JP3807112B2 - 産業車両の車体揺動制御装置 - Google Patents

産業車両の車体揺動制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,リーチ式フォークリフトなど,駆動輪が車体に対して揺動可能にスプリングにより連結されているサスペンションを備えた産業車両において,スプリングをロックして車体の揺動を規制する制御を行なう産業車両の車体揺動制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】
例えばリーチ式のフォークリフトには,前二輪,後一輪の3輪車タイプのものがある。この3輪車タィプでは,通常,車体後部に後一輪の駆動輪と対をなすように補助輪が備えられている。駆動輪と補助輪は,車体のロール方向の揺動を許容すべく車体フレームに対してリンク機構を介して懸架されており,車体とリンク機構との間にサスペンションスプリングやダンパが介装されてリアのサスペンションが構成されている。
【0003】
例えば凹凸のある路面を走行するときには,駆動輪と補助輪がリンク機構の動きによって車体に対して揺動することで,路面の凹凸を吸収し,車体姿勢の左右方向の安定化が図られている。しかし,フォークリフトが旋回する時は,遠心力による横向きの力が車体に横方向に働くが,このサスペンション機能によって車体を返って大きく傾けさせることになり,旋回時の車体の安定性を低下させることになっていた。
【0004】
そこで,特開平6−191250号公報や特開平6−191251号公報には,リーチ式のフォークリフトに加速度センサを設け,加速度センサにより検出された傾転加速度(横加速度)が所定値以上に達したとき,開閉バルブを閉じ,車体フレームとリンク機構との間に介装されたシリンダ装置がロックされるサスペンション装置が開示されている。
このフォークリフトによれば,旋回時に傾転加速度が所定値以上に達したとき,上記リンク機構が車体フレームに固定されて車体のロール方向の揺動が規制されるので,車体の横方向の傾きが小さく抑えられ,旋回時に安定な車体姿勢を保ち易くなる。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,図25(A)に背面からの説明図として示す,上記のリーチ式フォークリフト9においては,車体9aと駆動輪3とを連結するサスペンションスプリング32は,縮む方向に付勢された状態で介装されている。
そのため,上記サスペンションスプリング32が縮む方向に車体9aが揺動するよりも,伸びる方向に車体は揺動しやすい。
例えば図25(A)に示すごとく,上記駆動輪3が車体9aの左側に,従動輪4が右側に配置されている場合,車体9aは左側よりも右側へ傾きやすい(図25(B),(C))。
【0006】
従って,車体にかかる横加速度等を検知して揺動規制機構がロックするとき,同じ条件及びタイミングでロックすると車体の傾き度合いが左右で異なり,車両の安定性が低下する。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,車両の安定性を向上させる,産業車両としてのリーチ式フォークリフトの車体揺動制御装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,産業車両の車体とその駆動輪とがスプリングを介して連結され,かつ上記スプリングは縮む方向に付勢された状態にあり,また上記車体が揺動したときには上記スプリングの伸縮をロックするための揺動規制機構を有する車体揺動制御装置において,
該車体揺動制御装置は,上記スプリングが伸びる方向に車体が揺動したときに上記揺動規制機構がロックするタイミングが,上記スプリングが縮む方向に車体が揺動したときにロックするタイミングよりも早いタイミングとなるよう上記スプリングの伸縮量が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構が車体と駆動輪とをロックするように,設定してある制御手段を有し,
かつ上記産業車両は,進行方向に対して車両重心から左右にずれた位置に駆動輪と従動輪とを有するリーチ式フォークリフトであることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置にある。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,上記車体揺動制御装置は,揺動規制機構のロックのタイミングを上記のごとく設定してある制御手段を有することである。
【0010】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記産業車両は,車体とその駆動輪とがスプリングを介して連結され,かつ上記スプリングは縮む方向に付勢された状態にある。
即ち,上記車体は,上記スプリングが縮む方向よりも伸びる方向に揺動しやすい。
【0011】
そのため,上記車体に対し,上記スプリングが伸びる方向に力が加わることにより上記車体が揺動する大きさは,上記スプリングが縮む方向に力が加ることにより上記車体が揺動する大きさよりも大きい。
【0012】
この車体の揺動の大きさの差を考慮して,上記車体揺動制御装置は揺動規制機構のロックのタイミングを,上記のごとく設定してある制御手段を有する。即ち,上記車体が揺動しやすい方向であるスプリングが伸びる方向に揺動したときには,比較的早いタイミングで上記揺動規制機構はロックする。
【0013】
そのため,上記スプリングが伸びる方向に揺動したときと,縮む方向に揺動したときとの上記揺動規制機構のロックのタイミングの差を調節することにより,上記車体の揺動が上記スプリングの伸縮方向において同じ大きさとなるように規制することができる。
そのため,上記車体の揺動が,スプリングの伸縮方向に対し対称となるため,車両の安定性を向上させることができる。
【0014】
以上のごとく,本発明によれば,車両の安定性を向上させる,産業車両の車体揺動制御装置を提供することができる。
【0015】
また,上記スプリングの伸縮量が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構が車体と駆動輪とをロックする。
これにより,上記車体揺動制御装置は,車体の揺動の大きさを上記スプリングの伸縮により検知し,上記揺動規制機構をロックすることができる。
次に,請求項2に記載の発明のように,上記車体揺動制御装置は,産業車両の旋回方向が左右どちらであるかによって,ロックする横加速度の設定値に差を持たせていることが好ましい。
これにより,車体の左右方向の安定性を高めることができる。
また,請求項3に記載の発明のように,上記車体揺動制御装置は,産業車両の旋回方向が左右どちらであるかによって,ロックするヨーレート変化率の設定値を異ならせていることが好ましい。
これにより,車体左右方向の安定性を高めることができる。
【0016】
次に,本発明において,上記産業車両は,進行方向に対して車両重心から左右にずれた位置に駆動輪と従動輪とを有するリーチ式フォークリフトである
この場合には,上記車体揺動制御装置は,車体の左右の揺動の大きさに差が生じないように制御することができる。
【0017】
次に,請求項に記載の発明のように,上記駆動輪と上記従動輪とはリンク機構を介して連結され,該リンク機構は,車体のロール方向の揺動を許容するように,車体に対して懸架されていることが好ましい。
これにより,上記駆動輪と上記従動輪が車体に対して車体のロール方向に揺動することで,路面の凹凸を吸収し,車体姿勢が左右方向に安定すると共に乗り心地が向上する。
【0018】
次に,請求項に記載の発明のように,上記車体揺動制御装置は横加速度測定手段を有し,車両にかかる横加速度の測定値が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構をロックすることもできる。
この場合には,上記横加速度を測定することにより,車体の揺動の大きさを検知し,上記揺動規制機構をロックすることができる。
従って,上記設定値を左右の揺動によって差を持たせることにより,容易に上記揺動規制機構のロックのタイミングをずらすことができる。
【0019】
次に,請求項に記載の発明のように,上記車体揺動制御装置はヨーレート測定手段を有し,車両にかかるヨーレートの測定値が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構をロックすることもできる。
この場合には,上記ヨーレートを測定することにより,車体の揺動の大きさを検知し,上記揺動規制機構をロックすることができる。
従って,上記設定値を左右の揺動によって差を持たせることにより,容易に上記揺動規制機構のロックのタイミングをずらすことができる。
【0020】
次に,請求項に記載の発明のように,上記リンク機構におけるリンクの傾動角度が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構をロックすることもできる。
この場合には,上記傾動角度を測定することにより,車体の揺動の大きさを検知し,上記揺動規制機構をロックすることができる。
従って,上記設定値を左右の揺動によって差を持たせることにより,容易に上記揺動規制機構のロックのタイミングをずらすことができる。
【0021】
次に,請求項に記載の発明のように,上記車体揺動制御装置は,車両のヨーレート変化率または横加速度変化率を測定する旋回変化測定手段を備え,
少なくとも上記従動輪が外輪となる旋回方向のときに,上記ヨーレート変化率または上記横加速度変化率がその設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構を作動させることもできる。
【0022】
この場合には,旋回時の横加速度は値の立ち上がりが相対的に遅いが,少なくとも従動輪が外輪となる旋回方向のときは,旋回変化測定手段により測定された,旋回時の値の立ち上がりの早いヨーレート変化率または横加速度変化率がその設定値以上になった時点で,揺動規制機構が作動される。従って,旋回開始時にタイミングの遅れなく素早くリンク機構がロックされる。
【0023】
次に,請求項に記載の発明のように,上記駆動輪が外輪となる旋回方向のときは,上記旋回変化測定手段の上記測定値であるヨーレート変化率または横加速度変化率を上記ロック制御の判定のパラメータとして考慮しないように設定することもできる。
