JP3805485B2 - タービンブレード組付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタービンブレード組付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タービンブレードの組付けの技術に関しては、例えば、実開平7−14102号公報「動翼の取付構造」が提案されており、同公報図3に示されるものがタービンである。
【0003】
なお、以下の説明において、ディスクにタービンブレードを取付けてなるタービンを「タービンロータ」と呼ぶことにする。
図11は従来の斜め溝を備えたタービンロータの部分図であり、ある種のタービンロータ100は、ディスク101に斜め溝102…(…は複数個を示す。以下同様。)を設け、これらの斜め溝102…に各々タービンブレード103を嵌合し、且つタービンブレード103の先端部104同士を互いに連結する形式のものがある。
【0004】
図12は図11の12矢視図であり、斜め溝102…がディスク101の軸に対して傾斜していること、及び先端部104,104を凹凸で掛け止めしたことを示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構造のものは、先端部104同士を掛け止めしなければならないことと、溝102…が斜めであることから、組付けは容易でなく熟練を要する。
タービンブレードの取付け構造が複雑化するなかで、取付け技術の改善が後手に廻っているといえる。
そこで本発明の目的は一般作業者でも複雑な構造のタービンブレードを容易に組付けることのできる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1は、ディスクに放射状に複数本のタービンブレードを組付けるタービンブレード組付け装置において、この組付け装置を、ディスクを水平に支える第1の台座と、この第1の台座の外周を囲んで配設し、前記タービンブレードの先端同士を連結して一周分を仮組したところのブレード仮組み体のタービンブレードの基部をディスクの溝に浅く嵌合させて載置する第2の台座と、この第2の台座を下降可能に支える弾発部材と、第2の台座上のブレード仮組み体のタービンブレードの基部を上から押し下げることでディスク溝にタービンブレードの基部を嵌合させる押圧手段とから構成した。
第1の台座にディスクを水平に置き、一方、ブレード仮組み体を第2の台座に仮置きし、押圧手段でブレード仮組み体を押し下げることによりディスクに組付ける。
タービンブレードのディスクへの取付けを、熟練作業者でなくとも、一般の作業者が行なうことができる。
【0008】
請求項2は、押圧手段に、振動発生機を備えていることを特徴とする。
振動させながら押圧することにより、タービンブレードの基部を嵌合するディスク溝の角度に沿ったスムーズな嵌合ができ、ディスク溝又はタービンブレードの基部に変形及び損傷を与える虞れがない。
【0009】
請求項3は、タービンブレード組付け装置に第2の台座の上限位置を調整することができる上限位置決め機構を備えていることを特徴とする。
第2の台座の上限位置決め機構により、タービンブレード組付け装置運転前のブレード仮組体の基部をディスク溝に浅く嵌合させる作業、及び組付け後タービンブレードとディスクの一体を装置から取り去る作業を効率良く行なうことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るタービンロータの断面図であり、タービンロータ1は、ディスク2と、タービンブレード(以下「ブレード」という。)3…と、ブレード抜け止めピン4とからなる。
【0011】
図2は本発明に係るタービンロータの分解斜視図である。
ディスク2は、外周に等間隔にディスク溝5…を刻設したものである。
ブレード3は、翼8と、この翼8の根元のプラットフォーム9と、このプラットフォーム9の下方に形成したツリー状の基部10と、先端のシュラウド11とからなる。
【0012】
図3は本発明に係るブレード抜け止めピンの側面図であり、ブレード抜け止めピン4は、帯板を加工して、中央に折り重ねて形成した凸部4aと、この凸部4aの一方の直線部4bに続く折り曲げ部4cと、他方の直線部4dとからなる。
