JP3804244B2 - 高周波回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばMMIC等として構成される高周波回路素子を複数備えてなる高周波回路装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
このような高周波回路装置では、扱う信号の周波数が高くなる程、装置全体を樹脂などで封止すると特性インピーダンスの値が当初の設計値からずれを生じて、正常な動作をしなくなるおそれがある。このため、特にミリ波などの高周波領域の信号を扱う高周波回路装置では、樹脂封止を行わない場合も多い。
【0003】
斯様な高周波回路装置の構成の一例を、図19に示す。高周波回路装置1のパッケージ基板2上には、2つの回路素子3及び4が接着などで固定された状態で搭載されている。MMIC(Monolithic Microwave/Milli wave Integrated Circuit)等として集積回路部3a及び4aが形成される回路素子3及び4は、高周波用途として適した例えばガリウムヒ素などの半導体基板を用いて構成されており、与えられた高周波信号について夫々所定の処理を行うものである。
【0004】
そして、回路素子3及び4は、集積回路部3a及び4aに接続されている信号線路5と、その信号線路5の両側に配置されるグランド電極6,6とを備えている。即ち、信号線路5とグランド電極6,6とは、信号伝送線路としてコプレーナ線路を構成している。
【0005】
また、スルー線路7は、信号線路5とグランド電極6,6とからなるコプレーナ線路のみで構成されるものであり、パッケージ基板2の内部寸法に対して2つの回路素子3及び4を配置した時の長さの差を補うように配置されているものである。
【0006】
一方、パッケージ基板2側にも、外部との間で高周波信号の伝送を行うため、信号線路8及びその信号線路8の両側に配置されるグランド電極9,9が配置されており、これらは、回路素子4及びスルー線路7の信号線路5並びにグランド電極6,6に、接続用のワイヤ10並びに11,11によって夫々電気的に接続されている。
【0007】
また、パッケージ基板2には、回路素子3及び4の集積回路部3a及び4aに対して外部から直流電力を供給したり、或いは外部との間で低周波信号を伝送するための低周波用電極12が設けられており、その低周波用電極12と集積回路部3a及び4aとの間は、ワイヤ13によって接続されている。そして、スルー線路7と回路素子3との信号線路5及びグランド電極6,6の間、また、回路素子3と4との信号線路5及びグランド電極6,6の間は、ワイヤ10a及び11a,11aによって夫々電気的に接続されている。
【0008】
このように、スルー線路7とパッケージ基板2との間をワイヤ10及び11などにより接続したり、回路素子3及び4の間をワイヤ10a及び11aなどによって接続する場合には、以下の問題点がある。先ず、第1に、高周波信号を扱う回路素子3及び4の信号伝送線路の特性インピーダンスは、例えば50Ωなどの一定値となるように設計するが、ワイヤ10a及び11aによる接続部分においては、特性インピーダンスが局所的に異なった値になってしまうため反射損失を増大させる。
【0009】
また、第2に、ワイヤ10及び11,11をパッケージ基板2上の信号線路8及びグランド電極9,9に接続したり、ワイヤ10a及び11a,11aを回路素子3及び4上の信号線路5及びグランド電極6,6に接続する場合に、位置決め精度の良くない手動式ボンディング装置などを用いると、以下のような不具合が発生する。
【0010】
例えば、図20に断面図として示すように、回路素子3及び4の信号線路5に対するワイヤ10aの各接続点Pa及びPbから信号線路5の一端Ta及びTbまでの部分5′,5′の距離La及びLbが、扱う信号の波長λに比して無視できない長さとなる場合がある。すると、この接続部分に寄生回路成分が生じてやはり反射損失を増大させる。尚、図21は、図20の平面図である。
【0011】
上記第1の問題点を解決する従来技術としては、例えば特開平9−148524号に開示されているものがある。これは、信号伝送線路をマイクロストリップ線路で構成するものにおいて、回路素子間の接続部分における高周波伝送線路のボンディングパッドの両脇に接地電位ボンディングパッドを設け、これらのボンディングパッド間をワイヤで接続することにより疑似コプレーナ線路を形成し、更に、ワイヤとベース基板(接地電位基板)との間に誘電体材料を充填することによって当該接続部分における特性インピーダンスを調整するものである。
