衝撃性などの機械的強度や成形加工性に優れるので好適である。
【0026】
ノルボルネン系開環重合体等のガラス転移温度(Tg)は、適宜選択されればよいが、動物容器の環境温度で変形せず、温水洗浄でも変形しないことが必要であることから、高い方が好ましく、また適正な範囲を越えて高すぎると、樹脂が硬質なものとなり耐衝撃性などの機械強度が低下することから、適切な温度範囲にあることが好ましい。Tgは、通常30〜140℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜110℃、最も好ましくは70〜100℃の範囲である。この範囲にTgがある場合に、動物容器が変形や破損をせず長期間の使用に耐えることができ好適である。
【0027】
ノルボルネン系開環重合体等は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
(その他のポリマー成分)
本発明に使用される成形材料には、ノルボルネン系開環重合体等以外にその他のポリマー成分を必要に応じて配合できる。その他のポリマー成分としては、ゴム質重合体や、ノルボルネン系開環重合体等以外の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0029】
ゴム質重合体はガラス転移温度が常温付近以下具体的には40℃以下のゴム質重合体が好ましい。なお、ブロック共重合したゴム質重合体などでガラス転移温度が2点以上ある場合があるが、その場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であれば本発明のガラス転移温度が40℃以下のゴム質重合体として用いることができる。好ましいゴム質重合体の例としては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、その水素添加物;クロロプレンゴム、その水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・その他のα−オレフィンの共重合体などの飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体などのα−オレフィン・ジエン系重合体、これらハロゲン化物;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、その水素添加物;フッ化ビニリデン・三フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン・四フッ化エチレン共重合体、プロピレン・四フッ化エチレン共重合体などのフッ素ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエーテル系ゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレンアクリルゴムなどの特殊ゴム;ノルボルネン類とエチレンまたはα−オレフィンの共重合体、ノルボルネン類とエチレンとα−オレフィンの三元共重合体などのノルボルネン系ゴム質重合体;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・イソプレン三元共重合体ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー・共役ジエンのランダム共重合体、及びこれらの水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー・共役ジエンの直鎖状または放射状ブロック共重合体、及びそれらの水素添加物などのスチレン系熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;フッ素系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0030】
ゴム質重合体は、ノルボルネン系開環重合体等との屈折率差が小さいもの、ノルボルネン系開環重合体等と混合した時にミクロドメインをとって微分散しやすいものが好ましいが、これらの選択は、使用しようとするノルボルネン系開環重合体等との組み合わせでなされる。ゴム質重合体の添加量が多い場合でも高い透明性を維持するためには、ゴム質重合体とノルボルネン系開環重合体等の屈折率の差は小さいほど、透明性に優れ好ましい。特に配合量が多い場合は屈折率差が小さい配合剤を用いることが好ましく、その場合の屈折率差は通常0.2以下、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下に、最も好ましくは0.02以下である。ノルボルネン系開環重合体等の種類が異なれば屈折率も異なるが、例えば、ゴム質重合体はモノマーの比率を変化させたり、主鎖の不飽和結合の数を水素添加などにより変化させることにより、連続的に屈折率を変えることが可能である。用いるノルボルネン系開環重合体等の屈折率に応じて、適当な屈折率を有するゴム質重合体を選択することが好ましい。
