JP3804513B2 - ブラシ保持器及びスタータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の回転子に設けられた整流子に摺動接触するブラシを保持しながらそのブラシを整流子に押圧接触させるブラシ保持器、及びそのブラシ保持器を備えたスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
回転電機の回転子に設けられた整流子に電力を供給するブラシは、弾性体の押圧を受けて整流子と摺動接触し、摩耗しながら整流子側へ移動する。この移動に伴って、ブラシの側部に接続されたブラシリード線も整流子側に移動する。この際、ブラシリード線のブラシ側固定端であるリード線付根部と、ブラシを保持するブラシホルダが干渉する。そこで、従来は、例えば特開平10−66311号公報に記載されているようにブラシ保持器を構成していた。すなわちブラシリード線が接続されたブラシ面と対向するブラシホルダの壁面に、反整流子方向が開放されたU字状の溝を設け、リード線付根部とブラシホルダとの干渉を回避していた。
【0003】
また、従来は、例えば実開平5−60154号公報に記載されているようにブラシ保持器を構成していた。すなわちブラシの摩耗に伴い給電線がブラシの押圧方向に移動できるように構成されていると共に、ブラシの押圧方向(整流子方向)が開放し且つブラシの押圧方向以外に屈曲した給電線挿入口を有する切り溝をブラシホルダの側面に設け、ブラシが摩耗し給電線付根部が整流子に達する限界まで利用できるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の前者のブラシ保持器は、ブラシの摩耗によってブラシリード線が整流子側に移動すると、U字状溝の終端(U字状溝の整流子方向の閉止された部分)において、リード線付根部とブラシホルダが干渉してブラシの移動を妨げる。このため、ブラシの摩耗限度までブラシを有効に使い切ることができない。従って、前述した従来の前者のブラシ保持器を電動機に用いたスタータでは、リード線付根部とブラシホルダが干渉した時点で電動機の寿命となる。
【0005】
一方、前述した従来の後者のブラシ保持器は、ブラシを押圧する弾性体をブラシホルダの中に有する方式のものであるので、前述した従来の前者のブラシ保持器のように、ブラシホルダの外部に設けられた弾性体によって、ブラシホルダの反整流子方向からブラシを押圧する方式のものに比べて、使用されるブラシの長さが短くなる。このため、前述した従来の前者のブラシ保持器に使用されるブラシを、前述した従来の後者のブラシ保持器に使用しようとすると、ブラシ保持器の外径を大きくしなければならない。従って、前述した従来の後者のブラシ保持器を電動機に用いたスタータでは、電動機の大型化(大径化)を免れることができない。
【0006】
本発明の代表的な目的は、大型化(大径化)を伴うことなくブラシの長寿命化を図ることができるブラシ保持器を提供することにある。また、本発明の別の代表的な目的は、大型化(大径化)を伴うことなく電動機の長寿命化を図ることができるスタータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、ブラシに接続された電力供給線の延び方向側の保持体の壁面或いは電力供給線が接続されたブラシ面と対向する保持体の壁面に、この壁面と連続する突出部を形成し、この突出部の内側に形成された空隙部と保持体のブラシが挿入される空隙部と連続させたことにある。
【0008】
また、本発明の別の特徴は、電力供給線のブラシ側固定端である供給線付根部との干渉回避構造が、電力供給線が接続されたブラシ面と対向する保持体の壁面に設けられると共に、ブラシの移動方向に連続して形成され、且つ両端が開放された空隙部と、保持体の前記ブラシに接続された電力供給線の方向に突出し且つ空隙部と連続した空隙を有する部材或いは保持体の空隙部と連続する空隙を、ブラシに接続された電力供給線の方向に形成する凹状部材又はU字状部材から構成されていることにある。
【0009】
