JP3802815B2 - 保存庫の庫内の殺菌消臭方法および殺菌消臭機能付き保存庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素成分を含有する酸性電解生成水を殺菌消臭剤として利用して、保存庫の庫内を殺菌消臭する殺菌消臭方法、および、当該殺菌消臭方法を実施することができる殺菌機能付き保存庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の保存庫としては、特開2000−220949号公報に示されるように、高湿貯蔵室を備えた冷蔵庫が知られている。この冷蔵庫は、殺菌性又は抗菌性の処理水を生成するか、予め生成して貯溜し、その処理水を高湿貯蔵室へ供給するための処理水供給源と、この処理水供給源から供給される処理水を高湿貯蔵室内に噴霧する処理水噴霧装置とを備えている。また、この冷蔵庫の処理水供給源は、高湿貯蔵室の近傍に設置された電解槽と、この電解槽に水を供給する供給部と、電解槽に直流電流を供給することにより、水を電気分解し、陽極側に処理水としての酸性水を生成させる直流電流電源とから構成されている。かかる構成の冷蔵庫においては、冷蔵庫の高湿貯蔵室(又は野菜室)内に殺菌性又は抗菌性の酸性水が噴霧されるようになっている。これにより、高湿貯蔵室内面、および高湿貯蔵室内の食品に直接酸性水が付着するので、付着した酸性水によって高湿貯蔵室内面、および高湿貯蔵室内の食品が殺菌される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した冷蔵庫においては、酸性水を噴霧するための処理水噴霧装置(具体的には超音波振動子)を設けているので、その分コスト高となるという問題があった。また、酸性水を噴霧しているので、高湿貯蔵室内が必要以上に高湿となったり、また高湿貯蔵室内面、および高湿貯蔵室内の食品の表面がべたべたしたりするという問題もあった。
【0004】
本発明者は上記各問題に対処するために鋭意研究を行った結果、酸性電解生成水を上部に開口を設けた容器に入れて放置しておくと、この容器内の酸性電解生成水の有効塩素濃度が時間の経過にともなって徐々に減少する場合があることを見出した。さらに、酸性電解生成水の有効塩素濃度の減少率に基づいて塩素ガスの揮発率(塩素ガス濃度)を算出した結果によると、塩素ガス濃度は保存庫内を殺菌するのに十分に足る値であることも見出した。本発明者はこれら知見に基づいて本発明を完成させた。
【0005】
本発明の目的は、塩素成分を含有する酸性電解生成水を殺菌消臭剤として使用して、当該酸性電解生成水から揮発した塩素ガスを含む雰囲気の殺菌消臭能を利用することにより、保存庫内を必要以上に高湿とすることなく、かつ低コストにて同保存庫内を殺菌消臭することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、保存庫の庫内に収容した殺菌消臭剤を利用して前記庫内を殺菌消臭する保存庫の庫内の殺菌消臭方法であり、当該殺菌消臭方法は、前記殺菌消臭剤として塩素成分を含有する酸性電解生成水を採用するものであって、開放状態で収容した酸性電解生成水から揮発する塩素ガスによって前記庫内を塩素ガスを含む雰囲気に形成して、同雰囲気の殺菌消臭能を利用して前記庫内を殺菌消臭することを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る殺菌消臭方法においては、前記殺菌消臭液として、無機塩を電解質として含有する被電解水を有隔膜電解して生成される塩素成分を含有する酸性電解生成水を採用することができる。
【0008】
また、本発明は殺菌消臭機能付き保存庫であり、当該保存庫は、庫内に、殺菌消臭剤である塩素成分を含有する酸性電解生成水を収容する容器を備え、同容器は上部が開口していて収容されている酸性電解生成水の水面を前記庫内に開放し、前記酸性電解生成水から塩素ガスが前記庫内に揮発可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る保存庫においては、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水から前記塩素ガスが継続して揮発する持続時間を、前記酸性電解生成水の有効塩素濃度、前記酸性電解生成水の前記容器に対する収容量、または、前記酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発速度を調整することにより調整することができる。
