JP3805365B2 - 化合物 - Google Patents
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Description
患者の癌細胞を殺すように選択的に薬物をターゲティングさせることは、医学研究にとって長年の課題であった。ADEPTはこの課題を解決するための1方法である。ADEPTは酵素に結合した腫瘍選択性抗体を用いる。この結合体を患者に投与し(通常は静脈内)、腫瘍部位に局在させ、全身循環から清掃する。次いでプロドラッグを患者に投与すると、これは上記の酵素(腫瘍部位に局在)により細胞毒性薬物に変換され、これが腫瘍細胞を殺す。1分子の酵素が多数の細胞毒性薬物分子の生成を触媒できるので、増幅効果が得られる。さらに、この抗体により認識される抗原性を示さない腫瘍細胞(腫瘍は通常はミクロ不均質性を示す)も、酵素により増幅された細胞毒性薬物生成によって殺される。既知の系は酵素成分として原核細胞酵素カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)を用いる(国際特許出願公開第WO 88/07378号を参照されたい)。原核細胞酵素を用いる系の欠点は、正常な腸内細胞叢に、非選択的な細胞毒性薬物生成を誘導する可能性のある原核生物が含まれる場合がある点である。
既知の系についての問題はさらに、結合体の反復投与により宿主の免疫反応が起こり、治療の効果を低下させることである。抗体成分は一般にマウスモノクローナル抗体であり、これを既知の方法でヒト化して免疫原性を低下させることはできる。しかし酵素成分の免疫原性の低下は、より問題が多いことが分かっている。これは、この酵素成分が宿主であるヒトの循環内に天然に存在してはならないからである。さもなければプロドラッグから細胞毒性薬物への早期変換が起こり、腫瘍に対する選択毒性がみられない。アクゾは国際特許出願公開第WO 90/02939号に、ヒトの酵素をADEPTに用い、選択性は循環内に普通は存在しないヒト酵素、たとえばリゾチームを選ぶことにより維持することを提唱した。アクゾは彼らの酵素としてリゾチームを選んだので、基質要求性のため[エンドグリコシダーゼであるので、それは解裂のためにN−アセチルグルコサミンのβ−1-4結合ポリマー(NAG−キチン)を必要とする]、そのような官能基を含むプロドラッグを製造せざるをえなかった。細胞への進入を阻止するために、さらにタウリン残基をもつオリゴマーを調製した−このスルホン酸によって細胞への進入を阻止し、したがって細胞毒性を阻止した(20倍低い)−国際特許出願公開第WO 90/02939号の図13。
ADEPTに哺乳動物酵素、たとえばアルカリホスファターゼ(センターら:米国特許第4,975,278号)、またはヒト酵素、たとえばβ−グルクロニダーゼ(ベーリングウェルケ;西ドイツ特許第42336237号)またはリゾチーム(アクゾ;国際特許出願公開第WO 90/07929号)を用いることには、それらの酵素が非哺乳動物酵素と比較して免疫原性が低いか、または免疫原性をもたないという利点がある。哺乳動物またはヒトの酵素を用いることの欠点は、それが患者に内在し、したがって投与した抗体−酵素結合体によってではなくプロドラッグから薬物へ代謝回転する可能性がある点である。このためこの型のADEPT法では毒性が高くなりやすい。アルカリホスファターゼに対するプロドラッグは、マウスにおいても(Doyle,T.W.およびVyas,D.M.,Cancer Treatment Reviews 17,127−131,1990)、ヒトにおいても(Handeら,Clinical Pharmacology and Therapeutics 53,233,1993)、内因性アルカリホスファターゼが広く分布するため投与結合体の不在下で薬物に変換される。したがってこれはこの酵素についての重大な問題であることが確認された。β−グルクロニダーゼまたはリゾチームに対するプロドラッグについてのヒトのデータはない。グルクロニダーゼおよびリゾチームは血漿中および他の組織部位に存在する。アクゾはリゾチームは乳汁、涙、唾液、脾臓、白血球および単球中に存在すると報告している。ベーリングウェルゲは西ドイツ特許第42336237号に、活性化したマクロファージ、顆粒球および血小板がグルクロニダーゼを分泌すると報告している。これらの細胞は身体全体に広く分布するので、これは望ましくないプロドラッグ活性化をもたらす可能性がある。実際にベーリングウェルケは、マウスにおいてドキソルビシンのプロドラッグを投与したのち、これらの細胞の豊富な供給源である脾臓に高濃度の遊離薬物が蓄積することを示した(西ドイツ特許第42336237号の表3を参照されたい)。
このADEPT法にヒトの酵素を用いるのは、主として細胞内に分布する酵素のみを使用でき、かつそれらと共に用いるプロドラッグは毒性を最小限に抑えるために細胞外に保持されなければならないという事実によって制限される。これはADEPT系を調製する選択数をいちじるしく制限する。リゾチームは小型の酵素であるが、ADEPTにとって欠点をもつ。リゾチームは活性毒物を放出せず、未知の薬理活性をもつ誘導体を放出する。アクゾが示した例では、遊離ドキソルビシンではなくDox−(GlcNAc)1またはDox−(GlcNAc)5を放出する。グルクロニダーゼは有効薬物、たとえばアドリアマイシンをグルクロニドプロドラッグから放出することができ、抗腫瘍活性があると報告されている(Bosslerら,Cancer Research 54,2151−59,1994)。しかしヒトグルクロニダーゼは高分子量の酵素であり(150〜300KDa)、したがって得られるターゲティング結合体はきわめて大型になりやすい。これは腫瘍などの組織中への浸透に問題を生じると思われる。小型のタンパク質ほど速やかに充実性腫瘍中へ浸透することは十分に立証されている。さらにグルクロニダーゼはグリコシル化され、このグリコシル化によってADEPTに用いた抗体−グルクロニダーゼ結合体が急速に血液から清掃される。この血液からの急速な清掃の結果、結合体は異種移植体である腫瘍へほとんど局在しない。高い分子量と血液からの急速な清掃とが組合わさって、患者の腫瘍への局在は少なくなると思われる。したがってグルクロニダーゼはADEPTに理想的な酵素ではない。
本発明は、宿主酵素(たとえばヒトリボヌクレアーゼ、すなわち全身循環中に天然に存在する酵素)を工学的に処理して、天然の宿主酵素は有意に認識しないADEPT療法プロドラッグを認識するようにできるという知見に基づく。この工学的に処理した酵素はアミノ酸組成においては天然の宿主酵素にきわめて類似するので、細菌酵素、たとえばCPG2と比較して免疫原性がいちじるしく低いという利点をもつ。工学的に処理した酵素は天然には存在しないので、天然菌叢またはヒト酵素による非選択的なプロドラッグ活性化の誘導は少なくなるという利点がある。この方法はさらに、天然の酵素分布により制限されず、細胞内へ進入するプロドラッグを使用できるので、ヒトまたは哺乳動物の広範な酵素に適用できるという利点をもつ。
これらの問題には国際特許出願公開第WO 95/13095号(ウェルカム・ファウンデーション)が一部対処しているが、これは本発明の最初の優先権主張日の後に公開された。この特許出願は、対応する天然酵素によっては活性化されないプロドラッグを活性化する突然変異した哺乳動物酵素を用いるADEPT法を提供するが、本発明を開示してはいない。
きわめて意外なことに、帯電した残基、すなわち酵素の基質結合部位もしくは触媒部位またはその近くに位置する残基を反対の電荷の残基で置換すると、無傷の触媒中心をもつ突然変異酵素が得られ、この突然変異酵素は関連する相補的な、ただし電荷が逆転した基質特異性要件をもつ点においてのみ天然酵素と異なる。
さらに、ウェルカムに開示されたプロドラッグ/薬物結合体(メトトレキセートおよびメルファランに基づく)は、能動輸送機構の遮断によりプロドラッグの細胞浸透を阻止する。このためプロドラッグ/薬物の可能性の範囲をこのような能動輸送機構をもつものに制限する。これに対し本明細書に開示する逆極性法によれば、プロドラッグの細胞浸透を遮断するためにプロドラッグ(能動輸送特性があってもなくてもよい)の帯電性を選ぶことができ、したがって本発明はより広範に選ばれたプロドラッグ/薬物に利用できる。
本発明の1態様によれば、宿主に使用するために設計した調和する2成分系であって、それらの成分が
(i)腫瘍に付随する抗原と結合しうるターゲティング部分である第1成分;該ターゲティング部分はプロドラッグを抗腫瘍性薬物に変換させうる突然変異酵素に連結している;および
(ii)該酵素の作用下で抗腫瘍性薬物に変換しうるプロドラッグである第2成分を含み、それらにおいて
突然変異酵素は宿主酵素の突然変異形であり、その天然の宿主酵素はイオン対相互作用により天然基質を認識し、この相互作用を突然変異酵素および相補的プロドラッグの設計に際して逆転させてあり(“逆極性”);
第1成分は宿主において実質的に非免疫原性であり;かつ
プロドラッグである第2成分は宿主において突然変異していない天然の宿主酵素によって有意には抗腫瘍性薬物に変換しえない
系が提供される。
好ましくは上記の系は、第1成分がその系を使用する予定の宿主と同じ種に由来する酵素に基づく突然変異酵素を含むものである。
好ましくは上記の系は、ターゲティング部分が抗体またはそのフラグメントであるものである。好ましくは上記の系は、抗体フラグメントがF(ab’)2フラグメントであるものである。
好ましくは上記の系は、突然変異酵素が突然変異リボヌクレアーゼであるものである。好ましくは上記の系は、突然変異酵素が位置66に負に帯電したアミノ酸を含むヒトリボヌクレアーゼであるものである。好ましくは上記の系は、リボヌクレアーゼの位置66の負に帯電したアミノ酸がGluであるものである。
上記の系につき他の好ましい態様は、突然変異酵素が突然変異グルクロニダーゼであるものである。
本発明の他の態様によれば、宿主に使用するために設計した調和する2成分系であって、それらの成分が
(i)腫瘍に付随する抗原と結合しうるターゲティング部分である第1成分;該ターゲティング部分はプロドラッグを抗腫瘍性薬物に変換させうる突然変異酵素に連結している;および
(ii)該酵素の作用下で抗腫瘍性薬物に変換しうるプロドラッグである第2成分を含み、それらにおいて
突然変異酵素は宿主酵素の突然変異形であり;
第1成分は宿主において実質的に非免疫原性であり;かつ
プロドラッグは宿主において突然変異していない天然の宿主酵素によって有意には抗腫瘍性薬物に変換しえない
系が提供される。
“プロドラッグは宿主において突然変異していない天然の宿主酵素によって有意には抗腫瘍性薬物に変換しえない”という語は、宿主に投与した際にプロドラッグが不都合な毒性の問題を生じないことを意味する。
“実質的に非免疫原性”という語は、宿主に第1成分を2回以上投与しても、たとえば細菌酵素に連結したマウス抗体を宿主に用いた場合にみられるような有意の宿主免疫反応を起こさないことを意味する。
好ましくは突然変異酵素は、その系を使用する予定の宿主と同じ種に由来する酵素に基づくが、不都合な免疫原性の問題を生じないのに十分な程度に酵素の構造が種間で保存されている限り、突然変異酵素は異なる種に由来する宿主酵素に基づくものであってもよい。
好ましくはターゲティング部分は抗体、特に抗体フラグメント、たとえばF(ab’)2である。酵素への連結は既知の方法で、たとえばヘテロ二官能性試薬を架橋剤として用いて、または遺伝子融合その他の好適な方法で行うことができる。抗体は同一宿主に由来するものであってもよく(たとえばマウス抗体をマウスに使用)、または選ばれた宿主において有意には異物と認識されないように抗体を操作してもよい(たとえばヒトにおいてキメラ、CDRグラフト化、または被覆したマウス抗体を使用)。
ヒト抗体の定常部ドメイン中へのげっ歯類の可変部ドメインの移植(キメラ抗体)、またはヒト抗体中へのげっ歯類の抗原結合性ループ(CDR)の構築(CDRグラフト化)は両方とも、げっ歯類の免疫原性をおおはばに低下させることがサルおよびヒト患者における前臨床試験で示された。CDRグラフト抗体ですら、げっ歯類の抗体配列に由来する多数(>50)のアミノ酸がヒト枠組み中に取り込まれる。それにもかかわらず、サルおよびヒト患者で免疫原性がおおはばに低下すると報告された。これは、宿主酵素の触媒部位のごく限られた数のアミノ酸を突然変異させても、免疫原性が低く、もちろん非宿主酵素より免疫原性の低い酵素が得られるという証拠になる。下記の参考文献を参照されたい:A.MountainおよびJ.R.Adair,Biotechnology and Genetic Engineering Reviews 10,1−142,1992;G.WinterおよびW.J.Harris,Trends in Pharmacological Sciences 14,139−143,1993;I.I.Singerら,J.Immunol.150,2844−57,1993;J.Hakimiら,J.Immunol.147,1352−59,1991;ならびにJ.D.Isacsら,The Lancet,340,748−752,1992。定常部ドメインは、たとえばヒトIgA、IgE、IgGまたはIgMドメインであってもよい。ヒトIgG2および3(特にIgG2)が好ましいが、IgG1および4イソタイプも使用できる。ヒト抗体を産生するように工学的に処理したマウスにおいて生成したヒト抗体自体も使用できる。
宿主酵素を突然変異させて(いずれか好適な方法、たとえば化学的またはバイオテクノロジーによる遺伝子合成または標的突然変異による)、酵素活性部位とプロドラッグの相互作用様式を天然の宿主酵素の様式と比べて変化させる。
好ましくは酵素の突然変異は、その活性部位の極性を変化させるものであり、これによってこの酵素は相補的極性をもつプロドラッグを代謝回転するが、そのプロドラッグは突然変異していない宿主酵素によっては有意に代謝回転されない。好ましくは天然の宿主酵素はイオン対相互作用によりその天然基質を認識するものであり、この相互作用を突然変異酵素および相補的プロドラッグの設計に際して逆転させる。好ましくは酵素は逆の極性をもつ突然変異したリボヌクレアーゼ、特にヒトリボヌクレアーゼである(図12〜15参照)。
ヒトリボヌクレアーゼ中のリシン66は正に帯電した残基であり、これはこの酵素に対する天然RNA基質上の負に帯電したリン酸基と相互作用する。この残基の極性を、たとえば遺伝子工学により(ただし化学合成も考慮される)逆転させて、負に帯電した残基、たとえばグルタミン酸にする。得られた“逆の極性をもつ”酵素は、突然変異していない宿主酵素によっては有意に認識されない本発明のプロドラッグを認識する。基質結合性および代謝回転特性を最適にするために、天然部位領域の残基に対する変更をさらに行うことができる。工学的に処理した形のリボヌクレアーゼ酵素は、本発明の他の態様である。リボヌクレアーゼはその分子量が低く(約13600Da;投与後に腫瘍への浸透が良好である)、かつ熱負荷およびタンパク質分解に対する安定性が良好であるので、有利な酵素である。好ましくはプロドラッグは図11に示す式1のマスタード−リボヌクレオチドである。式中:
QはOまたはNH(特にNH)であり;
Aは式−X−Y−の基であり、ここで
YはSO2、COまたは単結合(好ましくはCO)であり、ただしQが酸素である場合にはYはSO2ではなく;
Xは−(CH2)n−であり、ここでn=1〜4(好ましくはn=1、ただしYが単結合である場合にはnは好ましくは2である)であり、
これは所望により任意の炭素原子においてC1〜4アルキルで置換されていてもよく(いずれのキラル原子においてもRおよび/またはS配置が考慮される)、または
YがCOであり、かつn=1である場合には、Xは炭素において所望によりアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、リシン、アルギニンもしくはヒスチジンの側鎖で置換されていてもよく(いずれのキラル原子においてもRおよび/またはS配置が考慮される);
R1は図11に示すようにウラシルまたはシトシンであり;
R2およびR3は独立してHまたはC1〜4アルキルを表し(好ましくはメチル、特にR2=R3=H);
R5およびR6は独立してCl、メシルまたはトシルを表し(好ましくはR5=R6=Cl);
R7、R8、R9およびR10は独立してH、C1〜4アルキル(好ましくはメチル)、C1〜4アルコキシ(好ましくはメトキシ)、FまたはCl(好ましくはCl)を表し、H以外の基を表すのに好ましい位置はR8およびR9であり、ただしR7=R8=R9=R10=Hが特に好ましい。
好ましい態様において、マスタードリボヌクレオチドは
QがNHであり;
Xが−(CH2)n−であり、ここでn=1〜4であり;
Yが−C(O)−であり;
R1がウラシルまたはシトシンであり;
R2およびR3がHであり;
R5およびR6がClであり;かつ
R7、R8、R9およびR10がHであるもの
またはその塩である。
以下の具体的な化合物が特に好ましい:
リン酸水素O−[(2R,3S,4R,5R)−2−(2−アミノアセトアミドメチル)−5−(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2,3,4,5−テトラヒドロフラン−3−イル]O−[4−(ビス[2−クロロエチル]アミノ)フェノキシ]。これを図7に最終生成物として示す。
他の好ましい化合物は、図7の最終生成物のシトシン類似体である。
本明細書において、総称“アルキル”には直鎖および分枝鎖アルキル基が両方とも含まれる。ただし個々のアルキル基、たとえば“プロピル”は直鎖形のみに限定され、個々の分枝鎖アルキル基、たとえば“イソプロピル”は分枝鎖形のみに限定される。他の総称についても同様な慣例を適用する。
式1の特定の化合物が1個またはそれ以上の不斉炭素原子により光学活性形またはラセミ形で存在する場合、本発明は本発明の突然変異酵素の基質としての特性をもつ光学活性形またはラセミ形をいずれもその定義に包含すると解すべきである。
光学活性形の合成は当技術分野での周知の有機化学的標準法により、たとえば光学活性な出発物質からの合成により実施するか、またはラセミ形の分割による。突然変異酵素に対する基質特性も標準的な実験室的方法で評価できる。
点突然変異については以下のように述べる:天然アミノ酸(1文字命名法を採用)、位置、新規アミノ酸。たとえば“D235K”は、位置235のアスパラギン酸(D)をリシン(K)に変更したことを意味する。1酵素における多重突然変異は角かっこ間に示される。
本明細書においてCPBという語は、別途指示しない限り、または論旨から自明でない限り、以下のものを含む:
i)“標識(tag)”を含むか、または含まない成熟プロ形およびプレプロ形の酵素(たとえばc−myc);
ii)LysまたはArgをC末端にもつペプチド系基質に対する特異性を備えたすべてのカルボキシペプチダーゼ;
膵臓および血漿CPB酵素(膵臓酵素が好ましい)。
本発明の突然変異CPBは、本発明に必要な目的特性をもつ上記のすべてのCPBの突然変異体である。以下の膵臓HCPBが好ましい:
D235K、D235R、特に[G251N.D235R];他のCPBにおける対応する突然変異も考慮される。本発明の突然変異体CPBは、鍵突然変異の特性を有意に変化させない他の“保存”突然変異(挿入、置換および/または欠失)をも含む。本明細書の目的に対し、保存的アミノ酸置換は、自然に起こる確率が偶然に起こるその置換の確率の10倍より大きい置換である(Dayhoffら,Atlas of Sequence and Structure,1971,p.95〜96および図9〜10により記載されたコンピューター法により定めたもの)。
CPBに関する参考文献には以下のものが含まれる:Folk JE,Enzymes,Vol III,アカデミック・プレス(1971),p.57;Coll Mら(1991)EMBO Journal 10,1〜9;Eaton DLら(1991)J Biol Chem 266,21833−21838;Yamamoto Kら(1992)J Biol Chem 267,2275−2581;米国特許第5364934号(ジーンテク);および国際特許出願公開第WO 95/14096号(イーライ・リリー)。
本発明の化合物は種々の無機および有機の酸および塩基と塩を形成することができ、これらも本発明の範囲に含まれる。これらの塩にはオンモニウム塩、アルカリ金属塩、たとえばナトリウム塩およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえばカルシウム塩およびマグネシウム塩、有機塩基との塩、たとえばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルコサミン塩、アルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩が含まれる。有機酸および無機酸、たとえばHCl、HBr、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、フマル酸およびカンファースルホン酸との塩も好ましい。生理学的に許容しうる無毒性塩が好ましいが、たとえば生成物の単離または精製には他の塩も有用である。
上記の塩は常法により、たとえば遊離酸形または遊離塩基形の生成物を1当量またはそれ以上の適切な塩基または酸と、塩が不溶性である溶剤もしくは触媒中で、または水中で反応させ、次いでこれを真空中で、もしくは凍結乾燥により分離することによって形成するか、または好適なイオン交換樹脂上で既存の塩のカチオンを他のカチオンと交換することによって形成できる。本発明の化合物は経口投与のための錠剤、カプセル剤、直腸投与のための坐剤、非経口投与または筋肉内投与のための無菌液剤または懸濁剤などの組成物中に使用できる。
本発明の化合物は、処置を必要とする患者(動物およびヒト)に、最適な薬剤学的効果を与える量で投与できる。用量は疾病の性質および程度、患者の体重、患者にその後与える特別食、併用薬剤、ならびに当業者に自明の他の要因に応じて患者ごとに異なるが、用量は一般に患者1人当たり1日約1〜4000mgであり、これを単回または多数回投与できる。用量範囲は好ましくは患者1人当たり1日約100〜4000mg、より好ましくは患者1人当たり1日約500〜3000mgである。
癌の治療における本発明の結合体およびプロドラッグの最も効果的な投与様式および用量計画は、疾病の程度、患者の健康状態および治療に対する反応、ならびに担当医の判断など、多数の要因に依存する。したがって結合体およびプロドラッグの用量は個々の患者に合わせるべきであるが、結合体の有効量は20〜約200mg/m2であると思われる。プロドラッグの有効量は用いる個々の薬物、および母体薬物の毒性に依存するであろう。プロドラッグは母体薬物より細胞毒性が低いので、母体薬物のMTDが分かっている場合にはそれが出発点になるであろう。母体薬物に関して臨床データがないフェノールマスタード系薬物については、治療用量範囲が不確実であり、標準的な動物毒性試験、および患者において低い用量から出発する用量漸増試験により判定する必要があろう。しかし一般に治療用量は500〜2000mg/m2である。
もちろんこれらの用量範囲は1日量を分割投与するのに必要な単位基準で調節でき、前記のように用量は疾病の性質および程度、患者の体重、特別食その他の要因に応じて異なるであろう。
一般にこれらの組合わせを後記の薬剤組成物中に配合できる。
一般に1〜100mgの式Iの化合物もしくは化合物の混合物またはその生理的に許容しうる塩を、生理的に許容しうるベヒクル、キャリヤー、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、着香剤などと共に、受け入れられている薬剤実務によって適切とされる単位用量剤形に配合する。これらの組成物または製剤中の有効物質の量は、上記範囲の量が得られる量である。
錠剤、カプセル剤などに装入できる佐剤の例は以下のものである:結合剤、たとえばトラガントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン;賦形剤、たとえば微晶質セルロース;崩壊剤、たとえばコーンスターチ、予め糊化したデンプン、アルギン酸など;滑沢剤、たとえばステアリン酸マグネシウム;甘味剤、たとえば白糖、乳糖またはサッカリン;着香剤、たとえばハッカ、またはウィンターグリーン油もしくはサクランボ。用量単位剤形がカプセル剤である場合、それは上記の種類の物質のほかに、液体キャリヤー、たとえば脂肪油を含有してもよい。他の種々の物質がコーティングとして、または他の形で用量単位剤形の物理的形態を変更するために存在してもよい。たとえば錠剤をセラック、糖または両方でコーティングしてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、有効化合物、甘味剤としての白糖、防腐剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、着色剤および着香剤、たとえばサクランボまたはオレンジのフレーバーを含有してもよい。
注射用の無菌組成物は、通常の薬剤実務に従って有効物質をベヒクル、たとえば注射用水、天然植物油、たとえばゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、綿実油など、または合成脂肪系ベヒクル、たとえばオレイン酸エチルなどに溶解または懸濁することにより配合できる。緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤などを必要に応じて装入できる。
本発明の他の態様によれば、宿主において新生細胞の増殖を抑制する方法であって、有効量の第1成分を宿主に投与し、第1成分を全身循環から実質的に清掃させ、そして有効量の第2成分を投与することを含む方法に使用するための、本明細書に定める系が提供される。好ましくはこれらの成分を静脈内投与する。
本発明の他の態様によれば、宿主において新生細胞の増殖を抑制する方法であって、有効量の前記に定める第1成分を宿主に投与し、第1成分を全身循環から実質的に清掃させ、そして有効量の前記に定める第2成分を投与することを含む方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、腫瘍に局在させるのに有効な量の本明細書に定める第1成分、および薬剤学的に許容しうるキャリヤーまたは希釈剤を含む薬剤組成物が提供される。好ましくはこの組成物は静脈内投与に適する。好ましくは第1成分を乾燥固体として供給し、これを使用前に好適な希釈剤で再溶解する。
本発明の他の態様によれば、有効な抗腫瘍量の本明細書に定める第2成分、および薬剤学的に許容しうるキャリヤーまたは希釈剤を含む薬剤組成物が提供される。好ましくはこの組成物は静脈内投与に適する。好ましくは第2成分を乾燥固体として供給し、これを使用前に好適な希釈剤で再溶解する。
本発明の他の態様によれば、前記に定める第1成分を含む薬剤組成物が提供される。
本発明の他の態様によれば、前記に定める第2成分を含む薬剤組成物が提供される。
好ましい薬剤組成物は無菌である(静脈内投与用)。
本発明の他の態様によれば、前記に定める第1成分が提供される。
本発明の他の態様によれば、前記に定める突然変異酵素が提供される。
本発明の他の態様によれば、プラスミドpQR162が提供される。プラスミドpQR162は、ブダペスト条約のもとで1994年8月16日に、寄託番号NCIMB 40678としてNCIMB(23 St Machar Drive,Aberdeen AB2 1RY,Scotland、英国)に寄託された。
pCG330(pICI1698としても知られる)を含む大腸菌(E.coli)MSD 1646は、ブダペスト条約のもとで1994年11月23日に、National Collection of Industrial and Marine Bacteria(NCIMB)(23 St Machar Drive,Aberdeen,Scotland、英国、AB2 1RY)に寄託された。受理番号はNCIMB 40694である。NCIMB 40694は本発明の他の態様である。
抗体A5B7は、ブダペスト条約のもとで1993年7月14日に、ECACC、PHLS Centre for Applied Microbiology & Research(Porton Down,Salisbury,Wiltshire SP4 OJG.英国)に寄託番号93071411として寄託された。F(ab’)2の形のヒト化した抗体A5B7が好ましい。
ADEPTに有用な他の抗体は以下に記載されている。抗体BW 431/26はHaisma H.J.ら,Cancer Immunol.Immunother.,34:343−348(1992)に記載された。抗体L6.96.5およびIF5は欧州特許第302 473号に記載された。抗体16.88は国際特許出願公開第WO 90/07929号に記載された。抗体B72.3は欧州特許第392 745号に記載された。抗体CEM231は欧州特許第382 411号に記載された。抗体HMFG−1およびHMFG−11(ユニパス社、英国ベイジングストーク・ハンス)は乳脂球膜(milk fat globule membrane)上にあるムチン様の糖タンパク質分子と反応するので、乳癌および卵巣癌をターゲティングするのに使用できる。抗体SM3(ケミコン・インタナショナル社、英国ロンドン)はムチンのコアタンパク質分子と反応するので、乳癌および卵巣癌をターゲティングするのに使用できる。抗体85A12(ユニパス社、英国ベイジングストーク・ハンス)およびZCEA1(パース・ケミカル・カンパニー、英国チェスター)は腫瘍抗原CEAと反応する。抗体PR4D1(セロテック、英国オックスフォード)は結腸腫瘍に付随する抗原と反応する。抗体E29(ダコ社、英国ハイ・ワイコーム)は上皮膜抗原と反応する。抗体C242はCANAGダイアグノスティックス(スウェーデン国ゴセンバーグ)から入手できる。種々の抗体に関するデータを含む、国際特許出願公開第WO 95/13095号(ウェルカム)208頁の表3も参照されたい。
一般にADEPTに有用な抗体は、それらが認識する腫瘍細胞によってほとんどインターナリゼーションされない。このためターゲティングしたプロドラッグ活性化用酵素は細胞表面に滞在し、腫瘍部位において循環プロドラッグから有効薬物を生成することができる。抗体のインターナリゼーションは、たとえばJafrezouら,Cancer Research,52,1352(1992)およびPressら,Cancer Research,48,2249(1988)に示された既知の方法でアッセイできる。
本発明の他の有用性は、第1および第2成分をインビトロ診断に利用することである。たとえば特定の抗原の検出は、抗原と結合しうる抗体などのターゲティング部分を含む本発明の第1成分に診断試料を暴露することにより達成できる。その後、結合していない第1成分を、たとえば洗浄により除去し、次いで第2成分であるプロドラッグの代謝回転を第1成分が触媒する能力により、結合した第1成分の量を定量できる。プロドラッグの代謝回転はいずれか好適な手段、たとえばHPLCにより定量できる。D.M.KemenyによるA Practical Guide to ELIZA(パーガモン・プレス、1991)を参照されたい。
本発明の他の態様によれば、抗体A5B7の組換えネズミF(ab’)2フラグメントであって、ヒンジ部のH鎖間に3つの鎖間ジスルフィド結合を含むフラグメントが提供される。
本発明の他の態様によれば、H鎖およびL鎖につきそれぞれ配列番号:25および26に示した配列をもつ、抗体A5B7の組換えネズミF(ab’)2フラグメントが提供される。SunterらはGene 113(1992)223−230に、組換え体の調製に際して良好に二量体を形成するためには抗体のヒンジ部にシステインをさらに導入することが必要であると教示している。組換えにより調製されたフラグメントは汚染物質である全抗体が存在しないことにより、タンパク質分解により調製されたものとは異なる。また組換えにより調製された材料の方が、ファルマシア・バイアコア(Pharmacia Biacore、商標)計測器により測定して、CEA抗原に対し高い結合親和性をもつであろう。
本発明の他の態様によれば、
腫瘍に付随する抗原と結合しうるターゲティング部分、および
プロドラッグを抗腫瘍性薬物に変換しうる酵素であって、宿主酵素の突然変異形である酵素
を連結させることにより本明細書に記載する第1成分を製造する方法が提供される。突然変異酵素とターゲティング部分を当技術分野で知られている常法により、たとえばヘテロ二官能性試薬により連結させることができる。遺伝子融合も考慮される。
突然変異酵素およびターゲティング部分は、当技術分野で知られている遺伝子発現法により製造できる。そのような発現系は宿主細胞をベクターで形質転換することにより得られ、このような系は、たとえば大腸菌、酵母および哺乳動物宿主中におけるものが周知である(参照:Methods in Enzymology 185、アカデミック・プレス、1990)。他の発現系、たとえばトランスジェニック非ヒト哺乳動物も考慮される。これは当該遺伝子(好ましくはベクターから切り取ったものであるが、発現したタンパク質を動物の乳汁中へ分泌させるためのプロモーターを含む)を哺乳動物接合体の前核に導入し(通常は前核中の2つの核のうち1つ(通常は雄核)中へのマイクロインジェクションによる)、次いで育ての母に移植したものである。この母から生まれた動物の一定割合が染色体中に組み込まれた導入遺伝子を保有し、かつ発現する。通常はこの組み込まれた遺伝子は一般的な繁殖法で子孫に伝達され、したがってストックを容易に拡大できる。好ましくは当該タンパク質を雌トランスジェニック動物の乳汁から採取するだけでよい。以下の刊行物を参照されたい:Simonsら(1988),Bio/Technology 6:179−183;Wrightら(1991),Bio/Technology 9:830−834;米国特許第4,873,191号;および米国特許第5,322,775号。マウス胚の操作法はHoganら,“Manipulating the Mouse Embryo;A Laboratory Manual”、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、1986、に記載されている。
たとえば以下の刊行物に記載されるトランスジェニック植物法も考慮される;Swain W.F.(1991)TIBTECH 9:107−109;Ma J.K.C.ら(1994)Eur.J.Immunology 24:131−138;Hiatt A.ら(1992)FEBS Letters 307:71−75;Hein M.B.ら(1991)Biotechnology Progress 7:455−461;Duering K.(1990)Plant Molecular Biology 15:281−294。
所望により、以下に概説する標準法により宿主遺伝子を不活性化または修飾してもよい:たとえば“Gene Targetting;A Practical Approach”、IRLプレス、1993、に記載。標的遺伝子(またはその一部)を、その機能を混乱させるために該遺伝子に挿入した選択マーカー(たとえばNeo)と共にベクター中へクローン化することが好ましい。このベクターを線状にし、次いで胚幹(SE)細胞(たとえばマウスの129/Ola株に由来)中へ形質転換すると(通常はエレクトロポレーションによる)、一定割合の幹細胞中で相同的組換え事象が起こる。この遺伝子分断を含む幹細胞を増殖させ、胚盤胞(たとえばC57BL/6Jマウスに由来)に注射し、育ての母に移植して発育させる。キメラ子孫は外皮着色マーカーで確認できる。ES由来の配偶子と宿主胚盤胞由来の配偶子との識別を可能にする遺伝子マーカーをもつマウスと交配することによりキメラ体を繁殖させて、生殖系列へのES細胞の関与を確認する。ES細胞由来の配偶子のうち半分は遺伝子修飾を保有するであろう。子孫をスクリーニングして(たとえばサザンブロット法による)、遺伝子分断を含むものを確認する(子孫の約50%)。これらの選択された子孫はヘテロ接合体であり、したがって他のヘテロ接合体、およびその後選択したホモ接合体子孫(子孫の約25%)と交配できる。遺伝子ノックアウトを含むトランスジェニック動物を、既知の方法、たとえばES細胞の前核中へのDNAマイクロインジェクション、スフェロプラスト融合(Jakobovitsら(1993),Nature 362:255−258)、または脂質仲介トランスフェクション(Lambら(1993),Nature Genetics 5 22−29)により形成したトランスジェニック動物と交配させて、内因性遺伝子ノックアウトおよび異種遺伝子置換を含むトランスジェニック動物を得ることができる。