本発明によれば、上記突出部或いは上記干渉回避構造をブラシの保持体に設けたので、ブラシの摩耗限度までブラシが摩耗してブラシに接続された電力供給線が整流子側に移動しても、電力供給線のブラシ側固定端である供給線付根部と保持体が干渉することを回避できる。しかも、本発明のブラシ保持器は、ブラシの保持体の外部に設けられた弾性体によって、保持体の反整流子側からブラシを押圧する方式のものであって、上記突出部或いは上記干渉回避構造以外の構成は従来のブラシ保持器と変わらないので、従来と同様の長さのブラシを使用することができ、ブラシ保持器の外径を大きくする必要がない。
【0010】
また、上記突出部或いは上記干渉回避構造は、弾性体が保持体に規制され且つブラシが弾性体によって押圧されない位置まで移動した状態にあるとき、電力供給線のブラシ側固定端である供給線付根部とブラシの保持体との干渉も回避することができる。従って、本発明によれば、例えばブラシ保持器が電動機に取付けられる前の状態にあるとき、電力供給線の供給線付根部とブラシの保持体との干渉によって、電力供給線の供給線付根部に応力が発生しないようにすることができる。
【0011】
また、上記突出部或いは上記干渉回避構造において、上記突出部、或いはブラシに接続された電力供給線の方向に突出した部材、若しくはブラシに接続された電力供給線の方向に形成する凹状部材またはU字状部材の内側に形成される空隙部の奥行き及び幅寸法は、電力供給線の外径寸法よりも大きい。ここで、上記突出部、或いはブラシに接続された電力供給線の方向に突出した部材、若しくはブラシに接続された電力供給線の方向に形成する凹状部材またはU字状部材の内側に形成される空隙部の奥行きとは、ブラシの電力供給線接続面と対向する保持体壁面に対して垂直な方向を指す。また、上記突出部、或いはブラシに接続された電力供給線の方向に突出した部材、若しくはブラシに接続された電力供給線の方向に形成する凹状部材またはU字状部材の内側に形成される空隙部の幅とは、上記突出部、或いはブラシに接続された電力供給線の方向に突出した部材、若しくはブラシに接続された電力供給線の方向に形成する凹状部材またはU字状部材の内側に形成される空隙部の奥行き方向、又はブラシの移動方向に対して垂直な方向を指す。
【0012】
上記ブラシ保持器は、自動車のエンジンである内燃機関の始動装置、すなわちスタータの電動機に用いられる。スタータは、界磁固定子、この界磁固定子の内周側に空隙を介して回転可能に配設されると共に鉄心に巻かれた巻線と電気的に接続された整流子を有する回転子,整流子に摺動接触すると共に電力供給線を介して供給された電力を整流子に供給するブラシ、及びこのブラシを保持すると共にブラシを整流子に押圧接触させるブラシ保持器を有する電動機と、この電動機の回転駆動力を内燃機関に伝達する機構とを含み構成されている。
【0013】
近年、自動車分野においては耐環境性,地球温暖化抑制の観点から、信号待ちなどで車両が停止した際にエンジンを停止させるアイドリングストップシステムの検討が進められている。アイドリングストップシステムでは、エンジンを始動させる回数が増加するので、これまでと同型のスタータを使って要求仕様を満足するためには、スタータの電動機に用いられるブラシなどの消耗品の寿命をこれまで以上に向上させる必要がある。上記本発明のブラシ保持器をスタータの電動機に用いれば、これまでと同じ長さのブラシを使って、その使用限度、すなわち寿命を延ばすことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図4は、本発明の実施例であるスタータの構成を示す。図4において10はスタータ10であり、自動車に搭載されたバッテリ(図示せず)からの電力供給を受けて動作し、エンジンである内燃機関を始動させるための回転駆動力を発生する始動装置である。スタータ10は機能上、三つの部位に大別される。すなわちエンジン始動用の回転駆動力を発生する直流電動機20で構成された回転駆動力発生部と、直流電動機20の回転駆動力をエンジンのリングギヤ102に伝達するローラクラッチ60,ピニオンシャフト70などで構成された回転駆動力伝達部と、ピニオンシャフト70を回転軸方向に摺動させる動力源であり、直流電動機20の電源の開閉を行う電磁式スイッチ80で構成された回転駆動力伝達制御部から構成されている。
【0016】
