JP3803731B2 - 反射体および反射体の製造方法並びにその塑性変形加工用工具 - Google Patents

反射体および反射体の製造方法並びにその塑性変形加工用工具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶表示装置の部品として用いられる反射板の製造方法および反射体や拡散板等の表面加工に用いられる工具に関し、特に板体等の表面を塑性変形させ、多数の凹部を形成するための工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶表示装置の部品として用いられる反射板や拡散板等において、その表面が平滑であったり、あるいは規則的なパターンが形成されているものは、液晶表示装置を組んだときに光がある決まった方向にのみ強く反射または拡散され、表示面の明るさにムラができてしまうという問題がある。これを防止するために、光がさまざまな方向に反射または拡散するよう、反射板や拡散板等の表面にピッチや深さが不規則な多数の凹凸を形成させるという方法が考えられている。そのためには、反射板や拡散板等の表面をμmオーダーで加工する必要がある。
【0003】
従来、このような加工を行うための一般的な方法として、塑性変形加工やレーザー加工を例示することができる。塑性変形加工は、例えばダイヤモンド等の硬質の圧子で反射板や拡散板等の表面を押圧し、その圧力で板体表面に塑性変形を生じさせ、凹部を形成するという方法である。また、レーザー加工は、レーザー光線を用いて板体の表面を溶融除去することで凹部を形成する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、塑性変形加工においては、従来の装置は加工速度に限界があり、凹部の高速加工が困難で効率が悪かった。また、従来の装置においては、加工装置本体に対して圧子が上下方向に移動可能に取り付けられており、板体に形成する凹部の深さを加工装置本体からの圧子の移動量で制御していた。すなわち、圧子で板体を押圧する際の押圧深さを、加工装置の位置決め精度を基準として決めていた。このため、例えば板体に反りや歪みがあったり、板厚にばらつきがあったり、チャッキング誤差があるような場合は、場所によって目的の凹部の深さにばらつき誤差が生じる等、加工精度が低下してしまうという問題があった。
また、レーザー加工においては、機械が高価であり加工コストがかさむ、高速加工性に劣る、あるいは凹部形成精度に難がある等の問題があった。
上記の点に鑑み本発明は、効率的な反射体の製造方法と、それに使用することができ加工対象物の表面に多数の凹部を高速で精度よく加工することができる塑性変形加工用工具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る反射体の製造方法は、圧子体を有する塑性変形加工用工具を任意の工作機械に取り付けて、この圧子体を加工対象物に接触させて、その接触位置を求め、この接触位置を基準として圧子体を前記加工対象物に押し付けて、圧子体の加工対象物に対する押し込み圧あるいは押し込み深さを制御することにより、加工対象物に形成される凹部の大きさを制御しながら、この加工対象物の表面を塑性変形させた後、圧子体を加工対象物表面より高い位置に浮かせた状態で、塑性変形加工用工具を加工対象物に対して水平方向に相対移動させることを繰り返して、加工対象物の表面に圧子体の形状を転写して不規則なピッチで異なる深さを持つ多数の凹部を形成することにより反射体形成用母型を作製し、この母型の型面から該型面の凹凸形状を反対にした型面を持つ転写型を形成し、この転写型の型面を転写することにより反射体を製造することを特徴とする。
【0006】
この製造方法においては、反射体形成用母型を製造し、この母型から転写型を製造する。この転写型から型面を転写することにより反射体を製造する方法をとるので、反射体を短時間で大量に製造することができるとともに、凹部の深さやピッチの精度が高い反射体が得られる。
この反射体の製造方法では、圧子体の加工対象物に対する押し込み圧あるいは押し込み深さを制御することにより、加工対象物に形成される凹部の大きさを制御することが可能である
【0007】