【0024】
この場合には,上記駆動輪が外輪となる旋回方向のときには,旋回変化測定手段に測定されたヨーレート変化率または横加速度変化率が,ロック制御の判定のパラメータとして考慮されないので,車体が駆動輪側に所定の角度に傾いてからリンク機構をロックさせることを妨げない。
即ち,傾きにくい駆動輪側に車体がある程度傾くまで,上記揺動規制機構を働かせないでおくことが可能となる。
【0025】
次に,請求項10に記載の発明のように,上記横加速度測定手段は,車両が旋回中にあるときの横加速度のみを選択的に測定することが好ましい。
これにより,車両が旋回中にあるときの横加速度のみが横加速度測定手段により選択的に測定される。そのため,旋回中でないときに路面の凹凸によって車体が左右に傾いて発生した横加速度はロック制御の対象とされないので,路面の凹凸による車体の揺れはリンク機構によって吸収される。
【0026】
次に,請求項11に記載の発明のように,上記横加速度測定手段は,操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出器と,車両の車速を検出する車速検出器と,上記操舵角と車速の両検出データを用いた演算により上記横加速度を推定する横加速度推定手段とを備えるものとすることもできる。
【0027】
この場合には,上記操舵角検出器により検出された操舵輪の操舵角データと,車速検出器により検出された車両の車速データとを用いた演算により,横加速度が横加速度推定手段により推定される。
そのため,上記操舵角データを使用することにより,旋回時の横加速度のみを選択的に検出することが可能になる。また,車速検出器は車両に元々用意されているものを利用することが可能である。
【0028】
次に,請求項12に記載の発明のように,上記横加速度測定手段は,車両のヨーレートを検出するヨーレート検出器と,車両の車速を検出する車速検出器と,上記ヨーレートと車速の両検出データを用いた演算により横加速度を推定する横加速度推定手段とを備えるものとすることもできる。
【0029】
この場合には,上記ヨーレート検出器により検出された車両のヨーレートデータと,車速検出器により検出された車両の車速データとを用いた演算により横加速度が横加速度推定手段により推定される。
そのため,上記ヨーレートデータを使用することにより,旋回時の横加速度のみを選択的に検出することが可能になる。また,車速検出器は車両に元々用意されているものを利用することが可能である。
【0030】
次に,請求項13に記載の発明のように,上記横加速度測定手段は加速度センサであって,上記加速度センサにより検出された横加速度が車両の旋回時のものか否かを判定する旋回判定手段とを備えているものとすることもできる。
【0031】
この場合には,上記加速度センサにより検出された横加速度が車両の旋回時のものであるか否かが旋回判定手段により判定される。よって,加速度センサを使用して横加速度を直接検出する構成においても,旋回時の横加速度のみを選択的に検出することが可能になる。
【0032】
次に,請求項14に記載の発明のように,上記旋回変化測定手段は,車両の車速を検出する車速検出器と,上記横加速度を測定するために設けられた検出器のうち上記車速検出器以外の検出器と,両検出器により検出された車速の検出データを含む二つの検出データを用いて演算により上記ヨーレート変化率または上記横加速度変化率を推定する旋回変化率推定手段とを備えるものとすることもできる。
【0033】
この場合には,車速を検出する車速検出器と,横加速度を測定するために設けられた検出器のうち車速検出器以外の検出器とにより検出された二つの検出データを用いた演算により,ヨーレート変化率または横加速度変化率が上記旋回変化率推定手段により推定される。
従って,横加速度を測定するために設けられた検出器をヨーレート変化率または横加速度変化率を推定するために利用することが可能であり,しかも車両に元々用意されている車速検出器を利用することが可能である。
【0034】
次に,請求項15に記載の発明のように,上記制御手段は,上記揺動規制機構を作動させるためのロック条件が不成立となった時点から所定時間経過後に上記揺動規制機構の作動を停止させるように設定されていることが好ましい。
【0035】
この場合には,上記揺動規制機構を作動させるロック条件が不成立となった時点から所定時間経過後に,上記揺動規制機構の作動が停止される。このため,横加速度やヨーレート変化率の測定値が設定値付近の値をたまたまとったときや,横加速度とヨーレート変化率の測定値を共にロック制御のパラメータとして使用する際,横加速度とヨーレート変化率が各々の設定値以上の値になるときのちょっとしたタイミングのずれが発生したときにも,制御の不要な頻繁な切換わりが回避される。
【0036】
次に,請求項16に記載の発明のように,上記制御手段が上記揺動規制機構を作動するときの設定値より,上記揺動規制機構の作動を停止するときの設定値が小さく設定されていることが好ましい。
【0037】
この場合には,上記揺動規制機構が作動されても,その作動時の設定値より小さな作動停止時の設定値を下回らない限り,上記揺動規制機構の作動が停止されない。
このため,横加速度やヨーレート変化率の測定値が設定値付近の値をたまたまとったときや,横加速度とヨーレート変化率の測定値を共にロック制御のパラメータとして使用する際,横加速度とヨーレート変化率が各々の設定値以上の値になるときのちょっとしたタイミングのずれが発生したときにも,制御の不要な頻繁な切換わりが回避される。
【0038】
次に,請求項17に記載の発明のように,上記揺動規制機構は,上記リンク機構にロックのために付与する規制力を調節可能な規制力調節手段を備え,上記制御手段は,上記規制力調節手段を制御することにより上記ロック制御を行うとともに,上記揺動規制機構の作動を停止するときは,上記リンク機構のロックが徐々に解除されるように上記規制力調節手段を制御することが好ましい。
【0039】
これにより,上記揺動規制機構の作動を停止するときは,制御手段により上記規制力調節手段が制御されることにより,上記リンク機構をロックさせている規制力が徐々に緩和され,上記リンク機構のロックが徐々に解除される。
このため,上記リンク機構のロックが解除される際,車体にショックが発生し難くなる。
【0040】
次に,請求項18に記載の発明のように,上記旋回変化測定手段は,車速検出器を含む複数の検出器の検出データを用いた演算によって上記ヨーレート変化率または横加速度変化率の測定値を推定するものであって,該測定値を演算するために使用される計算式には,車速の時間微分項が含まれていることが好ましい。
【0041】
この場合には,上記旋回変化測定手段により,ヨーレート変化率または横加速度変化率が,車速検出器を含む複数の検出器の検出データを用いた演算によって推定される際,車速の時間微分項が含まれた計算式が使用される。このため,旋回時に車速変化が伴なったときでも,精度の高い測定値が得られる。
【0042】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる産業車両の車体揺動制御装置につき,図1〜図14を用いて説明する。
本例の車体揺動制御装置は,図1〜図6に示すごとき,産業車両としてのリーチ式フォークリフト1(以下,フォークリフトという)に適用される。上記フォークリフト1は,車体1aとその駆動輪3とがサスペンションスプリング32を介して連結され,かつ上記サスペンションスプリング32は縮む方向に付勢された状態にある。
【0043】
上記車体揺動制御装置は,上記車体1aが揺動したときには上記サスペンションスプリング32の伸縮をロックするための揺動規制機構を有する。
そして,上記車体揺動制御装置は,上記サスペンションスプリング32が伸びる方向に車体1aが揺動したときに上記揺動規制機構がロックするタイミングは,上記サスペンションスプリング32が縮む方向に車体1aが揺動したときにロックするタイミングよりも,早いタイミングとなるよう設定してある制御手段を有する。
【0044】
また,上記フォークリフト1は,進行方向に対して車両重心から左右にずれた位置に駆動輪3と補助輪(従動輪)4とを有する(図1,図3,図4)。上記駆動輪3と上記補助輪4とはリンク機構20を介して連結され,該リンク機構20は,車体1aのロール方向の揺動を許容するように,車体1aに対して懸架されている。
【0045】
以下に,本例のフォークリフト1の車体揺動制御装置につき詳しく説明する。図2,図3に示すように,上記フォークリフト1は,前二輪,後一輪の3輪車タイプである。左右の前輪2が従動輪で,後側一輪が操舵輪を兼ねた駆動輪3となっている。
該駆動輪3は車幅方向左寄りにオフセットされて位置し,その右隣には駆動輪3と左右で対をなす従動輪としての補助輪(キャスタ輪)4が設けられている。
【0046】
上記フォークリフト1は車体(機台)1a前側にマスト5を備える。該マスト5は,リーチシリンダ(図示せず)の駆動によって,車体1aの前方に延出する左右一対のリーチレグ6に沿って前後方向に移動可能になっている。
上記マスト5はアウタマスト7とインナマスト8とからなり,上記アウタマスト7に配設されたリフトシリンダ9の駆動によって上記インナマスト8が上記アウタマスト7に対して昇降することにより,その約2倍のストロークでリフトブラケット10が昇降する。
該リフトブラケット10には,アタッチメントとして使用されるフォーク11が傾動可能に取付けられている。
【0047】
上記車体1aの後部右側には主席型の運転室12が設けられている。運転室12の左隣に立設された収容ボックス13の上面にはステアリングホイール14が設けられている。運転室12の前側にあるインストルメントパネル15には荷役操作やアクセル操作のための操作レバー16が設けられている。
【0048】
図4は,フォークリフト1のリアサスペンション構造を示す。車体1aの後部には,駆動輪3を有するドライブユニット17と,補助輪4を有するキャスタユニット18とが,車体フレーム19に対してリンク機構20を介して上下に揺動可能に懸架されている。
【0049】
上記リンク機構20は,アッパリンク21,リンク22,ロアリンク23およびキャスタリンク24の四つを備える。各リンク21〜24は四辺形の頂点に位置する四つの軸25,26,27,28により連結されている。