【0031】
上記のゴム質重合体の中でも、芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合体、その水素添加物、及びノルボルネン系ゴム質重合体が、ノルボルネン系開環重合体等との分散性が良く、ノルボルネン系開環重合体等との屈折率が近いものを選択できるので好ましい。ここで、芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合体はブロック共重合体でもランダム共重合体でも良い。好ましい具体的な例としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体およびこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、動物容器を長期間使用した時の、排泄物からの汚染や耐候劣化による透明性の低下が少ないことなどの点から芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合の一部または全部を水素添加しているものがより好ましく、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体の水素添加物などが特に好ましい。
【0032】
これらのゴム質重合体は、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。ゴム質重合体の配合量は、ノルボルネン系開環重合体等100重量部に対してゴム質重合体が通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.10〜10重量部である。
【0033】
ノルボルネン系開環重合体等以外の熱可塑性樹脂を組み合わせて使用することもできる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド;エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。これらのその他の熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
【0034】
(配合剤)
本発明に使用される成形材料には、本発明の目的を阻害しない範囲で、合成樹脂用に一般的に用いられる配合剤を配合しても良い。
【0035】
成形時の成形性を改良すること等を目的として、ノルボルネン系開環重合体等に多価アルコールのエーテル化物または多価アルコールのエステル化物を添加してもよい。具体的には、例えば特開昭63−275654号で公知のグリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートなどの多価アルコールのエーテル化物;3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(4−ノニイルフェニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、1,6−ジヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキシ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物、p−オクチルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物、p−オクチルフェノールとジシクロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物などの多価アルコールのエステル化物が挙げられる。
【0036】
これらの多価アルコールのエーテル化物またはエステル化物の分子量は特に限定しないが、通常500〜2000、好ましくは800〜1500のものが、溶出しにくく、かつ透明性の低下も少なく好ましい。これらの多価アルコールのエーテル化物またはエステル化物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用され、その配合量は、ノルボルネン系開環重合体等100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部、特に好ましく0.1〜1.0重量部である。添加量がこの範囲にある時に、成形性の改良と溶出を少なくすることの効果を高度にバランスすることができる。
【0037】
ゴム質重合体と、多価アルコールのエーテル化物またはエステル化物を併用して用いることも好ましい。
【0038】
