JP3805067B2 - 像ぶれ防止装置およびこれを備えた双眼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の結像光学系が形成する像を一対の接眼光学系により観察する双眼装置の像ぶれ防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のような像ぶれ防止装置を備えた双眼装置としては、例えば米国特許2,829,557号に開示されているものがある。このものでは、像ぶれ防止装置にミラーとバランスウェイトを用いて、アクチュエータを用いない構成を採用している。
【0003】
また、特開平2−284113号公報には、像ぶれ防止装置にミラーを用い、このミラーのヨー方向回転軸を左右の光軸の中央に設定した構成の双眼装置が提案されている。
【0004】
さらに、特開平6−308431号公報には、像ぶれ防止装置を双眼装置のアダプターとして実施した例が提案されており、このものでは、像ぶれ防止装置の可変頂角プリズムのヨー方向回転軸が左右の光軸の中央に設定されている。
【0005】
また、特開平7−043645号公報には、像ぶれ防止装置の左右の可変頂角プリズムが左右各々のアクチュエータにより駆動されるようになっている双眼装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら, 上記米国特許2,829,557号にて開示された双眼装置では、アクチュエータを持たないために十分な像ぶれ防止性能が得られないばかりか、双眼装置全体が大きくなってしまうという問題がある、
また、特開平2−284113号公報や特開平6−308431号公報にて提案された双眼装置においては、可変頂角プリズムの回転軸がそれぞれの光軸から大きくはずれているため、作動中に光路長が変化し、大きなピント変化が生ずるという問題がある。このため、特開平6−308431号公報にて提案された双眼装置においては、可変頂角プリズムを対物レンズの前に配設せざるを得ず、双眼装置の大型化を招いたり、ヨー方向駆動に大きな電力を必要としたりするという問題がある。
【0007】
さらに、特開平7−043645号公報にて提案の双眼装置においては、可変頂角プリズムごとにアクチュエータが設けられているため、双眼装置のコンパクト化や低コスト化および省電力化が困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、アクチュエータを用いた像ぶれ防止機構によって高い像ぶれ防止性能を発揮するとともに、コンパクト化、低コスト化および省電力化を図れる像ぶれ防止装置およびこれを用いた双眼装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の双眼装置は、一対の対物光学系、一対の正立光学系、一対の接眼光学系、および対物光学系と正立光学系との間に配置され、像ぶれ補正を行うよう駆動される一対の可変頂角プリズムを有する。そして、一対の可変頂角プリズムの各前枠を保持し、両前枠を一体としてピッチ方向に回転自在に保持したピッチ保持枠と、可変頂角プリズムの後枠をそれぞれ保持し、後枠をヨー方向にそれぞれ回転自在に保持した一対のヨー保持枠と、一対のヨー保持枠をヨー方向に回転自在に連結した連結部材と、ピッチ保持枠をピッチ方向に駆動するピッチ駆動手段と、連結部材をヨー方向に駆動するヨー駆動手段とを有する。
【0013】
さらに、一対の可変頂角プリズム、ピッチ保持枠、ヨー保持枠、連結部材、ピッチ駆動手段およびヨー駆動手段を1ユニット化して、双眼装置への組み込みや交換等を容易にするのが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図3には、本発明の第1実施形態である防振ユニット(像ぶれ防止装置)を備えたプリズム双眼鏡(双眼装置)を示している。図1は、上記双眼鏡の平面断面図、図2は側方断面図、図3は背面断面図である。
【0015】
双眼鏡の光学系は、左右一対の対物レンズ1L、1R、左右一対のポロII型正立プリズム2L、2R、左右一対の接眼レンズ3L、3R、液体を封入したバリアングルプリズム4L、4Rの光学部品により構成されている。
【0016】
図1から図3に示すように、対物レンズ1L、1Rはそれぞれ、左右に一対の平行な光軸01L、01Rを有し、これら光軸01L、01Rはそれぞれバリアングルプリズム4L、4Rの中心を通過し、左右一対の正立プリズム2L、2Rの入射面に至る。そして、この左右一対の正立プリズム2L、2Rの各射出面には、対物レンズの光軸01L、01Rに平行でかつ同軸でない左右一対の接眼レンズ3L、3Rの光軸02L、02Rが連なる。
【0017】
双眼鏡の基体10は丈夫な金属板で造られ、光軸01L、01Rが作る平面と平行な水平部11と、これに対して直角に屈曲した接眼ユニット12L、12Rを保持するための保持面13とから構成される。水平部11には摺動を目的とした4個所のエンボス14が突出され、保持面13にはそれぞれ光軸01L、01Rを中心として断続的な或いは閉じていない摺動円を含む摺動孔15L、15Rが設けられている。なお、基体10の中央は、保持面13と同じ面が上方に延在して突出部16が形成され、突出部16はフォーカスネジ17と径嵌合する。さらに、定位置で回転自在に保持する回転保持部材18が、前記突出部16の中央に3本のビス18’によって固定されている。
【0018】
また、対物台19も丈夫な金属板で造られ、基体10の4個所のエンボス14に対応して摺動する4個所の摺動部20を含む水平部21と、光軸01L、01Rに対して直角に屈曲しかつ光軸01L、01Rを中心とする孔22L、22Rを有する保持面23L、23Rとから構成されている。そして、水平部21に対して直角に屈曲した中央部の後端面24には、基体10の突出部16の回転保持孔部材18に対応して、フォーカスネジ17と螺合する雌ねじが設けられているナット25が、前記中央部の後端面24に2本のビス25’によって固定されている。なお、保持面23L、23Rはまげ部23’により連結され、より強固なものとなっている。