【0010】
本発明に係る保存庫において、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度を、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水の前記庫内の空気と接触する接触面積を調整することによって調整することができる。
【0011】
本発明に係る保存庫において、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水の前記庫内の空気と接触する接触面積を減少させるにしたがって前記酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度を遅くするようにすることができる。
【0012】
本発明に係る保存庫においては、前記容器に収容される前記酸性電解生成水を、電解水生成装置を構成する有隔膜電解槽の陽極側電解室に連通する導出手段を通して、前記容器に供給するようにすることができる。
【0013】
【発明の作用・効果】
本発明に係る保存庫の庫内の殺菌消臭方法は、庫内に開放状態で収容した酸性電解生成水から自然に揮発する塩素ガスによって庫内を塩素ガスを含む雰囲気に形成して、同雰囲気の殺菌消臭能を利用して庫内を殺菌消臭するものである。当該殺菌消臭方法は、従来のごとく酸性電解生成水を殺菌消臭すべき対象に直接噴霧したり、または酸性電解生成水中に殺菌消臭すべき対象を浸したりすることにより殺菌消臭するのではなく、庫内の雰囲気を、酸性電解生成水から揮発した塩素ガスを所定濃度以上含む殺菌消臭能を有する雰囲気に形成することにより、当該雰囲気の殺菌消臭能を利用して庫内を殺菌消臭し、また庫内に存在する殺菌消臭すべき対象をも殺菌消臭する。したがって、保存庫の庫内を必要以上に高湿とすることなく、また低コストにて庫内を殺菌消臭することができる。
【0014】
本発明に係る保存庫おいては、酸性電解生成水の有効塩素濃度、酸性電解生成水の総容量、または酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発速度を調整することにより、この酸性電解生成水から塩素ガスが揮発する持続時間を容易に調整することができる。また、本発明においては、酸性電解生成水が庫内の空気と接触する接触面積を調整することにより、塩素ガスの揮発速度を容易に調整することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る保存庫の庫内の殺菌消臭方法は、被処理水を電気分解して生成した塩素成分を含有する酸性電解生成水を殺菌消臭剤として利用して、保存庫の庫内を殺菌消臭する殺菌消臭方法であって、庫内を、酸性電解生成水から揮発した塩素ガスを含む雰囲気にて殺菌消臭するものである。当該殺菌消臭方法は、従来のごとく酸性電解生成水を殺菌消臭すべき対象に直接噴霧したり、または酸性電解生成水中に殺菌消臭すべき対象を浸したりするのではなく、庫内に、酸性電解生成水から揮発した塩素ガスを所定濃度以上含む雰囲気を形成することにより、庫内を、その雰囲気中の塩素ガスによって殺菌消臭するものであり、またその雰囲気中に存在する殺菌消臭すべき対象をも殺菌消臭するものである。
【0016】
本発明に係る殺菌消臭方法にて採用する殺菌消臭剤である酸性電解生成水は、好ましくは、無機塩を電解質として含有する被電解水を電解して生成される塩素成分を含有する酸性電解生成水である。当該酸性電解生成水は、pHが5以下、有効塩素濃度が20〜60mg/Lであるものが好ましい。特に、pHが2.7以下のものが好ましい。
【0017】
殺菌消臭剤として使用する酸性電解生成水を生成する電解水生成装置には、隔膜にて区画された一対の区画室のそれぞれに電極を配置して形成された一対の電解室を有する電解槽と、両電極間に電圧を印加する電源と、各電解室に外部給水源からの被電解水を供給する給水手段と、各電解室にて被処理水を電気分解して生成した電解生成水を導出する導出手段を備える有隔膜式の電解水生成装置があり、また、電解槽内に隔膜を設けていない単一の電解室からなる電解槽を備える無隔膜式の電解水生成装置がある。本発明において使用する酸性電解生成水の生成には、特に、有隔膜式の電解水生成装置が好ましい。図2には、当該電解水生成装置の一例を示している。