このブレード抜け止めピン4は、図1に示す通り、凸部4aはブレード3の底に掛け、折曲げ部4cをディスク2(図2参照)に掛け、且つ直線部4dを折り曲げることにより、ディスク2に対してブレード3の抜け止めを図るものである。
【0013】
図4は図2の4−4矢視図である。
ディスク溝5…は、段付き溝であって、この溝の中心を通る面がディスク2の中心を通り前面6と後面7に垂直に交わる面に対し、前面6から見て反時計方向に角度θをもつように斜めに刻設したものである。
【0014】
図5は本発明に係るタービンブレード組付け装置の断面図である。
タービンブレード組付け装置20は、架台21と、この架台21上の取付板22と、この取付板22に取付けた第1の台座組立部30、第2の台座組立部40、上限位置決め機構50及び押圧手段60とからなり、以下、各部を詳しく説明する。
【0015】
第1の台座組立部30は、第1の台座31と、この第1の台座31の上部中央に取付けた固定軸32と、この固定軸に32に取付ける座金33とナット34とからなる。
第1の台座31は、上面に円環状の受け面31aを備える。31bは逃しのための凹部である。
【0016】
押圧手段60は、押圧手段上部機構61と押圧手段下部機構70とからなり、以下、押圧手段60を分けて説明する。
押圧手段上部機構61は、支持台62と、支持台62の上部に取付けた支持板63と、この支持板63に取付けた昇降シリンダ64と、この昇降シリンダ64のピストンロッド65と、このピストンロッド65の先に取付けたジョイント66と、このジョイント66に取付けた受け台67と、この受け台67の昇降を案内するガイド68,68とからなる。
【0017】
図6は本発明に係る押圧手段下部機構の詳細図であり、押圧手段下部機構70は、受け台67の下部にボルト71…で取付けた押圧軸72と、この押圧軸72にベアリング73,73を介して取付けた押圧台74と、この押圧台74に載せた振動発生機75と、押圧台74の下部に取付けた押金76とからなる。
押圧台74は、押圧軸72にベアリング73,73を介して取付けたので押圧軸72回りに回転可能である。
【0018】
77は回り止めブロック、78は回り止め板であり、79は受け台67と押圧台74を繋ぐ引張りばねである。
回り止めブロック77と回り止め板78とで押圧台74が時計方向に回るのを防ぐものである。
即ち、回り止めブロック77と回り止め板78は、図4に示す如くディスク2の外周に形成したディスク溝5…がディスク2の前面6から後面7にかけて反時計方向に角度θをもつ斜めに形成した溝なので、押圧台74を、このディスク溝5…の形成方向に360度回転可能とし、反対方向には回ることができなくしたものである。
引張りばね79は、押圧台74の押圧が終り、押圧台74が引き上げられたときに、回転した押圧台74を元の位置に戻すためのものである。
【0019】
図7は本発明に係る第2の台座と上限位置決め機構の断面図である。
第2の台座組立部40は、第2の台座41と、この第2の台座41を受ける台座受け台42と、この台座受け台42を上方に押圧する弾発部材としての圧縮ばね43…と、台座受け台42及び圧縮ばね43を備えたガイドバー44…と、ガイドバー44の上部に備えた止め輪45及びナット46,46と、台座受け台42と上限位置決め機構50間を連絡するスペーサ47とからなる。
第2の台座41は、第1の台座31の外周を囲み、底の周囲を残して中を抜いた円筒状のものであり、41aは第2の台座41の上面である。
【0020】
第2の台座の上面41aは、一周分のブレード3…を載せるものである。
台座受け台42は、第2の台座41の下部を載せ、第2の台座41の外周に設けた円環状のものである。
なお、第2の台座41は、この第2の台座41下部を支持する台座受け台42がガイドバー44…にガイドされると共に圧縮ばね43により支持されているので、上面41aを、第1の台座31の上面の円環状縁部31aと平行を保ちつつ下方に移動可能である。
【0021】
上限位置決め機構50は、位置決め板51と、この位置決め板51を上下させるシリンダ52と、このシリンダ52の両側に立てたストッパボルト53,54と、これらストッパボルト53,54の上部に捩じ込んだナット55,55、56,56とからなる。
