JP3806188B2 - 重合触媒及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合触媒及びこの触媒を用いたポリオレフィンの製造方法に関する。詳しくは、粉体性状が良好で、高嵩密度のポリオレフィンを高活性でかつ反応器壁への付着なく製造することができるオレフィン重合触媒及びこれを用いたポリオレフィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
最近、メタロセン化合物とメチルアルミノキサンを触媒として用いる、ポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体などの製造方法が開発されてきた。
例えば、特開昭58- 19309号公報にはビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドと線状あるいは環状メチルアルミノキサンとを触媒とするエチレン及びエチレンと炭素数3〜炭素数12のα−オレフィンとの共重合体の製造方法が提案されている。この方法は遷移金属当たりの活性が大きくまた共重合性に優れた触媒系であるが、高価なメチルアルモキサンを大量に使用することが必要で経済的見地から問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、触媒成分として用いるアルミノキサンの使用量を減少させても高活性を保つ触媒系が検討されている。例えば、特開昭60−260602号公報において、メタロセン化合物とアルミノキサンに加え、有機アルミニウム化合物を使用することを特徴とする触媒を用いたポリオレフィンの製造方法が提案されており、特開昭63−168409号公報においては、メタロセン化合物と有機マグネシウム化合物を接触させることで担体を作ると同時に、その担体にメタロセン化合物を担持させた固体触媒を用いたポリオレフィンの製造方法が開示されている。
しかし、これらの触媒系は、高活性を保ったままアルミノキサンの使用量を減少させることはできたが、生成する重合体が反応器壁へ付着する問題があり、工業的な安定生産が困難であった。
【0004】
この問題の改善のため、上記の有機アルミニウム化合物共存触媒系において、メタロセン化合物あるいはメチルアルミノキサンをある種の固体状担体に担持する検討が行われている。例えば、特開昭61−296008、特開昭63−280703、特開昭63−22804、特開昭63−51405、特開昭63−51407、特開昭63−54403、特開昭63−61010、特開昭63−248803、特開平4−100808、特開平3−74412、特開平3−709、特開平4−7306号公報等において、シリカ、アルミナ、シリカアルミナなどの多孔質無機金属酸化物にメタロセン化合物とメチルアルミノキサンを担持させた固体触媒を用いたオレフィンの重合方法が開示されている。
【0005】
これらと平行して特開平1−259004、特開平1−259005号公報には、シクロペンタジエニル配位子の置換基としてアルコキシシラン基を持つ特殊なメタロセン化合物をシリカ等の多孔質無機金属酸化物担体に担持した触媒を用いる方法が提案されている。
また特開平1−207303、特開昭61−31404、特開平4−224808号公報には、未脱水のシリカ等に有機アルミニウム化合物を接触させて、その担体にメタロセン化合物を担持した触媒を用いる方法が記載されている。
また特開平4−211404、特開平4−211405号公報には、球状の塩化マグネシウム担体にメタロセン化合物とアルミノキサンを担持した触媒を用いる方法が記載されている。
【0006】
更に特開平3−210307、特開平3−66710号公報には、メタロセン化合物とアルミノキサンを固体状のマグネシウム化合物と共粉砕した触媒を用いる方法の提案がある。
また、特開昭63−199206号公報には、固体化させたメチルアルミノキサンにメタロセン化合物を担持した触媒を用いる方法が記載されている。
しかし、これら従来技術に記載された担持触媒は、スラリー重合法あるいは気相重合法に対する適応性は向上したものの、ポリマーの反応器壁への付着防止についてはその効果はまだ不十分なものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高価なメチルアルミノキサンの使用量が少なくても高活性で、かつ粉体性状が良好で、高嵩密度のポリオレフィンを高活性でかつ反応器壁への付着なく製造することができるオレフィン重合触媒を提供すると共に、この触媒を用いてポリオレフィンを製造することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ついに目的にかなうオレフィン重合触媒及びポリオレフィンの製造方法を見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明に係るオレフィン重合触媒は、
[1](A)一般式(1)、
【化3】
又は一般式(2)
【化4】
〔式中、R1 〜R10は水素、炭素数1〜20を有するアルキル、アルケニル、アリール、アラリール、アラルキル、若しくはアリサイクリック系炭化水素基、アルキルシリル基またはアルキルゲルミル基であり、それぞれ同一でも異なってもよく、R11は炭素数1〜20のアルキレン基、アルキルゲルミレンまたはアルキルシリレンであり、各Qは水素、炭素数1〜20を有する炭化水素基、アルコキシ、アリロキシ、シロキシもしくはハロゲンであり、それぞれ同一でも異なってもよく、Meは周期表の第4族の遷移金属であり、pは0または1である。〕で表される遷移金属化合物と、
(B)有機アルミニウムオキシ化合物、
(C)担体及び
(D)アルキルリチウム、ジアルキルマグネシウムから選ばれる少なくとも1種及びトリアルキルアルミニウムの少なくとも2種の有機金属化合物
からなるオレフィン重合触媒。
【0009】
▲2▼アルミニウム原子に換算して担体1グラムに対して、5×10-4〜0.05グラム原子の有機アルミニウムオキシ化合物を担持させた▲1▼記載のオレフィン重合触媒、
▲3▼少なくとも2種の有機金属化合物(D)が、ノルマルブチルリチウム、ブチルエチルマグネシウムの少なくとも1種とトリアルキルアルミニウムから選ばれた少なくとも2種の有機金属化合物(D)である▲1▼〜▲2▼のいずれかに記載のオレフィン重合触媒、
▲4▼成分(A)の遷移金属化合物のモル数[A]、成分(B)の有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子のモル数[B]及び成分(D)調製時に使用する少なくとも2種の有機金属化合物のモル数の和[D]とした時、
1/5<[A]/[B]<1/10,000
1<[A]/[D]<1/100,000
の割合に配合された▲1▼〜▲3▼のいずれかに記載のオレフィン重合触媒及び
【0010】
▲5▼▲1▼記載の、成分(A)遷移金属化合物、成分(B)有機アルミニウムオキシ化合物、(C)担体及び成分(D)少なくとも2種の有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下、オレフィンを重合または共重合するポリオレフィン系重合体の製造方法
を開発することにより上記課題を解決した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るオレフィン重合触媒及びこの触媒を用いたポリオレフィンの製造方法について具体的に説明する。
