JP3807121B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル機関等の内燃機関等から排出される排気ガスに含まれるパティキュレート(煤等の可燃性微粒子)等をフィルターにより捕集し、捕集したものを燃焼あるいは高圧気体噴射他の手段により除去しフィルターを再生させる排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼル機関等から排出されるパティキュレート(煤等の可燃性微粒子)が環境保護及び健康上の理由から規制され始めている。これを取り除き、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するには、排気管の流路途中にセラミックハニカムの円筒形フィルター(以下フィルター)を取り付け、パティキュレートを濾過する方法がある。そしてこの方法の特徴は、ある程度パティキュレートがフィルターに捕集され堆積した時、これに火をつけて燃焼させ、炭酸ガスに変えて大気に放出し、フィルターをクリーンに再生し、繰り返し使用することである。この作業を燃焼再生(リジェネレーション)と呼んでいる。一般にディーゼルエンジンの排気ガスはパティキュレートの着火温度より低いので、そのままの状態では、パティキュレートは燃焼せず、フィルターに堆積するだけで、排気圧力を過度に上昇し、エンジン及びエミッション性能を低下させる。従って、燃焼再生には何らかの方法によって排気ガス温度を上げるか、又はフィルター温度を上げる必要がある。近年は、排気系にフィルター2個を備え、排ガス浄化を交互に行う方式が提案されている。燃焼再生は、排気ガス濾過中ではなく、ある程度パティキュレートが堆積した後、排気ガス浄化はもう一方のフィルターで行っている時に、燃焼再生が実施される。昇温手段としては、電気ヒーター、バーナー、マイクロ波などによって、フィルターを加熱しフィルターの温度を上げて、パティキュレートを燃焼させることにより、再生を実施している。
【0003】
従来このような排気ガス浄化装置を製作する場合、メンテナンス時のフィルター着脱を容易にし作業性を向上させるため、フィルターをフィルター容器に収納し一体化した状態で使用する。
【0004】
以下、従来の技術のディーゼル排ガス浄化装置を図面にもとづいて説明する。
図4は従来のディーゼル機関の排ガス浄化装置の断面模式図を示している。図4において101は本体容器、102は前部フタ、103は後部フタ、104はフィルター、105は金属製のフィルター容器、106は加熱膨張性セラミック、107はヒーター、108は排気ガス、109はストッパーをそれぞれ示す。以上のように構成された、従来のディーゼル排気ガス浄化装置の機能を説明する。
【0005】
まず、ディーゼル機関(図示せず)より排出された排気ガス108はディーゼル排ガス浄化装置の前部フタ102より流入しフィルター104を通過し後部フタ103より流出する。このフィルター104は多数のセルを有しておりこのセルは、フィルター104における排気ガス108の流入側と流出側で交互に閉塞されているため流入した排気ガス108はフィルター104のセルの壁を通過しその際に排気ガス108中のパティキュレートを捕集するウォールフロータイプと呼ばれるフィルターが用いられる。そしてこのフィルター104とフィルター容器105の隙間には排気ガス108のもれを防止する目的とフィルターを固定する目的より、加熱膨張性セラミック106が充填されている。この組立には、まずフィルター104の周りに加熱膨張性セラミック106を隙間なく巻き付けた後、フィルター容器105にフィルター104をその軸方向に油圧力等により加圧挿入すなわち圧入した後に加熱処理を行い加熱膨張性セラミック106を膨張させフィルターの固定とシールを行っている。また、フィルター容器105にはフィルター104の移動による後部フタ103の流路閉塞を防止するためにストッパー109が取り付けられている。また、ある程度パティキュレートがフィルター104に捕集され堆積したとき、ヒーター107によりこれに火をつけて燃焼させ、フィルター104を再生する燃焼再生を実施し機能を回復させ繰り返し使用する。同様の装置を2式設置し排気ガス浄化とフィルターの燃焼再生を交互に行えば、ディーゼル機関を停止すること無く連続的に運転ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、フィルター104、フィルター容器105および加熱膨張性セラミック106の組立の際に、フィルター容器105がストレートであるため、フィルター容器105と加熱膨張性セラミック106の間の摩擦力に挿入開始時より抵抗して圧入せねばならず、作業に時間を要し効率が悪い。