【0019】
対物台19の水平部21には、光軸01L、01R方向に設けたガイド孔26、27と、これより幅のやや大きいガイド逃げ孔28、29が設けられている。そして、ガイド孔26、27に対しては嵌合し、ガイド逃げ孔28、29にはやや逃げるように寸法設定された4個の同形状のガイド部材30が、基体10の水平部11にビス止めされている。なお、このガイド部材30の一部は、両側に延出してばね部31となっていて、このばね部31がガイド孔26、27及びガイド逃げ孔28、29の周囲において、対物台19の水平部21を基体10の水平部11に適度に圧接するように作用している。
【0020】
これにより、対物台19はガイド孔26、27に嵌合する2個のガイド部材30により基体10を基準として光軸方向に移動可能にガイドされ、エンボス14と摺動部20同士は8個所のばね部31によって密着状態で保持される。
【0021】
また、フォーカスネジ17は基体10の突出部16の回転保持部材18に回転自在に保持され、その後端部にはフォーカス摘み32がビス32’により固定されて光軸方向の抜け止めとされている。このフォーカスネジ17は基体10に対して定位置で回転し、かつねじ部は対物台19の水平部21に対して直角に屈曲した中央部の後端面24に固定されたナット25と螺合している。このため、フォーカス摘み32を回転することによって、対物台19全体を基体10に対して光軸方向に圧接した状態で移動することができる。なお、フォーカスネジ17の後端部付近は2方取りされ、フォーカス摘み32もこれに対応する形状に作られており、ビス32’の締込みだけで回転方向に関しても一体化が図られている。
左右一対の接眼ユニット12L、12Rは、互いに対称形状に造られており、接眼レンズ3L、3Rと、これを一体的に保持する左右同形状の接眼鏡筒42L、42Rと、光軸01L、01Rに対応する入射面及び接眼レンズ3L、3Rの光軸02L、02Rに対応する射出面を有するポロII型の正立プリズム2L、2Rと、これを接着等により保持している保持台43L、43Rと、この保持台43L、43Rをプリズム2L、2Rごと調整しつつ保持するための接眼ユニット本体44L、44Rと、この接眼ユニット本体44L、44Rに対して複数のビスにより係合しつつ固定する接眼ホルダー45L、45Rとから構成されている。なお、接眼ユニット本体44L、44Rの内面には、内面反射を防止するための遮光線101L、101Rが形成されている。
【0022】
また、この接眼ホルダー45L、45Rの内面にはヘリコイドねじ46L、46Rが設けられており、接眼鏡筒42L、42Rの外径部と螺合している。また、接眼ホルダー45Lの後端面には円周方向に複数並んだ小さな係合孔(図示せず)が形成されており、これら係合孔は接眼鏡筒42Lに植え込まれたストッパーピン47Lを挿入させることによって接眼鏡筒42Lを光軸方向に調整した後に固定することを可能としている。
【0023】
さらに、接眼ホルダー45Rの後端面には円周方向に延びる切り欠き100Rが形成されており、この切り欠き100Rの端部は接眼鏡筒42Rに植え込まれたストッパーピン47Rの回転規制となる。接眼鏡筒42Rを切り欠き100Rによって規制された回転範囲内で回転させることで、双眼鏡使用時の左右の視度調整機能を可能としている。
【0024】
そして、本実施形態によれば、接眼鏡筒42Lに予め植え込み配置されたストッパーピン47Lを、接眼ユニット12Lの組立時に接眼ホルダー45Lの係合孔に押し込むだけで接眼鏡筒42Lの接眼ホルダー45Lに対する固定(位置決め)を行うことができるので、接着剤を用いる場合に比べて簡単に組立てを行うことができる。
【0025】
しかも、ストッパーピン47Lは、組立状態においてストッパーピン47Lの後端部が接眼鏡筒42Lにおける植え込み孔の後端から突出する長さに設定されているので、組立後にこの突出部分を引っ張って係合孔からストッパーピン47Lを引き抜くだけで接眼鏡筒42Lの接眼ホルダー45Lに対する回転や取り外しを自由に行うことができる。このため、接眼鏡筒42Lの交換も接着剤を用いる場合に比べて容易に行うことができる。
【0026】
なお、接眼鏡筒42L、42Rの後端部には、一対の眼当接ゴム33L、33Rが取り付けられている。
【0027】
接眼ユニット本体44L、44Rの前端面には、基体10の水平部11に対して直角に屈曲した保持面13から若干突き出るようにフランジ部34L、34Rが設けられており、光軸01L、01Rのそれぞれを中心とする摺動孔15L、15Rに係合している。また、接眼レンズユニット本体44L、44Rには、図3に示すように略対称な形状の左右一対の連動板35L、35Rが取り付けられており、連動板35L、35Rは内側のギア部36L、36Rで互いに噛合している。
【0028】
そして、それぞれ4本のビス37L、37Rにおいて、左右一対の接眼ユニット本体44L、44Rの前端面のフランジ部34L、34Rにビス止めされており、このビス止め部分の外周部38L、38Rは円周方向に延出され、さらにビス止めしたときに基体10の保持面13に適度にチャージする状態となるように光軸01L、01R方向に屈曲している。
【0029】
なお、光軸01L、01Rを中心として断続的な或いは閉じていない摺動円を含む摺動孔15L、15Rに対応して、フランジ部34L、34Rの係合部(図示せず)は回転角規制可能な形状となっている。
【0030】
このような接眼部の構成において、左右一対の接眼ユニット12L、12Rは、それぞれ基体10の水平部11に対して直角に屈曲した保持面13に密着した状態で互いに反対回りに回転運動して、接眼レンズ3L、3Rの光軸02L、02Rの間隔を適度な操作重さで所定量変更することが可能である。