【0012】
しかしながら、この従来技術においては、上記第2の問題点については全く考慮されておらず、接続部分に生じる寄生回路による反射損失については対処することができない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高周波回路素子間、または高周波回路素子とパッケージとの間における接続部分の特性インピーダンスを調整すると共に、当該接続部分に生じる寄生回路による反射損失をも低減することができる高周波回路装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の高周波回路装置によれば、隣接する高周波回路素子の夫々の信号線路の間を接続する信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分には、当該対向部分の長さに応じて寄生回路成分が生じるが、信号線路接続手段及び当該信号線路接続手段の接続点から信号線路の端部に至るまでの信号線路接続手段と信号線路とが対向する部分の空隙に誘電体材料を充填することにより、高周波回路素子で扱う高周波信号の波長の実効長を誘電体材料の比誘電率に応じて調整することができる。すると、高周波信号の波長の実効長が変化することによって、信号線路接続手段の長さで決定される信号線路接続手段の特性インピーダンス及び前記対向部分の長さで決定される寄生回路成分の伝送特性が等価的に変化する。
【0015】
従って、適当な比誘電率を有する誘電体材料を適宜選択することにより、信号線路接続手段部分の特性インピーダンスを高周波回路素子の特性インピーダンスに整合させるように調整することができる。また、例えばボンディング精度の限界などによって、信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分に寄生回路成分を生じることが避けられない場合であっても、その寄生回路成分による反射損失を低減するように調整することができるので、高周波信号の伝送効率をより向上させることができる。
そして、誘電体材料は、グランド電極接続手段を覆うと共に、信号線路接続手段と隣接する高周波回路素子上のグランド電極を接続するグランド電極接続手段との間の空隙及びグランド電極接続手段の接続点からグランド電極の端部に至るまでのグランド電極接続手段とグランド電極とが対向する部分の空隙をも充填するので、例えば、伝送線路がコプレーナ線路などで構成される場合にも上記と同様の効果が得られる。
【0017】
請求項2記載の高周波回路装置によれば、パッケージ用誘電体材料は、パッケージ用信号線路接続手段及びパッケージ用グランド電極接続手段を覆うと共に、パッケージ用信号線路接続手段とパッケージ用グランド電極接続手段との間の空隙を充填し、且つ、パッケージ用信号線路接続手段の接続点から信号線路の端部に至るまでの前記パッケージ用信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分の空隙及びパッケージ用信号線路接続手段の接続点からグランド電極の端部に至るまでのパッケージ用グランド電極接続手段とグランド電極とが対向する部分の空隙を充填するので、高周波回路素子とパッケージとの間を接続する部分についても、特性インピーダンスの整合をとると共に寄生回路成分による反射損失を低減することにより、高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0018】
請求項3記載の高周波回路装置によれば、誘電体材料は、信号線路接続手段と複数の高周波回路素子間で共通化されているグランド電極とが対向する部分を、前記信号線路接続手段の接続点から前記グランド電極の端部に至るまでの空隙を充填するので、例えば、伝送線路がマイクロストリップ線路などで構成される場合でも請求項1と同様の効果が得られる。
【0019】