直流電動機20と電磁式スイッチ80は、ボルトなどの固定手段によってフロントブラケット30に固定されている。ローラクラッチ60とピニオンシャフト70はボールベアリングを介してフロントブラケット30内に回転可能に支承されている。ローラクラッチ60は、外周側にクラッチアウタ61、内周側にクラッチインナ62がそれぞれ配置されると共に、内部にローラ及びスプリングを備えた動力伝達装置であり、直流電動機20の回転駆動力をピニオンシャフト70に伝達し、ピニオンシャフト70の回転は直流電動機20に伝達しない一方向クラッチである。
【0017】
クラッチアウタ61の外周には、直流電動機20の回転子ギヤ27と噛み合うクラッチギヤ61aが形成されている。クラッチギヤ61aと回転子ギヤ27が噛み合うことにより、クラッチアウタ61には直流電動機20の回転駆動力が伝達される。ここで、クラッチギヤ61aの歯数は回転子ギヤ27の歯数よりも多くなるように形成されている。これにより、直流電動機20の回転駆動力は減速されかつ大きな回転トルクでクラッチアウタ61に伝達される。クラッチアウタ61に伝達された直流電動機20の回転駆動力は内部のローラを介してクラッチインナ62に伝達される。
【0018】
ピニオンシャフト70は、ローラクラッチ60を介して伝達された直流電動機20の回転駆動力をリングギヤ102に伝達する動力伝達機構であり、ローラクラッチ60の回転軸上で摺動可能及び回転可能に構成されている。ピニオンシャフト70には、エンジンのリングギヤ102と噛み合うピニオン部70aと、ローラクラッチ60の回転駆動力が伝達されるシャフト部70bが一体に形成されている。シャフト部70bの外周には、クラッチインナ62の内周に設けられたヘリカルスプライン62aと係合して直流電動機20の回転駆動力をピニオンシャフト70に伝達するヘリカルスプライン70cが設けられている。ヘリカルスプライン70cは、ローラクラッチ60の回転軸上で摺動可能及び回転可能に構成されている。
【0019】
電磁式スイッチ80は、直流電動機20への電力供給を制御すると共に、エンジンのリングギヤ102への回転駆動力伝達を制御するものであり、直流電動機20の外側に並設され、直流電動機20のスイッチング作用と、ピニオンシャフト70を回転軸方向に移動させる駆動力を発生する。図4において83はコイルケース(円筒状の枠体)であり、磁気回路の一部を構成している。コイルケース83の内部には、通電されて磁力を発生する励磁コイル(巻線)82が設けられている。励磁コイル82の内周には、軸方向に摺動可能な可動部材であるプランジャ(可動コア)81が配置されている。励磁コイル82の内周の後端側(図4の左方向)には、磁気回路の一部(固定コア)を構成するボス84が配置されている。ボス84の軸心位置には軸方向に摺動可能な可動シャフト85が配置されている。
【0020】
可動シャフト85の後端(図4の左方向)には、直流電動機20への通電回路を開閉する可動接点86が取り付けられている。電磁式スイッチ80の後端部であって、可動接点86と対向する部位には、可動接点86と接離可能であると共に、直流電動機20への通電回路を開閉し、かつバッテリに繋がる外部配線との接続を行う一対の固定接点87が設けられている。固定接点87の一方には、バッテリと接続されるバッテリ端子87aが一体に形成されている。固定接点87の他方には、モータリード線56を介して直流電動機20と接続される電動機端子87bが一体に形成されている。また、電磁式スイッチ80の後端部には、励磁コイル82の一端と電気的に繋がりイグニションスイッチを介してバッテリと接続されるスイッチ端子88が設けられている。バッテリ端子87a,電動機端子87b及びスイッチ端子88は、電磁式スイッチ80の後端部から外方に突出している。
【0021】
プランジャ81の前端(図4の右方向)の突出部には角穴部81bが設けられている。角穴部81bはピニオンシャフト70側の方向に電磁式スイッチ80の端部から突出している。プランジャ81の角穴部81bには、シフトレバー91のプランジャ係合部91bが挿入され係合されている。これにより、プランジャ81とシフトレバー91は連結されている。シフトレバー91の中間には支点部91cが設けられている。支点部91cにはレバースプリング92が係合されている。レバースプリング92はシフトレバー91の支点部91cを中心にシフトレバー91を回動可能に支持する。レバースプリング92はシフトレバー91の動作の支点となる。レバースプリング92のバネ荷重は、エンジン始動の際にピニオンシャフト70をリングギヤ102側に移動させる噛み込み力として作用すると共に、エンジン始動後はプランジャ81及びシフトレバー91を元の位置に戻すように作用する。シフトレバー91の他端(ピニオンシャフト70側)はピニオンシャフト70の後端部に位置している。