本発明に係る第1の塑性変形加工用工具は、任意の工作機械に取付可能な工具本体と、この工具本体に設置され、加工対象物の表面を押圧して塑性変形させる圧子体を有する作用部と、この作用部と加工対象物との接触を検出する検出手段と、この検出手段により作用部と加工対象物との接触が検出された時点での作用部の位置を基準として、作用部を工具本体に対して上下方向に往復運動させる駆動手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の塑性変形加工用工具においては、作用部で加工対象物を押圧する際、検出手段が作用部と加工対象物の接触を検出し、その位置を基準として作用部が上下動するため、凹部の深さを決定する基準が加工対象物の表面にあることになる。このため、たとえ加工対象物の表面が反っていたり歪んでいたりしても、あるいは板厚にばらつきがあったりチャッキング誤差があるようなことがあっても、作用部が加工対象物の反りや歪み、板厚の変化に追従するので、凹部の加工精度を維持することができる。
また、このような塑性変形加工用工具は構成要素の数が比較的少なく単純であり、占有面積も小さい。
【0009】
本発明の第1の塑性変形加工用工具においては、駆動手段としてピエゾ素子または磁歪素子を備えることが好ましい。駆動手段にピエゾ素子または磁歪素子を用いれば、凹部の加工精度をさらに向上させることができる。
また、本発明の第1の塑性変形加工用工具においては、検出手段としてフォースゲージを備えることが好ましい。検出手段にフォースゲージを用いれば、検出、制御応答速度をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係る第2の塑性変形加工用工具は、加工対象物の表面を塑性変形させて凹部を形成するものであって、任意の工作機械に取付可能なハウジングと、このハウジングに摺動可能に支持された工具本体と、この工具本体を前記加工対象物の表面から一定の間隙を保持するように浮上させる浮上手段と、工具本体に設置され、加工対象物の表面を叩打して塑性変形させる作用部と、この作用部を工具本体に対して上下方向に往復運動させる駆動手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の塑性変形加工用工具においては、浮上手段により工具本体を加工対象物の表面から浮上させることで、工具本体と加工対象物間の摩擦抵抗をなくすことができ、塑性変形加工用工具を加工対象物上で一定間隔を隔てて高速移動させることができる。
本発明の第2の塑性変形加工用工具においては、作用部で加工対象物を叩打する際、工具本体を加工対象物の表面を基準として一定の高さに浮上させ、その工具本体に対して作用部が上下動するため、凹部の深さを決定する基準が加工対象物の表面にあることになる。このため、たとえ加工対象物の表面が反っていたり歪んでいたりしても、あるいは板厚にばらつきがあったりチャッキング誤差があるようなことがあっても、工具本体が加工対象物の反りや歪み、板厚の変化に追従するので、凹部の加工精度を維持することができる。この時、浮上高さを可能な限り低くすることで、作用部の上下動距離を極力小さくすることができ、凹部の加工精度を向上させるとともに凹部の高速加工に寄与することができる。
【0012】
本発明の第2の塑性変形加工用工具においては、工具本体を摺動可能に支持し、任意の工作機械に取付可能なハウジングが具備されているため、このハウジングをNCマシン等の工作機械に取り付けることで、工具のX、Y、Z軸の位置決めや工具の駆動手段、浮上手段の制御等を工作機械に行わせることができる。
【0013】
本発明の第2の塑性変形加工用工具においては、駆動手段として圧電アクチュエータを備えることが好ましい。駆動手段に圧電アクチュエータを用いれば、加工対象物の表面に凹部を形成する作用部を高速で上下に往復運動させることができ、塑性変形加工をより高速に行うことができる。
また、本発明の第2の塑性変形加工用工具においては、浮上手段としてエア静圧機構を備えることが好ましい。浮上手段にエア静圧機構を用いれば、工具本体を加工対象物の表面から一定の高さに安定して浮上させておくことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態例のみに限定されるものではない。
本実施の形態において、反射体を製造する場合には、表面に多数の凹部を有する板体をあらかじめ形成してこれを母型とし、この母型から転写型を作成し、この転写型から反射体を製造するという手順をとる。