【0050】
上記アッパリンク21は,上記駆動輪3のやや上方にほぼ水平に延びて配置され,その右端部が固定軸25によって車体フレーム19に対して回動可能に連結されている。また,上記ロアリンク23は,上記アッパリンク21の斜め下方においてほぼ水平に延びて配置され,その中央寄りに位置する固定軸26によって車体フレーム19に対して回動可能に連結されている。
上記アッパリンク21の左端部とロアリンク23の左端部は,ほぼ鉛直に延びる略L字状のリンク22の両端部とそれぞれ軸27,28によって相対回動可能に連結されている。
【0051】
また,上記キャスタリンク24は,上記ロアリンク23の下面側右寄りにほぼ水平に配置され,その右端部が上記ロアリンク23の右端部に取付けられたガイド軸29に挿通されて鉛直方向に相対変位可能に連結されている。一方,上記キャスタリンク24の左端部は固定軸26に回動可能に連結されている。
【0052】
上記ロアリンク23と上記キャスタリンク24との間には,弾性部材としての前後一対のキャスタスプリング30が介装されている。そして,2個一組の補助輪4は,上記キャスタリンク24に対して回動機構(図示せず)を介して水平面内を回動可能な状態で支持されている。
【0053】
こうしてキャスタユニット18が構成される。なお,各リンク22〜24は,図5に示すように前後方向に所定距離を隔して対向する2本の腕を有する平面視で略コ字形状に形成されており,またリンク22は前後に一対設けられている。
また,ドライブユニット17は次のように構成される。
【0054】
即ち,上記リンク22の上面と車体フレーム19に固定された支持部材31との間には,サスペンションスプリング32が介装され,リンク22はサスペンションスプリング32によって車体フレーム19に対して下方へ付勢されている。また,アッパリンク21とリンク22とを連結している軸27は,ドライブモータ33が組付けられている支持台34に連結されている。
【0055】
上記支持台34の下部にはギヤボックス35が水平面内を相対回動可能に取付けられており,ギヤボックス35の下部に駆動輪3が回転可能に支持されている。ギヤボックス35の上部に固定されたギヤホイール36は,図6に示すようにステアリングホイール14の操作に連動して回転するステアリングシャフト37の下端部のギヤ部38と噛合しており,ステアリングホイール14の回転操作に応じて駆動輪3が操舵される。
【0056】
上記ステアリングシャフト37の近傍にはパワーステアリング用のモータ39を有するギヤボックス40が配設され,ステアリングホイール14の操作に応じてモータ39が駆動されることによりその操作力が軽減される。なお,ステアリングホイール14とステアリングシャフト37は,その間を連結するシャフト41の両端部とユニバーサルジョイントにより連結されている。
【0057】
上記サスペンションスプリング32は,駆動輪3を路面に押えつけてその接地圧を確保する目的を備え,その弾性力は比較的強い。これに対し,路面からの振動を吸収する目的で設けられているキャスタスプリング30は,サスペンションスプリング32に比べて弾性力が相対的に弱い。
そのため,補助輪4からの入力はキャスタスプリング30が所定長さに縮み切った後にロアリンク23へ伝えられる。但し,キャスタスプリング30が縮む過程でロアリンク23は厳密には僅かながら変位はする。
【0058】
図4に示すように,支持台34から水平に延びる支持板42と,車体フレーム19から水平に延出する支持部材43との間には,1個の油圧式のダンパ44が介装されている。ダンパ44は複動式の油圧シリンダからなる。ダンパ44のシリンダ44aがその基端部で支持部材43に連結されるとともに,そのピストンロッド44bが支持板42に連結されている。
【0059】
上記シリンダ44aには,そのピストン44cにて区画された二室とそれぞれ連通する2本の管路45,46が接続されており,両管路45,46は,電磁切換弁47の2つのポートにそれぞれ接続されている。上記電磁切換弁47は,消磁時に閉弁するノーマルクローズタイプの2ポート2位置切換弁である。
管路46に接続された管路48には,作動油を貯溜するアキュムレータ49が接続されており,管路48上にはアキュムレータ49の下流側にチェック弁50が設けられている。また,管路46上には絞り弁51が設けられている。
【0060】
また,上記ダンパ44は,電磁切換弁47のスプールが図4に示す遮断位置に切換えられた状態では,シリンダ44aの二室の作動油が移動するための流路が遮断され,ピストンロッド44bが伸縮不能な状態にロックされる。
また,電磁切換弁14のスプールが連通位置(図4の位置と反対側に切換えられた位置)に切換えられた状態では,シリンダ44aの二室が作動油の移動が可能な状態に連通され,ダンパ44はそのピストンロッド44bの伸縮が許容されるフリー(アンロック)状態となる。
なお,ダンパ44と電磁切換弁47等により,揺動規制機構が構成される。
【0061】
上記ダンパ44がロックされていない状態では,駆動輪3と補助輪4との接地圧(輪重)が設定比に分配されるようにリンク機構20が働くようになっている。
例えばマスト5が前進して重心位置が前輪2側に移動した状態では,駆動輪3を車体フレーム19に対して相対的に下降させるようにリンク機構20が動き,駆動輪3に所定圧以上の接地圧が確保される。
一方,マスト5が後退して重心位置が後輪側に移動した状態では,駆動輪3を車体フレーム19に対して相対的に上昇させるようにリンク機構20が動き,駆動輪3に過剰な接地圧がかからないように荷重の一部を補助輪4に分配する。
【0062】
図1,図4に示すように,ギヤホイール36の近傍には,その回転を検出して駆動輪3の操舵角(タイヤ角)θを求めるのに必要な検出信号を出力する操舵角検出器としての操舵角センサ52が設けられている。
該操舵角センサ52は,例えばギヤホイール36の回転を検出してその回転量に比例する振幅数の検出信号を出力可能な一組の磁気センサからなり,ギヤホイール36の回転量を操舵方向ごとに検出できるように位相差の異なる2種類の検出信号を出力する。
【0063】
上記操舵角センサ52としては,駆動輪3の操舵角θを検出可能なその他の検出方法を採用するものでもよく,例えばパワーステアリング用のモータ39の回転を検出するセンサと,モータ39の駆動制御のために必要なステアリングホイール14の回転方向を検出する公知のセンサとの組合せにより構成することもできる。
また,ドライブモータ33の上部には,その駆動軸と一体回転するブレーキディスク53の回転を検出して車速Vを間接的に検出する車速検出器としての車速センサ54が設けられている。
【0064】
次に,フォークリフト1に備えられた車体揺動制御装置の電気的構成を図7に基づいて説明する。
上記フォークリフト1は,収容ボックス13(図3)の内部に制御手段としてのコントローラ55を備えている。該コントローラ55は,マイクロコンピュータ56,A/D変換回路57,58および励消磁駆動回路59等を内蔵する。
【0065】
上記マイクロコンピュータ56は,中央処理装置(以下,CPUという)60,読取専用メモリ(ROM)61,読取書込可能メモリ(RAM)62,カウンタ63,入力インタフェイス64及び出力インタフェイス65を備える。
なお,操舵角センサ52,車速センサ54およびCPU60により,横加速度測定手段及び旋回変化測定手段が構成される。また,CPU60により横加速度推定手段及び旋回変化率推定手段が構成される。
【0066】
また,上記CPU60は,操舵角センサ52および車速センサ54からAD変換回路57,58を介して入力する各検出信号に基づいて操舵角θおよび車速Vのデータを取得する。また,CPU60から出力される制御信号に基づき励消磁駆動回路59から出力される励磁用の電流がオン・オフされることにより,電磁切換弁47のソレノイド47aが励磁・消磁される。
【0067】
すなわち,CPU60からロック信号が指令され,励消磁駆動回路59から電流が出力されなくなってソレノイド47aが消磁されると,電磁切換弁47が遮断位置に切換えられる。そして,CPU60からロック信号の指令が停止され,励消磁駆動回路59から電流が出力されて上記ソレノイド47aが励磁されると,上記電磁切換弁47が連通位置に切換えられる。
【0068】
ROM61には,図11,図12にフローチャートで示すスウィング制御処理のプログラムデータをはじめとする各種プログラムデータが記憶されている。ここで,スウィング制御とは,車体1aの旋回時の遠心力が大きくなる所定時期にダンパ44をロックし,車体1aの左右方向の安定性を高めるための制御である。
【0069】
本例では,車体1aに働く横加速度(車体横方向に働く遠心加速度)Gと,車両が旋回するときのヨーレート(旋回角速度)Yの時間に対する変化率(ヨーレート変化率)ΔY/ΔTとを経時的に検出し,横加速度とヨーレート変化率の各測定値のいずれか一方でも各々の設定値以上になる時期に,ダンパ44をロックするように設定されている。
【0070】
図9(a)に示すように,車両の旋回方向が左右どちらであるかによって,横加速度の設定値G1,G2に差をもたせている。左方向の横加速度が発生する右旋回時の設定値G1に対し,右方向の横加速度が発生する左旋回時の設定値G2を小さな値に設定している。
設定値G1とG2は,横加速度G1が働いたときの車体1aの左側への傾きと,横加速度G2が働いたときの車体1aの右側への傾きとが略同等となるような値に設定されている。
【0071】
また,図9(b)に示すように,車両の旋回方向が左右どちらであるかによって,ヨーレート変化率ΔY/ΔTの設定値を異ならせている。本例では,右方向の横加速度が発生する左旋回時に設定値y0を設定し,左方向の横加速度が発生する右旋回時に設定値を無限大,つまりヨーレート変化率ΔY/ΔTを考慮しないようにしている。
左旋回時にΔY/ΔT値を考慮しないのは,サスペンションスプリング32が所定長さに縮むまではダンパ44がロックされないようにするためである。
【0072】
ROM61には,各設定値G1,G2,y0のデータが記憶されている。各設定値G1,G2,y0は,ダンパ44が必要時期にロックされるように走行実験から得られた値である。また,CPU60は3つのフラグF,F,Fを備えている。