請求項4記載の高周波回路装置によれば、誘電体材料は、グランド電極接続手段を覆うと共に、信号線路接続手段とその両側に配置されるグランド電極接続手段との間の空隙及び当該グランド電極接続手段の接続点からグランド電極の端部に至るまでのグランド電極接続手段とグランド電極とが対向する部分の空隙をも充填するので、例えば、高周波回路素子の伝送線路がマイクロストリップ線路などで構成される場合に、信号線路接続手段とグランド電極接続手段との間隔を変化させることにより、高周波回路素子間の接続部分における特性インピーダンスが高周波回路素子の特性インピーダンスに整合するように調整することができる。
更に、適当な比誘電率を有する誘電体材料を適宜選択することによっても、上記特性インピーダンスの整合を図ることができると共に、寄生回路成分による反射損失を極力抑制することができ、請求項1と同様の効果が得られる。
【0020】
請求項5記載の高周波回路装置によれば、パッケージ用誘電体材料は、パッケージ用信号線路接続手段を覆うと共に、当該パッケージ用信号線路接続手段の接続点から信号線路の端部に至るまでのパッケージ用信号線路接続手段と信号線路とが対向する部分の空隙を充填するので、高周波回路素子の伝送線路がマイクロストリップ線路などで構成される場合でも、高周波回路素子とパッケージとの間における接続部分について請求項2と同様の効果が得られる。
【0021】
請求項6または7記載の高周波回路装置によれば、信号線路接続手段及びグランド電極接続手段の複数組の内、少なくとも一組をワイヤまたはリボンで構成し(請求項6)、または、複数組の内少なくとも一組をバンプで構成する(請求項7)ので、各接続手段が具体的に様々な要素で構成される場合でも、上記と同様の効果が得られる。
【0022】
請求項8記載の高周波回路装置によれば、パッケージ用誘電体材料は、パッケージ用信号線路接続手段を覆うと共に、当該パッケージ用信号線路接続手段と高周波回路素子上の信号線路とが対向する部分を、前記パッケージ用信号線路接続手段の接続点から前記信号線路の端部に至るまでの空隙を充填するので、例えば、伝送線路がコプレーナ線路などで構成され、高周波回路素子が1つのみ存在する場合で、高周波回路素子とパッケージとの間を接続する部分についても、特性インピーダンスの整合及び寄生回路成分による反射損失を低減することによって、高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0024】
請求項9または10記載の高周波回路装置によれば、信号線路接続手段及びグランド電極接続手段の複数組の内、少なくとも一組をワイヤまたはリボンで構成し(請求項9)、または、複数組の内少なくとも一組をバンプで構成する(請求項10)ので、各接続手段が具体的に様々な要素で構成される場合でも、請求項8と同様の効果が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図3を参照して説明する。尚、図19乃至図21と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図1乃至図3に示すように、本実施例における高周波回路装置21は、図19に示す高周波回路装置1において、回路素子(高周波回路素子)3,4間並びに回路素子3とスルー線路7との間を接続するワイヤ10a(信号線路接続手段)及び11a,11a(グランド電極接続手段)部分を、例えばポリイミドなどの誘電体材料22によって覆うようにした構成である。
【0026】
図2及び図3では、回路素子3,4間の接続状態を示す断面図及び平面図であるが、誘電体材料22は、ワイヤ10a及び11a,11aを覆い、且つ、ワイヤ10aとワイヤ11a,11aとの間に存在する空隙を充填すると共に、回路素子3及び4の信号線路5に対するワイヤ10aの各接続点Pa及びPbと、信号線路5の一端Ta及びTbまでの部分5′,5′(即ち、ワイヤ10aが信号線路5に対向する部分)をも充填するように配置されている。
【0027】
尚、グランド電極6,6と9,9とを接続するワイヤ11a,11aに関しても同様に構成されており、更に、スルー線路7と回路素子3との間を接続するワイヤ10a及び11a,11aについても同様に構成されている。
【0028】
このように誘電体材料22を配置することの作用効果は以下の通りである。即ち、ワイヤ10aとワイヤ11a,11aとの間に存在する空隙に誘電体材料22(比誘電率をεs )を充填することにより、ワイヤ10a及び11a,11a部分を伝搬する高周波信号の波長λを1/(εs 0.5)倍にすることができ、ワイヤ10a及び11a,11a部分の特性インピーダンスZc を、回路素子3及び4の伝送線路の特性インピーダンスZ0 に等価的に近付けるように整合することができる。