離型性などの成形性を改良することを目的として滑剤を用いることもできる。滑剤としては、例えば無機微粒子を用いることができる。ここで、無機微粒子とは、長周期律表の1族、2族、4族、6族、7族、8〜10族、11族、12族、13族、14族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩などの粒子状のもの、これらの化合物や塩の含水化合物の粒子状のもの、これらの塩中心とする複合化合物の粒子状のもの、またはこれらの塩を主成分とする天然鉱物の粒子などを示す。滑剤の添加量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、ノルボルネン系開環重合体等100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部の範囲であであり、添加量がこの範囲にあるときに、動物容器の透明性とその成形時の成形加工性が高度にバランスされる。
【0039】
成形時の酸化や保存、長期使用している間の酸化劣化、老化劣化を防ぐことを目的として酸化防止剤を用いることが好ましい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0040】
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタンなどが挙げられる。
【0041】
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用されているものであれば格別な制限はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル 3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3′−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル 3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0042】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、ノルボルネン系開環重合体等100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0043】
耐候性などを改良することを目的として紫外線防止剤を添加することもできる。埃の付着、静電気の防止を目的として、帯電防止剤を使用することもできる。その他にも、例えば、着色するための顔料や染料;ブロッキング防止剤;天然油、合成油、ワックスなどの滑剤;難燃剤などを配合しても良い。これらのその配合剤は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0044】
(成形材料)
本発明に使用される成形材料は、ノルボルネン系開環重合体等に上記成分を混合したものが用いられる。混合する方法は、ノルボルネン系開環重合体等とその他のポリマー成分や配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。例えば、ミキサー、二軸混練機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
【0045】
混練する場合には、樹脂温度がその樹脂のガラス転移温度+50℃〜ガラス転移温度+150℃の温度とすることが適当であり、十分にシェアをかけることにより好ましい均一な混合状態とすることができる。樹脂温度が低すぎると粘度が高くなり混練が困難であり、高すぎると樹脂やゴム質重合体が劣化し、粘度や融点の差により両者がうまく混練できない。スクリュー形状等、混練の条件は混練機の種類、形状等によりそれぞれ適切な条件とすべきである。用いる樹脂、ゴム質重合体、混練に用いる装置の組み合せによって、予備的に混練して、その組み合せにあった回転数、滞留時間等を決めることが好ましい。混練後は、通常は、溶融状態で棒状に押し出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレットとして用いられることが多い。
【0046】
(成形方法)
本発明の動物容器は上記の成形材料を成形して得られるものである。成形方法は、従来公知の成形方法に従えば良く、射出成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などが挙げられる。成形時の樹脂の溶融温度はノルボルネン系開環重合体等の種類によっても異なるが通常150〜350℃が好適である。また、特開平4―276253号公報に知られるように他の樹脂との多層成形や、二重壁成形で、さらなるガスバリア性や、耐候、耐光性などを高めることは、目的に応じて、内容物の視認性に影響がない程度で可能である。また、動物容器の内容物の視認性を高め、動物の排泄物を容易に洗い流すことができることから、金型表面仕上げ特に容器内容面に対応する金型部分の表面仕上げは、シボリ加工などが無い通常のエメリークロス研磨仕上げ、鏡面加工仕上げで、動物容器表面に目に見える大きな凸凹の無いことが好ましい。但し、装飾や内容物の識別等の目的で主に外側表面の一部に凹凸が設けられていても差し支えない。