フラグFは,横加速度Gsが旋回方向に応じた設定値G1,G2以上のときにセットされ,それ以外のときにリセットされる。また,フラグFは,左旋回時にヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0以上のときにセットされ,それ以外のときにリセットされる。さらにロックフラグFは,ダンパ44のロック中にセットされ,ダンパ44のアンロック中にリセットされる。
【0073】
本例では,操舵角センサ52と車速センサ54の各検出信号に基づいて得られる操舵角θと車速Vのデータを用いた演算により,横加速度Gとヨーレート変化率ΔY/ΔTを推定している。横加速度の推定値Gsは,操舵角θから決まる旋回半径rを用い,次の(1)式で表わされる。
【0074】
Gs=V2/r…(1)
また,ヨーレート変化率ΔY/ΔTは,2つの検出値θ,Vを用いて次の(2)式で表わされる。
【0075】
ΔY/ΔT=V・(Δ(1/r)/ΔT)…(2)
ここで,rは旋回半径,Δ(1/r)は,旋回半径の逆数値1/rの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。偏差Δ(1/r)は,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の操舵角データθから,所定時間ΔT前の操舵角データθ1を読出し,このデータθ1から決まる旋回半径r1を用い,Δ(1/r)=|1/r−1/r1|により計算している。
【0076】
ところで,ヨーレート変化率ΔY/ΔTは,ヨーレートYを表わす式Y=V/rを時間微分して次式で表される。
ΔY/ΔT=V・{Δ(1/r)/ΔT}+(1/r)・(ΔV/ΔT)…(3)
フォークリフト1の旋回中においては,時間ΔTにおける車速Vをほぼ一定と見なせるので,本例では(3)式中の後項を無視して近似した(2)式をΔY/ΔT値を推定する演算式として採用している。
【0077】
また,ROM61には,操舵角θから車両の旋回半径rを求めるための図8に示すマップMRが記憶されている。本実施形態では,操舵輪である駆動輪3が車幅方向にオフセットされていることを考慮し,操舵角θから旋回半径rを求めるために右旋回用と左旋回用の2種類のマップ線R,Lを用意している。
【0078】
例えば操舵角θ=θ1のとき,駆動輪3が外輪になる右旋回時に旋回半径rRが決まり,補助輪4が外輪になる左旋回時には右旋回時のrR値より小さい旋回半径rLが決まる。このため,操舵角データθを用いて測定値を演算する方法を採用しても,横加速度Gsとヨーレート変化率ΔY/ΔTの推定値を正しく算出できるようになっている。
【0079】
また,ダンパ44のロックの解除は,ロック条件解除(ロック条件不成立)の状態が所定時間Tだけ継続したときにのみ行われる。ロック条件解除の状態の継続時間は,カウンタ63により計数される。
【0080】
次に,スウィング制御処理について図11,図12のフローチャートに従って説明する。イグニションキーのオン中,CPU60は各センサ52,54から検出信号を入力する。
CPU60は各センサ52,54からの検出信号に基づいて得られる操舵角θと車速Vのデータに基づいて所定時間(例えば数10ミリ秒)間隔でスイング制御処理を実行する。
【0081】
まず,CPU60は,ステップ10において,検出データである操舵角θと車速Vを読み込む。ステップ20では,横加速度の推定値Gsを演算する。すなわち,ROM61に記憶されたマップMRを用いて操舵角θから旋回半径rを求め,車速Vと旋回半径rから(1)式を用いて,横加速度の推定値Gsを計算する。
【0082】
ステップ30では,ヨーレート変化率ΔY/ΔTを演算する。すなわち,RAM62の所定記憶領域から所定時間ΔT前の操舵角データθ1を読出し,このデータθ1から決まる旋回半径r1と,現在の操舵角データθから決まる旋回半径rとを用いてΔ(1/r)=|1/r−1/r1|とみなし,(2)式よりΔY/ΔTを演算する。
【0083】
ステップ40では,現在の旋回方向を判定する。旋回方向は操舵角θから判定される。予め設定された直進の操舵角範囲内に切れ角があるときは直進,その直進範囲より左切れ角のときに右旋回,右切れ角のときに左旋回と判定される。
左旋回のときはステップ50に進み,右旋回のときはステップ90に進み,さらに直進時は当該ルーチンを終了する。
【0084】
左旋回時は,まずステップ50において,ΔY/ΔTが設定値y0以上であるか否かを判断する。ΔY/ΔT≧y0が成立すれば,ステップ60に進んでフラグFをセットし,ΔY/ΔT≧y0が不成立であれば,ステップ70に進んでフラグFをリセットする。
【0085】
次のステップ80では,横加速度Gsが設定値G2以上であるか否かを判断する。Gs≧G2が成立すれば,ステップ100に進んでフラグFをセットし,Gs≧G2が不成立であれば,ステップ110に進んでフラグFをリセットする。
【0086】
また,右旋回時は,ステップ90において,横加速度Gsが設定値G1以上であるか否かを判断する。Gs≧G1が成立すれば,ステップ100に進んでフラグFをセットし,Gs≧G1が不成立であれば,ステップ110に進んでフラグFをリセットする。このように右旋回時と左旋回時でロック条件が異なっている。なお,右旋回時のときはフラグFはリセットされる。
【0087】
ステップ120では,フラグF,Fのうち少なくとも一方がセットされているか否かを判断する。つまり,ロック条件が成立したか否かを判断する。
ロック条件が成立すればステップ130に進み,ロック信号を指令する。その結果,電磁切換弁47のスプールが遮断位置に切換えられ,ダンパ44がロックされる。一方,ロック条件不成立であればステップ140に進む。
【0088】
ステップ140では,ロックからアンロックへの切換わりであるか否かを判断する。CPU60は現在アンロック状態にあってロックフラグFがセットされていれば,ロックからアンロックヘの切換わりであると判断する。ロックからアンロックヘの切換わりであるときはステップ150に進んで,カウンタ63の計数値kをインクリメントする(k=k+1)。
カウンタ63は,例えばダンパ44がアンロックからロックに切換えられた時にリセットされている。一方,ロックからアンロックヘの切換わりでないときはステップ170に進む。
【0089】
ステップ160では,カウンタ63の計時が所定時間Tを経過したか否かを判断する。つまり,ロック条件解除の状態(フラグF,Fが共にリセット状態)が所定時間T継続したか否かを判断する。
カウンタ63の計数値kから所定時間Tが経過したと判断されたときは,ステップ170に進む。ステップ170では,ロック信号の指令を停止する。
【0090】
その結果,電磁切換弁47のスプールが連通位置に切換えられ,ダンパ44のロックが解除される。
このようにロックからアンロックに切換わるときは,ロック条件の解除と同時に直ちにロック解除される訳ではなく,ロック条件解除の状態が所定時間Tだけ継続した後,ダンパ44のロック解除が実行される。
【0091】
図13は,旋回時における横加速度Gsとヨーレート変化率ΔY/ΔTの変化を示すグラフである。例えば図13(a)に示すように,走行中に直進から左旋回したときは,横加速度が設定値G2に達する前にヨーレート変化率ΔY/ΔTがその設定値y0を超えることで早めにダンパ44がロックされる。つまり,旋回開始とほぼ同時に素早くダンパ44がロックされる。
【0092】
そのため,傾きやすい右方向の傾斜であっても,図14(b)に示すように,車体1aが大きく傾く前にダンパ44がロックされ,リンク機構20が車体フレーム19に対して固定される。
その後,図13(a)に示すように操舵角θが一定切角に落ちついてきてヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0未満となるまでには,横加速度(Gs)が設定値G1以上となるので,ダンパ44のロックが継続される。
そのため,左旋回中は,車体フレーム19に対してリンク機構20が図14(b)に示すごとく,大きく傾くことがない。
【0093】
その後,図13(a)に示すように左旋回から右旋回ヘハンドル(ステアリングホイール)14を切返すと,横加速度がその向きの切り換わりの区間で一瞬だけ設定値G1未満となる。しかし,旋回方向の切返し中であるためにこの区間で,ヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0以上の値をとるため,ダンパ44のロックが直進姿勢に到達するまで継続される。
そして,直進姿勢を過ぎて右旋回に切換わると,ヨーレート変化率ΔY/ΔTがロック制御の判定のパラメータとして使われなくなるので,ダンパ44のロックが解除される。
【0094】
そして,右旋回となって左方向の横加速度によって車体1aが左傾し,横加速度の推定値Gsが設定値G1に達したとき,図14(a)に示すようにダンパ44がロックされる。
本例のフォークリフト1は,左方向には比較的傾きにくいため,上記のごとく,リンク機構20のロックを遅らせても車体1aが大きく傾くことはなく,車両の安定性が問題となることはない。
【0095】
一方,図13(b)に示すように,走行中に直進から右旋回したときは,横加速度Gsが設定値G1に達すると,ダンパ44がロックされ,図14(a)に示すように,車体1aが大きく傾くことを防ぐ。
【0096】
その後,右旋回から左旋回ヘハンドル14を切返すときは,横加速度の推定値Gsが設定値G1未満になった時点でダンパ44のロックが解除される。
ダンパ44はロック条件解除時から所定時間Tだけ遅れてロック解除されることになるが,極く短時間なのでタイミング的な遅れはさほど生じない。
【0097】
右旋回中は,ヨーレート変化率ΔY/ΔTが考慮されないので,旋回方向の切返し過程でその値ΔY/ΔTが設定値y0以上になっても,直進姿勢になるまでは,ダンパ44のアンロック状態が継続される。そして,直進姿勢を過ぎて左旋回に移行し始めると,既にヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0以上の値になっているので,左旋回へ移行し始めると車体1aが大きく傾く前に素早くダンパ44がロックされる。
