JP3805448B2 - コンクリート構造物の強度の測定方法並びに装置 - Google Patents

コンクリート構造物の強度の測定方法並びに装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物の表面を一定エネルギーで連続的に打撃して、その打撃の反発度から推定して部材強度や内部欠陥などを検知する方法並びに装置に関する。
【0002】
本発明の方法並びに装置は、例えば、▲1▼吹き付けコンクリートの強度、コンクリート法面における既存法面の非密着部分や背面空洞の検知、▲2▼表面はつり除去後のコンクリート強度、▲3▼凍結融解作用を受けたコンクリートの内部の強度、劣化深さの測定、▲4▼コンクリートの初期材齢強度の測定、▲5▼トンネル覆工背面の空洞探査、▲6▼耐震補強鋼板巻き立て工事における裏込材の未充填箇所や一体化不良箇所の検知、▲7▼構築物外壁タイルの剥離箇所の検知、などに適用される。
【0003】
【従来の技術】
構造物、特にコンクリート構造物の部材強度、危険個所、劣化箇所、欠陥などを検知する調査技術として様々な手法が開発されている。
【0004】
例えば、目視による検査は古くから行われている基本的な検査手法であるが、この方法は、あくまでも視覚に頼るので判断が経験的、感覚的になり経験を積んだ技術者でなければ判断することができず、しかも外部に現れない内部欠陥については検査不能である。
【0005】
コンクリート構造物の内部欠陥の検査では、穿孔サンプリングによる方法が取られる場合もあるが、非常に煩雑であるだけでなく一部とはいえ構造物を破壊するものであるから好ましい手法ではなく、サンプルを取ることができない箇所の内部欠陥については検査不能である。
【0006】
以上の理由から、現在では、構造物を破壊することなく目視不能な内部欠陥などを検査する非破壊検査の手法が行われており、赤外線法、レーダー法、衝撃弾性波法、打音法、反発度法などが知られている。
【0007】
赤外線法は、赤外線カメラを用いて対象物の温度分布を測定し、温度の異なる点、温度変化の大きな点を異常箇所として検知する方法であるが、温度変化を与える要因としての日光、気温変化が自然現象であり、その変化が予測しにくいので再現性が低く、また、風などの自然現象による影響も受け易い難点がある。更に、機器も高価である。
【0008】
レーダー法は、電磁波を対象物に照射し、表面及び内部からの反射波を測定することによって内部空洞などを検知する方法であるが、金属等が内部に存在する構造物では測定が困難であり、また、測定の際の電磁波の照射角度を一定に保つ必要があるが、表面に凹凸等がある構造物では利用するのが困難であるだけでなく機器も高価である。
【0009】
衝撃弾性波法は、対象物の表面を打撃し、その反射波を振動子(超音波センサー)で測定し、その周波数特性を評価することによって、内部欠陥や背面空洞の有無を検知する方法であるが、振動子を対象物の表面に密着させる必要があり、対象物の表面形状によっては測定作業に困難性を伴う。
【0010】
打音法は、対象物の表面を打撃してその打撃音を人間の耳で判断する原始的な方法から出発しているが、打撃音をマイクロフォンを用いて集音し、その周波数や振幅などを評価する方法へと発展している。打撃音を人間の聴覚で判断する原始的な方法は、技術者の経験に左右されるだけでなく、結果を数値化して表現できない難点もある。マイクロフォンを利用する方法では、数値的な比較を行うために打撃エネルギーを一定に保つ機構が重要になるが、打撃点から直接放射される音を測定する方法をとっているので打撃装置そのものから放射される音がノイズとなり測定誤差が生じやすい難点があるだけでなく、判定基準値が明確にされていないので、結果的に判断が経験的になっている。
【0011】
反発度法は、対象物表面を打撃してその反発度を測定する装置により、反発度から対象物の強度を測定する方法であり、打撃時に発生するくぼみによって反発度が低下する程度を以て強度の評価としている。この方法は、対象物がしっかり固定された状態で使用するものであり、背面に空洞があるような構造物では、それ自体が振動するので適正な測定ができない難点がある。また、測定結果が対象物の表面性状に左右され易く再現性が低い難点もある。