標的遺伝子分断を含むES細胞を、特定の変更を含む標的遺伝子配列(形質転換前にベクター中へクローン化し、線状にすることが好ましい)で形質転換することにより、さらに修飾できる。相同組換え後に、この変更された遺伝子をゲノムに導入する。次いでこれらの胚幹細胞を用いて、前記のようにトランスジェニック体を形成できる。
本明細書において“宿主”という用語には、発現技術に好適な原核細胞または真核細胞、たとえば細菌、酵母、植物の細胞、および非ヒト哺乳動物接合体、卵母細胞、胚盤胞、胚幹細胞、ならびにトランスジェニック技術に好適な他のいかなる細胞も含まれる。場合によっては“宿主”という用語には、形質転換した非ヒト哺乳動物接合体、卵母細胞、胚盤胞、胚幹細胞、植物細胞、およびトランスジェニック技術に好適な他のいずれかの細胞から発現した、トランスジェニック植物または非ヒト哺乳動物も含まれる。
本発明の他の態様によれば、下記のいずれかをコードするポリヌクレオチド配列から選ばれるポリヌクレオチド配列が提供される:
前記に定めたいずれかの第1成分;および
前記に定めたいずれかの突然変異酵素。
本発明の他の態様によれば、前記に定めたポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。
本発明の他の態様によれば、前記に定めたポリヌクレオチドを含む細胞が提供される。
本発明を以下の例により説明する。
図1は、プラスミドpQR177の構築法を示す。
図2は、ウシリボヌクレアーゼの精製を示す。銀染色した0.1%SDS−16%ポリアクリルアミドゲル上での、組換えRNアーゼの純度評価。AおよびG列は市販のRNアーゼ(分子量13700)に対応する。C〜E列は、大腸菌[pQR163]培養物からのペリプラズム抽出物をイソクラティク溶離したのち得られた、正に帯電したタンパク質を含有する;異なる濃度のIPTG(それぞれ0.5、2および0mM)で誘導。F列は3〜5列と同じであるが、培養物は大腸菌[pKK223.3]細胞(対照)を含有していた。B列はイオン交換クロマトグラフィー処理後の精製した組換えRNアーゼである。
図3は、プラスミドpATF4を得るためのPCR法を示す。プライマー3〜6をPCR反応に用い、(a)ウシのシグナル配列およびヘキサペプチドのコード配列を、ヒト膵臓リボヌクレアーゼ遺伝子に対して5′側に取り込み、そして(b)HP−RNアーゼ酵素の最後の7個のアミノ酸のコード配列および終止コドンを取り込む。プライマー5および6はEcoR1に対する制限部位をも含む。
図4は、発現したR4A.K6Aヒト膵臓RNアーゼのPAGEによる純度評価を示す。AおよびF列、2μgのRNアーゼA;BおよびC列、pATF4を含む大腸菌細胞の細胞周辺腔から得た、異なる量の、正に帯電したタンパク質;DおよびE列、1μgおよび500ngの精製HP−RNアーゼ。
図5は、組換えサークルPCRによるpATFZ44の生成を示す。
図6は、LoVo細胞に対するプロドラッグと対応薬物の毒性の比較を示す。
図7は、ウラシル系プロドラッグの合成経路を示す。
図8は、オリゴヌクレオチドプライマーを示す。
図9は、ウラシル系プロドラッグ類似体の合成経路を示す。
図10は、シチジン系プロドラッグ類似体の合成経路を示す。
図11は、化学式を示す。
図12は、リボヌクレアーゼA−基質複合体の活性部位の模式図である。図中のB、RおよびPは、それぞれ塩基、リボースおよびリン酸に対するサブサイトを示す。B1はピリミジンに対して特異的であり、B2はプリンを“好む”。3′−ピリミジンモノヌクレオチドはB1R1P1に結合する。5′−プリンモノヌクレオチドはB2R2P1に結合する。3′−AMPはB2R2P2に結合する。酵素で加水分解されたホスホジエステル結合のリン酸基はP1に結合する。各部位に関与することが知られている残基を示す。
図13は、逆極性突然変異酵素の活性部位にあるプロドラッグの模式図である。
図中の:
*は逆極性残基を表し(天然リボヌクレアーゼではLys66);
Xは正に帯電した基である(逆極性残基が結合している)。
図14は、逆極性突然変異酵素によるプロドラッグの解裂を示す。
図15は、天然ヒトRNアーゼの作用機構を示す。
図16は、CpAおよびC>p RNアーゼの構造を示す。
図17は、シチジン系プロドラッグの合成経路を示す。
図18は、膵臓HCPBのクローニングを示す。
図19は、膵臓HCPBの配列決定を示す。
図20は、ベクターpICI1266を示す。
図21は、pICI1266発現ベクター遺伝子のクローニングを示す。
図22は、プロドラッグおよび対応薬物の細胞毒性を示す。
図23は、増殖培地の組成を挙げる。
図24は、天然リボヌクレアーゼとリボ核酸フラグメントとの鍵アミノ酸相互作用を表す図である。位置P0にある正に帯電したLys66が負に帯電したホスホジエステル結合とイオン相互作用し、一方ではP1にある残基が触媒過程において重要であることを示す。
図25は、マスタードプロドラッグと突然変異RNアーゼの相互作用を示す。天然RNアーゼによる代謝回転を避けるために、位置66の鍵アミノ酸を負に帯電したグルタミン酸に変更した。このGlu−66は、プロドラッグ中の正に帯電した“X”部分とイオン相互作用して、逆極性相互作用が完了する。さらに位置R2およびB2を突然変異させると、プロドラッグとの相互作用が高まるであろうと予想される。
図26は、P0のGlu−66との相互作用に影響を及ぼす、リボースの5′側の位置における正に帯電した部分につき可能な2つの選択を示す。
図27〜33は、化学合成法を示す。
略号
Ac アセチル
ADEPT 抗体−特異的酵素−プロドラッグ療法
BOC t−ブトキシカルボニル
BP−RNアーゼ ウシ膵臓リボヌクレアーゼ
CPB カルボキシペプチダーゼB
DCCI 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Et エチル
EDCI 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド
HCPB ヒトCPB
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HP−RNアーゼ ヒト膵臓リボヌクレアーゼ
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
THA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
参考例1
組換え成熟ウシ膵臓リボヌクレアーゼの調製
組換えウシ膵臓リボヌクレアーゼは、ウシ膵臓リボヌクレアーゼ(BP−RNアーゼ)前駆体をコードする配列から、Tarragona−Fiolら,Gene(1992)118,239−245の記載に従って調製された。このタンパク質を大腸菌から、pQR163中の2つのシストロン発現フラグメント由来のtacプロモーターの制御下に発現させた。これら2つのシストロンフラグメントを含むプラスミドをpQR162(NCIMB 40678)と表示した。
参考例2
Arg4Ala,Lys6Alaヒト膵臓リボヌクレアーゼの調製
ヒト膵臓リボヌクレアーゼ(HP−RNアーゼ)遺伝子をコードする配列は、ヒト頬上皮細胞から抽出したゲノムDNAより、Tarragona−Fiolら,Protein and Peptide Letters(1994)1,76−83の記載に従ってPCR法で得られた。HP−RNアーゼの調製については、工学的に処理したHP−RNアーゼを大腸菌において発現させることが記載されている。この組換えヒト膵臓酵素の発現を大腸菌の細胞周辺腔へ誘導するために、ウシ膵臓RNアーゼシグナルをヒト遺伝子の5′側に融合させた。組換え酵素を発現させる最初の試みは成功しなかった。したがって部位特異的突然変異誘発を利用して、大腸菌において発現しうるようにHP−RNアーゼ遺伝子を遺伝子工学的に処理した。得られた光学的に処理した酵素は相同ウシ酵素と類似の動力学的特性を示す。
(a)Arg4Ala,Lys6Ala HP−RNアーゼをコードする成熟配列のクローニング
制限酵素消化、脱リン酸化、連結反応、形質転換、および小規模のプラスミドDNA精製を、Maniatisら(1982),Molecular Cloning.A Laboratory Manual(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリーズ、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー)の記載に従って実施した。オリゴヌクレオチドはサイクロン(Cyclone、商標)DNA合成装置により合成された。
HP−RNアーゼ遺伝子の成熟配列は、頬上皮細胞から抽出したゲノムDNAよりPCR法で得られた。要約すると、口中で0.9%塩類溶液10mlを20秒間激しく動かすことにより上皮細胞を採取した。この頬上皮細胞懸濁液(1.5ml)を遠心によりペレットとなし、100μlの10mM NaCl、10mM EDTAに再懸濁した。さらに遠心したのち細胞ペレットを75μlの20mM NaOHに再懸濁し、100℃で30分間インキュベートした。細胞片をペレットとなし、上清を−20℃に保存した。普通は一定部分(2〜3μl)をPCRインキュベーションに際して鋳型として用いた。HP−RNアーゼの成熟配列の5′末端および3′末端に相補的な2種類のプライマー(配列番号:5および配列番号:6;図8、プライマー1および2を参照されたい)をPCRインキュベーションに際して用い(各5pmol)、その際以下のものも含有させた:ヒトゲノムDNA、0.2mM dNTP、ストラタジーン(Stratagene、商標)緩衝液(1×)[10×緩衝液は200mMトリス−HCl(pH8.2)、10mM KCl、60mM(NH4)2SO4,20mM MgCl2、1%トリトン(Triton、商標)X−100、および100μg/mlのヌクレアーゼ不含BSA]、および2.5単位のpfuポリメラーゼ(ストラタジーン)。PCRインキュベーションは、92℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリング、および75℃で1分間の延長を30サイクル採用して実施された。得られたPCR生成物をアガロースゲル電気泳動により分析し、分離した。目的フラグメントをアガロースゲルから切り取り、遠心ユニット(スピン−X(Spin−X、商標)、コスター)によりDNAを抽出した。完全組換え酵素の発現を大腸菌JM107細胞の細胞周辺腔内へ誘導するために、ウシ膵臓RNアーゼのシグナル配列をヒト遺伝子の5′末端に融合させ、HP−RNアーゼの最後の7個のアミノ酸のコード配列および終止コドンをPCR法により3′末端に結合させた。次いで、鋳型としてのこのPCRで得たHP−RNアーゼ遺伝子の成熟配列であって最後の7個のアミノ酸をコードする配列を欠如するもの、種々の濃度(内側プライマーから最外プライマーまで0.1、0.5および50pmol)の一組のオーバーラッププライマー(配列番号:7〜10;図8、プライマー3〜6を参照されたい)、0.2mMのヌクレオチド、ストラタジーン緩衝液(1×、上記参照)、および2.5単位のpfuポリメラーゼ(ストラタジーン)を含有させてPCRインキュベーションを設定した。上記と同じ条件でインキュベーションを行った。PCR生成物を上記に従って処理し、目的フラグメントを切り取り、アガロースゲルから抽出した。このフラグメントをEcoRIで開裂させ、予め消化および脱リン酸化したpUC18に連結反応させて、二本鎖DNAをジデオキシ3)により配列決定可能にした。次いでこの融合遺伝子を発現ベクターpKK223.3 3に連結反応させた;実施例1)参照。上記のウシシグナル配列は、ヘキサペプチドをコードするDNA配列を読取り枠に対して5′側に取り込んだものである。これはプロモーターの転写開始に際して生成するmRNAの二次構造を混乱させるために用いる。上記に従って組換え酵素の誘導、発現および精製を行った。この処理後に得られた細胞周辺腔タンパク質の分析では、組換えRNアーゼ活性を示す生成物は認められなかった。
組換えウシ酵素が細胞周辺腔へ移動するようにウシシグナル配列を有効に誘導したので、これらの実験でヒト酵素が発現しなかったのは予想外であった。天然のヒト酵素とウシ酵素のN末端配列を比較すると、位置4と6における違いが示される。すなわちここでウシ酵素のアラニン残基が、対応するヒト酵素ではそれぞれアルギニン残基とリシン残基に置換されている。正に帯電したアミノ酸が成熟配列中に早期に存在すると停止伝達シグナルとして作用し、それ以上のトランスロケーションを阻止する可能性のあることが知られている。この問題を克服するために、ヒト酵素の位置4と6のアルギニンとリシンをアラニン残基で置換する方法を開発した。こうしてRCPCR(目的とする突然変異の導入に用いたプライマーは配列番号:11〜14;図8、プライマーE〜Hを参照されたい)を用いて、目的とする置換基を含む組換えクローンpATF3を形成した(図3参照)。このプラスミドキメラを二本鎖配列決定に際して鋳型として用い、位置4と6にアラニン残基をコードする配列が取り込まれたことを立証した。EcoRIで切り出してpKK223.3で連結反応させることによりキメラ発現ベクターpATF4を形成し(図3)、工学的に処理したヒト酵素の発現にこれを用いた。
(b)大腸菌からの組換えArg4Ala,Lys6Ala HP−RNアーゼの発現および精製
大腸菌をpATF4で形質転換し、IPTG誘導して、工学的に処理した組換えヒト酵素を発現させ、これを相同ウシ酵素の製造につき上記に述べたプロトコールにより細胞周辺腔内容物から単離する。細胞周辺腔内容物から工学的に処理した組換えHP−RNアーゼを単離し、均質になるまで精製した(図4参照)。この組換え酵素のN末端配列を決定したところ、ウシシグナル配列が適正に開裂したことが示された。これは、Arg−4およびLys−6がアラニンで置換されたことも立証する。
動力学的特性の解明は基質としてCpAおよびC>pを用いて行われた(図16)。動力学的パラメーターKm、kcat、およびkcat/Kmを、市販のウシ膵臓RNアーゼと組換え体とに関して、同じアッセイ条件下で得た数値につき比較した(表参照)。このデータは工学的に処理したHP−RNアーゼ酵素の動力学的特性が対応する相同のウシ酵素のものと有意差がないことを示す。
参考例3
ネズミA5B7−ウシ膵臓リボヌクレアーゼ結合体の合成および単離
腫瘍付随抗原と結合しうる具体的な抗体はマウスモノクローナル抗体A5B7である。抗体A5B7はヒト胎児性癌抗原(CEA)に結合し、結腸直腸癌をターゲティングするのに特に好適である。A5B7はダコ(DAKO)社(16 Manor Courtyard,Hughenden Avenue,High Wycombe,Bucks,Bucks HP13 5RE,英国,イギリス)から入手できる。抗体フラグメント、たとえばF(ab’)2は全IgG抗体からMariani M.ら(1991),Molecular Immunology 28,69−77の記載に従って常法により調製できる。一般に抗体(または抗体フラグメント)−酵素結合体は少なくとも2価とすべきである。すなわち少なくとも2つの腫瘍付随抗原(同一でも異なってもよい)を結合できなければならない。抗体分子は既知の方法で、たとえば欧州特許第239400号に記載される“CDRグラフト法”により、または米国特許第4816567号に記載されるように完全な可変部をヒト定常部にグラフとさせることにより、ヒト化してもよい。ヒト化した抗体は抗体(または抗体フラグメント)の免疫原性を低下させるのに有用である。ヒト化した形の抗体A5B7は国際特許出願公開第WO 92/01059号に記載されている。
モノクローナル抗体A5B7を産生するハイブリドーマはユーロピアン・コレクション・オブ・アニマル・セル・カルチャーズ、生物学的製剤部門、応用微生物学および研究のためのPHLSセンター(Porton Down,Sailsbury,Wiltshire SP4 OJG,英国)に寄託された。寄託日付は1993年7月14日であり、受理番号は93071411である。抗体A5B7は、寄託したハイブリドーマから当技術分野で既知の標準法、たとえば下記に記載された方法により得られる:Fenge C,Fraune EおよびSchuegerl K,“Production of Biologicals from Animal Cells in Culture”(Spier RE,Griffiths JRおよびMeignier B編),バターワース−ハイネマン,1991,262−265、ならびにAnderson BLおよびGruenberg ML,“Commercial Production of Monoclonal Antibodies”(Seaver S.編),マーセル・デッカー,1987,175−195。この細胞は、良好な抗体産生水準を維持するためには、希釈を制限してときどき再クローニングする必要があろう。
ネズミA5B7の誘導体形成に用いたリンカーは、SATA(商標)(S−アセチルチオグリコール酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、シグマ(製品コードA9043)である。
ウシ膵臓リボヌクレアーゼ(BP−RNアーゼ)の誘導体形成に用いたリンカーは、SMPB(4−(p−マレイミドフェニル)酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、シグマ(製品コードA6139)である。
SATA(シグマ)をDMSO(ファイソンズ)に10mg/mlの濃度に溶解した。50mgのA5B7[5.4mg/mlの溶液、100mMリン酸/100mM NaCl/1mM EDTA、pH7.2(緩衝液A)中]に、309μg(30.9μl)のSATA溶液(A5B7より4モル過剰となる)を添加し、混合し、室温に40分間放置した。得られた溶液をセファデックス(Sephadex、商標)G25カラム(ファルマシア)(210ml,2.6×38cm)に室温で導通して、過剰の試薬を除去し、最終濃度2.09mg/mlの誘導体A5B7を得た(全容量23.5ml)。このSATA誘導体A5B7を1.0mlの10%v/v 500mMヒドロキシルアミンHCl/500mMリン酸ナトリウム/30mM EDTA(pH8.0)と混合して、誘導体A5B7を脱アセチル化した。この反応は室温で40分間行われた。タンパク質濃度を280nmでのUV吸収によりe=1.4と仮定して測定した(またはブラッドフォードのタンパク質アッセイ法による)。リンカー挿入量をエルマン−SHアッセイにより測定して、A5B7の1モル当たりリンカー1.2であることが認められた。
BP−RNアーゼ(シグマ)を6.0mlの100mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl、pH7.2(緩衝液B)に再懸濁して、8.33mg/mlの濃度を得た。
SMPB(シグマ)をDMSO(ファイソンズ)に10mg/mlの濃度に溶解した。50mgのBP−RNアーゼの溶液を6500mg(650ml)のSMPB溶液(BP−RNアーゼより5モル過剰となる)と混合し、室温に120分間放置した。過剰の試薬をゲル透過クロマトグラフィー(セファデックスG25、210ml、2.6×30cm)により除去した。誘導体タンパク質濃度をUV A280によりe=0.6と仮定して測定した。既知量の2−メルカプトエタノールをマレアミド誘導体BP−RNアーゼに添加して未反応SH基をアッセイすることにより、リンカー挿入量を“逆”エルマンアッセイ法によって測定した。
結合反応は、等重量の脱アセチル誘導体A5B7および誘導体BP−RNアーゼを添加し、脱イオン水で1.0mg/mlの濃度に希釈し、窒素下に混合することにより行われた。反応を室温で20時間進行させたのち、1mg/mlのグリシン水溶液の添加により停止した。
粗製結合体を50mMリン酸、pH8.0(緩衝液C)中へ透析することにより緩衝液交換し、得られた溶液を、緩衝液C中で平衡化したQセファロース(Sepharose、商標)(ファルマシア)カラム(30ml、1.6×15cm)に付与した。カラムを緩衝液C中で洗浄して過剰のA5B7およびBP−RNアーゼを除去し、次いで結合体を流量1ml/分の0.5M NaCl洗浄液で溶離した。
得られた結合体の純度をSDS−Pageで測定したところ、合計5.75mgの結合体を含有しており、組成はレーザーデンシトメトリーによれば88.4%の結合体、および11.6%の遊離形誘導体A5B7であった。
参考例4
ネズミA5B7 F(ab’)2−ウシ膵臓リボヌクレアーゼ結合体の合成および単離
A5B7 F(ab’)2誘導体形成に用いたリンカーは、SATA(S−アセチルチオグリコール酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、シグマ(製品コードA9043)である。
ウシ膵臓リボヌクレアーゼ(BP−RNアーゼ)の誘導体形成に用いたリンカーは、SMPB(4−(p−マレイミドフェニル)酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、シグマ(製品コードA6139)である。
SATA(シグマ)をDMSO(ファイソンズ)に10mg/mlの濃度に溶解した。18.20mgのF(ab’)2フラグメント[2.14mg/mlの溶液、100mMリン酸/100mM NaCl/1mM EDTA、pH7.2(緩衝液A)中]に、167μg(16.7μl)のSATA溶液[A5B7F(ab’)2より4モル過剰となる]を添加し、混合し、室温に40分間放置した。得られた溶液をアミコンYM10(商標)(分子量100,000カットオフ)メンブランにより2.0ml(9mg/ml)に濃縮し、次いでセファデックスG25(商標)カラム(ファルマシア)(50ml、1.6×16cm)に室温で導通して過剰の試薬を除去し、最終濃度1.04mg/mlの誘導体A5B7 F(ab’)2を得た(全容量10ml)。このSATA誘導体A5B7 F(ab’)2を1.0mlの10%v/v 500mMヒドロキシルアミンHCl/500mMリン酸ナトリウム/30mM EDTA(pH8.0)と混合して、誘導体A5B7 F(ab’)2を脱アセチル化した。この反応は室温で40分間行われた。タンパク質濃度を280nmでのUV吸収によりe=1.4と仮定して測定した(またはブラッドフォードのタンパク質アッセイ法による)。リンカー挿入量をエルマン−SHアッセイ法により測定して、Fab2の1モル当たりリンカー1.2であることが認められた。
BP−RNアーゼ(シグマ)を2.0mlの100mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl、pH7.2(緩衝液B)に溶解して、7.50mg/mlの濃度を得た。
SMPB(シグマ)をDMSO(ファイソンズ)に10mg/mlの濃度に溶解した。15mgのBP−RNアーゼの溶液を1949mg(1.95ml)のSMPB溶液(BP−RNアーゼより5モル過剰となる)と混合し、室温に120分間放置した。過剰の試薬をゲル透過クロマトグラフィー(セファデックスG25、50ml、1.6×16cm)により除去した。誘導体タンパク質濃度をUV A280によりe=0.6と仮定して測定した。既知量の2−メルカプトエタノールをマレアミド誘導体BP−RNアーゼに添加し、未反応SH基をアッセイすることにより、リンカー挿入量を“逆”エルマンアッセイによって測定した。
結合反応は、等重量の脱アセチル誘導体A5B7 F(ab’)2および誘導体A5B7 F(ab’)2を添加し、脱イオン水で1.0mg/mlの濃度に希釈し、窒素下に混合することにより行われた。反応を室温で20時間進行させたのち、1mg/mlのグリシン水溶液の添加により停止した。
粗製結合体を50mMトリス、pH8.0(緩衝液C)中へ透析することにより緩衝液交換し、得られた溶液5ml(6.5mg)を、緩衝液C中で平衡化したMono Q(商標)(HR5/5)(ファルマシア)カラムに付与した。カラムを緩衝液C中で洗浄して過剰のA5B7 F(ab’)2を除去し、次いで結合体および残留BP−RNアーゼを流量1ml/分の塩濃度勾配(0.1〜1.0M、20カラム容量にわたって)で溶離した。残留酵素からの結合体の分離は、結合体を含有するプールした画分をS200(商標)GPCカラム(ファルマシア)(60ml、1.6×30cm)に付与し、流量1ml/分のPBS中で溶離することにより行われた。
得られた結合体の純度をSDS−Pageで測定したところ、合計0.70mgの結合体を含有しており、組成はレーザーデンシトメトリーによれば95.5%の結合体、および4.5%の遊離形誘導体A5B7 F(ab’)2であった。ネズミA5B7 F(ab’)2は参考例5の記載に従って、または下記の方法で調製された:
参考例3に記載したA5B7抗体(780ml,5.4mg/ml)を、130KDaのメンブランを含むアミコン(商標)CH2らせんカートリッジ装置により、7容量の0.1Mリン酸ナトリウム、3mM EDTA(pH6.4)に対してダイアフィルトレーションすることにより、消化用として調製した。回収した材料(3682mg、280nmでのABSにより推定)は0.22μMであり、これを濾過し、使用時まで4℃で保存した。結晶質パパイン懸濁液(10mg/mlのもの9ml;ベーリンガー・マンハイム、製品コード1080140)を、100mMのL−システインを含有する0.1Mリン酸ナトリウム、3mM EDTA(pH6.4)と混合し、37℃に30分間放置した。次いで過剰のシステインを、流量3ml/分で流す0.1Mリン酸ナトリウム、3mM EDTA(pH6.4)によるサイズ排除クロマトグラフィー(ファルマシアG25M(商標)カラム、サイズ:直径2.6cm、長さ30cm、全容量約160ml)によって除去した。画分(1分間)を採取し、還元パパインプールにプールする前にOD280および簡単なDTNBスポット試験により監視して、遊離システインを含有しないことを確認した。還元パパインプールの濃度は1.65mg/ml、容量32.8ml、有効全タンパク質54mgと測定された(OD280による、E=2.5と仮定)。消化は、1/60 w/wの還元パパイン/A5B7比で37℃において、有効パパイン全量および655mlの抗体(消化実施前に37℃に加温)を用いて、推定タンパク質濃度4.9mg/mlで行われた。20時間後に、全反応容量の0.1倍の50%エタノール中100mM N−エチルマレイミドで反応を停止した。25mMのリン酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウム(pH3.3)でpHおよび導電率が平衡化緩衝液のものと一致するまで平衡化した(15℃で19.7mS)400mlのプロテインAセファロースFF(商標)(ファルマシア)カラム(寸法5cm×20cm)により、F(ab’)2をFcおよび痕跡量の未消化抗体から精製した。粗製消化物をカラム用緩衝液で1:1に希釈し、2バッチ(660mlと840ml)に分割し、それぞれを6.5ml/分(線流量0.33ml/cm2/分)でプロテインAカラムに装填した。10mlずつの画分を採取した。装填したのち、カラムを280nmにおける吸収が基準線に近づくまで平衡化用緩衝液で洗浄した。最初の洗浄液は50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)からなり、続いてさらに50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)洗浄、次いで50mMクエン酸(pH3.5)、続いて最後に50mMクエン酸(pH2.8)洗浄を行った。洗浄中にOD280値を測定し、次いで採取したプールを30分以内にオルトリン酸水素二ナトリウム溶液(0.4M)で中和した。プールの試料をSDS Page(ファルマシア、エクセル(Exel、商標)ゲル、クーマシー染色)で分析した。F(ab’)2はpH4.0の緩衝液で溶出し、未消化A5B7は最低pHの洗浄液中に溶出した。F(ab’)2プール試料を100mMリン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、1mM EDTA(pH7.2)中へダイアフィルトレーションし(アミコン(商標)CH2 30KDaメンブラン、7容量のダイアフィルトレーション)、合計845mgのF(ab’)2(2mg/ml)を得た。
参考例5
骨髄腫細胞中における組換えネズミA5B7 F(ab’)2の調製
この例はA5B7ハイブリドーマからのcDNAの調製、PCRによる特異的FdおよびL鎖フラグメントの単離、これらのフラグメントの完全DNA配列の決定、次いで骨髄腫細胞中での同時発現による組換えF(ab’)2フラグメントの生成、骨髄腫細胞の発酵、ならびに組換えF(ab’)2タンパク質の精製につき記載する。
遺伝子工学的に処理した抗体を骨髄腫細胞中で産生させるためのいくつかの方法が、以下を含めた文献に記載されている:Neubergerら(1984),Nature 312,604−608,WilliamsおよびNeuberger(1986),Gene 43,319−324,WrightおよびShin(1991),Methods 2,125−135,Taunecker(1991),Trends in Biotechnology 9,109−113,ならびにBebbingtonら(1992),Bio/Technology 10,169−175。便宜上、この例ではBebbingtonらが記載した、選択的マーカーとしてのグルタミンシンセターゼ(GS)に基づく方法を本質的に採用する。
a)ハイブリドーマ細胞からのmRNAの調製
真核細胞からポリA+mRNAを単離するにはいくつかの方法がある(Sambrook J.,Fritsch E.F.,Maniatis T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、第2版、1989、8章、p3、以下Maniatisと呼ぶ)。これらの方法のうちの1つはファルマシアからキットの形で提供される。これは比較的少数の細胞(107個以下)を溶解したのち、ポリA+mRNAをオリゴdTカラムに結合させることによる。目的外の細胞成分を低い塩濃度で洗浄することにより除去したのち、mRNAを高濃度の塩溶液で高温において溶離する。
mRNAは、107個のA5B7ハイブリドーマ細胞からクイックプレプ(Quickprep、商標)mRNAキット(ファルマシア・バイオテクノロジー社)により調製された。mRNAの濃度は、試料をユビコン(Uvikon)930分光光度計(コントロン(Kontron、商標)インスツルメンツ)で300nmから220nmまで走査し、260nmにおける40μg/ml/単位ODのファクターを用いて推定された。mRNAは2.5μgずつエタノールに沈殿させて保存された。
b)cDNAの合成
cDNAの合成に用いた方法はガブラー(Gubler)およびホフマン(Hofman)の方法に基づくものであり、これはプライマー付きmRNAから逆転写し、次いでRNアーゼH処理して、DNAポリメラーゼIにより第2鎖をプライミングおよび合成することによる。cDNA合成のための他の方法はManiatis(第8章)に概説されている。
mRNAの試料5μgに、2.5uの胎盤性RNアーゼ阻害薬(ライフ・テクノロジーズ社)を含有する溶液10μl(RNアーゼを含有しない水で調製)中において70℃でインキュベートすることによりオリゴdT(12〜18mer混合物、ファルマシア・バイオテクノロジー社、0.5μg)を付加し、次いで氷上で冷却した。次いで4μlの5×H−RT緩衝液(250mMトリス、pH8.3,200mM KCl,30mM MgCl2および0.5mg/ml BSA)、2μlの0.1M DTT(ジチオトレイトール)、1μlのdNTP混合物(dATP,dCTP,dGTP,dTTP,20mM)、4μlのスーパースクリプト(Superscript、商標)逆転写酵素(ライフ・テクノロジーズ社)を添加し、42℃で1時間インキュベートすることにより、第1鎖cDNA合成を行った。第2鎖反応には、1.5μlのdNTP混合物(上記)、92.5μlのRNアーゼ不含の水、30μlの5×反応緩衝液(125mMトリス、pH7.5,500mM KCl,25mM MgCl2,50mM(NH4)2SO4および0.5mg/ml β−NAD)、1μlのT4 DNAリガーゼ(10u、ライフ・テクノロジーズ社)、4μlのDNAポリメラ−ゼI(40u、ライフ・テクノロジーズ社)、および1μlのRNアーゼH(2.7u、ライフ・テクノロジーズ社)を添加し、16℃でさらに2時間、インキュベーションを続けた。平滑末端cDNAが形成されるのを保証するために2μlのT4 DNAポリメラーゼ(10u、ライフ・テクノロジーズ社)を添加したのち、16℃で5分間、最終インキュベーションを行った。次いで70℃で10分間のインキュベーションにより酵素活性を停止した。
c)PCRによる抗体遺伝子フラグメントの単離
上記のcDNAを鋳型として用いて、A5B7 FdおよびL鎖フラグメントの単離を行った。Fdフラグメントをヒンジ配列(c−末端トレオニン)の直後で終止し、これを以下、タンパク質分解型Fdと呼ぶ。この例においてタンパク質分解型Fdとは、参考例4に記載したタンパク質分解により調製したFdに等しい組換えFdであることを意味する。
第1鎖cDNA反応から得た、または第2鎖反応完了後の物質は、鋳型として好適である。この物質は完了した反応物からそのままで、または2回蒸留水中の希釈液として(最高で100中1)使用できる。FdおよびL鎖フラグメントの形成にはオリゴヌクレオチド(配列番号:17〜24)を用いた。各抗体フラグメントにつき、5′側領域オリゴヌクレオチド(Fdフラグメントについては配列番号:17、L鎖については配列番号:18)が制限酵素部位(FdについてはHindIII、L鎖についてはEcoRI)、翻訳開始を最大にするためのコンセンサスコザック(Kozak)配列(GCCGCCACC)、および天然ネズミシグナル配列の一部をコードした。タンパク質分解型Fdフラグメント(配列番号:19)は抗体ヒンジ部の3′末端に対して相補的であり、ヒンジ部の直後に縦列翻訳終止コドン(TAGおよびTAA)を導入する突然変異をコードし、この配列中にEcoRI制限酵素部位を含んでいた。L鎖の3′領域はコード領域の末端に対して相補的なオリゴヌクレオチド(配列番号:20)により決定され、追加の翻訳終止コドン(TAA)およびEcoRI制限部位を導入した。さらに、沈黙突然変異を各DNA鎖に導入するために、各フラグメントにつき一対の部分オーバーラップする相補的オリゴヌクレオチド(Fdフラグメントについては配列番号:21および22、L鎖については配列番号:23および24)を用い、その結果、コードするアミノ酸配列を変更することなくFdフラグメントのCHIおよびL鎖のVLからBamHIが除かれた。各抗体鎖の2つの突然変異フラグメントを形成するために、適切な突然変異オリゴヌクレオチドを含む5′および3′オリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。精製後にこれら2フラグメントを等割合で混合し、当該5′および3′領域オリゴヌクレオチドを用いる第2PCR反応の鋳型として用いた。これらの反応の生成物は、内部BamHI部位を含まない全長FdおよびL鎖フラグメントであった。
一般に5μlのcDNAを、下記を含有する反応物100μlに添加した:10mM トリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、0.1%ゼラチン、1.5mM MgCl2、各1.25mMのdATP,dCTP,dGTPおよびdTTP、各1μMの適切なオリゴ対、ならびに2.5u Taq DNAポリメラーゼ(アンプリタク(Amplitaq)、パーキン−エルマー・シータス)。各反応物に100μlの鉱油をのせ、94℃で1.5分間、50℃または55℃で1.0分間、および72℃で2.0分間の25サイクル、ならびに72℃で10分間のインキュベーションを行った。DNAを含まない対照反応も設定した。