操舵角θが一定切角に落ちついてきてヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0未満となるまでに,横加速度Gsが設定値G2以上となり,ダンパ44のロックが継続される。
【0098】
次に,ダンパ44のロック解除は,ロック条件が不成立となった時点から所定時間Tだけ遅れて実行される。そのため,右旋回中にΔY/ΔT値とGs値の変化のちょっとしたタイミングのずれから両フラグF,Fが共にリセットされることがあっても,ダンパ44のロックは継続される。
また,旋回中に横加速度の推定値Gsが設定値G1,G2を境に上下に変動するような値をたまたまとっても,ダンパ44のロックが継続される。そのため,横加速度の推定値Gsがその設定値G1,G2付近の値をたまたまとったことに起因する不要なロック,アンロックの頻繁な切り換わりの発生も防止される。
【0099】
以上詳述したように本実施形態例によれば,以下の(1)〜(7)の効果が得られる。
(1)右旋回時と左旋回時でダンパ44をロックするロック条件に差をもたせ,傾きやすい右方向への横加速度が車体1aにかかる左旋回時に,素早くダンパ44をロックするようにした。
そのため,左旋回時の車体の傾きが右旋回時の車体の傾きよりも特に大きくなることがなく,車体1aの左右の安定性を確保できる。
【0100】
(2)ヨーレート変化率ΔY/ΔTを,ダンパ44をロックすべきか否かの判定のパラメータの一つに加えたので,左旋回開始時に素早くダンパ44をロックでき,傾きやすい左旋回時の遠心力による車体1aの傾きが大きくなりすぎることを抑えることができる。
またヨーレート変化率ΔY/ΔTを右旋回時にはロック制御の判定のパラメータとして考慮しないようにしたので,右旋回時と左旋回時でダンパ44をロックするロック条件に差をもたせることが容易である。
【0101】
(3)ダンパ44のロック解除は,ロック条件解除の状態が所定時間Tだけ継続した後に実行されるので,ロック,アンロックの不要な切り換わりを防止することができる。
例えば右旋回時にヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0以上になってロックした後,横加速度Gsが設定値G1以上に立ち上がる前にちょっとしたタイミングのずれからヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値y0未満になって両フラグF,Fが共にリセットされた状態が一瞬発生しても,ロックは継続できる。
【0102】
旋回中に横加速度の推定値Gsが設定値G1,G2を境に上下変動するような場合でも,ダンパ44をロック状態に保持でき,横加速度の推定値Gsがその設定値G1,G2付近の値をたまたまとったことに起因するロック,アンロックの頻繁な切り換わりを回避できる。
【0103】
(4)横加速度Gsおよびヨーレート変化率ΔY/ΔTを,操舵角θと車速Vの各検出データを用いて演算するようにしたので,横加速度を直接検出する加速度センサ等の比較的高価な検出器を設けなくて済む。
特にフォークリフト1に元々取付けられている車速センサ54を利用でき,また他の制御等のために設けた操舵角センサ52を利用する構成であれば,センサ類の共用により装置コストを相対的に安価に抑えることができる。
【0104】
(5)横加速度の推定は操舵角θと車速Vの各検出データを用いた演算によるので,旋回時の横加速度Gsのみを推定できる。よって,直進走行しているときの凹凸路面による車体1aの左右の揺れにより横加速度が発生しても,推定値Gsが検出されずダンパ44がロックされない。そのため,上記のごとき車体1aの揺れは確実に吸収される。
【0105】
(6)駆動輪3が車幅方向にオフセットされていて,操舵角θの検出データが同じでも旋回方向によって旋回半径rが異なることを考慮したマップMR(図8)を用意したので,横加速度の推定値Gsおよびヨーレート変化率ΔY/ΔTを正確に求めることができ,精度の高いスイング制御を実現でぎる。
【0106】
(7)加速度センサにより検出された検出値(横加速度値)には車体1aの振動等のノイズを合み,これを差分(微分)処理した値を用いてヨーレート変化率ΔY/ΔTを求めようとすると,差分処理によってノイズが増幅されて推定値ΔY/ΔTの信頼性が乏しくなる。
これに対して本例によれば,操舵角センサ52により検出された車体1aの振動等の影響を受け難い操舵角データθから得られた値1/rを差分(微分)するので,信頼性の高い推定値ΔY/ΔTを得ることができる。
【0107】
実施形態例2
本例は,図15,図16に示すごとく,加速度センサ70と車速センサ54とを使用し,横加速度を直接検出するとともに,横加速度と車速の検出データからヨーレート変化率ΔY/ΔTを推定するようにした,フォークリフト1の車体揺動制御装置の例である。
なお,スウィング制御に使用するセンサの組合せを変更した以外は,上記実施形態例1と同じ構成であるので,同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0108】
図15に示すように,旋回変化測定手段としての加速度センサ70は,車体後部の収容ボックス13内に車幅中心近くに取付けられ,車体1aの横加速度を検出可能な姿勢で配置されている。
図16に示すように,車速センサ54は,上記実施形態例1と同様にブレーキディスク53の回転を検出するものである。加速度センサ70と車速センサ54は,コントローラ55と電気的に接続されている。
【0109】
上記コントローラ55内のCPU60は,上記加速度センサ70の検出値から横加速度Grを得るとともに,車速センサ54の検出信号から得られた車速データVと横加速度データGrとを用いた演算によりヨーレート変化率ΔY/ΔTを推定する。なお,CPU60,加速度センサ70および車速センサ54により旋回方向判定手段が構成される。
【0110】
ヨーレート変化率ΔY/ΔTは次の(4)式により算出される。
ΔY/ΔT=(ΔG/ΔT)・(1/V)…(4)
ここで,ΔG/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の横加速度データから,所定時間ΔT前の横加速度データGr1を読出し,現在の横加速度データGrとを用いて,ΔG/ΔT=|Gr−Gr1|により算出される。
【0111】
CPU60が実行するスウィング制御処理においては,図11に示すステップ10において,横加速度Grと車速Vの検出データを読込む。ステップ20のGsの演算が省略され,ステップ30において,上記(4)式を用いてヨーレート変化率ΔY/ΔTが演算される。
ステップ40では,加速度センサ70の検出値の正負によって旋回方向を判定する。
【0112】
よって,本例によれば,上記実施形態例1で述べた(1)〜(3)の効果が同様に得られる。
また,直進走行時の横加速度が検出されるため,路面の凹凸によって車体1aが左右に揺れたときにダンパ44がロックされて左右の揺れが吸収され難くはなるものの,直進走行時でも例えば左右に傾斜した路面を走行するときには,横加速度Grが設定値G1,G2以上になったときにダンパ44がロックされるため,車体1aの左右の安定性を確保することができる。さらに車速センサ54はフォークリフト1に元々取付けられているものを利用できる。
【0113】
実施形態例3
本例は,図17,図18に示すごとく,ヨーレートセンサ71と車速センサ54を使用し,これらの検出値を用いて横加速度およびヨーレート変化率ΔY/ΔTの各推定値を得るよう構成した,フォークリフト1の車体揺動制御装置の例である。
なお,スウィング制御に使用するセンサの組合せを変更した以外は,実施形態例1と同じ構成であるので,同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0114】
図17に示すように,ヨーレート検出器としてのヨーレートセンサ(ジャイロスコープ)71は,車体後部の収容ボックス13内に車幅中心近くに取付けられている。本例では,ヨーレートセンサ71として圧電素子からなる圧電式ジャイロスコープを使用している。
なお,その他の方式のものとして,例えばガスレート式ジャイロスコープまたは光学式ジャイロスコープ等を使用することもできる。
また,本例の車体揺動制御装置は,図18に示すように,実施形態例1と同様にブレーキディスク53の回転を検出する車速検出器としての車速センサ54を備える。
【0115】
図18に示すように,ヨーレートセンサ71と車速センサ54は,制御手段としてのコントローラ55と電気的に接続されている。コントローラ55内のCPU60は,ヨーレートセンサ71と車速センサ54の各検出値から得られたヨーレートYと車速Vのデータを用いて,横加速度Gsとヨーレート変化率ΔY/ΔTとを推定する。
なお,CPU60,ヨーレートセンサ71および車速センサ54により,横加速度測定手段および旋回変化測定手段が構成され,さらにCPU60により横加速度推定手段および旋回変化率推定手段が構成される。
【0116】
横加速度の推定値Gsは次の(5)式により算出される。
Gs=Y−V…(5)
また,ヨーレート変化率ΔY/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)のヨーレートデータから,所定時間ΔT前のヨーレートデータY1を読出し,現在のヨーレートデータYとを用いて,ΔY/ΔT=|Y−Y1|により算出される。
【0117】
CPU60が実行するスウィング制御処理においては,図11に示すステップ10において,ヨーレートYと車速Vの検出データを読込む。ステップ20では,上記(5)式を用いて横加速度の推定値Gsが演算される。
ステップ30において,式ΔY/ΔT=|Y−Y|によりヨーレート変化率ΔY/ΔTが演算される。ステップ40では,ヨーレートセンサ71の検出値の正負によって旋回方向を判定する。
【0118】
よって,本例によれば,実施形態例1で述べた(1)〜(3),(5),(6)の効果が同様に得られる。また,車速センサ54はフォークリフト1に元々取付けられているのもを使用できる。
なお,ヨーレートセンサ71の検出値は車体1aの振動によるノイズを含み難く,差分処理してもノイズの増幅の心配がないため,信頼性の高い推定値ΔY/ΔTを得ることができる。
【0119】
実施形態例4
本例は,図19,図20に示すごとく,実施形態例2と同様に加速度センサ70と車速センサ54を使用する構成であるが,旋回時の横加速度だけを選択的に得るようにした点が実施形態例2と異なる。