【0029】
そして、特性インピーダンスZc を、特性インピーダンスZ0 に近付けることによって、特性インピーダンスの不整合によりワイヤ10a及び11a,11a部分で生じる反射損失及び透過損失は低減されるようになる。
【0030】
また、例えば信号線路5の端部5′に生じる寄生回路成分は、端部5′の長さLaによって周波数特性が決定されるオープンスタブとみなすことができる。そこで、誘電体材料22でワイヤ10aと信号線路5とが対向する部分を充填することにより、端部5′部分を伝搬する高周波信号の実効波長λ′e が、端部5′の長さLaに対してオープンスタブのインピーダンスが無限大となり帯域通過特性を示す関係となるように調整する。
【0031】
即ち、オープンスタブとして作用する寄生回路成分が帯域通過特性を示すことように調整することによって、当該寄生回路成分において生じる反射損失の影響を低減することができる。
【0032】
また、この場合、ワイヤ10aとワイヤ11a,11aとの間隔を適宜調整することによって、コプレーナ線路としてのインピーダンスを変化させることもできるので、併せて、ワイヤ10a及び11a,11a部分の特性インピーダンスを調整することができる。
【0033】
以上のように本実施例によれば、誘電体材料22によって、隣接する回路素子3,4上の各信号線路5を接続するワイヤ10a及び各グランド電極6,6を接続するワイヤ11a,11aを覆うと共に、誘電体材料22をワイヤ10aと信号線路5とが対向する部分に充填し、また、ワイヤ11a,11aとグランド電極6,6とが対向する部分にも充填するように配置した。
【0034】
従って、回路素子3及び4で扱う高周波信号の波長λの実効長λe を誘電体材料22の比誘電率εs によって調整することができ、ワイヤ10a及び11a,11aの長さ及び両者間の間隔で決定される特性インピーダンスを、回路素子3及び4の特性インピーダンスに整合させるように調整することができる。
【0035】
そして、信号線路5の端部5′,5′の長さLa,Lbで決定される寄生回路成分の伝送特性をも等価的に変化させることもできるので、ボンディング精度の限界などによって、端部5′,5′に寄生回路成分を生じることが避けられない場合であっても、その寄生回路成分による反射損失を低減するように調整することができ、高周波信号の伝送効率を従来よりも向上させることができる。
【0036】
(第2実施例)
図4乃至図6は本発明の第2実施例を示すものである。第2実施例における高周波回路装置23は、図19に示す高周波回路装置1において、パッケージ基板(パッケージ)2に設けられている信号線路8及びグランド電極9,9と、スルー線路7並びに回路素子4の信号線路5及びグランド電極6,6とを接続するワイヤ10(パッケージ用信号線路接続手段)及び11,11(パッケージ用グランド電極接続手段)部分とを、誘電体材料(パッケージ用誘電体材料)24によって覆うようにした構成である。
【0037】
誘電体材料24の具体的な配置は、第1実施例の誘電体材料22と同様である。例えば、図5及び図6では、回路素子4とパッケージ基板2との間の断面図及び平面図を示すが、誘電体材料24は、ワイヤ10及び11,11を覆うと共に、ワイヤ10とワイヤ11,11との間に存在する空隙を充填し、且つ、回路素子4の信号線路5及びパッケージ基板2の信号線路8に対するワイヤ10の各接続点Pc及びPdと、信号線路5及び8の一端Tc及びTdまでの部分5′及び8′(即ち、ワイヤ10が信号線路5及び8に対向する部分)をも充填するように配置されている。
【0038】
尚、グランド電極6,6と9,9とを接続するワイヤ11,11に関しても同様に構成されており、更に、パッケージ基板2及びスルー線路7間を接続するワイヤ10及び11,11についても同様に構成されている。
【0039】
以上のように構成された第2実施例によれば、第1実施例で述べたものと同様の作用に基づいて、誘電体材料24によって、パッケージ基板2と回路素子4及びスルー線路7間を接続するワイヤ10及び11,11についても特性インピーダンスの整合を図ることができると共に、端部5′及び8′に生じる寄生回路成分による反射損失をも低減することができる。