各5μlの試料を0.8%アガロース(シグマ・ケミカル・カンパニー社)ゲルに走行させることによりこのPCR反応物を分析し、次いでこれを1μg/mlエチジウムブロミド(Ethidium Bromide)(BDHラボラトリー・サプライズ)溶液中で染色し、DNAをUVトランスイルミネーターで視覚化した。A5B7 cDNAが存在する適切な大きさのバンドがすべてのPCRに見られ、Fd鎖およびL鎖のフラグメントの増幅に成功したことを示した。対照反応にDNAバンドが存在しなかったことは、用いた試薬が汚染物質としてのDNAを含有しなかったことを示した。
各PCR生成物をセントリコン100(Centricon 100、商標)微量濃縮装置(アミコン社)により精製した。各反応物を濃縮装置に添加し、2回蒸留水の添加により容量を2mlに増加させた。次いでこのユニットを500×gで5分間遠心し(ソルバル(Sorval)RT6000B(商標)卓上遠心機、H1000Bローター付き)、“流動分(flow−through)”を廃棄した。残留分を再び2mlに希釈し、このユニットを再遠心した。このプロセスを3回繰り返した。この操作の結果、過剰のオリゴおよび緩衝液成分が増幅DNAから除去された。次いでこれらの精製DNAをそのまま後続PCR反応に用いた。適切なフラグメント対を等割合で混合し、一定部分をそれぞれの5′および3′オリゴヌクレオチドを用いる第2PCR反応に用いた。
d)pBluescript(商標)中へのPCR生成フラグメントのサブクローニング
第2PCR反応の生成物は約775bpおよび730bpに、それぞれ全長Fd鎖およびL鎖に一致するバンドを示した。これらの生成物も上記と同様にセントリコン100(商標)により精製した。次いで各DNA生成物を、50μlの3M酢酸ナトリウム、500μlとなる量の蒸留水、および1mlの無水エタノールを含有する1.5mlの溶液中で沈殿させた。この溶液を氷上で少なくとも10分間インキュベートしたのち、11,600×gで10分間(MSEマイクロ・センタウル(Micro Centaur、商標))により遠心した。上清を廃棄し、ペレットを1mlの70%エタノール(v/v、蒸留水中)でさらに5分間遠心した。上清を廃棄し、DNAペレットを真空下で乾燥させた。各DNAペレットを蒸留水に再懸濁した。次いでFd PCR生成物を、20mMトリス−酢酸(pH7.9)、10mM酢酸マグネシウム、50mM酢酸カリウム、1mMジチオトレイトール(DTT)および各25uのHindIIIおよびEcoRI(プロメガ・コーポレーション)を含有する反応物200μl中で、EcoRIおよびHindIIIにより消化した。L鎖生成物を、90mMトリス−HCl(pH7.5)、10mM塩化マグネシウム、50mM塩化ナトリウムおよび10uのEcoRIを含有する反応物30μl中で、EcoRIにより消化した。消化物を37℃で1時間インキュベートした。
次いで消化したフラグメントを0.75%シープラク(SeaPlaque、商標)GCGアガロースゲル(FMCバイオプロダクツ社)上での電気泳動により精製したのち、ゲルから適切なバンドを切り取った。このアガロースゲル切片を65℃で2分間のインキュベーションにより再溶解し、蒸留水で最終容量450μlに希釈し、50μlの3M酢酸ナトリウムを添加した。この溶液を等容量の液化フェノールで抽出し、11,600×gで2分間(MSEマイクロ・センタウル(商標))による遠心によりトリス緩衝液(pH7.6)(ファイソンズ・サイエンティフィック・イクイップメント)で平衡化して、水相とフェノール相を分離した。この水相をフェノール:クロロホルム混合物(50:50 v:v)で再抽出し、再びクロロホルムで抽出したのち、上記に従ってエタノール沈殿させた。それぞれの精製ペレットを10μlの蒸留水に再懸濁し、1μlの試料を0.8%アガロースゲル上での電気泳動により視覚化して、量および濃度を推定した。
pBluescript(商標)(ストラタジーン・クローニング・システムズ)をFdおよびL鎖cDNAの最初のクローニングに用いた。このファージミドベクターはユニークEccRIおよびHindIIIクローニング部位、アンピシリン耐性遺伝子、および二本鎖または一本鎖DNAの分離のためのColEIとfl両方の複製起点を含む。5μgのpBluescript(商標)KS−DNAを、30uのEcoRI(プロメガ・コーポレーション)で[90mMトリス−HCl、pH7.5、10mM MgCl2、50mM NaClを含有する反応物100μl中]、またはEcoRIおよびHindIIIで[20mMトリス−酢酸、pH7.9、10mM酢酸マグネシウム、50mM酢酸カリウム、1mMジチオトレイトール(DTT)および各25uのEcoRIおよびHindIII(プロメガ・コーポレーション)を含有する反応物100μl中]、37℃において1時間、完全に消化した。2μlのウシ腸アルカリフォスフアターゼ(2u、ベーリンガー・マンハイム)をEcoRI消化プラスミドに添加して5′リン酸基を除去し、37℃でさらに30分間インキュベーションを続けた。37℃で10分間のインキュベーションによりフォスフアターゼ活性を分解した。EcoRI−HindIII切断したプラスミドを、上記に従ってSeaPlaqueGTGアガロースゲルから精製した。
消化したFd鎖またはL鎖PCR生成物25〜50ngを、それぞれ50ngのEcoRI−HindIII処理またはEcoRI/CIP処理したpBluescriptと、30mMトリス−HCl、pH7.8、10mM MgCl2、10mM DTT、1mM ATP、および1.5uのT4 DNAリガーゼ(プロメガ・コーポレーション)を含有する溶液10μl中で16℃において2.5時間、連結反応させた。各反応物1μlずつを20μlのコンピテント大腸菌DH5α細胞(ライフ・テクノロジーズ社)の形質転換に用いた(この細胞と共に供給されたプロトコールを採用)。形質転換細胞を、100μg/mlのアンピシリン、1mMのIPTGおよび0.2% X−galを添加したL−寒天上に接種し、37℃で一夜インキュベートした。この培地上で母体プラスミドを含む細胞が産生する青色と比較して白色コロニーを形成することに基づいて、クローン化挿入配列を含むクローンを選択した。
e)cDNAクローンのDNA配列分析
色彩選別により同定したこれらの潜在的Fd鎖およびL鎖cDNAクローンを寒天平板から採取し、大規模DNA調製に用いた。各クローンを、500ml容三角フラスコ中のアンピシリン100μg/mlを含有するL−ブロス200mlへの接種に用いた。培養物を37℃で一夜、振盪しながらインキュベートした。増殖後に各培養物から得た細胞をソルバル(Sorvall)RC5C遠心機およびGS3ローターによりオークリッジ試験管中で4℃において5000×gで10分間、遠心することによりペレット化した。各培養物から得た細胞ペレットを20mlのTE緩衝液に再懸濁し、ソルバルCR5C遠心機およびSS−34ローターによりオークリッジ試験管中で4℃において2000×gで10分間、再遠心した。洗浄した細胞ペレットそれぞれを3mlの氷冷25%スクロース、50mMトリス(pH8.0)に再懸濁し、氷上に放置した。新鮮なリゾチーム溶液(10mg/mlのもの1.0ml)を添加し、試験管を回転させて内容物を混合し、氷上でのインキュベーションを5分間続けた。エチレンジアミン四酢酸ナトリウム溶液(0.5mMのもの1.0ml、pH8.5)を添加し、内容物を緩和に混合した。最後に5.0mlの氷冷トリトンX(商標)溶液(0.1%トリトンX−100、62.5mM EDTA、50mMトリス、pH8.0)を添加し、内容物を緩和に混合し、氷上でのインキュベーションをさらに10分間続けた。続いて細胞片をソルバルRC5C遠心機およびSS−34ローターにより4℃において39,000×gで30分間遠心することにより、ペレット化した。プラスミドDNAを含有する上清を16gの塩化セシウム(ベーリンガー・マンハイム)および150μlの臭化エチジウム溶液(10mg/ml)に添加し、18.5mlのTE緩衝液の添加により容量を増加させた。この溶液を18.5mlのクランプ式蓋付きポリプロピレン製遠心管(ソルバル・インスツルメンツ)に移した。この試験管をシールし、ソルバルTV865B(チタン、縦型)ローターおよびOTD65B遠心機により18℃において180,000×gで16時間遠心した。
遠心後にプラスミドDNAは、CsCl/EtBR密度勾配中に形成された明瞭なオレンジ色のバンドとして見えた。皮下注射器を試験管壁に突き刺して、このプラスミドDNAを密度勾配から取り出した。密度勾配から採取した試料をTE緩衝液で3〜4倍に希釈し、等容量のイソプロピルアルコールを添加することによりDNAを沈殿させ、氷上でのインキュベーションを10分間続けた。沈殿したDNAをソルバルRC5C遠心機およびSS−34ローターにより4℃において17,000×gで遠心することによりペレット化し、上清を廃棄した。得られたペレットを70%エタノール(v/v)中で洗浄し、5分間、再遠心した。次いでペレットを真空下で乾燥させ、1.8mlのTE緩衝液および200μlの3M酢酸ナトリウム溶液に再懸濁し、等容量のフェノールで抽出し、17,000×gで2分間の遠心により相を分離した。水相を等容量のクロロホルムで再抽出したのち、−20℃で等容量のエタノールを添加し、氷上で10分間インキュベートすることによりDNAを沈殿させた。精製DNAを上記に従ってペレット化し、5mlの70%エタノール中で洗浄し、ペレットを真空乾燥させた。乾燥ペレットを500μlの2回蒸留水に再懸濁し、希釈試料をUV分光光度計で300nmから220nmまで走査し、吸光係数50μg/ml/OD260を用いて、DNA濃度を推定した。プラスミドDNA精製用として多数の適切なキット、たとえばキアゲン(Quiagen、商標)(ハイベイド社)も入手できる。
次いでこの精製プラスミドDNAを用いてDNA配列分析を行った。適切な配列決定用キット、たとえばユナイテッド・ステーツ・バイオケミカル・カンパニーが供給し、添付のプロトコールに従って使用されるシーケナーゼ(Sequenase、商標)を用いるSanger(Proc,Nat.Acad.Sci.USA 74,1977,P5463)のジデオキシ連鎖停止法によるDNA配列分析に、二本鎖DNAを使用できる。
一定部分(2〜4μg)のFd鎖およびL鎖cDNAクローンプラスミドDNAをDNA配列分析に用いた。各部分をまず、最終容量100μl中の0.2M NaOH,0.2mM EDTAと共に、室温で10分間インキュベートすることにより変性させた。次いで変性DNAを、3M酢酸ナトリウム(pH5.0)10μlおよびエタノール275μlの添加、ならびに氷上で10分間のインキュベーションにより沈殿させた。沈殿したDNAをプラスミドDNAにつき上記に述べたと同様に回収した。次いでこの変性DNAをそれぞれ、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有するシーケナーゼ反応用緩衝液(40mMトリス、pH7.5、25mM MgCl2、50mM NaCl)10μl中で、0.5pmolの適切なプライマーと共に、65℃で2分間インキュベートすることにより、配列決定のためにプライミングし、次いで30℃より低い温度に徐々に冷却した。次いでこれらのプライミングした鋳型を、プロトコールに従って、ただし標識および停止用混合物に10%DMSOを添加して、配列決定反応に用いた。
配列決定反応物を、6%ポリアクリルアミド:8M尿素変性用ゲル(SangerおよびCoulson,1978,FEBS Lett.87,p107)上での高分解能電気泳動後に、オートラジオグラフィーにより分析した。
クローン化cDNAの完全なFd鎖およびL鎖配列を後記に示す(タンパク質分解型のFd鎖については配列番号:25、L鎖については配列番号:26)。タンパク質分解型のFd鎖を含むプラスミドをpAF1、L鎖を含むものをpAF3と命名した。各フラグメント中にBamHI部位除去のための沈殿突然変異が存在することも確認された。このDNA配列は、公表されている定常部DNA配列データ(Kabat,E.A.,Wu,T.T.,Bilofsky,H.,Reid−Milner,M.,Perry,H.,1987,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第4版、NIH、公衆衛生総局、ワシントンDC)と比較してこの抗体がIgG1κイソタイプであることを示す。
f)骨髄腫発現ベクター中へのサブクローニング
骨髄腫細胞においてFd鎖とL鎖を同時に発現しうるベクターを形成するために、GS−システム(GS−System、商標)系(セルテック・バイオロジックス)を用いた(国際特許出願公開第WO 87/04462号、第WO 89/01036号、第WO 86/05807号、第WO 89/10404号)。
この方法では、Fd鎖をベクターpEE6[これはpEE6.hCMVの誘導体である−StephensおよびCockett(1989),Nucleic Acids Research 17,7110−ここではhCMVプロモーターの上流のHindIII部位がBglII部位に変換されている]のHindIII−EcoRI領域に、またL鎖をpEE12[このベクターはBebbingtonら(1992)Bio/Technology 10,169−175に記載されたpSV2.GSに類似するが、多重リンカー領域にユニーク部位を提供するために、pSV2.GS中に本来存在していた多数の制限部位が部位特異的突然変異により除去されている]のEcoRI領域にクローニングする必要がある。次いでpEE6由来のBglII−BamHI Fd発現カセットを、pEE12のBamHI領域に挿入する。あるいはFd発現カセットを含むBglII−SalIフラグメントを、L鎖を含むpEE12プラスミドのBamHI−SalI領域に挿入してもよい。
これら個々のベクター(pEE6中のタンパク質分解型Fd、およびpEE12中のL鎖)を構築するために、前記のようにプラスミドpAF1およびpEE6をEcoRIおよびHindIIIで消化し、またpAF3およびpEE12をEcoRIで消化した。次いで適切なベクター、および各消化物から得た挿入フラグメントをシープラク(商標)GTGアガロースから単離し、互いに連結反応させて、同様に前記のようにコンピテントDH5α細胞の形質転換に用いた。100μg/mlのアンピシリンを添加したL寒天平板に、形質転換細胞を接種した。形質転換体からのコロニーのスクリーニングをPCR法により行った。コロニーを200μlの蒸留水に移し、渦流撹拌により混合した。次いで懸濁細胞を100℃に1分間加熱し、11,600×gで2分間遠心したのち、上清をPCR反応に用いた。各PCR反応においては、CMVプロモーター内にプライミングするオリゴ(配列番号:27)を用いた。このオリゴは適宜、Fd鎖(配列番号:19)またはL鎖(配列番号:20)の3′側領域に相補的である。それぞれの場合、CMVプロモーターの下流に発現可能な配向で挿入された抗体フラグメント遺伝子を含むクローンのみが、適切な2.0kbpの特異的PCR生成物を産生するであろう。20pmolの各オリゴ(配列番号:19または20を含む配列番号:27)、10mM トリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、0.1%ゼラチン、1.5mM MgCl2、各1.25mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、ならびに0.5uのTaq DNAポリメラーゼ(アンプリタク(商標)、パーキン−エルマー・シータス)を含有する20μlの反応物を用意した。各反応物に20μlの鉱油を乗せ、94℃で1.5分間、50℃で1.0分間、および72℃で2.0分間の25サイクル、ならびに72℃で10分間、インキュベートした。母体プラスミドを含むクローン、およびDNAを含まないクローンを用いた対照反応物も用意した。これらのPCR反応物をアガロースゲル電気泳動により分析し、有効クローンを2.0kbpのPCR生成物の存在により確認した。これらの使用可能なクローンを大規模なプラスミドDNA調製に用いた。これらをEcoRI−HindIIIまたはEcoRIによる制限酵素消化により解明し、挿入配列の配列を前記のDNA配列分析により確認した。これらの分離体をpAF4(pEE6中のタンパク質分解型Fd)およびpAF6(pEE12中のL)と命名した。
同時発現性ベクターを形成するために、5〜7.5μgのFdプラスミドpAF4を各30uのBglII(ファルマシア)およびBamHI(ニュー・イングランド・バイオラボズ)で、50mM トリス−HCl、pH7.9、10mM塩化マグネシウム、150mM塩化ナトリウムおよび1mM DTTを含有する溶液中で37℃において1時間、消化した。アガロースゲル電気泳動により消化を確認した。5μgのL鎖プラスミドpAF4を上記の溶液中で37℃において1時間インキュベートすることにより、25単位のBamHI(ニュー・イングランド・バイオラボズ)で消化した。次いで2uのCIPを添加して37℃で40分間インキュベートすることによりDNAを脱リン酸化し、続いて10μlのストラタクリーン(Strataclean、商標)樹脂(ストラタジーン社)で3回抽出した。次いでFd発現カセットフラグメントおよび主pAF6プラスミドバンドをシープラク(商標)GTGアガロースゲルから精製し、適切な組合わせを互いに連結反応させ、この連結体を前記に従ってコンピテントDH5α細胞の形質転換に用いた。
g)同時発現ベクターの同定
上記の形質転換体から100のコロニーを二重に50ずつのバッチで、100μg/mlのアンピシリンを添加したL寒天に乗せた9cmのニトロセルロースディスク(シュライヘル・アンド・シュル)上に採取した。フィルターを用いない第3組の平板に画線培養して、選択したコロニーのマスターストックを作成した。37℃で一夜インキュベートしたのち、ニトロセルロースフィルターを取り出し、GrunsteinおよびHogness(Maniatis、第1章、p102)の方法に従って処理して、その場で細菌細胞を溶解した。種々の試薬−10%SDSに2分間、3M NaOH、1M NaClに5分間、および1Mトリス(pH6.8)に2分間ずつ2回−に浸漬した3MM濾紙(ワットマン)にフィルターを乗せた。溶解した細胞を含有するフィルターを20×SSC(3M NaCl、0.3Mクエン酸ナトリウム)で湿らせた3MM濾紙に移し、光学的架橋(120,000μJ)に設定したスペクトロリンカー(Spectrolinker、商標)(スペクトロニクス・コーポレーション)XL1500内で紫外線に照射することにより、DNAをフィルターに架橋させた。フィルターをプローブ法(後記参照)に用いる前に風乾した。マスターストック平板を必要になるまで4℃に保存した。
Fd鎖およびL鎖に特異的なオリゴヌクレオチド(それぞれ配列番号:22および配列番号:24)を用いて、Fd鎖およびL鎖を含むクローンに特異的なハイブリダイゼーションプローブを形成した。ハイブリダイゼーションプローブは合成オリゴヌクレオチドから、γ32P ATP由来の放射性5′リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼの作用によって付加することにより形成できる。20pmolのオリゴヌクレオチドを、100mM トリス、pH7.5、10mM MgCl2、0.1mMスペルミジン、20mM DTT、7.5μM ATP、0.5μM γ32P ATP、および2.5uのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(ファルマシア・バイオテクノロジー社)を含有する20μlの反応物に添加した。反応物を37℃で30分間、次いで70℃で10分間インキュベートしたのち、ハイブリダイゼーションに用いた。オリゴヌクレオチドからのハイブリダイゼーションプローブの形成法は、Maniatis(第11章)に示されている。10μlずつの放射性標識オリゴを、10mlの6×SSC(1M NaCl、0.1Mクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)および0.25%マーベル(Marvel、商標)(脱脂粉乳)に添加し、これを次いでプローブ溶液として用いた。
選択したクローン(前記参照)を含む処理済みフィルターを二重バッチで、それぞれ90mlの6×SSC、0.1%SDS、0.25%マーベル(商標)中において65℃で3時間、テクネ(Techne)HB−1ハイブリダイゼーションオーブン内で回転ガラス試験管を用いて予備ハイブリダイゼーションした。次いで二重の組それぞれを10mlのプローブ溶液(一方の組はVHプローブ、他方の組はVLを含む)中で65℃において一夜、同じ装置内で処理した。インキュベーション後に、各フィルターを100mlの6×SSC、0.1%SDS中において65℃で15分間、100mlの3×SSC、0.1%SDS中において65℃で15分間、そして100mlの1×SSC、0.1%SDS中において65℃で15分間、同じ装置内で洗浄した。洗浄したフィルターを次いで風乾し、−70℃で高速タングステン酸塩強化スクリーンと組み合わせたハイパーフィルム(Hyperfilm、商標)MP(アマシャム・インタナショナル)を用いてオートラジオグラフィー処理した。フィルムをコダック自動フィルム処理装置で現像したのち、両プローブのハイブリダイゼーションにより、潜在的なF(ab’)2発現クローンを同定した。Fd鎖およびL鎖特異的プローブの両方とのハイブリダイゼーションを示すクローンの頻度は著しく低かった(約2%)。
潜在的な同時発現クローンをマスター平板から採取し、大規模のプラスミドDNA調製に用いた。酸素EcoRIおよびHindIIIによる制限消化分析を用いて、各発現カセットの配向を確認した。縦列配向(集中的(convergent)ではなく)のLおよびFd発現カセットのみを含むクローンを同定した。同時発現ベクターpAF8(pEE12中のタンパク質分解型FdおよびL)が形成された。
h)骨髄腫細胞のトランスフェクション
真核細胞中にDNAを導入するためにはいくつかの方法がある(Bebbington,C.,1991、Methods,vol 2,p136−145)。より最近では、リン酸カルシウム−DNA同時沈殿法に代わって電気穿孔法が一般的に用いられる方法になってきた。NS0骨髄腫細胞(Methods in Enzymology,1981,73B,p3−46、ECACCカタログNo,85110503)は、内部で分泌される抗体タンパク質がないため、この作業に好適な宿主細胞である。Fd鎖およびL鎖同時発現プラスミドをトランスフェクションしたのちグルタミン不含の培地中で生育する一定割合のコロニーが、機能性A5B7抗体フラグメントを発現すると予想される。
トランスフェクション前に、40μgのpAF8プラスミドDNAを、10mMトリス−HCl、pH7.9、10mM塩化マグネシウム、150mM塩化ナトリウム、1mM DTTおよび100g/mlのアセチル化BSAを含有する400μlの反応物中において、200uのSalI(ニュー・イングランド・バイオラボズ)で37℃において1.75時間消化することにより、線状にした。消化後に各DNAをエタノール中で沈殿させ、50μlの蒸留水に再懸濁した。
NS0細胞を、50mlの非選択的増殖培地(ダルベッコ変更イーグル培地、ライフ・テクノロジーズ社、品質認定された供給源からのウシ胎児血清10%を添加)を入れた160cm2容の組織培養フラスコ(ナンクまたはコスター)中で、37℃において5%CO2雰囲気内でインキュベートして、ほぼ集密状態になるまで増殖させた。トランスフェクション前に、フラスコを手または台に打ち付け、50ml容の円錐形遠心管(ファルコン)を移すことにより、NS0細胞を再懸濁した。試料(40μl)を採取し、10〜20μmを計数するように設定したコールター・カウンターを用いて、細胞濃度を推定した。500×gで5分間遠心することにより(ソルバルRT6000C卓上遠心機)細胞をペレットとなし、次いで45mlの氷冷したリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で洗浄し、再遠心した。洗浄した細胞を氷冷PBSに1.3×107個/mlになるように再懸濁し、氷上に保存した。50μlずつのSalI消化プラスミドDNA試料と800μl(107個)のNS0細胞を、光路0.4cmの電気穿孔キュベット(バイオ−ラド・ラボラトリーズ社)内で泡立ちを避けながら混合し、キュベットを氷上で5分間インキュベートした。次いでキュベットをティッシュペーパーで拭いて乾かし、ジーン・パルサー(Gene Pulser、商標)電気穿孔装置(バイオ−ラド・ラボラトリーズ社)に挿入し、製造業者の指示に従って3μファラッドで1500Vのパルスを連続2回付与した。電気穿孔後にキュベットを氷上に5分間戻したのち、30mlの予熱した非選択培地と混合した。この細胞懸濁液約20mlを、平底96ウェル組織培養プレート(ナンク)4枚にウェル当たり5μlで分配した。さらに10mlを30mlの非選択培地で希釈して、96ウェルプレート5枚に接種した。この希釈した懸濁液をさらに非選択培地で希釈し(10mlを40ml)、さらに96ウェルプレート5枚に接種した。次いで細胞を37℃において5%CO2中で一夜インキュベートした。グルタミンを含有しない選択培地(150μl、Bebbingtonら(1992)Bio/Technology 10,169−175)を96ウェルプレートの各ウェルに添加し、プレートをインキュベーターに戻してグルタミンを徐々に枯渇させ、コロニーが肉眼で見えるようになるまで培養した。
i)細胞系の拡大
96ウェルプレートから、ウェル当たり1個のコロニーが存在するコロニーを選択した。ピペットで吸入排出することにより細胞を再懸濁し、100μlを24ウェルプレートのウェルに移し、各ウェルに1mlの選択培地を添加した。さらに100μlの選択培地を96ウェルプレートの各ウェルに戻し、ここからコロニーを取り出して、細胞系のバックアップ源を得た。24ウェルプレートを37℃において5%CO2中で、細胞増殖が約50%集密状態になるまでインキュベートした。この段階で100μlの培養上清を取り出し、抗CEA結合活性をELISAアッセイ法により試験した(後記参照)。結合活性を示す細胞系をさらに拡大させた:ピペットで吸入排出し、1mlを25cm2の組織培養フラスコに移した。さらに1mlの選択培地を各フラスコに添加し、フラスコを傾斜させてインキュベートして、細胞をフラスコの底に濃縮した。数日間インキュベートしたのち、3mlの選択培地を各フラスコに添加し、次いでこれを水平にして50〜75%集密状態になるまでインキュベートした。この段階で細胞から培地を分離し、細胞を5mlの選択培地で慎重に洗浄し、次いで培地を廃棄し、さらに5mlの選択培地と交換した。次いでフラスコを24時間、インキュベーターに戻しておいた。次いでフラスコをたたいて細胞を採集し、検出限界10〜20μmのコールター・カウンターを用いて、またはトリパンブルー溶液(ライフ・テクノロジーズ)で染色したのち血球計数器を用いて生育可能な(染色されていない)細胞を顕微鏡下に計数することにより、細胞密度を計算した。細胞を遠心(約300×gで5分間)によりペレットとなし、上清を分離し、抗体フラグメント発現の分析(後記参照)に用いるために4℃で保存した。細胞を、50%透析ウシ胎児培地、40%グルタミン不含DMEMおよび10%DMSO中に、1〜2×106個/mlの濃度で再懸濁した。次いで細胞を1mlずつスクリューキャップ付き凍結用試験管(cryotube、ナンク)に移し、次いで長期保存用として液体窒素に移した。
ウェスタンブロット分析
ウェスタンブロット分析を下記に従って行った。
一定部分(15μl)の上清試料をそれぞれ、還元剤(50mM DTT)を含有する、および含有しない、等容量の試料緩衝液(62.5mMトリス、pH6.8、1%SDS、10%スクロースおよび0.05%ブロモフェノールブルー)と混合した。試料を100℃で15分間インキュベートしたのち、マルチフォア(Multiphor、商標)II装置(LKBプロダクターAB)により製造業者の指示に従って、8〜18%アクリルアミド濃度勾配ゲル(エクセル(Excel、商標)ゲル系、ファルマシア・バイオテクノロジー・プロダクツより)上で電気泳動した。電気泳動したのち、分離したタンパク質を、ナバブロット(Navablot、商標)装置(LKBプロダクターAB)により製造業者が添付したプロトコールに従って、ハイボンドC−スーパー(Hybond C−Super、商標)メンブラン(アマシャム・インタナショナル)に移した。ブロッティングしたのち、メンブランを風乾した。
抗体フラグメントの存在は、抗ネズミF(ab’)2抗体−ペルオキシダーゼ結合体(ICNバイオメディカルズ、製品No.67−430−1)を用いて検出された。この一次抗体はネズミF(ab’)2に対して形成されたものであるが、主としてκK鎖に結合することが示されている。ネズミA5B7抗体の存在は、ECL検出システム(アマシャム・インタナショナル)により、添付のプロトコールに従って視覚化された。
これにより、細胞上清中に存在する物質の約90%はF(ab’)2タンパク質であることが示された。
k)ELISA分析
ELISAアッセイの標準法は、“Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology”、編者Burdon,R.H.およびvan Kippenberg,P.H.、vol.15、“酵素免疫アッセイの実際と理論”、Tijssen,P.,1985(エルゼビル・サイエンス・パブリッシャーズB.V.)に示されている。他の情報源は“Antibodies−A Laboratory Manual”、Harlow,E.およびLane,D.P.1988(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー発行)である。
細胞上清(前記参照)を使用し、下記のプロトコールに従って抗−CEA結合性物質の存在を検出した:
1)抗−CEA ELISA
1. コーティング用緩衝液(炭酸塩−炭酸水素塩緩衝剤1カプセル−シグマC−3041−100mlの2回蒸留水中)を調製する。
2. 必要な96ウェルプレートそれぞれにつき、5μlのCEA原液(0.2mg/ml、ダコ)を10mlのコーティング用緩衝液に添加する。
3. 100μlの希釈CEAを、ナンクの“マキシソープ(Maxisorp、商標)”ミクロタイタープレートの各ウェルに添加する。
4. プレートを4℃で一夜(または室温で2時間)インキュベートする。
5. プレートを5分間ずつ4回、リン酸緩衝塩類溶液+0.01%ナトリウムアジド(PBSA)で洗浄する。
6. プレート(たたいて乾燥させたのち)を、ウェル当たり150μlのPBSA中1%BSA(シグマA−7888)でブロックする。室温で2時間インキュベートする。
7. プレートを5分間ずつ4回、PBSAで洗浄する。
8. 試料(培養上清)および標準品(タンパク質分解性A5B7 F(ab’)2の2倍希釈液)を適宜装填する。試料を増殖培地(またはPBS)中に希釈する。PBSA+1%BSAおよび希釈剤をブランクとして含める。
9. 4℃で一夜インキュベートする。
10.プレートを5分間ずつ6回、PBSA+0.5%トゥイーン20で洗浄する。
11.二次抗体溶液(抗マウスIgG F(ab’)2、ヤギ由来、ペルオキシダーゼ結合−ICN 67−430−1−40mlのPBSA+1%BSA+0.5%トゥイーン20中に20μl)を調製し、ウェル当たり100μlを添加する。
12.室温で2時間インキュベートする。
13.プレートを5分間ずつ6回、PBSA+0.5%トゥイーン20で洗浄する。
14.リン酸塩−クエン酸塩−過ホウ酸塩緩衝剤(シグマP−4922)1カプセルを2回蒸留水100mlに溶解することにより、現像液を調製する。緩衝液100ml当たり30mgのo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD、シグマP−8287)を添加する。ウェル当たり100μlを添加する。
15.室温で暗所において15分間インキュベートする。
16.ウェル当たり50μlの2M硫酸の添加により反応を停止する。
17.プレート読取り装置でOD 490nmを読み取る。
m)特異的生成率(SPR)の算出
各試料中の抗−CEA結合活性量をソフトマックス(Softmax)データ取扱いパッケージにより測定した。大部分の抗体L鎖(>90%)がF(ab’)2として存在することを示すウェスタンブロット分析データを考慮して、この数値は細胞上清中に存在するA5B7 F(ab’)2フラグメントの量についてのおおまかな数値を与えると推定した。次いでこの数値を用いて特異的生成率をμg/106細胞/24時間として算出し、これを用いて生産性に従って細胞系を分類した。単離した最良の細胞系についてのSPR計算値は、一般に4〜10μg/106細胞/24時間であった。
組換えA5B7 F(ab’) 2 の精製
組換えA5B7 F(ab’)2材料を、骨髄腫培地上清から、r−プロテインA 500mgカートリッジ(たとえばナイジーンが製造するもの)により精製した。
カートリッジをまずクエン酸緩衝液(100mMクエン酸、pH2.8)中で洗浄し、次いで150mM塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム(pH7.4)で平衡化した(洗液のpHがこの平衡化用緩衝液のものに一致するまで)。緩衝液は両方とも、予めミリポア(Millipore)フィルターを用いて0.45μmで濾過された。
組換えA5B7 F(ab’)2を含有する骨髄腫培地(1.8リットル)を同様に予め濾過し、平衡化用緩衝液で1:1希釈した。この希釈した培地を次いでプロテインAカートリッジに装填し、結合しない洗液すべてを採集した。装填した時点で、平衡化用緩衝液により、280nmにおける吸収が基準線に戻るまでカートリッジを十分に洗浄した。
次いで緩衝液を、同様に予め濾過した100mM酢酸ナトリウム(pH4.0)に交換した。溶出した緩衝液を45mlの画分として採集した。280nmにおける吸収が再び基準線に戻った時点で、カラムを洗浄するために緩衝液を100mMクエン酸(pH2.8)に交換した。
280nmにおける光学濃度をこれらの画分につき測定し、有意の吸収を示すものをpH7.0にまで滴定し、SDS PAGEにより分析した。
組換えA5B7 F(ab’)2を含有する画分をプールした。この容量を濃縮し(アミコンYM10(Amicon YM10、商標)メンブラン)、150mM塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウムおよび3mM EDTA二ナトリウム塩(pH7.4)中へ透析し、4℃に保存した。合計73mgのF(ab’)2を、非還元性SDS PAGEにより判定して>90%の純度で得た。
上記の精製に用いた骨髄腫細胞懸濁液は、本質的にBebbingtonら(1992)Bio/Technology 10、169−175の記載に従って得られた。GS培地(カタログNo.51435)および補充材料(カタログNo.58672)はJRHバイオサイエンシズ(JRH Biosciences Europe.Hophurst Lane,Crawley Down,W.Sussex,英国、RH10 4FF)から入手される。発酵操作が終了した時点で、上清を0.45mのフィルターにより濾過して粒状物を除去し、精製するまで4℃に保存した(一般に24時間以内)。
参考例6
ウラシル系プロドラッグ類似体の合成(図9参照)
化合物7(5mg)を0.5mlの塩酸(0.1N)に溶解して、目的とする最終生成物を得た。25℃で暗所に0.5時間置いたのち、この原液を氷上に保持し、一定部分を突然変異RNアーゼにより試験するために緩衝液で希釈した。
化合物(7)はウリジンから下記に従って製造された:
2′,3′−O−メトキシエチリデンウリジン(化合物1)
ウリジン(5g)、p−トルエンスルホン酸・1水和物(1g)およびオルト酢酸トリメチル(15ml)を合わせて20℃で16時間撹拌した。反応混合物をメタノール性ナトリウムメトキシドでわずかに塩基性となし、次いで濃縮してガムを得た。目的生成物をシリカゲル(メルク9385)上で、溶離剤としてクロロホルム/メタノール混合物を最初に96:4(容量比)、次いで92:8の比率で用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。
NMR(DMSOd6):(δ)11.38(s,1H);7.75(d,1H);5.95(d)および5.80(d,計1H);5.62(d,1H);4.70-5.10(m,3H);4.18(q)および4.04(q,計1H);3.60(m,2H);3.15(s)および3.28(s,計3H);1.57(s)および1.49(s,計3H).