【0018】
本発明に係る殺菌消臭方法の実施態様で、殺菌消臭剤として使用する酸性電解生成水は、上述した電解水生成装置(図2を参照)によって生成されるもので、被電解水を適宜の電解条件の下で電気分解することにより生成される。酸性電解生成水は、当該電解水生成装置を構成する電解槽における陽極側電解室にて生成される。本発明の被電解水としては、通常の水道水、井戸水などの水が好ましく、特に、電気分解を促進させる食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの無機塩(電解質)を少量含有する無機塩の希釈水溶液が好ましい。
【0019】
当該電解水生成装置による電気分解について詳述すると、電解槽の陽極側電解室では、下記化1〜化3に示す化学反応が生じている。
【0020】
【化1】
H2O → 1/2O2+2H++2e-
【0021】
【化2】
2Cl- → Cl2+2e-
【0022】
【化3】
当該電解水生成装置の電解運転では、電解槽の陽極側電解室での電気分解により、被電解水中の塩素イオン(Cl-)から塩素ガスが生じ、さらに、塩素ガスが水(H2O)と反応して塩酸(HCl)と次亜塩素酸(HClO)を生成する。また、水(H2O)は電気分解されて酸素(O2)と水素イオン(H+)となる。この結果、陽極側電解室では、塩素成分を含有する酸性電解生成水が生成される。
【0023】
本発明に係る殺菌消臭方法においては、上述したように生成された酸性電解生成水から揮発する塩素ガスを利用して殺菌消臭するものである。特に、酸性電解生成水から自然に揮発した塩素ガスを利用することが好ましい。例えば、生成した酸性電解生成水を、上部に開口を有する容器(例えばビーカのような有底筒状容器)に所定量だけ入れて、この容器を開閉自在の扉を設けた密閉可能な保存庫(例えば冷蔵庫)の庫内に収納して放置すれば、容器に収容された電解生成水から塩素ガスが自然に揮発する。これにより、庫内は、塩素ガスを所定濃度以上含む雰囲気に形成される。本発明に係る殺菌消臭方法では、当該雰囲気が含有する殺菌消臭能を利用して保存庫の庫内を殺菌消臭する。
【0024】
酸性電解生成水から塩素ガスが揮発する理由を説明する。生成された酸性電解生成水中には、次亜塩素酸と塩素が電解生成水のpHに応じて下記表1に示す存在率にて存在している。例えば、pHが約2.5の酸性電解生成水では、次亜塩素酸と塩素はほぼ80:20の割合でそれぞれ存在することとなる。そして、この割合を維持するように上記化3に示す化学反応の平衡状態が保たれる。
【0025】
【表1】
【0026】
一方、酸性電解生成水が保存庫の庫内の空気と接触していると、酸性電解生成水中に溶存している塩素は、その気液平衡を維持すべく空気中に塩素ガスとして揮発する(気化する)。この結果、酸性電解生成水中に溶存している塩素が減少するので、減少した分を補充すべく上記化3に示す左向きの化学反応が生じて、次亜塩素酸が減少するとともに塩素が増加して、酸性電解生成水をそのpHに応じた次亜塩素酸と塩素の存在比(例えば80:20)に維持しようとする。そして、酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発が続き、保存庫の庫内の塩素ガス濃度が高くなり、酸性電解生成水中の塩素と保存庫の庫内の塩素ガスが気液平衡に達すると、酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発は停止し、上記化3に示す左向きの化学反応も停止する。
【0027】
本発明に係る殺菌消臭方法においては、保存庫の庫内の塩素ガス濃度が所定範囲内(例えば、0.1ppm〜1.0ppm)となるようにすることが好ましい。この塩素ガス濃度は、酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発速度を調整することにより調整することが好ましい。塩素ガス濃度は、庫内を殺菌消臭するのに十分な量で、かつ人体に悪影響を及ぼさない量となるように設定することが好ましい。
【0028】