また、治具や油圧力も大きなものが必要であるという問題があった。さらに、フィルター104とフィルター容器105の固定は加熱膨張性セラミック106の膨張によるフィルター104の中心方向に働く膨張圧力とそれに起因する摩擦力によるものであるため、フィルター再生時のパティキュレートの燃焼熱、あるいは、ディーゼル機関の運転中の高温排気ガスによるフィルター部の温度変化は、フィルター104とフィルター容器105の熱膨張係数が大きく異なることより、それぞれの膨張量が異なり加熱膨張性セラミック106の密度変化を助長するため、フィルター104とフィルター容器105の固定力が減少してしまう。そのためフィルター104へのパティキュレート堆積にともなう排気圧力の上昇によりフィルター104が後方へ移動してしまい後部フタ103の流路を閉塞してしまうことがある。また、移動防止のためフィルター104をストッパー109に接触させ移動を阻止する方法が取られるが、この場合フィルター104はストッパー109に接触しているため、排気圧力及びエンジン等からの振動により徐々に削られ破損してしまうという問題がある。フィルター104は構造上一部でも破損すると排気ガス108が漏れてしまい機能しなくなってしまう。また、フィルター104移動を防止するため加熱膨張性セラミック106の充填密度を高密度にする方法もとられるが、充填密度をあまり高くするとフィルター104を破損することになるため限界があり、また、加圧力の増大、圧入治具の大型化、作業の難易度増加といった組立効率悪化の問題がある。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、フィルター104のフィルター容器105への組立を効率よく行え、かつ組立効率を悪化させることなく運転中のフィルター104移動と破損を防止することができる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明は、排気ガス浄化装置内に設けられたフィルターを収納するフィルター容器の後端部径がフィルター断面径と等しいかもしくは大きくかつ、フィルターに巻き付けられた加熱膨張性セラミックを含むフィルター断面径よりも小さく、前記加熱膨張性セラミックの端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせて前記加熱膨張性セラミックを前記円筒形フィルターにすきまなく巻き付けた構成したものである。
【0009】
これによりフィルターの容器への組立を効率よく行え、かつ組立効率を悪化させることなく運転中のフィルター移動と破損を防止することができる排ガス浄化装置を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、排気ガスの排気経路に設けられ、排気ガスを通過させて排気ガス中のパティキュレート等を捕集する円筒形フィルターと、前記フィルターに付着したパティキュレート等を除去する手段を備えた排気ガス浄化装置において、装置内に設けられた前記フィルターを収納するフィルター容器の後端部内径が前記フィルター断面径と等しいかもしくは大きくかつ、前記フィルターに巻き付けられた加熱膨張性セラミックを含む前記フィルター断面径よりも小さく、前記加熱膨張性セラミックの端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせて前記加熱膨張性セラミックを前記円筒形フィルターにすきまなく巻き付けた構成としたものであり、フィルターの軸方向の、排気ガスの漏れを防止し、加熱膨張性セラミックの初期充填密度に応じ、フィルタの固定、シールができるとともに、運転中にフィルターが移動した場合でも、フィルターがフィルター容器に接触することがないという作用を有する。
【0015】
なお、本体容器1にはその前後に前部フタ2および後部フタ3がガスケットを介してボルト等で締結されており、密封構造となっている。また、前部フタ2および後部フタ3には排気ガス8の流入流出のために配管が溶接されている。管路の材料は、耐熱性のため金属製が好ましく、なかでも耐食性のあるステンレス鋼等で構成することが好ましい。
【0016】
フィルター4は、コージェライトやムライト等の耐熱性、耐食性のある材料でしかも圧力損失の小さなハニカム構造が好ましい。なお、このフィルター4に酸化触媒を担持しても良い。
【0017】