5′−アジド−5′−デオキシ−2′,3′−O−メトキシエチリデンウリジン(化合物2)
2′,3′−O−メトキシエチリデンウリジン(7.0g,23.3mmol)の、乾燥ピリジン(80ml)中における溶液に、0℃で塩化メタンスルホニル(1.9ml,24mmol)を添加した。4℃で16時間撹拌したのち、真空中で溶剤を蒸発させ、残渣をクロロホルムに溶解し、水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮して、粗製メシラートを得た。
粗製反応生成物を乾燥ジメチルホルムアミド(100ml)に溶解し、ナトリウムアジド(3.25g,50mmol)を添加した。混合物を85℃で7時間撹拌し、次いで真空中で溶剤を蒸発させることにより仕上げ処理して、ガムを得た。これをクロロホルムに溶解し、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。クロロホルム抽出液を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗製5′−アジド生成物を得た。この粗製アジド中間体を次の工程の出発物質として用いた。
3′−O(および2′−O)−アセチル−5′−アジド−5′−デオキシウリジン(化合物3)
粗製アジド(上記の化合物2)を酢酸(70%)(100ml)に溶解し、15分後に溶剤を減圧下で除去した。残渣を繰り返し無水エタノールに溶解し、濃縮して、最後の微量の酢酸を除去した。この方法で目的生成物の粗製試料を2′および3′−位置異性体(regioisomer)の混合物として得た。
NMR;比率2:1の2′−アセトキシ:3′−アセトキシ;DMSOd6中:
3′−O(および2′−O)−アセチル−5′−アジド−5′デオキシ−2′−O(および3′−O)−テトラヒドロピラニルウリジン
上記の反応で得た粗製アセテートを乾燥ジクロロメタン(80ml)に溶解した。ジヒドロピラン(6ml)およびp−トルエンスルホン酸・1水和物(500mg)を反応フラスコに添加した。この混合物を25℃で3時間撹拌したのち、TLCは出発物質が消費されたことを示した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を乾燥させたのち、減圧下で蒸発させた。粗生成物(2′および3′−位置異性体の混合物)をシリカゲルカラム上で、溶離剤としてクロロホルム/メタノール混合物(最初に97:3(容量比)、次いで95:5)を用いるクロマトグラフィーにより精製した。
5′−アミノ−5′−デオキシ−2′−O(および3′−O)−テトラヒドロピラニルウリジン(化合物4)
上記の反応で得たアジド中間体をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、トリフェニルホスフィン(6.5g,25mmol)、次いで水(0.45ml)を添加した。25℃で16時間撹拌したのち、濃アンモニアを添加し、さらに24時間、反応を続けた。反応混合物を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー(最初にクロロホルム/メタノール9:1、次いでクロロホルム/メタノール1:1)により精製して、目的生成物を2′および3′−位置異性体の混合物として得た。
5′−(N−ベンジルオキシカルボニルグリシル)アミノ−5′−デオキシ−2′−O(および3′−O)−テトラヒドロピラニルウリジン(化合物5)
5′−アミノ−5′−デオキシ−2′−O(および3′−O)−テトラヒドロピラニルウリジン(3g)の、無水テトラヒドロフラン中における溶液に、N−ベンジルオキシカルボニルグリシンp−ニトロフェニルエステル(3.1g,9.2mmol)を添加した。この溶液を25℃で16時間撹拌し、濃縮してガムとなし、シリカ上で溶離剤としてクロロホルム/メタノール(96:4)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を位置異性体の混合物(3.6g,収率75%)として得た。
NMR;DMSOd6中:(δ)11.36(s,1H);8.02(b,1H);7.70(2d,1H);7.32(m,6H);5.90(d)および5.70(d,計1H);5.64(d,1H);5.444(d)および5.20(d,計1H);5.02(s,2H);4.75(m,1H);3.20-4.25(m,9H);1.35-1.80(m,6H).
質量スペクトル(FAB).m/e.519(M+H+).C24H30N4O9:理論値M+.518
上記生成物の3′−O(および2′−O)−ホスホルアミダイト誘導体
上記反応で得た生成物(1.9g,3.67mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.5ml)の、乾燥ジクロロメタン(30ml)中における溶液に、塩化N,N−ジイソプロピルメチルホスホルアミドを添加した。25℃で5時間撹拌したのち、反応物をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。クロロホルム抽出液を分離し、乾燥させ、濃縮してガムを得た。粗製混合物を下記の溶離剤を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して(最初にクロロホルム/トリエチルアミン98:2、次いでクロロホルム/トリエチルアミン/メタノール96:2:2)、目的とするリン含有中間体(1.9g)を得た。
完全に保護されたホスフェート中間体(化合物6)
上記反応で得たホスホルアミダイト(1.9g,2.4mmol)および4−ジプロピルアミノフェノール(0.7g,3.6mmol)の、乾燥アセトニトリル(40ml)中における溶液に、テトラゾール(0.5g,7.2mmol)を添加した。25℃で16時間、暗所で撹拌したのち、t−ブチルヒドロペルオキシド(70%,0.4ml)を添加した。15分後に反応混合物を濃縮し、クロロホルムに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。クロロホルム層を分離し、次いで濃縮してガムを得た。これをシリカ上で酢酸エチル、次いで酢酸エチル/エタノール(93:7、容量)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を蒸発させて、生成物(1.5g)を2′および3′−位置異性体の混合物として得た。
NMR;DMSOd6中:(δ)11.43(s,1H);8.10(b,1H);7.75(m,1H);7.45(m,1H);7.35(s,5H);7.00(m,2H);6.60(m,2H);5.90(m,1H);5.69(m,1H);5.17(m)および4.97(m,計1H);5.02(s,2H);4.69(bs)および4.57(bs,計1H);4.53(m)および4.23(m,計1H);4.08(m,1H);3.15-3.85(m,13H);1.35-1.75(m,10H);0.88(t,6H).
質量スペクトル(FAB).m/e.787(M+)および788(M+H+).C37H50N5012P:理論値M+.787
THP保護されたプロドラッグ類似体(化合物7)
上記反応で得た完全に保護された中間体(1mmol)をエタノール(20ml)/シクロヘキサン(10ml)の混合物に溶解したのち、木炭上20%パラジウム(150mg)を添加した。混合物を1時間還流し、次いで濾過したのち、減圧下で濃縮した。得られたガムをシリカ上でクロロホルム/メタノール(9:1)を溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して、遊離グリシル誘導体を得た。
上記反応で得たメチル保護されたホスフェート(1mmol)を、次いでt−ブチルアミン(30ml)に溶解した。反応混合物を16時間還流し、濃縮したのち、シリカ上でクロロホルム/メタノール(9:1)、次いでクロロホルム/メタノール(7:3)を溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的とするTHP保護されたプロドラッグ類似体を2′および3′−位置異性体の混合物として得た。
高圧液体クロマトグラフィーによる2′−位置異性体と3′−位置異性体の分離
分離は、パーティシル(Partisil)OSD−2カラム上で60:40メタノール/ギ酸アンモニウム(0.1M)によりイソクラティク溶離するHPLCによって行われた。適切な画分をプールし、凍結乾燥して、目的とする3′−結合中間体(7)を得た。図9の構造式参照。
NMR;DMSOd6中:
参考例7
シチジンプロドラッグ類似体の合成(図10の反応経路を参照)
シチジンプロドラッグ類似体(化合物13)は、参考例6に記載したウリジン化合物と同様にして製造された。参考例6に記載した方法に従い、ただし化合物7(図9)の代わりに化合物12(図10)を用いた。
標準的仕上げ処理:反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をCHCl3に溶解し、溶液をNaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。指示した溶剤混合物を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
化合物12は下記により製造された(図10の反応経路を参照)。
N 4−ベンゾイル−2′,3′−O−メトキシエチリデンシチジン(化合物1)をD.P.L.Green,T.Ravindranathan,C.B.ReeseおよびR.Saffhill,Tetrahedron 26,1031(1970)に従って製造した。
N 4−ベンゾイル−5′−O−メタンスルホニル−2′,3′−O−メトキシエチリデンシチジン(化合物2)を下記により製造した:
N 4−ベンゾイル−2′,3′−O−メトキシエチリデンシチジン(9.85g,25.0mmol)の、ピリジン(100ml)中における溶液に撹拌しながら、塩化メタンスルホニル(1.9ml,25mmol)を0℃で添加した。25℃で16時間撹拌したのち、溶液を真空下で濃縮し、クロロホルムに再溶解し、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄することにより、反応混合物を仕上げ処理した。クロロホルム層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、生成物を得た。
3′−O−アセチル−5′−アジド−N 4−ベンゾイル−5′−デオキシシチジン(2′−O−アセチル異性体との混合物)(化合物3)を下記により製造した。
粗製メシラート(化合物2)を無水DMF(100ml)に溶解した。ナトリウムアジド(3.25g,50mMol)を添加し、反応混合物を80℃で7時間撹拌した。溶剤を濃縮し、クロロホルムに再溶解し、クロロホルム抽出液を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄することにより、反応物を仕上げ処理した。乾燥したクロロホルム層を濃縮することにより得た残渣を、120mlの70%HOAcに溶解した。15分後に溶剤を真空中で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(95:5 CHCl3/MeOH、次いで92:8 CHCl3/MeOH)により精製した。目的生成物の収量は6gであった。
3′−O−アセチル−5′−アジド−N 4−ベンゾイル−2′−O−テトラヒドロピラニル−5′−デオキシシチジン(3′−O−テトラヒドロピラニル異性体との混合物)(化合物4)を下記により製造した。
上記の例で得た化合物3(6g)を塩化メチレン(100ml)およびジヒドロピラン(4ml)に溶解した。0.5gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を添加したのち、混合物を25℃で16時間撹拌した。上記と同様な仕上げ処理により粗生成物が得られ、これを98:2 CHCl3/MeOHで溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的生成物を得た。
5′−アジド−5′−デオキシ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジン(3′−O−テトラヒドロピラニル異性体との混合物)(化合物5)を下記により製造した。
アセテート(化合物4,9.0g,不純)をメタノール(60ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(3.5g)を添加した。25℃で1時間撹拌したのち、反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。収量3.7g。
注釈:この段階で2′−異性体と3′−異性体をクロマトグラフィーにより分離することができる(以下の大部分の工程でも同じ)。
5′−アジド−N 4−ベンジルオキシカルボニル−5′−デオキシ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジン(3′−O−テトラヒドロピラニル異性体との混合物)(化合物6)を下記により製造した。
シチジン化合物(化合物5,3.7g)を無水ピリジン(80ml)に溶解し、触媒量のジメルアミノピリジン(DMAP)および2mlのZ−Clを添加した。
25℃で16時間撹拌したのち、反応物を仕上げ処理し、生成物をシリカ上で溶離剤として(CHCl3/MeOH,95:5)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。2.3gの生成物を得た。
5′−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−5′−デオキシ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジン(3′−O−テトラヒドロピラニル異性体との混合物)(化合物7)を下記により製造した。
THF(30ml)中のアジド(化合物6,3.06g)をトリフェニルホスフィン(1.7g)と共に50℃で24時間撹拌した。水(5ml)を添加し、50℃でさらに1時間、撹拌を続けた。反応混合物を濃縮し、シリカカラム上で(最初にCHCl3/MeOH,9:1、次いで1:1、最後に100%MeOH)により精製して、0.9gの生成物を得た。
N 4−ベンジルオキシカルボニル−5′−(N−ベンジルオキシカルボニルグリシル)アミノ−5′−デオキシ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジン(3′−O−テトラヒドロピラニル異性体との混合物)(化合物8)を下記により製造した。
アミン(化合物7,0.9g)を無水ジクロロメタン(30ml)に溶解し、p−ニトロフェニル−N−カルボベンジルオキシ−グリシネート(700mg)を添加した。25℃で16時間撹拌したのち、反応混合物を濃縮し、(CHCl3/MeOH、最初に97:3、次いで95:5の比率)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。1gの目的物質を得た。
N 4−ベンジルオキシカルボニル−5′−(N−ベンジルオキシカルボニルグリシル)アミノ−5′−デオキシ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジル−3′−(N,N−ジイソプロピルメチル)ホスホンアミデート(3′−異性体との混合物)(化合物9)を下記により製造した。
アルコール(化合物8,1g)を無水ジクロロメタン(30ml)に溶解し、EtN(iPr)2(1.7ml)を添加し、次いでCl−P(OMe)N(iPr)2(34ml)を添加した。25℃で6時間撹拌し、仕上げ処理したのち、混合物をシリカ上で(最初にCHCl3/Et3N,98:2、次いでCHCl3/Et3N/MeOH,97:2:1)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。1.1gの生成物を得た。
リン酸(メチル)(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)[N 4−ベンジルオキシカルボニル−5′−(N−ベンジルオキシカルボニルグリシル)アミノ−5′−デオキシ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジル−3′](3′−異性体との混合物)(化合物10)を下記により製造した。
ホスホンアミデート(化合物9,1.1g)を無水アセトニトリル(30ml)に溶解し、4−N,N−ジプロピルアミノフェノール(200mg)を添加し、次いでテトラゾール(420mg)を添加した。25℃で16時間撹拌したのち、70%,t−ブチルヒドロペルオキシド(0.3ml)を添加した。15分後に反応混合物を仕上げ処理し、粗生成物をシリカ上で(最初にEtOAc、次いでEtOAc/MeOH,97:3)により溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.85gの生成物を得た。
リン酸(メチル)(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)(5′−デオキシ−5′−グリシルアミノシチジル−3′)(3′−異性体との混合物)(化合物11)を下記により製造した。
ビス−カルボベンジルオキシ保護した化合物(化合物10,0.85g)をエタノール(30ml)およびシクロヘキサン(15ml)に溶解した。Pd−C20%(400mg)を添加し、混合物を撹拌しながら4時間加熱還流した。濾過したのち、溶液を濃縮し、ガムをシリカ上で(最初にCHCl3/MeOH,95:5、次いで5:1、最後に100%MeOH)により溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製した。100mgの生成物を得た。
リン酸水素(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)(5′−デオキシ−5′−グリシルアミノ−2′−O−テトラヒドロピラニルシチジル−3′)(3′−異性体との混合物)(化合物12)を下記により製造した。
ホスフェート(化合物11,100mg)をt−ブチルアミン(25ml)に溶解し、8時間加熱還流した。濃縮したのち、生成物をHPLCにより精製した(マグネシウム20逆相カラム、溶離剤MeOH/0.1Mギ酸アンモニウム、比率60:40)。
質量スペクトル FAB MS[MH+]639
参考例8
LoVo腫瘍異種移植体へのA5B7 F(ab’)2−BP−RNアーゼ結合体の局在化
参考例4の記載に従って調製したA5B7 F(ab’)2−BP−RNアーゼ結合体を、アイオドゲン(IODOGEN、商標)(パース・アンド・ワリナー(英国)社、イギリス、チェスター)を製造業者の推奨する方法に従って用いて、無担体125Iで放射性標識した。放射性標識後の免疫反応性のインビトロ保持率が>50%であることを、Lindmoら,J.Immunol.Meth.,72,77−89,1984の方法でLoVo腫瘍細胞に結合させることにより確認した。確定したLoVo腫瘍異種移植体を保有する(1×107個のLoVo腫瘍細胞を7日前に皮下注射)無胸腺ヌードマウス(nu/nu:Alpk[非近交系])に、10μCiの125Iを含有する結合体約10μgを静脈内注射した。結合体を注射したのち、マウス3匹の群を種々の期間後に屠殺し、腫瘍、血液試料、および一定範囲の他の組織を摘出し、秤量し、ガンマ計数管で計数した。結合体の腫瘍および組織への分布を下記に示す。
腫瘍および組織へのA5B7 F(ab’)2−BP−RNアーゼ結合体の局在化
この結果は、A5B7 F(ab’)2−RNアーゼ結合体がLoVo腫瘍異種移植体へ特異的に局在化することを明瞭に示す。24時間以後、血液を含めた他の組織と比較して腫瘍組織の方が、組織1g当たりの結合体の量が多かった。腫瘍内の結合体の量は、A5B7 F(ab’)2−CPG2結合体(Blakeyら,Br.J.Cacer,69,補遺XX1,p14,1994)により達成されたものと同様であった。このCPG2結合体についてのこれらの量は、マスタードプロドラッグと組み合わせた場合にLoVo異種移植体モデルにおいて腫瘍を退行させかつ長期的に増殖を遅延させるのに十分であることが示されている(Blakeyら,Br.J.Cacer,69,補遺XX1,p14,1994;Blakeyら,Proceedings of the American Association for Cacer Research,35,p507,1994)。
参考例9
ヒプリル−L−グルタミン酸の合成(図28参照)
ヒプリル−L−グルタミン酸ジベンジルエステル(化合物3)(2.06g,4.2×10-3mol)、およびTHF中の30%Pd/炭素(水分50%)(0.77g)を水素雰囲気中で1.5時間撹拌した。混合物をセライト(Celite、商標)で濾過し、濾液を蒸発乾固させた。ジエチルエーテルで摩砕処理して、目的とする最終生成物を白色結晶質固体1.02g(78%)として得た。融点169〜171℃。20D=−2.5°。
出発物質である化合物3は下記により製造された。馬尿酸(0.90g,5×10-3mol)およびL−グルタミン酸ジベンジルエステル(2.50g,5×10-3mol)の、DMF(35ml)中における溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.73g,5.5×10-3mol)、トリエチルアミン(1.4ml,9.7×10-3mol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.05g,5.5×10-3mol)を添加した。混合物を室温で一夜撹拌し、水(400ml)に注入し、酢酸エチル(100ml)で2回抽出した。抽出液を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、2N HClおよび水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、蒸発させて、目的とする出発物質を黄色の油として得た。2.06g(84%)。
参考例10
ヒプリル−L−アスパラギン酸の合成
ヒプリル−L−アスパラギン酸ジベンジルエステル(1.28g,2.7×10-3mol)、およびTHF中の30%Pd/炭素(水分50%)(0.51g)を水素雰囲気中で3時間撹拌した。混合物をセライト(商標)で濾過し、濾液を蒸発乾固させた。ジエチルエーテルで摩砕処理して、灰白色の結晶質固体0.62g(78%)を得た。融点200〜202℃。20D=+7.9°。
出発物質は下記により合成された。馬尿酸(0.90g,5×10-3mol)およびL−アスパラギン酸ジベンジルエステル(2.31g,5×10-3mol)の、DMF(35ml)中における溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.73g,5.5×10-3mol)、トリエチルアミン(1.4ml,9.7×10-3mol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.05g,5.5×10-3mol)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、次いで水(450ml)に注入し、酢酸エチル(100ml)で2回抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、2N HClおよび水で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、蒸発乾固して、目的とする出発物質を黄色の油として得た。1.90g(80%)。
参考例11
Hipp−Argに対する組換えHCPBの酵素活性
参考例20の記載に従って製造した精製ヒトCPBがヒプリル−L−アルギニン(Hipp−Arg)を馬尿酸に変換する効力を、分光測光アッセイ法によりアッセイした。
天然HCPBのKmおよびKcatを、一定範囲のHipp−Arg濃度(0.75〜0.125mM)およびCPB酵素濃度1μg/mlを用いて、254nMのHipp−Argを馬尿酸に変換する初速度の測定により判定した。測定は37℃で0.25mM トリスHCl緩衝液(pH7.5)中において、光路1cmにより総容量1.0mlのキュベット中で、パーキン・エルマー、ラムダ2分光光度計を用いて行われた。KmおよびVmax値は、ENZFITTER(商標)ソフトウェアプログラム(バイオソフト(Biosoft)、商標、パーキン・エルマー)により計算された。KcatはVmaxから、反応混合物の酵素濃度で割ることにより計算された。
Hipp−Argに対するヒトCPBの結果は以下のとおりであった:
Km=0.18mM
Kcat=65s-1
この結果は、上記の組換えHCPBが酵素活性を示し、Hipp−Arg中のアミド結合を開裂して馬尿酸を放出しうることを証明する。
参考例12
アルギニンマスタードプロドラッグの合成(図27参照)
(2S),2−(3−{4−[ビス−(2−クロロエチル)アミノ]フェノキシカルボニル}プロピオニルアミノ)−5−グアニジノ−ペント酸(化合物5c,図27)
(2S),2−(3−{4−[ビス−(2−クロロエチル)アミノ]フェノキシカルボニル}プロピオニルアミノ)−5−(2−ニトロ)グアニジノ−ペント酸ベンジルエステル(化合物4c,図27)(275mg;0.44mmol)の、酢酸エチル/MeOH(1/1;v/v)(8ml)中における溶液−10%Pd/C(200mg)を含有−を、パル(Parr)装置内で約552kPa(80psi)において6時間、水素添加した。濾過したのち、有機相を蒸発させた。得られた油をCH2Cl2/ジエチルエーテルで再結晶して、目的化合物5cを白色固体(180mg)として得た。収率84%。
出発物質である化合物4cは下記により製造された。(2S),2−アミノ−5−(2−ニトロ)グアニジノ−ペント酸ベンジルエステル(化合物2c)(654mg;1mmol)の、CHCl3(10ml)中における溶液に、ジヒドロフラン−2,5−ジオン(化合物1)(120mg;2mmol)、次いでトリエチルアミン(202mg;2mmol)を滴加した。室温で2時間撹拌したのち、溶剤を蒸発させ、粗製残渣を水に溶解し、2N HClでpHを2.5に調整した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて、(2S),2−(3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−5−(2−ニトロ)グアニジノ−ペント酸ベンジルエステル(化合物3c)を得た。得られた固体をジエチルエーテルで摩砕処理し、濾別した;280mg(68%)。
化合物3c(204mg;0.5mmol)の、CHCl3(5ml)中における懸濁液に、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェノール(化合物6)(135mg;0.5mmol)、EDCI(19mg;0.5mmol)、次いでDMAP(18mg;0.75mmol)を添加した。室温で6時間撹拌したのち、溶剤を蒸発させた。残渣を酢酸エチルと水の間で分配し、水相を2NHClでpH3に酸性化した。酢酸エチルで抽出したのち、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。残渣を溶離剤としてCH2Cl2/MeOH(95/5;v/v)を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、目的とする出発物質4cを白色泡状物(281mg)として得た。収率90%。
参考例13
コハク酸モノ−{4−[N,N−ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェニル}エステル(本明細書において、“中間体”とも呼ぶ)
CHCl3(10ml)中の無水コハク酸(225mg;2.25mmol)の懸濁液に、撹拌下で4−[N,N−ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェノール(化合物6,図27;203mg;0.75mmol)、次いでトリエチルアミン(75mg;0.75mmol)を添加した。混合物を一夜撹拌し、溶剤を蒸発させた。粗製残渣をEtOAc/Et2O/H2Oに溶解し、撹拌下でpHを3に調整した。有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。得られた油をEt2O/ヘキサンから結晶化し、白色固体を濾別し、真空下で乾燥させて、目的とする最終生成物(210mg;収率83%)を得た。融点98〜100℃。
参考例14
ヒト膵臓カルボキシペプチダーゼB(HCPB)のクローニング
標準的な分子生物学的方法、たとえば制限酵素消化、連結反応、キナーゼ反応、脱リン酸化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、細菌の形質転換、ゲル電気泳動、緩衝液の調製、ならびにDNAの形成、精製および単離は、Maniatisら(1989),Molecular Cloning.A Laboratory Manual:第2版:コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、の記載に従って、または個々の製品の製造業者が推奨する方法により行われた。大部分の場合、酵素はニュー・イングランド・バイオラボズから購入されたが、他の業者および均等な方法も採用できる。オリゴヌクレオチド配列は、アプライド・バイオシステムズ380A DNA合成装置で、5′−ジメトキシトリチル塩基保護したヌクレオチド−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピル−ホスホルアミダイトおよび0.2μmolの大きさの制御された細孔をもつガラス支持体に結合した保護されたヌクレオチドから、アプライド・バイオシステムズ社の提供するプロトコールに従って、調製された。
ヒト膵臓カルボシペプチダーゼBをコードする配列は、λgt10ベクター(クローンテク、ヒト膵臓5′STRETCH cDNA、HL 1163a)中へクローン化したヒト膵臓cDNAライブラリーからPCR法により得られ、プラスミドベクターpBluescript(商標)IIKS+(ストラタジーン)中へクローン化された。
一般に一定部分のcDNAライブラリー(>108pfu/mlの力価のもの5μl)を、100pMolの2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、BPT1およびBPB1(配列番号:46および配列番号:47)、dNTP(最終濃度200μM)、Taqポリメラーゼ反応緩衝液、ならびに2.5UのTaqポリメラーゼ(最終容量100μl中)と混合した。Taq酵素を添加する前に、この混合物を94℃に10分間加熱し、94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で2分間の30サイクルのインキュベーションを行い、次いで反応終了時に72℃で9.9分間のインキュベーションを1回行った。
上記2種類のオリゴヌクレオチドプライマーは、図18に示すように、BPT1由来の遺伝子(配列番号:46)の5′側のプレ配列(pre−sequence)の起点とプロ配列(pro−sequence)の起点の間からのPCR延長、およびBPB1由来の遺伝子(配列番号:47)の3′側からの逆PCR延長が可能となるように設計される。またBPT1およびBPB1は、ユニーク制限部位、それぞれSacIおよびXhoIをPCR生成物に導入するように設計される。
一定部分のPCR生成物を適正なサイズのDNA(約1250塩基対)につきアガロース電気泳動により分析して、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。セントリコン(Centricon、商標)100微量濃縮カラム(アミコン)を用いて反応混合物から残りの生成物を精製し、過剰の試薬から分離し、次いでエタノール/酢酸ナトリウム沈殿法、遠心分離、真空乾燥および、蒸留水中への再懸濁によりDNAを単離した。単離したDNAを酵素SacIおよびXhoIで制限消化し、アガロースゲル電気泳動から適正なサイズのバンド(約1250塩基対)を切取り、ガラス−ミルク(glass−milk)(ジェネクリーン(Geneclean、商標)、ストラテク・サイエンティフィック、またはこれに類する他の製品)を用いて単離した。
pBluescript(商標)II KS+二本鎖DNA(ストラタジーン)をSacI酵素で制限消化し、生成物をウシ腸アルカリホスファターゼで脱リン酸化処理して、5′ホスホリル基を除去し、再連結反応、および形質転換後のベクターバックグラウンドを低下させた。DNA生成物をガラス−ミルクにより酵素反応の汚染物質から精製し、次いでXhoI酵素で制限消化した。アガロースゲル電気泳動から適正なサイズのDNA(約2850塩基対)を切取り、ガラス−ミルク(ジェネクリーン(商標)、ストラテク・サイエンティフィック、またはこれに類する他の製品)を用いて精製および単離した。
制限消化しかつ精製したDNA試料の一定部分につき、既知の標準品と比較したアガロースゲル電気泳動により純度および濃度を調べた。これらの推定値から、HCPB遺伝子をベクター中へクローニングするための連結反応混合物を、約1ベクター:2.5挿入配列(1 pBluescriptII KS+:2.5HCPB PCR生成物)のモル比、および最終DNA濃度約2.5ng/μlで、T4 DNAリガーゼ、1mM ATPおよび酵素緩衝液の存在下に調製した。
連結反応後のDNA混合物を、大腸菌DH5α株(ギブコ−BRL、最大効率コンピテント細胞)の形質転換に用いた。プラスミドベクターの選択として100μg/mlのアンピシリンを含有するL−寒天栄養培地に一定部分の細胞を接種し、37℃で一夜インキュベートした。目的とする挿入配列をもつプラスミドを含むコロニーをハイブリダイゼーションにより同定した。
約200コロニーを採取し、プラスミドベクターの選択として100μg/mlのアンピシリンを含有するL−寒天栄養培地の平板上で予め湿らせた2枚ずつの無菌ニトロセルロースフィルター(シュライヘル・アンド・シュル)に乗せ、37℃で一夜インキュベートした。2枚のうち1枚の平板を4℃で保存して、各コロニーの生存細胞源として用い、他方の平板を変性処理して個々のコロニーに由来するDNAをニトロセルロースに固定した。ニトロセルロースフィルターを寒天平板から取り出し、下記のものに浸漬したワットマン(Whatman、商標)濾紙に順に乗せた:
1.10%SDS、2分間
2.0.5M NaOH、1.5M NaCl、7分間
3.0.5M NaOH、1.5M NaCl、4分間
4.0.5M NaOH、1.5M NaCl、2分間
5.0.5M トリス、pH7.4、1.5M NaCl、2分間
6.2×SSC(標準クエン酸塩類溶液)、2分間
次いで10×SSCに浸漬したワットマン(商標)濾紙にフィルターを乗せ、変性DNAを紫外線処理(スペクトロリンカー(Spectrolinker、商標)XL−1500 UV架橋装置)によりニトロセルロースに架橋した。次いでフィルターを室温で風乾し、次いで6×SSC溶液中において緩和に撹拌しながら60℃で1時間、予備ハイブリダイゼーションした(たとえばテクネ(Techne)HB−1Dハイブリダイザーを使用)。予備ハイブリダイゼーションはフィルター上の非特異的DNA結合部位を遮断する。
目的とするDNA挿入配列を含むコロニーを判定するために、ニトロセルロースフィルターに架橋したDNAを、膵臓cDNAライブラリーのHCPB PCR生成物(前記)から調製した放射性標識32P−DNAプローブとハイブリダイズさせた。T7 DNAポリメラーゼ(ファルマシア、T7クイックプライム(Quickprime)キット)を用いて、総容量50μlで、約50ngのDNAを50μCiの32P−dCTP(約3000Ci/mMol)で標識し、反応を37℃で15分間進行させた。次いで標識プローブを95℃に2分間加熱して二本鎖DNAを変性させ、直ちに10mlの6×SSCに60℃で添加し、この溶液でフィルター上の予備ハイブリダイゼーション溶液を交換した。緩和に撹拌しながら、60℃で約3時間、インキュベーションを続けた。次いでハイブリダイゼーション溶液を注ぎ出し、フィルターを60℃で2回、2×SSC中でそれぞれ15分間洗浄した。次いでフィルターを緩和にブロッティングして乾燥させ、密着フィルム(サラン(Saran、商標)ラップまたはこれに類するもの)で覆い、X線フィルム(たとえばコダック、エクソマット(Xomat、商標)−AR5)に室温で一夜露光した。フィルムを現像したのち、目的とする挿入配列を含むコロニーはX線フィルム上に最も強い露光(最も濃いスポット)を与えるものとして同定された。この一連の実験で約15%のコロニーが陽性ハイブリダイゼーションを示した。このうち12コロニーをその後のスクリーニングのために選択した。これらのコロニーを2枚ずつのフィルターから採取し、100μg/mlのアンピシリンを含有するL−寒天栄養培地上で画線培養およ維持し、100μg/mlのアンピシリンを含有するL−ブロス栄養培地中で増殖させた。
選択した分離体をPCRにより、プライマーBPT1およびBPB1(配列番号:46および配列番号:47)を用いて適正なサイズの挿入配列につき検査し、また内部プライマーBPT2(配列番号:48)およびBPB1によるプライミングにつき検査した。BPT2は、プロ配列の終点で成熟遺伝子の起点前においてプライミングし、かつXbaI制限部位を導入するように設計される。