【0040】
(第3実施例)
図7乃至図9は本発明の第3実施例を示すものである。第3実施例における高周波回路装置25は、図19に示す高周波回路装置1において、回路素子3に代えて、スルー線路7及び回路素子4に対してフリップチップ接続される回路素子(高周波回路素子)26が配置されている。そして、回路素子26と回路素子4との間は、ハンダからなるバンプ27(信号線路接続手段),28,28(グランド電極接続手段)によって接続されている(図9参照)。
【0041】
例えば、図8及び図9は、回路素子26と4との間の接続状態を示す断面図及び平面図であるが、回路素子26及び4上における各信号線路5の間はバンプ27によって接続されており、回路素子26及び4上における各グランド電極6,6との間はバンプ28,28によって接続されている。
【0042】
そして、例えばポリイミドなどの誘電体材料29は、バンプ27及び28,28を覆うと共に、バンプ27とバンプ28,28との間に存在する空隙を充填し、且つ、図8に示すように、回路素子26及び4の信号線路5に対するバンプ27の各接続点Pe及びPfと、信号線路5の一端Te及びTfまでの部分5′及び5′をも覆うように配置されている。
【0043】
尚、各グランド電極6,6間を接続するバンプ28,28関しても同様に構成されており、更に、回路素子26及びスルー線路7を接続するバンプ27及び28、28についても同様に構成されている。
【0044】
以上のように構成された第3実施例によれば、回路素子4及びスルー線路7に対してフリップチップ接続される回路素子26についても、バンプ27及び28,28を誘電体材料29で覆うことにより第1実施例と同様の効果が得られる。
【0045】
(第4実施例)
図10乃至図12は本発明の第4実施例を示すものである。第4実施例における高周波回路装置30は、パッケージ基板(パッケージ)31に対してフリップチップ接続される回路素子(高周波回路素子)32が配置されている。そして、回路素子32とパッケージ基板31との間は、ハンダからなるバンプ33(パッケージ用信号線路接続手段),34,34(パッケージ用グランド電極接続手段)によって接続されている(図12参照)。
【0046】
例えば、図11及び図12は、回路素子32とパッケージ基板31との間において、図10中右方の接続状態を示す断面図及び平面図であるが、回路素子32上の信号線路5とパッケージ基板31の信号線路8との間は、バンプ33によって接続されており、回路素子32上のグランド電極6,6とパッケージ基板31のグランド電極9,9との間は、バンプ34,34によって接続されている(図12参照)。
【0047】
そして、例えばポリイミドなどの誘電体材料(パッケージ用誘電体材料)35は、バンプ33及び34,34を覆うと共に、バンプ33とバンプ34,34との間に存在する空隙を充填し、且つ、図11に示すように、回路素子32の信号線路5及びパッケージ基板31の信号線路8に対するバンプ33の各接続点Pg及びPhと、信号線路5及び8の一端Tg及びThまでの部分5′及び8′をも充填するように配置されている。
【0048】
尚、グランド電極6,6と9,9とを接続するバンプ34,34に関しても同様に構成されており、更に、回路素子32とパッケージ基板31との間における図10中左方を接続するバンプ33及び34,34についても同様に構成されている。
【0049】
以上のように構成された第4実施例によれば、パッケージ基板31に対してフリップチップ接続される回路素子32についても、バンプ33及び34,34を誘電体材料35で覆うことによって、第3実施例と同様の効果が得られる。
【0050】
(第5実施例)
図13は本発明の第5実施例を示すものである。第5実施例における高周波回路装置36は、第1実施例における高周波回路装置21の構成に、第2実施例における高周波回路装置23の構成を加えたものであり、パッケージ基板2に設けられている信号線路8及びグランド電極9,9と、回路素子4並びにスルー線路7の信号線路5及びグランド電極6,6とを接続するワイヤ10及び11,11部分とを、誘電体材料24によって覆うようにした構成である。以上のように構成された第5実施例によれば、第1及び第2実施例と同様の効果が得られる。
【0051】
(第6実施例)
