JP3803530B2 - 液晶装置および該液晶装置を用いた投射型表示装置 - Google Patents
液晶装置および該液晶装置を用いた投射型表示装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の基板間に封入された液晶が当該基板間で捩じれ配向している液晶装置、およびこの液晶液晶装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置に関するものである。さらに詳しくは、液晶装置を用いた表示装置におけるコントラスト向上技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一対の基板間に封入された液晶(TN液晶/ツイステッドネマティックモードの液晶)が当該基板間で捩じれ配向しているタイプの液晶装置は、たとえば投射型表示装置に対してライトバルイブとして搭載される。この種の投射型表示装置では、たとえば、一般に赤、青、緑の三原色の光を各液晶装置を通してそれぞれの色毎に画像成分を形成し、これらの画像成分を合成して所望のカラー画像を作り出し、投射している。
このような表示装置に用いられる従来の液晶装置の構成について図27を用いて説明する。
【0003】
図27は、従来の液晶装置に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を模式的に拡大して示す断面図である。
【0004】
図27に示すように、液晶装置1では、透明な画素電極8、配向膜46、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)(図示せず)、データ線(図示せず)、走査線91および容量線92などが形成されたアクティブマトリクス基板20と、透明な対向電極32および配向膜47が形成された対向基板30と、これらの基板間に封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。ここに封入される液晶39としては、配向膜46、47によって基板間で90°に捩じれ配向したTN(ツイステッドネマティック)モードの液晶が広く用いられている。このように構成した液晶装置1では、アクティブマトリクス基板20において、TFTを介してデータ線から画素電極8に印加した画像信号によって、画素電極8と対向電極32との間において液晶39の配向状態を制御することができる。それ故、透過型の液晶装置1において、対向基板30側から入射された光は、入射側偏光板(図示せず。)によって所定の直線偏光光に揃えられた後、対向基板30の側から液晶39に入射し、ある領域を透過する直線偏光光は透過偏光軸が捩じられてアクティブマトリクス基板20から出射される一方、他の領域を通過した直線偏光光は透過偏光軸が捩じられることなくアクティブマトリクス基板20の側から出射する。それ故、出射側偏光板(図示せず。)を通過するのは、液晶39によって偏光軸が捩じられた方の直線偏光光、あるいは液晶39によって偏光軸が捩じられることのなかった直線偏光光のうちの一方である。よって、これらの偏光状態を画素毎に制御することにより所定の情報を表示することができる。
【0005】
ここで、対向基板30の側から入射した光がTFTのチャネル領域に入射、あるいはTFTのチャネル領域に反射されると、このような光は表示に寄与しないだけでなく、光電変換効果により光電流が発生し、TFTのトランジスタ特性が劣化する。このため、アクティブマトリクス基板20および対向基板30には、隣接する画素電極8の間の領域に重なるように、クロムなどの金属材料や樹脂ブラックなどからなるブラックマトリクス、あるいはブラックマスクと称せられる第1の遮光膜6および第2の遮光膜7が形成されることがある。このように構成した場合に、液晶装置1では、アクティブマトリクス基板20および対向基板30のいずれにおいても、第1の遮光膜6および第2の遮光膜7で区画された第1および第2の開口領域21、31のみを光が透過し、それ以外の領域では光が第1の遮光膜6および第2の遮光膜7で遮られるので、TFT10のチャネル領域に強い光が入射し、あるいは反射してくるのを防止することができる。
【0006】
このような構成の液晶装置1において、アクティブマトリクス基板20の第1の遮光膜6と対向基板30の第2の遮光膜7とは、略重なる領域に形成される。このため、アクティブマトリクス基板20の第1の開口領域31と対向基板30の第2の開口領域21とは、それらの中心位置211、311が一致する。
また、別の液晶装置の従来例としては、図示を省略するが、対向基板30にマイクロレンズを形成し、液晶装置に入射される光を集光することにより光の利用効率を高めることがある。すなわち、図27に示す例では、対向基板30から入射した光の一部は、第2の遮光膜7で遮られて表示に寄与しないが、対向基板30の側にマイクロレンズを形成すれば、第2の遮光膜7で遮られていた光も液晶39に入射することになって表示に寄与する光量が増大する。
【0007】
このように対向基板30にマイクロレンズ(図示せず)を形成する際にも、マイクロレンズの光学的中心位置をアクティブマトリクス基板20および対向基板30の各開口領域21、31の中心位置211、311に重ねるようにマイクロレンズを形成することにより、表示に寄与する光量の減少を防止することができる。それ故、信頼性が高く、且つ明るい表示を行うことのできる液晶装置1を構成することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成した液晶装置1において、図28に液晶の配向状態を模式的に示すように、液晶39は、アクティブマトリクス基板20と対向基板30との間で、90°に捩じれ配向した状態にある。ここで、図28には各基板20、30の方向を表すために、時計における時刻に相当する数字を付してある。このような90°の捩じれをもたせるには、各基板20、30の表面に配向膜46、47となるポリイミド膜などを形成した後、矢印Aおよび矢印Bでそれぞれのラビング方向を示すように、一対の基板間で互いに直角をなす方向にそれぞれラビング処理を施した後、各基板20、30を貼り合わせ、その隙間に液晶39を充填する。その結果、液晶39は、配向膜46、47へのラビング方向に長軸方向を向けて配向し、一対の基板20、30間において液晶39の長軸方向は90°捩じれる。
【0009】
このようにして捩じれ配向させた液晶39を用いた液晶装置1では、基板20、30間の中央に位置する液晶39の配向状態(長軸方向および長軸の傾き)によりコントラスト特性が方向性を示す。すなわち、図28に示すように液晶39を配向させたときは、図29(A)に示すように、この液晶装置1の3時−9時方向におけるコントラスト特性は、6時−12時を中心に左右対称の特性を示す。これに対して、図29(B)に示すように、この液晶装置1の6時−12時方向におけるコントラスト特性は、6時の方向においてコントラストが高い一方、それから外れると大幅に低下する。従って、12時の方向では著しくコントラストが低下する。このようなとき、6時の方向を明視方向といい、それとは反対の方向を逆明視方向という。
【0010】
それ故、図30に示すように、液晶装置1に対しては明視方向からの光のみが入射し、逆明視方向からの光が入射しないようにすれば、コントラストの高い表示を行うことができるが、投射型表示装置などにおいては、光源から出射された光を導光系において平行光束にしているものの、それでも液晶装置1に対しては、法線方向に対して逆明視方向に斜めに傾いた方向から光が入射するのを防止することができない。その結果、従来の液晶装置1では、図27にそれぞれ示すように、対向基板30の側から入射した光のうち、逆明視方向に傾いた方向から入射した光も、明視方向に傾いた方向から入射した光と同様に、液晶39の層を透過した後、アクティブマトリクス基板20の第1の開口領域21から出射されてしまう。それ故、従来の液晶装置1を用いた投射型表示装置では、逆明視方向から入射した光も表示に関与するので、コントラストが低いという問題点がある。
【0011】
また、対向基板30に半球状のマイクロレンズを形成して、液晶装置に入射される光を増大させた構成では、明視方向側から入射する光量を増やすことができるが、逆明視方向側から入射する光量も多くなってしまう。このため、対向基板30にマイクロレンズを形成すると、コントラスト特性が低下する。
【0012】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、逆明視方向に傾いた方向から入射した光が表示に関与することを防止することにより、コントラスト特性を向上することのできる液晶装置、およびそれをライトバルブとして用いた投射型表示装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の課題は、逆明視方向に傾いた方向から入射した光が表示に関与することを防止するとともに、光の利用効率を向上することのできる液晶装置、およびそれをライトバルブとして用いた投射型表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶装置は、第1の基板と、前記第1の基板に対向する第2の基板と、前記第1および第2の基板の間に挟持された液晶とを有する液晶装置において、前記第1の基板には、互いに交差するように設けられた複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線で囲まれた領域に設けられた画素電極と、前記データ線下で前記走査線を跨って形成されたチャネル領域を含む半導体層を有し、前記画素電極に対応して設けられた画素トランジスタと、前記画素トランジスタに重なり、前記複数の走査線に沿って形成された第1基板側遮光膜とを有し、前記第2の基板には、前記データ線に重なる前記チャネル領域を含む半導体層の領域及び前記第1基板側遮光膜に重なるように設けられた第2基板側遮光膜を有し、前記画素電極における前記データ線の延在方向に逆明視方向及び明視方向が存在し、前記第2基板側遮光膜の前記画素電極に対して前記逆明視方向側となる縁部は、第1基板側遮光膜の前記逆明視方向側となる縁部に対して、前記画素電極側に張り出していることを特徴とする。
【0017】
すなわち、第2の基板に形成されている第2の開口領域に入射した光が、第1の基板に形成した第1の開口領域を透過して表示を行う構成とした場合には、第2の開口領域の中心位置は第1の開口領域の中心位置に対して明視方向側にずれている。
【0018】
本願明細書において、「画素の開口領域の中心位置」とは、画素の表示に寄与する領域の対角線の交点、あるいは対角線を特定できないような形状の場合は画素の表示に寄与する領域の重心を意味する。
【0019】
このような構成の液晶装置においては、第2の基板に形成した第2の開口領域に入射した光のうち、明視方向側に傾いた方向から入射した光は、第1の基板に形成した第1の開口領域から出射されるが、コントラストを低下させる原因となる逆明視方向に傾いた方向から入射した光は、第1の基板に対して第1の開口領域からずれた位置に照射され、第1の基板から出射するのを抑える。従って、第2の基板の側から明視方向および逆明視方向に傾いた光が入射しても、逆明視方向に傾いた光は表示に関与しない。それ故、本発明を適用した液晶装置によれば、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0020】
本発明においては、光効率を向上することを目的に、前記一方の基板には、前記画素の各々に対向するようにマイクロレンズが形成されることがある。この場合に、前記マイクロレンズの光学的中心位置は、前記一方の基板の開口領域の中心位置にほぼ一致するように構成される場合がある。これに対して、前記マイクロレンズの光学的中心位置を、前記第1および第2の基板のうち、光が出射される他方の基板側の開口領域の中心位置に対して明視方向側にずらす場合もあり、この場合には、明視方向側にずれた光をマイクロレンズにより集光して液晶に入射させるので、コントラストの高い表示が可能となる。