【0022】
次に、本実施例のスタータ10の動作について説明する。
【0023】
自動車などのエンジンの始動時、図示省略したイグニションスイッチ(キースイッチともいう)を運転者が投入(ON)すると、図示省略したバッテリーから電磁式スイッチ80の励磁コイル82に通電され、励磁コイル82が励磁される。励磁コイル82が励磁されると、磁力が発生し、プランジャ81がボス84に吸引される。プランジャ81がボス84に吸引されると、シフトレバー91を介して作用するレバースプリング92のバネ荷重に抗してプランジャ81が後方(図4の左方向)に移動する。
【0024】
プランジャ81が後方に移動すると、レバースプリング92によって支持された支点部91cを中心にシフトレバー91が反時計回りに回動する。シフトレバー91が反時計回りに回動すると、リングギヤ102側にピニオンシャフト70が移送する。このとき、ピニオンシャフト70とリングギヤ102の歯の端面どうしが当接(衝突)しない場合には、ピニオンシャフト70はそのままリングギヤ102と噛み合う。
【0025】
一方、ピニオンシャフト70とリングギヤ102の歯の端面どうしが当接(衝突)した場合には、ピニオンシャフト70の軸方向の移動は止まる。しかし、プランジャ81はレバースプリング92を撓ませながら(弾性変形させながら)さらに吸引されて移動し、可動シャフト85を移動させる。可動接点86が固定接点87に当接すると、一対の固定接点87が可動接点86を介して電気的に接続される。一対の固定接点87が電気的に接続されると、直流電動機20に通電され、直流電動機20が回転する。
【0026】
直流電動機20が回転すると、直流電動機20の回転駆動力によって、シフトレバー91を介してレバースプリング92のバネ荷重でリングギヤ102側に押し付けられているピニオンシャフト70が回転する。ピニオンシャフト70が回転し、ピニオンシャフト70とリングギヤ102の歯の端面における当接状態が噛み合い可能な位置までずれると、レバースプリング92のバネ荷重でピニオンシャフト70がリングギヤ102側に押し出され、ピニオンシャフト70とリングギヤ102が噛み合う。
【0027】
ピニオンシャフト70とリングギヤ102が噛み合うと、直流電動機20の回転駆動力は、ローラクラッチ60,ピニオンシャフト70及びリングギヤ102を介してエンジンに伝達される。これにより、エンジンは回転駆動し、始動される。
【0028】
次に、本実施例の直流電動機20の構成について説明する。
【0029】
図2は、スタータ10に用いられる直流電動機20の内部構成を示す。図2において21は、直流電動機20の外郭を構成する円筒状の継鉄(ヨークともいう)である。継鉄21の内周側には、継鉄21と共に磁気回路を構成する界磁固定子(界磁極)が設けられている。界磁固定子は、固定ネジ22aによって継鉄21の内周側に複数固定された界磁鉄心22(界磁固定子鉄心ともいう)、界磁鉄心22の各々に巻回された界磁巻線23(界磁固定子巻線ともいう)から構成されている。
【0030】
界磁固定子の内周側には、所定の空隙を介して回転子24(電機子)が回転可能に支承され設けられている。回転子24は、磁気鉄心24a(回転子鉄心ともいう)を備えている。磁気鉄心24aは磁気回路を構成するものである。磁気鉄心24aの外周部にはスロットが複数形成されている。スロットの各々には電機子コイル24b(回転子巻線ともいう)が挿入されている。磁気鉄心24aの一端側(ピニオンシャフト70側とは反対側)には、電機子コイル24bに電気的に接続された整流子25(コンミテータともいう)が設けられている。磁気鉄心24a及び整流子25は回転軸26に固定されている。回転軸26の先端(ピニオンシャフト70側)には回転子ギヤ27が設けられている。回転軸26の両端は軸受28,29によって回転自在に支承されている。
【0031】