PCRスクリーニングのために、選択した分離体のコロニーを採取し、200μlの蒸留水に分散させ、シールしたエッペンドルフ(Eppendorf、商標)試験管中で100℃において10分間加熱した。次いで懸濁液をマイクロフュージで10分間遠心して細胞片をペレット化し、1μlの上清をPCRスクリーニングのDNA鋳型として用いた。一般に1μlの上清を20pmolの2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、BPT1およびBPB1、またはBPT2およびBPB1、dNTP(最終濃度200μM)、Taqポリメラーゼ反応緩衝液、および0.5UのTaqポリメラーゼと、最終容量20μl中で混合した。PCRインキュベーションを94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で2分間の25サイクルにより行い、次いで反応終了時に72℃で9.9分間のインキュベーションを1回行った。
PCR生成物を適正なサイズのDNA(プライマーBPT1からBPB1まで約1250塩基対、またプライマーBPT2からBPB1まで約900塩基対、図18参照)につき、アガロースゲル電気泳動により分析した。12中の10のクローンから適正なサイズのPCR DNA生成物が得られた。次いで10中6のクローンをプラスミドDNA調製用として採取した(キアゲン・マクシ(商標)キットを使用、100μg/mlのアンピシリンを含有するL−ブロス中37℃で一夜の培養物100mlから)。次いでこれらのプラスミドDNA調製物を、USBシーケナーゼ(商標)DNA配列決定用キット(バクテリオファージT7 DNAポリメラーゼを含む)を用いて、PCR生成物挿入配列領域にわたって配列決定した。各クローンを8種類の別個のオリゴヌクレオチドプライマー、すなわち676、336、337、679、677、1280、1279および1281(配列番号:48〜55)により配列決定した。HCPB配列内のこれらの配列決定用プライマーの位置を図19に示す。プライマー336、1279、676、1280、677、および1281は“前向き”であり、337および679は“後向き”である。
6中5のクローンはSacIおよびXhoI制御部位を含めてそれらの間に1263塩基対の等しい配列(配列番号:56)をもつことが認められ、この配列をその後の実験に用いた。このDNA配列からそのポリペプチド配列への翻訳を配列番号:57に示し、成熟タンパク質配列の起点から1と番号をつける。−95と番号をつけたアミノ酸が推定プロ酵素配列の起点を表す。クローン化PCRにより生成したDNA中には酵素分泌リーダー配列(プレ配列)の一部しか存在しない。このポリペプチド配列は位置253にアスパラギン酸残基を示す。これは、全配列を他の哺乳動物カルボキシペプチダーゼAおよびB配列と並置した場合に、B型特異性を表す(Catasus L.,ら,Biochem.J.,287,299−303,1992により255の番号がつけられたアミノ酸,および考察を参照)。しかしクローン化配列中の位置135のシステイン残基は公表された他のヒト膵臓カルボキシペプチダーゼB中には見られない。これはYamamotoら,Journal of Biological Chemistry,267,2575−2581,1992により強調され、そこには他の哺乳動物膵臓カルボキシペプチダーゼBアミノ酸配列と並置した場合に244の番号の位置以後の配列にギャップがあることが示される。図19にも示すように、アミノ酸アスパラギン酸残基のおおよその部位は酵素認識部位内にあり、システイン残基は成熟酵素の位置135にある。
これらのクローンのうちの1つは、1995年11月23日に、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(23 St.Machar Drive,Aberdeen AB2 1RY、スコットランド)に寄託され、寄託番号NCIMB 40694をもつ。このクローン由来のプラスミドはpICI1698として知られる。
参考例15
大腸菌からの成熟HCPB−(His)6−c−Mycの発現
成熟HCPBを大腸菌から発現させるために、pICI1698由来の成熟遺伝子を生成タンパク質を細菌の細胞周辺へ調節分泌させるプラスミドベクター中へ転移させた。調節発現に適した、細菌性宿主MSD522中のpICI266として知られるこの分泌ベクターは、1993年10月11日に、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(Aberdeen AB2 1RY、スコットランド)に寄託され、寄託番号NCIMB 40589をもつ。pICI266のプラスミド地図を図20に示す。このプラスミドはテトラサイクリン耐性および誘導に関する遺伝子(TetAおよびTetR)、挿入遺伝子の発現のためのAraBオペレーターおよびプロモーター配列、ならびに発現調節のためのAraC遺伝子をもつ。プロモーター配列に続いてPelB翻訳リーダー配列があり、これはそれ以後のポリペプチド配列を細胞周辺へ向かわせる。遺伝子クローニング部位はいくつかのユニーク制限部位を含み、それに続いてファージT4転写終止配列がある。この領域のDNA配列および遺伝子クローニングのための特色を図21に示す。
成熟HCPB配列をpICI266中へクローニングするために、HCPB DNAをPCR法により形成し、成熟遺伝子の起点におけるコドン利用性を若干変更して大腸菌嗜好性コドンを導入することに決定した。また発現構築体の検出および精製に役立てるために、(His)6−c−mycとして知られるC−末端ペプチド標識をこの酵素に付加した。この標識は6個のヒスチジン、トリペプチドリンカー(EPE)、および抗体9E10(Evanら,Mol.Biol.,5,129−136,1985により発表、ケンブリッジ・リサーチ・バイオケミカルズその他の抗体供給業者から入手できる)が認識するc−myc由来のペプチド配列(EQKLISEEDL)から構成される。C−末端はアスパラギンの付加により完結する。6個のヒスチジン残基は金属キレートカラム(たとえばNi−NTAアガロース、キアゲンから)による発現タンパク質精製を可能にするはずである。さらに、PCR生成物を発現ベクター中へ導入しやすくするために、PCRプライマーを用いてユニーク制限部位を遺伝子の5′側(FspI)および3′側(EcoRI)に導入する。FSPTS1および6HIS9E10R1BS1として知られる2つのプライマー配列を、配列番号:58および59に示す。
pICI266中へのクローニングに用いる修飾遺伝子を形成するために、100pMolのプライマーFSPTS1および6HIS9E10R1BS1を、約5ngのpICI1698 DNA、dNTP(最終濃度200μM)、Taqポリメラーゼ反応緩衝液、および2.5UのTaqポリメラーゼの存在下に、最終容量100μl中で用いてPCRを設定した。この混合物をTaq酵素の添加前に94℃に10分間加熱し、PCRインキュベーションを94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で2分間の30サイクルにより行い、次いで反応終了時に72℃で9.9分間のインキュベーションを1回行った。一定部分のPCR生成物を、適正なサイズのDNA(約1000塩基対)につき、アガロースゲル電気泳動により分析し、主として適正なサイズのバンドを含むことを認めた。セントリコン(商標)100微量濃縮カラム(アミコン)を用いて反応混合物から残りの生成物を精製し、過剰の試薬から分離し、次いでエタノール/酢酸ナトリウム沈殿法、遠心分離、真空乾燥および蒸留水中への再懸濁により、DNAを単離した。単離したDNAを酵素FspIおよびEcoRIで制限消化し、アガロースゲル電気泳動から適正なサイズのバンド(約1000塩基対)を切取り、ガラス−ミルク(ジェネクリーン(商標)、ストラテク・サイエンティフィック、またはこれに類する他の製品)を用いて単離した。
標準的なDNA技術(キアゲンプラスミドキットまたはそれに類するもの)を用いて製造したpICI266二本鎖DNAをKpnI酵素で、確実に完全に消化されるようにきわめて慎重に消化した。次いで65℃に10分間加熱することによりこの酵素を不活性化し、次いで氷上で冷却した。次いでT4 DNAポリメラーゼを供給業者(ニュー・イングランド・バイオラボズ)の推奨に従ってdNTPの存在下に添加し、16℃で15分間インキュベートすることにより、KpnIで形成された3′側オーバーハングを酵素消化した。70℃に15分間加熱して酵素を不活性化することにより、反応を停止した。ガラス−ミルクによりDNA生成物を酵素反応の汚染物質から精製し、一定部分をアガロースゲル電気泳動により収率につき検査し、残りをEcoRI酵素で制限消化した。この場合も確実に完全に制限消化されるように注意をはらった。アガロースゲル電気泳動によって適正なサイズのDNA(約5600塩基対)を切取り、ガラス−ミルク(ジェネクリーン(商標)、ストラテク・サイエンティフィック、またはこれに類する他の製品)を用いて精製および単離した。
制限消化しかつ精製したDNA試料の一定部分をアガロースゲル電気泳動により既知の標準品と比較して、純度および濃度推定値を調べた。これらの推定値から、HCPB遺伝子をベクター中へクローニングするための連結反応混合物を、約1ベクター:2.5挿入配列(1 pICI266:2.5 HCPB PCR生成物)のモル比、および最終DNA濃度約2.5ng/μlで、T4 DNAリガーゼ、1mM ATPおよび酵素緩衝液の存在下に、平滑末端DNA(FspIからT4 DNAポリメラーゼ処理KpnIまで)の連結反応に適した条件を用いて調製した。
連結反応後のDNA混合物を、大腸菌DH5α株(ギブコ−BRL、最大効率コンピテント細胞)の形質転換に用いた。プラスミドベクターの選択として100μg/mlのテトラサイクリンンを含有するL−寒天栄養培地に一定部分の細胞を接種し、37℃で一夜インキュベートした。目的とする挿入配列をもつプラスミドを含むコロニーをハイブリダイゼーションにより同定した。
約350コロニーを採取し、プラスミドベクターの選択として10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−寒天栄養培地の平板上で予め湿らせた2枚ずつの無菌ニトロセルロースフィルター(シュライヘル・アンド・シェル)に乗せ、37℃で一夜インキュベートした。2枚のうち1枚の平板を4℃で保存して、各コロニーの生存細胞源として用い、他方の平板を変性処理して個々のコロニーに由来するDNAをニトロセルロースに固定した。ニトロセルロースフィルターを寒天平板から取り出し、下記のものに浸漬したワットマン(商標)濾紙に順に乗せた:
1.10%SDS、2分間
2.0.5M NaOH、1.5M NaCl、7分間
3.0.5M NaOH、1.5M NaCl、4分間
4.0.5M NaOH、1.5M NaCl、2分間
5.0.5M トリス、pH7.4、1.5M NaCl、2分間
6.2×SSC(標準クエン酸塩類溶液)、2分間
次いで10×SSCに浸漬したワットマン濾紙にフィルターを乗せ、変性DNAを紫外線処理(スペクトロリンカー(商標)XL−1500 UV架橋装置)によりニトロセルロースに架橋した。次いでフィルターを室温で風乾し、次いで6×SSC溶液中において緩和に撹拌しながら60℃で1時間、予備ハイブリダイゼーションした(たとえばテクネHB−1Dハイブリダイザー(商標)を使用)。予備ハイブリダイゼーションはフィルター上の非特異的DNA結合部位を遮断する。
目的とするDNA挿入配列を含むコロニーを判定するために、ニトロセルロースフィルターに架橋したDNAを、膵臓cDNAライブラリーのHCPB PCR生成物(前記)から調製した放射性標識32P−DNAプローブとハイブリダイズさせた。T7 DNAポリメラーゼ(ファルマシア、T7クイックプライム(商標)キット)を用いて、総容量50μlで、約50ngのDNAを50μCiの32P−dCTP(約3000Ci/mMol)で標識し、反応を37℃で15分間進行させた。次いで標識プローブを95℃に2分間加熱して二本鎖DNAを変性させ、直ちに10mlの6×SSCに60℃で添加し、この溶液でフィルター上の予備ハイブリダイゼーション溶液を交換した。緩和に撹拌しながら、60℃で約3時間、インキュベーションを続けた。次いでハイブリダイゼーション溶液を注ぎ出し、フィルターを60℃で2回、2×SSC中でそれぞれ15分間洗浄した。次いでフィルターを緩和にブロッティングして乾燥させ、密着フィルム(サラン(商標)ラップまたはこれに類するもの)で覆い、X線フィルム(たとえばコダック、エクソマット(商標)−AR5)に室温で一夜露光した。フィルムを現像したのち、目的とする挿入配列を含むコロニーはX線フィルム上に最も強い露光(最も濃いスポット)を与えるものとして同定された。この一連の実験で約50%のコロニーが陽性ハイブリダイゼーションを示した。このうち12コロニーをその後のスクリーニングのために選択した。これらのコロニーを2枚ずつのフィルターから採取し、10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−寒天栄養培地に画線培養して維持し、10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−ブロス栄養培地中で増殖させた。
選択した分離体をPCRにより、プライマーFSPTS1および6HIS9E10R1BS1(配列番号:58および配列番号:59)を用いて適正なサイズの挿入配列につき検査し、また内部プライマーBPB2(配列番号:51)およびFSPT1によるプライミングにつき検査した。BPB2は、成熟遺伝子内でプライミングし、約430塩基対のフラグメントを導入するように設計される。
PCRスクリーニングのために、選択した分離体のコロニーを採取し、200μlの蒸留水に分散させ、シールしたエッペンドルフ試験管中で100℃において10分間加熱した。次いで懸濁液をマイクロフュージで10分間遠心して細胞片をペレット化し、1μlの上清をPCRスクリーニングのDNA鋳型として用いた。一般に1μlの上清を20pmolの2種類のオリゴヌクレオチドプラマー、FSPTS1および6HIS9E10R1BS1、またはFSPTS1およびBPB2、dNTP(最終濃度200μM)、Taqポリメラーゼ反応緩衝液、および0.5UのTaqポリメラーゼと、最終容量20μl中で混合した。PCRインキュベーションを94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で2分間の25サイクルにより行い、次いで反応終了時に72℃で9.9分間のインキュベーションを1回行った。
PCR生成物を適正なサイズのDNA(プラマーFSPTS1から6HIS9E10R1BS1まで約1000塩基対、またプラマーFSPTS1からBPB2まで約430塩基対)につき、アガロースゲル電気泳動により分析した。12クローンすべてが適正なサイズのPCR DNA生成物を与えた。次いでそれらのうち6クローンをプラスミドDNA調製用として採取した(キアゲン、マキシ(商標)キットを使用、10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−ブロス中37℃で一夜の培養物100mlから)。次いでこれらのプラスミドDNA調製物を、USBシーケナーゼ(商標)DNA配列決定用キット(バクテリオファージT7 DNAポリメラーゼを含む)を用いて、PCR生成物挿入配列領域にわたって配列決定した。各クローンを数種類の別個のオリゴヌクレオチドプライマーにより配列決定した。あるいは、自動DNA配列決定サービス(ABI配列決定装置を使用)によりDNAを配列決定した。いくつかの別個のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてこれらのクローンを配列決定した。1504、1590および1731として知られる3種類のプライマー(配列番号:60、61および62)を用いて、発現ベクターと挿入遺伝子の間のクローニング結合を検査し、かつ挿入遺伝子の起点と終点からの配列データを得た。679、677、1802および1280として知られる他のプライマー(配列番号:51、52、63および53)を用いて、残りの挿入遺伝子配列を確認した。修飾した成熟HCPB遺伝子を含むこのプラスミドは、pICI1712として知られる。アミノ酸翻訳を示す、確認されたクローン化遺伝子配列(PelB配列の起点から(His)6−c−myc標識の終点まで)を配列番号:64として示し、DNA番号つけをPelBの第1コドンの1から開始し、ペプチドの番号つけを成熟HCPBの1から開始する。
この修飾HCPBを調節発現させるために、pICI1712プラスミドDNAを塩化カルシウム形質転換コンピテント大腸菌発現株中へ形質転換した。これらの菌株には、アラビノースを主要炭素源として増殖することができず、アラビノース(Ara)オペロンに対する染色体欠失であるものが多数含まれていた。好ましい菌株はMSD213として知られ(CasadabanらのMC1000株、Journal of Molecular Biology,v138,179−208,1980)、部分遺伝子型F−Ara Δ(Ara−Leu)ΔLacX74 GalV GalK StrRをもつ。他の好ましい菌株はMSD525として知られ(MC1061株)、遺伝子型AraD139 Δ(Ara−Leu)7697 ΔLacX74 GalU HsdL RpsLをもつ。プラスミドpICI266においてAraBプロモーター由来の遺伝子を調節発現させるのに適した同様な遺伝子型の大腸菌株は、米国コネチカット州エール大学生物学部、大腸菌遺伝子保存センター(E.coli Genetic Stock Centre)から入手できる。形質転換体の選択は、10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−寒天栄養培地上で、37℃において一夜行われた。形質転換用平板から単一コロニーを採取し、10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−寒天栄養培地に画線培養して維持し、10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−ブロス栄養培地中で増殖させることにより純粋にした。
すべてのpICI1712形質転換発現株を同じ方法で処理して、クローン化HCPB遺伝子の発現につき試験した。
1.25ml容ユニバーサル容器内で10μg/mlのテトラサイクリンを含有するL−ブロス栄養培地10mlに単一コロニーを用いて接種し、37℃で一夜、振盪しながらインキュベートした。
2.250ml容三角フラスコ内で、10μg/mlのテトラサイクリンを含有する37℃に予熱したL−ブロス栄養培地75mlに、上記の一夜培養物0.75ml(1% v/v)を接種した。37℃で振盪しながらインキュベーションを続け、540nmの吸光により増殖を監視した。培養物の指数関数的増殖期にクローン化タンパク質の発現を誘導する必要があり、これは540nmで0.4〜0.6 O.D.において行われ、一般に接種から90〜150分間行われた。
3.細胞が目的の光学濃度に達した時点で、フラスコを室温に30分間置くことにより、培養物を放冷した。次いでアラビノースを最終濃度1%(w/v)となるように添加し、30℃で振盪しながら4〜6時間、インキュベーションを続けた。
4.インキュベーション後に最終的な光学濃度測定を行い、細胞を遠心により採取した。この最終光学濃度測定値を利用して、細胞ペレットの再懸濁に用いるタンパク質アクリルアミドゲル(レムリ)装填用緩衝液の容量を計算した。1未満のO.D.については0.1 O.D.単位当たり10μlの容量を用い、1以上のO.D.については0.1 O.D.単位当たり15μlの容量を用いた。レムリの装填用緩衝液は、2%SDS、2%β−メルカプトエタノール、10%グリセリンおよび0.1%ブロムフェノールブルーを含有する0.125Mトリス−HCl(pH.6.8)からなっていた。
5.再懸濁後に試料を100℃に10分間加熱することにより変性させ、次いで遠心して粘稠な細胞片を上清から分離した。通常は上清20μlの発現試料を、一般にタンパク質の電気泳動分離用の17%SDSアクリルアミドゲルに装填した。一方を全タンパク質用に染色し(クーマシーまたはこれに類する染料、および標準条件を採用)、他方をウェスタン分析による個々の生成物の指示用に処理できるように、一般に2つのゲルを用意した。
ウェスタン分析のために、半乾式電気泳動ブロッティング装置(バイオ−ラドまたはこれに類するもの)を用いて泳動済みゲル中のタンパク質をナイロン膜(たとえばプロブロット(Problot、商標)、アプライド・バイオシステムズ)に移した。処理の前および途中は、膜が湿っているように注意をはらった。タンパク質をゲルから移したのち、室温で5時間緩和に撹拌しながら、リン酸緩衝液(PBS)中の5%低脂肪粉乳(マーベル(Marvel、商標)またはこれに類するもの)溶液で、それ以上の結合を遮断した。次いで室温で3回、それぞれ5分間緩和に撹拌しながら、0.05%ツイーン20を含有するPBS中で膜を洗浄した。次いで洗浄済みの膜を一次抗体、すなわち0.05%ツイーン20および0.5%低脂肪粉乳を含有するPBS中に適度に希釈した(一般に腹水については1:10,000、ハイブリドーマ培養上清については1:40)モノクローナル9E10マウス抗−c−mycペプチド(前記参照)と共に、室温で緩和に撹拌しながら一夜インキュベートした。次いで室温で3回、それぞれ少なくとも5分間緩和に撹拌しながら、0.05%ツイーン20を含有するPBS中で膜を洗浄した。次いで洗浄済みの膜を二次抗体、すなわち0.05%ツイーン20および0.5%低脂肪粉乳を含有するPBS中に適度に希釈した(一般に1:10,000)西洋ワサビペルオキシダーゼ標識−抗マウスIgG(一般にヤギにおいて産生されたもの、たとえばA4416、シグマから)と共に、室温で緩和に撹拌しながら少なくとも3時間インキュベートした。次いで室温で3回、それぞれ少なくとも10分間緩和に撹拌しながら、0.05%ツイーン20を含有するPBS中で膜を洗浄した。次いで膜をアマシャムECL(商標)ウェスタン検出キット法で処理し、そしてアマシャム、ハイパーフィルム(Hyperfilm、商標)ECLにまず30秒間、次いで発現タンパク質バンドの鮮明な像を得るのに適した時間、露光した。膜上のペルオキシダーゼ標識タンパク質の検出に関して同様な感度をもつ他の方法を用いてもよい。
pICI1712中へクローン化した標識HCPBが大腸菌株MSD213およびMSD525中において良好に発現することは、クーマシー染色ゲルがベクター(pICI266)のみのクローンと比較して約35,000ダルトンに強い追加のタンパク質バンドを示したこと、およびc−mycペプチド標識のウェスタン分析検出によって同じサイズのバンドが強いシグナルを示したことにより証明された。
参考例16
大腸菌からの成熟HCPBの発現
成熟HCPBを大腸菌にクローニングし、発現させる方法は、参考例15に記載した方法ときわめて類似していた。この場合もpICI266をクローニングベクターとして用いたが、この場合は成熟HCPB遺伝子を得るためのPCRの出発物質は、発現ベクター中の標識遺伝子であるプラスミドpICI1712であった。2264および2265として知られる2種類のオリゴヌクレオチド(配列番号:65および66)を(プライマーFSPTS1および6HIS9E10R1BS1の代わりに)、参考例15と同様な条件でPCR反応に使用した。ただしpICI1712 DNAをpICI698の代わりに用いた。第1の先頭鎖であるオリゴヌクレオチド2264は、pICI1712においてプライミングし、PelBリーダー配列中にNcoI制限酵素部位を含み、かつ挿入した成熟HCPB遺伝子の起点に続くように設計された(DNA塩基36〜66、配列番号:64に含まれる)。第2の末尾鎖であるオリゴヌクレオチド2265は、成熟HCPB遺伝子の終点において(His)6−c−myc標識配列(DNA塩基965〜987)に対して相補的、配列番号:64に含まれる)の起点の前でプライミングし、この遺伝子の終点に翻訳終止コドン(TAA TAAに対して相補的)を導入し、続いてEcoRI制限酵素部位(GAATTC)およびフィルイン塩基を導入するように設計された。このオリゴは成熟遺伝子配列を単離するためのPCRに際して、遺伝子中へプライムバックされる。
PCR生成物の一定部分を適正なサイズのDNA(約970塩基対)につきアガロースゲル電気泳動により分析し、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。この反応混合物の残りの生成物を参考例15と同様な方法で精製した。単離したDNAを酵素NcoIおよびEcoRIで制限消化し、適正なサイズのバンド(約940塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
参考例15と同様な方法で調製したpICI266二本鎖DNAをNcoIおよびEcoRI酵素で、完全に消化するように十分に注意をはらって制限消化した。適正なサイズのDNA(約5600塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
制限消化しかつ精製したDNA試料の一定部分につき、アガロースゲル電気泳動により既知の標準品と比較して純度および濃度推定値を調べた。これらの推定値から、HCPB遺伝子をpICI266ベクター中へクローニングするための連結反応混合物を参考例15と同様な方法で調製した。
連結反応後に、このDNA混合物を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、参考例15と同様な方法でコロニーを採取し、ハイブリダイゼーションにより試験した。
次いで6クローンをプラスミドDNA調製用に採取し、次いで参考例15と同様な方法でPCR生成物の領域にわたって配列決定した。これらのクローンは、1504、1802、679、1280、677および1731(配列番号:60、63、51、53、52および62)として知られる6つの異なるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて配列決定された。この配列決定の結果から、目的とする成熟HCPB遺伝子配列をもつプラスミドを含むクローンを選択した。これはpICI1736として知られる。
確認されたクローン化遺伝子の、アミノ酸翻訳を示す配列を、PelB配列の起点からEcoRI制限部位まで、配列番号:67として示す。DNAの番号つけはPelBの第1コドンにおける1から開始し、ペプチドの番号つけは成熟HCPBにおける1から開始する。
成熟HCPBを調節発現させるために、pICI1736プラスミドDNAを参考例15と同様な方法で、塩化カルシウム形質転換したコンピテント大腸菌発現株中へ形質転換した。クローン化HCPB遺伝子の発現を調べるために、pICI1736形質転換発現菌株すべてを参考例15と同様な方法で処理した。ただしこの場合は成熟HCPBがC−末端標識をもたないので、ウェスタン分析にc−mycペプチド標識に特異的な9E10モノクローナル抗体を用いることはできない。したがって一次抗体はウサギにおいて産生された抗−ウシカルボキシペプチダーゼA(バイオジェネシスから)であり、これは精製ヒト膵臓カルボキシペプチダーゼBと交叉反応することが予め示された。二次抗体は、ヤギにおいて産生された、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識した抗−ウサギIgG抗体であった(シグマA9169またはこれに類するもの)。
pICI266中にクローニングした成熟HCPB(pICI1736)の発現は、大腸菌MSD213およびMSD525株において、クーマシー染色ゲルがベクター(pICI266)のみのクローンと比較して約34,000ダルトンに追加のタンパク質バンドを示すことにより証明された。同じサイズのバンドが、抗−ウシカルボキシペプチダーゼAを用いるウェスタン分析検出によりシグナルを示した。
参考例17
COS細胞からの成熟HCPBの発現
preHCPBをコードする遺伝子を、pICI698からPCRにより形成した(参考例14)。鋳型pICI689(10μg)、ならびに配列番号:34および配列番号:35のオリゴ(それぞれ100pMol)を、10mM トリス−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、各0.125mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、ならびに2.5uのTaq DNAポリメラーゼ(アンプリタク、パーキン−エルマー・シータス)を含有する緩衝液(100μl)中に用いて、PCRを設定した。反応物に鉱油(100μl)を乗せ、94℃で1分間、53℃で1分間、および72℃で2.5分間の25サイクル、ならびに72℃で10分間、インキュベートした。985bpのPCR生成物を1%アガロース(アガロース、タイプI、シグマA−6013)ゲル上での電気泳動により分離し、次いでこのバンドをゲルから切り取り、ジェネクリーン(商標)(ジェネクリーンIIキット、ストラテク・サイエンティフィック社、またはバイオ101社)によりDNAフラグメントを単離した。ジェネクリーンキットは下記のものを含む:1)6Mヨウ化ナトリウム;2)塩化ナトリウム/エタノール/水による洗浄を行うための、塩化ナトリウム、トリスおよびEDTAの濃厚溶液;3)ガラスミルク(Glassmilk、商標)−特別に配合された水中シリカマトリックス懸濁液1.25mlを入れた1.5mlのバイアル。
これはProceedings of the National Academy of Sciences USA(1979)Vol.76,p615に発表されたVogelsteinおよびGillespieの方法に基づくDNA精製法である。あるいは“Molecular Cloning−a laboratory manual”第2版、Sambrook,FritschおよびManiatis(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、1989)に記載されたいずれの方法も採用できる。要約すると、ジェネクリーン法は下記のとおりである。1容量のゲル切片に、キットのヨウ化ナトリウム溶液3容量を添加する。この配合物を55℃に10分間加熱することによりアガロースを溶融し、次いでガラスミルク(5〜10μl)を添加し、十分に混合し、周囲温度に10分間放置する。ガラスミルクを遠心沈殿させ、キットのニューウォッシュ(NEW WASH)(500μl)で3回洗浄する。洗浄用緩衝液をガラスミルクから除去し、ガラスミルクを風乾する。乾燥したガラスミルクを水(5〜10μl)と共に55℃で5〜10分間インキュベートすることにより、DNAを溶離する。溶出したDNAを含有する水性上清を遠心分離により回収する。溶離工程を繰り返し、上清を保存できる。
preHCPB遺伝子を、100mM トリス−HCl(pH7.5)、10mM塩化マグネシウム、50mM NaCl、0.025%トリトンX−100、および各25uのHindIIIおよびEcoRI(ニュー・イングランド・バイオラボズ)を含有する反応液100μl中で37℃において1時間、EcoRIおよびHindIIIにより消化した。消化したフラグメントを、前記に切断していないフラグメントにつき述べたようにアガロースゲル電気泳動およびジェネクリーンにより精製し、pBluescript(商標)(ストラタジーン・クローニング・システムズ)中へクローニングした。
pBluescript KS+DNA(5μg)を上記の反応液100μl中において、EcoRIおよびHindIII(各25u)で、完全に消化した。消化したプラスミドに、次いでウシ腸アルカリホスファターゼ(1μl;ニュー・イングランド・バイオラボズ、10u/μl)を添加して5′リン酸基を除去し、37℃でさらに30分間、インキュベーションを続けた。70℃で10分間のインキュベーションによりホスファターゼ活性を分離した。EcoRI−HindIII切断したプラスミドを上記に従ってアガロースゲルから精製した。EcoRI−HindIII消化したpreHCPB遺伝子(50ng)と上記の切断プラスミドDNAを、30mM トリス−HCl(pH7.8)、10mM MgCl2、10mM DTT、1mM ATP、50μg/ml BSA、および400u T4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボズ社)を含有する溶液20μl中で25℃において4時間、連結反応させた。この反応液1μlを、20μlのコンピテント大腸菌DH5α細胞(MAX効率DH5αコンピテント細胞、ライフ・テクノロジーズ社)の形質転換に、この細胞に添付されたプロトコールにより使用した。形質転換細胞を、100μg/mlのアンピシリンを添加したL−寒天上で平板培養した。潜在的preHCPBクローンをPCRにより同定した。各クローンをpreHCPB遺伝子の精製につき上記に述べたと同様にPCR処理し、ただし細胞を含む配合物を25サイクルのPCR前に94℃で(高温開始法)5分間インキュベートし、かつオリゴ配列番号:34および35の代わりにオリゴ配列番号:36および37を用いた。PCR反応の試料(10μl)を1%アガロースゲル上での電気泳動により分析した。preHCPB遺伝子を含むクローンは、1.2kbのPCR生成物が存在することにより確認された。1.2kbを産生するクローンを大規模なプラスミドDNA調製に用い、挿入配列の配列をDNA配列分析により確認した。pBluescript(商標)中にpreHCPB遺伝子を含むプラスミドをpME15と命名した。
真核細胞中でHCPBを発現しうるベクターを形成するために、GS系(GS−System、商標)(セルテク・バイオロジックス)を用いた(国際特許出願公開第WO 87/04462号、WO 89/01036号、第WO 86/05807号、WO 89/10404号)。この方法では、preHCPB遺伝子をベクターpEE12のHindIII−EcoRI領域へクローニングする必要がある[このベクターはBebbingtonら(1992)Bio/Technology 10,169−175に記載されたpSV2.GSに類似し、pSV2.GS中に当初存在していた多数の制限部位が、多重リンカー領域にユニーク部位を得るために部位特異的突然変異により除去されている]。この発現ベクターを構築するために、プラスミドpEE12およびpMF15を上記に従ってEcoRIおよびHindIIIで消化した。各消化物から適切なベクター(pEE12から)および挿入配列(pMF15から)を1%アガロースゲルより単離し、互いに連結反応させてコンピテントDH5α細胞の形質転換に用いた。アンピシリン(100μg/ml)を添加したL−寒天上で形質転換細胞を平板培養した。CMVプロモーター内(配列番号:38)およびHCPB遺伝子内(配列番号:39)にプライミングするオリゴを用いて、上記に従ってコロニーをPCRによりスクリーニングした。1.365kbのPCR生成物を産生するクローンを大規模なプラスミドDNA調製に用い、挿入配列の配列をDNA配列分析により確認した。pEE12中にpreHCPB配列を含むプラスミドをpME48と命名した。
preproHCPBのprepro配列を含む第2の真核発現プラスミドpEE12を上記に従って形成した。prepro配列の遺伝子をpME18から単離するために、最初のPCRに配列番号:40および41のオリゴを用いた(参考例19に記載)。この場合、配合物をまずTaq DNAポリメラーゼなしに94℃で5分間インキュベートすることによる高温開始法でPCRを行った。次いでTaq DNAポリメラーゼ(2.5u)を添加し、前記に従ってPCRを25サイクル続けた。360bpのフラグメントをpBluescript中へクローニングしてpME66を得たのち、pEE12中へクローニングして(配列番号:40および41を用いるPCRによりスクリーニング)pME67を得た。
真核細胞中で発現させるために、preHCPBを発現しうる遺伝子を含むベクターおよびprepro配列を含むベクターをCOS−7細胞中に同時トランスフェクションした。COS細胞は起点欠損性SV40ウイルスで形質転換したアフリカミドリザル腎細胞系CV−1であり、SV40複製起点を含む環状プラスミドをきわめて高いコピー数で複製しうるので、多様なタンパク質を一次的に短期間発現させるために広く利用されている。2種類の広く利用できるCOS細胞クローン、COS−1およびCOS−7がある。COS細胞をトランスフェクションするための基本的方法はBebbingtonのMethods:A Companion to Methods in Enzymology(1991)2,p.141に記載されている。HCPBを発現させるために、プラスミドベクターpMF48およびpMF67(各4μg)を用いて6ウェル培養プレート内で、熱不活性化したウシ胎児血清(FCS)10%を含有するダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)2ml中において、ポリヌクレオチドのリポフェクション−カチオン脂質仲介運搬法として知られる方法[Felgnerら,Methods:A Companion to Methods in Enzymology(1993)5,67−75]で、COS−7細胞(2X10e5)をトランスフェクションした。細胞を37℃でCO2インキュベーター内において20時間インキュベートした。無血清培地(200μl;OPTI−HEM低血清培地;ギブコBRL、カタログNo.31985)中のプラスミドDNA配合物をリポフェクチン(LIPOFECTIN)試薬(12μl;ギブコBRL、カタログNo.18292−011)と緩和に混合し、周囲温度で15分間インキュベートした。細胞を無血清培地(2ml;OPTI−HEM)で洗浄した。無血清培地(600μl;OPTI−HEM)をDNA/リポフェクチンに添加し、この配合物を細胞に乗せ、37℃でCO2インキュベーター内において6時間インキュベートした。DNAを含有する培地を、10%FCSを含有する普通のDMEMと交換し、上記と同様に細胞を72時間インキュベートした。参考例11の記載に従って細胞上清(250μl)を、Hipp−Argに対するHCPB活性につき分析した(5時間のアッセイ)。リポフェクチン試薬を用い、ただしプラスミドDNAを用いずに処理したCOS細胞上清は基質の1.2%を加水分解したのに対し、preHCPBおよびprepro配列を発現するプラスミドの混合物でトランスフェクションしたCOS細胞上清はHipp−Arg基質の61%を加水分解した。preHCPBプラスミドのみでトランスフェクションしたCOS細胞は、リポフェクチン試薬のみで処理したCOS細胞にみられた量のHipp−Argを加水分解した。