本発明に係る殺菌消臭方法においては、酸性電解生成水が空気と接触する接触面積を調整することにより、塩素ガスの揮発速度を調整するようにすることが好ましい。酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度は、下記表2から明らかなように、空気との接触面積が小さくなるにしたがって遅くなる。なお、揮発した塩素ガスの増加量と有効塩素濃度の減少量は相関関係にあり、揮発した塩素ガス量を有効塩素濃度の減少量に基づいて概算することができる。
【0029】
【表2】
【0030】
上記表2は、酸性電解生成水の有効塩素濃度と、空気との接触面積との関係を示したものであり、次のように作成したものである。有効塩素濃度38mg/Lの酸性電解生成水500mLを所定の開口面積(例えば、19.6cm2:直径5cm)のビーカに入れて、この電解生成水を所定の温度(20℃)に維持して空気と接触させて放置しておき、この電解生成水の有効塩素濃度を時間の経過とともに測定して作成したものである。そして、開口面積の異なる複数のビーカ(例えば58.1cm2:直径8.6cm、84.9cm2:直径10.4cm、132.7cm2:直径13cm、176.6cm2:直径15cm)に酸性電解生成水を入れたものについて前述と同様に電解生成水の有効塩素濃度を時間の経過とともにそれぞれ測定して作成する。なおこの場合、ビーカの開口面積が空気との接触面積となる。また、表2においては、直径5cmの場合についての所定時間経過毎の有効塩素濃度を○で示し、さらにこの場合の有効塩素濃度と時間の関係を示す曲線をf1で示す。これと同様に直径8.6cm、直径10.4cm、直径13cm、直径15cmの各場合について、所定時間経過毎の有効塩素濃度をそれぞれ×,△,●,▲で示し、さらに有効塩素濃度と時間の関係を示す曲線をそれぞれf2,f3,f4,f5で示す。
【0031】
なお、本明細書中において有効塩素濃度とは、水溶液中の有効塩素の濃度のことをいい、有効塩素とは水溶液中の塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンのことをいう。
【0032】
本発明に係る殺菌消臭方法においては、酸性電解生成水の温度を調整することにより、塩素ガスの揮発速度を調整するようにすることが好ましい。また、内部温度が低温である保存庫(例えば、冷蔵庫)に酸性電解生成水を収納して殺菌消臭するにすることが好適である。酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度は、下記表3から明らかなように、酸性電解生成水の温度が低くなるにしたがって遅くなる。
【0033】
【表3】
【0034】
上記表3は、酸性電解生成水の温度と有効塩素濃度との関係を示したものであり、次のように作成したものである。開口面積50cm2のビーカに有効塩素濃度41mg/Lの酸性電解生成水を500mL入れて、この電解生成水を所定の温度(例えば10℃)に維持して空気と接触させて放置しておき、この電解生成水の有効塩素濃度を時間の経過とともに測定して作成したものである。そして、電解生成水の温度を変えて(25℃、40℃)前述と同様に、電解生成水の有効塩素濃度を時間の経過とともにそれぞれ測定して作成する。なお、表3においては、10℃,25℃,40℃の各場合についての所定時間経過毎の有効塩素濃度をそれぞれ●,▲,■で示す。
【0035】
本発明に係る殺菌消臭方法においては、酸性電解生成水の有効塩素濃度、酸性電解生成水の総容量、または酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発速度を調整することにより、酸性電解生成水から塩素ガスが揮発する持続時間を調整するようにすることが好ましい。すなわち、酸性電解生成水の有効塩素濃度を高く、酸性電解生成水の総容量を多く、また酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発速度を遅くすることにより、持続時間を長くすることができる。なお、持続時間とは、所定容積の保存庫の庫内に所定容量の酸性電解生成水を収納した場合について、酸性電解生成水から塩素ガスが揮発を開始した時点から終了した時点までの時間のことをいい、換言すれば、酸性電解生成水の有効塩素濃度がほぼ0mg/Lとなるまでにかかる時間のことをいう。