【0047】
動物容器の底面や側面を含む主要部分は一体となって成形されることがこのましいが、生産性、強度の点で困難はあるものの、板状の成形物など部分品を別々に成形しておいて、これらを接着、溶着、凹凸を組み合わせて固定する、またはこれらの方法の組み合わせによる方法で所望の形状の容器としても良い。
【0048】
また、落下衝撃等に対する機械強度を改良するために、成形時の金型中に金網などの補強材を予めセットしておき、インサート成形したり、成形後または成形中に他の補強材を動物容器の表面に積層させて用いても良い。
【0049】
また、ゴム質重合体を配合した成形材料を使用する場合には、動物容器は、ゴム質重合体等の配合剤を添加することにより、一般に透明性は低下することが多いが、樹脂、配合剤、配合割合によって透明性の低下の度合は異なり、動物容器の面の一部を切り出して測定した時の、波長領域450〜700nmの範囲での光線透過率の最小値が通常20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上であることが好ましい。同一の配合剤、配合剤量の場合でも、配合剤がミクロドメンを形成して分散している場合は、0.3μm以下、特に0.2μm以下のミクロドメインを形成していれば、可視光の波長よりも配合剤の直径が小さく、光が散乱しにくいため、透明性に優れ好ましい。また、ゴム質重合体と、多価アルコールのエーテル化物またはエステル化物を併用して用いる場合には、形成されるミクロドメインの直径を0.15μm以下、好ましくは0.1μm以下までも分散させることが容易になるため好ましい。
【0050】
(容器)
本発明の動物容器は、動物を扱う各種容器に用いることができ、例えば動物用実験容器や特に長期間使用する動物飼育容器として有用である。本発明の動物容器はネズミや小型うさぎ等の哺乳類、ヘビ、蛙、亀、トカゲ等の両生類などをペット用として飼育したり、マウス、ラットやモルモットなどの実験用小動物を医薬品の開発、安全性試験を行なうために飼育するのに適している。特に種々の動物実験に用いる薬品からの汚染に対する耐性があり、排泄物の易洗浄性に優れることから実験用動物飼育容器として好適である。
【0051】
動物容器の形状はこれらの目的にかなうものであれば特に限定しない。しかし、中で動物を飼育することから、平らな底面を有することがこのましい。特に実験動物飼育用容器の場合は、成形加工性を良くし、排泄物の易洗浄性を良くし、空の動物容器をコンパクトに収容できる点から、底面、側面および上面がほぼ長方形である直方体形状で、かつ上面または側面の一面が開放された形状であることが好ましい。この開放面には通常はフタが取り付けられる。このような底面を含む部分を以下本体と呼ぶ。
【0052】
動物容器の本体の大きさは、動物の種類または飼育する数によって適宜選択されれば良い。好適には、1匹以上好ましくは例えば4匹またはそれ以上の複数の小動物がその中で飼育され、飼育される動物が精神的なストレスの無い状態で飼育されることが好ましく、外から中の状態を観察でき、また容器の収納場所からの出し入れの際に取り扱い易い大きさであることがこのましい。好ましい大きさは内容積1〜100リットル、さらに好ましくは10〜60リットルである。小さければ中で小動物が飼育しにくい、または飼育できる動物数が少なく、動物実験の目的である複数の検体に対して同一条件で飼育比較するという目的に適わなくなることがある。また、大き過ぎれば取り扱いしにくい、収納場所に困るなどの難点がある。ここで内容積とは、容器の動物取り出し口などの大きな穴があいていればこれを塞いだ時の容器の内部、即ち主に凹面と平面によって形成される面によって水などの液体を貯えたと想定したばあいに貯えられる液体の最大容積として定義される。また、底面および側面の各辺の長さは、高さは通常50〜800mm、好ましくは80〜600mmであり、底面の1辺は80〜1000mm、好ましくは100〜800mm、底面の長手方向の長さと、それに垂直な方向の長さの比(短い方向の長さ/長手方向の長さ)は通常0.4〜1、好ましくは0.5〜である。これらの条件を満たす時に、動物が快適に過ごすことができる空間を確保することができ、動物容器の収納にも効率がよく好ましい。
【0053】