リポフェクチン試薬は、メンブラン濾過した水中のカチオン性脂質N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−n,n,n−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)およびジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)の1:1(w/w)リポソーム配合物である。それはDNAと自然に結合して脂質−DNA複合体を形成する−Felgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84,7431参照。
参考例18
大腸菌からのproHCPBの発現
proHCPBを大腸菌にクローニングして発現させる方法は、参考例15に記載した方法ときわめて類似していた。この場合もpICI266をクローニングベクターとして用い、proHCPB遺伝子のPCRの出発物質はプラスミドpICI1698であった(参考例14の記載と同様)。2310および2265として知られる2種類のオリゴヌクレオチド(配列番号:68および66)を参考例15と同様な条件でPCR反応に用いた(プライマーFSPTS1および6HIS9E10R1BS1の代わりに)。
第1の先頭鎖であるオリゴヌクレオチド2310は、pICI1698においてプライミングし、PelBリーダー配列(DNA塩基51〜66、配列番号:64に含まれる)から挿入ProHCPB遺伝子(DNA塩基40〜57、配列番号:56に含まれる)の起点までのNcoI制限酵素部位を付加するように設計された。第2の末尾鎖であるオリゴヌクレオチド2265は、成熟HCPB遺伝子の終点において(His)6−c−myc標識配列(DNA塩基965〜987に対して相補的、配列番号:64に含まれる)の起点の前でプライミングし、この遺伝子の終点に翻訳終止コドン(TAA TAAに対して相補的)を導入し、続いてEcoRI制限酵素部位(GAATTC)およびフィルイン塩基を導入するように設計された。このオリゴは成熟遺伝子配列を単離するためのPCRに際して、遺伝子中へプライムバックされる。
PCR生成物の一定部分を適正なサイズのDNA(約1240塩基対)につきアガロースゲル電気泳動により分析し、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。この反応混合物の残りの生成物を参考例15と同様な方法で精製した。単離したDNAを酵素NcoIおよびEcoRIで制限消化し、適正なサイズのバンド(約1210塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
参考例15と同様な方法で調製したpICI266二本鎖DNAをNcoIおよびEcoRI酵素で、完全に消化するように十分に注意をはらって制限消化した。適正なサイズのDNA(約5600塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
制限消化しかつ精製したDNA試料の一定部分につき、アガロースゲル電気泳動により既知の標準品と比較して純度および濃度推定値を調べた。これらの推定値から、proHCPB遺伝子をpICI266ベクター中へクローニングするための連結反応混合物を参考例15と同様な方法で調製した。
連結反応後に、このDNA混合物を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、参考例15と同様な方法でコロニーを採取し、ハイブリダイゼーションにより試験した。
陽性ハイブリダイゼーション単離体4つを、適正なサイズの挿入配列につきプライマー2310および2265(配列番号:68および66)を用いて、またプライミングにつき一対の内部プライマー1279(配列番号:54)および679(配列番号:51)を用いて、参考例15と同様な方法でPCRにより調べた。このPCR生成物を、適正なサイズのDNA(プライマー2310および2265由来の約1200塩基対、ならびにプライマー1279および679由来の約580塩基対)につきアガロースゲル電気泳動により分析した。すべてのクローンが適正なサイズのPCR DNA生成物を与えた。
次いで6クローンをプラスミドDNA調製用に採取し、次いで参考例15と同様な方法でPCR生成物の領域にわたって配列決定した。これらのクローンは、1504、1802、679、1281、1590および1592(配列番号:60、63、51、55、69および70)として知られる6つの異なるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて配列決定された。この配列決定の結果から、目的とするproHCPB遺伝子配列をもつプラスミドを含むクローンを選択した。これはpICI1738として知られる。
確認されたpICI1738中のクローン化proHCPB遺伝子の、アミノ酸翻訳を示す配列を、PelB配列の起点からEcoRI制限部位まで、配列番号:71として示す。DNAの番号つけはPelBの第1コドンにおける1から開始し、ペプチドの番号つけは成熟HCPBにおける1から開始する。
proHCPBを調節発現させるために、pICI1738プラスミドDNAを参考例15と同様な方法で、塩化カルシウム形質転換したコンピテント大腸菌発現株中へ形質転換した。クローン化HCPB遺伝子の発現を調べるために、pICI1738形質転換発現菌株すべてを参考例15と同様な方法で処理した。ただしこの場合はproHCPBがC−末端標識をもたないので、ウェスタン分析にc−mycペプチド標識に特異的な9E10モノクローナル抗体を用いることはできない。したがって一次抗体はウサギにおいて産生された抗−ウシカルボキシペプチダーゼA(バイオジェネシスから)であり、これは精製ヒト膵臓カルボキシペプチダーゼBと交叉反応することが予め示された。二次抗体は、ヤギにおいて産生された、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識した抗−ウサギIgG抗体であった(シグマA0545またはこれに類するもの)。
pICI266中にクローニングしたproHCPB(pICI1738)の発現は、大腸菌から、クーマシー染色ゲルがベクター(pICI266)のみのクローンおよび標識HCPB産生クローン(参考例15)と比較して約40,000ダルトンに追加のタンパク質バンドを示すことにより証明された。同じサイズのバンドが、抗−ウシカルボキシペプチダーゼAを用いるウェスタン分析検出によりシグナルを示した。
参考例19
COS細胞からのproHCPBの発現
preproHCPBに対する遺伝子を、参考例17の記載の従ってPCRにより、鋳型としてpICI1689ならびに配列番号:34および40のオリゴを用いて1270bpのPCR生成物を得ることにより調製した。遺伝子をEcoRIおよびHindIIIで消化し、まず参考例17の記載に従ってpBluescript KS+中へクローニングし(pMF18を得る)、次いでDH5αのpEE12中へクローニングした(pMF49を得る)。プラスミドpEE12を参考例17の記載に従ってリポフェクチン試薬によりCOS−7細胞中へトランスフェクションし、参考例11の記載に従って細胞上清(250μl)を50mMトリス−HCl(pH7.6)、150mM NaCl中のトリプシン(700μg/ml)で4℃において1時間活性化したのち、Hipp−Argに対するHCPB活性につきアッセイした(5時間のアッセイ)。これらの条件下でHipp−Arg基質の完全な加水分解が達成されたのに対し、リポフェクチン試薬のみで(プラスミドDNAなし)処理したCOS細胞をトリプシンで活性化した場合にはHipp−Arg基質の30%が加水分解された。
参考例20
天然HCPBの精製
天然酵素および種々の突然変異酵素を2経路で初期精製する系を決定した。まず好ましい経路を記載する。
組換え酵素を含む組換え大腸菌細胞ペーストを−70℃の保存場所から取り出し、融解させた。細胞ペーストの重量をgで測定し、細胞ペーストの初期重量と等しい容量の緩衝液A(200mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス−HCl)、20%スクロース(C12H22O11)、pH8.0)の添加によりペーストを再懸濁した。細胞懸濁液を室温で20分間、ときどき緩和に混合しながらインキュベートしたのち、等容量の蒸留水を添加し、十分に混入させた。細胞懸濁液を再び室温で20分間、ときどき緩和に混合しながらインキュベートした。得られた粗製の浸透圧ショック生成物を4℃において98000×gで90分間の遠心分離により澄明にしたのち、上清をデカントしてペレット状の不溶性画分と分離した。デオキシリボヌクレアーゼ1を上清に添加して、最終濃度0.1mg/mlにした。この混合物を室温で連続的に振盪しながら、カルボキシペプチダーゼ阻害薬CNBr活性化したセファロースアフィニティカラムに装填するのに十分な程度に粘度が低下するまでインキュベートした。このカラムは指示に従って、CNBr活性化セファロース4B(ファルマシアから)およびジャガイモ塊茎由来のカルボキシペプチダーゼ阻害薬(c−0279、シグマ)を用いて調製された。上清をpH8.0に調整し、10mMトリス−HCl、500mM塩化ナトリウム(pH8.0)で予め平衡化したアフィニティカラムに装填した。上清を装填したのち、流出液の吸光度が基準線に戻るまでカラムを洗浄し、次いで結合した物質をカラムから溶離用緩衝液(100mM炭酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH11.4)で溶離した。溶出画分を−20℃で凍結し、一方では抗−c−myc標準抗体(9E10)、次いで抗−マウス−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(a−9044)(4−クロロナフトールおよび過酸化水素に暴露すると呈色反応を示した)を用いるウェスタンブロット分析により、組換えカルボキシペプチダーゼを含有するものを判定した。
組換えカルボキシペプチダーゼBを含有する画分をプールし、濃縮し、pHをpH7.5に調整したのち、急速冷凍し、−20℃に保存した。所望によりイオン交換およびゲル透過クロマトグラフィーなど既知の方法で、プールした試料をさらに精製してもよい。
第2経路は、好ましい経路で採用した細胞周辺ショックとは異なり、大腸菌細胞の完全溶解によるものである。
組換え酵素を含む組換え大腸菌細胞ペーストを採取し、細胞溶解用緩衝液(50mMトリス−HCl、15%スクロース、pH8.0)に再懸濁した。リゾチームを1mg/mlの濃度になるように添加し、同時にドデシル硫酸リチウム(LDS)を添加した(懸濁液25ml当たり、25%溶液80μl)。懸濁液を氷上でときどき振盪しながら30分間インキュベートしたのち、デオキシリボヌクレアーゼ1を1mg/mlの濃度になるように添加し、再び懸濁液を氷上でときどき振盪しながら30分間インキュベートした。
次いで懸濁液を200ml容量ずつに分け、30秒間のバースト間隔で30秒間10回のバーストにより音波処理して、細胞を完全に破壊した。音波処理した懸濁液を4℃において98,000×gで90分間遠心分離したのち、ペレット状の不溶性画分から上清をデカントした。上清をpH8.0に調整し、10mMトリス−HCl、500mM塩化ナトリウム(pH8.0)で予め平衡化したアフィニティカラムに装填した。上清を装填したのち、流出液の吸光度が基準線に戻るまでカラムを洗浄し、次いで結合した物質をカラムから溶離用緩衝液(100mM炭酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH11.4)で溶離した。溶出画分を−20℃で凍結し、一方では抗−c−myc標識抗体(9E10)、次いで抗−マウス−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(a−9044)(4−クロロナフトールおよび過酸化水素に暴露すると呈色反応を示した)を用いるウェスタンブロット分析により、組換えカルボキシペプチダーゼを含有するものを判定した。組換えカルボキシペプチダーゼBを含有する画分をプールし、濃縮し、pHをpH7.5に調整したのち、急速冷凍し、−20℃に保存した。所望によりイオン交換およびゲル透過クロマトグラフィーなど既知の方法で、プールした試料をさらに精製してもよい。
両経路でプールした材料の試料をSDS−PAGEおよびクーマシー染色ニトロセルロースブロットにより分析すると、組換えカルボキシペプチダーゼBの適正な分子量の位置にクーマシー染色バンドが得られた。エドマン分解法を用いる自動タンパク質/ペプチド配列決定装置により配列決定したこれらのバンドは、精製した上記の組換えカルボキシペプチダーゼBと一致した。
参考例21
COS細胞からのネズミA5B7 F(ab’)2−HCPB融合タンパク質の発現
この例は、A5B7ハイブリドーマ由来のcDNAの調製、PCRによる特異的Fd鎖およびL鎖フラグメントの単離、これらのフラグメントの完全DNA配列の決定、続いてFd−HCPB融合遺伝子、ならびに真核細胞においてL鎖およびFd−HCPB融合タンパク質の両方を発現しうる同時発現ベクターの調製、ならびにHCPB由来のprepro配列との同時トランスフェクションによるCOS細胞からのF(ab’)2−HCPBの発現につき記載する。参考例5に記載した操作を項目(e)に関して繰り返す。
f)Fd−HCPB融合DNA配列の調製
Fd配列のC末端領域をコードする遺伝子−配列番号:25のNcoI部位(位置497)に由来−をPCRによりHCPB配列に結合させた。この操作で8アミノ酸リンカー配列(VPEVSSVF)に対するDNAが導入された。プラスミドpAF1(参考例5に記載)を、参考例17に従って配列番号:42および43のオリゴを用いてPCR(高温開始法)処理して、338bpの生成物を得た。同様にpICI1698を、配列番号:44および34のオリゴを用いてPCR処理して、998bpの生成物を得た。両生成物を参考例17の記載に従ってアガロースゲル電気泳動およびジェネクリーン(商標)により単離し、2回目の高温開始PCR−94℃で1分間および63℃で4分間の10サイクル、続いて94℃で2分間−に用いた(各0.2ng、全容量50μl中)。フランキングオリゴ(配列番号:42および34;各100pM)を、アンプリタク(Amplitaq)(2.5u)を含む緩衝液50μlに添加した。94℃に3分間加熱したのち、混合物を94℃で1.5分間、55℃で2分間および72℃で2分間の25サイクル、続いて72℃で10分間、処理した。生成物は1336bpのバンドであり、これを前記に従って単離し、次いでEcoRIおよびHindIIIで切断し、DH5α中のpBluescript(商標)中へクローニングして(オリゴ配列番号:36および37を用いるPCRによりクローンをスクリーニングした)、pMF35を得た。完全なFd−HCPB融合配列を形成するために、50mM酢酸カリウム、20mMトリス−酢酸(pH7.9)、10mM MgCl2、1mM DTT、EcoRI(40u)およびNcoI(20u)を含有する緩衝液(100μl)中で2時間、プラスミドpAF1およびpMF35(各10μg)をNcoIおよびEcoRIで切断した。pAF1由来のベクターフラグメント(3.4kb)を単離し、参考例17の記載に従ってウシ腸アルカリホスファターゼで処理し、pMF35由来の精製1.2kbフラグメントに連結反応させた。得られたベクターをDH5α中へクローニングして(オリゴ配列番号:36および37を用いるPCRにより、1,922bpの挿入配列につきスクリーニングした)、pMF39と命名した。pMF39由来のEcoRI−HindIIIフラグメントを、DH5α中のpEE6[これはpEE6.hCMVの誘導体である−StephensおよびCockett(1989)Nucleic Acids Research 17,7110−これにおいてはhCMVプロモーターの上流のHindIII部位がBgIIIに変換されている]中へクローニングして(オリゴ配列番号:38および39を用いるPCRにより、約2,200bpの挿入配列につきスクリーニングした)、pMF43を得た。
同時発現ベクターを形成するために、10mM トリス−HCl(pH7.9)、150mM NaCl、10mM MgCl2、1mM DTT、およびBSA(100μg/ml)を含有する緩衝液(100μl)中において、pMF43(10μg)をBglII(20u)およびSalI(40u)で切断し、前記に従って4348bpのフラグメントをアガロースゲル電気泳動により単離し、ジェネクリーン(商標)で精製した。同様にpAF6(参考例5のe)に記載)をBamHI(40u)およびSalI(40u)で切断し、7.8kbのベクターフラグメントを単離し、pMF43由来のBglII−SalIフラグメントに連結反応させ、DH5α中へクローニングした。2組のオリゴ(配列番号:18と45、および配列番号:17と39)を用いるPCRにより、コロニーをスクリーニングした。それぞれ360bpおよび1.3kbのPCR生成物を与えるクローンをDNA配列決定法により解明した。適正な配列を含むクローンをpMF53と命名した−DH5α中のL鎖/Fd−HCPB同時発現ベクター。
g)COS細胞におけるA5B7 F(ab’)2−HCPBの発現
参考例17に記載したprepro配列をコードするプラスミド(pMF67)でCOS−7細胞を同時トランスフェクションするための方法を、pMF48の代わりにpMF53を用いて繰り返した。参考例11および17の記載に従ってCOS細胞上清をHCPB活性につき調べた。リポフェクチン試薬を用い、ただしプラスミドDNAを用いずに処理したCOS細胞上清は1.2%の基質を加水分解したのに対し、L鎖/Fd−HCPBおよびprepro配列を発現するプラスミドの混合物でトランスフェクションしたCOS細胞上清はHipp−Arg基質の34%を加水分解した。pMF53プラスミドのみでトランスフェクションしたCOS細胞は、リポフェクチン試薬のみで処理したCOS細胞にみられた量のHipp−Argを加水分解した。Fab’−HCPBおよびF(ab’)2−(HCPB)2に対応するそれぞれ80kDaおよび160kDaのバンドが、ウェスタン分析(下記のh参照)によりみられた。CEA ELISAアッセイ(下記のiおよびj参照)において、細胞上清(上記参照)を用いてjに示したプロトコールに従ってCEA結合性物質の存在を検出した。
h)ウェスタンブロット分析
下記に従ってウェスタンブロット分析を行った。
各上清試料の一定部分(20μl)を、還元剤を含有するか、または含有しない等容量の試料緩衝液(62.5mM トリス、pH6.8、1%SDS、10%スクロース、および0.05%ブロモフェノールブルー)と混合した。試料を65℃で10分間インキュベートしたのち、マルチフォア(Multiphor、商標)II装置(LKBプロダクターAB)で製造業者の指示に従って、8〜18%アクリルアミド濃度勾配ゲル(エクセル(Exel、商標)ゲル系、ファルマシア・バイオテクノロジー・プロダクツから)上で電気泳動した。電気泳動後に、分離したタンパク質をノバブロット(Novablot、商標)装置(LKBプロダクターAB)で製造業者が添付するプロトコールに従って、ハイボンド(Hybond、商標)C−スーパーメンブラン(アマシャム・インタナショナル)に移した。ブロッティングしたのち、メンブランを風乾した。
抗体フラグメントの存在を、抗−ネズミF(ab’)2抗体−ペルオキシダーゼ結合体(ICNバイオメディカルズ、製品No.67−430−1)により検出した。ネズミA5B7抗体フラグメントの存在を、ECL(商標)検出系(アマシャム・インタナショナル)により添付のプロトコールに従って視覚化した。
i)ELISA分析
ELISAアッセイの標準法は、“Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology”,Burdon,R.H.およびvan Kippenberg,P.H.監修,vol.15,“酸素免疫アッセイの実際と理論”,Tijssen,P.,1985(エルゼビル・サイエンス・パブリッシャーズ B.V.)に記載されている。他の情報源は、“Antibodies−A Laborotory Manual”,Harlow,E.およびLane,D.P.,1988(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版)である。
j)抗−CEA ELISA
1. コーティング用緩衝液(炭酸塩−炭酸水素塩緩衝剤1カプセル−シグマC−3041−100mlの2回蒸留水中)を調製する。
2. 必要な96ウェルプレートそれぞれにつき、5μlのCEA原液(1mg/ml、ダコ)を10mlのコーティング用緩衝液に添加する。
3. 100μlの希釈CEAを、ナンクの“マキシソープ(商標)”ミクロタイタープレートの各ウェルに添加する−50ng/ウェル/100μl。
4. プレートを4℃で一夜(または室温で2時間)インキュベートする。
5. プレートを5分間ずつ4回、リン酸緩衝塩類溶液+0.01%ナトリウムアジド(PBSA)+0.05%トゥイーン20で洗浄する。
6. プレート(たたいて乾燥そせたのち)を、ウェル当たり200μlのPBSA(0.05%トゥイーン20を含有)中1%BSA(シグマA−7888)でブロックする。室温で2時間インキュベートする。
7. プレートを5分間ずつ4回、PBSA(0.05%トゥイーン20を含有)で洗浄する。
8. 試料(培養上清)および標準品(タンパク質分解性A5B7 F(ab’)2の2倍希釈液)を適宜装填する。試料を増殖培地(またはPBS)中に希釈する。PBSA+1%BSAおよび希釈剤をブランクとして含める。
9. 周囲温度で3時間インキュベートする。
10.プレートを5分間ずつ6回、PBSA+0.5%トゥイーン20で洗浄する。
11.二次抗体溶液(抗マウスIgG F(ab’)2、ヤギ由来、ペルオキシダーゼ結合−ICN 67−430−1;40mlのPBSA+1%BSA+0.5%トゥイーン20中に20μl)を調製し、ウェル当たり100μlを添加する。
12. 周囲温度で1時間インキュベートする。
13.プレートを5分間ずつ6回、PBSA+0.5%トゥイーン20で洗浄する。
14.リン酸塩−クエン酸塩−過ホウ酸塩緩衝剤(シグマP−4922)1カプセルを2回蒸留水100mlに溶解することにより、現像液を調製する。緩衝液100ml当たり30mgのo−フェニレンドアミン二塩酸塩(OPD、シグマP−8287)を添加する。ウェル当たり150μlを添加する。
15.室温で暗所において15分間インキュベートする。
16.ウェル当たり50μlの2M硫酸の添加により反応を停止する。
17.プレート読取り装置でOD 490nmを読み取る。
実施例1
ウシLys66Glu膵臓リボヌクレアーゼの調製
(a)組換えサークルポリメラーゼ連鎖反応(RCPCR)によるコドン66置換(Lys→Glu)を含むRNアーゼ遺伝子配列の構築
ウシ膵臓RNアーゼをコードするpre配列を含むプラスミド(pQR162:NCIMB No.40678、Tarragona−Fiolら,Gene(1992)118,239−245に記載)を、PCRインキュベーションに際して鋳型として用いた。PCRインキュベーション用のプライマーを、サイクロン(Cyclone、商標)DNA合成装置(ミリゲン/ミリポア)でシアノエチルホスホルアミダイトを用いてホスファイト−トリエステル法により合成した。これらのプライマーは、PCRインキュベーションに用いた場合に得られる生成物が二本鎖線状DNA分子であって、これらを組合わせ、変性および再アニーリングすると、最初の平滑末端生成物のほかに異なる一本鎖状の付着末端をもつ二本鎖DNAを形成する。これらの末端はアニーリングしてDNAの組換えサークルを形成するであろう。次いでこれらの分子をコンピテント大腸菌細胞中へ形質転換することができる。
2つのPCRインキュベーション、すなわち一方はオリゴヌクレオチド配列番号:1および配列番号:2(図8のプライマーAおよびB参照)を用いるもの、他方はオリゴヌクレオチド配列番号:3および配列番号:4(図8のプライマーCおよびD参照)を用いるものを、92℃で1.5分間、55℃で1.5分間および75℃で6分間の25〜30サイクル、最後に75℃で10分間、テクネPHC−1サーマルサイクラーにより行わせた。反応液は鋳型としてのpQR162(10ng)、50pmol/プライマー、5μlの10×緩衝液1[200mM トリス−HCl(pH8.2)、100mM KCl、60mM(NH4)2SO4、20mM MgCl2、1%トリトンX−100、および100μg/mlのヌクレアーゼ不含BSA]、および2.5Uのpfuポリメラーゼ(ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の熱安定性ポリメラーゼ、ストラタジーン)を50μl中に含有し、蒸発を防ぐためにこれに等容量のパラフィン油を乗せた。
PCR生成物を1%アガロースゲルで分析した。各PCRインキュベーションにより生成したDNAフラグメント(約3.1kb)をゲルから分離し、遠心分離により(スピン−X、商標、コスター)アガロースからDNAを分離した。抽出したこれら2つのDNAフラグメントをエタノールで沈殿させ、20μlの水に再懸濁した。それぞれからの一定部分(10μl)を、10mM トリス/HCl(pH8.8)、10mM NaCl、および1mM Na2EDTAを含有する総容量50μl中で結合させた。結合したDNAフラグメントを92℃で5分間変性させ、55〜57℃で2時間再アニーリングした。こうして形成された組換えサークルを一定部分のコンピテント細胞の形質転換に用いた。
プラスミドを単離するためのmini−prepを行い[Maniatisら(1982),Molecular Cloning.A Laboratory Manual.コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー]、ジデオキシ連鎖終結法[Sangerら(1977),Pro.Natl.Acad.Sci..USA 74,5463−5467]により二本鎖DNA配列決定の鋳型として用いた。取込み誤りのない変化したコード配列を含むプラスミドをpQR176と表示した。これを、20UのEcoRIおよび反応緩衝液を含有する全容量20μl中で消化した。変化したコード配列を含むDNAフラグメントを前記に従ってアガロースゲルから採取し、予め消化しかつ脱リン酸化したpKK223.3[ファルマシア・バイオテク;このベクターはtacプロモーターを含み、lacリプレッサーにより調節され、かつイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)の添加により誘導される;BrosiusおよびHoly,Pro.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81,6929]と、20UのT4 DNAリガーゼおよび反応緩衝液を含有する総容量20μl中で連結反応させた。この連結反応生成物を用いて一定部分の大腸菌コンピテント細胞を形質転換した。種々の組換えコロニーから得たプラスミドの制限酵素分析を行って、挿入配列のサイズおよびtacプロモーターに対する配向を確認した。適正な構築体をpQR177と命名した(図1)。
(b)Lys66Gluウシ膵臓RNアーゼの調製および精製
工学的に形成した配列を調製および精製する方法は、大腸菌においてウシ膵臓リボヌクレアーゼAを発現させるために開発されたプロトコールに従う(Tarragona−Fiolら,Gene,1992)。この系は、リボヌクレアーゼまたはその工学的突然変異体の産生を大腸菌の細胞周囲へ向かわせるウシ膵臓リボヌクレアーゼの天然シグナル配列を利用する。細胞周囲の酸化的環境がタンパク質の適正な折りたたみを促進し、完全に活性な組換えRNアーゼを発現させる。組換え体、すなわち工学的突然変異体の正味正電荷が高いため、内因性の細胞周囲タンパク質から迅速に精製できる。突然変異タンパク質を発現させ、続いて均質になるまで精製するのに要するのは、培地への接種から48時間である。
プラスミドpQR177は2つのリボソーム結合部位(RBS)を含む。一方はベクターのtacプロモーターにより供給され、他方は第2シストロンの翻訳のために第1シストロンのコード配列内に含まれる。pQR177を保有する大腸菌細胞のIPTG誘導に際して形成されるmRNAは2シストロン型であり、tacプロモーターから開始する。第1シストロンは6−aaペプチド(Met−Phe−Leu−Glu−Asp−Asp)をコードする。第1シストロンの終止コドンおよび第2シストロンの開始コドンは、リボソームがmRNAの翻訳を継続し、RNアーゼを産生するようにオーバーラップしている。合成された前駆体形のRNアーゼは細胞周囲へ移動し、N末端配列決定によればシグナル配列が適正に開裂することが示された。完全に活性な酵素が回収されたことにより証明されるように、細胞周囲の酸化的環境がRNアーゼを適正に折りたたみ、天然酵素を形成するのを可能にする。
大腸菌[pQR177]細胞を、100μg/mlのアンピシリンを含有する培地5リットル中で、28℃において8時間増殖させた。細胞が対数増殖期に達したとき、IPTGを最終濃度0.5mMとなるように添加し、細胞の増殖を28℃で振盪しながら一夜続けた。細胞周囲タンパク質の放出を、変更スフェロプラスト/浸透圧ショック法により行った。一夜培養物(5リットル)で得た細胞を、10℃において8300×gで10分間遠心分離することによりペレット化した。この細胞ペレットを60mlの200mMトリス−HCl、pH7.5/20%(w/v)スクロース(RNアーゼ不含)/1mMNa2EDTAに再懸濁した。この懸濁液を室温に30分間放置した。浸透圧ショックは、等容量の無菌水を添加して十分に混合することにより得られた。混合物を室温にさらに30分間放置した。スフェロプラストを10℃において100000×g(平均)で90分間遠心分離することによりペレット化した。
カチオン交換クロマトグラフィー(S−セファロース(S−Sepharose、商標)FF)を用いて、正に帯電したすべてのタンパク質を細胞周囲抽出液から得た。緩衝液Aは50mM MES(pH6.5)であり、緩衝液Bは50mM MES、1M NaCl(pH6.5)であった。正に帯電したタンパク質のプールから、カチオン交換クロマトグラフィー(モノ−S(Mono−S、商標)、ファルマシア−LKB)により17.5mM NaCl/分の濃度勾配で組換えRNアーゼを精製した。この方法の組合わせでタンパク質が均質に精製されたことが、PAGE−SDS電気泳動および銀染色による組換えRNアーゼ純度評価により示される(図2参照)。シチジル−3′,5′−アデノシン(CpA)およびシチジン−2′,3′−サイクリックモノホスフェート(C>p)の加水分解に対する組換え酵素のRNアーゼ活性を推定したところ、市販の酵素の活性と等しい特異的活性が示された(表参照)。OD278を測定することにより(OD278nm=0.71は1mg/mlのRNアーゼに等しい)、タンパク質濃度を推定した。286nmにおける経時的な吸光の増大を監視することにより(C>pの加水分解)、反応速度測定を行った[WitzelおよびBarnard(1962)Biochem.Biophys.Res.Commun.7,295−299]。初速度および基質濃度値を用いて、Wilkinson(1961)Biochem.J.80,324−332に記載された分析法に基づく計算法により、パラメーターKmおよびkcatならびにそれらの標準誤差を判定した。異なるリボヌクレアーゼを用いて得たこれらのパラメーター間の差を、スチューデントt−試験により評価した。C>pの加水分解速度は室温で、光路長さ0.1cmのキュベット(ヘルマ)内で総容量250μlにおいて測定された。反応液は0.1M(1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン)、pH7.0、50mM NaCl(I=0.1)中に種々の濃度のC>pを含有し、酵素の添加により反応が開始された(表参照)。このデータは工学的に形成したLys66Glu RNアーゼ酵素の反応速度論的特性が市販のウシ酵素のものと有意には異ならないことを示す。
実施例2
Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Gluヒト膵臓リボヌクレアーゼの調製
プラスミドpATF3(参考例2に記載)はArg4Ala,Lys6Ala HP−RNアーゼ遺伝子を含み、プライマー配列番号:15および16(各5pmol)、ヌクレオチド(0.2mM)、PCR緩衝液、および2.5単位のpfuポリメラーゼを含有するPCRインキュベーション液中に鋳型(2ng)として用いられた。92℃で30サイクルの初期変性の5分後に、変性(92℃、1分間)、アニーリング(55℃、1分間)、および延長(75℃、1分間)を行った。PCRフラグメントを実施例1の記載に従ってゲル抽出し、EcoRI(10〜15単位)で37℃において1時間消化した。酵素を熱不活性化したのち、EcoRIフラグメントをEcoRI消化および脱リン酸化したpUC18中へ連結反応させた。得られたプラスミドをpATFZ1と命名した。プラスミドpATFZ1を用いて、突然変異HP−RNアーゼ遺伝子のDNA配列を確認した。
Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼを形成するために、pATFZ1を実施例1の記載に従ってRCPCRインキュベーションに際して鋳型として用い、ただし配列番号:1〜4の代わりにそれぞれ配列番号:30〜33のオリゴヌクレオチドプライマーを用いた。得られたプラスミドをpATFZ3と呼んだ。Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼの遺伝子を、発現試験のためにpATFZ3からEcoRIおよびNcoI(各10〜15単位)で消化することにより切り取り、予め消化し(EcoRIおよびNcoI)かつ脱リン酸化したpICI266(NCIMB 40589)に連結反応させた。連結反応、発現および精製を実施例1に記載した例に従って行い、ただしNcoIおよびEcoRIの二重消化により上記pATFZ3から上記フラグメントを切り取り、予め脱リン酸化しかつ消化した(EcoRIおよびNcoIで)pICI266に連結反応させ、1%アラビノースで(IPTGの代わりに)誘導した。得られた構築体をpATFZ44と呼んだ(図5参照)。この突然変異酵素の発現および精製は実施例1の記載と同様であったが、IPTGの代わりに1%アラビノースで誘導した。
実施例3
リン酸水素O−[(2R,3S,4R,5R)−2−(2−アミノアセトアミドメチル)−5−(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2,3,4,5−テトラヒドロフラン−3−イル]O−[4−(ビス[2−クロロエチル]アミノ)フェノキシ](図7に最終生成物として示す)
化合物4(図7;31mg,0.034mM)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の0.01M HClに溶解し、炭素上30%パラジウム触媒(60mg)をジメチルホルムアミド中の懸濁液として添加した。この混合物を水素雰囲気下で2時間45分撹拌した。セライト(商標)で濾過したのち、濾液を30℃より低い温度で蒸発乾固させた。粗生成物を乾燥ジクロロメタンに懸濁し、混合物を遠心分離した。上清のジクロロメタン層を廃棄した。この操作を繰り返し、最後に固体残渣を乾燥させて、目的生成物9.4mg(化合物5、図7)を得た。
NMRデータ DMSO d6,d4 酢酸
化合物4は下記の方法で製造された。
2′−O−ベンジル−5′−ブロモ−5′−デオキシウリジン(化合物1、図7)
2′−O−ベンジルウリジン[Wagnerら(1974),J.Org,Chem,39,24−30](334mg,1mM)、四臭化炭素(500mg)およびDMF(4ml)の混合物に、20℃でアルゴン下に5分間かけて、DMF(2ml)中のトリフェニルホスフィン(340mg)溶液を添加した。混合物を20℃で2時間撹拌し、水(60ml)に注入し、酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出液を合わせて水で洗浄し、乾燥させ、蒸発させて油を得た。この油を20gのメルクシリカゲル(Art.9385)上でクロマトグラフィー処理した。トルエン中の5%メタノールで溶離して、2′−O−ベンジル−5′−ブロモ−5′−デオキシウリジン(160mg,40%)を得た。