整流子25の外周円筒面にはブラシ51が複数摺動接触している。ブラシ51は、バッテリから界磁巻線23を介して供給された電力を整流子25に供給するもの(+側ブラシ)と、+側ブラシ及び整流子25を介して電機子コイル24bに供給された電力を車両のアース側に放電するもの(−側ブラシ)から構成されている。ブラシ51の各々には、電力供給線であるブラシリード線55の一方が一体成形されている。継鉄21の一端側(整流子25側)には、ブラシ51の各々を保持すると共に、ブラシ51の各々を整流子25の外周円筒面に押圧接触させるブラシ保持器50が設けられている。また、継鉄21の一端側(整流子25側)には、ブラシ保持器50を覆うと共に、ブラシ保持器50を固定するリヤブラケット40(リヤカバーともいう)が設けられている。リヤブラケット40には、軸受29を支持する軸受箱41が設けられている。
【0032】
次に、本実施例のブラシ保持器50の構成について説明する。
【0033】
図1は、直流電動機20に用いられるブラシ保持器50の外観構成を示す。図1において54はホルダープレートである。ホルダープレート54は、ブラシ保持器50のベースとなる部品であり、リヤブラケット40に固定するためのネジ穴54aを備えた環状の板材である。ホルダープレート54の側面上には、ブラシ51の保持体であり、断面形状がパルス波形状(四角筒状)の4つのブラシホルダ52がホルダープレート54表面上から突出するように90度間隔で配置されている。ブラシホルダ52のホルダープレート54への固定にあたっては加締めなどの手段を用いている。
【0034】
ブラシホルダ52は、整流子25の外周円筒面と対向するように放射状に配置されている。ブラシホルダ52のブラシ移動方向の両端には開口部を有する。ブラシホルダ52の各々の側部近傍には、渦巻状の弾性体であるブラシスプリング53が設けられている。ブラシスプリング53は、ブラシホルダ52によって保持されるブラシ51を、ブラシホルダ52の外周方向(反整流子側開口部側)から押圧すると共に、ブラシホルダ52の整流子25側の開口部からブラシ51を突出させて整流子25の外周円筒面に接触させている。
【0035】
ブラシ51のリード線接続側面51aと対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bには、ブラシリード線55のリード線付根部55aとブラシホルダ52との干渉を回避する干渉回避構造52Aが設けられている。この干渉回避構造52Aは、凹形部52c,空隙部52d及び空隙部52eから構成されている。
【0036】
空隙部52dは、ブラシ51のリード線接続側面51aと対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bに設けられるものであり、ブラシ51の移動方向、すなわちブラシホルダ52のホルダープレート54外周側(整流子側とは反対側開口部側)からホルダープレート54内周側(整流子側開口部側)に向って連続して形成されている。空隙部52dの両端、すなわちブラシホルダ52のホルダープレート54外周側(整流子側とは反対側開口部側)端部,ホルダープレート54内周側(整流子側開口部側)端部は開放されている。
【0037】
凹形部52cは、空隙部52dを跨ぐように、すなわち空隙部52dの両側に対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bを連結するように設けられる。また、凹形部52cは、ブラシ51のリード線接続側面51aと対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bから外方、すなわちブラシ51のリード線接続側面51aとの空隙が大きくなる方向、換言すればブラシ51のリード線接続側面51aから遠ざかる方向に突出するように形成されている。凹形部52cの内側に形成される空隙部52eは、ブラシホルダ52のリード線方向壁部52bに設けた空隙部52dと連続している。凹形部52cとブラシホルダ52は、板材を折り曲げて一体に形成している。
【0038】