本発明に用いられる遷移金属化合物(A)は、上記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)または一般式(7)[ただし式中、R1 〜R10は水素、炭素数1〜20を有するアルキル、アルケニル、アリール、アラリール、アラルキル若しくはアリサイクリック系炭化水素基、 アルキルシリル基またはアルキルゲルミル基であり、これらはそれぞれ同一でも異なってもよく、R11は炭素数1〜20のアルキレン基、アルキルゲルミレンまたはアルキルシリレンであり、各Xは炭素または窒素であり、それぞれ同一でも異なってもよく、各Qは水素、炭素数1〜20を有する炭化水素基、アルコキシ、アリロキシ、シロキシもしくはハロゲンであり、それぞれ同一でも異なってもよく、Yは−O−、−S−、−NR12−、−PR12−(R12は水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールである。)で示される電子供与体リガンドであり、Meは周期表の第4族の遷移金属であり、pは0または1である。〕で表される遷移金属化合物である。
【0012】
これら化合物における炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、またアルキルシリル基としてはトリメチルシリル基などが、アルキルゲルミル基としてはトリメチルゲルミル基などが例示できる。
上記式においてMeは、周期表の第4族の遷移金属元素であり(無機化学命名法1990年規則による)、周期律表4族の遷移金属元素、即ちチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれ、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
【0013】
これらの置換基を有する化合物の配位子としては、たとえばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、t−ブチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基あるいはペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアルキル置換シクロペンタジエニル基、また同様の置換基を有する或いは有さないインデニル基、フルオレニル基等が例示できる。
【0014】
上記式にで示される化合物において、R11は炭素数1〜20のアルキレン基、アルキルゲルミレンまたはアルキルシリレンである。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、テトラヒドロピラン−4−イリデン基、ジフェニルメチレン基などが例示でき、またアルキルシリレン基としては、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基などを例示でき、またアルキルゲルミレン基としては、ジメチルゲルミレン基、ジフェニルゲルミレン基などが例示できる。
【0015】
また、Xは炭素または窒素であり、それぞれ同一でも異なってもよく、Qは水素、炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アラリール、アラルキル等の炭化水素基、アルコキシ、アリロキシ、シロキシまたはハロゲンであり、それぞれ同一でも異なっても良い。
更にYは−O−、−S−、−NR12−、−PR12−で示される電子供与体リガンドである。ここでR12は水素または炭素数1〜20を有するアルキル、アルケニル、アリール、アラリール、アラルキルなどの炭化水素基あるいはハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールである。具体的には、炭化水素基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基などのアルキル基、更にフェニル基、ベンジル基などが例示できる。この中で、−NR12−、−PR12−型のリガンドが好ましい。
【0016】
以下、一般式(1)または一般式(2)で表される遷移金属化合物についてMeがジルコニウムである場合の具体的な化合物を例示する。
一般式(1)で表される遷移金属化合物として、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、シクロペンタジエニルジルコニウムトリメチル、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリメチル等が例示できる。
【0017】
また、一般式(2)で表される遷移金属化合物としては、ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4、5、6、7、−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(t−ブチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(t−ブチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル等が例示できる。
【0023】
上記のようなジルコニウム化合物に於いて、ジルコニウムをハフニウムあるいはチタニウムに変えた遷移金属化合物を例示することもできる。
また、本発明に係る遷移金属化合物の使用については、上述した遷移金属化合物から1種或いは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0024】
本発明において用いられる(B)成分の有機アルミニウムオキシ化合物としては、通常アルミノキサン系化合物がが好ましく用いられるが、後述のようにアルミノキサンの変性物も用いことができる。
【0025】
上記のアルミノキサンの代表例は一般式(8)
(R13)2 Al−[O−Al(R13)]m −(R13) ・・・(8)
または、一般式(9)で表される有機アルミニウム化合物
【化15】
である。
〔ただしR13は、水素、あるいは炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基である。炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などを挙げることができ、好ましくはメチル基、イソブチル基である。ただし同一式中であっても上記列挙した異なった炭化水素基などの置換基を任意に含有してもよく、例えば異なる炭化水素基を有する繰り返し単位をブロック的に結合したものであっても、規則的あるいは不規則的に結合したものであってもよい。mは、1から100であり、好ましくは4以上、とりわけ8以上が好ましい。〕
この種の化合物の製法は公知であり,例えば結晶水を有する塩類(硫酸銅水和物、硫酸アルミ水和物)の炭化水素溶媒懸濁液に有機アルミニウム化合物を添加して得る方法や炭化水素溶媒中で有機アルミニウム化合物に、固体、液体あるいは気体状の水を作用させる方法を例示することが出来る。
この場合、アルミノキサンとして、一般式(8)及び(9)の化合物を2種、あるいはそれ以上を混合して用いても良い。
【0026】
アルミノキサンを製造する際に用いる有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどの中から選ばれる。その中でトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムから選ばれるのが好ましい。
【0027】
またアルミノキサンの製造の際に用いられる炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素などを例示できる。これらの溶媒のうち、芳香族炭化水素が好ましい。