【0021】
本願明細書における「マイクロレンズの光学的中心位置」とは、マイクロレンズの幾何学的な中心位置ではなく、光軸、すなわち1つのレンズの光学表面の曲率中心を結んだ線を意味する。また、本願明細書における「明視方向側にずらす」ということは単に明視方向にずらすことを意味するだけでなく、基板に対して上下左右のいずれかの明視方向に近い方向にずらすことも含むものである。たとえば、明視方向が1時半の場合のずらす方向は基板に対して上方向あるいは右方向を含み、また明視方向が10時半の場合のずらす方向は基板に対して上方向あるいは左方向を含むものである。
【0022】
本発明においては、第1および第2の開口領域の位置関係にかかわらず、前記一方の基板には、前記画素の各々に対向するようにマイクロレンズを形成し、該マイクロレンズの光学的中心位置を、前記第1および第2の基板のうち、光が出射される他方の基板側の開口領域の中心位置に対して明視方向側にずらしてもよい。このような構成によれば、第1マイクロレンズの光学的中心位置が明視方向の側にずれているので、たとえば第2の基板の側から入射した光のうち、明視方向に傾いた方向から入射した光は、第1マイクロレンズで屈折しても第1の基板の開口領域から出射されるが、コントラストを低下させる原因となる逆明視方向に傾いた方向から入射した光は、第1マイクロレンズで屈折した後、第1の基板に対しては開口領域からずれた位置に照射され、第1の基板から出射されない。従って、第2の基板の側から明視方向および逆明視方向に傾いた光が入射しても、逆明視方向に傾いた光は表示に関与しない。それ故、本発明を適用した液晶装置によれば、マイクロレンズの光学的中心位置を画素の開口領域の中心位置に対して明視方向側にずらすという構成だけで、コントラストの高い表示が可能となる。
【0023】
本発明において、前記第1および第2の基板のうち、光が出射される側の他方の基板にも、各画素に対向するようにマイクロレンズが形成されていることが好ましい。この場合に、前記他方の基板に形成されたマイクロレンズの光学的中心位置は、前記一方の基板の開口領域の中心位置に対して明視方向側にずれていることが好ましい。このような構成によれば、一方の基板に形成されたマイクロレンズを介して入射されたコントラストの高い光を、他方の基板に形成されたマイクロレンズによって効率よく出射することができる。また、出射される光を光学系に合わせて収束光、平行光、あるいは拡散光とすることができるので、実質的に画素の開口率を向上させることができ、光の利用効率を高めることができる。
【0024】
本発明において、前記第1および第2の基板では、隣接する前記画素電極の間に相当する領域と重なるように第1および第2の遮光膜がそれぞれマトリクス状に形成されていることにより、該第1および第2の遮光膜によって前記第1および第2の開口領域が前記画素毎にマトリクス状に区画形成されていることがある。
【0025】
この場合に、前記第1および第2の遮光膜のうち、前記一方の基板に形成された遮光膜が前記他方の基板に形成されている開口領域に対して明視方向側と比較して逆明視方向側で幅広に重なっていることにより、前記第1および第2の開口領域のうち、前記一方の基板に形成された開口領域の中心位置が、前記他方の基板に形成された開口領域の中心位置に対して明視方向側にずれていることが好ましい。このような構成によれば、明視方向から入射される光を透過し、逆明視方向からの光を遮ることができるため、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0026】
本発明において、前記第1および第2の遮光膜のうち、前記他方の基板に形成された遮光膜が、前記一方の基板に形成されている開口領域に対して逆明視方向側と比較して明視方向側で幅広に重なっていることにより、前記第1および第2の開口領域のうち、前記一方の基板に形成された開口領域の中心位置が、前記他方の基板に形成された開口領域の中心位置に対して明視方向側にずれていることが好ましい。このような構成によれば、明視方向から出射される光を透過し、逆明視方向から出射される光を遮ることができるため、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0027】
本発明において、前記一方の基板には、各画素に対向する領域に、明視方向側から当該一方の基板に入射した光を逆明視方向側から当該一方の基板に入射した光よりも多く前記液晶に出射する非対称のマイクロレンズがそれぞれ形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1および第2の基板のうち、光が入射する方の基板にはマイクロレンズが形成されているので、この基板に入射した光を集光しながら液晶に出射することができる。従って、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズとして光学特性が非対称のものを用いているので、このマイクロレンズは、明視方向側から入射した光を液晶に多く入射させ、逆明視方向側から入射される光を少なくすることができる。それ故、光の利用効率が高く、かつ、コントラスト特性の良好な表示を行うことができる。
【0028】
本発明において、前記非対称のマイクロレンズとしては、以下の構成のものを用いることができる。
【0029】
なお、本願明細書における「低屈折率層、中間屈折率層および高屈折率層」とは、各層の屈折率の相対的な大小関係が、
低屈折率層<中間屈折率層<高屈折率層
になっていることを意味する。
【0030】
非対称のマイクロレンズとしては、まず、基板の光入射側に形成された高屈折率層、および当該基板の光出射側に形成された低屈折率層のうち、該低屈折率層が画素中心側から明視方向側に向けて厚く、逆明視方向側に向けて薄くなっているマイクロレンズを用いることができる。
【0031】
また、基板の光入射側に形成された低屈折率層、および当該基板の光出射側に形成された高屈折率層のうち、該高屈折率層が画素中心側から明視方向側に向けて薄く、逆明視方向側に向けて厚くなっているマイクロレンズを用いることができる。
【0032】
さらに、基板の光入射側に形成された中間屈折率層、当該基板の光出射側の明視方向側に形成された低屈折率層、および当該基板の光出射側で前記低屈折率層に対して逆明視方向側で隣接する高屈折率層のうち、前記低屈折率層および前記高屈折率層がそれぞれ画素中心側から明視方向側および逆明視方向側に向かって厚くなっているマイクロレンズを用いることができる。
【0033】
さらにまた、基板の光入射側に形成された中間屈折率層、当該基板の光出射側の明視方向側に形成された高屈折率層、および当該基板の光出射側で前記高屈折率層に対して逆明視方向側で隣接する低屈折率層のうち、前記高屈折率層および前記低屈折率層がそれぞれ画素中心側から明視方向側および逆明視方向側に向かって薄くなっているマイクロレンズを用いることができる。
【0034】
上記のいずれの構成を用いても、明視方向側からの光を多く入射させ、逆明視方向側からの光を少なく入射させることができるため、光の利用効率を高め、かつコントラスト特性の良好な表示を行うことができる。
【0035】
この場合に、前記第1および第2の基板の一方の基板上には各画素に対向する領域に凸部の形状を備え、且つ各画素の中心側に対向する領域に平坦面を備えたマイクロレンズを有するマイクロレンズ基板と、前記マイクロレンズ基板上に接着剤を介して貼り合わされた薄板とを有し、前記マイクロレンズの平坦面は前記薄板に当接されてなることが好ましい。すなわち、前記一方の基板は、前記マイクロレンズが形成されたマイクロレンズ基板と、該マイクロレンズ基板に接着剤を介して貼り合わされた薄板とを有し、前記マイクロレンズは、前記画素の中心側に前記非レンズ領域を形成する平坦面をもつ凸形状を有し、前記マイクロレンズ基板と前記薄板とは、該薄板が前記平坦面に当接した状態で貼り合わされていることが好ましい。このような構成によれば、画素周辺領域の遮光膜あるいは配線等に向かう光を画素中心に向けることができるため、光の利用効率を高めることができるとともに逆明視方向側から入射する光を少なくできるのでコントラストの高い表示を行うことができる。また、画素中心領域は平坦面を有し、画素周辺領域だけにマイクロレンズが形成されているため、画素中心領域に入射される照射光は液晶の画素中心の1点で集光することなく、ある程度の広がりをもつた状態で画素を通過することが可能である。従って、入射光が液晶に局部的に照射されるのを防ぐことができるので、液晶の寿命を延ばすことができる。さらに、画素中心領域の平坦面は接着剤を介して薄板に当接されるため、薄板とマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板とのギャップ制御を均一にすることが可能となる。それ故、マイクロレンズアレイ基板と薄板とを精度よく貼り合わせることができる。
【0036】
本発明において、前記第1の基板には、複数の走査線および複数のデータ線が形成されているとともに、前記画素電極は、画素スイッチング素子を介して前記走査線およびデータ線に接続していることがある。
本発明においては、第1の基板と、前記第1の基板に対向する第2の基板と、前記第1および第2の基板の間に挟持された液晶とを有する液晶装置において、 前記第1の基板には、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子に対応して設けられた画素電極と、第1開口領域を形成する第1基板側遮光膜とを有し、前記第2の基板には、第2開口領域を形成する第2基板側遮光膜を有し、前記第1および第2の開口領域のうち、前記第1の基板に形成された前記第1開口領域の中心位置は、光が出射される前記第2の基板に形成された前記第2開口領域の中心位置に対して明視方向側にずれていると良い。
【0037】
また、本発明において、前記画素スイッチング素子は、前記画素において前記画素電極に対して明視方向側に形成されていることが好ましい。また、前記画素の各々では、該画素に対応する前記走査線および蓄積容量形成用の容量線が明視方向側に形成されていることが好ましい。第1の基板において、開口領域は、基本的には、データ線、走査線および容量線によって区画された領域から画素スイッチング用素子の形成領域を除いた領域として構成されるので、画素スイッチング用素子が形成されている側ではその分だけ、光が遮断される領域が幅広に形成される。すなわち、画素スイッチング用素子が形成されている側ではその分だけ、光が通らない領域が広いことになるので、画素スイッチング素子が画素電極に対して明視方向側に形成されていれば、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を画素スイッチング素子を形成した領域を利用して遮ることができる。また、スイッチング素子に加えて、走査線や容量線も明視方向側に形成すれば、逆明視方向に傾いた方向から入射した光がスイッチング素子、走査線、容量線を形成した領域を利用して遮ることができる。逆に、明視方向側から入射した光が遮光膜あるいは配線、画素スイッチング用素子等で遮られるのを防ぐことができるので、明視方向側から入射光の利用効率を高めることができる。
【0038】
本発明を適用した液晶装置はコントラスト特性が高いので、投射型表示装置のライトバルブとして用いることが好ましい。すなわち、本発明に係る液晶装置を用いた投射型表示装置には、光源と、該光源から出射された光を前記液晶装置に導く集光光学系と、当該液晶装置で光変調した光を拡大投射する拡大投射光学系とを設ける。
【0039】
本発明の投射型表示装置の液晶装置は、前記液晶装置の法線方向に対して光軸が明視方向側に傾いた光が前記液晶装置に入射されることが好ましい。このような構成によれば、明視方向側に傾いた光が基板に入射されるため、よりコントラストを高めることができる。
【0040】