フィルター容器5aは、その軸方向における断面内径が前部から後部にかけて徐々に小さくなるテーパ形状に成形されたステンレス等耐食性のある金属製の容器であり、その後端部には本体容器1への取り付け用にフランジが溶接されており、図1に示されるように後部フタ3とともにガスケットを介して本体容器1にボルト等により締結されている。そして、フィルター容器5aには加熱膨張性セラミック6を巻き付けたフィルター4が圧入されている。加熱膨張性セラミック6は、バーミキュライトなど熱により膨張する材料を含むセラミックマット(例えば、住友スリーエム製インタラムマット)である。
【0018】
フィルター4をフィルター容器5aに挿入する場合、まずフィルター4に帯状に成形した加熱膨張性セラミック6をすきまなく巻き付ける。この時、加熱膨張性セラミック6の端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせフィルター4の軸方向の、排気ガス8の漏れを防止する。その後、加熱膨張性セラミック6を巻き付けたフィルター4をフィルター容器5aの前部より加圧挿入する。
【0019】
加熱膨張性セラミック6の厚みは、フィルター4とフィルター容器5aのすきまより厚く、フィルター容器5aへの挿入に伴い減少し、排気ガス圧力より決定されるフィルター4の軸方向のシール必要距離の領域で所定の充填密度となるように決定される。加圧挿入においては、油圧力を利用したプレス等を用いることが多い。本実施の形態によればフィルター容器5aがテーパ形状に成形されているため、容器そのものが挿入の際の案内となると同時に摩擦力が徐々に増加するため、従来のものに比較し小さな油圧力で簡単に圧入が行え組立が効率よく行える。組立完了後、加熱処理を行い加熱膨張性セラミック6を膨張させフィルター4の固定とシールを行う。
【0020】
ヒーター7は、例えばセラミックス製のサポート部内に発熱体であるニクロム線やカンタル線を熱効率の良い巻き方で巻いたものを収納したものが好ましい。なお、耐食性向上のため発熱体をさやさに収めたシースタイプの発熱体を使用しても良い。
【0021】
以上のように構成された排ガス浄化装置による排ガス浄化方法についてその機能を説明する。まず、ディーゼル機関(図示せず)より排出された排気ガス8はディーゼル排ガス浄化装置の前部フタ2より流入しフィルター4を通過し後部フタ3より流出する。このフィルター4は多数のセルを有しておりこのセルはフィルター4における排気ガス8の流入側と流出側で交互に閉塞されているため流入した排気ガス8はフィルター4のセルの壁を通過しその際に排気ガス8中のパティキュレートを捕集する。ある程度パティキュレートがフィルター4に捕集され堆積したとき、ヒーター7によりこれに火をつけて燃焼させ、フィルター4を再生する燃焼再生を実施し機能を回復させ繰り返し使用する。
【0022】
このように、排気ガスの浄化と燃焼再生を繰り返す間に、フィルター4とフィルター容器5aの固定は加熱膨張性セラミック6の膨張によるフィルター4の中心方向に働く膨張圧力とそれに起因する摩擦力によるものである。燃焼再生時のパティキュレートの燃焼熱、あるいは、ディーゼル機関の運転中の高温排気ガスによるフィルター部の温度変化は、フィルター4とフィルター容器5aの熱膨張係数が大きく異なる。それぞれの膨張量が異なり加熱膨張性セラミック6の密度変化を助長するため、フィルター4とフィルター容器5aの固定力が減少してしまう。そのためフィルター4へのパティキュレート堆積にともなう排気圧力の上昇によりフィルター4が後方へ移動してしまう。
【0023】
この時、面粗さの違いより加熱膨張性セラミック6とフィルター容器5aの間の摩擦力よりも加熱膨張性セラミック6とフィルター4の間の摩擦力の方が大きいため、フィルター4と加熱膨張性セラミック6が同時に移動してしまうのであるが、本実施の形態によればフィルター容器5aの後端部内径がフィルター4の断面径と等しいかもしくは大きくかつ、フィルター4に巻き付けられた加熱膨張性セラミック6を含む前記フィルター断面径よりも小さく、また、断面径が前部から後部にかけて徐々に小さくなるテーパ形状に成形されているため、移動の途上にフィルター4とフィルター容器5aの隙間が小さくなり加熱膨張性セラミック6の充填密度が増加し摩擦力が増大するために、後部フタ3にいたる前に移動が停止する。そのため、フィルター4の移動防止の目的でフィルター容器5aに挿入する際の加熱膨張性セラミック6の充填密度を大きくする必要がないので組立効率を悪化させることがなく、挿入作業が簡単である。また、万一、後部フタ3にいたってもフィルター4はフィルター容器5aに接することなく端面のみが接触するため、破損することが無く排気ガスの漏れは発生せず、フィルターの再使用も可能である。