なお,スウィング制御に使用するセンサを変更した以外は,実施形態例1と同じ構成であるので,同じ部材には同じ符号を付しで説明を省略する。
【0120】
図19に示すように,車体後部の収容ボックス13内における車幅中心近くに横加速度測定手段としての加速度センサ70が1個取付けられ,さらに片側(本例では例えば左側)のリーチレグ6のやや前寄りに加速度センサ72が1個取付けられている。
2つの加速度センサ70,72は車体1aに対して横方向の加速度を検出可能な姿勢でそれぞれ配置されている。また,図20に示すように,上記実施形態例2と同様にブレーキディスク53の回転を検出する車速検出器としての車速センサ54を備える。
【0121】
図20に示すように,2つの加速度センサ70,72と,1つの車速センサ54は,コントローラ55と電気的に接続されている。該コントローラ55内のCPU60は,2つの加速度センサ70,72の検出値から横加速度GAr,GBrを得るとともに,車速センサ54の検出信号から得られた車速Vと,例えば後側の加速度センサ70に検出された横加速度GArとを用いた演算によりヨーレート変化率ΔY/ΔTを推定する。
なお,CPU60,加速度センサ70および車速センサ54により,旋回変化測定手段が構成される。また,CPU60および2つの加速度センサ70,72により旋回判定手段が構成される。
【0122】
ヨーレート変化率ΔY/ΔTは,上記(4)式を用いて,ΔY/ΔT=(ΔG/ΔT)・(1/V)により演算される。ここで,ΔG/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の横加速度データから,所定時間ΔT前の横加速度データGAr1を読出し,現在の横加速度データGArとを用いて,ΔG/ΔT=|GAr−GAr1|により算出される。
【0123】
CPU60が実行するスウィング制御処理においては,図11に示すステップ10において,横加速度GAr,GBrと車速Vの検出データを読込む。ステップ20のGsの演算が省略され,ステップ30において,上記(4)式を用いてヨーレート変化率ΔY/ΔTが演算される。
ステップ40では,横加速度GAr,GBrの差δ=|GAr−GBr|を求め,その差δが予め設定した設定値δ0以上のとき(δ≧δ0),旋回中であると判断し,δ≧δ0のときに加速度センサの検出値GArの正負によって旋回方向を判定する。
【0124】
つまり,旋回時の旋回半径が異なることになる車体上の二箇所に各加速度センサ70,72が配置され,各加速度センサ70,72のそれぞれの検出値にある値以上の差ができたときを,車両の旋回中であると判定するようにしている。
例えば加速度センサ70,72の検出値GArが右旋回時に正の値をとり,左旋回時に負の値をとるように設定されていれば,δ≧δ0かつGAr>0のときに右旋回,δ≧δ0かつGAr<0のときに左旋回と判断し,δ<δ0のときを直進時であると判断する。
【0125】
スウィング制御処理としては図11のフローチャートに示すように,直進時にはダンパ44をロックさせないようにする。これに対し,実施形態例2と同様に直進時でも横加速度が検出されたときにはその検出値GArが設定値G1,G2以上であればダンパ44をロックするようにし,横加速度GArの向きに応じて,その向きが左側のときは右旋回時の設定値G1を使用し,その向きが右側のときは左旋回時の設定値G2を使用するようにしてもよい。
【0126】
前者の場合,路面の凹凸によって車体1aが左右に揺れたために横加速度GArが設定値G1,G2以上になってもダンパ44がロックされず,その揺れを確実に吸収できる。
また,後者の場合,直進走行時でも横加速度GArが設定値G1,G2以上になれば,ダンパ44がロックされるので,例えば左右に傾斜した路面を直進走行しているときに車体1aの左右の安定性を確保できる。その他,本例によれば,実施形態例1で述べた(1)〜(3)の効果が同様に得られる。
【0127】
実施形態例5
本例は,図21,図22に示すごとく,電磁切換弁47に代えて電磁比例弁75を使用してその開度調節をするようにした点が上記実施形態例1〜4と異なる。なお,スウィング制御に使用する電磁切換弁を電磁比例弁に変更した以外は,実施形態例1と同じ構成であるので,同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0128】
図21に示すようにダンパ44のシリンダ44aに接続された2本の管路45,46は,規制力調節手段としての電磁比例弁75の2つのポートに接続されている。
コントローラ55内のCPU60は,例えばデューティ値制御により上記電磁比例弁75のソレノイド75aに流す電流を制御し,上記電磁比例弁75の開度を調節するようになっている。なお,ダンパ44および電磁比例弁75等により揺動規制機構が構成される。
【0129】
図22に示すように,CPU60は,ロック条件成立時はロック信号を出力してソレノイド75aへの電流を直ちに弱め,電磁比例弁75を速やかに全開させる。また,CPU60は,ロック条件解除時はロック信号の出力を停止してソレノイド75aへの電流を徐々に上昇させて,電磁比例弁75の開度を略一定の割合で徐々に全閉から全開させるように設定されている。
【0130】
よって,本例によれば,ダンパ44のロックを解除する際,電磁比例弁75が全閉から全開まで徐々に開かれるので,リンク機構20のロックが解除されるときに車体1aにショックが発生し難い。従って,例えば旋回中にロック解除されても車体1aがロック解除時のショックによって不安定になることを回避できる。
【0131】
実施形態例6
本例は,図23,図24に示すごとく,ダンパ44をロックするときとロックを解除するときとでスウィング制御に使用する設定値を異ならせた点が上記各実施形態例と異なる。なお,スウィング制御の内容を一部変更した以外は,実施形態例1と同じ構成である。
【0132】
図23に示すように,ΔY/ΔT用の設定値として,ダンパ44をロックするとき(フラグFがセットのとき)に「y0」が使用され,ダンパ44のロックを解除するとき(フラグFがリセットのとき)に「y0」より少し小さな設定値「α・y0」(例えば,0.5<α<1)が使用される。
【0133】
また,図24に示すように,Gs用の設定値として,ダンパ44をロックするとき(フラグFがセットのとき)に「G1」,「G2」が使用され,ダンパ44のロックを解除するとき(フラグFがリセットのとき)に「G1」,「G2」より少し小さな設定値「α・G1」,「α・G2」(例えば,0.5<α<1)がそれぞれ使用される。
【0134】
よって,ダンパ44が一旦ロックされると,その際の設定値よりも少し小さめのα(例えば0<α<1)倍の設定値を下回るまで,そのロックが解除されない。
そのため,例えばヨーレート変化率ΔY/ΔTがその設定値y0付近の値をたまたまとったり,横加速度Gsがその設定値G1,G2付近の値をたまたまとったことに起因するロック,アンロックの頻繁な切り換わりの発生が防止される。
従って,ダンパ44のロック制御を安定に行なうことができる。
【0135】
実施形態例7
本例は,ヨーレート変化率の計算に車速Vの時間差分項(時間微分項)を考慮した計算式を使用する例である。
ヨーレート変化率ΔY/ΔTを演算する上記実施形態例1と実施形態例2および実施形態例4等においては,車速Vを一定とみなして車速Vの時間差分項(時間微分項)を無視した計算式を使用した。
【0136】
これに対し,本例では,車速Vの時間差分項(時間微分項)を考慮した計算式を使用するようにしている。ヨーレート変化率ΔY/ΔTの計算式が異なる以外は,上記実施形態例1および実施形態例3等と同様の構成である。
【0137】
まず,操舵角センサ52と車速センサ54を使用する実施形態例1等の構成において,実施形態例1で使用した上記(2)式に代え,車速Vの時間差分項が考慮された例えば先に記した(3)式を計算式として使用する。つまり,以下の式である。
【0138】
ΔY/ΔT=V−(Δ(1/r)/ΔT)+(1/r)・(ΔV/ΔT)…(3)
ここで,ΔV/ΔTは,車速Vの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。ΔV/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の車速データVから,所定時間ΔT前の車速データV1を読出し,ΔV/ΔT=|V−V1|により計算する。
【0139】
また,次式を採用することもできる。
ΔY/ΔT=Δ(V/r)/ΔT…(6)
ここで,Δ(V/r)/ΔTは,ヨーレートの演算値V/rの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。Δ(V/r)/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)のヨーレートデータV/rから,所定時間ΔT前のヨーレートデータV1/r1を読出し,Δ(V/r)/ΔT=|V/r−V1/r1|により計算する。
【0140】
また,加速度センサ70と車速センサ54を使用する実施形態例2および実施形態例4等の構成において,次式を使用する。
ΔY/ΔT=(ΔG/ΔT)・(1/V)+G・(Δ(1/V)/ΔT)…(7)
ここで,Δ(1/V)/ΔTは,車速の逆数値1/Vの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の車速データVから,所定時間ΔT前の車速データV1を読出し,現在の車速データVとを用いて,Δ(1/V)/ΔT=|1/V−1/V1|により計算する。
【0141】
また,次式を採用することもできる。
ΔY/ΔT=Δ(G/V)/ΔT…(8)
ここで,Δ(G/V)/ΔTは,ヨーレートの演算値G/Vの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。Δ(G/V)/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)のヨーレートデータG/Vから,所定時間ΔT前のヨーレートデータG0/V1を読出し,Δ(G/V)/ΔT=|G/V−G0/V1|により計算する。
【0142】