図6は、反射体の製造方法の一例を示すフロー図である。
図6Aに示すように、例えば黄銅、ステンレス、工具鋼等からなる表面が平坦な平板状の母型用基材31を、サファイア球6で多数回押圧することで、サファイア球6の形状が転写された、深さや配列ピッチが異なる多数の凹部31aを形成し、図6Bに示すような反射体形成用母型32を得ることができる。
【0015】
この反射体形成用母型32の製造には、以下のような塑性変形加工用工具を使用することができる。
図1は、第1の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図である。この塑性変形加工用工具1は、工具本体2、ピエゾ素子3(駆動手段)、フォースゲージ4(検出手段)、保持体5、サファイア球6(作用部)から構成されている。
【0016】
工具本体2はNCマシン等の工作機械に取付可能になっている。工具本体2の下面にはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)から構成される円筒状のピエゾ素子3が設けられている。ピエゾ素子3の下面には、水晶からなる円筒状のフォースゲージ4が設けられている。フォースゲージ4の下面には略円錐状の保持体5が設けられ、その頂点には圧子としてサファイア球6が固定されている。そして、ピエゾ素子3の作動によりサファイア球6が上下動するようになっている。
【0017】
ピエゾ素子3は、電圧を印加されるとPZTの結晶格子が歪み、その全長が伸びるように構成されている。例えば、100ないし150Vの電圧印加により数10μm程度変位し得るものである。
フォースゲージ4は、スライスした水晶からなり、z方向の圧力を検出しこれを電気信号に変換することができる。
【0018】
次に、第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1を用いて板体10の表面に多数の凹部を形成する手順について説明する。
まず、塑性変形加工用工具1を工作機械のマシニングセンタに取り付け、塑性変形加工用工具1を工作機械で制御可能な状態とする。この状態で塑性変形加工用工具1が板体10の凹部形成個所に移動する。次に、工作機械が塑性変形加工用工具1を徐々に板体10に近づけていく。塑性変形加工用工具1が板体10にある程度接近した時点で工作機械の動作は停止し、ピエゾ素子3が作動して塑性変形加工用工具1を板体10にさらに接近させる。サファイア球6と板体10の表面が接触すると、フォースゲージ4がそれを検知し、その時点でのサファイア球6の位置を基準としてピエゾ素子3が再度作動し、サファイア球6を板体10の表面に押しつけることで、板体10を塑性変形させて凹部を形成することができる。
【0019】
尚、板体10を塑性変形させて凹部を形成する際に、加工直後と比較して時間が経過すると塑性回復により凹部は浅くなるので、これを考慮して加工深さを設定する必要がある。
以上の凹部形成操作を板体10と塑性変形加工用工具1を相対的に水平方向に移動させながら繰り返すことで、板体10の表面に多数の凹部を形成することができる。この時、ピエゾ素子3に印加する電圧を調整することにより、凹部の深さを任意に変更することができる。
【0020】
図7は、第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1を用いて作成した反射体形成用母型32の表面の凹部のパターンの一例を示す平面図である。
図7の最上列(第1列)のパターンを例に説明すると、r1、r2、r3、r4の4種類の大きさの凹部を順にt1、t2、t3、t4のピッチになるよう押圧する。この時、凹部の大きさが大きいほど凹部の深さも深くなる(図7中、d1、d2、d3、d4で示す)。これを繰り返すことで、最上列のパターンを形成することができる。以下、第2列以降のパターンもr1、r2、r3、r4の4種類の大きさの凹部と、t1、t2、t3、t4の4種類のピッチの並び順を適宜変更することで形成することができる。これにより、母型用基材31の表面にピッチや深さの不規則なパターンを形成し、反射体形成用母型32を得ることができる。
【0021】