【0012】
更に、反発度法としてシュミットハンマー法が知られている。シュミットハンマー法は、対象物(コンクリート、岩など)の表面を打撃してその反発度を測定することにより対象物の強度などを検知する手法である。シュミットハンマー法の原理は、打撃により対象物の表面に発生する窪みによって反発度が低下する程度を以て強度を評価しており、これはブリネル強度試験を基としている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したシュミットハンマー法は、利用の手軽さから多用されているが、▲1▼対象物の表面性状の影響を受け易く、僅かな凹凸や付着物の影響を大きく受ける、▲2▼対象物に直角に設置しなければならないが、人が支持するので直角を保つのに困難が伴う、▲3▼測定のバラツキが大きいので、例えば現在の測定方法では、打撃位置を少しずつ移動させながら多数回(25回程度)打撃しなければ十分な精度が得られない、▲4▼人力に頼るので労力が大きく、安定した打撃を行ないにくい、などの問題点が指摘されている。
【0014】
また、従来のシュミットハンマーで若材齢コンクリートの強度を測定しようとすると、プランジャーの先端が被測定物中に貫入するに従ってプランジャーを保持しているハウジングの下端が被測定物の表面に当接してしまい、それ以上の打撃が困難である外、プランジャーの貫入量を測定する手段もない。
【0015】
本発明は、上記したシュミットハンマー法を改善し、特に、従来のシュミットハンマー法では測定が困難であった表面の凹凸の激しい箇所、表面の劣化箇所、表面に付着物などが存在する箇所、更には、プランジャーの先端が大きく貫入してしまう若材齢コンクリートなどに適用でき、しかも、熟練者によらずとも簡略な操作で効率よく行うことができるるよう改善されたコンクリート構造物の強度の測定方法並びに装置を明らかにすることを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
1.コンクリート構造物の表面の同一箇所を一定のエネルギーで複数回連続して打撃し、当該打撃に対するコンクリート構造物の反発度の初期値、最終値、変化率を測定すると共に、当該打撃によるプランジャーの被測定物への貫入量を測定し、この貫入量と前記反発度との相関関係により被測定物の強度を推定することを特徴とするコンクリート構造物の強度の測定方法。
【0017】
2.コンクリート構造物の表面の同一箇所を一定のエネルギーで複数回連続して打撃し、当該打撃に対するコンクリート構造物の反発度を電気的な数値として検出すると共に、当該打撃によるプランジャーのコンクリート構造物への貫入量を検出する打撃装置と、該打撃装置により検出された反発度情報に従って反発度の初期値と最終値及び初期値から最終値に至る変化率を計算する測定装置とから成り、前記反発度とプランジャーの貫入量との相関関係によりコンクリート構造物の強度を推定することを特徴とするコンクリート構造物の強度の測定装置。
3.打撃装置が、打撃を単発で行なうモードと、連続的に複数回行なうモードを有していることを特徴と前記2に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
4.打撃装置が、打撃エネルギー可変機構を有していることを特徴とする前記2に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
5.打撃装置が、打撃位置固定手段を有していることを特徴とする前記2又は3に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
6.打撃装置が、打撃により生じたコンクリート屑などの破砕物を打撃位置から排除する機構を有していることを特徴とする前記2、3、又は4に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
【0018】
【発明の具体的構成】