図14は本発明の第6実施例を示すものである。第6実施例における高周波回路装置37は、パッケージ基板(パッケージ)38に回路素子(高周波回路素子)39及び40を搭載すると共に、回路素子40及び回路素子39にスルー線路41を介してフリップチップ接続される回路素子(高周波回路素子)42をも搭載した構成である。
【0052】
そして、パッケージ基板38と回路素子39及び40との間を接続するワイヤ10及び11,11部分と、回路素子39及びスルー線路41間を接続するワイヤ10a及び11a,11a部分と、回路素子40及びスルー線路41と回路素子42とを接続するバンプ27及び28,28(図示せず)部分とを、第1乃至第3実施例と同様に、夫々誘電体材料24,22及び29によって覆うようにした構成である。以上のように構成された第6実施例によれば、第1乃至第3実施例と同様の効果が得られる。
【0053】
(第7実施例)
図15は本発明の第7実施例を示すもので、高周波回路装置43は、パッケージ基板(パッケージ)44に回路素子40,スルー線路41及び回路素子42を搭載した構成であり、第6実施例の構成から回路素子39を削除して、スルー線路41の一端側をパッケージ基板44にワイヤ10及び11,11により直接接続し、当該接続部分を誘電体材料24により覆うようにしたものである。以上のように構成された第7実施例によれば、第2及び第3実施例と同様の効果が得られる。
【0054】
(第8実施例)
図16は本発明の第8実施例を示すものである。第8実施例の高周波回路装置45は、パッケージ基板46の中間部分に回路素子(高周波回路素子)47を搭載すると共に、パッケージ基板(パッケージ)46及び回路素子47に対してフリップチップ接続される2つの回路素子(高周波回路素子)48及び49をも搭載した構成である。そして、回路素子47と48及び49との間は、第3実施例と同様にバンプ27及び28,28(図示せず)によって接続されており、誘電体材料29で覆われている。
【0055】
また、パッケージ基板46と回路素子48及び49との間は、第4実施例と同様にバンプ33及び34,34(図示せず)により接続されており、誘電体材料35で覆われている。以上のように構成された第8実施例によれば、第3及び第4実施例と同様の効果が得られる。
【0056】
(第9実施例)
図17は本発明の第9実施例を示すものである。第9実施例の高周波回路装置50は、パッケージ基板(パッケージ)51に回路素子47,48及び49を搭載すると共に、回路素子47と48との間をスルー線路52を介してフリップチップ接続したものであり、第8実施例の構成にスルー線路52を加えた構成である。
【0057】
そして、回路素子48とスルー線路52との間は、第3実施例と同様にバンプ27及び28,28(図示せず)によって接続されており、誘電体材料29で覆われている。また、回路素子47とスルー線路52との間は、第1実施例と同様にワイヤ10a及び11a,11aによって接続されており、誘電体材料22で覆われている。以上のように構成された第9実施例によれば、第1,第3及び第4実施例と同様の効果が得られる。
【0058】
(第10実施例)
図18は本発明の第10実施例を示すものである。第10実施例の高周波回路装置53は、第6実施例における高周波回路装置37の構成における回路素子39を、パッケージ基板38及びスルー線路41に対してフリップチップ接続される回路素子(高周波回路素子)54に置き換えたものである。
【0059】
そして、回路素子54とスルー線路41との間は、第3実施例と同様にバンプ27及び28,28によって接続されており、誘電体材料29で覆われている。また、パッケージ基板38と回路素子54との間は第4実施例と同様にバンプ33及び34,34により接続されており、誘電体材料35(図示せず)で覆われている。以上のように構成された第10実施例によれば、第1乃至第4実施例と同様の効果が得られる。
【0060】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
信号線路接続手段及びグランド電極接続手段はワイヤに限ることなく、リボンであっても良い。
誘電体材料はポリイミドに限ることなく、例えばエポキシやシリコンなどでも良く、必要な比誘電率を有するものを適宜選択すれば良い。