第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1を用いた反射体形成用母型32の作成については、母型用基材31に形成するパターンをあらかじめ設計しておくことで、どの大きさの凹部を母型用基材31のどの位置に形成するかをプログラミングし、これに従って本実施の形態の塑性変形加工用工具1および工作機械を制御する方法を採ることができる。この時、母型用基材31に形成される凹部の形成順については、例えば一列を基本単位とし、母型用基材31に凹部を列の端から連続してr1、r2、r3、r4、r1、r2…と形成させてもよいし、あるいは、同じ大きさの凹部ごとにまとめて形成する方法、例えばある列についてr1ならr1だけをまず形成させ、順次r2、r3、r4についても形成させていくという手順でも差し支えない。
【0022】
以上のように、第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1においては、サファイア球6で板体10を押圧する際、フォースゲージ4がサファイア球6と板体10の接触を検出し、その位置を基準としてサファイア球6が上下動するため、凹部の深さを決定する基準が板体10の表面にある。このため、たとえ板体10の表面が反っていたり歪んでいたりしても、あるいは板厚にばらつきがあったりチャッキング誤差があるようなことがあっても、サファイア球6が板体10の反りや歪み、板厚の変化に追従するので、凹部の加工精度を維持することができる。また、このような塑性変形加工用工具1は構成要素の数が比較的少なく単純であり、占有面積も小さい。
【0023】
第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1においては、駆動手段としてピエゾ素子3を備えているので、凹部の加工精度をさらに向上させることができる。
また、第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1においては、検出手段としてフォースゲージ4を備えているので、検出、制御応答速度をさらに向上させることができる。
【0024】
第1の実施の形態の塑性変形加工用工具1においては、工具本体12を工作機械のマシニングセンタに取り付けることで、塑性変形加工用工具1のX、Y、Z軸の位置決めやピエゾ素子3やフォースゲージ4の制御等を工作機械に行わせることができる。この工作機械は汎用のものを使用できるため、加工コストを低減させることができる。
【0025】
上記の反射体形成用母型32の製造には、以下のような塑性変形加工用工具も使用することができる。
図2および図3は、第2の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図であり、図2は部分断面図、図3は下面図である。図2に示すとおり、塑性変形加工用工具11は、工具本体12とハウジング13から概略構成されており、中空状のハウジング13の内部に工具本体12が挿入され、工具本体12とハウジング13の間にはボールベアリングガイド(ブッシュ)20が介在している。この構成により工具本体12はハウジング13に対して上下に摺動可能に取り付けられている。また、ハウジング13はNCマシン等の工作機械に取付可能になっている。
【0026】
図2に示すように、工具本体12は、下面に円形の開口部12cを有する円盤状の工具本体下部12aと、上端に拡径部を有する円柱状の工具本体上部12bからなり、工具本体上部12bの下端が、工具本体下部12aの上面中央部に固定され一体となって構成されている。
工具本体下部12aには、圧電アクチュエータ14(駆動手段)、保持体15、サファイア球16(作用部)、空気噴出孔17、空気流路18、空気逃げ溝19が設けられており、この空気噴出孔17、空気流路18、空気逃げ溝19でエア静圧機構(浮上手段)を構成している。
【0027】
圧電アクチュエータ14は、多数のセラミックスの薄板を積層して構成されており、その上端は工具本体下部12a下面の円形開口部12cの上面中央部に取り付けられ、その下端には四角錐状の保持体15が固定されている。この保持体15の頂点には圧子としてサファイア球16が固定されている。そして、圧電アクチュエータ14の作動によりサファイア球16が上下動するようになっている。
【0028】