5′−アジド−2′−O−ベンジル−5′−デオキシウリジン(化合物2、図7)
2′−O−ベンジル−5′−ブロモ−5′−デオキシウリジン(4.3g)をDMF(86ml)に溶解し、ナトリウムアジド(7g)を添加した。混合物を60℃で45分間、加熱撹拌した。冷却し、未反応のナトリウムアジドからデカントしたのち、DMFを蒸発乾固させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で2回洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣をメルクシリカゲル(Art.9385)上でクロマトグラフィー処理した。トルエン中の10%メタノールで溶離して、1.5gの純粋な5′−アジド−2′−O−ベンジル−5′−デオキシウリジンを得た。
2′−O−ベンジル−5′−カルボベンゾキシグリシルアミノ−5′−デオキシウリジン(化合物3、図7)
5′−アジド−2′−O−ベンジル−5′−デオキシウリジン(1.5g)、テトラヒドロフラン(25ml)およびベンジルオキシカルボニルグリシンN−ヒドロキシスクシニルエステル(1.3g)の混合物に、炭素上10%白金(水で50%加湿)(1.5g)を添加した。この混合物を水素雰囲気下で4時間撹拌した。セライト(商標)で濾過したのち、濾液を蒸発乾固させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、5%クエン酸溶液(2回)、水、炭酸水素ナトリウム溶液(2回)で洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を1:1エーテル/酢酸エチルで摩砕処理して、固体(960mg)(42%)を得た。
化合物4の製造(図7)
a)ベンジルオキシジクロロホスフィン[Scottら(1990),J.Org,Chem,55,4904−4911](135mg,0.64mM)を乾燥ジクロロメタン(4.0ml)に溶解し、この溶液を−20℃に冷却し、乾燥ジクロロメタン(2.0ml)に溶解したジイソプロピルアミン(0.091ml,0.64mM)およびジイソプロピルエチルアミン(0.11ml,0.64mM)の混合物を添加した。溶液を−20℃で45分間撹拌し、次いで30分かけて室温にまで昇温させ、室温でさらに30分間撹拌した。次いでこの溶液を2′−O−ベンジル−5′−カルボベンゾキシグリシルアミノ−5′−デオキシウリジン(280mg,0.53mM)およびジイソプロピルエチルアミン(0.336ml,2.14mM)の、ジクロロメタン(3.0ml)中における溶液(0℃に冷却)に滴加した。この溶液を0℃で10分間、そして室温で2時間撹拌した。次いで反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2回)で洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させて油を得た。この油をトルエン(2回)と共沸蒸留し、次の反応にそのまま用いた。
b)前の段階で得た粗生成物を乾燥ジクロロメタン(2.5ml)に溶解し、4−N,N−ビス−(2−クロロエチル)アミノフェノール(125mg,0.534mM)の、乾燥ジクロロメタン(3.0ml)中における溶液を添加した。次いで乾燥アセトニトリル中の0.46Mテトラゾール溶液(3.2ml)を添加し、溶液を室温で2時間撹拌した。次いで水中の70%t−ブチルヒドロペルオキシド溶液(0.11ml,0.801mM)を添加し、溶液を室温でさらに1時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(1回)、希亜硫酸水素ナトリウム(1回)、飽和塩化ナトリウム(1回)で洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させた。粗生成物をメルクシリカゲル(Art.9385)上で、ジクロロメタン中の2%メタノール、次いでジクロロメタン中の3.5%メタノールにより溶離するクロマトグラフィー処理して、純粋な5′−アジド−2′−O−ベンジル−5′−デオキシウリジン118mgを得た。
NMRデータ DMSO d6(δ)ジアステレオマー混合物
実施例4
ネズミA5B7 F(ab’)2−Lys66Gluウシ膵臓リボヌクレアーゼ結合体の合成および単離
参考例4に記載した方法を繰り返し、ただしウシ膵臓リボヌクレアーゼの代わりにLys66Gluウシ膵臓リボヌクレアーゼ(実施例1に記載)を用いる。
実施例5
ネズミA5B7 F(ab’)2−Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Gluヒト膵臓リボヌクレアーゼ結合体の合成および単離
参考例4に記載した方法を繰り返し、ただしウシ膵臓リボヌクレアーゼの代わりにArg4Ala,Lys6Ala,Lys66Gluヒト膵臓リボヌクレアーゼ(実施例2に記載)を用いる。
実施例6
ヒト化A5B7 F(ab’)2−Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Gluヒト膵臓リボヌクレアーゼ結合体の合成および単離
実施例5に記載した方法を繰り返し、ただしネズミA5B7 F(ab’)2の代わりにヒト化A5B7 F(ab’)2を用いる。
ヒト化A5B7 F(ab’)2は下記の方法で調製される。参考例5に記載した方法の工程f)から以後を実施し、ただしそれぞれ配列番号:25および26に示すFd鎖およびL鎖のネズミ配列の代わりにそれぞれ配列番号:28および29に示すヒト化配列を用いる。
配列番号:28および29に示すヒト化配列は、下記を含めた多様な方法で調製できる:Edwards(1987)Am.Biotech.Lab.,5,38−44;Jayaramanら(1991)Pro.Natl.Acad.Sci.USA 88,4084−4088;FoguetおよびLubbert(1992)Biotechniques 13,674−675;ならびにPierce(1994)Biotechniques 16,708。
実施例7
実施例3のウラシル系プロドラッグ、対応する薬物、およびプロドラッグ+ヒト酵素Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Gluヒト膵臓RNアーゼ(HP−RNアーゼ)のインビトロ細胞毒性
RNアーゼプロドラッグおよび対応する薬物の腫瘍細胞に対する細胞毒性の相異を、下記の方法で証明した。LoVo結腸直腸腫瘍細胞を、最終濃度範囲5×10-1〜5×10-8Mにわたるプロドラッグまたは薬物と共に、96ウェル(2,500細胞/ウェル)ミクロタイタープレート内で、37℃において1時間インキュベートした。次いで細胞を洗浄し、37℃でさらに3日間インキュベートした。次いでTCAをウェルに添加し、洗浄して死細胞を除去したのち、プレートに付着した細胞タンパク質の量をSRB染料の添加により評価した:P.Skehanら,J.Natl.Cancer Inst.82,1107(1990)の記載に従う。化合物の力価は、細胞の増殖を50%阻害するのに必要な濃度(IC50)により評価された。
LoVo細胞を薬物で処理した場合、約1μMのIC50がみられた。これに対しプロドラッグは細胞毒性がはるかに低く、約30μMのIC50を示した(図6)。したがってRNアーゼプロドラッグは腫瘍細胞に対して、突然変異RNアーゼで開裂させることにより生成する薬物より細胞毒性が約30倍低い。
プロドラッグを含有するアッセイウェルに、遊離Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼ(酵素10μg)またはF(ab’)2−Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼ結合体(酵素10μg)を添加すると、活性薬物のものに匹敵する細胞毒性がみられる。これは、プロドラッグが突然変異酵素により変換されて、より有効な薬物が放出されたことを証明する。
これらの試験は、ADEPT系において突然変異ヒトRNアーゼ結合体が比較的不活性なプロドラッグを、腫瘍細胞を殺すことができる有効な細胞毒性薬物に変換することを証明する。
実施例8
異種移植マウスにおけるRNアーゼプロドラッグおよび抗体−突然変異RNアーゼ結合体の抗腫瘍活性
RNアーゼプロドラッグおよびArg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼ結合体(またはLys66Gluウシ膵臓RNアーゼ)の抗腫瘍効力を、下記のモデルで証明できる。LoVo腫瘍細胞(107)を無胸腺ヌードマウスに皮下注射する。腫瘍が直径4〜5mmになったとき、結合体を10〜100mg/kgの量で静脈内投与する。結合体が腫瘍に局在化し、残存結合体が血流および正常組織から清掃されるのに適した時間をおいたのち(1〜4日)、プロドラッグをマウスに100〜1000mg/kgの量でマウスに静脈内または腹腔内投与する。結合体とプロドラッグの組合わせは、非処理対照腫瘍、または同一量の結合体のみもしくはプロドラッグのみで処理した腫瘍より、腫瘍の増殖を有意に低下させる。これらの試験は、Arg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼ結合体をプロドラッグと組み合わせると抗腫瘍活性が生じることを証明する。
実施例9
患者における臨床投与
癌療法において本発明の結合体とプロドラッグの最も有効な投与様式および用量計画は、疾病の程度、患者の健康状態および処置に対する反応、ならびに担当医の判断など、多数の要因に依存する。したがって結合体およびプロドラッグの投与量は、個々の患者に合わせるべきであるが、結合体の有効量は20〜200mg/m2であると考えられる。プロドラッグの有効量は、用いる個々の薬物、および母体薬物の毒性に依存するであろう。プロドラッグは母体薬物より細胞毒性が低いので、母体薬物のMTDが分かっている場合にはそれが出発点になるであろう。母体薬物についての臨床データがないフェノールマスタード系プロドラッグに関しては、療法用量がより不確実であり、動物における標準的な細胞毒性試験、および患者において低用量から出発する用量漸増試験によって判定する必要があろうが、療法用量は500〜2000mg/m2であると思われる。
実施例10
天然および突然変異Lys66Gluウシ膵臓RNアーゼによる、実施例3のウラシル系プロドラッグ(RNアーゼプロドラッグ)の酵素反応速度
RNアーゼプロドラッグおよび対応するフェノールマスタード系薬物の吸光度を、分光光度計(パーキン・エルマー、ラムダ2(Lambda 2))により200nmから350nmまで走査し、プロドラッグと薬物の吸光度の差(ホスフェート結合の開裂による)が最大となる波長を選択した。この波長は256nmであった。次いでこの波長で一定範囲のプロドラッグ濃度(0.2〜2mM)およびRNアーゼ酵素濃度(5〜80μg/ml)を用いてプロドラッグ変換の初速度を測定することにより、kmおよびVmaxを判定した。測定は37℃で、0.025M トリス−HCl+0.01%Brij−35緩衝液(pH7.5)中において、光路0.1cmのキュベット(ヘルマ)内で、総容量250μlにおいて行われた。Vmaxから、反応混合物中のRNアーゼの量で割ることによってkcatを計算した。標準基質であるシチジン−2′,3′−サイクリックモノホスフェート(C>p)に対する両酵素の酵素活性を、一定範囲のC>p濃度(0.5〜6mM)およびRNアーゼ酵素濃度(5〜35μg/ml)を用いて284nmで吸光度の変化を測定することにより判定した。結果を下記に示す。
ウシの天然および突然変異Lys66Glu RNアーゼによる、RNアーゼプロドラッグおよびC>pに対する酵素反応速度kcat/km
この結果は、標準基質C>pを天然および突然変異の両方のウシRNアーゼが同様な速度で代謝回転することを示す。これに対し、突然変異RNアーゼはプロドラッグを天然酵素の場合よりはるかに速やかに加水分解する。このように、RNアーゼにLys66Gluの突然変異を導入してもウシ酵素がホスフェート結合を開裂する効力は破壊されず、RNアーゼプロドラッグ(実施例3)を特異的に開裂させて有効薬物を放出させうる酵素が形成された。
実施例11
天然およびArg4Ala,Lys6Ala,Lys66Gluヒト膵臓RNアーゼによる、実施例3のウラシル系プロドラッグ(RNアーゼプロドラッグ)の酵素反応速度
天然HP−RNアーゼおよびArg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼについての酵素反応速度測定を実施例10の記載に従って行った。ただし用いた緩衝液は0.1M 1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、pH7.0、50mM NaClであった。結果を下記に示す。
天然HP−RNアーゼおよびArg4Ala,Lys6Ala,Lys66Glu HP−RNアーゼによる、RNアーゼプロドラッグおよびC>pに対する酵素反応速度kcat/km
この結果は、標準基質C>pを天然および突然変異の両方のヒト酵素が同様な速度で代謝回転することを示す。これに対し、突然変異ヒトRNアーゼはRNアーゼプロドラッグを天然酵素の場合よりはるかに速やかに加水分解する。このように、ヒト膵臓RNアーゼに突然変異Lys66Gluを導入してもヒト酵素がホスフェート結合を開裂する効力は破壊されず、RNアーゼプロドラッグを特異的に開裂させて有効薬物を放出させうる酵素が形成された。
実施例12
シトシン系プロドラッグの合成(図17の反応経路を参照)
実施例3に記載した方法に従い、ただし化合物4(図7)の代わりに化合物6(図17)を用いた。化合物6(図17)は化合物4(図7)につき記載したと同様に、ただし2′−O−ベンジルウリジンの代わりにN 4−ベンジルオキシカルボニル−2′−O−ベンジルシチジンを用いて製造された。
N 4−ベンジルオキシカルボニル−2′−O−ベンジルシチジン(化合物2、図17)は2′−O−ベンジルシチジン[ChristensenおよびBroom(1972),J.Org,Chem,37,3398−3401]から、参考例7で化合物6の製造に用いた方法により製造された。
実施例13
それぞれ参考例6および7のウリジン系およびシチジン系プロドラッグ類似体に対するウシLys66Glu膵臓RNアーゼの酵素活性
この実験は実施例10に記載したものと同様な方法で行われ、ただしアッセイを25℃で実施した。結果を下記に示す。
ウシの天然および突然変異Lys66Glu RNアーゼによる、RNアーゼプロドラッグ類似体およびC>pに対する酵素反応速度kcat/km
この結果は、標準基質C>pを天然および突然変異の両方のウシRNアーゼが同様な速度で代謝回転することを示す。これに対し、突然変異RNアーゼはプロドラッグ類似体を天然酵素の場合よりはるかに速やかに加水分解する。このように、RNアーゼにLys66Gluの突然変異を導入してもウシ酵素がホスフェート結合を開裂する効力は破壊されず、RNアーゼプロドラッグ類似体(参考例6および7)を特異的に開裂させて適切なプロドラッグによる有効薬物放出を指示しうる酵素が形成された。
実施例14
本発明のプロドラッグ化合物を含有する代表的な薬剤組成物
A:1カプセル当たり50mgの有効成分を含有する乾式充填カプセル
化合物をNo.60粉末に粉砕し、乳糖およびステアリン酸マグネシウムをNo.60のブロッティング布を通してこの粉末に添加する。合わせた成分を次いで約10分間混合し、No.1乾燥ゼラチンカプセルに充填する。
B:錠剤
代表的な錠剤は、化合物(25mg)、予め糊化したデンプン(米国薬局方)(82mg)、微晶質セルロース(82mg)およびステアリン酸マグネシウム(1mg)を含有する。
C:坐剤
直腸投与のための代表的な坐剤は、化合物(0.08〜1.0mg)、二ナトリウムカルシウムエデテート(EDTAカルシウム二ナトリウムキレート)(0.25〜0.5mg)およびポリエチレングリコール(775〜1600mg)を含有する。他の坐剤配合物は、たとえば二ナトリウムカルシウムエデテートの代わりにブチル化ヒドロキシトルエン(0.04〜0.08mg)を、またポリエチレングリコールの代わりに水素添加植物油(675〜1400mg)、たとえばサポサイア(Sappocire)L、ウェコビー(Wecobee)FS、ウェコビーM、ワイテプソールズ(Witepsols)などを用いて製造できる。
D:注射剤
代表的な注射用配合物は、化合物(10mg)、ベンジルアルコール(0.01ml)および注射用水(1.0ml)を含有する。
実施例15
大腸菌におけるD253K HCPB−(His)6−c−Mycのクローニングおよび発現
大腸菌におけるD253K HCPBのクローニングおよび発現のための方法は、参考例15に記載した方法ときわめて類似する。この場合もpICI266をクローニングベクターとして用い、proHCPB遺伝子のPCRに用いる出発物質はプラスミドpICI698であった(参考例14に記載)。ただしこの場合は成熟遺伝子のアミノ酸の位置253のコドンをアスパラギン酸からリシンに(GACからAAAに)変更するために(D253K変化)、遺伝子のPCR増幅に際して部位特異的突然変異を採用した。参考例15に記載した方法と同様にして2種類のPCR混合物を調製した。第1反応では、プライマーはFSPTS1(配列番号:58)および1398(配列番号:72)であった。第2反応では、プライマーは6HIS9E10R1BS1(配列番号:59)および1397(配列番号:73)であった。両反応とも、出発DNAはpICI1698であった。プライマー1398および1397(配列番号:72および73)は、アミノ酸コドン253の周りにアニールし、DNA配列にGACからAAAへの変更を導入し、2つのPCR生成物の末端に相補的配列を形成するように設計された。他の2プライマー、FSPTS1および6HIS9E10R1BS1(配列番号:58および59)は参考例15に記載されている。2つのPCR反応生成物の一定部分をアガロースゲル電気泳動によって適正なサイズのDNA(約750および250塩基対)につき分析し、濃度を推定して、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。次いで1回目の2つのPCR反応生成物それぞれ約4ngを、dNTP(最終濃度200μM)、Taqポリメラーゼ反応用緩衝液、2UのTaqポリメラーゼの存在下に、最終容量80μl中で用いて、もう一度PCRを設定した。混合物を94℃に10分間加熱したのち、Taq酵素を添加し、94℃で1分間および63℃で4分間の10サイクルを用いてPCRインキュベーションを行った。これらのサイクルが完了した時点で、各120pmolの末端プライマー、FSPTS1および6HIS9E10R1BS1(配列番号:58および59)、追加のdNTP(さらに約100μM)、Taqポリメラーゼ反応用緩衝液、および4UのTaqポリメラーゼの添加により、反応配合物を120μlに調製した。混合物を94℃に10分間加熱したのち、Taq酵素を添加し、94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で2分間の30サイクルのPCRインキュベーションを行い、続いて反応終了時に72℃で9.9分間のインキュベーションを1回行った。
PCR生成物の一定部分を適正なサイズのDNA(約1000塩基対)につきアガロースゲル電気泳動により分析して、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。反応配合物からの残りの生成物を参考例15と同様な方法で精製した。単離したDNAを酵素Fsp1およびEcoRIで制限消化し、適正なサイズのバンド(約1000塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
参考例15と同様な方法で調製したpICI266二本鎖DNAをKpnI酵素で制限消化し、T4 DNAポリメラーゼで処理した平滑末端が完全に消化されるように十分に注意をはらった。次いで精製DNAを制限酵素EcoRIで消化した。適正なサイズのバンド(約5600塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
制限消化しかつ精製したDNA試料の一定部分につき、既知の標準品と比較したアガロースゲル電気泳動により純度および濃度推定値を調べた。これらの推定値から、HCPB遺伝子を参考例15と同様な方法でpICI266ベクター中へクローニングするための連結反応配合物を調製した。
連結反応後に、このDNA混合物を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、参考例15と同様な方法でハイブリダイゼーションすることによりコロニーを採取し、試験した。
6つの陽性ハイブリダイゼーション単離体を、適正なサイズの挿入配列につきプライマーFSPTS1および6HIS9E10R1BS1(配列番号:58および59)を用いて、また内部プライマーFSPTS1(配列番号:58)および679(配列番号:51)によるプライミングにつき参考例15と同様な方法で調べた。PCR生成物を適正なサイズの挿入配列につき(プライマーFSPTS1から6HIS9E10R1BS1まで約1000塩基対、およびプライマーFSPTS1から679まで約430塩基対)、アガロースゲル電気泳動により分析した。すべてのクローンが適正なサイズのPCR DNA生成物を与えた。
次いで6クローンすべてをプラスミドDNA調製用に採取し、2つを参考例15と同様な方法でPCR生成物の領域にわたって配列決定した。これらのクローンを、1281、677、1504、679、1802、1590、1280および1731として知られる8種類の異なるオリゴヌクレオチドプラスミド(配列番号:55、52、60、51、63、61、53および62)を用いて配列決定した。配列決定の結果から、目的とするD253K−HCPB遺伝子配列をもつプラスミドを含むクローンを選択した。これはpICI1713として知られる。
pICI1713中にクローニングされた、アミノ酸翻訳を示す確認されたD253K−HCPB遺伝子の配列を、PelB配列の起点からEcoRI制限部位まで、配列番号:74として示す。DNAの番号つけはPelBの第1コドンの1から開始し、ペプチドの番号つけは成熟HCPB中の1から開始する。
D253K−HCPBを調節発現させるために、pICI1713プラスミドDNAを、参考例15と同様な方法で塩化カルシウム形質転換コンピテント大腸菌発現株中へ形質転換した。クローン化D253K−HCPB遺伝子の発現につき試験するために、すべてのpICI1713形質転換発現株を参考例15と同様な方法で処理した。この場合、D253K−HCPBはC末端(His)6−c−myc標識をもつので、参考例15と同様にC−mycペプチド標識に特異的な9E10モノクローナル抗体をウェスタン分析に用いた。
pICI266中におけるクローン化標識D253K−HCPB(pICI1713)の発現は大腸菌から、ベクター(pICI266)のみ、および標識HCPB産生クローンと比較して約35,000ダルトンに強いタンパク質バンドを示すクーマシー染色ゲルによって証明された(参考例15)。同じサイズのバンドがc−myc標識のウェスタン分析検出によって強いシグナルを示した。
実施例16
大腸菌におけるD253R HCPB−(His)6−c−Mycのクローニングおよび発現
大腸菌におけるD253R HCPBのクローニングおよび発現のための方法は、参考例16に記載した方法ときわめて類似する。この場合もpICI266をクローニングベクターとして用い、proHCPB遺伝子のPCRに用いる出発物質はプラスミドpICI1712であった(参考例15に記載)。ただしこの場合は成熟遺伝子のアミノ酸の位置253のコドンをアスパラギン酸からアルギニンに(GACからCGCに)変更するために(D253R変化)、遺伝子のPCR増幅に際して部位特異的突然変異を採用した。参考例15および16に記載した方法と同様にして2種類のPCR混合物を調製した。第1反応では、プライマーは2264(配列番号:65)および2058(配列番号:75)であった。第2反応では、プライマーは6HIS9E10R1BS1(配列番号:59)および2054(配列番号:76)であった。両反応とも、出発DNAはpICI1712であった。
プライマー2058および2054(配列番号:75および76)は、アミノ酸コドン253の周りにアニールし、DNA配列にGACからCGCへの変更を導入し、2つのPCR生成物の末端に相補的配列を形成するように設計された。他の2プライマー、2264および6HIS9E10R1BS1(配列番号:65および59)は参考例15および16に記載されている。2つのPCR反応生成物の一定部分をアガロースゲル電気泳動によって適正なサイズのDNA(約750および250塩基対)につき分析し、濃度を推定して、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。次いで1回目の2つのPCR反応生成物それぞれ約4ngを、dNTP(最終濃度200μM)、Taqポリメラーゼ反応用緩衝液、2UのTaqポリメラーゼの存在下に、最終容量80μl中で用いて、もう一度PCRを設定した。混合物を94℃に10分間加熱したのち、Taq酵素を添加し、94℃で1分間および63℃で4分間の10サイクルを用いてPCRインキュベーションを行った。これらのサイクルが完了した時点で、各120pmolの末端プライマー、2264および6HIS9E10R1BS1(配列番号:65および59)、追加のdNTP(さらに約100μM)、Taqポリメラーゼ反応用緩衝液、および4UのTaqポリメラーゼの添加により、反応配合物を120μlに調製した。混合物を94℃に10分間加熱したのち、Taq酵素を添加し、94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で2分間の30サイクルのPCRインキュベーションを行い、続いて反応終了時に72℃で9.9分間のインキュベーションを1回行った。
PCR生成物の一定部分を適正なサイズのDNA(約1000塩基対)につきアガロースゲル電気泳動により分析して、主として適正なサイズのバンドを含むことが認められた。反応配合物からの残りの生成物を参考例15と同様な方法で精製した。単離したDNAを酵素NcoIおよびEcoRIで制限消化し、適正なサイズのバンド(約1000塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
参考例15と同様な方法で調製したpICI266二本鎖DNAをNcoIおよびEcoRI酵素で制限消化し、完全に消化されるように十分に注意をはらった。適正なサイズのバンド(約5600塩基対)を参考例15と同様な方法で精製した。
制限消化しかつ精製したDNA試料の一定部分につき、既知の標準品と比較したアガロースゲル電気泳動により純度および濃度推定値を調べた。これらの推定値から、HCPB遺伝子を参考例15と同様な方法でpICI266ベクター中へクローニングするための連結反応配合物を調製した。
連結反応後に、このDNA混合物を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、参考例15と同様な方法でハイブリダイゼーションすることによりコロニーを採取し、試験した。
次いで3つのクローンをプラスミドDNA調製用に採取し、2つを参考例15と同様な方法でPCR生成物の領域にわたって配列決定した。これらのクローンを、1281、677、1504、679、1802、1590、1280、1731および1592として知られる9種類の異なるオリゴヌクレオチドプラスミド(配列番号:55、52、60、51、63、61、53、62および70)を用いて配列決定した。配列決定の結果から、目的とするD253R−HCPB遺伝子配列をもつプラスミドを含むクローンを選択した。これはpICI1746として知られる。
pICI1746中にクローニングされた、アミノ酸翻訳を示す確認されたD253R−HCPB遺伝子の配列を、PelB配列の起点からEcoRI制限部位まで、配列番号:74として示す。DNAの番号つけはPelBの第1コドンの1から開始し、ペプチドの番号つけは成熟HCPB中の1から開始する。
D253R−HCPBを調節発現させるために、pICI1746プラスミドDNAを、参考例15と同様な方法で形質転換コンピテント大腸菌発現株中へ形質転換した。クローン化D253R−HCPB遺伝子の発現につき試験するために、すべてのpICI1746形質転換発現株を参考例15と同様な方法で処理した。この場合、D253R−HCPBはC末端(His)6−c−myc標識をもつので、参考例15と同様にC−mycペプチド標識に特異的な9E10モノクローナル抗体をウェスタン分析に用いた。
pICI266中におけるクローン化標識D253R−HCPB(pICI1746)の発現は大腸菌から、ベクター(pICI266)のみ、および標識HCPB産生クローンと比較して約35,000ダルトンに強いタンパク質バンドを示すクーマシー染色ゲルによって証明された(参考例15)。同じサイズのバンドがc−myc標識のウェスタン分析検出によって強いシグナルを示した。
精製は下記の実施例17に述べたものと同様な方法で行われた。
実施例17
大腸菌からの突然変異D253K HCPB−(His)6−c−Mycタンパク質の精製
まず細胞ペースト中のカルボキシペプチダーゼB類似体D253Kの20リットル発酵法につき記載する。大腸菌K12株MSD 1924をプラスミドpZen1713(pICI1713;前記の実施例15参照)で形質転換し、得られた株MSD 2230(MSD 1924 pZen1713)を凍結用グリセリン配合物中に−80℃で保存した。
MSD 2230を、L−テトラサイクリン(10μg ml-1)寒天平板培地に画線し、37℃で一夜増殖させたのち、単一コロニーを分離した。MSD 2230の単一コロニー6つをL−テトラサイクリン(10μg ml-1)寒天の表面から分離し、10mlのL−テトラサイクリン(10μg ml-1)ブロスに再懸濁し、この培養物100μlをただちに、75mlのL−テトラサイクリン(10μg ml-1)ブロスを入れた250ml容三角フラスコ6個それぞれに接種した。往復振盪機(300rpm)上で37℃において15〜16時間増殖させたのち、フラスコ内容物をプールし、図23に記載した増殖培地15リットルを入れた1個の発酵槽(U30D反応器、B.ブラウン、ドイツ国メルスンゲン)への接種に用いた。
発酵は37℃の温度およびpH6.7で行われ、pH6.7は6M水酸化ナトリウムまたは2M硫酸の添加によって自動的に設定点に制御された。溶存酸素張力(dOT)設定点は50%空気飽和であり、これは発酵槽撹拌速度を200〜1000ppmに自動的に調節することにより維持された。発酵槽への空気の流入は20標準l/分に維持され、これはチラン(Tylan)質量流量制御装置による1.3反応器容量/分(vvm)に相当する。
4.5時間のインキュベーション後に、酵母エキス(225g l-1)の溶液を190〜210ml h-1の速度で28.5時間供給した。酵母エキス供給を開始して1.5時間後に、発酵槽温度設定点を25℃に低下させた。この温度に達した約1時間後に、50%アラビノースを発酵槽中の最終濃度が0.5%となるように一度に添加することにより、カルボキシペプチダーゼ類似体D253Kの発現を誘導した。誘導の1〜2時間後に、グリセリン(714g l-1)および硫酸アンモニウム(143g l-1)を45〜55ml h-1で発酵槽に収穫まで供給した。これらの条件下で、発酵槽接種の約75時間後まで発酵を続け、この時点で発酵槽内容物の一定部分を1リットルの遠心ボトルに移すことにより培養物を収穫した。ソルバルRC−3B遠心機(7,000×g、4℃、30分)で遠心することにより細菌細胞から使用済み培地を分離した。この方法で一般に約20g l-1の最終乾燥重量が得られた。
細胞ペーストを下記により精製した。組換え酵素D253K HCPBを含有する組換え大腸菌細胞ペーストを−70℃の保存場所から取り出し、融解した。細胞ペーストの重量を測定し、309gであることが分かった。このペーストを緩衝液A[200mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス−HCl)、20%スクロース、pH8.0]の添加により再懸濁して、再懸濁容量320mlにした。細胞懸濁液を室温で20分間、ときどき緩和に混合しながらインキュベートしたのち、室温の蒸留水を等容量添加し、十分に混入した。細胞懸濁液を再び室温で20分間、ときどき緩和に混合しながらインキュベートした。
得られた粗製の浸透圧ショック生成物を4℃において98000×gで90分間遠心分離することにより澄明化したのち、ペレット状の不溶性画分から上清をデカントして、透明な240ml容量を得た。デオキシリボヌクレアーゼ1(24mg)を蒸留水(5ml)に溶解し、上清に添加した。この混合物を室温で連続的に振盪しながら30分間インキュベートして、カルボキシペプチダーゼ阻害薬CNBで活性化したセファロース(商標)アフィニティカラムに装填するのに十分な程度に上清の粘度を低下させた。カラムはCNBで活性化したセファロース(商標)4B(ファルマシアから)およびジャガイモ塊茎由来のカルボキシペプチダーゼ阻害薬(c−0279、シグマ)についての指示に従って調製された。上清を10mMトリス−HCl、500mM塩化ナトリウム、pH8.0(緩衝液B)で1:1に希釈し、pH8.0に調整し、カルボキシペプチダーゼ阻害薬処理したアフィニティカラムに0.5ml/分で一夜装填した。カラムは4℃の緩衝液Bで予め平衡化された。上清を装填したのち、流出液の吸光度が基準線に戻るまでカラムを洗浄し、結合した物質を次いで4℃の溶離用緩衝液(100mM炭酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH11.4)でカラムから溶離し、1mlずつの画分を採集した。組換えカルボキシペプチダーゼを含有するものを判定するために試験を採取したのち、溶出画分を−20℃で凍結した。判定は抗c−myc標識抗体(9E10)を用いるウェスタンブロット分析により、次いで抗−マウス−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(a−9044、シグマ)により(4−クロロ−ナフトールおよび過酸化水素に暴露すると呈色反応を示した)行われた。
画分11〜44が組換えカルボキシペプチダーゼBを含有すると判定された。これらをプールし、pHをpH7.5に調整し、ミリポア、センチフューガル・ウルトラフリー(Centifugal Ultrafree、商標)−20で濃縮したのち(分子量カットオフ10,000)、、急速冷凍し、−20℃で保存した。ここに詳述した精製法により4.7mgのD253K突然変異カルボキシペプチダーゼが80%の純度で0.95mlの容量において得られた。
実施例18
アスパラギン酸フェノールマスタードプロドラッグ(化合物5a、図27)(2S),2−(3−{4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェノキシカルボニル}プロピオニルアミノ)コハク酸の合成
参考例12に述べたものと同様な方法を用いた。
(2S),2−(3−{4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェノキシカルボニル}プロピオニルアミノ)コハク酸ジベンジルエステル(4a)を552kPa(80psi)で2時間加水分解して、目的とする最終生成物5aを得た(収率:86%)。
出発物質である化合物4aは下記により製造された。
(2S),2−アミノ−コハク酸ジベンジルエステル(化合物2a)を化合物1と反応させ、ジエチルエーテル/ヘキサンで再結晶したのち、(2S),2−(3−カルボキシプロピオニルアミノ)コハク酸ジベンジルエステル(化合物3a)を得た(収率:80%)。
化合物3aを反応させ、室温で3時間撹拌し続け、ジエチルエーテル/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、目的とする出発物質4aを得た(収率:78%)。
実施例19
グルタミン酸フェノールマスタードプロドラッグ(5b、図27)(2S),2−(3−{4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェノキシカルボニル}プロピオニルアミノ)ペンタンジカルボン酸の合成
参考例12に述べたものと同様な方法を用いた。
(2S),2−(3−{4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]フェノキシカルボニル}プロピオニルアミノ)ペンタンジカルボン酸ジベンジルエステル(4b)を414kPa(60psi)で3時間加水分解して、目的とする最終生成物5bを得た(収率:93%)。
出発物質である化合物4bは下記により製造された。
(2S),2−アミノ−ペンタンジカルボン酸ジベンジルエステル(2b)を反応させて、(2S),2−(3−カルボキシプロピオニルアミノ)ペンタンジカルボン酸ジベンジルエステル(3b)を得た(収率:定量的)。
3bを反応させて、目的とする出発物質4bを得た(収率:82%)。
実施例20
Hipp−AspおよびHipp−Gluプロドラッグ類似体に対する突然変異ヒトCPBおよび天然ヒトCPBの活性のアッセイ
参考例20の記載に従って製造したヒトCPBの精製突然変異体(D253KおよびD253R;実施例15〜17)および天然ヒトCPBが、ヒプリル−L−アスパラギン酸(Hipp−Asp−参考例10)、ヒプリル−L−グルタミン酸(Hipp−Glu−参考例9)、またはヒプリル−L−アルギニン(シグマ・ケミカル・カンパニー−カタログNo.H6625)を馬尿酸に転化する効力を、HPLCに基づくアッセイ法によりアッセイした。