なお、上限位置決め機構50は、第2の台座41の上面41aの位置を規制するものであり、位置決め板51の位置が決まることで、スペーサ47を介して台座受け台42の位置が決まり、台座受け台42の位置が決まることで第2の台座41の上面41aの位置が決まる。位置決め板51の位置は、この位置決め板51を上下させるシリンダ52のストロークが最大に伸びた位置を上限位置となり、ナット55,55、56,56の最上面に当る位置を下限位置となる。
【0022】
以上に述べたタービンブレード組付け装置の作用を次に説明する。
図8は本発明に係るタービンブレード組付け装置の第1作用図である。
ディスク2を、固定軸32に嵌合し、ディスク2の外周部を矢印▲1▼の如く第1の台座31の円環状受け面31aに載せ、ナット34を座金33を介して固定軸32の先端部に捩じ込むことにより仮締めして、ディスク2を第1の台座31に緩く固定する。
一方、ブレード3…は、仮組する工程により、一周分のブレード3…の先端のシュラウド11…同士を連結して、ブレード3…のみを円環状に組みブレード仮組み体12にされる。仮組する工程はブレード3…の先端のシュラウド11…同士の連結のみの容易な作業である。
次に矢印▲2▼の如く、ブレード仮組み体12のブレード3の基部10…を、ディスク溝5…に浅く嵌合させる仮嵌合工程を行ない、矢印▲3▼に示す如くブレード仮組み体12を第2台座41に載せる。
【0023】
図9は本発明に係るタービンブレード組付け装置の第2作用図であり、仮嵌合工程後のタービンブレード組付け装置20の状態を示す。
図中δは、仮嵌合深さであり、ディスク2の上面2aと、ブレード仮組み体12のブレード3の基部10…の下面との距離である。
ディスク溝5及び基部10の厚みをWとすると、ブレード仮組み体12のブレード3の基部10…は、第2の台座41にディスク2より(W−δ)だけ 高位置に仮置きされることになる。
また、この仮嵌合工程に先立って、図2に示す如く、基部10…にブレード抜け止めピン4…を取付けておく。このブレード抜け止めピン4…の取付けにより、ブレード3…と同時にディスク2に取付けることができるので生産効率が上がる。
仮嵌合時に、ブレード仮組み体12を第2の台座41に載せることで、ブレード仮組み体12が第1の台座31に載せたディスク2に対し平行に仮嵌合したことを確認できる。
仮嵌合後、固定軸32の先端のナット34を堅く締め、ディスク2を第1の台座31に固定する。
【0024】
図10は発明に係るタービンブレード組付け装置の第3作用図であり、タービンブレード組付け装置20を使用して、ブレード3…に振動を与えながら押圧することでディスク溝5…に嵌合する本嵌合工程を説明する。
仮嵌合工程後に本嵌合工程を行なう。
本嵌合工程は、ブレード仮組み体12のブレード3の基部10…に押金76の先端を当て、振動発生機75(図6参照)により押金76に振動を与えながら昇降シリンダ64(図5参照)により押金76を押し下げることで、基部10…をディスク溝5…に嵌合させる工程である。
第2の台座41に載せたブレード仮組み体12のブレード3の基部10…を押圧することで、ブレード仮組み体12が第1の台座31に載せたディスク2に対し平行を保ちつつ降下するので、各ブレード3の基部10…がディスク溝5…に均一に嵌り込み、片当りして、嵌合不能になる虞れがない。
【0025】
本嵌合工程時に、図6に示す如く押圧台74は押圧軸72回りに回転可能であるので、押圧台74に取付けた押金76は、ブレード仮組み体12の斜めに形成したブレード3の基部10…がディスク2の外周に斜めに刻設したディスク溝5…に沿って僅かに旋回しつつ嵌合していくのにあわせて、旋回する。この押金76の旋回により、ブレード3の基部10…を無理なくディスク溝5…に嵌合することができる。
【0026】
本嵌合工程が完了すると、上限位置決め機構50のシリンダ52を作動させ、位置決め板51をナット54,54、55,55の上面に当るまで下げ、スペーサ47の上面を押える。このスペーサ47の上面を押えることで、押金76が上がっても、圧縮ばね43に支えられた台座受け台42及び第2の台座41は上がらない。
第2の台座41が上がらないので、この後のブレード3…をディスク2に組付け完成したタービンロータ1をタービンブレード組付け装置20から取り去る作業を効率良く行なうことができる。
【0027】
この後、昇降シリンダ64(図5参照)を作動させて押金76を待機位置にまで上げ、一体に組立てられたブレード3…とディスク2を取り去る。
最後に、上限位置決め機構50のシリンダ52のストロークを最大に伸ばすことで、第2の台座41を上昇させ、最初の位置に戻す。
