JP3805139B2 - 放電加工方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放電加工方法及び該方法を実施するための放電加工装置に関し、特に仕上げ加工において、加工面を均一に仕上げる放電加工方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電加工における加工終了の判定方法として、▲1▼加工電極を取り付けた主軸の軸移動が指令値に到達したときを加工終了と判定する移動量管理による方法と、▲2▼加工開始時からの時間を計測し所定時間が経過したときを加工終了と判定する時間管理による方法がある。
例えば、特許第2717474号公報は、▲2▼の時間管理による放電加工方法において、加工終了と判定するための設定時間の決定方法として以下の3つの方法を開示している。
【0003】
(1) 被加工物との間での放電中の実加工時間のみを計測することにより設定時間の経過を判定する方法。
(2) 単位時間あたりの軸移動と加工条件とから加工面積を求め、この加工面積と単位面積との比を予め指定した単位時間あたりの実加工時間に乗じて設定時間を求める方法。
(3) 単位時間あたりの軸移動と加工条件とから加工面積を求め、この加工面積と加工条件に固有の面を得るための単位時間あたりの実加工時間とから設定時間を求める方法。
【0004】
また、特公昭60−3933公報には、荒加工から仕上げまでの加工を行う場合に、複数段の荒加工及び中仕上げ加工条件をそれぞれ(実施例では荒加工条件は2段階、中仕上げ加工条件は3段階)用意しておき、それら荒加工及び中仕上げ加工条件による加工終了の判定方法として、上記▲1▼のように加工電極を取り付けた主軸の軸移動が指令値に到達したときを加工終了と判定する移動量管理による方法を用い、仕上げ加工を行う場合には、加工終了の判定方法として、上記▲2▼のようにその工程の加工開始時からの時間を計測し所定時間が経過したときを加工終了と判定する時間管理による方法を用いる放電加工方法及びその方法を実施するための装置が開示されている。
【0005】
ここで、特公昭60−3933公報の放電加工方法によれば、仕上げ加工時には、複数段(実施例では3段階)の仕上げ加工条件を用意しておき、それら3段階の仕上げ加工条件に対応する所定の加工時間t1、t2、t3を設定し、仕上げ加工の開始とともにタイマーを作動させ、所定の加工時間t1の間は1番目の仕上げ加工条件で放電加工を行い、所定の加工時間t1が経過後に2番目の仕上げ加工条件に切り換えて所定の加工時間t2の間放電加工を行い、所定の加工時間t2が経過後に3番目の仕上げ加工条件に切り換えて所定の加工時間t3の間放電加工を行うようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
荒加工または中仕上げ工程では加工エネルギが大きいために加工速度が高く、ワークが加工されるのに伴って電極が彫り進んでいくので上述した▲1▼の移動量管理による方法により加工終了を判定するのに適している。
【0007】
反対に仕上加工において▲1▼の移動量管理を行うと、仕上加工では一般的に加工エネルギが低く設定されるために加工速度が低く、電極はほぼ同じ位置で微小な前進、後退を繰り返しているだけで、加工による彫りこみは非常に小さい。そのため、移動量管理により所定の加工深さに到達した時を加工終了と設定すると、加工終了と判定されるまで非常に長時間を要することとなる。
【0008】
反対に上述した▲2▼の時間管理による方法、例えば、特許第2717474号公報の放電加工方法によれば、加工開始と同時に時間管理が開始されるが、指定時間を経過すると軸移動が指令値に到達していなくとも加工が終了してしまうことがあり、指定時間の設定に熟練を要するという問題がある。
【0009】
特公昭60−3933公報の放電加工方法によれば、仕上げ加工時には、複数段の仕上げ加工条件による放電加工方法をそれぞれの仕上げ加工条件に対応する所定の加工時間t1、t2、t3を設定し、それらの所定の加工時間t1、t2、t3による時間管理による放電加工方法を行っている。
【0010】
よって、電極とワークとの極間における放電が不安定となり放電加工が進捗しないときでも、所定の加工時間t1、t2、t3が経過したことを検出すると、それに応じた仕上げ加工は終了したものと判定してしまい、最終的に所定の加工時間t3による放電加工が終了しても電極の軸移動が設定値に達せず、最終的な仕上げ加工形状を得られないことが考えられる。このように仕上げ加工においては、時間管理のみによる放電加工では所望の仕上げ加工精度が得られないというような問題を引き起こしてしまう。