このように投射型表示装置を構成した場合には、前記液晶装置に入射する光の光軸を当該液晶装置の法線方向に対して明視方向側に傾けることが好ましい。
【0041】
本発明において、前記液晶装置に入射する光の光軸を当該液晶装置の法線方向に対して明視方向側に傾けるにあたっては、たとえば、前記液晶装置を、当該液晶装置に入射する光の光軸を当該液晶装置の法線方向に対して明視方向側に傾かせる斜め姿勢で配置する。また、前記液晶装置に入射する光の光軸を当該液晶装置の法線方向に対して明視方向側に傾けるにあたっては、前記集光光学系に用いた集光レンズを、前記液晶装置に入射する光の光軸を当該液晶装置の法線方向に対して明視方向側に傾かせる斜め姿勢で配置してもよい。さらに、前記集光光学系に用いた反射ミラーを、前記液晶装置に入射する光の光軸を当該液晶装置の法線方向に対して明視方向側に傾かせる斜め姿勢で配置してもよい。すなわち、マイクロレンズあるいは液晶装置の内部構造だけでは、液晶に明視方向側からのみ光を入射させるという点で不十分であっても、このような不足分については、液晶装置の傾き、あるいは集光光学系の集光レンズ若しくは反射ミラーの傾きによって補ってもよい。
【0042】
本発明において、投射型表示装置では前記液晶装置が複数枚用いられることがある。この場合には、該複数枚の液晶装置毎に、入射する光の光軸が液晶装置の法線方向に対して傾いている角度がそれぞれ最適な値に設定されていることが好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の各実施の形態を説明する。なお、以下に説明する各実施の形態に係る液晶装置は、先に説明した従来の液晶装置と基本的な構成が同一なので、共通する機能を有する部分には同じ符号を付して説明する。また、以下に各実施の形態を説明するが、各形態において共通する構成について先に説明しておく。
【0044】
[液晶装置の全体構成]
図1および図2はそれぞれ、本形態に係る液晶装置1を対向基板の側からみた平面図、および図1のH−H′線で切断したときの液晶装置1の断面図である。
【0045】
図1および図2において、液晶装置1は、画素電極8がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板20と、対向電極32が形成された対向基板30と、これらのアクティブマトリクス基板20と、対向基板30間に封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。アクティブマトリクス基板20と対向基板30とは、対向基板30の外周縁に沿って形成されたギャップ材含有のシール材52によって所定の間隙を介して貼り合わされている。また、アクティブマトリクス基板20と対向基板30との間には、ギャップ材含有のシール材52によって液晶封入領域が区画形成され、この内側に液晶39が封入されている。シール材52としては、エポキシ樹脂や各種の紫外線硬化樹脂などを用いることができる。また、ギャップ材としては、約2μm〜約10μmの無機あるいは有機質のファイバ若しくは球を用いることができる。
【0046】
対向基板30はアクティブマトリクス基板20よりも小さく、アクティブマトリクス基板20の周辺部分は、対向基板30の外周縁よりはみ出た状態に貼り合わされる。従って、アクティブマトリクス基板20の駆動回路(走査線駆動回路70やデータ線駆動回路60)や入出力端子45は対向基板30から露出した状態にある。ここで、シール材52は部分的に途切れて液晶注入口241が構成されている。対向基板30とアクティブマトリクス基板20とを貼り合わせた後、液晶注入口241から液晶39を液晶39を封入した後、液晶注入口241を封止剤242で塞ぐ。なお、対向基板30には、シール材52の内側において画像表示領域4を見切りするための表示見切り用の遮光膜55も形成されている。また、対向基板30のコーナー部のいずれにも、アクティブマトリクス基板20と対向基板30との間で電気的導通をとるための上下導通材56が形成されている。
【0047】
[アクティブマトリクス基板の構成]
図3は、液晶装置1の構成を模式的に示すブロック図、図4は、この液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板の画素領域の一部を抜き出して示す平面図(遮光膜の図示を省略してある。)、図5は、図4におけるA−A′線におけるアクティブマトリクス基板の断面図(遮光膜の図示を省略してある。)である。
【0048】
図3において、液晶装置1の画像表示領域4を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、画素電極8および画素電極8を制御するための画素スイッチング素子としてのTFT10とからなり、画像信号が供給されるデータ線90は、このTFT10のソースに電気的接続されている。データ線90に書き込む画像信号S1、S2、…、Snが順次供給される。また、TFT10の走査線91を介してゲート電極にはパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT10のドレインに電気的接続されており、TFT10を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線90から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極8を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板30(図1などを参照)に形成された対向電極32(図1などを参照)との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極8と対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量40を付加する。なお、このように蓄積容量95を形成する方法としては、容量を形成するための配線である容量線92を設けても良いし、前段の走査線91との間で容量を形成しても良い。
【0049】
図4に示すように、いずれの画素においても、複数の透明な画素電極8がマトリクス状に形成されており、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線90、走査線91および容量線92が形成されている。データ線90は、ポリシリコン膜等の半導体層のうち、ソース領域16にコンタクトホールを介して電気的に接続している。画素電極8は、ドレイン領域17にコンタクトホールを介して電気的に接続している。また、チャネル領域15に対向するように走査線91が延びている。なお、蓄積容量40は、画素スイッチング用のTFT10を形成するためのシリコン膜10a(半導体膜/図4に斜線を付した領域)の延設部分に相当するシリコン膜40a(半導体膜/図4に斜線を付した領域)を導電化したものを下電極41とし、この下電極41に対して容量線92が上電極として重なった構造になっている。
【0050】
このように構成した画素領域のA−A′線における断面は、基本的には図5に示すように表される。まず、アクティブマトリクス基板2の表面には下地絶縁膜201の上に島状のシリコン膜10a、40aが形成されている。また、シリコン膜10aの表面にはゲート絶縁膜13が形成され、このゲート絶縁膜13の上に走査線91(ゲート電極)が形成されている。シリコン膜10aのうち、走査線91に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する領域がチャネル領域15になっている。このチャネル領域15に対して一方側には、低濃度ソース領域161および高濃度ソース領域162を備えるソース領域16が形成され、他方側には低濃度ドレイン領域171および高濃度ドレイン領域172を備えるドレイン領域17が形成されている。このように構成された画素スイッチング用のTFT10の表面側には、第1層間絶縁膜18および第2層間絶縁膜19が形成され、第1層間絶縁膜18の表面に形成されたデータ線90は、第1層間絶縁膜18に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ソース領域162に電気的に接続している。また、画素電極8は、第1層間絶縁膜18および第2層間絶縁膜19に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ドレイン領域162に電気的に接続している。また、高濃度ドレイン領域172から延設されたシリコン膜40aには低濃度領域からなる下電極41が形成され、この下電極41に対しては、ゲート絶縁膜13と同時形成された絶縁膜(誘電体膜)を介して容量線92が対向している。このようにして蓄積容量40が形成されている。
【0051】
ここで、TFT10は、好ましくは上述のようにLDD構造をもつが、オフセット構造であってもよいし、走査線91をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み自己整合的に高濃度ソースおよびドレイン領域を形成したセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0052】
[実施の形態1]
図6は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。図7および図8はそれぞれ、液晶装置1のアクティブマトリクス基板20に形成した第1の遮光膜6と、対向基板30に形成した第2の遮光膜7との位置関係を示す平面図および説明図である。なお、図6に示す断面は、図7および図8のB−B′線における断面に相当する。
【0053】
図6に示すように、本実施形態の液晶装置1において、アクティブマトリクス基板20の側には、下地保護膜201の下層側にクロムなどの金属膜からなる第1の遮光膜6が形成され、この第1の遮光膜6は、図7に左下がりの斜線領域として示すように、隣接する画素電極8の間に相当する領域にマトリクス状に形成されている。このため、第1の遮光膜6は、図4を参照して説明したデータ線90、走査線91、容量線92、TFT10および蓄積容量40と平面的に重なる領域に形成され、かつ、この第1の遮光膜6によってアクティブマトリクス基板20の各画素には第1の開口領域21が区画形成されている。
また、対向基板30の側には、アクティブマトリクス基板20の第1の遮光膜6と対向するようにクロムなどの金属膜からなる第2の遮光膜7がマトリクス状に形成され、この第2の遮光膜7によって第2の開口領域31が形成されている。この第2の遮光膜7の形成領域は、図7に右下がりの斜線領域として示してある。さらに、対向基板30の側には、対向電極32および配向膜47が形成されている。
【0054】
このように構成した対向基板30およびアクティブマトリクス基板20については、それぞれ互いに直交する方向にラビング処理が施された後、所定の隙間を介して貼り合わされ、しかる後に、この隙間内に液晶39が封入される。その結果、液晶39は、アクティブマトリクス基板20と対向基板30との間で90°に捩じれ配向した状態になる。従って、液晶装置1には、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じ、逆明視方向に傾いた方向から液晶装置1に入射した光が表示に関与すると、コントラストを低下させる。ここに示す例では、各画素において、画素電極8に対して画素スイッチング用のTFT10が位置する方(図面下側)明視方向になっており、それとは反対側(図面上側)が逆明視方向になっている。