【0028】
本発明の触媒において用いられる(B)成分中の有機アルミニウムオキシ化合物は有機アルミニウムオキシ化合物が含まれておれば良く、これ以外の成分が添加されたり、あるいは変性されたものであっても構わない。添加物を加えた有機アルミニウムオキシ化合物あるいは変性された有機アルミニウムオキシ化合物としては、例えば水を加えたり、加熱したりして溶媒への溶解度を下げたアルミノキサン化合物、活性水素含有有機極性化合物で末端を変性したアルミノキサン化合物、活性水素を持たない有機極性化合物を付加させたアルミノキサン化合物等が例示できる。
【0029】
この時に使用される活性水素を持たない有機極性化合物とは、リン原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の中から選ばれる原子を分子内に少なくとも1つ持ち、かつ活性水素を持たない有機極性化合物であり、該原子を含む官能基を持つ化合物で活性水素を持たない化合物を言う。活性水素とはリン原子、窒素原子、硫黄原子あるいは酸素原子に直接結合した水素のことを言う。
上記のようなリン原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の中からえばれる原子を分子内に少なくとも1つ持ちかつ活性水素を持たない有機極性化合物はこの条件を満たしていれば任意に選択できるが、好ましくはリン酸エステルである。
【0030】
本発明において用いられる、リン原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の中から選ばれる原子を分子内に少なくとも1つ持ち、かつ活性水素を持たない有機極性化合物と有機アルミニウムオキシ化合物との付加反応は、炭化水素溶媒中で、有機アルミニウムオキシ化合物、例えばアルミノキサンと上記有機極性化合物を混合して反応左折ことで製造することができる。
この反応に用いられる有機極性化合物の量は、有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウム原子1当量に対して0.0001〜0.5mol、好ましくは0.001〜0.3mol、更に好ましくは0.005〜0.2mol当量用いることが望ましい。
【0031】
(C)成分の担体として用いるものは、多孔質微粒子状であり、重合媒体中で固体であるものが良く、無機酸化物、無機塩化物、無機炭酸塩、無機硫酸塩或いは有機物ポリマーから選ばれる。
無機酸化物としては、例えばSiO2 、Al2 O3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、CaOの無機酸化物、あるいはSiO2 −Al2 O3 、SiO2 −MgO、SiO2 −ZrO2 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −CaO、Al2 O3 −MgO、Al2 O3 −ZrO2 、Al2 O3 −TiO2 、Al2 O3 −CaO、ZrO2 −TiO2 、ZrO2 −CaO、ZrO2 −MgO、TiO2 −MgO等の複合酸化物、塩化マグネシウム等の無機塩化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等の無機炭酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機硫酸塩が例示できる。
有機ポリマー担体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの微粒子が例示できる。
これらの中で、無機酸化物、特にSiO2 、Al2 O3 及びその複合酸化物から選ばれる事が望ましい。
【0032】
本発明に係る多孔質微粒子としては、平均粒子径が1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。また比表面積が10〜1000m2 /gの範囲であることが好ましく、更に100〜800m2 /gの範囲であることがより好ましく、特に好ましくは、200〜600m2 /gの範囲である。また、細孔体積については、0.3〜3cc/gの範囲であることが好ましく、更に0.5〜2.5cc/gの範囲であることがより好ましく、特に好ましくは、1.0〜2.0cc/gの範囲である。
【0033】
本発明に係る好ましい担体であるSiO2 、Al2 O3 及びその複合酸化物は、処理条件によって吸着している水の量や、表面水酸基の量が異なってくる。これらの好ましい範囲としては含水量が5重量%以下であり、表面水酸基量が表面積に対して1個/(nm)2 以上である。含水量及び表面水酸基の量をコントロールするには、焼成温度や焼成時間の選択、有機アルミニウム化合物や有機ホウ素化合物などで処理することで行える。
【0034】
本発明においては、成分(A)あるいは成分(B)を成分(C)の担体に担持することが好ましく、特に成分(B)の有機アルミニウムオキシ化合物を成分(C)の担体に担持させた後用いることが好ましい。本発明で用いる有機アルミニウムオキシ化合物またはその変性物などの担体への担持方法としては、
▲1▼担体に有機アルミニウム化合物を担持させた後、水あるいは有機極性化合物との反応を行う方法。
▲2▼有機アルミニウム化合物と、水あるいは有機極性化合物との反応物を担体上に担持する方法。
▲3▼担体に水あるいは有機極性化合物を含浸させた後、有機アルミニウム化合物を加え、担体上で反応物を生成させる方法。
が例示できる。
ただし、担持の際に用いられる有機アルミニウム化合物は、水との反応を行う場合、トリアルキルアルミニウムあるいはアルミノキサンであり、有機極性化合物との反応を行う場合はアルミノキサンである。これらの方法の中で水と反応させる場合は▲2▼、▲3▼の方法が好ましく、特に▲2▼の方法が好ましい。有機極性化合物と反応させる場合は、▲1▼、▲3▼の方法が好ましく、特に▲1▼の方法が好ましい。
【0035】
担持に際し、担体と有機アルミニウムオキシ化合物の接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素等を用いることができるが、好ましくは芳香族炭化水素溶媒である。
担体と有機アルミニウムオキシ化合物を接触させる温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−20〜100℃、更に好ましくは0〜50℃で行う。また、接触させる時間は、0.05〜200時間、好ましくは0.2〜20時間程度である。
【0036】
担体に担持される有機アルミニウムオキシ化合物あるいは有機アルミニウムオキシ化合物の変性物の量は、アルミニウム原子に換算して担体1gに対して5×10-4〜0.05グラム原子の範囲であることが好ましく、更に5×10-3〜0.01グラム原子の範囲であることが好ましい。
【0037】
担体に担持された有機アルミニウムオキシ化合物(B)は、そのまま用いても良いが、不活性炭化水素溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素等で洗浄して用いることが好ましい。その際の洗浄温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは50〜150℃である。
【0038】
本発明の(D)成分の有機金属化合物としてはアルキルリチウム及びジアルキルマグネシウムの少なくとも1種とトリアルキルアルミニウムからなる少なくとも2種の有機金属化合物を用いる。