【0031】
また、接眼ホルダー45L、45Rの後面外観部であって光軸01L、01Rの延長部付近には、ストラップ取付部48L、48Rが設けられている。このため、ストラップ取付部48L、48Rに取り付けたストラップ(図示せず)を首や肩に掛けて双眼鏡を保持するときも、常に双眼鏡のバランスを崩さないと同時に、左右に目幅を変えるような力が発生しにくいストラップを実現できる。
【0032】
一方、対物鏡筒40L、40Rは、対物レンズ1L、1Rを先端部付近で保持し、鏡筒回りにそれぞれ等分に3個所設けられたフランジ部41L、41Rにおいて、光軸01L、01Rを中心とする孔22L、22Rを有する保持面23L、23Rにそれぞれ3本のビスで固定されている。ここで、光軸01L、01Rを中心とする孔22L、22Rは、対物鏡筒40L、40Rの外径よりやや大きく設定されてるので、対物鏡筒40L、40Rをビス止めする時には、対物レンズ1L、1Rの光軸01L、01Rの位置をずらして調整固定ができるようになっている。
【0033】
図2に示す上カバー50と下カバー51は、光軸01L、01Rを含む平面でほぼ全体が上下にかみ合わさるように形成されており、かみ合い面には互いに嵌合する段差が形成されている。上カバー50は、基体10、フォーカスネジ17、対物台19、対物鏡筒40L、40Rなどを覆い、内面の天井から図示しない3個所の位置決め部に対して、取付孔52、53、54を介して基体10をビス止めされている。このように、上カバー50を3個所で保持することで、外観部材の保持時或いは衝撃等が加わった時の基体10の歪みを最小に抑え、ひいては光学系の視軸のずれの発生を抑える構造が実現できる
さらに、下カバー51は対物鏡筒40L、40R回り、接眼ユニット12L、12R回り、フォーカスネジ17回り以外で、上カバー50と全周に渡って係合し、取付孔55L、55Rの2個所で上カバー50にビス止めされている。また、下カバー51の筒状に延びた先端部56L、56Rと上カバー50の筒状に延びた先端部57L、57Rとは、互いに係合して左右の円筒部を形成し、この円筒部は断面形状がコの字のリング状の対物カバー58L、58Rに嵌め込まれて、左右2本ずつのビスによって固定されている。このように構成することで、上カバー50の変形を更に小さくできる強固な構造が実現できる。
【0034】
さらに、対物鏡筒40L、40Rの先端外周部の外周には、防塵ゴム59L、59Rが巻かれ、防塵ゴム59L、59Rの外径は対物カバー58L、58Rに対してチャージ気味に係合している。また、防塵ゴム59L、59Rの外径は対物カバー58L、58Rを覆うようになっており、その先端部には対物ゴム60L、60Rが取り付けられている。このような対物部の構成により、対物カバー58L、58Rの内面と対物鏡筒40L、40Rの空隙を密閉することができ、加えて対物カバー58L、58Rを覆う対物ゴム60L、60Rを取り付けたことにより先端部に加わる衝撃を和らげるとともに上下のカバー50、51に覆われた双眼鏡内部に埃や水滴が入り難い構造を実現できる。
【0035】
また、対物レンズ1L、1Rの奥側には、バリアングルプリズム(可変頂角プリズム)4L、4Rを内蔵する後述する防振ユニット61が配置され、防振ユニット61には付属する電気回路基板62が取り付けられている。さらに、対物鏡筒40L、40Rの間には2個のバッテリ63が配置され、上カバー50の内面にはこれらのバッテリ63に対応した図示しない2個のばね性を備えた電極が配置されている。なお、これら電極はリード線によって電気回路基盤62に接続されている。
【0036】
そして、バッテリ63は、収納状態で導通するように、上記2個のばね性を備えた電極と、下カバー51に開閉可能に取り付けられた蓋65に固定された共通電極64とよって挟持されつつ、双眼鏡内に保持される。
【0037】
防振スイッチ66は、バリアングルプリズム4L、4Rを含む防振ユニット61の駆動アクチュエータの作動を許可するスイッチとして用いられる。なお、防振ユニット61の駆動機構についての詳しい説明は後述する。
【0038】
防振スイッチ66は適度な硬さのゴムで作られており、上カバー50の中央に開けられた孔にドーナツ状の押さえ板67とともに内側からカシメによりそのフランジ部66Bの周囲を固定されている。
【0039】
このため、表面側から指で操作部66Aを押すことにより、その内側にあって基体10の水平部11に2本のビス66’によって先端部を固定されたロックバネ68を、先端のゆるい球状の作動部66Dで押すことができ、突き当て部66Cがドーナツ状の押さえ板67に当接するまで押し下げることができる。なお、操作部66Aから指を離せばロックバネ68の弾性力によってスイッチ66を図2の状態に戻すことができる。
【0040】
以上のように本実施形態のプリズム双眼鏡では、双眼鏡の外部から衝撃が加わった場合にも、まず対物ゴム60L、60Rや上下のカバー50、51がある程度の衝撃を吸収するので、双眼鏡の本体部品や対物レンズ1L、1Rの後方の空きスペースに収納した防振ユニット61(電気回路基板62を含む)を安全に守ることができると共に、双眼鏡内部に埃や水滴が入り難い構造となっている。
【0041】
次に、図4〜図7を用いて防振ユニット61の構成を説明する。図4は防振ユニット61の平面視部分断面図、図5は水平断面図、図6は防振ユニット61の背面図(図3の裏形状図)、図7は防振ユニット61と防振スイッチ66の連動を示す側面断面図である。
【0042】
防振ユニット61の本体71はほぼ左右対称形状で、光軸01L、01Rを中心とする左右の円筒部72L、72Rを有するとともに、これら2つの円筒部72L、72Rをややくびれた平面部上72Uと平面部下72Dで連結した外形形状に形成されており、平面部上72Uにおいて基体10の水平部11に保持される。また、本体71はフランジ面71’を有する。
【0043】