【0036】
次に、本発明に係る殺菌消臭機能付き保存庫の一例を図1に示す。当該保存庫は、本発明に係る殺菌消臭方法を実施して、庫内の殺菌消臭を行うことができるもので、当該保存庫としては、例えば冷蔵庫40が挙げられる。この冷蔵庫40は、前部に開口41aを有する本体41と、本体41前部に開閉自在に設けられて閉時に前部開口41aを密封する扉42a,42bとから構成されている。冷蔵庫40の庫内には食品などが収納されて保存される。
【0037】
この冷蔵庫40の庫内には、塩素成分を溶存した酸性電解生成水を内部に収容し上部に開口50aを有する容器50が収納されている。この容器50としては、円柱状有底容器(例えばビーカなど)が好適である。すなわち、容器50の内径が容器50の開口50aの内径と同じものが好ましい。この容器50には、酸性電解生成水が冷蔵庫40の庫内の空気と接触する接触部50bが設けられている。本実施の形態においては、接触部50bは酸性電解生成水と空気との界面のことをいい、この接触部50bの接触面積は容器50の開口部50aの開口面積と同じである。
【0038】
なお、接触部50bの接触面積(酸性電解生成水が空気と接触する接触面積)を調整することにより、塩素ガスの揮発速度を調整するようにすることが好ましく、接触部50bの接触面積が減少するにしたがって酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度は遅くなる。
【0039】
本発明に係る殺菌消臭方法にて殺菌消臭剤として採用する酸性電解生成水は、電解水生成装置によって生成される。電解水生成装置の一例を図2を参照して説明する。電解水生成装置は、有隔膜式の電解槽10を主体とするもので、この電解槽10は、隔膜11にて区画された一対の区画室に電極14,15を配設されて形成された電解室12,13を備えたものである。両電極14,15は直流電源60に接続されており、両電極14,15に対する電圧の印加は制御装置(図示省略)によって制御されるようになっている。
【0040】
各電解室12,13には、各供給管21,22および各導出管31,32がそれぞれ接続されている。各供給管21,22は給水管23に接続されていて、外部給水源(例えば水道管)に接続された給水管23を通して供給される被電解水(水道水、希薄食塩水等)が各電解室12,13にそれぞれ供給されるようになっている。各導出管31,32は、電解槽10の各電解室12,13にて生成された電解生成水(酸性電解生成水およびアルカリ性電解生成水)を外部に導出するようになっている。
【0041】
当該電解水生成装置の陽極側電解室にて生成された酸性電解生成水は、図2に示す冷蔵庫40が装備する容器50に収容されて、殺菌消臭剤として使用される。当該冷蔵庫40においては、所定の有効塩素濃度の酸性電解生成水を所定容量だけ入れた容器50を冷蔵庫40の庫内に放置すると、酸性電解生成水に溶存した塩素が気液平衡を維持すべく自然にガス状態(塩素ガス)として揮発する。そして、この揮発した塩素ガスは、冷蔵庫40の庫内を塩素ガスを含む雰囲気に形成する。冷蔵庫40の庫内は、当該雰囲気中の塩素ガスによって殺菌消臭される。
【0042】
上述した説明から理解できるように、この実施の形態においては、従来のごとく酸性電解生成水を殺菌消臭すべき対象に直接噴霧したり、または酸性電解生成水中に殺菌消臭すべき対象を浸したりすることにより殺菌消臭するのではなく、保存庫(例えば冷蔵庫40)の庫内を、酸性電解生成水から揮発した塩素ガスを所定濃度以上含む雰囲気に形成して、庫内を当該雰囲気中の塩素ガスによって殺菌消臭し、またその雰囲気中に存在する殺菌消臭すべき対象をも殺菌消臭する。したがって、本発明に係る殺菌消臭方法を採れば、保存庫の庫内を必要以上に高湿とすることなく、また低コストにて庫内を殺菌消臭することができる。
【0043】
また、酸性電解生成水の有効塩素濃度、酸性電解生成水の総容量、または酸性電解生成水からの塩素ガスの揮発速度を調整することにより、この酸性電解生成水から塩素ガスが揮発する持続時間を簡便に調整することができる。また、酸性電解生成水が空気と接触する接触面積を調整することにより、塩素ガスの揮発速度を簡便に調整することができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態においては、酸性電解生成水を入れる容器として、開口面積が容器の内径と同一である円柱状有底容器を採用したが、これ以外の容器例えば開口面積が容器の内径より小さい円柱状有底容器を採用するようにしてもよい。このとき、開口面積を調整することにより容器から保存庫内に流出する塩素ガスの流量を調整することが好ましい。