これらの車速Vの時間差分項を考慮した計算式を採用した構成によれば,車速変化時でも精度の高いヨーレート変化率ΔY/ΔTを得ることができるので,車速変化を伴ないながら旋回したときでも,適切な時期にダンパ44をロックさせることができる。
【0143】
実施形態例8
本例は,上記各実施形態例で使用したヨーレート変化率ΔY/ΔTに代えて,横加速度変化率ΔG/ΔTを採用した例である。
まず,操舵角センサ52と車速センサ54を使用する実施形態例1等の構成において,横加速度変化率ΔG/ΔTの計算式として次式を使用する。
【0144】
ΔG/ΔT=V2・Δ(1/r)/ΔT…(9)
ここで,Δ(1/r)/ΔTは,操舵角データθから決まる旋回半径の逆数値1/rの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。Δ(1/r)/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)のデータのうちの所定時間ΔT前のデータ1/r1を読出し,現在のデータ1/rとを用い,Δ(1/r)/ΔT=|1/r−1/r1|により計算する。
【0145】
CPU60が実行するスウィング制御処理においては,図11に示すステップ30において,上記(9)式を用いて横加速度変化率ΔG/ΔTが演算される。そして,ステップ50において,横加速度変化率ΔG/ΔTがその設定値g0以上である(ΔG/ΔT≧g0)か否かが判断される。
【0146】
また,車速Vの時間差分項(時間微分項)を無視した上記(9)式に代え,車速Vの時間差分項を考慮した計算式を採用することもできる。例えば以下の二式のうちいすれかを採用できる。
【0147】
ΔG/ΔT=V2・Δ(1/r)/ΔT+(1/r)・2V・ΔV/ΔT…(10)
ΔG/ΔT=Δ(V2/r)/ΔT…(11)
ここで,(11)式中のΔ(V2/r)/ΔTは,横加速度データGs(=V2/r)の所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。Δ(V2/r)/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の横加速度データから所定時間ΔT前の横加速度データGs1を読出し,現在の横加速度データGsとを用い,Δ(V2/r)/ΔT=|Gs−Gs1|により計算する。
【0148】
また,加速度センサ70と車速センサ54を使用する実施形態例2および実施形態例4等の構成において,横加速度変化率ΔG/ΔTを採用する場合は,横加速度データGrの所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)からΔG/ΔT値を計算する。
ΔG/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の横加速度データから所定時間ΔT前の横加速度データGr1を読出し,現在の横加速度データGrとを用い,ΔG/ΔT=|Gr−Gr1|により計算する。
【0149】
また,ヨーレートセンサ72と車速センサ54を使用する実施形態例2等の構成において,横加速度変化率ΔG/ΔTの計算式として次式を使用する。
ΔG/ΔT=V・ΔY/ΔT…(12)
さらに車速Vの時間差分項(時間微分項)を無視した上記(12)式に代え,車速Vの時間差分項を考慮した計算式を採用することもできる。例えば以下の二式のうちいすれかを採用できる。
【0150】
ΔG/ΔT=V−ΔY/ΔT+Y・ΔV/ΔT…(13)
ΔG/ΔT=Δ(V・Y)/ΔT…(14)
ここで,(14)式中のΔ(V・Y)/ΔTは,横加速度データGs(=V・Y)の所定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの変化量(偏差)である。Δ(V・Y)/ΔTは,RAM62に保存した過去複数回分(所定時間ΔT分を一回とする)の横加速度データから所定時間ΔT前の横加速度データGs1を読出し,現在の横加速度データGsとを用い,Δ(V・Y)/ΔT=|Gs−Gs1|により計算する。
【0151】
以上のようにヨーレート変化率ΔY/ΔTに代え,横加速度変化率ΔG/ΔTをロック制御の判定のパラメータの一つとして使用する構成においても,ΔG/ΔT≧g0を満たしたときにダンパ44をロックすることにより,左旋回開始時に素早くリンク機構20をロックし,車体1aの左旋回時の遠心力による右傾角度が大きくなりすぎることを抑えることができる。
【0152】
さらに横加速度変化率ΔG/ΔTを演算するための計算式として,車速Vの時間差分項(時間微分項)を考慮した計算式を使用すれば,旋回時に車速変化を伴なう場合でも,精度の高い横加速度変化率ΔG/ΔTを得て,適切な時期にダンパ44をロックすることができる。
その他,それぞれ対応する各実施形態例において得られた上記効果が同様に得られる。
【0153】
なお,加速度センサ70の検出値を差分処理(微分処理)する場合には,検出値を予めフィルタ処理してノイズを除去することが望ましい。フィルタ処理としては,例えば過去複数回分の検出データの平均をとる方法がある。横加速度以外の検出データについても同様のフィルタ処理を施せばより精度の高い検出データが得られ,より好ましい。
【0154】
なお,本発明の実施形態は,上記のものに限定されず次のように変更できる。第1に,補助輪4がリンク(キャスタリンク)に固定されていてもよい。つまりキャスタスプリング30などの弾性部材を介さずに補助輪4がリンク機構20に取付けられた構成でもよい。
【0155】
この構成によっても,補助輪4が外輪となる左旋回方向のときのロック条件の設定値を相対的に小さく設定することにより,左旋回時の車体1aの傾きを小さく抑えることができる。
つまり,傾きやすい右方向への車体1aの傾斜角度の限界を,比較的傾きにくい左方向への車体1aの傾斜角度の限界と略同等とすることができ,旋回時の車体1aの走行安定性をより一層確実に確保することができる。
【0156】
第2に,上記各実施形態例では,駆動輪3と補助輪4が共通のリンク機構20に懸架された構成であったが,駆動輪3と補助輪4を別々のリンク機構によって懸架する独立懸架方式において実施することもできる。
この場合,補助輪4がそれ専用のリンク機構に対して弾性部材を介して取付けられていても,リンク機構に直接固定されていてもよい。要するに補助輪4が外輪となる旋回時に,駆動輪3の接地圧の低下を防ぐことができる構成であれぱ足りる。
【0157】
第3に,ヨーレート変化率ΔY/ΔTや横加速度変化率ΔG/ΔTをスウィング制御(ロック制御)の判定のパラメータとして必ずしも使用する必要はない。つまり,ロック制御の判定のパラメータとして横加速度だけを使用する構成でもよい。
この構成によっても,車体1aの安定性を確保することはできる。
【0158】
第4に,上記実施形態例4において,2個の加速度センサ70,72を使用する代わりに,1個の加速度センサと,旋回判定手段として操舵角センサまたはヨーレートセンサを使用し,操舵角θまたはヨーレートYのデータから旋回中であるか否かの判定をするようにしてもよい。
【0159】
第5に,上記各実施形態例において,サスペンションスプリング32が所定長さに伸びたこと,或いは縮んだことを検知するセンサを設け,該センサが検知したときに限り,ダンパ44をロックするようにしてもよい。
この構成によれば,旋回時に検出された横加速度値にばらつきがあっても常にサスペンションスプリング32が所定の長さに伸びたとき,或いは縮んだときにダンパ44をロックすることができる。
【0160】
第6に,揺動規制機構は,リンク機構20と車体フレーム19との間に介装したダンパ44と,該ダンパ44のロック制御をするための電磁切換弁47(または電磁比例弁75)等とにより構成されることに限定されない。
例えば,リンク機構と車体フレームとの隙間に進退可能に設けられたストッパと,該ストッパを進退させるためのアクチュエータとから揺動規制機構を構成し,上記ストッパを上記隙間に進入させることによりリンク機構をロックさせる方法を採用することもできる。
【0161】
上記ストッパはリンク機構に二箇所で当接させ,リンク機構のどちらの方向の動きも規制できるようにする。また,ストッパがリンク機構に当たる当接面をその進入方向に傾斜するテーパに形成し,ストッパをゆっくり退避させることによってリンク機構のロックが徐々に解除されるようにしてもよい。
【0162】
第7に,上記駆動輪3と車幅(左右)方向に対をなす従動輪は補助輪4に限定されない。例えば駆動輪と左右で対をなして共に操舵される操舵輪であってもよい。
この場合にも,車体1aの安定性を確保することはできる。
【0163】
第8に,上記各実施形態例において,フォーク11の揚高を検出する揚高センサと,フォーク11上の荷の重量を検出する荷重センサを設け,これらのセンサにより荷を積載して高い揚高にある車両の重心位置が相対的に高くなったときを検出し,重心位置が所定値以上高い状態ではリンク機構20をロックさせる構成を採用することができる。
【0164】
第9に,上記各センサの検出値から決まる重心位置に応じて,横加速度あるいはヨーレート変化率の設定値を重心位置が高くなるほど小さくなるように断続的もしくは連続的に変化させて設定し,車両の重心位置も考慮して車体の左右の安定性をより一層確保できるように構成することもできる。
【0165】
第10に,横加速度と,ヨーレート変化率や横加速度変化率の測定方法は,上記各実施形態例の方法に限定されることなく,適宜の方法を採用することができる。
例えば,傾斜角センサにより検出した車体の横方向の傾斜角から,間接的に横加速度を導き出す方法を採ってもよい。また,ステアリングホイール14の回転角を検出するハンドル角センサを操舵角検出器として使用することができる。
【0166】
第11に,リンク機構のロックは,リンク機構を車体フレームに完全に固定することに限定されず,車体に対するリンク機構の動く範囲を狭く制限する規制であっても構わない。
駆動輪と従動輪との揺動範囲が小さく抑えられれば一様の効果は得られる。
【0168】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,車両の安定性を向上させる,産業車両としてのリーチ式フォークリフトの車体揺動制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,車体揺動制御装置の説明図。