本体71の平面部上72Uには、基体10の水平部11に対して取付け時に位置決めするための、基体10の水平部11の厚みよりやや短い2本の位置決めピン73L、73Rと、平面部上72Uからわずかに突出した取付け面とタッピン孔とを有する同高の4個所の取付け部74と、メカロック75を組み付けるための切り欠き76と、ヨー方向の駆動及び検出信号を伝達するためのYフレキ76を貼り付けるための縦溝77と、リーフスイッチ78からのリード線79を通すための縦溝80等とが設けられている。
【0044】
本体71のフランジ面71’には、光軸01L、01Rを中心とする孔81L、81Rと、ピッチ保持枠82の4本の駆動支柱83が貫通する中央部の矩形状の4個の角孔84が形成されている。また、フランジ面71’には、ピッチ用駆動コイル85P及びヨー用駆動コイル85Yに駆動力を与えるための磁界を形成するために、ピッチ用のマグネットヨーク86Pとヨーク87Pやヨー用のマグネットヨーク86Yとヨーク87Yを保持するための中央部の孔88と、それを囲むように形成された支柱89等のマグネット保持部と、移動部材に固着された位置検出素子であるピッチ用ホール素子90Pに磁界を形成するマグネットヨーク91Pを固定する固定部92Pと、ヨー用ホール素子90Yに磁界を形成するマグネットヨーク91Yを固定するための固定部92Y等が設けられている。さらに、フランジ面71’におけるリード線79を通すための縦溝80の近くには、リーフスイッチ78がビス78’により固定されている。
【0045】
なお、ピッチ用駆動コイル85Pとヨー用駆動コイル85Yは、図6に示すように、駆動力を受ける直線部を有する長円形状に形成されており、互いに共通部品を使用している。また、ピッチ用マグネットヨーク86Pとヨー用マグネットヨーク86Yも前記コイル形状及びコイルの配置されている方向に応じて概ね長方形状に磁性体である鋼板で作られた共通部品であり、駆動用のマグネットが接着又は自然付着により張り付いた状態で使用される。
【0046】
また、ヨーク87Pとヨーク87Yも同様に前記コイル形状及びコイルの配置されている方向に応じて概ね長方形状に磁性体である鋼板で作られた共通部品である。さらに、ホール素子90P、90Yに磁界を形成するマグネットヨーク91Pと91Yもマグネット付きの磁性体である鋼板で作られた共通部品である。本体71の平面部下72Dには、平面部上72Uに形成されている縦溝77と同じような図示しないピッチ方向の駆動及び検出信号を伝達するためのPフレキを貼り付けるための縦溝93が形成されている。
【0047】
本体71の平面で構成されている前端面72Fには、電気回路基盤62をビス止めするためのタッピンビス孔付きエンボス93が、平面部上72Uと平面部下72Dに2個所ずつと、円筒部72Lに1個所(合計5個所)設けられている。また、前端面72Fには、電気回路基盤62をビス止めする時の外形位置決めピン94が3個所設けられている。
【0048】
本体71の円筒部72L、72Rには、光軸方向の中間部付近の同位置に回転軸の軸受け孔が6個設けられていて、これらの軸受け孔の付近はやや外径方向に突出している。2つの光軸01L、01Rに直交する軸上に位置設定された軸受け孔には圧入ピン95L、95Rが回転可能に挿入され、上記光軸01L、01Rに直交する軸および各光軸01L、01Rに直交する軸上に設けられた軸受け孔には圧入ピン96L、96Rが回転可能に挿入されている。圧入ピン95L、95Rはピッチ保持枠82の回転中心となり、圧入ピン96L、96Rはヨー保持枠97L、97Rの回転中心になる。
【0049】
電気回路基板62は両面実装基板であって、光軸01L、01Rの周り部分は光線をよける形状に形成されている。この電気回路基板62は、5本の取付けビス62’によって、3本の外形位置決めピン94で位置決めされつつ本体71に取り付けられている。
【0050】
電気回路基板62の裏面側(接眼レンズ3L、3R側)には、手ぶれ補正量を検出するための振動ジャイロ98P、98Yがほぼ中央に実装されている。なお、振動ジャイロ98P、98Yは突出しているが、ピッチ保持枠82の中央のくぼみ82’の中にちょうど収まるように設定されている。
【0051】
また、図8に示すように、電気回路基板62の表面側には、コネクタ類としてリーフスイッチ78からのリード線79用のコネクタ79’と、Yフレキ76用のコネクタ76’と、図示しないPフレキ用のコネクタ62Aと、図示しない2個のばね性を備えた電極からのリード線用コネクタ62Bと、図示しない防振作動中に点灯するLED用コネクタ62Cと、組立て途中で使用するチェック用コネクタ62D等とが配設されている。電気回路基板62は、外部からの電気接続をすべてコネクタで行っている上に、コネクタを片面に集中して配置し、しかもそれが表面側であるために、電気回路基板62の防振ユニット61への着脱はもちろん、防振ユニット61(電気回路基板62含む状態)自体の着脱を容易に行うことができる。
【0052】
さらに、電気回路基板62の表面側には、調整ボリュウム類として防振ゲイン調整(ピッチ用及びヨー用)ボリュウム62E、防振中央調整(ピッチ用及びヨー用)ボリュウム62Fの計4個が配設されている。これら部品をコネクタ類と同様にすべて片面に配置するとともに、表面側の下方部側(平面部下72D側)に光軸に対して直角下側から調整できるように配置しているため、組立て調整時やメンテナンスでの作業性が優れた構造を実現できる。
【0053】
ピッチ保持枠82は、液体を封入したバリアングルプリズム4L、4Rの前枠100L、100Rを一体に保持し、これらを駆動する。ピッチ保持枠82は、図5に示すように、中央部にくぼみ82’を有するとともに、裏側に4本の駆動支柱83を有し、左右の両端部に圧入された圧入ピン95L、95Rによって本体71にピッチ方向に回転可能に保持されている。
【0054】