動物容器の厚みは、全体に渡って0.5〜30.0mm、好ましくは0.7〜25mm、より好ましくは1.0〜22mmの範囲である。薄過ぎれば機械強度が低下し破損しやすくなり、厚いと重くて取り扱い難いなどの不都合がある。但し、通気や動物の出し入れのための穴については容器全体の強度を損ねず、飼育容器に使用する目的を損ねない範囲においていくつあっても不都合は無い。また、一方向に開いた部分を除いて、容器の側面や底面などの全ての面の面積の総和に対して、好ましくは20%以下の面積であれば上記の厚みの好ましい範囲を外れて厚いまたは薄い部分があっても差し支えないし、一方向に開いた穴以外のこれに比べて小さな穴が開いていても差し支えない。例えば、容器の上面または側面に餌箱や水のみ用器具をとりつけることがあり、このような部分に必要な穴あっても差し支えない。また、通気性を良くすることを目的として、このましくは上面または側面に、中に飼育する動物が逃避できない程度の大きさの1個または複数の通気孔を設けても良い。
【0054】
底面、辺の部分それぞれの厚みは、0.5〜40mm、好ましくは0.7〜30mm、より好ましくは1.0〜25mmである。底部の厚みt1は、側面の厚みt2に比べてほぼ等しいか、もしくは、より厚いことが好ましい。しかし、厚みの差が大きくなるほど、落下時の応力集中が大きくなるので、好ましくは0.7≦t1/t2≦3、より好ましくは0.8≦t1/t2≦2.5、より好ましくは0.9≦t1/t2≦2の範囲が好ましい。この場合の底部の厚みとは、底部で最も薄い部分の厚みを示す。厚みは厚くすることで、容器に使用する樹脂の量が多くなり、容器コストが高くなったり、重くなったりする。薄すぎると、落下強度が低下するなどの不具合が生ずる。厚みは、容器動物容器容器側面とでは均一であることが、衝撃強度の面では好ましいが、特に限定しない。
【0055】
動物容器の局部的な形状の特徴に関して、構成する各面は平面または穏やかな曲面であり、面と面の境界は穏やかな局面を形成していることが好ましいことが本願の研究の過程で見いだされた。
【0056】
例えば容器底面と容器側面とが連続した外側表面を形成している場合、両面の交わる部分すなわち辺は曲率半径(以降この曲率半径をROと表す)で好ましくは2.0mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上の大きさの曲率半径を有している曲面から形成されることにより、動物容器を長期間使用していく場合の耐排泄物汚染性が良好であることが本発明者らによって新しく見いだされた。各辺における曲率半径が2.0mm未満である場合、この部分に動物容器を成形した時の応力が残留し(以下動物容器または成形品の残留応力という)、その残留応力が大きい部分に、温水洗浄や乾燥などを繰返すうちにクラック(微小な割れ、外観上白っぽく見える)が発生し、ここに排泄物が染み込み、洗浄が困難になり、十分洗浄できなかった部分にさらに排泄物が固着しやすくなるという悪循環により、長期間使用するうちにどんどん汚染が進むという問題が発生しやすくなり好ましくない。また、曲率半径が小さい場合、落下等に対する強度が低下し好ましくない。ROの上限は特に無いが、必要以上に大きな値であれば、動物容器のなかで局面部が大きく、底面の平らな部分が相対的に小さくなり、飼育する動物の居住空間が狭くなり好ましくないことこら、ROは通常300mm以下、好ましくは200mm以下である。
【0057】
また、本発明の動物容器は上記の容器外側の面の各辺(凸面)の曲率半径RO以外に、容器内側の面の各辺(凹面)に対してもなだらかな曲面となっていることが好ましく(以降内面の辺の曲率半径をRIと表す)、耐衝撃強度が良好なこと、動物の排泄物を洗浄しやすい形状となる。RIは通常0.1〜300mm、好ましくは0.5〜200mmであり、小さい場合は、その辺に付着した排泄物が洗浄しにくく、また、残留応力を持ちやすい構造であることから、長期間の耐排泄物汚染性が低下する。大き過ぎれば、ROが大きい場合と同様に底面の平らな部分が相対的に小さくなり、飼育する動物の居住空間が狭くなり好ましくない。
【0058】
以上のROとRIの値は、辺の曲面の断面形状が円弧であるとして、曲面のなだらかさの指標として用いた値であるが、局面の断面形状は特に円弧とは限らなく、放物線、正弦曲線などに近い、曲率半径が一定でない形状もありうる。この場合、局面中の連続的に変化する曲率半径の最小値が上記で議論した値となっていれば良い。
【0059】
容器の厚みが露出した部分、すなわち前記開放面や穴の縁は面取りして丸くする(以降曲率半径rと表す)ことが好ましい。縁取りの曲率半径rの大きさは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常0.01〜50mm、好ましくは0.1〜20mmの範囲のものが、残留応力を充分に小さくでき、長期間にわたっての薬液との接触によるクラックの発生や外部衝撃に対する割れ等を低減できるので好適である。更に端面をゆるやかに折り返して(この部分の凸面側の曲率半径をREと表す)、2重構造の縁取りとすることも、全体の機械強度の向上、耐溶剤・耐薬品性が良好となる点、取り扱い時に指をかけて出し入れ、持ち運びができる点で好ましい。また一方向に開いた穴の周りに、動物容器の衝撃強度等を向上させる目的で、リブと呼ばれる構造を設けることもできる。リブは側面に対して垂直またはこれに近い突起で、大きさは、縦方向(動物容器の高さ方向)は動物容器の高さの通常1/20〜19/20、横方向(動物容器の側面に垂直な方向)は通常5〜150mm、厚みは動物容器の側面の厚みの通常1/2〜10倍である。