本発明に係る測定方法の理解を容易にするために、図1に従って、本発明の方法と従来のシュミットハンマー法との違いを説明する。
【0019】
図1−Aに示す従来のシュミットハンマー法は、平坦な測定面の同一地点に打撃を1回行ない、そのときに発生する窪みの多少により反発度に差が生じることを利用するものである。従って、測定面は平坦でなくてはならず、また、同一地点で打撃を繰り返すことは、窪みの発生量に影響するので避けなけばならなかった。更に、測定値にバラツキが大きいので打撃位置を少しずつ移動させながら多数回(25回程度)打撃しないと十分な精度が得られにくいものであった。
【0020】
図1−Bに示す本発明の測定方法では、打撃箇所は平坦でなく表面に凹凸がある箇所でよく、第1回打撃から第n回まで同一地点で連続的に打撃を繰り返すことにより、第1回打撃(従来法に相当し、初期値が得られる)から、同一地点で打撃を繰り返すことにより、窪みを増大させ(このとき、打撃により生じたコンクリート屑などは圧搾空気の吹き付けなどにより除去する)、第n回の打撃により、打撃面がプランジャーの先端面の形状に対応するよう窪みが形成され、測定される反発度が安定した段階をもって反発度の最終値とする。打撃箇所が平坦で堅固な場合には、初期値から最終値へは比較的少数回(2〜3回)の打撃で移行するが、打撃箇所が凹凸面である、或いは、表面が劣化している、などの場合は連続的な打撃により表面層が粉砕されるまでは安定した値(最終値)を得ることができない。従って、初期値、最終値と共に初期値から最終値へと至る変化率を測定の対象とすることにより、対象物の強度などを正確に知ることができる。
【0021】
本発明の測定方法を実施する測定装置は、図2に示すように、打撃装置10、測定装置20、パソコン30で構成される。以下、順次説明する。
【0022】
本発明に係る測定方法を実施する打撃装置10として要求される構造並びに機能を概説すれば、次の通りである。即ち、先ず、単発の打撃だけでなく、連続的な打撃を行なうことができる構造であること、単発打撃と連続打撃を切り換え操作できる構造であること、打撃エネルギーを可変とする構造であること、対象物の違いによりプランジャーの直径・寸法・先端形状などの違うものを適宜交換して利用できる構造であること、同一の打撃箇所で連続的に打撃を行なうので、打撃位置がずれないように位置固定を行なうことができる構造であること、連続的な打撃により発生したコンクリート屑を打撃箇所から排除する機構を有することなどである。
【0023】
図3には打撃装置の1例が示されている。この打撃装置10は、コンクリート強度推定に利用されている公知のシュミットハンマーを基本として採用し、更に打撃位置及び打撃エネルギーを一定に保つことができるように改良が行われており、位置固定具11が外部に取り付けられたハウジング12内にプランジャー固定用バネ13に支持されてプランジャー14が配置されており、更に、プランジャー14の上部にはカウンターウエイト15、加力バネ16、駆動部17、反発度測定器18が配置されている。この打撃装置10による反発度の測定は次のようにして行われる。▲1▼位置固定具11の先端を測定対象物の表面に接触させる。▲2▼駆動部17を作動させてカウンターウエイト15を上方(測定対象物から遠ざかる方向)に引き上げ、加力バネ16を圧縮させる。▲3▼加力バネ16の圧縮が一定の値に達した時点でバネを解放し、カウンターウエイト15によりプランジャー14の頭部を打撃し、その先端で測定対象物の表面を打撃する。▲4▼打撃時におけるカウンターウエイト15のプランジャー14の頭部からの跳ね返り量(反発度)を反発度測定器18により測定する。▲5▼以上の一連の動作を複数回繰り返すことによって、測定対象物の強度等を推定する。
【0024】
尚、プランジャ14による打撃は、単発で行なう態様と、連続的に行なう態様に切り換え操作ができる構造となっている。打撃を単発で行なう態様は、従来のシュミットハンマー法による測定を可能としている。また、第1回の打撃を単発モードでおこなって初期値を測定し、第1回の打撃が適正な打撃であったことを確認して、次いで、連続打撃モードに切り換えるようにする。なお、打撃装置が連続打撃だけを行なう構造である態様も本発明に包含される。このような態様でも、ソフトウエアのプログラムにより、第1回の打撃から第n回の打撃を識別して測定値とすることが可能であるからである。