図2に示すように、サファイア球16は工具本体下部12aの下面から突き出さず、しかも下面に近接した位置に設置されている。サファイア球16が工具本体下部12aの下面から突き出していないので、工具本体下部12aを板体上に置いたときに、サファイア球16が板体に接することはない。また、サファイア球16が工具本体下部12aの下面に近接しているので、板体に凹部を形成する際に圧電アクチュエータ14の長さの変位量を小さく抑えることができ、圧電アクチュエータ14に高い電圧を印加する必要はない。
【0029】
図2に示すように、工具本体下部12aには、その側面から高圧空気が流入され、下面から噴出させるための空気流路18が形成されている。この空気流路18には、工具本体下部12aの側面の空気導入口18aに接続された図示しない空気供給源から空気が供給されるようになっている。工具本体下部12aの下面には、空気流路18の末端部である8つの抵抗の大きな空気噴出孔17、17…が等間隔に設けられている。
図3に示すように、工具本体下部12aの下面には空気逃げ溝19、19…が形成され、この空気逃げ溝19、19…を通じて、円形開口部12c内から工具本体下部12aの外部へ空気が抜けるようになっている。そして、空気逃げ溝19、19…の間の矩形状の領域がそれぞれ空気噴出孔17、17…を中心に持つパッド21、21…となっている。
【0030】
前記パッド21、21…の面積は、工具本体12の浮上力に影響を与えるパラメータの1つである。他のパラメータが同一であれば、パッド21、21…の面積が大きいほど工具本体2の浮上力は大きくなる。工具本体12を浮上させるには、工具本体12の浮上力が工具本体12の重量より大きければよい。また、圧電アクチュエータ14を作動させ、サファイア球16を高速で上下動させることで、板体30の表面に凹部を加工する際に、工具本体12にはサファイア球16を板体30に叩きつけた反作用としての加工反力が加わるので、工具本体12の浮上高さを安定させるには、工具本体下部12a、工具本体上部12bを十分に重くするとともに、工具本体12の浮上方向の剛性はこの加工反力より充分大きくしておく必要がある。
【0031】
この加工反力は150ないし300gf程度であるから、加工反力を浮上力の5%とすると浮上力は6000gf必要となる。この時、工具本体12の重量は4000g程度とすればよい。本実施の形態において、パッドは8つであるから、1つのパッド当たり750gfの浮上力があればよい。ここで、工具本体12と板体30との距離を10μm、空気流路18への空気の供給圧を3kg/cm2等、パラメータの値を設定してパッドの面積を計算すると、4cm2という値を求めることができる。このようなことを考慮して、塑性変形加工用工具11を設計することが重要である。
【0032】
上述の第2の実施の形態においては、浮上手段の空気噴出部として空気噴出孔17を用いたが、その他の態様として例えばセラミック多孔材が設けられる構成になっていてもよい。
図4および図5は、第3の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図であり、図4は部分断面図、図5は下面図である。図4および図5において、図2および図3と共通の部分についてはこれらと同一の符号を付し説明を省略する。
【0033】
この塑性変形加工用工具25の工具本体26には、直方体状の8つのセラミック多孔材27、27…が、その一面を工具本体26の下面に露出するように設けられている。これらのセラミック多孔材27、27…にはそれぞれ図示しない空気供給源から空気流路18を通って空気が供給され、セラミック多孔材27、27…は空気を噴出することができるように構成されている。
【0034】
次に、第2の実施の形態の塑性変形加工用工具11を用いて板体30の表面に多数の凹部を形成する手順について説明する。
まず、塑性変形加工用工具11を工作機械のマシニングセンタに取り付け、塑性変形加工用工具11を工作機械で制御可能な状態とする。図示しない空気供給源から空気導入口18aに空気が供給されると、空気流路18を通って空気噴出孔17、17…から空気が噴出し、板体30の表面に接していた工具本体12は図2に示すようにわずかに浮き上がる。
【0035】
この状態で圧電アクチュエータ14が作動すると、サファイア球16が板体30の表面を叩き、板体30を塑性変形させて凹部を形成することができる。