凹形部52cの内側に形成される空隙部52eの奥行き及び幅寸法は、ブラシリード線55の外径寸法(直径)よりも大きくなるように構成されている。ここで、凹形部52cの内側に形成される空隙部52eの奥行きとは、ブラシ51のリード線接続側面51aと対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bに対して垂直な方向を指す。また、凹形部52cの内側に形成される空隙部52eの幅寸法とは、凹形部52cの奥行き方向およびブラシ51の移動方向に対して垂直な方向を指す。
【0039】
また、凹形部52cは、ブラシホルダ52のブラシリード線方向壁部52bの整流子25側端部が、ブラシ51のリード線接続側面51aと対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bから外方、すなわちブラシ51のリード線接続側面51aとの空隙が大きくなる方向、換言すればブラシ51のリード線接続側面51aから遠ざかる方向に突出する凸部を形成するものであると観ることもできる。
【0040】
以上本実施例によれば、凹形部52c,空隙部52d及び空隙部52eから構成された干渉回避構造52Aをブラシ保持器50のブラシホルダ52に設けたので、図3に示すように、ブラシ51の摩耗限度までブラシ51が摩耗して、ブラシリード線55のリード線付根部55aが整流子25側に移動しても、リード線付根部55aとブラシホルダ52が干渉することはない。従って、本実施例のブラシ保持器50によれば、ブラシ51を摩耗限度まで無駄なく有効に使用することができる。
【0041】
しかも、本実施例のブラシ保持器50は、ブラシホルダ52の外部に設けられたブラシスプリング53によって、ブラシホルダ52の外周側の開口部からブラシ51を押圧する方式のものであって、上記干渉回避構造52A以外の構成は従来のブラシ保持器と同様であるので、従来と同様の長さのブラシ51を使用することができる。従って、本実施例のブラシ保持器50によれば、その外径を大きくする必要がない。そして、上記ブラシ保持器50を用いた直流電動機20によれば、直流電動機20の大型化(大径化)を伴うことなく直流電動機20の長寿命化を図ることができる。
【0042】
尚、本実施例のブラシ保持器を用いた直流電動機の寿命と、上記のような干渉回避構造52Aがないブラシ保持器を用いた直流電動機の寿命とを実験によって比較したところ、本実施例のブラシ保持器50を用いた直流電動機の寿命が、上記のような干渉回避構造52Aがないブラシ保持器を用いた直流電動機の寿命よりも30〜50%向上することが確認できた。
【0043】
また、本実施例によれば、ブラシスプリング53がブラシホルダ52に規制され、ブラシ51がブラシスプリング53によって押圧されない位置まで移動した状態にあるとき、ブラシリード線55のリード線付根部55aとブラシホルダ52との干渉を上記干渉回避構造52Aで回避することができる。これにより例えば、ブラシ保持器50が直流電動機20へ組込む前の単品状態(図1の状態)であるとき、ブラシリード線55のリード線付根部55aとブラシホルダ52との干渉により、ブラシリード線55のリード線付根部55aに応力が発生しないようにすることができる。従って、本実施例によれば、ブラシリード線55のリード線付根部55aの断線を防止することができる。
【0044】
また、本実施例によれば、凹形部52cは空隙部52dを跨ぐように、すなわち空隙部52dの両側に対向するブラシホルダ52のリード線方向壁部52bを連結するように凹形部52cを設けているので、ブラシホルダ52のリード線方向壁部52bに空隙部52dを有するブラシホルダ52の剛性を低下させることがない。従って、本実施例によれば、従来のブラシホルダと同等の剛性を保つことができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ブラシを摩耗限度まで無駄なく有効に使用することができると共に、従来と同様の長さのブラシを使用することができるので、ブラシ保持器の外径を大型化することなくブラシを有効に使い切ることによりブラシの寿命を向上したブラシ保持器を提供することができる。また、本発明によれば、このようなブラシ保持器を電動機に用いるので、大型化を伴うことなく長寿命化を図ることができる電動機を備えたスタータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるブラシ保持器の外観構成を示す斜視図。