【0024】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2に記載のディーゼル機関の排気ガス浄化装置を示す断面模式図である。図2において、1は本体容器、2は前部フタ、3は後部フタ、4はフィルター、6は加熱膨張性セラミック、7はヒーター、8は排気ガスをそれぞれ示す。これらは、実施の形態1で述べたものと同様のものであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
フィルター容器5bは、その軸方向における断面径が前部から途中部分にかけて、および途中部分から後部にかけて徐々に小さくなる、2段のテーパ形状に成形されたステンレス等耐食性のある金属製の容器であり、その後端部には本体容器1への取り付け用にフランジが溶接されており、図1に示されるように後部フタ3とともにガスケットを介して本体容器1にボルト等により締結されている。そして、フィルター容器5bには加熱膨張性セラミック6を巻き付けたフィルター4が圧入されている。
【0026】
フィルター4をフィルター容器5bに挿入する場合、まずフィルター4に帯状に成形した加熱膨張性セラミック6をすきまなく巻き付ける。この時、加熱膨張性セラミック6の端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせフィルター4の軸方向の、排気ガス8の漏れを防止する。その後、加熱膨張性セラミック6を巻き付けたフィルター4をフィルター容器5bの前部より加圧挿入する。加熱膨張性セラミック6の厚みは、フィルター4とフィルター容器5bのすきまより厚く、フィルター容器5bへの挿入に伴い減少し、排気ガス圧力より決定されるフィルター4の軸方向のシール必要距離の領域で所定の充填密度となるように決定される。加圧挿入においては、油圧力を利用したプレス等を用いることが多い。本実施の形態によればフィルター容器5bがテーパ形状に成形されているため、容器そのものが挿入の際の案内となると同時に摩擦力が徐々に増加するため、従来のものに比較し小さな油圧力で簡単に圧入が行え組立が効率よく行える。組立完了後、加熱処理を行い加熱膨張性セラミック6を膨張させフィルター4の固定とシールを行う。
【0027】
以上のように構成された排ガス浄化装置による排ガス浄化方法についてその機能を説明する。まず、ディーゼル機関(図示せず)より排出された排気ガス8はディーゼル排ガス浄化装置の前部フタ2より流入しフィルター4を通過し後部フタ3より流出する。このフィルター4は多数のセルを有しておりこのセルはフィルター4における排気ガス8の流入側と流出側で交互に閉塞されているため流入した排気ガス8はフィルター4のセルの壁を通過しその際に排気ガス8中のパティキュレートを捕集する。ある程度パティキュレートがフィルター4に捕集され堆積したとき、ヒーター7によりこれに火をつけて燃焼させ、フィルター4を再生する燃焼再生を実施し機能を回復させ繰り返し使用する。
【0028】
このように、排気ガスの浄化と燃焼再生を繰り返す間に、フィルター4とフィルター容器5bの固定は加熱膨張性セラミック6の膨張によるフィルター4の中心方向に働く膨張圧力とそれに起因する摩擦力によるものである。燃焼再生時のパティキュレートの燃焼熱、あるいは、ディーゼル機関の運転中の高温排気ガスによるフィルター部の温度変化は、フィルター4とフィルター容器5bの熱膨張係数が大きく異なる。それぞれの膨張量が異なり加熱膨張性セラミック6の密度変化を助長するため、フィルター4とフィルター容器5bの固定力が減少してしまう。そのためフィルター4へのパティキュレート堆積にともなう排気圧力の上昇によりフィルター4が後方へ移動してしまう。
【0029】
この時、面粗さの違いより過熱膨張性セラミック6とフィルター容器5bの間の摩擦力よりも加熱膨張性セラミック6とフィルター4の間の摩擦力の方が大きいため、フィルター4と加熱膨張性セミラック6が同時に移動してしまうのであるが、本実施の形態によればフィルター容器5bの軸方向における断面径が前部から途中部分にかけて、および途中部分から後部にかけて徐々に小さくなっており、また、フィルター容器5bの後端部内径がフィルター4の断面径と等しいかもしくは大きくかつ、フィルター4に巻き付けられた過熱膨張性セラミック6を含む前記フィルター断面径よりも小さいため、移動の途上にフィルター4とフィルター容器5bの隙間が小さくなり加熱膨張性セラミック6の充填密度が増加し摩擦力が増大するために、後部フタ3にいたる前に移動が停止する。