反応混合物(250μl)は、4μgのヒトCPB(天然または突然変異体)および0.5mMのHipp−AspもしくはHipp−Gluを、0.025Mトリス−HCl(pH7.5)中に含有していた。試料を37℃で5時間インキュベートした。250μlの80%メタノール、20%蒸留水、0.2%トリフルオロ酢酸の添加により反応を停止し、生成した馬尿酸の量をHPLCにより定量した。
HPLC分析はヒューレット・パッカード1090シリーズ11(ダイオードアレイ付き)HPLCシステムにより行われた。試料(50μl)をハイクロムハイ−RPB(Hichrom Hi−RPB)カラム(25cm)に注入し、40%メタノール、60%蒸留水、0.1%トリフルオロ酢酸の移動相を1ml/分の流量で用いて分離した。得られた生成物(馬尿酸)の量を、既知量の馬尿酸(シグマ−H6375)につき作成した検量曲線から判定した。結果を表に示し、4μgの酵素を用いて37℃、5時間で基質が生成物に転化した%として表わした。
突然変異および天然ヒトCPBによるHipp−AspおよびHipp−Gluの転化率
このデータは、ヒトCPBの位置253に、天然酵素中に存在するアスパラギン酸残基の代わりにリシンまたはアルギニン残基を導入すると、Hipp−AspまたはHipp−Gluを転化しうるように酵素の基質特異性が変化することを示す。これに対し天然酵素はこれらの化合物を馬尿酸に転化できないが、Hipp−Argを馬尿酸に転化する。最良の活性はD253K突然変異体とHipp−Glu基質にみられた。
実施例21
Hipp−AspおよびHipp−GluについてのD253K突然変異HCPBのKmおよびkcatの測定
実施例17の記載に従って製造した精製D253K HCPBを、Hipp−Asp(参考例10)およびHipp−Glu(参考例9)に対してアッセイし、これらの基質についてのKmおよびkcatを測定した。Hipp−GluおよびHipp−Aspを、0.025Mトリス−HCl緩衝液(pH7.5)中にそれぞれ0.25〜8.0mMおよび0.25〜5.0mMの範囲で希釈した。必要な場合には基質試料を1M NaOHでpH7.5に調整した。
D253K HCPB(Hipp−Aspについては4μg/ml、Hipp−Gluについては0.5μg/ml)をこれらの基質に添加して(500μlの反応容量)、反応を開始した。試料を37℃で5時間インキュベートした。0.2%のTFAを含有するメタノール/蒸留水(80/20)500μlの添加により反応を停止した。実施例20の記載に従って、生成した馬尿酸の量を定量した。
KmおよびVmax値をENZFITTERソフトウェアプログラム(バイオソフト、パーキン・エルマー)により計算した。kcatは、Vmaxから反応混合物の酵素濃度で割ることにより計算された(HCPBについての分子量34KDaを使用)。結果を次表に示す。
D253K突然変異HCPBによるHipp−AspおよびHipp−GluについてのKmおよびkcatデータ
これらのデータから、ヒトCPBの位置253のアスパラギン酸をリシン残基で置換すると、Hipp−AspおよびHipp−Gluを妥当な酵素反応速度で馬尿酸に転化しうる酵素が得られることが確認される。kcat/Kmは、Hipp−GluについてはHipp−Aspと比較して約7倍である。
実施例22
グルタミン酸プロドラッグに対する突然変異HCPBおよび天然HCPBの活性のアッセイ
精製D253K HCPBおよび天然ヒトCPB(それぞれ実施例17および参考例20の記載に従って製造)がグルタミン酸プロドラッグからグルタミン酸(実施例18)を酵素開裂する効力をアッセイした。開裂により中間体(参考例13)が放出され、これが酵素によらずに自己分解して、有効なマスタード系薬物を放出する。グルタミン酸プロドラッグから中間体への転化をHPLCに基づくアッセイにより測定した。
プロドラッグを、0.025Mトリス−HCl緩衝液(pH7.5)中に0.25〜5.0mMの範囲で希釈した。必要な場合にはプロドラッグ試料を1M NaOHでpH7.5に調整した。D253K突然変異HCPBまたは天然HCPB(両者とも最終濃度0.25mg/ml)をこれらの基質に添加して(250μlの反応容量、37℃に2分間予熱)、反応を開始した。試料を37℃で4分間インキュベートした。250μlの98.8% MeCN、0.2%TFAを添加することにより反応を停止した。生成した中間体の量をHPLCにより定量した。
HPLC分離を実施例20の記載に従って、ただしプロドラッグ(保持時間4.9分)と中間体(保持時間8.4分)を分離するために、0.1%TFAを含有するMeCN/蒸留水(55/45 v/v)の移動相を用いた。既知量の中間体につき作成した検量曲線から、生成した中間体の量を定量した。
天然および突然変異(D253K)HCPBにより5.0mMおよび0.25mMプロドラッグの二重試料において生成した中間体の量を次表に示す。
天然および突然変異(D253K)HCPBによるプロドラッグから中間体への転化
突然変異酵素(D253K)およびプロドラッグについてのKm、Vmaxおよびkcat値を、実施例21に記載したENZFITTER(商標)ソフトウェアにより、一定範囲の基質濃度(0.25〜5.0mM)にわたって生成した中間体の量から計算した。
D253K突然変異HCPBについての結果は下記のとおりであった:
Km=1.25mM
Vmax=1.17×10-4mM sec-1
kcat=0.016sec-1
これらのデータは、ヒトCPBの位置253に天然酵素中に存在するアスパラギン酸残基の代わりにリシン残基を導入すると、グルタミン酸プロドラッグをその自己分解性中間体に転化しうるように酵素の基質特異性が変化することを示す。これに対し、天然酵素はプロドラッグをその中間体に転化できない。プロドラッグは比較的、非−細胞毒性であり(実施例23)、かつこの中間体は酵素によらずに分解して、腫瘍細胞を殺すフェノールマスタード系薬物を放出するので(実施例23)、これらの結果は、CPBの有効部位残基を突然変異させると比較的無毒性のプロドラッグを腫瘍細胞を殺すことができる有効な細胞毒性薬物に転化しうる突然変異ヒト酵素が得られることを証明する。
実施例23
LoVoヒト結腸直腸腫瘍細胞におけるグルタミン酸プロドラッグおよびフェノールマスタード系薬物の細胞毒性
腫瘍細胞に対するグルタミン酸プロドラッグと対応するフェノールマスタード系薬物の細胞毒性の相異を、下記の方法で証明した。
LoVo結腸直腸腫瘍細胞をプロドラッグまたは薬物と共に最終濃度範囲5×10-4〜5×10-8Mにわたって、96ウェル(2,500細胞/ウェル)ミクロタイタープレート中において37℃で1時間インキュベートした。次いで細胞を洗浄し、37℃でさらに3日間インキュベートした。次いでTCAをウェルに添加し、洗浄して死細胞を除去したのち、プレートに付着している細胞性タンパク質の量を、P.Skehanら,J.Natl.Cancer Inst.82,1107(1990)の記載に従って、SRB染料の添加により評価した。化合物の効力は、細胞の増殖を50%阻害するのに必要な濃度(IC50)により評価された。
LoVo細胞をフェノールマスタード系薬物で処理した場合、約1μMのIC50がみられた。これに対しグルタミン酸プロドラッグははるかに細胞毒性が低く、約50μMのIC50を示した(図22)。したがって突然変異CPBグルタミン酸プロドラッグは、腫瘍細胞に対する細胞毒性がフェノールマスタード系薬物より約50倍低い。
実施例17の記載に従って製造した突然変異HCPB(D253K)100μgを、グルタミン酸プロドラッグを含有するアッセイウェルに添加すると、有効薬物のものに匹敵する細胞毒性がみられ、これはプロドラッグが突然変異酵素によって転化して、より有効な薬物を放出したことを証明する。100μgの天然ヒトCPBを各ウェルに添加してもグルタミン酸プロドラッグの細胞毒性は有意には高まらない。これらの試験は、突然変異ヒトCPB酵素(D253K)が比較的不活性なプロドラッグを腫瘍細胞を殺すことができる有効な細胞毒性薬物に選択的に転化しうることを証明する。
実施例24
ヒト化A5B7 F(ab’)2−D253K HCPB融合タンパク質の調製
参考例21に記載した方法を繰り返し、ただしネズミA5B7 L鎖およびFd配列の代わりにヒト化A5B7を用い、HCPB配列の代わりにD253K配列を用いる。融合タンパク質を、参考例21の記載に従ってHCPB prepro配列との同時トランスフェクションによりCOS細胞から発現させる。本質的に参考例21の記載に従って、プラスミドベクター(各750μg)をCOS−7細胞(1l)中へ一時的に導入することにより、融合タンパク質の大規模発現を行う。固定化したプロテインAに融合タンパク質を含有する上清を導通し、結合した融合タンパク質を高pH緩衝液で溶離することにより、または組換えカルボキシペプチダーゼ酵素の精製に用いた経路に従って、固定化したカルボキシペプチダーゼに融合タンパク質を含有する上清を導通し、実施例12で酵素に用いたものと同じ高いpHで溶離することにより、生成物を精製する。これらの経路は両方とも、ゲル透過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーを単独で、またはこれらを組み合わせて、融合タンパク質をさらに生成してもよい。
参考例21に記載した方法を繰り返し、ただしFdおよびL鎖に対するネズミ配列(それぞれ配列番号:25および26)の代わりにそれぞれ配列番号:28および29に示すヒト化配列を用いる。参考例21においてHCPB配列はD253K配列で置換される[実施例15に記載、ただし(His)6−c−Myc標識を含まない]。参考例21のPCRの鋳型(pICI1698)の代わりにpICI1713(実施例15に記載)を用いる。
配列番号:28および29に示すヒト化配列は、下記を含めた多様な方法で調製される:Edwards(1987)Am.Biotech.Lab.5,38−44,Jayaramanら(1991)Pro.Natl.Acad.Sci.88,4048−4088,FoguetおよびLubbert(1992)Biotechniques 13,674−675、ならびにPierce(1994)Biotechniques 16,708。
実施例25
D253K HCPB調製のための振盪フラスコ発酵
大腸菌株MSD 213をプラスミドpICI1713(実施例15参照)で形質転換し、得られたMSD 213 pZen 1713株をグリセリンストックとして−80℃で保存した。一定部分のMSD 213 pZen 1713をL−テトラサイクリンを含む寒天平板上に画線し、37℃で一夜増殖させたのち、単一コロニーを分離した。MSD 213 pZen 1713の単一コロニーを分離し、L−テトラサイクリンブロス75mlを入れた250ml容三角フラスコに接種した。往復振盪機上で37℃において16時間増殖させたのち、フラスコ内容物を用いて、L−テトラサイクリンブロス600mlを入れた2リットル容三角フラスコ9個に、それぞれOD550=0.1となるように接種した。次いでフラスコを往復振盪機上で20℃において、培養物の光学濃度の測定により推定して増殖がOD550=0.5に達するまでインキュベートした。この時点で、培養物にL−アラビノースを最終濃度0.01%w/vとなるように添加して異種タンパク質の産生を誘導し、前記に従って20℃でさらに42時間、インキュベーションを続けた。使用済みの培地をソルバルRC−3B遠心機で遠心分離することにより(7000×g、4℃、30分間)細菌細胞から分離し、細胞ペーストを−70℃に保存した。
実施例26
自己骨髄移植におけるADEPTの利用
自己骨髄移植においては、患者に集中放射化学療法を施す前に患者自身の骨髄の一部を取り出す。処置が完了した時点で骨髄を患者に戻す。ある種の癌、たとえば白血病ならびにB細胞系およびT細胞系のリンパ腫、ならびに乳腺、肺および結腸の癌では、悪性細胞が骨髄に浸潤するので、生存率を高めるためには骨髄を戻す前にそれらを排除しなければならない。従来、自己骨髄のためにこれらの腫瘍細胞を排除するには、抗体−毒素結合体が用いられていた(Blakey,D.C.ら,Prog.Allergy,vol.45,50,1988)。
ADEPTは、特に短命な反応性マスタード系アルキル化剤を薬物成分として用いる場合に、この目的に利用できる。たとえば腫瘍細胞を含む自己骨髄を適切な抗体−酵素結合体と共にインキュベートする。結合体が選択的に腫瘍細胞に結合したのち、残存する結合体を洗い流す。次いでプロドラッグを添加すると、抗原陽性腫瘍細胞に近接して薬物が生成し、その結果腫瘍細胞が死ぬ。正常な骨髄細胞は、腫瘍細胞上で薬物が生成する部位と骨髄細胞の間に十分な距離が確保されるように骨髄の希釈度を適正にし、これにより薬物が骨髄細胞に到達する前に化学分解によって不活性化されることによって、保護できる。反応性マスタード系薬物に対して求核性物質として作用するタンパク質を添加することも、正常な骨髄の損傷を最小限に抑えるために利用できる。
実施例27
逆極性ADEPTへの突然変異グルクロニダーゼの利用
ヒトグルクロニダーゼは、プロドラッグを開裂して有効薬物を放出させうる特異的ヒト酵素の形成に“逆極性”の概念を利用できる他の酵素である。Bossletら(Cancer Res.,54,2151,1994)が既に天然ヒトグルクロニダーゼに対するアドリアマイシン−グルクロニドにつき述べており、一連の薬物を放出する一連の代替プロドラッグの合成を記載している(Bosslet、特許出願AU−50225/93)。血液および組織中に存在する内因性の天然グルクロニダーゼは、抗体−グルクロニダーゼ結合体の不在下でこれらのプロドラッグを代謝回転して有効薬物を放出し、したがってこの方法の特異性を低下させる可能性がある。ChengおよびTouster(J.B.C.247,2650,1972)は、グルクロニダーゼの活性部位には正に帯電したアミノ酸があり、これがグルクロニド環上の負に帯電したカルボキシル基と反応すると報告した。
リンカーはグルクロニドと細胞毒性物質との直接結合であるか、またはたとえばBossletら(Cancer Res.,54,2151,1994、およびAU−A−50225/93)が記載した種類のリンカー(self imolating linker)であってもよい。グルクロニド環上の負に帯電したカルボキシル基を正に帯電した基R、たとえばR=L−CH2−NH2またはL−CH2−NHR′(ここでR′=C1〜4アルキルであり、L=[CH2]0〜3または他の好適なリンカーである)と交換すると、正に帯電したプロドラッグはもはや天然グルクロニダーゼの基質ではないはずである。したがって、グルクロニダーゼの活性部位にある正に帯電した残基を負に帯電したアミノ酸、たとえばグルタミン酸またはアスパラギン酸に変換すると、この突然変異グルクロニダーゼは、RNアーゼおよびCPBなどのように、正に帯電したプロドラッグを選択的に代謝回転するであろう。このように逆極性の概念をヒトグルクロニダーゼおよび正に帯電したグルクロニド系プロドラッグにまで拡大できる。
配 列 表
配列番号:1に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:1
配列番号:2に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:2
配列番号:3に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:3
配列番号:4に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:29塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:4
配列番号:5に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:31塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:5
配列番号:6に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:31塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:6
配列番号:7に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:45塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:7
配列番号:8に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:45塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:8
配列番号:9に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:46塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:9
配列番号:10に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:48塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:10
配列番号:11に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:33塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:11
配列番号:12に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:12
配列番号:13に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:33塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:13
配列番号:14に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:14
配列番号:15に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:39塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:15
配列番号:16に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:34塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:16
配列番号:17に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:50塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:17
配列番号:18に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:48塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:18
配列番号:19に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:45塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:19
配列番号:20に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:35塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:20
配列番号:21に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:21
配列番号:22に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:22
配列番号:23に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:23
配列番号:24に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:24
配列番号:25に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:777塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:25
配列番号:26に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:732塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:26
配列番号:27に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:27
配列番号:28に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:777塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:28
配列番号:29に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:732塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:29
配列番号:30に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:30
配列番号:31に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:25塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:31
配列番号:32に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:32
配列番号:33に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:26塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:33
配列番号:34に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:41塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:34
配列番号:35に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:108塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:35
配列番号:36に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:16塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:36
配列番号:37に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:17塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:37
配列番号:38に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:30塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:38
配列番号:39に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:39
配列番号:40に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:54塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:40
配列番号:41に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:39塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:41
配列番号:42に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:34塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:42
配列番号:43に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:80塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:43
配列番号:44に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:78塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:44
配列番号:45に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:27塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:45
配列番号:46に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:46
配列番号:47に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:47
配列番号:48に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:48
配列番号:49に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:49
配列番号:50に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:24塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:50
配列番号:51に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:51
配列番号:52に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:19塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:52
配列番号:53に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:53
配列番号:54に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:54
配列番号:55に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:55
配列番号:56に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1263塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:56
配列番号:57に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:415アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:タンパク質
(ix)配列の記載:配列番号:57
配列番号:58に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:35塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:58
配列番号:59に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:88塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:59
配列番号:60に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:60
配列番号:61に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:61
配列番号:62に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:62
配列番号:63に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:63
配列番号:64に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1053塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:64
配列番号:65に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:31塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:65
配列番号:66に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:41塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:66
配列番号:67に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:999塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:67
配列番号:68に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:34塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:68
配列番号:69に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:69
配列番号:70に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:70
配列番号:71に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1284塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:71
配列番号:72に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:25塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:72
配列番号:73に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:27塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:73
配列番号:74に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1059塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:74
配列番号:75に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:25塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:75
配列番号:76に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:27塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:76
配列番号:77に関する情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1059塩基
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)配列の記載:配列番号:77
配列表に関する注釈
本明細書において、明細書中で述べた配列番号は明細書に直接含まれる配列表に対応する(パテンティン(Patentin)ソフトウェアを用いて作成したものではない)。パテンティンで作成した配列表を提出する必要もあるが、これは本出願時にはなされておらず、その内容を特に援用する。
パテンティンソフトウェアは余分な配列(アミノ酸配列のみを含む)を作成するので、核酸配列がコード領域(CDS)を含む場合には、パテンティンで作成した配列番号とそうでないもの(非パテンティンで作成した配列番号)との間に不一致が生じた。パテンティンで作成した配列表と共に提出した表にはこれら2組の配列番号の比較を示す。配列表のディスケット版(diskette version)はパテンティンで作成したものに対応する。
読者は、現在入手できるパテンティンソフトウェア1.30版における下記の“バグ”も承知すべきである。CDS領域を含む配列では、アミノ酸についての配列ナンバリングが前方のCDSから継続する場合がときどきある(起点から開始するのでなく)。このバグはパテンティンで作成した配列表中の配列番号27、30および32のアミノ酸ナンバリングに影響を及ぼす。
Claims (12)
- 成分が
宿主に使用するために設計した調和する2成分システムであって、それらの成分が
(i)腫瘍に付随する抗原と結合しうるターゲティング部分である第1成分;該ターゲティング部分はプロドラッグを抗腫瘍性薬物に変換させうる突然変異酵素に連結している;および
(ii)該酵素の作用下で抗腫瘍性薬物に変換しうるプロドラッグである第2成分を含み、それらにおいて
突然変異酵素は宿主酵素の突然変異形であり、その天然の宿主酵素はイオン対相互作用により天然基質を認識し、この相互作用を突然変異酵素および相補的プロドラッグの設計に際して逆転させてあり(“逆極性”);
第1成分は宿主において実質的に非免疫原性であり;かつ
プロドラッグである第2成分は宿主において突然変異していない天然の宿主酵素によって有意には抗腫瘍性薬物に変換しえない、上記のシステム。 - 第1成分がそのシステムを使用する予定の宿主と同じ種に由来する酵素に基づく突然変異酵素を含むものである、請求項1記載のシステム。
- ターゲティング部分が抗体またはそのフラグメントである、請求項1または2記載のシステム。
- 抗体フラグメントがF(ab’)2フラグメントである、請求項3記載のシステム。
- 突然変異酵素が突然変異リボヌクレアーゼである、請求項1〜4のいずれか1項記載のシステム。
- 突然変異酵素が位置66に負に帯電したアミノ酸を含むヒトリボヌクレアーゼである、請求項1〜5のいずれか1項記載のシステム。
- 位置66の負に帯電したアミノ酸がGluである、請求項6記載のシステム。
- 突然変異酵素が突然変異グルクロニダーゼである、請求項1〜4のいずれか1項記載のシステム。
- 式1のマスタード−リボヌクレオチド:
QはOまたはNHであり;
Aは式−X−Y−の基であり、YはQの隣にあり、ここで
YはSO2、COまたは単結合であり、ただしQが酸素である場合にはYはSO2ではなく;
Xは−(CH2)n−であり、ここでn=1〜4であり、
これは所望により任意の炭素原子においてC1〜4アルキルで置換されていてもよく、または
YがCOであり、かつn=1である場合には、Xは炭素において所望によりアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、リシン、アルギニンもしくはヒスチジンの側鎖で置換されていてもよく;
R1はウラシルまたはシトシンであり;
R2およびR3は独立してHまたはC1〜4アルキルを表し;
R5およびR6は独立してCl、メシルまたはトシルを表し;
R7、R8、R9およびR10は独立してH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、FまたはClを表す]
またはその塩である、請求項1記載の第2成分。 - QがNHであり;
Xが−(CH2)n−であり、ここでn=1〜4であり;
Yが−C(O)−であり;
R1がウラシルまたはシトシンであり;
R2およびR3がHであり;
R5およびR6がClであり;かつ
R7、R8、R9およびR10がHである
請求項9記載のマスタードリボヌクレオチドまたはその塩。 - 化合物
リン酸水素O−[(2R,3S,4R,5R)−2−(2−アミノアセトアミドメチル)−5−(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2,3,4,5−テトラヒドロフラン−3−イル]O−[4−(ビス[2−クロロエチル]アミノ)フェノキシ]またはその塩である、請求項1記載の第2成分。 - 請求項1〜8のいずれか1項記載の第1成分を含む薬剤組成物。
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