【図2】図1のブラシ保持器を備えた直流電動機の内部構成を示す斜視図であり、ブラシが新品状態のときを示す。
【図3】図1のブラシ保持器を備えた直流電動機の内部構成を示す斜視図であり、ブラシが摩耗限度まで摩耗した状態のときを示す。
【図4】図2の直流電動機を用いたスタータの外観構成を示す図面であって、一部断面化された正面平面図。
【符号の説明】
10…スタータ、20…直流電動機、24…回転子、25…整流子、30…フロントブラケット、40…リヤブラケット、50…ブラシ保持器、51…ブラシ、51a…リード線接続側面、52…ブラシホルダ、52A…干渉回避構造、
52b…リード線方向壁部、52c…凹形部、52d,52e…空隙部、53…ブラシスプリング、55…ブラシリード線、55a…リード線付根部、60…ローラクラッチ、70…ピニオンシャフト、80…電磁式スイッチ、91…シフトレバー、92…レバースプリング、102…リングギヤ。
Claims (6)
- 回転電機の回転子に設けられた整流子と摺動接触し且つ電力供給線の一端側が接続されたブラシを保持すると共に、前記電力供給線のブラシ側固定端である供給線付根部との干渉回避構造が設けられ且つ前記ブラシの移動方向の両端に開口部を有する保持体と、該保持体の外部に設けられると共に、前記保持体の整流子側とは反対側開口部側から前記ブラシを押圧し、前記保持体の整流子側開口部から前記ブラシを突出させて前記整流子に接触させる弾性体とを有し、前記干渉回避構造は、前記電力供給線が接続された前記ブラシ面と対向する前記保持体の壁面に設けられると共に、前記ブラシの移動方向に連続して形成され、且つ両端が開放された空隙部と、前記保持体の前記ブラシに接続された前記電力供給線の方向に突出し且つ前記空隙部と連続した空隙を有する部材から構成されていることを特徴とするブラシ保持器。
- 請求項1に記載のブラシ保持器において、前記ブラシに接続された前記電力供給線の方向に突出した部材の内側に形成される空隙部の奥行き及び幅寸法は、前記電力供給線の外径寸法よりも大きいことを特徴とするブラシ保持器。
- 回転電機の回転子に設けられた整流子と摺動接触し且つ電力供給線の一端側が接続されたブラシを保持すると共に、前記電力供給線のブラシ側固定端である供給線付根部との干渉回避構造が設けられ且つ前記ブラシの移動方向の両端に開口部を有する保持体と、該保持体の外部に設けられると共に、前記保持体の整流子側とは反対側開口部側から前記ブラシを押圧し、前記保持体の整流子側開口部から前記ブラシを突出させて前記整流子に接触させる弾性体とを有し、前記干渉回避構造は、前記電力供給線が接続された前記ブラシ面と対向する前記保持体の壁面に設けられると共に、前記ブラシの移動方向に連続して形成され、且つ両端が開放された空隙部と、前記保持体の前記空隙部と連続する空隙を、前記ブラシに接続された前記電力供給線の方向に形成する凹状部材又はU字状部材から構成されていることを特徴とするブラシ保持器。
- 請求項3に記載のブラシ保持器であって、前記凹状部材又は前記U字状部材の内側に形成される空隙部の奥行き及び幅寸法は、前記電力供給線の外径寸法よりも大きいことを特徴とするブラシ保持器。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のブラシ保持器であって、前記干渉回避構造は、前記弾性体が前記保持体に規制され且つ前記ブラシが前記弾性体によって押圧されない位置まで移動した状態にあるとき、前記電力供給線のブラシ側固定端である供給線付根部と前記保持体との干渉を回避することを特徴とするブラシ保持器。
- 界磁固定子,該界磁固定子の内周側に空隙を介して回転可能に配設されると共に鉄心に巻かれた巻線と電気的に接続された整流子を有する回転子、前記整流子に摺動接触すると共に電力供給線を介して供給された電力を前記整流子に供給するブラシ、該ブラシを保持すると共に前記ブラシを前記整流子に押圧接触させるブラシ保持器を有する電動機と、該電動機の回転駆動力を内燃機関に伝達する機構とを有し、前記ブラシ保持器は、請求項1乃至5のいずれかに記載のブラシ保持器であることを特徴とするスタータ。
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