【0030】
そのため、フィルター4の移動防止の目的でフィルター容器5bに挿入する際の加熱膨張性セラミック6の充填密度を大きくする必要がないので組立効率を悪化させることがなく、挿入作業が簡単である。また、万一、後部フタ3にいたってもフィルター4の端面が接触するため、破損することが無く排気ガス漏れも発生せず、再使用も可能である。
【0031】
また、フィルター容器5bは断面内径が前部から途中部分にかけて、および途中部分から後部にかけて徐々に小さくなっているため、前部から後部全体にかけての連続したテーパ形状のものに比較し前端部の内径を小さく設定できる。このため、本体容器1の外径を小さくすることができ装置の小型化が期待できるという効果もある。
【0032】
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3に記載のディーゼル機関の排気ガス浄化装置を示す断面模式図である。図3において、1は本体容器、2は前部フタ、3は後部フタ、4はフィルター、6は加熱膨張性セラミック、7はヒーター、8は排気ガスをそれぞれ示す。これらは、実施の形態1で述べたものと同様のものであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
フィルター容器5cは、その軸方向における断面内径が途中部分から後部にかけて徐々に小さくなるテーパ形状に成形されたステンレス等耐食性のある金属製の容器であり、その後端部には本体容器1への取り付け用にフランジが溶接されており、図3に示されるように後部フタ3とともにガスケットを介して本体容器1にボルト等により締結されている。そして、フィルター容器5bには加熱膨張性セラミック6を巻き付けたフィルター4が圧入されている。
【0034】
フィルター4をフィルター容器5cに挿入する場合、まずフィルター4に帯状に成形した加熱膨張性セラミック6をすきまなく巻き付ける。この時、加熱膨張性セラミック6の端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせフィルター4の軸方向の、排気ガス8の漏れを防止する。その後、加熱膨張性セラミック6を巻き付けたフィルター4をフィルター容器5cの前部より加圧挿入する。加熱膨張性セラミック6の厚みは、フィルター4とフィルター容器5cのすきまより厚く、フィルター容器5cへの挿入に伴い減少し、排気ガス圧力より決定されるフィルター4の軸方向のシール必要距離の領域で所定の充填密度となるように決定される。加圧挿入においては、油圧力を利用したプレス等を用いることが多い。組立完了後、加熱処理を行い加熱膨張性セラミック6を膨張させフィルター4の固定とシールを行う。
【0035】
以上のように構成された排ガス浄化装置による排ガス浄化方法についてその機能を説明する。まず、ディーゼル機関(図示せず)より排出された排気ガス8はディーゼル排ガス浄化装置の前部フタ2より流入しフィルター4を通過し後部フタ3より流出する。このフィルター4は多数のセルを有しておりこのセルはフィルター4における排気ガス8の流入側と流出側で交互に閉塞されているため流入した排気ガス8はフィルター4のセルの壁を通過しその際に排気ガス8中のパティキュレートを捕集する。ある程度パティキュレートがフィルター4に捕集され堆積したとき、ヒーター7によりこれに火をつけて燃焼させ、フィルター4を再生する燃焼再生を実施し機能を回復させ繰り返し使用する。
【0036】
このように、排気ガスの浄化と燃焼再生を繰り返す間に、フィルター4とフィルター容器5cの固定は加熱膨張性セラミック6の膨張によるフィルター4の中心方向に働く膨張圧力とそれに起因する摩擦力によるものである。燃焼再生時のパティキュレートの燃焼熱、あるいは、ディーゼル機関の運転中の高温排ガスによるフィルター部の温度変化は、フィルター4とフィルター容器5cの熱膨張係数が大きく異なる。それぞれの膨張量が異なり加熱膨張性セラミック6の密度変化を助長するため、フィルター4とフィルター容器5cの固定力が減少してしまう。そのためフィルター4へのパティキュレート堆積にともなう排気圧力の上昇によりフィルター4が後方へ移動してしまう。
【0037】
この時、面粗さの違いより加熱膨張性セラミック6とフィルター容器5cの間の摩擦力よりも加熱膨張性セラミック6とフィルター4の間の摩擦力の方が大きいため、フィルター4と加熱膨張性セラミック6が同時に移動してしまうのであるが、本実施の形態によればフィルター容器5cの軸方向における断面内径が途中部分から後部にかけて徐々に小さくなっており、また、フィルター容器5cの後端部内径がフィルター4の断面径と等しいかもしくは大きくかつ、フィルター4に巻き付けられた加熱膨張性セラミック6を含む前記フィルター断面径よりも小さいため、移動の途上にフィルター4とフィルター容器5cの隙間が小さくなり加熱膨張性セラミック6の充填密度が増加し摩擦力が増大するために、後部フタ3にいたる前に移動が停止する。