この有機金属化合物(D)のうちアルキルリチウムとしては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、イソペンチルリチウム、ネオペンチルリチウムの中から選ばれる。この中で、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムが好ましい。
【0039】
またジアルキルマグネシウムとしては、n−ブチルエチルマグネシウム、ジ−sec−ブチルマグネシウム、n−ブチル−sec−ブチルマグネシウム、ジ−tert−ブチルマグネシウム、ジネオペンチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウムの中から選ばれる。この中で、n−ブチルエチルマグネシウム、ジ−sec−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウムが好ましい。
【0040】
更に、トリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウムの中から選ばれる。この中でトリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
【0041】
(D)成分を構成する2種の有機金属化合物はモノマーの存在下、または非存在下にかかわらず予め接触して重合に使用してもよいし、リアクター中で重合溶媒存在下に接触して使用してもよいが、予め接触させてから使用することが好ましい。
2種の有機金属化合物を接触して使用する場合、その混合比はアルキルリチウムのモル数を[L]、ジアルキルマグネシウムのモル数を[M]、トリアルキルアルミニウムのモル数を[A]とすると、アルキルリチウムとトリアルキルアルミニウムの組み合わせの場合、混合系中に一般式(10)、
【化16】
[式中、R14〜R17は、炭素数1〜20を有する炭化水素基である。]
で表される構造を骨格中に有する有機金属化合物が存在するような混合比であれば構わないが、[L]/[A]の値が1/20〜20、好ましくは1/10〜10、である。
【0042】
ジアルキルマグネシウムとトリアルキルアルミニウムの組み合わせの場合、混合系中に一般式(11)
【化17】
[式中、R14〜R18は炭素数1〜20を有する炭化水素基である。R16とMg、R17とAlの結合は欠電子結合である。]
で表される化合物が存在するような混合比であれば構わないが、[M]/[A]の値が1/20〜20、好ましくは1/10〜10であることが望ましい。
【0043】
(D)成分を形成する少なくとも2種の有機金属化合物の接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素などを用いることができるが、好ましくは脂肪族炭化水素溶媒である。
不活性炭化水素溶媒中で少なくとも2種の有機金属化合物を接触させて調製した(D)成分はそのまま溶液あるいは懸濁液として重合に用いてもよいし、一度溶媒を留去させた後、溶媒を変え、再び溶液あるいは懸濁液とした後使用してもよい。少なくとも2種の有機金属化合物を接触させる温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜50℃で行う。また接触させる時間は、0.05〜200時間、好ましくは0.2〜20時間程度である。
重合に使用する際の[D]成分の濃度は、少なくとも2種の有機金属化合物のモル数の和を総モル数とすると、総濃度は0.05〜5mol/リットル、好ましくは0.1〜1mol/リットルで行う。
【0044】
本発明に用いられる遷移金属化合物(A)と有機アルミニウムオキシ化合物(B)担体(C)及び少なくとも2種の有機金属化合物(D)の接触は、モノマーの存在下、あるいは非存在下、重合前に行っても良いし、あらかじめ接触無しにそれぞれ重合系内に導入してもよい。好ましい態様は担体(C)に担持した有機アルミニウムオキシ化合物を用いることである。より具体的には、遷移金属化合物(A)と担体(C)に担持された有機アルミニウムオキシ化合物(B)及び少なくとも2種の有機金属化合物(D)の接触順序は任意に選ばれるが、遷移金属化合物(A)と担体(C)に担持された有機アルミニウムオキシ化合物(B)を予め混合した後、少なくとも2種の有機金属化合物(D)と接触させる方法、あるいは遷移金属化合物(A)と担体(C)に担持された有機アルミニウムオキシ化合物(B)と2種の有機金属化合物(D)を予め混合した後再び2種の有機金属化合物(D)と接触させる方法が好ましい。
ここで遷移金属化合物(A)と担体(C)に担持された有機アルミニウムオキシ化合物(B)と、少なくとも2種の有機金属化合物(4)の事前接触を行う場合、それらの反応は通常不活性炭化水素溶媒中で行う。
【0045】
この際に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素を用いることができる。本発明に用いられる遷移金属化合物(A)と有機アルミニウムオキシ化合物(B)と少なくとも2種の有機金属化合物(D)の接触比は、遷移金属化合物(A)のモル数を[A]、有機アルミニウムオキシ化合物(B)中のアルミニウム原子のモル数を[B]、少なくとも2種の有機金属化合物(D)の調製に使用される2種の有機金属化合物のモル数の和を[D]とすると、[A]/[B]の値が、1/5〜1/10,000、好ましくは1/10〜1/2,000、また[A]/[D]の値が、1〜1/100,000、好ましくは1/10〜1/10,000であることが望ましい。
【0046】
本発明に使用するオレフィン単量体としては、エチレン単独、プロピレン単独、あるいはエチレンとプロピレン、またはこれらに1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの環状オレフィン類、また、ジエン類としては、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエンなどのコモノマーとを共重合することができる。共重合の際にこれら2種以上のコモノマ−を混合してエチレンまたはプロピレンとの共重合に用いることもできる。
【0047】
本発明のオレフィン重合触媒が使用できる重合方法は、溶液重合、スラリー重合、気相重合のいずれも可能であり、好ましくは、スラリー重合あるいは気相重合である。また多段重合も可能である。場合によってはオレフィンを予備重合した後に重合反応をしても良い。
本発明に係るポリオレフィンの製造方法で用いられる重合触媒の使用量は、限定する必要はないが、重合反応系内の遷移金属化合物の濃度で通常、10-8〜10-2mol/l、好ましくは、10-7〜10-3mol/lの範囲である。
反応系のオレフィン圧も広い範囲で使用できるが、好ましくは常圧から50kg/cm2 の範囲であり、重合温度も広い範囲で使用できるものであり、−30℃から200℃の範囲、好ましくは0℃から120℃の範囲である。生産性を考慮すると50〜90℃の範囲が特に好ましい。
重合に際しての分子量調節は公知の手段、例えば温度の選定あるいは水素の導入により行うことができる。
【0048】
本発明のオレフィン重合触媒を用いて製造した重合体あるいは共重合体は、幅広い範囲の分子量を有する。つまり、メタロセン種、重合温度の選択、あるいは重合時に導入する水素量の調整により、JIS K−7210.「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の、条件14(190℃、荷重21.6kgf:以下HLMFRという。)でのメルトフローレートが0.0001g/10minの高分子量のものから、条件4(190℃、荷重2.16kgf:以下MFRという。)でのメルトフローレートが10,000g/10minの低分子のものまでが製造可能である。