そこで、本形態では、図7および図8に示すように、第1および第2の遮光膜6、7のうち、光が入射する対向基板30(一方の基板)の側に形成されている第2の遮光膜7が、光が出射するアクティブマトリクス基板20(他方の基板)の側に形成されている第1の開口領域21に対して明視方向側と比較して逆明視方向側で幅広に重なるように形成されている。このため、対向基板30の側に形成された第2の開口領域31の中心位置311は、アクティブマトリクス基板20の側に形成された第1の開口領域21の中心位置211に対して明視方向側にずれている。すなわち、各画素において、第2の遮光膜7の縁は、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側(明視方向の側)では第1の遮光膜6の縁と略重なっているので、第2の遮光膜7と第1の開口領域21とは明視方向の側でほとんど重なっていないが、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側と反対側(逆明視方向の側)において、第2の遮光膜7の縁は、第1の遮光膜6の縁よりも第1の開口領域21の方に幅Lに相当する分だけ、張り出している。また、容量線と走査線も明視方向側に形成されている。
このため、本形態の液晶装置1においては、図6および図8に示すように、対向基板30の側から入射した光のうち、明視方向に傾いた方向から入射した光はアクティブマトリクス基板20の第1の開口領域21から出射され、表示に関与するが、逆明視方向に傾いた方向から対向基板30に入射した光は、アクティブマトリクス基板20に対して第1の開口領域21からずれた位置に照射され、各画素において明視方向に位置する部分の第1の遮光膜6によって遮られる、アクティブマトリクス基板20から出射されるのを防ぐことができる。それ故、対向基板30側から入射する光に明視方向および逆明視方向に傾いた光が含まれていたとしても、コントラストを低下させる原因となる逆明視方向に傾いた光は、アクティブマトリクス基板20から出射されるのを抑えることができるので、表示に関与しない。よって、本発明を適用した液晶装置1によれば、コントラストの高い表示を行うことができる。
また、本形態の液晶装置1では、各画素において、画素スイッチング用のTFT10が画素電極8に対して明視方向側に形成されているので、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を効果的に遮ることができる。すなわち、アクティブマトリクス基板20において、第1の開口領域21は、基本的には、データ線90、走査線91および容量線92によって矩形に区画された領域から画素スイッチング用のTFT10および蓄積容量40の形成領域を除いた領域として構成されるので、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側ではその分だけ、第1の遮光膜6が張り出している。このため、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側ではその分だけ、光が通らない領域が広いことになるので、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を画素スイッチング用のTFT10を形成した領域を利用して遮ることができる。
【0055】
なお、本実施形態において、後述する実施の形態3ないし実施の形態8と同様に、対向基板30にマイクロレンズを設けてもよい。この場合、マイクロレンズの光学中心位置を対向基板30の開口領域21の中心位置211に一致させれば、光の利用効率が高められるため、コントラストの良い表示が可能となる。これに対して、マイクロレンズの光学中心位置を開口領域21の中心位置211から明視方向側にずらし、好ましくは開口領域31の中心位置311にほぼ一致するようにすれば、コントラストの良い表示を行うことができるとともに、逆明視方向側からの光の入射を防ぐために効果的である。
なお、対向基板30の側に形成された第2の開口領域31の中心位置311を、アクティブマトリクス基板20の側に形成された第1の開口領域21の中心位置211に対して明視方向側にずらすにあたっては、実施の形態1のように、対向基板30の側に形成されている第2の遮光膜7が、アクティブマトリクス基板20の側に形成されている第1の開口領域21に対して明視方向側と比較して逆明視方向側で幅広に重なっている構成の他、アクティブマトリクス基板20の側に形成されている第1の遮光膜6が、対向基板30の側に形成されている第2の開口領域31に対して逆明視方向側と比較して明視方向側で幅広に重なっている構成、あるいは、以下に説明する実施の形態2のように、これらの構成を組み合わせた構成であってもよい。
【0056】
[実施の形態2]
図9は、本発明の実施の形態2に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。図10および図11はそれぞれ、液晶装置1のアクティブマトリクス基板20に形成した第1の遮光膜6と、対向基板30に形成した第2の遮光膜7との位置関係を示す平面図および説明図である。なお、図9に示す断面は、図10および図11のB−B′線における断面に相当する。
【0057】
図9において、本形態の液晶装置1は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるので、異なる点のみ詳述する。本実施の形態では、下地保護膜201の下層側に第1の遮光膜6が形成され、この第1の遮光膜6は、図10に左下がりの斜線領域として示すように、隣接する画素電極8の間に相当する領域にマトリクス状に形成されている。このため、第1の遮光膜6は、図4を参照して説明したデータ線90、走査線91、容量線92、TFT10および蓄積容量40と平面的に重なる領域に形成され、かつ、この第1の遮光膜6によってアクティブマトリクス基板20の各画素には第1の開口領域21が区画形成されている。
また、対向基板30の側には、アクティブマトリクス基板20の第1の遮光膜6と対向するように第2の遮光膜7がマトリクス状に形成され、この第2の遮光膜7によって第2の開口領域31が形成されている。この第2の遮光膜7の形成領域は、図10に右下がりの斜線領域として示してある。さらに、対向基板30の側には、対向電極32および配向膜47が形成されている。
このように構成した対向基板30およびアクティブマトリクス基板20間において、液晶39は捩じれ配向した状態にある。従って、液晶装置1には、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じ、逆明視方向に傾いた方向から液晶装置1に入射した光が表示に関与すると、コントラストを低下させる。ここに示す例においても、各画素において、画素電極8に対して画素スイッチング用のTFT10が位置する方が明視方向になっており、それとは反対側が逆明視方向になっている。
そこで、本形態では、まず、実施の形態1と同様、各画素において、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側と反対側(逆明視方向の側)では、対向基板30に形成されている第2の遮光膜7の縁が、第1の遮光膜6の縁よりも画素内側に向かって幅L1に相当する分だけ、張り出している。このため、対向基板30の側に形成されている第2の遮光膜7は、光が出射するアクティブマトリクス基板20の側に形成されている第1の開口領域21に対して明視方向側と比較して逆明視方向側で幅広に重なっている。
また、本形態では、各画素において、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側では、アクティブマトリクス基板20に形成されている第1の遮光膜6の縁が、第2の遮光膜7の縁よりも画素内側に向かって幅L2に相当する分だけ、張り出している。このため、アクティブマトリクス基板20の側に形成されている第1の遮光膜6は、対向基板30の側に形成されている第2の開口領域31に対して逆明視方向側と比較して明視方向側で幅広に重なっている。
従って、本形態の液晶装置1において、第1および第2の開口領域21、31のうち、光が入射する対向基板30の側に形成された第2の開口領域31の中心位置311は、光が出射するアクティブマトリクス基板20の側に形成された第1の開口領域21の中心位置211に対して明視方向側にずれている。
このため、本形態の液晶装置1においては、図9および図11に示すように、対向基板30の側から入射した光のうち、明視方向に傾いた方向から入射した光はアクティブマトリクス基板20の第1の開口領域21から出射され、表示に関与するが、逆明視方向に傾いた方向から対向基板30に入射した光は、アクティブマトリクス基板20に対して第1の開口領域21からずれた位置に照射され、各画素において明視方向に位置する部分の第1の遮光膜6によって遮られるので、アクティブマトリクス基板20から出射されない。それ故、対向基板30側から入射する光に明視方向および逆明視方向に傾いた光が含まれていたとしても、コントラストを低下させる原因となる逆明視方向に傾いた光は、アクティブマトリクス基板20から出射されないので、表示に関与しない。よって、本発明を適用した液晶装置1によれば、コントラストの高い表示を行うことができる。
また、本形態の液晶装置1でも、各画素において、画素スイッチング用のTFT10が画素電極8に対して明視方向側に形成されているので、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を効果的に遮ることができる。すなわち、アクティブマトリクス基板20において、第1の開口領域21は、基本的には、データ線90、走査線91および容量線92によって矩形に区画された領域から画素スイッチング用のTFT10および蓄積容量40の形成領域を除いた領域として構成されるので、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側ではその分だけ、第1の遮光膜6が張り出している。このため、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側ではその分だけ、光が通らない領域が広いことになるので、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を画素スイッチング用のTFT10を形成した領域を利用して遮ることができる。
【0058】
[実施の形態3]
図12は、本発明の実施の形態3に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。図13および図14はそれぞれ、この液晶装置1の対向基板30に形成したマイクロレンズと、アクティブマトリクス基板20に形成した画素電極8との位置関係を示す平面図および説明図である。なお、図12に示す断面は、図13および図14のB−B′線における断面に相当する。
【0059】
図12において、本形態の液晶装置1では、アクティブマトリクス基板20上には、下地保護膜201の下層側にクロムなどの金属膜からなる第1の遮光膜6が形成され、この第1の遮光膜6は、図13に左下がりの斜線領域として示すように、隣接する画素電極8の間に相当する領域にマトリクス状に形成されている。このため、第1の遮光膜6は、図4および図5を参照して説明したデータ線90、走査線91、容量線92、TFT10および蓄積容量40と平面的に重なる領域に形成され、かつ、この第1の遮光膜6によってアクティブマトリクス基板20の各画素には第1の開口領域21がマトリクス状に区画形成されている。
また、対向基板30の側には、図13に右下がりの斜線領域として示すように、アクティブマトリクス基板20の第1の遮光膜6と対向するように第2の遮光膜7がマトリクス状に形成され、この第2の遮光膜7によって第2の開口領域31がマトリクス状に区画形成されている。また、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。このような構造の対向基板30は、たとえば、マイクロレンズ41が形成されたレンズアレイ基板40に対して接着剤48によって薄板ガラス49を貼り合わせ、この薄板ガラス49に対して第2の遮光膜7、透明な対向電極32、および配向膜47を形成することにより製造できる。