【0025】
本発明の測定方法で利用する打撃装置10では、測定対象物の違いに対応させるために、打撃エネルギー可変機構が備えられている。エネルギー可変の程度は現在利用されているシュミットハンマー装置の打撃力を1とした場合、1.0〜0.01程度とする。打撃エネルギーを可変とするには、バネ定数の異なる加力バネを用いればよい。例えば、トンネル覆工コンクリートのように厚さが60cmもあるようなものではバネ定数の大きなバネを利用する。なお、打撃エネルギーを可変とすには、重さの違うカウンターウエイト15を使い分ける機構を採用することもできる。
【0026】
強度の低い測定対象物を打撃するために、プランジャー14の直径が例えば、直径5mm〜30mmのもの(現在利用されているシュミットハンマー装置のプランジャー14の直径は、15mm)が複数用意されている。強度の低い測定対象物では、直径の大きなプランジャーを用いて貫入抵抗を大きくする。更に、プランジャー14の先端形状として、例えば、球形・円錐形などのものを用意し、測定対象物の比較的深部を測定目標とする場合には、先端が貫入し易い円錐形のものを用いる。
【0027】
プランジャー14による打撃の際に生じる微細な破砕物(例えば、コンクリート屑)によって打撃時のクッションとなり正確な数値が得られなくなるのを防止するためは、図示しないコンプレッサーから圧縮空気吐出口19を介してプランジャー14の先端付近に圧縮空気を吹き込み、位置固定具11の空隙から破砕物を吹き飛ばすように、破砕物を排除する機構を設ける。バキュームクリーナーの空気吸い込み口をプランジャー14の先端付近に配置して破砕物を吸引するようにしてもよい。また、コンプレッサーを利用しないで、例えば、カウンターウエイト15が移動(落下)する際に生じる空気圧の変化を利用して、破砕物を吹き飛ばすように構成することもできる。
【0028】
位置固定具11は、ハウジング12の下端に取り付けられた三脚或いは四脚などの支持脚で構成されるが、位置固定具11とハウジング12とが独立しており位置固定具11から延長されるアームにハウジング12が回動・上下動可能な状態で固定されるような態様も本発明に包含される。
【0029】
また、位置固定具11と併用するものとして、或いは、これに代るものとして図4−Aに示すような、位置決め用の補助具40を利用することができる。このような補助具40は、コンクリート構造物の表面の打撃位置に載置し、作業者の足で固定したり、或いは、コンクリート釘などで固定して、プランジャー14の打撃位置がずれないようにするものである。更に、このような補助具40を利用する態様では、打撃によって生じる破砕物を排除することが困難となることを避けるために、圧縮空気の供給路ないし排出路41を設けて破砕物が容易に排出されるよう考慮する必要がある。
【0030】
図4−Bに示すような位置決め用の補助具40を利用することもできる。図示の態様は、例えば、平盤42の一部に3角形などの開口43を設けた構成で、打撃位置に載置し、作業者の足で踏み押えながら、開口43のコーナー部にプランジャー14の先端をあてがうことで、打撃位置が移動しないように規制することが可能となる。このような態様では、開口43の全域がプランジャー14により塞がることがないので、打撃によって生じる破砕物を排除するための圧縮空気の供給路ないし吸気口を特別に設ける必要はないが、底面側に破砕物を排出するための排出路となる溝などを形成しておくことが好ましい。
【0031】
打撃装置10には、得られる反発度を電圧等の形で出力する機構が設けられており、打撃装置10で得られた反発度の信号は、測定装置20に入力される。反発度(電圧)の信号はA/D変換された後に測定器のメモリーに蓄えられ、測定終了後ICカードを利用した情報伝達手段その他の伝達手段を通してパソコンに転送される。従って、測定はパソコンと接続した状態でも、測定装置20だけに接続した状態でも可能である。