また、ピッチ保持枠82は、左右の光軸01L、01Rを中心とする円形の窓98L、98Rを有し、この裏側の保持部99L、99Rにおいて接着剤又はバヨネット等でバリアングルプリズム4L、4Rの前枠100L、100Rと一体化されている。さらに、図7に示すように、中央部の上面にはメカロック75とロック状態では係合し、非ロック状態では回転の制限部として機能するピッチ制限部101が設けられている。
【0055】
ピッチ駆動枠102は、これを駆動するピッチ用駆動コイル85Pと駆動量を検出するピッチ用ホール素子90Pとを有する。ピッチ駆動枠102は、防振機能を使わないときにはメカロック75により固定保持される。また、ピッチ駆動枠102は、図6に示すように略矩形状に形成されており、ピッチ保持枠82の裏側の4本の駆動支柱83に対して4本のビス102’によって固着される。また、ピッチ駆動枠102の後部の水平方向の差し渡しには、ピッチ用駆動コイル85Pが接着等により固定されている。さらに、ピッチ駆動枠102は、図6における水平部の左方向に突出したピッチ用ホール素子90Pをマグネットヨーク91Pに対応する位置にて保持しており、ピッチ駆動枠102には、これらピッチ用駆動コイル85Pとピッチ用ホール素子90Pの電気信号用の図示しないPフレキが接続されている。
【0057】
ヨー保持枠97L、97Rは、バリアングルプリズム4L、4Rの後枠(請求の範囲にいうヨー方向用補正手段、頂角変更用部材)103L、103Rを保持し、これらを駆動する。ヨー保持枠97L、97Rは上下端に圧入固定された圧入ピン96L、96Rによって本体71に対してヨー方向に回転可能に保持されている。また、ヨー保持枠97L、97Rは、バリアングルプリズム4L、4Rの後枠103L、103Rに対応して保持部104L、104Rを有し、接着等の方法で一体化されている。さらに、ヨー保持枠97L、97Rの後半部は、光軸01L、01Rを中心として光路を十分よけつつ後方に延び、後上部106L、106Rで連結軸105L、105Rを圧入保持している。これら連結軸105L、105Rは、ヨー駆動枠107の対応する位置に光軸01L、01Rと同間隔に設けられた連動孔に嵌合する。また、後下部108L、108Rには、ヨー駆動枠107に設けられた嵌合孔に係合する連動ダボ109L、109Rが設けられている。つまり、ヨー保持枠97L、97Rとヨー駆動枠107とによって平行リンク機構が形成されている。
【0058】
ヨー駆動枠107はヨー保持枠97L、97Rを駆動するためのヨー駆動コイル85Yを保持するとともに、駆動量を検出するヨー用ホール素子90Yを有する。また、ヨー駆動枠107は防振機能を使わないときにはメカロック75により固定保持される。
【0059】
ヨー駆動枠107は、図6に示すように中央部は略矩形状に形成され、上下部から左右にかけて、ヨー保持枠97L、97Rを連動させる腕が4本延びている。また、ヨー駆動枠107は、上下の中央部から図7に示すように前方に延びた腕110U、110Dを有し、これら腕110U、110Dによってヨー用駆動コイル85Yを保持している。また、図6に示すように、ヨー駆動枠107の中央部の上部前面にはメカロック75とロック状態では係合し、非ロック状態では回転の制限部として機能するヨー制限部111を有しており、その右方においてヨー用ホール素子90Yを前述のマグネットヨーク91Yの対応する位置において保持している。さらに、ヨー駆動枠107には、ヨー用駆動コイル85Yとヨー用ホール素子90Yの電気信号用のYフレキ76が接続されている。
【0061】
このように構成された防振ユニット61の本体71に組み込まれたピッチ保持枠82、ピッチ駆動枠102、ヨー保持枠97L、97R、ヨー駆動枠107及びこれらと一体化された部品によって、バリアングルプリズム4L、4Rの前枠100L,100Rのピッチ方向への同時同量駆動と、後枠103L,103Rのヨー方向への同時同量駆動とが可能になっている。
【0062】
そして、この防振ユニット61によれば、バリアングルプリズム4L、4Rの前枠100L,100Rのピッチ方向回転軸と後枠103L,103Rのヨー方向回転軸とがいずれも光軸01L、01Rから外れていないので、防振作動中における観察像のピントのずれを防止することができる。しかも、バリアングルプリズム4L、4Rの前枠100L,100R同士と後枠103L,103R同士とを連結した状態でそれぞれを1つのアクチュエータ(駆動コイル85P、85Y)によって駆動するようにしているので、アクチュエータを使用した高い防振性能を確保しつつ、コンパクト化、低コスト化および省電力化を図ることができる。
【0063】
次に、防振ユニット61の作動のロックおよびロック解除を行うロック機構について詳しく説明する。メカロック75は、防振機能を使わないとき(ロック時)には、バリアングルプリズム4Lと4Rを平行平板の状態に維持する必要があるために、ピッチ駆動枠102とヨー駆動枠107とを所定の位置に固定する。また、防振機能作動中(アンロック時)はリーフスイッチ78を通電状態にすると共にピッチ駆動枠102とヨー駆動枠107とを所定の防振動作を可能とし、さらには、これら2つの駆動枠102、107の作動範囲の規制となるように作用する。
【0064】
図9はメカロック75のロック状態を示しており、図10はメカロック75のアンロック状態を示している。メカロック75は、図4に示すように、左右両側に回転軸75A、75Bを有する。これら回転軸75A、75Bは、本体71の対応する位置に形成された図示しないU溝に係合し、前後方向と下方向への移動が規制されるので、上方から適度に加圧することによって上下方向に回動が可能である。なお、メカロック75の回動規制は、ロック時は図9に示すように平面75Cが本体71に当接することにより行われ、アンロック時は図10に示すように突起75Dが本体71に当接することにより行われる。
【0065】