【0060】
動物容器の本体に上記の一方向に開いた穴をがある場合、なんらかのフタが必要となる。可能であればこの穴を塞ぐフタを本発明の動物容器の一部として本体との一体成形をしても良いし、本体とフタに別々に成形しても良い。本発明の容器の一部としてノルボルネン系開環重合体等からなる成形材料で成形したものが好ましく用いることができるが、本体に比べて排泄物などの汚染が少ないことからノルボルネン系開環重合体等以外の透明熱可塑性樹脂からなる成形材料を成形したもの、金網や金属板などの金属製のものであっても差し支えない。容器がフタと本体に別れている場合において、フタをノルボルネン系開環重合体等で成形する場合には、フタは必ずしも強度を要求されないので、フタの辺において上記のROやRIの好ましい範囲を満たす必要は無いが、満たしていても良い。通常、フタには通気孔を設け、かつ水や餌箱が取り付けられるようになっている。この場合は、本体の側面等に水や餌用の穴を設ける必要は無い。
【0061】
また、糞や尿などの排泄物や餌の残骸が動物の体に付着してそこに雑菌がついて、動物が予定しない病気にかかるのを防ぐ目的で、本体内側の底面には、底面に平行に近い配置でスノコ状に穴のあいた板や金網を設けても良い。スノコ状に穴のあいた板は可能であれば本発明の動物容器の本体の一部としてノルボルネン系開環重合体等からなる成形材料を用いて本体との一体成形をする、またはノルボルネン系開環重合体等からなる成形材料を用いて別々に成形したものも好ましいが、分離可能である場合には、必ずしも透明性を必要としないことから、他の材料で成形したものであっても差し支えない。
【0062】
また、動物容器表面は硬く、すべりやすいため、飼育される動物にとって必ずしも居心地が良くないため、麦わらや各種繊維からなるマットなどを敷いてその上で動物を飼育する様にして用いることも差し支えない。
【0063】
成形された動物容器は、一定期間の間、そのなかで動物を飼育したあと、内部の排泄物などの汚れを洗浄し、必要に応じて消毒され、さらにすすぎ洗い、乾燥などの工程を経て繰返し使用される。洗浄の際には、消毒剤または洗浄剤が組み合わせて又は単独で使用されることが好ましい。消毒剤(洗浄剤)としては、アルコール系消毒剤、ヨード系消毒剤、逆性石鹸系消毒剤、グルコン酸クロルヘキシジン系消毒剤、塩素系消毒剤、酸系消毒剤、アルカリ系消毒剤などが挙げられる。アルコール系消毒剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の70%溶液製剤、ヨード系消毒剤としては、「ポピドンヨード」(明治製菓)、「ポピヨドン」(ヨシダ製薬)、「マイクロクリーン」(東洋理工(株))、逆性石鹸系消毒剤としては、「オスバン液」(日本製薬)、「マイクロカット」(東洋理工(株))などの塩化ベンザルコニウム製剤、グルコン酸クロルヘキシジン系消毒剤としては、「ヒビテン」などのグルコネート製剤、塩素系消毒剤としては、次亜塩素酸塩製剤、酸系消毒剤としては、塩酸、硝酸、硫酸、りん酸などの溶液製剤、アルカリ系消毒剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの溶液製剤などが挙げられる。
【0064】
これらの洗浄剤または消毒剤の使用方法としては、上記の消毒剤を常温の水または温水(40℃から90℃)で希釈し、常温の水の場合は、数時間から10日間、温水の場合は、2時間から一昼夜浸けおきした後、水で消毒剤を洗い流し、水滴を乾燥することが一般的である。
【0065】
【実施例】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。特に動物容器の形状については、実施例においては簡単な構造を有するものを試験的に作成し試験するが、この形状に限定されるものではない。
【0066】
(参考例1)
