JP3806130B2 - スポーツ用ラケット - Google Patents
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Description
〔技術背景〕
テニス、バトミントン等のラケットは、フレームの剛性、フェースサイズ(打面の面積)の大きさ、ストリングの反発力、プレイヤーの好み等に起因して、張り上げたストリングの張力が満足出来ない場合がある。かかる場合には、我慢するかあるいはストリングを所望の張力に再度張り直すしかない。
また、ストリング自体が有する初期伸びと反復使用による変化で、該ストリングの張力は常に所望の状態で使用できないのが現状である。
本第1の発明に係るラケットは、内方の囲まれた領域にストリングが網目状に張られて打面が形成される環状のフレーム本体と、先端部にプレイヤーが把持するグリップ部分が形成されるシャフト部とを有するラケットにおいて、
前記ストリングを折り返すために、前記フレーム本体に形成された複数のストリング穴(グロメット)と、
相互に近接した位置にある前記ストリング穴間に配置されてストリングの折り返し部位を形成し、該ストリングの折り返し位置を任意の位置に変更可能なストリング張力調整部材とを具備し、
前記ストリング張力調整部材が、該ストリング張力調整部材自身の回転中心からの距離が変化するストリング当接面を周面に有する柱状部材によって構成されていることを特徴とする。
しかして、このように構成されたラケットによれば、前記ストリング張力調整部材を操作することによって、ラケットのストリングの張力を容易に且つ任意の張力に調整することができる。
前記ラケットにおいて、前記ストリング当接面が、前記柱状部材の周面に、テーパ状の螺旋状に形成されていると、連続的に且つ任意の張力に変化させることが可能な構成となる。そして、かかる場合、この柱状部材は、樹脂製であっても、アルミニューム等の金属製であっても、あるいは木製であってもよい。あるいは、セラミック製であってもよい。
前記ラケットにおいて、前記ストリング当接面が、ねじ溝によって形成されていると、簡単な構成で且つ信頼性の高い構成となる。
また、本第2の発明に係るラケットは、内方の囲まれた領域にストリングが網目状に張られて打面が形成される環状のフレーム本体と、先端部にプレイヤーが把持するグリップ部分が形成されるシャフト部とを有するラケットにおいて、
前記ストリングを折り返すために、前記フレーム本体に形成された複数のストリング穴と、
相互に近接した位置にある前記ストリング穴間に配置されてストリングの折り返し部位を形成し、該ストリングの折り返し位置を任意の位置に変更可能なストリング張力調整部材とを具備し、
前記ストリング張力調整部材が、前記ストリングの折り返し位置を変化させるねじ機構を具備していることを特徴とする。
しかして、このように構成されたラケットによると、前記ストリング張力調整部材であるねじ機構を操作することによって、ラケットのストリングの張力を容易に且つ任意の張力に調整することができる。
そして、かかるラケットは、第1の発明にかかるラケットに比べて、ねじの楔作用(倍力作用)を利用して、ストリングの強さを簡単に変化できる点で優れたラケットとなる。
前記いずれかのラケットがヨーク部を具備し、前記ストリング張力調整部材が、前記ヨーク部に配置されていると、現実的に好ましい構成となる。
第2図は、第1図に示すラケットのヨーク部の部分拡大斜視図である。
第3図は、第2図に示すヨーク部に配置されたストリング張力調整部材の構成を示す図で、(a)はストリング張力調整部材の側面図、(b)は(a)に示すストリング張力調整部材の螺旋状に形成されたストリング当接面の状態を示す当該(a)のIIIb−IIIb矢視図、(c)は(a)に示すストリング張力調整部材によって、最も張力が小さい状態でストリングがストリングの折り返し位置に当接している状態を示す(a)のIIIc−IIIc線での断面図である。
第4図は、第3図に示すストリング張力調整部材をラケットのヨーク部に配設した状態での、該ストリング張力調整部材取着部分の部分拡大断面図で、(a)は通常のヨーク部に取着した実施例を示すヨークの長手方向に直交する方向で断面した図、(b)は(a)のIVb−IVb矢視図である。
第5図は、第3図に図示するようなストリング張力調整部材自体を、ヨーク部に隣接した部材の収納穴内に収納するよう構成した実施例を示すヨーク部分の部分拡大斜視図である。
第6図は、第3図とは別の、柱状部材がテーパ柱状部材からなる実施例にかかるストリング張力調整部材の構成を示す図で、(a)はヨーク部分に取着した状態でのヨークの長手方向に直交する方向で断面した図、(b)は(a)のVIb−VIb矢視図である。
第7図は、ねじ機構を使用した別の実施例にかかるストリング張力調整部材の構成を示すヨーク部分に取着した状態での図で、(a)はヨークの長手方向に直交する方向で断面した図、(b)は(a)のVIIb−VIIb矢視図である。
第8図は、ねじ機構を使用した第7図とは別の実施例にかかるストリング張力調整部材の構成を示すヨーク部分に取着した状態でのヨークの長手方向に直交する方向で断面した図である。
第9図は、螺旋状の形状を有する別の実施例にかかるストリング張力調整部材の構成を示すヨーク部分に取着した状態でのヨークの上面方から見た図である。
前記フレーム本体3の周囲には、ストリング2を挿通して折り返すために、該フレーム本体3の内周面3aから外周面3bにかけて貫通しているストリング穴8が形成されている。このストリング穴8(第2図参照)は、フレーム本体3の周縁に、所定の間隔をおいて複数設けられている。従って、フレーム本体3の一部を形成する前記ヨーク部5にも、所定の間隔をおいて複数、この実施例の場合には、6個設けられている。