メカロック75の先端部左側に突出して設けられた円柱ダボ75Eは、ロック時には図9に示すようにピッチ保持枠82に設けられたピッチ制限部101の上部に対して嵌合し、ピッチ保持枠82をピッチ方向センターの位置にロック保持する。一方、アンロック時には、図10に示すように、円柱ダボ75Eがピッチ制限部101の規制面101A、101Bの間に下がるので、ピッチ保持枠82は円柱ダボ75Eが規制面101A、101Bに当接するまでの範囲でピッチ方向運動が可能となる。
【0066】
また、メカロック75の後端部中央に突出して設けられた円柱ダボ75Fは、ロック時は図9に示すようにヨー保持枠107に設けられたヨー制限部111の凹部に対して嵌合し、ヨー駆動枠107をヨー方向センターの位置にロック保持する。一方、アンロック時には、円柱ダボ75Fが上記凹部の上側に凹部よりも幅広に設けられた規制面107A、107Bの間に上がるので、ヨー駆動枠107は円柱ダボ75Fが規制面107A、107Bに当接するまでの範囲でヨー方向運動が可能となる。
【0067】
さらに、メカロック75の後部上面に設けられた凹部75Gは、図10に示すように、アンロック時にはリーフスイッチ78を押し上げてこれを導通(オン)状態とする。一方、図9および図6に示すように、ロック時にはリーフスイッチ78から離れてこれを非導通(オフ)状態とする。
【0068】
メカロック75の上面中央部に板状突起形状に形成されたバネ力受け部75Hは、前側斜め上方に面した導入面75Iと、前方に面したロック面75Jと、上方に面した摺動面75Kとを有する。
【0069】
基体10の水平部11に2本のビス66’によって先端部を固定されているロックバネ68は、幅広ばね部68Aと、図1および図9に示すようにばね部68Aの内側に形成された連結部68Bおよび連結部68Cと、後方に凸となる曲げ部であるロック部68Dと、ロック部68Dから延びる摺動部68Eとを有して構成されている。
【0070】
ここで、ロックばね68の組み込み前の状態は、図9に2点鎖線で示す形状である。そして、ビス68’を絞め込むときにロック面75J或いは摺動面75Kをメカロック75の導入面75Iに沿って滑らせてロックばね68の組み込みを行うことにより、ロック部68Dがロック面75Jにより押されてロックばね68がチャージされた状態となる。これにより、ロックばね68にメカロック75を図9における時計回り方向に強く押す付勢力を生じさせることができる。さらに、ロックばね68の組み込み後は、摺動部68Eが摺動面75Kに当接し、メカロック75は図9における反時計回り方向に軽く押される。このため、この状態では、メカロック75はしっかりとロック位置に保持されるとともに、浮き上がりも防止される。
【0071】
このように構成されたロック機構において、図9に示すロック状態では、前述したように、ピッチ保持枠82はピッチ制限部101において、またヨー駆動枠107はヨー制限部111において、それぞれメカロック75と係合し、作動がロックされる。
【0072】
このようなロック状態から防振スイッチ66の操作部66Aが押されると、作動部66Dが、突き当て部66Cが押さえ板67に当接するまでロックばね68の幅広ばね部68Aを押し下げる。これに伴い、防振スイッチ66の操作力がばね部68Aの内側の連結部68B、68C、ロック部68Dおよび摺動部68Eを介してメカロック75の摺動面75Kに作用する。この結果、メカロック75全体は、図9のロック位置から反時計回り方向(アンロック位置の方向)に回転力を受けるが、ロック部68Dは初期のチャージ力によって強くロック面75Jを押しているので、メカロック75には時計回り方向(ロック位置に保持する方向)の回転力(トルク)が作用している状態にある。このため、この初期の保持トルクに打ち勝つような押圧力(付勢力)がメカロック75の摺動面75Kに作用したときに、メカロック75がアンロック位置に移動する。
【0073】
なお、本実施形態では、ロックバネ68を構成する連結部68B、連結部68C、ロック部68Dおよび摺動部68Eなどを適度なばね性を有するように構成しているために、防振スイッチ66を押し始めてから一定ストロークの間は上記部分が上下方向に適度に圧縮され、すぐにはメカロック75はロック位置から回動しない。
【0074】
そして、防振スイッチ66が上記一定ストロークを超えて押されて上記圧縮により生ずる弾性力(付勢力)が大きくなると、メカロック75が反時計回り方向に回動し、図10に示すアンロック位置に達する。メカロック75が回動する際、ロックばね68の摺動部68Eがメカロック75の摺動面75K上を先端方向に向かって摺動するため、連結部68Bから摺動部68Eまでの圧縮により生じた余剰な力を逃がすことができる。さらに、摺動部68Eが摺動面75K上を摺動することにより、ロック部68Dがロック面75Jから離脱するため、メカロック75にはこれをアンロック位置に保持する方向への付勢力しか作用しなくなる。このため、防振スイッチ66に必要な操作力は、メカロック75がロック位置から動き始めるまでは適度に重く、メカロック75がアンロック位置に移動すると急に小さくなる。このため、クリック感を伴う良好な操作感が得られる。しかも、メカロック75がアンロック位置に移動した後は防振スイッチ66の操作に必要な力は小さくてよいので、防振機能を使用している間の操作者の指の疲労も少なくすることができる。
【0075】
ところで、図10に示すようにメカロック75がアンロック位置に移動すると、前述したようにリーフスイッチ78が導通状態となるため、振動ジャイロ98P、98Yを始めとする電気回路基板62への通電が始まり、双眼鏡に手ぶれが生じたときにはこれを補正する方向にピッチ用駆動コイル85P及びヨー用駆動コイル85Yに電流が流れる。
【0076】