このように構成した対向基板30およびアクティブマトリクス基板20については、それぞれ互いに直交する方向にラビング処理が施された後、所定の隙間を介して貼り合わされ、しかる後に、この隙間内に液晶39が封入される。その結果、液晶39は、アクティブマトリクス基板20と対向基板30との間で90°に捩じれ配向した状態になる。従って、液晶装置1には、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じ、逆明視方向に傾いた方向から液晶装置1に入射した光が表示に関与すると、コントラストを低下させる。ここに示す例では、各画素において、画素電極8に対して画素スイッチング用のTFT10が位置する方(図面下側)明視方向になっており、それとは反対側(図面上側)が逆明視方向になっている。
そこで、本形態では、図12、図13および図14に示すように、対向基板30に形成したマイクロレンズ41の焦点位置411をアクティブマトリクス基板20の第1の開口領域21の中心位置に対して、明視方向側にずらしてある。
このため、本形態の液晶装置1においては、図12および図14に示すように、対向基板30の側から入射した光のうち、明視方向側に傾いた方向から入射した光は、マイクロレンズ41で屈折してもアクティブマトリクス基板20の第1の開口領域21から出射され、表示に関与する。これに対して、逆明視方向側に傾いた方向から対向基板30に入射した光は、マイクロレンズ41で屈折した後、アクティブマトリクス基板20に対しては第1の開口領域21からずれた位置に照射され、各画素において明視方向側に位置する第1の遮光膜6によって遮られるので、アクティブマトリクス基板20から出射されるのを抑えることができる。それ故、対向基板30側から入射する光に明視方向および逆明視方向に傾いた光が含まれていたとしても、コントラストを低下させる原因となる逆明視方向に傾いた光は、アクティブマトリクス基板20から出射されるのを抑えることができるので、表示に関与しない。よって、本発明を適用した液晶装置1によれば、コントラストの高い表示を行うことができる。
また、本形態の液晶装置1では、各画素において、画素スイッチング用のTFT10が画素電極8に対して明視方向側に形成されているので、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を効果的に遮ることができる。すなわち、アクティブマトリクス基板20において、第1の開口領域21は、基本的には、データ線90、走査線91および容量線92によって矩形に区画された領域から画素スイッチング用のTFT10および蓄積容量40の形成領域を除いた領域として構成されるので、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側ではその分だけ、第1の遮光膜6が張り出している。このため、画素スイッチング用のTFT10が形成されている側ではその分だけ、光が通らない領域が広いことになるので、逆明視方向に傾いた方向から入射した光を画素スイッチング用のTFT10を形成した領域を利用して遮ることができる。本実施形態では、対向基板30側にマイクロレンズを形成する場合を説明したが、アクティブマトリクス基板20の各画素に対応してマイクロレンズを設けてもよい。また、対向基板30とアクティブマトリクス基板20の両方にマイクロレンズを設けても良い。その場合、アクティブマトリクス基板20に形成するマイクロレンズは液晶装置に明視方向側から傾いて入射された光を平行光、あるいは拡散光とすることが可能となるため、画素の光の開口率を実質的に高めることができる。また用途に応じて拡大させたり、収束させたりしてもかまわない。また、対向基板30に形成するマイクロレンズの光学的中心位置を明視方向側にずらし、さらにアクティブマトリクス基板に形成するマイクロレンズの光学的中心位置を明視方向側にずらし、互いの焦点位置を一致させるようにすれば、光の利用効率を高めることができる。
【0060】
[実施の形態4]
図15は、本発明の実施の形態4に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図であり、図4のB−B′線における断面図に相当する。
【0061】
図15において、本実施形態の液晶装置1では、アクティブマトリクス基板20上には、下地保護膜201の下層側にクロムなどの金属膜からなる第1の遮光膜6が形成され、この第1の遮光膜6は、隣接する画素電極8の間に相当する領域にマトリクス状に形成されている。このため、第1の遮光膜6は、図4を参照して説明したデータ線90、走査線91、容量線92、TFT10および蓄積容量40と平面的に重なる領域に形成され、かつ、この第1の遮光膜6によってアクティブマトリクス基板20の各画素には第1の開口領域21がマトリクス状に区画形成されている。
対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の第1の遮光膜6と対向するように第2の遮光膜7がマトリクス状に形成され、この第2の遮光膜7によって第2の開口領域31がマトリクス状に区画形成されている。また、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。このため、マイクロレンズ41は、対向基板30に入射した光源からの光Lを集光しながら液晶39に入射させるので、第1の遮光膜6で遮られる光を減らすことができる。それ故、光の利用効率が高いので、明るい表示を行うことができる。
このような構造の対向基板30は、たとえば、フォトリソグラフィ技術を利用してマイクロレンズ41を形成した透明なレンズアレイ基板40に対して接着剤48によって薄板ガラス49を貼り合わせ、この薄板ガラス49に対して第2の遮光膜7、透明な対向電極32、および配向膜47を形成することにより製造できる。
このように構成した対向基板30およびアクティブマトリクス基板20については、それぞれ互いに直交する方向にラビング処理が施された後、所定の隙間を介して貼り合わされ、しかる後に、この隙間内に液晶39が封入される。その結果、液晶39は、アクティブマトリクス基板20と対向基板30との間で90°に捩じれ配向した状態になる。従って、液晶装置1には、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じるので、液晶39の層に明視方向側から光が入射するとコントラストが向上する。ここに示す例では、図面に向かって左側が明視方向になっており、右側が逆明視方向になっている。
そこで、本実施形態では、レンズアレイ基板40の屈折率をn1とし、接着剤48の屈折率をn2としたときに、
n1 > n2
を満たすような材質でレンズアレイ基板40および接着剤48を構成し、かつ、マイクロレンズ41に相当する部分では、接着剤48の厚さが明視方向側から逆明視方向側に向けて連続的に薄くなるように、レンズアレイ基板40に凹凸を形成してある。すなわち、マイクロレンズ41が形成された対向基板30の光入射側に高屈折率層(レンズアレイ基板40)を配置し、かつ、対向基板30の光出射側に低屈折率層(接着剤48の層)を形成するとともに、マイクロレンズ41は、低屈折率層(接着剤48の層)の厚さを画素中心311側から明視方向側に向けては連続的に厚く、逆明視方向側に向けては連続的に薄くし、隣接する画素との境界領域(遮光膜7が形成されている領域)で再び、明視方向側の厚さにまで急峻に厚くなるような構成にしてある。
従って、本実施形態の液晶装置1では、アクティブマトリクス基板20および対向基板30のうち、光が入射する方の対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズ41は光学特性が非対称であるため、明視方向側から対向基板30に入射した光のうち、画素に対して明視方向側に位置する第1の遮光膜6に向かおうとする光は、マイクロレンズ41にこの第1の遮光膜6を避ける方向に屈曲してこの第1の遮光膜6でほとんど遮られることなく液晶39に出射されるのに対して、逆明視方向側から対向基板30に入射した光のうち、画素に対して逆明視方向側に位置する第1の遮光膜6に向かおうとする光は、マイクロレンズ41によってこの第1の遮光膜6に向けて屈曲し、一部がこの第1の遮光膜6で遮られる。このため、液晶39に入射する光に対して、明視方向側から入射する光を多くし、逆明視方向側から入射する光を少なくすることができるので、本実施形態の液晶装置1では、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0062】
[実施の形態4の変形例]
図16は、本発明の実施の形態4の変形例に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板20、対向基板30およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。なお、本実施形態および後述するいずれの形態も、基本的な構成が実施の形態4と共通するので、対応する部分には同符号を付して図示することとし、それらの詳細な説明を省略する。
【0063】
図16において、本実施形態の液晶装置1でも、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。
また、この液晶装置1でも、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じるので、液晶39に明視方向側から多く光を入射させるとコントラストが向上する。
そこで、本実施形態でも、実施の形態4と同様、レンズアレイ基板40の屈折率をn1とし、接着剤48の屈折率をn2としたときに、
n1 > n2
を満たすようなレンズアレイ基板40(高屈折率層)および接着剤48(低屈折率層)を用い、かつ、マイクロレンズ41に相当する部分では、接着剤48の厚さを画素中心311から明視方向側に向けては連続的に厚くし、逆明視方向側に向けて連続的に薄くなるように、レンズアレイ基板40に凹凸を形成してあるが、実施の形態4と違って、マイクロレンズ41の部分では、接着剤48(低屈折率層)の厚さを明視方向側から逆明視方向側に向けて連続的に薄くしていき、隣接する画素との境界領域(遮光膜7が形成されている領域)付近から徐々に、明視方向側の厚さに戻るように構成されている。
このように構成した場合でも、光が入射する方の対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズ41は光学特性が非対称であるため、実施の形態4と同様、液晶39に入射する光に対して、明視方向側から入射する光を多くし、逆明視方向側から入射する光を少なくすることができるので、本実施形態の液晶装置1では、コントラストの高い表示を行うことができる。
また、マイクロレンズ41においてレンズアレイ基板40(高屈折率層)と接着剤48(低屈折率層)との境界面は、逆明視方向側でも湾曲している形状を有しているので、逆明視方向側の光も少しは含むが、実施の形態4と比較して、より多くの光を液晶39に向けて出射できる。それ故、明るい表示を行うことができる。
【0064】
[実施の形態5]
図17は、本発明の実施の形態5に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。実施の形態5の基本的な構成は実施の形態と共通であり、同様な構成については同符号を付して、その説明は省略する。
【0065】
図17において、本実施形態の液晶装置1でも、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。このような構造の対向基板30も、たとえば、マイクロレンズ41が形成されたレンズアレイ基板40に対して接着剤48によって薄板ガラス49を貼り合わせ、この薄板ガラス49に対して第2の遮光膜7、透明な対向電極32、および配向膜47を形成することにより製造できる。また、この液晶装置1でも、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じるので、液晶39の層に明視方向側から光が入射するとコントラストが向上する。