コプレーナ線路形式の伝送線路を有する高周波回路装置に限ることなく、マイクロストリップ線路形式等の伝送線路を有するプレーナ型高周波回路装置に適用しても良い。例えば、マイクロストリップ線路の場合は、信号線路接続手段と信号線路とが対向する部分及び信号線路接続手段とグランド電極(パッケージ基板と兼用されている)とが対向する部分とを誘電体材料で充填するようにすれば良い。また、この場合、信号線路接続手段の両側にグランド電極接続手段をも配置して、両者間の空隙をも誘電体材料で充填するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す高周波回路装置の斜視図
【図2】回路素子間の接続状態を示す一部の断面図
【図3】回路素子間の接続状態を一部を透視して示す平面図
【図4】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図5】回路素子とパッケージ基板との間の接続状態を示す一部の断面図
【図6】回路素子とパッケージ基板との間の接続状態を一部を透視して示す平面図
【図7】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図8】図2相当図
【図9】図3相当図
【図10】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図11】図5相当図
【図12】図6相当図
【図13】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図15】本発明の第7実施例を示す図1相当図
【図16】本発明の第8実施例を示す図1相当図
【図17】本発明の第9実施例を示す図1相当図
【図18】本発明の第10実施例を示す図1相当図
【図19】従来技術を示す図1相当図
【図20】図2相当図
【図21】図3相当図
【符号の説明】
2はパッケージ基板(パッケージ)、3及び4は回路素子(高周波回路素子)、5は信号線路、6,6はグランド電極、8は信号線路、9,9はグランド電極、10はワイヤ(パッケージ用信号線路接続手段)、11,11はワイヤ(パッケージ用グランド電極接続手段)、10aはワイヤ(信号線路接続手段)、11a,11aはワイヤ(グランド電極接続手段)、21は高周波回路装置、22は誘電体材料、23は高周波回路装置、24は誘電体材料(パッケージ用誘電体材料)、25は高周波回路装置、26は回路素子(高周波回路素子)、27はバンプ(信号線路接続手段)、28,28はバンプ(グランド電極接続手段)、29は誘電体材料、30は高周波回路装置、31はパッケージ基板(パッケージ)、32は回路素子(高周波回路素子)、33はバンプ(パッケージ用信号線路接続手段)、34,34はバンプ(パッケージ用グランド電極接続手段)、35は誘電体材料(パッケージ用誘電体材料)、36及び37は高周波回路装置、38はパッケージ基板(パッケージ)、39,40及び42は回路素子(高周波回路素子)、43は高周波回路装置、44はパッケージ基板(パッケージ)、45は高周波回路装置、46はパッケージ基板(パッケージ)、47乃至49は回路素子(高周波回路素子)、50は高周波回路装置、51はパッケージ基板(パッケージ)、53は高周波回路装置、54は回路素子(高周波回路素子)を示す。
Claims (10)
- 高周波信号を処理する複数の高周波回路素子と、
これら複数の高周波回路素子の内隣接する高周波回路素子夫々の信号線路の間を接続するように設けられた信号線路接続手段と、
隣接する高周波回路素子夫々のグランド電極を接続するグランド電極接続手段とを備え、
前記信号線路接続手段及び前記グランド電極接続手段を覆うと共に、当該信号線路接続手段の接続点から前記信号線路の端部に至るまでの当該信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分の空隙を充填し、前記信号線路接続手段と前記グランド電極接続手段との間の空隙及び当該グランド電極接続手段の接続点から前記グランド電極の端部に至るまでの前記グランド電極接続手段と前記グランド電極とが対向する部分の空隙を充填するように誘電体材料を配置したことを特徴とする高周波回路装置。 - 前記複数の高周波回路素子を搭載するためのパッケージと、
前記高周波回路素子上の信号線路と前記パッケージ上の信号線路との間を接続するパッケージ用信号線路接続手段とを備え、