第2の台座41の最初の位置が一定になるので、最適な仮嵌合深さδが維持でき、以後の仮嵌合工程を効率良く行なうことができる。
【0028】
以上、各工程の作業が容易なので、ブレード3…のディスク2への取付けを、熟練作業者でなくとも、一般の作業者が行なうことがでる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1のタービンブレード組付け装置は、ディスクを水平に支える第1の台座と、この第1の台座の外周を囲んで配設し、前記タービンブレードの先端同士を連結して一周分を仮組したところのブレード仮組み体のタービンブレードの基部を前記ディスクの溝に浅く嵌合させて載置する第2の台座と、この第2の台座を下降可能に支える弾発部材と、第2の台座上のブレード仮組み体のタービンブレードの基部を上から押し下げることでディスク溝にタービンブレードの基部を嵌合させる押圧手段とからなり、第1の台座にディスクを水平に置き、一方、ブレード仮組み体を第2の台座に仮置きし、このブレード仮組み体がディスクに対し平行であることを確認した後に押圧手段でブレード仮組み体のタービンブレードの基部を押し下げることによりディスクに組付けるので、各タービンブレードの基部をディスク溝に均一に嵌め込み、嵌合させることができ、タービンブレードのディスクへの取付けを、熟練作業者でなくとも、一般の作業者が行なうことができる。
【0030】
請求項2のタービンブレード組付け装置は、押圧手段に、振動発生機を備えているので、振動させながら押圧することにより、タービンブレードの基部を嵌合するディスク溝の角度に沿ったスムーズな嵌合ができ、ディスク溝又は基部に変形及び損傷を与える虞れがない。
【0031】
請求項3のタービンブレード組付け装置は、第2の台座の上限位置を調整することができる上限位置決め機構を備えているので、タービンブレード組付け装置運転前のブレード仮組体の基部をディスク溝に浅く嵌合させる作業、及び組付け後タービンブレードとディスクの一体を装置から取り去る作業を効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタービンロータの断面図
【図2】本発明に係るタービンロータの分解斜視図
【図3】本発明に係るブレード抜け止めピンの側面図
【図4】図2の4−4矢視図
【図5】本発明に係るタービンブレード組付け装置の断面図
【図6】本発明に係る押圧手段下部機構の詳細図
【図7】本発明に係る第2の台座と上限位置決め機構の断面図
【図8】本発明に係るタービンブレード組付け装置の第1作用図
【図9】本発明に係るタービンブレード組付け装置の第2作用図
【図10】本発明に係るタービンブレード組付け装置の第3作用図
【図11】従来の斜め溝を備えたタービンロータの部分図
【図12】図11の12矢視図
【符号の説明】
1…タービンロータ、2…ディスク、3…タービンブレード、4…ブレード抜け止めピン、5…ディスク溝、10…タービンブレードの基部、11…タービンブレードの先端(シュラウド)、12…ブレード仮組み体、20…タービンブレード組付け装置、31…第1の台座、41…第2の台座、43…弾発部材(圧縮ばね)、50…上限位置決め機構、60…押圧手段、75…振動発生機。
Claims (3)
- ディスクに放射状に複数本のタービンブレードを組付けるタービンブレード組付け装置において、
この組付け装置は、前記ディスクを水平に支える第1の台座と、この第1の台座の外周を囲んで配設し、前記タービンブレードの先端同士を連結して一周分を仮組したところのブレード仮組み体のタービンブレードの基部を前記ディスクの溝に浅く嵌合させて載置する第2の台座と、この第2の台座を下降可能に支える弾発部材と、第2の台座上のブレード仮組み体のタービンブレードの基部を上から押し下げることでディスク溝にタービンブレードの基部を嵌合させる押圧手段とからなることを特徴としたタービンブレード組付け装置。 - 前記押圧手段は、振動発生機を備えていることを特徴とした請求項1記載のタービンブレード組付け装置。
- 前記第2の台座の上限位置を調整することができる上限位置決め機構を備えていることを特徴とした請求項1記載のタービンブレード組付け装置。
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