以上の凹部形成操作を板体30と塑性変形加工用工具11を相対的に水平方向に移動させながら繰り返すことで、板体30の表面に多数の凹部を形成することができる。この時、圧電アクチュエータ14に印加する電圧を調整することにより、凹部の深さを任意に変更することができる。
また、前記塑性変形加工用工具25においても、上述の塑性変形加工用工具11と同等の機能を有しており、同様の手順にて板体30の表面に多数の凹部を形成することができる。
【0036】
以上のように、第2の実施の形態の塑性変形加工用工具11においては、工具本体12の下面に設けられた空気噴出孔17、17…から空気を噴出することにより工具本体12を板体30の表面から浮上させることで工具本体12と板体30間の摩擦抵抗をなくすことができ、塑性変形加工用工具11を板体30上で高速移動させることができる。
【0037】
第2の実施の形態の塑性変形加工用工具11においては、サファイア球16で板体30を叩打する際、工具本体12を板体30の表面を基準として一定の高さに浮上させ、その工具本体12に対してサファイア球16が上下動するため、凹部の深さを決定する基準が板体30の表面にあることになる。このため、たとえ板体30の表面が反っていたり歪んでいたりしても、あるいは板厚にばらつきがあるようなことがあっても凹部の加工精度を維持することができる。この時、浮上高さを可能な限り低くすることで、サファイア球16の上下動距離を小さくすることができ、凹部の加工精度を向上させるとともに凹部の高速加工に寄与することができる。
【0038】
第2の実施の形態の塑性変形加工用工具11においては、工具本体12を摺動可能に支持し、任意の工作機械に取付可能なハウジング13が具備されているため、このハウジング13を工作機械のマシニングセンタに取り付けることで、塑性変形加工用工具11のX、Y、Z軸の位置決めや圧電アクチュエータ14、空気供給源の制御等を工作機械に行わせることができる。この工作機械は汎用のものを使用できるため、加工コストを低減させることができる。
【0039】
上述のように、実施の形態の塑性変形加工用工具1または11を用いて得られた母型32を、図6Cに示すように、箱型容器33に収納、配置し、容器33に例えばシリコーン等の樹脂材料34を流し込んで、常温にて放置、硬化させ、この硬化した樹脂製品を容器33から取り出して不要な部分を切除し、図6Dに示すような母型32の型面をなす多数の凹部と逆の凹凸形状である多数の凸部を持つ型面35aを有する転写型35を作成する。
【0040】
次に、図6Eに示すように、例えば表面に感光性樹脂層を有するガラス基板36に転写型35を押し付けることで型面を転写し、その後感光性樹脂層を硬化させ、得られた型面にアルミニウム等からなる反射膜37を形成することで、図6Fに示すような反射体を製造することができる。
このような方法を用いることで、高品質の反射体を短時間で大量に製造することが可能となるとともに、凹部の深さやピッチの精度が高い反射体が得られる。
【0041】
本実施の形態の反射体の製造方法においては、反射体形成用母型を製造し、この母型から転写型を製造する。この転写型から型面を転写することにより反射体を製造する方法をとるので、反射体を短時間で大量に製造することができるとともに、凹部の深さやピッチの精度が高い反射体が得られる。
この反射体の製造方法では、圧子体の加工対象物に対する押し込み圧あるいは押し込み深さを制御することにより、加工対象物に形成される凹部の大きさを制御することが可能である。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、工具本体、ピエゾ素子、フォースゲージやハウジングの形状、材質、サファイア球の材質やエア静圧機構の形状等に関して適宜変更することが可能である。
また、上記実施の形態においては、工具本体上部12bは円柱状であるが、これを角柱状にしてもよい。工具本体上部12bを角柱状にすることで、工具本体12の工具本体上部12bを軸とした微小なブレをなくすことができる。
【0043】
【発明の効果】
上述のごとく、本発明の反射体の製造方法においては、反射体形成用母型を製造し、この母型から転写型を製造する。この転写型から型面を転写することにより反射体を製造する方法をとるので、反射体を短時間で大量に製造することができるとともに、凹部の深さやピッチの精度が高い反射体が得られる。