【図2】実施形態例1における,リーチ式フォークリフトの側面図。
【図3】実施形態例1における,リーチ式フォークリフトの平面図。
【図4】実施形態例1における,車体揺動制御装置を示す背面説明図。
【図5】実施形態例1における,リアサスペンション構造を示す平面図。
【図6】実施形態例1における,リアサスペンション構造の一部を示す背面図。
【図7】実施形態例1における,車体揺動制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図8】実施形態例1における,操舵角と旋回半径の関係を示すマップ図。
【図9】実施形態例1における,(a)横加速度,(b)ヨーレート変化率のそれぞれのロック条件を示すグラフ。
【図10】実施形態例1における,ロック信号の指令を停止するときのタイミグチャート。
【図11】実施形態例1における,スウィング制御処理のフローチャート。
【図12】図11の続きのフローチャート。
【図13】実施形態例1における,車両旋回時におけるスウィング制御を説明する線図。
【図14】実施形態例1における,(a)右旋回時にロックしたリンク機構を示し,(b)左旋同時にロックしたリンク機構を示す背面図。
【図15】実施形態例2における,リーチ式フォークリフトを示す平面図。
【図16】実施形態例2における,車体揺動制御装置の説明図。
【図17】実施形態例3における,リーチ式フォークリフトを示す平面図。
【図18】実施形態例3における,車体揺動制御装置の説明図。
【図19】実施形態例4における,リーチ式フォークリフトを示す平面図。
【図20】実施形態例4における,車体揺動制御装置の説明図。
【図21】実施形態例5における,車体揺動制御装置の部分説明図。
【図22】実施形態例5における,ロック信号の指令を停止するときのタイミグチャート。
【図23】実施形態例6における,ヨーレート変化率のロック,ロック解除の条件を示す線図。
【図24】実施形態例6における,横加速度のロック,ロック解除の条件を示す線図。
【図25】従来例における,リーチ式フォークリフトの(A)水平状態,(B)左傾状態,(C)右傾状態を表す背面説明図。
【符号の説明】
1...リーチ式フォークリフト,
1a...車体,
19...車体フレーム,
20...リンク機構,
3...駆動輪,
30...キャスタスプリング,
32...サスペンションスプリング,
4...補助輪,
44...ダンパ,
47...電磁切換弁,
52...操舵角センサ,
54...車速センサ,
55...コントローラ,
60...中央処理装置(CPU),
70...加速度センサ,
71...ヨーレートセンサ,
72...加速度センサ,
75...電磁比例弁,
Gs,Gr...横加速度,
ΔY/ΔT…ヨーレート変化率,
ΔG/ΔT...横加速度変化率,
1,G2...設定値,
0...設定値,
0...設定値,

Claims (18)

  1. 産業車両の車体とその駆動輪とがスプリングを介して連結され,かつ上記スプリングは縮む方向に付勢された状態にあり,また上記車体が揺動したときには上記スプリングの伸縮をロックするための揺動規制機構を有する車体揺動制御装置において,
    該車体揺動制御装置は,上記スプリングが伸びる方向に車体が揺動したときに上記揺動規制機構がロックするタイミングが,上記スプリングが縮む方向に車体が揺動したときにロックするタイミングよりも早いタイミングとなるよう上記スプリングの伸縮量が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構が車体と駆動輪とをロックするように,設定してある制御手段を有し,
    かつ上記産業車両は,進行方向に対して車両重心から左右にずれた位置に駆動輪と従動輪とを有するリーチ式フォークリフトであることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  2. 請求項1において,上記車体揺動制御装置は,産業車両の旋回方向が左右どちらであるかによって,ロックする横加速度の設定値に差を持たせていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  3. 請求項1において,上記車体揺動制御装置は,産業車両の旋回方向が左右どちらであるかによって,ロックするヨーレート変化率の設定値を異ならせていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  4. 請求項において,上記駆動輪と上記従動輪とはリンク機構を介して連結され,該リンク機構は,車体のロール方向の揺動を許容するように,車体に対して懸架されていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  5. 請求項1において,上記車体揺動制御装置は横加速度測定手段を有し,車両にかかる横加速度の測定値が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構がロックすることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  6. 請求項1又はのいずれか一項において,上記車体揺動制御装置はヨーレート測定手段を有し,車両にかかるヨーレートの測定値が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構がロックすることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項において,上記リンク機構におけるリンクの傾動角度が設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構がロックすることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  8. 請求項のいずれか一項において,上記車体揺動制御装置は,車両のヨーレート変化率または横加速度変化率を測定する旋回変化測定手段を備え,
    少なくとも上記従動輪が外輪となる旋回方向のときに,上記ヨーレート変化率または上記横加速度変化率がその設定値以上に達したとき,上記揺動規制機構が作動することを特徴とする産業車両の車体揺動制御製置。
  9. 請求項において,上記駆動輪が外輪となる旋回方向のときは,上記旋回変化測定手段の上記測定値であるヨーレート変化率または横加速度変化率を上記ロック制御の判定のパラメータとして考慮しないように設定されていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  10. 請求項5〜9のいずれか一項において,上記横加速度測定手段は,車両が旋回中にあるときの横加速度のみを選択的に測定することを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  11. 請求項5〜10のいずれか一項において,上記横加速度測定手段は,操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出器と,車両の車速を検出する車速検出器と,上記操舵角と車速の両検出データを用いた演算により上記横加速度を推定する横加速度推定手段とを備えることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  12. 請求項5〜11のいずれか一項において,上記横加速度測定手段は,車両のヨーレートを検出するヨーレート検出器と,車両の車速を検出する車速検出器と,上記ヨーレートと車速の両検出データを用いた演算により横加速度を推定する横加速度推定手段とを備えることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  13. 請求項5〜12のいずれか一項において,上記横加速度測定手段は加速度センサであって,上記加速度センサにより検出された横加速度が車両の旋回時のものか否かを判定する旋回判定手段とを備えていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  14. 請求項8〜13のいずれか一項において,上記旋回変化測定手段は,車両の車速を検出する車速検出器と,上記横加速度を測定するために設けられた検出器のうち上記車速検出器以外の検出器と,両検出器により検出された車速の検出データを含む二つの検出データを用いて演算により上記ヨーレート変化率または上記横加速度変化率を推定する旋回変化率推定手段とを備えることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項において,上記制御手段は,上記揺動規制機構を作動させるためのロック条件が不成立となった時点から所定時間経過後に上記揺動規制機構の作動を停止させるように設定されていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項において,上記制御手段が上記揺動規制機構を作動するときの設定値より,上記揺動規制機構の作動を停止するときの設定値が小さく設定されていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  17. 請求項4〜16のいずれか一項において,上記揺動規制機構は,上記リンク機構にロックのために付与する規制力を調節可能な規制力調節手段を備え,上記制御手段は,上記規制力調節手段を制御することにより上記ロック制御を行うとともに,上記揺動規制機構の作動を停止するときは,上記リンク機構のロックが徐々に解除されるように上記規制力調節手段を制御することを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
  18. 請求項8〜17のいずれか一項において,上記旋回変化測定手段は,車速検出器を含む複数の検出器の検出データを用いた演算によって上記ヨーレート変化率または横加速度変化率の測定値を推定するものであって,該測定値を演算するために使用される計算式には,車速の時間微分項が含まれていることを特徴とする産業車両の車体揺動制御装置。
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