そこで、本実施形態では、レンズアレイ基板40の屈折率をn1とし、接着剤48の屈折率をn2としたときに、
n1 < n2
を満たすようなレンズアレイ基板40および接着剤48を用い、かつ、マイクロレンズ41に相当する部分では、接着剤48の厚さを明視方向側から逆明視方向側に向けて連続的に厚くなるように、レンズアレイ基板40に凹凸を形成してある。すなわち、マイクロレンズ41が形成された対向基板30の光入射側に低屈折率層(レンズアレイ基板40)を配置し、かつ、対向基板30の光出射側に高屈折率層(接着剤48の層)を形成するとともに、マイクロレンズ41の部分では、高屈折率層の厚さを画素中心311から明視方向側に向けては連続的に薄くし、逆明視方向側に向けて連続的に厚くし、隣接する画素との境界領域(遮光膜7が形成されている領域)では再び、明視方向側の厚さにまで急峻に厚くなるような構成になっている。
従って、本実施形態でも、光が入射する方の対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズ41は光学特性が非対称であるため、明視方向側から対向基板30に入射した光のうち、画素に対して明視方向側に位置する第1の遮光膜6に向かおうとする光は、マイクロレンズ41にこの第1の遮光膜6を避ける方向に屈曲してこの第1の遮光膜6でほとんど遮られることなく液晶39に出射されるのに対して、逆明視方向側から対向基板30に入射した光のうち、画素に対して逆明視方向側に位置する第1の遮光膜6に向かおうとする光は、マイクロレンズ41によってこの第1の遮光膜6に向けて屈曲し、一部がこの第1の遮光膜6で遮られる。このため、液晶39に入射する光に対して、明視方向側から入射する光を多くし、逆明視方向側から入射する光を少なくすることができるので、本実施形態の液晶装置1では、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0066】
[実施の形態5の変形例]
図18は、本発明の実施の形態5の変形例に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【0067】
図18において、本実施形態の液晶装置1でも、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。また、この液晶装置1でも、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じるので、液晶39の層に明視方向側から光が入射するとコントラストが向上する。
そこで、本実施形態でも、実施の形態5と同様、レンズアレイ基板40の屈折率をn1とし、接着剤48の屈折率をn2としたときに、
n1 < n2
を満たすようなレンズアレイ基板40(低屈折率層)および接着剤48(高屈折率層)を用い、かつ、マイクロレンズ41では、接着剤48の厚さを明視方向側から逆明視方向側に向けて連続的に厚くなるように、レンズアレイ基板40に凹凸を形成してある。従って、実施の形態5と異なり、マイクロレンズ41は、接着剤48(高屈折率層)の厚さを明視方向側から逆明視方向側に向けて連続的に厚くしていき、隣接する画素との境界領域(遮光膜7が形成されている領域)付近から徐々に、明視方向側の厚さに戻るように構成されている。
このように構成した場合でも、光が入射する方の対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズ41は光学特性が非対称であるため、実施の形態5と同様、液晶39に入射する光に対して、明視方向側から入射する光を多くし、逆明視方向側から入射する光を少なくすることができるので、本実施形態の液晶装置1では、コントラストの高い表示を行うことができる。
また、マイクロレンズ41においてレンズアレイ基板40(低屈折率層)と接着剤48(高屈折率層)との境界面は、逆明視方向側でも湾曲している形状を有しているので、逆明視方向側の光も少しは含むが、実施の形態5と比較して、より多くの光を液晶39に向けて出射できる。それ故、明るい表示を行うことができる。
【0068】
[実施の形態6]
図19は、本発明の実施の形態6に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。実施の形態6は実施の形態4と基本構造は共通するので、同様な構成は同符号を付してその説明は省略する。
【0069】
図19において、本実施形態の液晶装置1でも、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の第1の遮光膜6と対向するように第2の遮光膜7がマトリクス状に形成され、この第2の遮光膜7によって第2の開口領域31がマトリクス状に区画形成されている。また、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。このような構造の対向基板30は、たとえば、マイクロレンズ41が形成されたレンズアレイ基板40に対して接着剤48によって薄板ガラス49を貼り合わせ、この薄板ガラス49に対して第2の遮光膜7、透明な対向電極32、および配向膜47を形成することにより製造できる。この液晶装置1でも、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じるので、液晶39の層に明視方向側から光が入射するとコントラストが向上する。
そこで、本実施形態では、対向基板30のレンズアレイ基板40には、光入射側にその基体たる透明基板からなる中間屈折率層40Aを配置し、この透明基板の光出射側の明視方向側および逆明視方向側にそれぞれ低屈折率層40Bおよび高屈折率層40Cが隣接している構成にしてある。ここで、低屈折率層40Bおよび高屈折率層40Cは、レンズアレイ基板40の基体たる透明基板(中間屈折率層40A)の凹凸が形成されている面に積層された透明樹脂層である。また、マイクロレンズ41の部分では、低屈折率層40Bおよび高屈折率層40Cを画素中心側311から明視方向側および逆明視方向側に向かってそれぞれ連続的に、かつ、対称の形状をもって厚くしてある。すなわち、レンズアレイ基板40を構成する中間屈折率層40A、低屈折率層40Bおよび高屈折率層40Cの屈折率をそれぞれn11 、n12 、n13としたときに、
n12 < n11< n13
を満たすようにレンズアレイ基板40を構成し、かつ、マイクロレンズ41に相当する部分では、画素中心側311から明視方向側に向かって低屈折率層40Bをなだらかに厚くしていき、画素中心側311から逆明視方向側に向かって高屈折率層40Cをなだらかに厚くしてある。
このように構成した液晶装置1でも、光が入射する方の対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズ41は光学特性が非対称であるため、明視方向側から対向基板30に入射した光のうち、画素に対して明視方向側に位置する第1の遮光膜6に向かおうとする光は、マイクロレンズ41にこの第1の遮光膜6を避ける方向に屈曲してこの第1の遮光膜6でほとんど遮られることなく液晶39に出射されるのに対して、逆明視方向側から対向基板30に入射した光のうち、画素に対して逆明視方向側に位置する第1の遮光膜6に向かおうとする光は、マイクロレンズ41によってこの第1の遮光膜6に向けて屈曲し、一部がこの第1の遮光膜6で遮られる。このため、液晶39に入射する光に対して、明視方向側から入射する光を多くし、逆明視方向側から入射する光を少なくすることができるので、本実施形態の液晶装置1では、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0070】
[実施の形態7]
図20は、本発明の実施の形態7に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。実施の形態7は実施の形態4と基本構造は共通するので、同様な構成は同符号を付してその説明は省略する。
【0071】
図20において、本実施形態の液晶装置1でも、実施の形態6と同様、対向基板30には、アクティブマトリクス基板20の画素電極8と対向するようにマイクロレンズ41(微少レンズ)がマトリクス状に形成されている。このような構造の対向基板30は、たとえば、マイクロレンズ41が形成されたレンズアレイ基板40に対して接着剤48によって薄板ガラス49を貼り合わせ、この薄板ガラス49に対して第2の遮光膜7、透明な対向電極32、および配向膜47を形成することにより製造できる。この液晶装置1でも、液晶39の配向状態に対応して明視方向および逆明視方向が生じるので、液晶39の層に明視方向側から光が入射するとコントラストが向上する。
そこで、本実施形態では、対向基板30のレンズアレイ基板40には、光入射側に中間屈折率層40Aを形成し、この基板の光出射側の明視方向側および逆明視方向側に高屈折率層40Cおよび低屈折率層40Bを隣接するように形成するとともに、マイクロレンズ41の部分では、高屈折率層40Cおよび低屈折率層40Bを画素中心側311から明視方向側および逆明視方向側に向かってそれぞれ連続的に、かつ、対称の形状をもって薄くする。すなわち、レンズアレイ基板40を構成する中間屈折率層40A、低屈折率層40Bおよび高屈折率層40Cの屈折率をそれぞれn11 、n12 、n13としたときに、
n12 < n11< n13
を満たすようにレンズアレイ基板40を構成し、かつ、マイクロレンズ41に相当する部分では、画素中心側311から明視方向側に向かって高屈折率層40Cをなだらかに薄くし、画素中心側311から逆明視方向側に向かって低屈折率層40Bをなだらかに薄くしてある。
従って、本実施形態でも、光が入射する方の対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率を高めることができる。また、マイクロレンズ41は光学特性が非対称であるため、実施の形態6と同様、液晶39に入射する光に対して、明視方向側から入射する光を多くし、逆明視方向側から入射する光を少なくすることができるので、本実施形態の液晶装置1では、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0072】
[実施の形態8]
図21は、本発明の実施の形態8に係る液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。実施の形態8は実施の形態4と基本構造は共通するので、同様な構成は同符号を付してその説明は省略する。
図21に示す例は、図20に示す液晶装置1をベースに、マイクロレンズ41の構成を変えたものである。すなわち、この液晶装置1でも、実施の形態6と同様、対向基板30にはマイクロレンズ41が形成されているので、光の利用効率が高い。
マイクロレンズ41は、対向基板30に入射した光のうち、第1の遮光膜6に向かおうとする光の進行方向を画素の開口領域に屈曲させることにより、光の利用効率を高めるものである。従って、もともと画素中心311に向かおうとする光は、マイクロレンズ41を設けなくても画素開口領域に入射されるため、画素の中心領域に対応してマイクロレンズを形成しなくてもよい。そこで、本実施形態では、画素の中心領域には、対向基板30に対して直角に入射した光を液晶39に対して直進させるためにマイクロレンズを形成しない、すなわち非レンズ領域400が形成され、画素の周辺領域には、画素中心311に近い側から周辺部に向かって接着剤48が厚くなるような形状のマイクロレンズ41を構成する。なお、本実施形態では、マイクロレンズアレイ基板40の屈折率をn1とし、接着剤48の屈折率をn2とした時に、
n1> n2
を満たすような材質でマイクロレンズアレイ基板40および接着剤48を構成すれば、画素周辺の遮光膜あるいは配線等に向かう光を画素中心に向けることができるため、光の利用効率を高めることができるとともに、逆明視方向から入射する光を少なくできるので、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0073】