【0011】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、加工時間を短縮しながら加工面の加工精度を高めた放電加工方法および該方法を実施するための放電加工装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、電極とワークとの極間に放電現象を発生させつつ、前記電極とワークとを相対的に接近動作させて前記ワークを加工する放電加工方法において、前記電極またはワークの軸移動が所定の指令値に到達した後に、前記電極とワークとの極間での放電パルス周波数の目標設定値を、前記軸移動が所定の指令値に到達する前より小さくすることによって、前記電極とワークとの極間の距離を従前よりも大きく保つように制御すると共に、前記電極またはワークの軸移動が前記所定の指令値に到達したときからの加工時間を計測し、所定時間が経過したときを加工終了と判定することを特徴とした放電加工方法を要旨とする。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、電極とワークとの極間に放電現象を発生させつつ、前記電極とワークとを相対的に接近動作させて前記ワークを加工する放電加工装置において、前記電極の位置を管理するための手段と、加工時間を計測する手段と、前記電極またはワークの軸移動が所定の指令値に到達した後に、前記電極とワークとの極間での放電パルス周波数の目標設定値を、前記軸移動が所定の指令値に到達する前より小さくすることによって、前記電極とワークとの極間の距離を従前よりも大きく保つように制御する制御部と、前記電極とワークとの相対的な軸移動が前記所定の指令値に到達したときからの加工時間を計測し、所定時間が経過したときを加工終了と判定する手段とを具備することを特徴とした放電加工装置が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
先ず、図1を参照すると、本発明による放電加工方法を実施するための放電加工機11が図示されている。放電加工機11は、不図示のX、Y軸送りモータ及び後述の主軸モータ25によりワークWに対して相対的にX、Y、Z軸の三軸方向に移動可能に設けられた主軸頭13と、該主軸頭13にZ軸方向(図1において上下方向)に移動可能に設けられた主軸15とを具備している。主軸頭13には、クイルまたは主軸15をZ軸方向に移動させる主軸送りモータ25と、主軸15のZ軸方向の位置を検出するためのスケール27が配設されている。また、主軸15の先端には形彫加工用電極21が絶縁プレート17、電極ホルダ19を介して取り付けられている。
【0018】
加工すべきワークWは、形彫加工用電極21に対向するように、加工槽23に貯留された加工液内に浸漬、固定されている。加工電源29により形彫加工用電極21とワークWとの間には所定のパルス電圧が印加され、ワークWと形彫加工用電極21との極間の状態は極間状態検出部31により監視される。極間状態検出部31により検出された極間での放電パルス情報は軸送り制御部33に送出される。一方、スケール27により検出された主軸15の位置情報はモータ駆動部35に帰還され、軸送り制御部33は、極間状態検出部31からの情報に基づき主軸15のZ軸方向の送り量を演算し、主軸送りモータ25のためのモータ駆動部35に移動指令信号を送出する。加工電源29、極間状態検出部31、軸送り制御部33、モータ駆動部35、後述するタイマ37によって、NC.電源装置39を構成している。
【0019】
次に、図2を参照して本発明第1の実施形態による放電加工方法の作用を説明する。
先ず、放電加工機11により放電加工の仕上げ加工工程が開始されるとタイマー37がリセットされる(ステップS11)。放電加工機11が仕上げ加工を開始すると、軸送り制御部33は、極間状態検出部31により形彫加工用電極21とワークWとの極間での放電パルスを監視しながら、モータ駆動部35へ移動指令信号を送出し、極間での放電パルス周波数が所定値となるように主軸15をZ軸に沿って前進後退させて主軸15の送りをサーボ制御する。この間、軸送り制御部33は、移動指令データにより主軸15のZ座標、すなわち、主軸15の軸移動を監視しており、主軸15が指令値に到達するまで、ワークWを彫り進むよう主軸15をサーボ制御しながら主軸15をワークWに対して接近動作させる(ステップS13においてNo)。
【0020】
主軸15の軸移動が前記指令値に到達すると(ステップS13においてYesの場合)、軸送り制御部33は、後述するように逃げぎみのサーボ制御を開始すると共に、タイマー37を起動し時間管理を開始する(ステップS15)。ここで、「逃げぎみのサーボ」との語は、形彫加工用電極21とワークWとの極間での放電パルス周波数の目標設定値を逃げぎみのサーボ制御を開始する以前よりも小さくなるように、軸移動を指令し、形彫加工用電極21とワークWとの極間の距離を大きく保つように制御することを意味する。
【0021】
逃げぎみのサーボ制御が開始した後、極間状態検出部31により極間での放電パルスが検出されなくなると当該放電加工は完全に終了したと判定され(ステップS17においてYesの場合)加工工程が終了する。極間状態検出部31により極間での放電パルスが検出されている間は、タイマー37による時間管理が行われる。すなわち、軸送り制御部33は、タイマー37からの情報に基づき時間管理が開始した時刻からの時間を監視しており、所定の加工時間が経過すると(ステップS19においてYesの場合)当該放電加工工程が完全に終了しなくとも、すなわち、極間状態検出部31により極間での放電パルスが検出されていても加工終了が判定される。
【0022】
次に、図3を参照して本発明の第2の実施形態の放電加工方法の作用を説明する。
先ず、放電加工機11により放電加工の仕上げ加工工程が開始されるとタイマー37がリセットされると共に計測を開始し第1の時間管理が開始される(ステップS21)。放電加工機11が仕上げ加工を開始すると、第1の実施形態と同様に、軸送り制御部33は、モータ駆動部35へ移動指令信号を送出し、極間での放電パルス周波数が所定値となるように、主軸15のZ軸方向への送りをサーボ制御する。この間、軸送り制御部33は、移動指令データにより主軸15の軸移動を監視しており(ステップS23)、主軸15が指令値に到達するまで、ワークWを彫り進むよう主軸15をサーボ制御しながら主軸15を前進させる。