窒素雰囲気下、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3,7−ジエン(3環体ノルボルネン類、慣用名ジシクロペンタジエン、日本ゼオン製、純度95重量%以上、以下DCPと略す)100重量部を公知のメタセシス開環重合触媒系で重合し、次いで公知の方法で水素添加しDCP開環重合体水素添加物を得た。このDCP開環重合体水素添加物は、シクロエキサンを溶媒としたGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ)でポリイソプレン換算で測定される数平均分子量Mnは、13,000であった。このDCP開環重合体水素添加物を公知の方法で乾燥した。プロトンNMR法により水素添加反応の前後で比較して水素添加率が99.8%以上、DSCにより測定したTgは97℃、25℃における屈折率1.5230(ASTM D542準拠)であった。このペレット100重量部に対して0.2重量部のフェノール系老化防止剤ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と0.4重量部の水添スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体(旭化成工業株式会社製タフテックH1051、クラム状、30℃における屈折率1.5173)を混合し、二軸混練機で混練し、ストランド(棒状の溶融樹脂)をストランドカッターを通してペレット(粒状)状の成形材料を得た。このペレットを、熱プレス(樹脂温度160℃、300kgf/cm2、3分)で20mm×15mm、厚さ3.0mmの板を成形した。この板は透明で、400〜700nmでの光線透過率は最小で90.0%であった。この板を約0.05μmの厚さにスライスし、四酸化ルテニウムでポリスチレン部分を染色し、透過型電子顕微鏡により観察したところ、ゴム質重合体は樹脂のマトリックス中で直径約0.04μmのほぼ球状のミクロドメイン構造をとっていた。このペレットのガラス転移温度は96℃であった。
【0067】
(参考例2)
DCPの代わりに、8−メチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(4環体ノルボルネン類、以下MTCDと略す)5重量部、ジシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン(2環体ノルボルネン類、以下NBと略す)15重量部とDCP80重量部に代え(計100重量部)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体を用いなかった以外は、参考例1と同様にしてMTCD/NB/DCP開環共重合体水素添加物を得た。重合体中の各ノルボルネン類の共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、MTCD/NB/TCD=5/15/80でほぼ仕込組成に等しかった。このMTCD/NB/DCP開環重合体水素添加物は、Mnは、14,000であり、水素添加率が99.8%以上、Tgは、81℃であった。
【0068】
まず、本実験で行った物性試験について説明する。
【0069】
(試験法1:透明性)
成形後の未使用の動物容器にBALB−c雄性マウス(5週齢、日本クレア社)を5匹入れ、目視でどの程度まで動物が見えるか観察し、1m離れたところからマウスの動きまわる状態が観察でき、かつ、容器の一部分を切り出して分光光度計により測定した波長450〜700nmでの光線透過率の最小値が20%以上であるものを良好と判断した。
【0070】
(試験法2:耐衝撃試験)
動物容器に鉄製の釘を錘として500g入れ、容器を垂直方向から45°傾けて、120cm高さから、コンクリート床面に落下させる試験を5回繰返した。10個の動物容器について同様に試験して、割れや亀裂の入るものがあるかどうかを観察し、10個とも割れや亀裂の無いものを良好と判断した。
【0071】
(試験法3:残留応力と耐溶剤性の試験)
成形時の応力が残りやすいと思われるR部に各種の溶剤を湿らせた布を当てて、60分間保持した後に発生するソルベントクラックを目視で観察し、動物容器中の残留応力と耐溶剤性を試験した。溶剤としてはエチルアルコール、メチルメタクリレートとジメチルエーテルの3種類とし、各々の溶剤に対して試験を行い、全ての溶剤に対して、目視による白い傷、変色が無いものを良好とした。
【0072】
(試験法4:排泄物の易洗浄性試験)
成形した動物容器にBALB−c雄性マウス(5週齢、日本クレア社)を5匹、14日間飼育したあと、容器に水道水をほぼ満杯に満たし、10分経過後、中の水を捨て、さらに多量の水道水の流水で約2分洗い流したあと、スポンジで各面を2回ずつこすり洗いすることにより物理的に排泄物を除去させた。乾燥後の特に底面を詳細に目視観察し、シミや排泄物の残りがないかどうか確認し、シミ、痕跡のないものを良好と判断した。
【0073】
(試験法5:耐薬品性及び長期の排泄物耐性試験)
成形した動物容器にBALB−c雄性マウス(5週齢、日本クレア社)を5匹、7日間飼育したあと、容器からマウスと餌を取り出し、中に水道水をほぼ満杯に満たし、10分経過後、中の水を捨て、さらに多量の水道水の流水で約2分洗い流した。スポンジで各面を10回ずつこすり洗いをした。洗浄した後の動物容器を