このように画素の中心領域を非レンズ領域400とする形状は、図21のように画素中心領域を平坦化して画素周辺を所定の曲率を持つように形成されているが、その場合、画素の中心領域の非レンズ領域400と薄板ガラス49との間にわずかに接着剤48を設けてもよい。薄板ガラス49とマイクロレンズアレイ基板40との間に中心領域では薄く、周辺領域では厚くして、マイクロレンズアレイ基板40の全面に接着剤48が塗布されていれば、薄板ガラス49とマイクロレンズアレイ基板40との密着性を高めることができる。また、画素中心領域は平坦面を有し、画素周辺領域だけにマイクロレンズが形成されているため、画素中心領域に入射される照射光は液晶の画素中心の1点で集光することなく、ある程度の広がりをもつた状態で画素を通過することが可能である。従って入射光が液晶に局部的に照射されるのを防ぐことができ、液晶の寿命を延ばすことができる。
【0074】
[実施の形態8の第1変形例]
図22は実施の形態8の第1変形例に係わる液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。第1変形例は実施の形態8と基本構造は共通するので、同様な構成は同符号を付してその説明は省略する。
【0075】
本変形例と実施の形態8との違いは、本変形例においては、凸形状を有するマイクロレンズ41において、画素の中心側に形成された非レンズ領域400が薄板ガラス49に接着剤48を介することなく接している点であり、その他の構成は実施の形態8と同じである。
【0076】
図22に示される構成を有することにより、画素の中心領域の非レンズ領域400に入射される光は、接着剤48を介することなく液晶に入射させることができるため、画素中心側に入射される光は接着剤48により屈曲させることなく液晶に向かうことが可能となり、光の利用効率を高めることができるとともに、逆明視方向から入射する光を少なくできるので、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0077】
また、マイクロレンズアレイ基板40は非レンズ領域400の平坦な面が薄板ガラス49に接して固着されるため、マイクロレンズアレイ基板40と薄板ガラス49とのギャップを一定に保つことが可能となる。それ故、マイクロレンズアレイ基板40と薄板ガラス49とを精度よく貼り合わせることができる。
【0078】
[実施の形態8の第2変形例]
また、図23は実施の形態8の第2変形例に係わる液晶装置1に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼りあわせ構造を拡大して示す断面図である。第2変形例は実施の形態8と基本構造は共通するので、同様な構成は同符号を付してその説明は省略する。本変形例と実施の形態8との違いは、本変形例においては、マイクロレンズ41は画素の中心領域は薄く平坦な形状を有するか、あるいは画素の中心領域はマイクロレンズを全く有さず、画素周辺部はは中心領域側から外周に向けて接着剤が厚く形成されるような形状となっている。
【0079】
この場合、マイクロレンズアレイ基板40の屈折率をn1とし、接着剤48の屈折率をn2としたときに、
n1> n2
を満たすような材質でマイクロレンズアレイ基板40および接着剤48を構成すれば、画素周辺の遮光膜あるいは配線等に向かう光を画素中心に向けることができるため、光の利用効率を高めることができるとともに、逆明視方向から入射する光を少なくできるので、コントラストの高い表示を行うことができる。。
本実施形態およびその変形例はいずれも画素の中心領域はマイクロレンズを形成せずに周辺領域のみに形成されているため、光の利用効率を高めることができるとともに、逆明視方向から入射する光を少なくできるので、コントラストの高い表示を行うことができる。
なお、このような非レンズ領域400の形成は、上記の実施形態4乃至実施形態7に対して組み合わせて適用することもできる。
【0080】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態を組み合わせて構成すればよりコントラストのよい表示が可能となる。また、上述の実施形態は、6時明視の場合を例として説明したが、これに限るものではない。また、たとえば1時半明視、あるいは10時半明視というように基板の斜め方向に明視方向がある場合には、たとえば、実施の形態1ないし実施の形態3で説明したように、画素の開口率の中心位置あるいはマイクロレンズの光学的中心位置を明視方向にずらすことによりコントラストを向上させることができるが、上下左右の明視方向に近い側にずらすことによってもコントラストを向上させることができる。
【0081】
また、液晶装置に光が入射される際に、液晶装置の法線に対して光軸が明視方向側に傾いた光を液晶装置に入射するようにすれば、逆明視方向側からの光の入射を防ぐために効果的となりさらにコントラストの高い表示が可能となる。
【0082】
さらに、上述の実施の形態では、アクティブマトリクス基板の第1の遮光膜6はTFTの下層に形成されているが、これに限るものではなく、たとえば、TFTの上層あるいは遮光性を有する配線を利用して、第1の遮光膜6をアクティブマトリクス基板に形成しても良い。
【0083】
さらにまた、上記形態では、光が入射する対向基板30にのみマイクロレンズを形成したが、光が出射するアクティブマトリクス基板20の側にも各画素に対向するようにマイクロレンズを形成してもよい。この場合に、アクティブマトリクス基板20に形成されたマイクロレンズの光学的中心位置は、対向基板30の開口領域31の中心位置311に対して明視方向側にずれていることが好ましい。このような構成によれば、対向基板に形成されたマイクロレンズを介して入射されたコントラストの高い光を、アクティブマトリクス基板20に形成されたマイクロレンズによって効率よく出射することができる。また、出射される光を光学系に合わせて収束光、平行光、あるいは拡散光とすることができるので、実質的に画素の開口率を向上させることができ、光の利用効率を高めることができる。
【0084】
[液晶装置1の電子機器への適用]
次に、本実施形態の液晶装置1を備えた電子機器の一例を、図24、図25を参照して説明する。図24は、電子機器のブロック図である。図25は、本発明を適用した電子機器の一例としての投射型表示装置の要部(光学系)を示す説明図である。
【0085】
図24において、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、表示駆動回路1004、本実施形態の液晶装置1、クロック発生回路1008および電源回路1010を含んで構成される。表示情報出力源1000は、ROM、RAMなどのメモリ、テレビ信号を同調して出力する同調回路などを含んで構成され、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて、ビデオ信号などの表示情報を出力する。表示情報処理回路1002は、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて表示情報を処理して出力する。この表示情報処理回路1002は、たとえば増幅・極性反転回路、シリアル−パラレル変換回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路あるいはクランプ回路等を含むことができる。表示駆動回路1004は、走査側駆動回路およびデータ側駆動回路を含んで構成され、液晶装置1を表示駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に電力を供給する。
【0086】
(投射型表示装置の構成例1)
このような構成の電子機器の一例として、投射型表示装置を図25を用いて説明する。図25に示す投射型表示装置1100は、図25に示す投射型表示装置2001では、そのハウジング内には光学ユニットが搭載され、この光学ユニット内には、光源ランプ2011(光源)と、微小なレンズの集合体からなるインテグレータレンズ2012、2014、および偏光分離膜とλ/4波長板との集合体からなる偏光変換素子2016を備える照明用光学系2015と、この照明用光学系2015から出射される白色光束を、赤、緑、青の各色光束R、G、Bに分離する色分離光学系2020と、各色光束を変調するライトバルブとして本実施形態の液晶装置1によって構成した3枚の液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bと、変調された色光束を再合成する色合成光学系としてのダイクロイックプリズムからなるプリズムユニット2042と、合成された光束をスクリーン上に拡大投射する投射レンズユニット2050(拡大投射光学系)とが構成されている。光源ランプ2011としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。この光学ユニットでは、偏光変換素子2016において各プリズム体で分離されたP偏光およびS偏光のうち、P偏光の出射位置にλ/2板を配置した構成に相当するため、光束をS偏光に揃えることができる。
【0087】
照明用光学系2015は反射ミラー2017を備えており、照明用光学系2015の中心光軸を装置前方向に向けて直角に折り曲げるようにしている。色分離光学系2020には、赤緑反射ダイクロックミラー2022と、緑反射ダイクロイックミラー2024と、反射ミラー2026とが配置されている。光源ランプ2011から出射された白色光束は、照明用光学系2015を経て、まず、赤緑反射ダイクロイックミラー2022において、そこに含まれている赤色光束Rおよび緑色光束Gが直角に反射されて、緑反射ダイクロイックミラー2024の側に向かう。青色光束Bはこの赤緑反射ダイクロイックミラー2022を通過して、後方の反射ミラー2026で直角に反射されて、青色光束の出射部からプリズムユニット2042の側に出射される。赤緑反射ダイクロックミラー2022において反射された赤および緑の光束R、Gは、緑反射ダイクロイックミラー2024において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束の出射部からプリズムユニット2042の側に出射される。これに対して、緑反射ダイクロイックミラー2024を通過した赤色光束Rは、赤色光束の出射部から導光系2044の側に出射される。色分離光学系2020における各色光束の出射側には、それぞれ集光レンズ2027R、2027G、2027Bが配置されている。したがって、各出射部から出射した各色光束は、これらの集光レンズ2027R、2027G、2027Bに入射して各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bに集光される。このようにして、本実施形態では、照明用光学系2015、色分離光学系2020、集光レンズ2027R、2027G、2027Bおよび導光系2044によって、光源ランプ2011から出射された光を集光しながら各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bに導く導光光学系が構成されている。
【0088】
このように集光された各色光束R、G、Bのうち、青色および緑色の光束B、Gは液晶ライトバルブ2030B、2030Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報(映像情報)が付加される。すなわち、これらのライトバルブは、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。このような駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。
【0089】