そして、メカロック75がアンロック位置に移動したことにより、前述のようにピッチ保持枠82のピッチ方向運動およびヨー駆動枠107(ヨー保持枠97L、97R)のヨー方向運動が許容され、像ぶれを補正することが可能となる。具体的には、ピッチ保持枠82に一体化保持されたバリアングルプリズム4L、4Rの前枠100L、100Rは、振動ジャイロ98Pのぶれ信号に対応した駆動電流がピッチ用駆動コイル85Pに通電されることにより、ピッチ駆動枠102と共に左右2本の圧入ピン95L、95Rを中心としてピッチ方向に回転駆動される。なお、その回転量はピッチ用ホール素子90Pによって検出される。一方、ヨー保持枠97L、97Rは、振動ジャイロ98Yのぶれ信号に対応した駆動電流がヨー用駆動コイル85Yに通電されてヨー駆動枠107が駆動されることにより、連結軸105L、105Rを介して上下端に圧入固定された圧入ピン96L、96Rを中心に回転駆動される。このため、ヨー保持枠97L、97Rに一体化保持されたバリアングルプリズム4L、4Rの後枠103L、103Rも圧入ピン96L、96Rを中心にヨー方向に回転駆動され、その回転量はヨー用ホール素子90Yによって検出される。
【0077】
以上のようにして、双眼鏡の手ぶれを補正することが可能となり、しかも簡単な部品の構成によって優れた操作感のある防振スイッチ66を有する双眼鏡を実現することができる。
【0078】
参考技術例1
図11には、本発明の参考技術例1である防振ユニット(像ぶれ防止装置)を備えた双眼鏡(双眼装置)を示している。上記第1実施形態では、正立光学系として左右一対のポロII型正立プリズム2L、2Rを用い、これらは防振機構は兼ねていない構成としたが、本参考技術例では正立光学系が防振機構の一部を兼ねている構成としている。また、第1実施形態では、バリアングルプリズム4L、4Rを用いたが、本参考技術例ではミラーを用いている。また、第1実施形態では、平行リンク機構を用いたが、本参考技術例ではカムリンク機構を用いている。さらに、第1実施形態では、平行リンク機構によって2つのバリアングルプリズムヨー方向に同等(同時)に駆動する構成としたが、本実施形態では、左右非対称のカムリンク機構によって左側のミラーを駆動し、この駆動力が右側のミラーに伝達される構成としている。
【0079】
この双眼鏡の光学系は、左右一対の対物レンズ201L、201Rと、左右一対の横反射ミラー202L、202Rと、左右一対のヨー補正ミラー203L、203Rと、ピッチ補正ミラー204と、縦反射ミラー205と、左右一対のシフトプリズム206L、206Rと、左右一対の接眼レンズ207L、207Rとから構成されている。
【0080】
図11において、対物レンズ201L、201Rは、それぞれ左右一対の平行な光軸001L、001Rを有する。光軸001L、002Rはそれぞれ、左右一対の固定部に設けられた横反射ミラー202L、202Rによって水平面内内側に直角に反射されて光軸002L、002Rとなる。
【0081】
左右一対のヨー補正ミラー203L、203Rはそれぞれ、光軸002L、002Rに直交する回転軸210L、210Rを有し、この回転軸を中心に回転可能に保持されている。ヨー補正ミラー203Lの回転軸部には回転駆動用のアクチュエータ211が接続されており、アクチュエータ211の駆動力によって回転軸210Lを中心にヨー方向に防振駆動される。
【0082】
ヨー補正ミラー203Lにはアーム212が形成されており、このアーム212の先端に設けられた連動ピン213が、反対側のヨー補正ミラー203Rに形成されたアーム214の連動カム部215に係合している。このため、ヨー補正ミラー203Lが回転すると、同時に同量だけヨー補正ミラー203Rを回転軸210Rを中心としてヨー方向に防振駆動することができる。このような構成により、左右の手ぶれ等による観察像のヨー方向の像ぶれを左右同時に補正することができる。
【0083】
これらヨー補正ミラー203L、203Rによって光軸002L、002Rは水平面内で直角前側に反射され、対物レンズ201L、201Rの光軸001L、001Rと平行逆向きの一対の光軸003L、003Rとなる。
【0084】
ピッチ補正ミラー204は、両光軸003L、003Rに直交する回転軸216を中心にピッチ方向に回転可能に保持されている。ピッチ補正ミラー204の回転軸部には回転駆動用のアクチュエーター217が接続されており、アクチュエータ217の駆動力によって回転軸216を中心にピッチ方向に防振駆動される。これによって、左右の手ぶれ等による観察像のピッチ方向の像ぶれを左右同時に補正することができる。
【0085】
光軸003L、003Rはピッチ補正ミラー204により同時に直角上方に反射して一対の光軸004L、004Rとなり、ピッチ補正ミラー204の上方に固定された縦反射ミラー205により直角後方に反射されて、対物レンズ201L、201Rの光軸001L、001Rと平行同向きの一対の光軸005L、005Rとなる。
【0086】
左右一対のシフトプリズム206L、206Rは、平面視にて平行4辺形状に形成されており、入射光軸005L、005Rを左右方向外側にシフトして接眼レンズ207L、207Rの一対の光軸006L、006Rとする。なお、シフトプリズム206L、206Rは、入射光軸005L、005Rを中心に接眼レンズ207L、207Rと共に回転可能に保持されているので、観察時の目幅調整が可能となる。
【0087】
そして、本実施形態の防振ユニットによれば、ヨー補正ミラー203L、203Rのヨー方向回転軸210L、210Rとピッチ補正ミラー204のピッチ方向回転軸216がいずれも光軸から外れていないので、防振作動中における観察像のピントのずれを防止することができる。しかも、ヨー補正ミラー203L、203R同士を連結した状態で1つのアクチュエータ211によって駆動するようにしているので、アクチュエータを使用した高い防振性能を確保しつつ、コンパクト化、低コスト化および省電力化を図ることができる。
【0088】
参考技術例2