また本発明における重合体あるいは共重合体は、平均粒径がおよそ200〜800μmの粒状となり、その嵩密度が0.30〜0.45g/ccと高く、粉体性状が優れている特徴がある。
更に、本発明の触媒を用いて製造した重合体あるいは共重合体は、実用物性に悪影響を及ぼす触媒成分残渣含量が少ない。
これ以外にも本発明のオレフィン重合触媒を用いて製造した共重合体は、本質的にランダム性に優れ、組成分布が狭い。そのため、得られた共重合樹脂は、透明性に優れる、抽出成分が少ない、低温ヒートシール性に優れるなどの良好な特性を有する。
【0049】
【実施例】
(参考例)
本発明において使用する成分(A)の遷移金属化合物と、(D)成分として、一般式(10)、一般式(11)で表される成分を構造中に有する有機金属化合物を用いてエチレン重合を行った結果を示す。
【表1】
【0050】
次に本発明を実施例によって具体的に説明する。
メルトフローレートは、JIS K−7210に従い、表1の条件4でMFRを測定し、表1の条件14でHLMFRを測定した。
【0051】
(実施例1)
[アルミノキサンの調製]
十分に窒素置換した200リットルのリアクターに乾燥トルエン50リットルを加え、そこにAl2 (SO4 )3 ・14H2 Oを2.5kg を懸濁させた。ー20℃に冷却後、トリメチルアルミニウム30mol(1.11mol/リットルのトルエン溶液27リットル)を1時間かけて加え、80℃に昇温して12時間攪拌した。その後、窒素雰囲気下で硫酸アルミニウム化合物を取り除き、0.35mol/リットルのメチルアルミノキサンのトルエン溶液70リットルを回収した。この操作をもう一度行って、0.35mol/リットルのメチルアルミノキサンのトルエン溶液を合わせて140リットル得た。
【0052】
[アルミノキサンの担体への担持]
十分に窒素置換した200リットルのリアクターにトルエン30リットルとシリカ(デビソン952を300℃、4時間焼成したもの)1.8kgを加え、この懸濁液に上記のメチルアルミノキサン[0.35M(Al原子換算)トルエン溶液、メチル基/アルミニウム原子=1.30]44.4リットルを加え、室温にて60分撹拌した。その後減圧条件下溶媒を留去した。ヘキサン60リットルを加えて固体成分のヘキサンスラリーを得た。この操作をもう一度行って、合わせて固体成分5.2kgが120リットルのヘキサンに懸濁している固体成分のヘキサンスラリーを得た。
【0053】
[重合]
十分に窒素置換した内容積290リットルのループ型重合反応器に、イソブタンを供給し、重合反応器をイソブタンで満たした後、撹拌しながら70℃まで昇温した。次いでエチレンを分圧で10kg/cm2 となるように供給し、更にビス(ノルマルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.2g/リットル)を330ml/hr、上記調製した固体触媒成分を2.0g/hr、ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液(混合モル比[Mg]/[Al]=0.2/1、ヘキサン中20℃で30分間攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を142ml/hrの割合で連続的に供給して重合を開始した。
重合溶媒であるイソブタンを51.5kg/hrの割合で連続的に供給しつつ、重合反応器の重合条件をエチレン分圧10kg/cm2 ,重合温度70℃、滞留時間1時間、重合反応器内のポリマースラリーの線速度を6m/secに保持した。重合反応器内の液組成は、エチレン7.7モル%、イソブタン91.6モル%であった。
【0054】
この結果、上記条件にて18.9kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーの190℃、荷重2.16kgf/cm2 でのMFRは0.18g/10minであり、190℃、荷重21.6kgf/cm2 でのHLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.8、密度は0.9396g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.33g/cc、平均粒径は340μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0055】
(実施例2)
十分に窒素置換した内容積290リットルのループ型重合反応器に、イソブタンを供給し、重合反応器をイソブタンで満たした後、撹拌しながら70℃まで昇温した。次いで、エチレンを分圧で10kg/cm2 となるように供給した。また、1−ヘキセンを、重合反応器内の1−ヘキセン濃度がエチレンに対して0.35(モル比)となるように供給し、更にビス(ノルマルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.2g/リットル)を330ml/hr、上記調製した固体触媒成分を2.0g/hr、ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液(混合モル比[Mg]/[Al]=0.1/1、ヘキサン中20℃で30分間攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を142ml/hrの割合で連続的に供給して重合を開始した。重合溶媒であるイソブタンを51.1kg/hrの割合で連続的に供給しつつ、重合器の重合条件をエチレン分圧10kg/cm2 、重合温度70℃、滞留時間1時間、重合反応器内のポリマースラリーの線速度を6m/secに保持した。重合反応器内の液組成はエチレン7.4モル%、1−ヘキセン2.2モル%、イソブタン90.3モル%であった。
【0056】
この結果、上記条件にて16.6kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは4.30g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.6、密度は0.9290g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.33g/cc、平均粒径は310μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0057】
(実施例3)
ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液(混合モル比[Mg]/[Al]=0.4/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて17.6kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.18g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.7、密度は0.9395g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.32g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0058】
(実施例4)
ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液(混合モル比[Mg]/[Al]=0.4/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて15.9kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは3.68g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.8、密度は0.9321g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.32g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0059】
(実施例5)
ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液(混合モル比[Mg]/[Al]=1/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて17.9kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.20g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は16.1、密度は0.9395g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は330μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0060】
(実施例6)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.1/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて18.9kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.17g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は16.3、密度は0.9396g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は340μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0061】
(実施例7)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.1/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて22.5kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.53g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.6、密度は0.9122g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は330μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0062】
(実施例8)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.2/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて19.2kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.13g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.5、密度は0.9388g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0063】
(実施例9)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.2/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて21.3kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.63g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.8、密度は0.9177g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0064】
(実施例10)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.3/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて16.8kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.13g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.4、密度は0.9392g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は330μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0065】
(実施例11)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.3/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて17.2kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは1.00g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.3、密度は0.9165g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は330μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0066】
(実施例12)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.7/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて15.4kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.21g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.8、密度は0.9390g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は340μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0067】
(実施例13)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.7/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて12.6kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは2.60g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は16.3、密度は0.9230g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.35g/cc、平均粒径は330μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0068】
(実施例14)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=1/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて14.8kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.20g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は16.3、密度は0.9397g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.35g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0069】
(実施例15)
ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=1/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて12.8kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは2.50g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は16.1、密度は0.9238g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.33g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0070】
(実施例16)
ノルマルブチルリチウムとトリエチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.2/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて15.0kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.18g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は16.3、密度は0.9391g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.33g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0071】
(実施例17)
ノルマルブチルリチウムとトリエチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.2/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例2と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて13.2kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは3.00g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.9、密度は0.9226g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.32g/cc、平均粒径は310μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0072】
(実施例18)
ビス(ノルマルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニムジクロリドの代わりに、ビス(ノルマルブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドを用いた以外は実施例12と同様の操作を行った。
この結果、上記条件にて10.1kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.06g/10minであり、HLMFRとMFRの比(HLMFR/MFR)は15.5、密度は0.9395g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.33g/cc、平均粒径は300μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0073】
(実施例19)
十分に窒素置換した内容積290リットルのループ型重合反応器に、プロピレンを供給し、重合反応器をプロピレンで満たした後、撹拌しながら50℃まで昇温した。次いでジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.4g/リットル)を330ml/hr、上記調製した固体触媒成分を4.0g/hr、ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.3/1、ヘキサン中20℃で30分間攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を142ml/hrの割合で連続的に供給して重合を開始した。モノマーのプロピレンを12.0kg/hrの割合で連続的に供給しつつ、重合温度50℃、滞留時間1時間、重合反応器内のポリマースラリーの線速度を6m/secに保持した。
この結果、上記条件にて11.6kg/hrの割合でポリプロピレンが生成し、このポリマーの230℃、荷重2.16kgf/cm2 でのMFRは2.50g/10minであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.40g/cc、平均粒径は320μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0074】
(実施例20)
十分に窒素置換した内容積3900リットルの気相リアクターに種ポリマーのポリエチレンを140kg入れた後、窒素をフローしながら70℃まで昇温した。次いでリアクター内の全圧が21kg/cm2 となるようにエチレンを供給し、更に、ビス(ノルマルフチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.3g/リットル)を194ml/hr、上記した固体触媒成分を12.5g/hr、ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.3/1、ヘキサン中20℃で30分攪拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を240ml/hrの割合で連続的に供給して重合を開始した。エチレンを30kg/hrの割合で供給しつつリアクターの重合条件を全圧21kg/cm2 、重合温度70℃、滞留時間5時間に保持した。
この結果、上記条件にて32.5kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーのMFRは0.25g/10minであり、HLMFRとの比(HLMFR/MFR)は16.5、密度は0.941g/mlであった。