【0032】
次に、打撃回数と反発度との関係を説明する。図5は、コンクリート表面を切削(荒削り)した試供体について、同一地点で打撃を繰り返す本発明の手法を用いて、反発度を測定した結果を示すグラフである。測定は10カ所について行ない、図ではその平均と標準偏差が示してある。
【0033】
図5−Aは、コンクリートの表面を切削(荒削り)しなかった無処理面における反発度を示している。グラフから読み取れるように、無処理面では、2回の打撃で反発度はほぼ安定した値を示すようになるが、切削(荒削り)によりコンクリート表面に凹凸が生じている試供体の内、モルタル部では、図5−Bに示すように、打撃5〜6回までは、バラツキが大きく値も収束しない。また、骨材部の上部で測定した場合は、図5−Cに示すように、打撃2回目でおよそ収束する傾向を示したが、収束後も値はやや不安定な傾向がある。このように、表面に問題があるような場合には、健全なものと比較して連続打撃による収束状況が異なるることが知見される。
【0034】
下記の表1は、図5の結果をまとめたものに、強度の異なるコンクリートブロックを同様の方法で測定した結果を併せて、コンクリート強度を推定した結果を示している。表面に凹凸のないものは、第1打の反発度でおよそ妥当な強度予測がなされているが、表面の凹凸が大きな切削面では、凹凸の影響を受けるため、第1打での反発度から求められる切削面の推定強度は、実際のコンクリート強度に比べると小さい。これを第10打目のデータで見ると、切削面のモルタル面部は無処理面よりやや低い値であり、切削面骨材部は無処理面よりやや高い値となった。また、骨材部とモルタル部のデータを併せた結果は、無処理部のデータと一致し、この値を用いれば、凹凸の激しい部分でも本発明の測定方法を用いることによりコンクリートの強度を推定できることが実証された。
【0035】
第1打の反発度Rを用いて強度Fを予測する標準的な式は、F=−184+13×Rで示されるが、例えば、本発明の測定装置で第10打の値から強度を予測する式は、F=−418+14×Rとおけばよい。
【0036】
【表1】
Figure 0003805448
【0037】
注1:A〜Eは試供品を示し、Aはコンクリートブロック、Bは普通コンクリート(表面無処理)、Cは普通コンクリート(表面モルタル+骨材)、Dは普通コンクリート(表面モルタル)、Eは普通コンクリート(表面骨材)である。
注2:*は母材コンクリート(2列目)の強度を示す。
注3:aveは平均、stdは標準偏差を示す。
【0038】
図6は、本発明に係る測定装置で利用する打撃装置10の他の実施例を示すものである。
【0039】
被測定物が若材齢コンクリートである場合に、連続打撃によりプランジャー14の先端がコンクリート中に容易に貫入してしまう。従って、従来タイプのシュミットハンマーは、若材齢コンクリートの表面を連続打撃するのに利用するのは不適切である。何故ならば、従来のシュミットハンマーは、プランジャー14の先端がコンクリート中に貫入すると、ハウジング12の下端がコンクリートの表面に当接してしまうからである。そこで、プランジャー14をより長く設定することも考えられるが、このような構成にすると、連続打撃の間中、打撃装置10を垂直に保持することに困難性が生じるだけでなく、打撃する毎に位置がずれてしまうような事態も生じる虞がある。従って、プランジャー14の長さをある程度長く設定することは有用ではあるが、上記した理由で、プランジャー14として利用できる長さには限界がある。
【0040】
上記を考慮して、本発明に係る測定装置で利用される打撃装置10では、プランジャー14の貫入量と反発度(推定強度)との間には一定の相関関係があるとの知見に基づき、第1の方法として、プランジャー14を従来使用のシュミットハンマーに比較して約20mm程度長いものを利用し、測定は、ハウジング12の下端がコンクリートの表面に接して打撃不可能となるまでの範囲(貫入深さ)で行なう態様、第2の方法として、プランジャー14とハウジング12との間の相対的位置関係を測定する態様とが採用される。後者の態様でも、プランジャー14は、従来のシュミットハンマーのものより約20mm程度長く設定したものを利用する。