そして、第2図に図示するように、本発明にかかるラケット1の場合、ヨーク部5の中央部位に形成されている6箇所のストリング穴8(8a,8b,8c,8d,8e,8f)の、ストリング穴8a,8bの間、ストリング穴8c,8dの間、ストリング穴8e,8fの間には、それぞれ1個のストリング張力調整部材9が配設され、これらの穴に挿通されているストリング2によって保持されている。
この実施例にかかるストリング張力調整部材9は、第3図(a)に拡大して図示するように、全体の概略形状が柱状体(この実施例では柱状体の一種の円柱状体)をしており、その外周面(外側周面)には、第3図(a)にあるいは第3図(b)にねじ溝10の溝底10b部分の螺旋状態を示すように、柱状体の一方の端部から他方の端部にかけて、溝の深さが順次連続的に変化する螺旋状のねじ溝10が形成されている。このねじ溝10がストリング当接面となる。
この実施例では、第3図(a)に図示するように、前記ねじ溝10の進み角(ピッチ角)αは、8度〜16度の範囲、特に11.5度程度が好ましい。この角度は、本発明者が試みた結果、種々の条件の元で、ストリング2を保持する上において、且つ、必要なストリング2の張力の調整範囲を得る上で、好ましい角度となる。しかし、この角度に限定されるものでなく、この角度の近傍の角度、あるいはそれ以外の角度であってもよい。また、この実施例では、ストリング張力調整部材9の材質は、ABS樹脂であるが、その他の樹脂(例えば、ガラス繊維強化樹脂)であっても、あるいは木製であっても、あるいはアルミニューム、ジュラルミン又はチタン等の金属製であっても、又はセラミック製であってもよい。
そして、図3に図示するストリング張力調整部材9は、実際には、図1あるいはその部分拡大図である図4(a)、図4(b)に図示するように、ヨーク部5に形成されている、近接(この実施例では隣接)するストリング穴8間に、該ストリング張力調整部材9のねじ溝10内にストリング2が巻回するような状態(第3図(c)参照)で、つまり、ストリング2の折り返し部2Aがストリング張力調整部材9のストリング当接面となるねじ溝10に当接するような状態で、配設される。
この実施例の場合、前記ストリング張力調整部材9自体は、ストリング2の張力によって、ラケット1のフレーム本体3に固定される。
そして、このように構成されたラケット1は、プレイヤーが、ストリング2の張力を変えたいと思ったとき、例えば、もう少し張力を大きくしたいと思うときには、ストリング張力調整部材9の頂面9Aに形成されている六角レンチ穴9Bに、市販の六角レンチ(図示せず)を挿入して、該ストリング張力調整部材9を、この実施例では、第1図あるいは第4図(a)において、反時計方向に回転させれば張力を大きくすることができる。また、逆に、時計方向に回転させれば、張力を小さくすることができる。
具体的には、例えば、回転させることによって、ストリング2が当接しているこのストリング張力調整部材9のストリング当接面を、フレーム本体3の外周面に対して2mm変化させたとすると、ストリング2の張力を約5.7ポンド(2.6kgf)変化させることができ、変化量を3mm程度変化させることができるように構成しておくと、ストリング2の張力を約8.5ポンド(3.8kgf)変化させることができ、2mm〜3mm程度変化可能な構成にしておくと、実用的に十分な値となる。
また、この実施例では、ストリング2のうち、ラケット1のスイートスポットエリア部分の縦方向のストリング2のみ、その張力を調整可能に構成しているが、適宜必要に応じて、スイートスポットエリアの横方向のストリング2も張力を調整可能にしてもよいし、また全体について調整可能に構成してもよい。
しかし、スイートスポットエリアの縦方向のストリングの張力を変化させるだけで、有効にラケットのストリングの張力を調整することができる。
かかる実施例2にかかるラケット1の場合には、第5図に図示するように、ストリング張力調整部材9およびストリング2の折り返し部分等の全てが前記収容穴部材20の内部に収容された状態となるので、外観的に優れた実施例となる。
また、この実施例の場合にも、ストリング張力調整部材9の頂面9Aに形成されている六角レンチ穴9Bに、六角レンチ(図示せず)を挿入して、ストリング2の張力を調整する。
前記実施例では、ヨーク部を具備するラケットを例に挙げて説明したが、本発明は、ヨーク部のあるラケットあるいはヨーク部のないラケットにも適用できる。そして、ヨーク部のないラケットの場合には、ヨーク部に形成されていたストリング穴に代えて、その対応する箇所のフレーム本体に同様にストリング穴を設けることになる。
また、上記説明では、専ら、テニス用のラケットについて説明したが、他の打面にストリングが網目状に張られているラケット、例えば、バトミントン、スカッシュ等種々のラケットに適用することができる。
加えて、本発明にかかるラケットによれば、特に重量的に増加することもなく、また、外観的にアンバランスになることもない。
Claims (3)
- 内方の囲まれた領域にストリングが網目状に張られて打面が形成される環状のフレーム本体と、先端部にプレイヤーが把持するグリップ部分が形成されるシャフト部とを有するスポーツ用のラケットにおいて、
前記ストリングを折り返すために、前記フレーム本体に形成された複数のストリング穴と、
相互に近接した位置にある前記ストリング穴間に配置されてストリングの折り返し部位を形成し、該ストリングの折り返し位置を任意の位置に変更可能なストリング張力調整部材とを具備し、
前記ストリング張力調整部材が、該ストリング張力調整部材自身の回転中心からの距離が変化するストリング当接面を周面に有する柱状部材によって構成されていることを特徴とするラケット。 - 前記ストリング当接面が、前記柱状部材の周面にテーパ状の螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のラケット。
- 前記ストリング当接面が、ねじ溝によって形成されていることを特徴とする請求項2記載のラケット。
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