(1)酸系消毒剤の日本クレア(株)社製「ライム・ア・ウェイ」(PH1.6−2.0)を10倍に希釈し、12時間浸漬した。
(2)アルカリ系消毒剤アイセイ(株)社製「ネオバスキーL」(PH11.3)10倍に希釈し、12時間浸漬した。
(3)アルコール系消毒剤のエタノールの70%水溶液製剤に12時間浸漬した。
(4)ヨード系消毒剤の日本クレア(株)社製「マイクロクリーン」を600倍に希釈し、12時間浸漬した。
(5)塩素系消毒剤の日本クレア(株)社製「フジラックス」を500倍に希釈し、12時間浸漬した。
以上のように洗浄、消毒した後、全体を水洗しながらブラシでこすり、その後3回水洗した。
この一連の7日間のマウスの飼育と流水洗浄と滅菌処理を1サイクルとした。これを10サイクル行った後の動物容器を目視で、シミや排泄物の付き方を観察し、汚れの無いものを良好とした。
【0074】
(実施例1)
参考例1のペレットを用いて、型締め圧350トン射出成形機にて、成形時の樹脂温度260℃、金型温度60℃の条件で射出成形し、以下の形状の容器を作成した。
【0075】
・形状:図1に示す長方形の底面と、それに接する台形状の4つの側面をもち、直方体に近い形の容積を有し、上面が無く(開放)、底面よりも開方面の方がやや広い面積を有するパッド状の形状。
・底面の厚みt1=3.0mm、側面の厚みt2=3.0mm。
・底面と側面の成す辺の容器外側の曲率半径RO=10mm、同容器内側の曲率半径RI=7.0mm、開放部の辺(上辺)が曲率半径RE=10mmで容器外側に緩やかなカーブを描いて下向きに15mm折り返され、端面が下向きとなっている縁取りのある形状で、端面のエッジ部の面取りがされており、その曲率半径r=0.2mm
・底面部の面積(容器外側)180×230mm
・上面(開口部)の面積188×238mm
・高さ150mm
・容積5.5リットル
【0076】
試験法1から5までの各試験結果はいずれも良好であった。
【0077】
(実施例2)
参考例2のペレットを用いた以外は実施例1と同様にして動物容器を得た。試験法1から5までの各試験結果はいずれも良好であった。
【0078】
(比較例1)
成形材料として、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、商標名パンライトL−1225)を用いた他以外は実施例1と同様にして動物容器を得た。
【0079】
試験法1と2の試験結果は良好であったが、試験法3,4と5の試験結果は良好でなかった。動物容器は、排泄物易洗浄性試験の結果、微かに跡が残り、良好でなく、耐薬品性及び長期の排泄物耐性試験後の結果は、サイクルを重ねるにしたがって、シミや着色、が顕著となり、7サイクル目で中のマウスの活動状況が分かりにくくなってきたので、耐薬品性及び長期の排泄物耐性試験の結果は劣るものであった。残留応力と耐溶剤性試験では、用いた3種の溶剤のいずれでもソルベントクラックが発生し、耐薬品性は劣るものであった。
【0080】
(実施例3)
t1=t2=3.0mm、R0=5.0mm、RI=2.0mmとした以外は実施例1と同様にして、動物容器を得た。試験法1から5までの各試験結果はいずれも良好であった。
【0081】
【発明の効果】
本発明により、ノルボルネン系開環重合体等からなる成形材料を成形してなる動物容器が供給される。該動物容器は従来の動物容器に比べて、透明で、耐熱性、耐薬品性等に優れ、更に動物の排泄物が容易に洗浄できるという特徴を持つ。本発明により供給される動物容器により、ネズミや小型うさぎ等の哺乳類、ヘビ、蛙、亀、トカゲ等の両生類などをペット用として飼育したり、マウスやラット、モルモットなどの実験用小動物を医薬品の開発、安全性試験を行なうために飼育することが可能であり、該容器はペット用として一般に使用できるほか、医薬等の開発のための実験ひいては産業の発達に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作成した動物容器の斜視図
【図2】実施例1で作成した動物容器の長手方向の断面図
【符号の説明】
1:底面
2:側面
3:辺のうち曲率半径ROを有する部分
4:辺のうち曲率半径RIを有する部分
5:端面
6:二重構造の縁取り部分
7:リブ

Claims (3)

  1. 2環体若しくは3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体の開環重合体またはその水素添加物からなる成形材料を成形してなる動物容器。
  2. 容器底面の外側表面と容器側面の外側表面との交わる部分が2.0mm以上の曲率半径を有する曲面から形成されている請求項1記載の動物容器。
  3. 動物飼育容器である請求項1または2のいずれかに記載の動物容器。
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