【0041】
尚、プランジャー14とハウジング12との間の相対的位置関係は、位置固定具11に取り付けたセンサーによりハウジング12の高さ位置を検出することで行なう。以下、具体的な打撃装置を図6に従って説明する。
【0042】
図6は、本発明に係る測定装置で利用される打撃装置10の他の実施例を示すものであり、ハンドル19の下面に位置固定具11を取り付けると共に、その内側空間にハウジング12を配置し、図3に示した打撃装置10と同様に、プランジャー固定用バネ13、プランジャー14、カウンターウエイト15、加力バネ16、駆動部17、反発度測定器18を配列する。尚、符号19は、圧縮空気吐出口である。
【0043】
図示の打撃装置10で特有な点は、プランジャー14の長さを従来のシュミットハンマーに比較して約2mm程度長く設定したこと、位置固定具10とハウジング12との間に変位測定器50を配置したこと、駆動部17の操作によりハウジング12の高さ位置を調整できるように構成されていること、である。
【0044】
変位測定器50は、プランジャー14の頭部(下端)と位置固定具10の下端との間の相対的位置の相対変位を、位置固定具10の側に取り付けたセンサーにより測定するものである。ハウジング12の高さ位置は、駆動部17のモーターを駆動操作することにより変更することができる。また、プランジャー14は、ハウジング12内に配置されているプランジャー固定用バネ13により常に下方に押圧されている。従って、プランジャー14とハウジング12との間の相対位置関係は、プランジャー14の先端がハウジング12の下端部から最大位置まで伸長されている状態(バネ力=最小)から、プランジャー14の基部側がハウジング12内の最大位置まで引き込まれている状態(バネ力=最大)まで変位し得る。プランジャー14の初期高さ位置(h)は、位置固定具10の下端位置に等しく、また、ハウジング12の初期位置でもあり、プランジャー固定用バネ13のバネ力は最小となっている。この状態から、駆動部17のモーターを駆動操作すると、プランジャー14は先端が被測定物の表面に接しているので高さ位置を変動させることができないので、ハウジング12だけが下方に移動し、プランジャー固定用バネ13は、その力が最大になる方向に変位することになり、プランジャー14は、初期高さ位置(h)にあって、バネ力が最大となる位置から測定が開始される。この状態から、カウンターウエイト15の引き上げ・加力バネ16の反発力による打撃を、プランジャー固定用バネ13によるバネ力がゼロになるまで、複数回行ない、反発度を測定する。被測定物が若材齢コンクリートである場合、上記した打撃を繰り返すことによりプランジャー14の先端は、コンクリート中に貫入して行くことになり、同時にハウジング12も下降するから、プランジャー14の最大貫入量は、ハウジング12の最大下降位置(h) に等しいから、駆動部17のモーターを逆方向に駆動することによって、ハウジング12を初期位置(h)まで上昇させてやれば、(h−h)により、最大値に至るまでの反発度の推移、並びに、最大値に至るまでのプランジャー14の貫入量の推移を知ることができる。
【0045】
上記の打撃装置では、プランジャー固定用バネ13のバネ力がゼロに至った時点まで連続打撃を行なっているが、バネ力が中間値をとっている状態で、打撃を停止して、バネ圧が最大となる初期位置に復帰させて再度打撃を繰り返すように設定することもできる。このような態様によれば、プランジャー14の長さを従来のシュミットハンマーのプランジャーよりも例えば約20mm程度長くすることにより容易に実施可能となる。
【0046】
本発明者らの実験によれば、若材齢コンクリートを試供品として、プランジャー14の貫入量と反発度とを測定すると共に、コンクリートブロック、切削コンクリート、高強度コンクリートを比較試供品として、その貫入量と反発度を測定し、両者を比較することにより、プランジャー14の貫入量と被測定物の推定強度との間に明らかな相関関係があるとの知見が得られた。この知見に基づけば被測定物が若材齢コンクリートであったとしても、プランジャー14の貫入量と反発度を測定することにより、若材齢コンクリートの強度を推定することが可能となった。