一方、赤色光束Rは、導光系2044を介して液晶ライトバルブ2030Rに導かれて、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、導光系2044としては、入射側レンズ2045と、入射側反射ミラー2046と、出射側反射ミラー2047と、これらの間に配置した中間レンズ2048とが配置されている。
【0090】
次に、各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bを通って変調された各色光束は、プリズムユニット2042に入射され、ここで再合成される。ここで再合成されたカラー画像は、投射レンズユニット2050を介して、所定の位置にあるスクリーン(投射面)上に拡大投射される。
【0091】
(投射型表示装置におけるコントラスト向上対策)
図25に示すように構成した投射型表示装置2001を例にして、液晶装置(液晶ライトバルブ)の視角特性に合わせて、液晶ライトバルブ、およびこの液晶ライトバルブに対して光を導く光学部品の姿勢を適正化することにより、コントラストを向上する構成を説明する。
【0092】
図26に一点鎖線で示すように、液晶ライトバルブ2030B、反射ミラー2026および集光レンズ2027Bは、従来、プリズムユニット2042の端面に対して直立した姿勢で配置されている。
しかるに本実施形態では、図26に実線で示すように、液晶ライトバルブ2030Bが光軸L0(装置光軸)方向で前後にずれた斜め姿勢で配置されている。このため、液晶ライトバルブ2030Bに入射する光の光軸L0は、液晶装置1の光入射面の法線方向Mに対して所定の角度θ1だけ明視方向側(6時の側)に傾いている。従って、液晶ライトバルブ2030Bに対しては明視方向側から入射される光を多くし、逆明視方向からの光を少なくすることができるので、液晶ライトバルブ2030Bにおいてコントラストの高い表示を行うことができる。但し、液晶ライトバルブ2030Bを傾けすぎると、光源ランプ2011からの光を液晶ライトバルブ2030Bで合焦させようとしても、その焦点位置から液晶ライトバルブ2030Bが大きくずれることになる。その結果、液晶ライトバルブ2030Bの画像表示領域7のうち、焦点位置から大きくずれた部分では、画像の品位が低下する。
そこで、本実施形態では、集光光学系(導光系2044)に用いた集光レンズ2027B(図25参照)については、液晶ライトバルブ2030Bに入射する光の光軸Lが液晶ライトバルブ2030Bの法線M方向に対してさらに明視方向側に傾くように、一点鎖線で示す直立姿勢からやや後方に倒して、実線で示すような斜め上向き姿勢にしてある。さらに、本実施形態では、集光光学系(導光系2044)に用いた反射ミラー2026(図25参照)についても、液晶ライトバルブ2030Bに入射する光の光軸Lが液晶ライトバルブ2030Bの法線M方向に対してさらに明視方向側に傾くように、一点鎖線で示す直立姿勢からやや後方に倒して、実線で示すような斜め上向き姿勢にしてある。
このため、本実施形態では、焦点位置と液晶ライトバルブ2030Bの位置関係のずれに起因する画像の品位の低下を抑えるという観点から液晶ライトバルブ2030Bを傾ける角度に限界があって、実施の形態1ないし8などで説明した構成で光の方向を最適化するのを補いきれなくても、このような傾きの不足分を導光光学系の反射ミラー2026や集光レンズ2027Bの傾きによって補うことができる。よって、本実施形態によれば、液晶に入射する光の傾きを明視方向側に最適な条件にまで傾けることができる。
なお、液晶ライトバルブ2030Bに対する光軸の傾きは、上記のように集光レンズ2027Bや反射ミラー2026によって最適化することができるが、液晶ライトバルブ2030Rに対する光軸の傾きは、たとえば、集光レンズ2027Rや反射ミラー2047などよって行うことができ、液晶ライトバルブ2030Gに対する光軸の傾きは、たとえば、集光レンズ2027Gや緑反射ダイクロイックミラー2024などよって行うことができる。
【0093】
また、本実施形態の投射型表示装置のように、液晶ライトバルブ(液晶装置)が複数枚用いられている場合には、各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030B毎に、入射する光の光軸が各液晶ライトバルブの法線方向に対して傾く角度が最適な角度に設定されていることが好ましい。このように構成する際には、各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030B自身の傾きについては同等とし、対応する集光レンズや反射ミラーの傾きを各色毎に最適化することが好ましい。
【0094】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る液晶装置では、明視方向および逆明視方向に傾いた方向から入射した光のうち、逆明視方向に傾いた方向から入射した光が表示に寄与するのを抑えてあるので、コントラストの高い表示を行うことができる。それ故、投射型表示装置などにおいて、品位の高い画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した液晶装置を対向基板の側からみた平面図である。
【図2】図1に示す液晶装置をH−H′線で切断したときの断面図である。
【図3】図1に示す液晶装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】図1に示す液晶装置の画素領域の一部を抜き出して示す平面図である。
【図5】図4におけるA−A′線におけるアクティブマトリクス基板の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図7】図6に示す液晶装置のアクティブマトリクス基板および対向基板のそれぞれに形成した第1および第2の遮光膜の位置関係を示す平面図である。
【図8】図6に示す液晶装置のアクティブマトリクス基板および対向基板のそれぞれに形成した第1および第2の遮光膜の位置関係を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図10】図9に示す液晶装置のアクティブマトリクス基板および対向基板のそれぞれに形成した第1および第2の遮光膜の位置関係を示す平面図である。
【図11】図9に示す液晶装置のアクティブマトリクス基板および対向基板のそれぞれに形成した第1および第2の遮光膜の位置関係を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図13】図12に示す液晶装置の対向基板に形成したマイクロレンズと、アクティブマトリクス基板に形成した画素電極との位置関係を示す平面図である。
【図14】図12に示す液晶装置の対向基板に形成したマイクロレンズと、アクティブマトリクス基板に形成した画素電極との位置関係を示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態4の変形例に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態5に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態5の変形例に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態6に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態7に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態8に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態8の第1変形例に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図23】本発明の実施の形態8の第2変形例に係る液晶装置におけるアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図24】本発明を適用した液晶装置の使用例を示す表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【図25】本発明を適用した液晶装置の使用例を示す投射型表示装置の全体構成図である。
【図26】図25に示す投射型表示装置における液晶装置、集光レンズ、および反射ミラーの姿勢を改良した例を示す説明図である。
【図27】従来の液晶装置に用いたアクティブマトリクス基板、対向基板およびこれらの基板の貼り合わせ構造を拡大して示す断面図である。
【図28】液晶装置において基板間で液晶の長軸方向が90°捩じれていく様子を示す説明図である。
【図29】(A)、(B)はそれぞれ、液晶装置の3時−9時方向におけるコントラスト変化を示すグラフ、および液晶装置の6時−12時方向におけるコントラスト変化を示すグラフである。
【図30】液晶装置に斜め方向から光が入射する様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 液晶装置
4 画像表示領域
6 アクティブマトリクス基板側の第1の遮光膜
7 対向基板側の第2の遮光膜
8 画素電極
10 画素スイッチング用のTFT
20 アクティブマトリクス基板(第1の基板/他方の基板)
21 アクティブマトリクス基板側の第1の開口領域
30 対向基板(第2の基板/一方の基板)
31 対向基板側の第2の開口領域
32 対向電極
39 液晶
40 レンズアレイ基板
40A 中間屈折率層
40B 低屈折率層
40C 高屈折率層
41 マイクロレンズ
48 接着剤
49 薄板ガラス
52 シール材
81 画素電極の中心位置
90 データ線
91 走査線
211 第1の開口領域の中心位置
311 第2の開口領域の中心位置
411 マイクロレンズの光学的中心位置
Claims (4)
- 第1の基板と、前記第1の基板に対向する第2の基板と、前記第1および第2の基板の間に挟持された液晶とを有する液晶装置において、
前記第1の基板には、互いに交差するように設けられた複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線で囲まれた領域に設けられた画素電極と、前記データ線下で前記走査線を跨って形成されたチャネル領域を含む半導体層を有し、前記画素電極に対応して設けられた画素トランジスタと、前記画素トランジスタに重なり、前記複数の走査線に沿って形成された第1基板側遮光膜とを有し、
前記第2の基板には、前記データ線に重なる前記チャネル領域を含む半導体層の領域及び前記第1基板側遮光膜に重なるように設けられた第2基板側遮光膜を有し、
前記画素電極における前記データ線の延在方向に逆明視方向及び明視方向が存在し、前記第2基板側遮光膜の前記画素電極に対して前記逆明視方向側となる縁部は、第1基板側遮光膜の前記逆明視方向側となる縁部に対して、前記画素電極側に張り出していることを特徴とする液晶装置。 - 前記第1の基板には、前記画素電極に対して逆明視方向側となる前記走査線に対して前記画素電極側に蓄積容量が設けられ、前記蓄積容量は前記第1基板側遮光膜及び第2基板側遮光膜に対向することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 前記第1基板側遮光膜は第1の開口領域を有し、前記第2基板側遮光膜は第2の開口領域を有し、前記第2の開口領域の中心は、前記第1の開口領域の中心に対して明視方向側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に規定する液晶装置を用いた投射型表示装置であって、光源と、該光源から出射された光を前記液晶装置に導く集光光学系と、当該液晶装置で光変調した光を拡大投射する拡大投射光学系とを有することを特徴とする投射型表示装置。
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