また得られたポリマーの嵩密度は0.35g/cc、平均粒径は340μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、リアクター重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへのポリマーの付着は全く無かった。
【0075】
(実施例21)
十分に窒素置換した内容積2901のループ型重合反応器に、イソブタンを供給し、重合反応器をイソブタンで満たした後、撹拌しながら70℃まで昇温した。次いで、エチレンを分圧で10Kg/cm2 となるように供給すると共に、水素を、重合器内の水素濃度がエチレンに対して5.5×10-4(重合比)となるように供給した。さらに、ビス(ノルマルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.2g/1)を330ml/hr、上記調製した固体触媒成分を2.0g/hr、ノルマルブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウム混合物のヘキサン懸濁液(混合モル比[Li]/[Al]=0.3/1、ヘキサン中の20℃で30分撹拌して調製、総濃度0.5mol/リットル)を142ml/hrの割合で連続的に供給して重合を開始した。重合溶媒であるイソブタンを51.5Kg/hrの割合で連続的に供給しつつ、重合器の重合条件をエチレン分圧10Kg/cm2 、重合温度70℃、滞留時間1時間、重合器内のポリマースラリーの線速度を6m/secに保持した。この結果、上記条件にて14.0Kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーの190℃、荷重2.16KgでのMFRは1240.0g/10minであり、190℃、荷重21.6KgでのMFRと190℃、荷重2.16KgでのMFRの比(HLMFR/MFR)は17.8、密度は0.9702g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.34g/cc、平均粒径は340μmであった。上記重合条件で100時間重合した後、重合反応器を開始した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラヘのポリマーの付着は全く無かった。
【0076】
(比較例1)
ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液の代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mol/l)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて15.6kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーの190℃、荷重2.16KgでのMFRは0.18g/10minであり、190℃、荷重21.6KgでのMFRと190℃、荷重2.16KgでのMFRの比(HLMFR/MFR)は16.2、密度は0.9392g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.25g/cc、平均粒径は200μmであった。上記重合条件では、30時間経過時点で攪拌用ポンプに負荷が生じ、重合反応器の温度制御も不可となったため重合を停止した。重合反応器を開放した際に、重合反応器壁及び撹拌用インペラへ厚さ2〜3mmのポリマーの付着が見られた。
【0077】
(比較例2)
ブチルエチルマグネシウムとトリイソブチルアルミニウムの混合物のヘキサン溶液の代わりに、トリノルマルブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mol/l)を用い、142ml/hrの割合で連続的に供給した以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果、上記条件にて15.8kg/hrの割合でポリエチレンが生成し、このポリマーの190℃、荷重2.16KgでのMFRは0.17g/10minであり、190℃、荷重21.6KgでのMFRと190℃、荷重2.16KgでのMFRの比(HLMFR/MFR)は16.3、密度は0.9406g/mlであった。また得られたポリマーの嵩密度は0.27g/cc、平均粒径は220μmであった。上記重合条件では、100時間重合した後、重合反応器を解放した際に、重合反応器壁及び攪拌用インペラへ厚さ0.3〜0.5mm程度のポリマーの付着が見られた。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
本発明は、メタロセン化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、担体及びアルキルリチウムとジアルキルマグネシウムの少なくとも1種とトリアルキルアルミニウムの少なくとも2種の有機金属化合物からなる新規なオレフィン重合触媒及びそれを用いたオレフィン系重合体の製造方法に関するものであって、高価なメチルアルミノキサンの使用量を少なくて十分な重合活性を有し、特に重合時に導入する水素量によって極めて広範囲な分子量を有するポリオレフィンを製造できる性能を有する。
本発明触媒は、溶液重合、スラリー重合あるいは気相重合のいずれにおいても使用可能であるが、一番の特徴として、従来の高性能なメタロセン系触媒がスラリー法に使用する際に問題とされていた反応器壁への付着を、高重合活性、広範な分子量を有するポリマーの製造の能力を有したまま、大幅に減少させることができたことであり、本発明の触媒が開発されることによりメタロセン系触媒のスラリー重合への経済的な適用が可能となり、工業的に安定した製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の触媒のフローチャート図である。
Claims (5)
- (A)一般式(1)、
(B)有機アルミニウムオキシ化合物、
(C)担体及び
(D)アルキルリチウム、ジアルキルマグネシウムから選ばれる少なくとも1種及びトリアルキルアルミニウムの少なくとも2種の有機金属化合物
からなるオレフィン重合触媒。 - アルミニウム原子に換算して担体1グラムに対して、5×10−4〜0.05グラム原子の有機アルミニウムオキシ化合物を担持させた請求項1記載のオレフィン重合触媒。
- 少なくとも2種の有機金属化合物(D)が、ノルマルブチルリチウム、ブチルエチルマグネシウムの少なくとも1種とトリアルキルアルミニウムから選ばれた少なくとも2種の有機金属化合物(D)である請求項1〜2のいずれかに記載のオレフィン重合触媒。
- 成分(A)の遷移金属化合物のモル数[A]、成分(B)の有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子のモル数[B]及び成分(D)調製時に使用する少なくとも2種の有機金属化合物のモル数の和[D]とした時、
1/10,000<[A]/[B]<1/5
1/100,000<[A]/[D]<1
の割合に配合された請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合触媒。 - 請求項1記載の、成分(A)遷移金属化合物、成分(B)有機アルミニウムオキシ化合物、(C)担体及び成分(D)少なくとも2種の有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下、オレフィンを重合または共重合することを特徴とするポリオレフィン系重合体の製造方法。
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