この反射体の製造方法では、圧子体の加工対象物に対する押し込み圧あるいは押し込み深さを制御することにより、加工対象物に形成される凹部の大きさを制御することが可能である。
このような反射体の製造方法を用いることにより得られる本発明の反射体は、その表面に反射体形成用母型から転写された、不規則なピッチで異なる深さの凹凸形状を有しており、優れたものとなっている。
【0044】
本発明の塑性変形加工用工具においては、凹部の深さを決定する基準を加工対象物の表面におくことができる。このため、たとえ加工対象物の表面が反っていたり歪んでいたりしても、あるいは板厚にばらつきがあったりチャッキング誤差があるようなことがあっても、作用部が加工対象物の反りや歪み、板厚の変化に追従するので、凹部の加工精度を維持することができる。
本発明の塑性変形加工用工具は、汎用の工作機械に取り付けることで、工具のX、Y、Z軸の位置決めや工具の駆動手段、浮上手段の制御等を工作機械に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図である。
【図2】 第2の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図(部分断面図)である。
【図3】 第2の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図(下面図)である。
【図4】 第3の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図(部分断面図)である。
【図5】 第3の実施の形態の塑性変形加工用工具を示す概略構成図(下面図)である。
【図6】 反射体の製造方法の一例を示すフロー図である。
【図7】 第1の実施の形態の塑性変形加工用工具を用いて作成した、反射体形成用母型32の表面の凹部のパターンの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 塑性変形加工用工具
2 工具本体
3 ピエゾ素子(駆動手段)
4 フォースゲージ(検出手段)
5 保持体
6 サファイア球(作用部)
11 塑性変形加工用工具
12 工具本体
13 ハウジング
14 圧電アクチュエータ(駆動手段)
15 保持体
16 サファイア球(作用部)
17 空気噴出孔
18 空気流路
18a 空気導入口
19 空気逃げ溝
20 ボールベアリングガイド(ブッシュ)
21 パッド
27 セラミック多孔材
31 母型用基材
32 反射体形成用母型
35 転写型

Claims (4)

  1. 圧子体を有する塑性変形加工用工具を任意の工作機械に取り付けて、
    前記圧子体を加工対象物に接触させて、その接触位置を求め、該接触位置を基準として前記圧子体を前記加工対象物に押し付けて、前記圧子体の加工対象物に対する押し込み圧あるいは押し込み深さを制御することにより、前記加工対象物に形成される凹部の大きさを制御しながら、該加工対象物の表面を塑性変形させた後、前記圧子体を前記加工対象物表面より高い位置に浮かせた状態で、前記塑性変形加工用工具を前記加工対象物に対して水平方向に相対移動させることを繰り返して、前記加工対象物の表面に前記圧子体の形状を転写して不規則なピッチで異なる深さを持つ多数の凹部を形成することにより反射体形成用母型を作製し、該母型の型面から該型面の凹凸形状を反対にした型面を持つ転写型を形成し、該転写型の型面を転写することにより反射体を製造することを特徴とする反射体の製造方法。
  2. 請求項1記載の反射体の製造方法に使用する塑性変形加工用工具であって、
    任意の工作機械に取付可能なハウジングと、
    該ハウジングに摺動可能に支持された工具本体と、
    該工具本体を前記加工対象物の表面から一定の間隙を保持するように浮上させる浮上手段と、
    前記工具本体に設置され、加工対象物の表面を叩打して塑性変形させる圧子体を有する作用部と、
    該作用部を前記工具本体に対して上下方向に往復運動させる駆動手段と、
    を具備することを特徴とする塑性変形加工用工具。
  3. 前記駆動手段が圧電アクチュエータであることを特徴とする請求項記載の塑性変形加工用工具。
  4. 前記浮上手段がエア静圧機構であることを特徴とする請求項記載の塑性変形加工用工具。
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