【0038】
そのため、フィルター4の移動防止の目的でフィルター容器5cに挿入する際の加熱膨張性セラミック6の充填密度を大きくする必要がないので組立効率を悪化させることがなく、挿入作業が簡単である。また、万一、後部フタ3にいたってもフィルター4の端面が接触するため、破損することが無く排気ガスの漏れも発生せず、再使用も可能である。
【0039】
また、フィルター容器5cは断面内径が途中部分から後部にかけて徐々に小さくなっているため、前部から後部にかけての連続したテーパ形状のものに比較し前端部の内径を小さく設定できる。このため、本体容器1の外径を小さくすることができ装置の小型化が期待できるという効果もある。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明の排気ガス浄化装置によれば、装置内に設けられたフィルターを収納するフィルター容器の後端部内径がフィルター断面径と等しいかもしくは大きくかつ、フィルターに巻き付けられた加熱膨張性セラミックを含むフィルター断面径よりも小さく、前記加熱膨張性セラミックの端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせて前記加熱膨張性セラミックを前記円筒形フィルターにすきまなく巻き付けた構成としたものであるから、フィルターの軸方向の、排気ガスの漏れを防止し、運転中のフィルター移動にともなうフィルター容器への接触によるフィルターの破損を防止することができるという有利な効果を有する。
【0041】
また、装置内に設けられたフィルターを収納するフィルター容器の軸方向における断面内径が前部から後部にかけて徐々に小さくなるテーパ形状である構成としたもの、また、装置内に設けられたフィルターを収納するフィルター容器の軸方向における断面内径が前部から途中部分にかけて、および途中部分から後部にかけて徐々に小さくなりかつ、前部から途中部分にかけての断面内径の減少率が途中部分から後部にかけての減少率よりも小さくなる構成としたものであるから、フィルターの容器への挿入組立を効率よく行え、かつ組立難易度の増加により組立効率が悪化することなく運転中のフィルター移動と破損を防止することができるという有利な効果を有する。
【0042】
また、装置内に設けられたフィルターを収納するフィルター容器の軸方向における断面内径が途中部分から後部にかけて徐々に小さくなる構成としたものであるから、組立難易度の増加により組立効率が悪化することなく運転中のフィルター移動と破損を防止することができるという有利な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に記載のディーゼル機関の排気ガス浄化装置を示す断面模式図
【図2】本発明の実施の形態2に記載のディーゼル機関の排気ガス浄化装置の断面模式図
【図3】本発明の実施の形態3に記載のディーゼル機関の排気ガス浄化装置の断面模式図
【図4】従来のディーゼル機関の排ガス浄化装置の断面模式図
【符号の説明】
1,101 本体容器
2,102 前部フタ
3,103 後部フタ
4,104 フィルター
5a,5b,5c,105 フィルター容器
6,106 加熱膨張性セラミック
7,107 ヒーター
8,108 排気ガス
109 ストッパー
Claims (1)
- 排気ガスの排気経路に設けられ、排気ガスを通過させて排気ガス中のパティキュレート等を捕集する円筒形フィルターと、前記円筒形フィルターに付着したパティキュレート等を除去する手段を備えた排気ガス浄化装置において、装置内に設けられた前記円筒形フィルターを収納するフィルター容器の後端部内径が前記円筒形フィルター断面径と等しいか、もしくは大きくかつ、前記円筒形フィルターに巻き付けられた加熱膨張性セラミックを含む断面径よりも小さく、前記加熱膨張性セラミックの端部の突き合わせ部は階段状あるいは凸凹に成形しそれぞれが組み合うように突き合わせて前記加熱膨張性セラミックを前記円筒形フィルターにすきまなく巻き付けたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
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