【0023】
ステップS23においてNoの場合、つまり、主軸15の軸移動が指令値に到達してないとき、ステップS25に進み、所定の第1の加工時間(I) が経過したか否かを判断する。所定の第1の加工時間(I) が経過してなければステップS23へ帰還し(ステップS25においてNo)、第1の加工時間(I) が経過したときは加工を終了する(ステップS25においてYes)。
【0024】
第1の加工時間(I) が経過する前に、主軸15が指令値に到達すると(ステップS23においてYes)、第1の実施形態と同様に、主軸13に関して逃げぎみのサーボ制御が開始される共に、タイマー37がリセットされ(ステップS27)、次いで、タイマー37が再び計測を開始し(ステップS29)第2の時間管理が開始される。
【0025】
「逃げぎみのサーボ」が開始した後、極間状態検出部31により極間での放電パルスが検出されなくなると当該放電加工は完全に終了したと判定され(ステップS31においてYesの場合)加工工程が終了する。極間状態検出部31により極間での放電パルスが検出されている間は、タイマー37による第2の時間管理が行われる。すなわち、軸送り制御部33は、タイマー37からの情報に基づき時間管理が開始した時刻からの時間を監視しており、所定の第2の加工時間(II)が経過すると(ステップS33においてYesの場合)当該放電加工が完全に終了しなくとも、すなわち、極間状態検出部31により極間での放電パルスが検出されていても、当該加工工程は終了する。なお第1と第2の加工時間(I)、(II)は、NCプログラム中に予め記入したり、加工の開始にあたってオペレータが適宜に入力することができる。
【0026】
【発明の効果】
このように、本実施形態によれば、軸移動が指令値に到達した後に時間管理を開始するので、従来技術のように、軸移動が指令値に達していなくとも指定時間の経過により加工が終了してしまい、所望する均一な仕上げ加工面が得られない加工不足の問題が解決される。また、軸移動が指令値に到達した後に時間管理を開始するので、中仕上げ加工においても加工面の面粗度が改善されるので、所定の加工深さに到達したときを加工終了と判定する移動量管理による従来技術と比較して最終的な仕上面精度が向上するとの効果を奏する。
【0027】
既述したように、荒加工または中仕上げ加工では、加工速度が高いために軸移動が指定値に比較的容易に到達することができるが、仕上加工では加工速度が低いために移動量管理を行うと非常な長時間を要する。本発明第2の実施形態の放電加工方法によれば、1つの移動量管理と、前記移動量管理に対して並列的に行われる第1の時間管理と、前記移動量管理に対して直列的に行われる第2の時間管理とを組み合わせて加工終了を判定するようになっている。つまり、移動量管理による主軸15の軸移動の指定値への到達よりも先に第1の時間管理による第1の所定時間が経過したときは、第1の時間管理による加工終了が判定され、第1の時間管理による第1の所定時間の経過よりも先に主軸15が指定座標値へ到達したときは、新たに第2の時間管理が開始される。このように構成することにより、荒加工面を確実に仕上げると共に、適宜な時間内に均一な加工面に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電加工方法を実施するための放電加工機の一例を示すブロック構成図である。
【図2】本発明第1の実施形態による放電加工方法のフローチャートである。
【図3】本発明第2の実施形態による放電加工方法のフローチャートである。
【符号の説明】
11…放電加工機
15…主軸
21…形彫加工用電極
31…極間状態検出部
33…軸送り制御部
37…タイマー
W…ワーク

Claims (2)

  1. 電極とワークとの極間に放電現象を発生させつつ、前記電極とワークとを相対的に接近動作させて前記ワークを加工する放電加工方法において、
    前記電極またはワークの軸移動が所定の指令値に到達した後に、前記電極とワークとの極間での放電パルス周波数の目標設定値を、前記軸移動が所定の指令値に到達する前より小さくすることによって、前記電極とワークとの極間の距離を従前よりも大きく保つように制御すると共に、
    前記電極またはワークの軸移動が前記所定の指令値に到達したときからの加工時間を計測し、所定時間が経過したときを加工終了と判定することを特徴とした放電加工方法。
  2. 電極とワークとの極間に放電現象を発生させつつ、前記電極とワークとを相対的に接近動作させて前記ワークを加工する放電加工装置において、
    前記電極の位置を管理するための手段と、
    加工時間を計測する手段と、
    前記電極またはワークの軸移動が所定の指令値に到達した後に、前記電極とワークとの極間での放電パルス周波数の目標設定値を、前記軸移動が所定の指令値に到達する前より小さくすることによって、前記電極とワークとの極間の距離を従前よりも大きく保つように制御する制御部と、
    前記電極とワークとの相対的な軸移動が前記所定の指令値に到達したときからの加工時間を計測し、所定時間が経過したときを加工終了と判定する手段と、
    を具備することを特徴とした放電加工装置。
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