【0047】
表2及び図7には、最終打撃時の反発度とプランジャー14の貫入量との関係が示されており、これによれば、プランジャー14の貫入量と反発度との間には相関関係が認められ、プランジャー14の貫入量が強度特性を表わす指標となっている。
【0048】
【表2】
Figure 0003805448
【0049】
【発明の効果】
本発明の方法並びに装置によれば、従来のシュミットハンマー法による測定と比較し、対象物の表面性状によらず内部の安定的な反発度を捕らえることができ再現性が高いので、初期反発度から安定的な最終反発度に到達する過程を把握することにより表面の劣化深さを予測することができる、熟練技術者でなくとも容易に利用できる、等の利点あり、更に、被測定物が若材齢コンクリートであり、プランジャーの先端が貫入してしまうような場合でも、プランジャーの貫入量を併せて測定することにより強度を推定することができ、頭記した課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法と従来例との比較説明図
【図2】本発明の測定方法を実施する装置の概略図
【図3】本発明の打撃装置の概略断面図
【図4】本発明の打撃装置で利用する位置固定具の他の態様を示す斜視図
【図5】打撃回数と反発度との関係を示すグラフ
【図6】本発明の打撃装置の他の実施例を示す概略断面図
【図7】プランジャーの貫入量と反発度との関係を示すグラフ
【符号の説明】
10−打撃装置
11−位置固定具
12−ハウジング
13−プランジャー固定用バネ
14−プランジャー
15−カウンターウエイト
16−加力バネ
17−駆動装置
18−反発度測定器
19−圧縮空気吐出口
20−測定装置
30−パソコン
40−位置決め用の補助具
41−圧縮空気の供給路ないし排出路
42−平盤
43−開口
50−変位測定器

Claims (6)

  1. コンクリート構造物の表面の同一箇所を一定のエネルギーで複数回連続して打撃し、当該打撃に対するコンクリート構造物の反発度の初期値、最終値、変化率を測定すると共に、当該打撃によるプランジャーの被測定物への貫入量を測定し、この貫入量と前記反発度との相関関係により被測定物の強度を推定することを特徴とするコンクリート構造物の強度の測定方法。
  2. コンクリート構造物の表面の同一箇所を一定のエネルギーで複数回連続して打撃し、当該打撃に対するコンクリート構造物の反発度を電気的な数値として検出すると共に、当該打撃によるプランジャーのコンクリート構造物への貫入量を検出する打撃装置と、該打撃装置により検出された反発度情報に従って反発度の初期値と最終値及び初期値から最終値に至る変化率を計算する測定装置とから成り、前記反発度とプランジャーの貫入量との相関関係によりコンクリート構造物の強度を推定することを特徴とするコンクリート構造物の強度の測定装置。
  3. 打撃装置が、打撃を単発で行なうモードと、連続的に複数回行なうモードを有していることを特徴と請求項に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
  4. 打撃装置が、打撃エネルギー可変機構を有していることを特徴とする請求項に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
  5. 打撃装置が、打撃位置固定手段を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
  6. 打撃装置が、打撃により生じたコンクリート屑などの破砕物を打撃位置から排除する機構を有していることを特徴とする請求項2、3、又は4に記載のコンクリート構造物の強度の測定装置。
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