前記高周波回路素子上のグランド電極と前記パッケージ上のグランド電極との間を接続するパッケージ用グランド電極接続手段と、
前記パッケージ用信号線路接続手段及び前記パッケージ用グランド電極接続手段を覆うと共に、前記パッケージ用信号線路接続手段と前記パッケージ用グランド電極接続手段との間の空隙を充填し、且つ、当該パッケージ用信号線路接続手段の接続点から前記信号線路の端部に至るまでの前記パッケージ用信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分及び前記パッケージ用信号線路接続手段の接続点から前記グランド電極の端部に至るまでの前記パッケージ用グランド電極接続手段と前記グランド電極とが対向する部分の空隙を充填するようにパッケージ用誘電体材料を配置したことを特徴とする請求項1記載の高周波回路装置。 - 前記信号線路接続手段は、前記複数の高周波回路素子間で共通化されているグランド電極と対向するように配置されており、
前記誘電体材料は、前記信号線路接続手段の接続点から前記グランド電極の端部に至るまでの前記信号線路接続手段とグランド電極とが対向する部分の空隙にも充填されていることを特徴とする請求項1記載の高周波回路装置。 - 前記信号線路接続手段の両側に配置され、隣接する高周波回路素子上において前記グランド電極に夫々接続されるグランド電極接続手段を備え、
前記誘電体材料は、前記グランド電極接続手段を覆うと共に、前記信号線路接続手段とグランド電極接続手段との間の空隙及び当該グランド電極接続手段の接続点から前記グランド電極の端部に至るまでの前記グランド電極接続手段と前記グランド電極とが対向する部分の空隙にも充填されることを特徴とする請求項3記載の高周波回路装置。 - 前記複数の高周波回路素子を搭載するパッケージと、
前記高周波回路素子上の信号線路と前記パッケージ上の信号線路との間を接続するパッケージ用信号線路接続手段とを備え、
前記パッケージ用信号線路接続手段を覆うと共に、当該パッケージ用信号線路接続手段の接続点から前記信号線路の端部に至るまでの前記パッケージ用信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分の空隙を充填するようにパッケージ用誘電体材料を配置したことを特徴とする請求項3または4記載の高周波回路装置。 - 前記信号線路接続手段及びグランド電極接続手段は、複数組の内少なくとも一組がワイヤまたはリボンで構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の高周波回路装置。
- 前記信号線路接続手段及びグランド電極接続手段は、複数組の内少なくとも一組がバンプで構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の高周波回路装置。
- 高周波信号を処理する高周波回路素子と、
この高周波回路素子を搭載するためのパッケージと、
前記高周波回路素子上の信号線路と前記パッケージ上の信号線路との間を接続するパッケージ用信号線路接続手段と、
前記高周波回路素子上のグランド電極と前記パッケージ上のグランド電極との間を接続するパッケージ用グランド電極接続手段とを備え、
前記パッケージ用信号線路接続手段及び前記パッケージ用グランド電極接続手段を覆うと共に、当該パッケージ用信号線路接続手段の接続点から前記信号線路の端部に至るまでの前記パッケージ用信号線路接続手段と前記信号線路とが対向する部分の空隙を充填し、
前記パッケージ用信号線路接続手段とパッケージ用グランド電極接続手段との間の空隙及び当該パッケージ用グランド電極接続手段の接続点から前記グランド電極の端部に至るまでの前記パッケージ用グランド電極接続手段と前記グランド電極とが対向する部分を充填するようにパッケージ用誘電体材料を配置したことを特徴とする高周波回路装置。 - 前記パッケージ用信号線路接続手段及びパッケージ用グランド電極接続手段は、複数組の内少なくとも一組がワイヤまたはリボンで構成されることを特徴とする請求項8記載の高周波回路装置。
- 前記パッケージ用信号線路接続手段及びパッケージ用グランド電極接続手段は、複数組の内少なくとも1組がバンプで構成されることを特徴とする請求項2,5または8記載の高周波回路装置。
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