【0045】
また、上述した実施の形態において、容器50内の酸性電解生成水を交換する際には、冷蔵庫40内の容器50を取り出して、容器50内の酸性電解生成水を新しい酸性電解生成水に入れ替えて、新しい酸性電解生成水の入った容器50を再び冷蔵庫40内に戻せばよい。
【0046】
また、上述した容器50と、外部に設けた酸性電解生成水を貯蔵するタンクとを接続して酸性電解生成水が循環する循環系を形成するようにし、容器50とタンク間に酸性電解生成水を循環させるようにするとよい。これによれば、少なくともタンクの容量分だけ酸性電解生成水の容量を多くすることとなるので、容器50内の酸性電解生成水を交換する手間をできるだけ省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る保存庫の一実施の形態を示す正面図(a)、および、同保存庫の庫内を示す正面図(b)である。
【図2】本発明に係る殺菌消臭剤として採用する酸性電解生成水を生成する電解水生成装置の概略図である。
【符号の説明】
10…電解槽、11…隔膜、12,13…電解室、14,15…電極、21,22…供給管、31,32…導出管、40…冷蔵庫(保存庫)、50…容器。
Claims (7)
- 保存庫の庫内に収容した殺菌消臭剤を利用して前記庫内を殺菌消臭する保存庫の庫内の殺菌消臭方法であり、当該殺菌消臭方法は、前記殺菌消臭剤として塩素成分を含有する酸性電解生成水を採用するものであって、開放状態で収容した酸性電解生成水から揮発する塩素ガスによって、前記庫内を塩素ガスを含む雰囲気に形成して、同雰囲気の殺菌消臭能を利用して前記庫内を殺菌消臭することを特徴とする保存庫の庫内の殺菌消臭方法。
- 請求項1に記載の保存庫の庫内の殺菌消臭方法において、前記殺菌消臭剤は、無機塩を電解質として含有する被電解水を有隔膜電解して生成される塩素成分を含有する酸性電解生成水であることを特徴とする保存庫の庫内の殺菌消臭方法。
- 庫内を殺菌消臭する機能を備える保存庫であり、当該保存庫は、庫内に、殺菌消臭剤である塩素成分を含有する酸性電解生成水を収容する容器を備え、同容器は上部が開口していて収容されている酸性電解生成水の水面を前記庫内に開放し、前記酸性電解生成水から塩素ガスが前記庫内に揮発可能に構成されていることを特徴とする殺菌消臭機能付き保存庫。
- 請求項3に記載の保存庫において、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水から前記塩素ガスが継続して揮発する持続時間は、前記酸性電解生成水の有効塩素濃度、前記酸性電解生成水の前記容器に対する収容量、または、前記酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度を調整することにより調整されることを特徴とする殺菌消臭機能付き保存庫。
- 請求項3に記載の保存庫において、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度は、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水の前記庫内の空気と接触する接触面積を調整することによって調整されることを特徴とする殺菌消臭機能付き保存庫。
- 請求項5に記載の保存庫において、前記容器に収容されている前記酸性電解生成水の前記庫内の空気と接触する接触面積を減少させるにしたがって、前記酸性電解生成水から揮発する塩素ガスの揮発速度を遅くすることを特徴とする殺菌消臭機能付き保存庫。
- 請求項3〜6のいずれか一項に記載の保存庫において、前記容器に収容される前記酸性電解生成水は、電解水生成装置を構成する有隔膜電解槽の陽極側電解室に連通する導出手段を通して、前記容器に供給されることを特徴とする殺菌機能付き保存庫。
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