図12には、本発明の参考技術例2である防振ユニット(像ぶれ防止装置)を備えた双眼鏡(双眼装置)を示している。本実施形態の基本構成は参考技術例1と同様であるので、共通要素については参考技術例1と同符号を付して説明に代える。本参考技術例は、ヨー補正ミラー203L、203R同士の連結機構が参考技術例1と異なる。
【0089】
図12において、左右一対のヨー補正ミラー203L、203Rはそれぞれ、アーム218L、218Rを有しており、これらアーム218L、218Rの先端に設けられた連動ピン220L、220Rに連動部材219を掛け渡すことによって平行リンク機構を構成している。このため、ヨー補正ミラー203Lがアクチュエータ211によってヨー方向に防振駆動されると、同時に同量だけヨー補正ミラー203Rも回転軸210Rを中心としてヨー方向に防振駆動される。このような構成により、左右の手ぶれ等による観察像のヨー方向の像ぶれを左右同時に補正することができる。
【0090】
そして、本実施形態の防振ユニットによっても、ヨー補正ミラー203L、203Rのヨー方向回転軸210L、210Rとピッチ補正ミラー204のピッチ方向回転軸216がいずれも光軸から外れていないので、防振作動中における観察像のピントのずれを防止することができる。しかも、ヨー補正ミラー203L、203R同士を連結した状態で1つのアクチュエータ211によって駆動するようにしているので、アクチュエータを使用した高い防振性能を確保しつつ、コンパクト化、低コスト化および省電力化を図ることができる。
【0091】
なお、本実施形態では、ヨー補正ミラー203L、203Rを連動部材219で連結し、ヨー補正ミラー203L側に取り付けた回転タイプのアクチュエータ211によって駆動する場合について説明したが、連動部材219をリニアタイプのアクチュエータに変更して両ヨー補正ミラー203L、203Rを同等に防振駆動するようにしてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一対の可変頂角プリズムの各前枠を保持するピッチ保持枠と、一対の可変頂角プリズムの後枠を保持したヨー保持枠を連結する連結部材とを設け、ピッチ保持枠を駆動するピッチ駆動手段および連結部材を駆動するピッチ駆動手段を設けたので、高い像ぶれ防止性能を確保しつつ、コンパクト化、低コスト化および省電力化を図ることができる。
【0093】
なお、一対の可変頂角プリズム、ピッチ保持枠、ヨー保持枠、連結部材、ピッチ駆動手段およびヨー駆動手段を1ユニット化すれば、双眼装置への組み込みや交換等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である双眼装置の平面断面図である。
【図2】上記双眼装置の側面断面図である。
【図3】上記双眼装置の正面断面図である。
【図4】上記双眼装置に備えられた防振ユニットの平面図(部分断面図)である。
【図5】上記防振ユニットの平面断面図である。
【図6】上記防振ユニットの背面図である。
【図7】上記防振ユニットの側面断面図である。
【図8】上記防振ユニットの電気回路基板の正面図である。
【図9】上記双眼装置に備えられたロック機構(ロック状態)の側面拡大図である。
【図10】上記ロック機構(アンロック状態)の側面拡大図である。
【図11】本発明の第2実施形態である双眼装置の斜視概略図である。
【図12】本発明の第3実施形態である双眼装置の斜視概略図である。
【符号の説明】
1L、1R:対物レンズ
2L、2R:ポロII型正立プリズム
3L、3R:接眼レンズ
4L、4R:バリアングルプリズム
10:基体
12L、12R:接眼ユニット
17:フォーカスネジ
19:対物台
35L、35R:連動板
40、42:対物鏡筒
50:上カバー
51:下カバー
61:防振ユニット
62:電気回路基板
63:バッテリ
64:共通電極
66:スイッチ
68:ロックばね
68A:幅広ばね部
68B、68C:連結部
68D:ロック部
68E:摺動部
71:(防振ユニットの)本体
75:メカロック
75A、B:回転軸
75C:平面
75D:突起
75E:円柱ダボ
75F:円柱ダボ
75G:凹部
75J:ロック面
75K:摺動面
78:リーフスイッチ
82:ピッチ保持枠
82’:中央のくぼみ
85P,95Y:ピッチ,ヨー用駆動コイル
86P、86Y:ピッチ,ヨー用マグネットヨーク
87P、87Y:ピッチ,ヨー用ヨーク
90P、90Y:ピッチ,ヨー用ホール素子
95L、95R:圧入ピン
96L、96R:圧入ピン
97L、97R:ヨー保持枠
98P、98Y:ピッチ,ヨー用振動ジャイロ
101:ピッチ制限部
102:ピッチ駆動枠
105L、105R:連結軸
107:ヨー駆動枠
109L、109R:連動ダボ
111:ヨー制限部
203L、203R:ヨー補正ミラー
204:ピッチ補正ミラー
211:アクチュエータ
215:連動カム
219:連動部材

Claims (2)

  1. 一対の対物光学系、一対の正立光学系、一対の接眼光学系、および前記対物光学系と前記正立光学系との間に配置され、像ぶれ補正を行うよう駆動される一対の可変頂角プリズムを有する双眼装置であって
    前記一対の可変頂角プリズムの各前枠を保持し、前記両前枠を一体としてピッチ方向に回転自在に保持したピッチ保持枠と、
    前記可変頂角プリズムの後枠をそれぞれ保持し、前記後枠をヨー方向にそれぞれ回転自在に保持した一対のヨー保持枠と
    前記一対のヨー保持枠を前記ヨー方向に回転自在に連結した連結部材と
    前記ピッチ保持枠を前記ピッチ方向に駆動するピッチ駆動手段と
    前記連結部材を前記ヨー方向に駆動するヨー駆動手段とを有することを特徴とする双眼装置
  2. 前記一対の可変頂角プリズム、前記ピッチ保持枠、前記ヨー保持枠、前記連結部材、前記ピッチ駆動手段および前記ヨー駆動手段が1ユニット化されていることを特徴とする請求項1に記載の双眼装置
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