JP3802577B2 - はんだ付け用フラックス - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、はんだ付けに使用するフラックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
はんだ付けにおいては、母材表面の酸化物の除去、母材及び溶融はんだの酸素からの遮断、はんだの濡れ性(広がり)の促進等のために、フラックスの使用が不可欠であり、通常、ロジンのみでは活性力が弱く、母材の酸化膜除去作用を全うさせ難いので、活性剤を添加している。
【0003】
この場合、はんだ付け条件に応じ、活性温度、活性持続性等の活性特性を吸湿性、マイグレ−ション防止等の要件を満たしつつ充足させるために、有機アミンのハロゲン化水素酸塩、有機酸、有機酸と有機アミンの塩等の活性成分で相互に補完し合うべく、これらを併用しており、その有機酸としてHOOC-(CH2)n-COOH(n=0〜12)で示される飽和二塩基酸、これらの異性体、炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸等が使用されることがある。
【0004】
しかしながら、これらの活性成分〔HOOC-(CH2)n-COOH(n=0〜12)で示される飽和二塩基酸、これらの異性体、炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸等。以下、腐食性活性成分と称する〕を含有するフラックスにおいては、はんだ付け後、フラックス残渣を残したままとすると、フラックス残渣中の腐食性活性成分と母材とが錯化物生成反応等の反応を呈し、母材表面の侵食、変色(以下、単に腐食と称する)が生じ、はんだ付け部の信頼性を保証し難い。
【0005】
旧来、プリント回路基板を対象としたフロ−法、リフロ−法のはんだ付け作業では、はんだ付け後にフラックス残渣をフロン系洗浄液で洗浄除去していた。
而るに、近来、フロン化合物のオゾン層破壊による地球環境破壊が地球規模のもとで問題視されるに至り、代替洗浄液としてアルコ−ル(主にイソプロピルアルコ−ル)、水(水溶性フラックスの使用またはケン化剤の添加が必要となる)、準水系洗浄液、分子中に水素原子を含む代替フロン(例えば、HCFC−225)等の使用が検討されているが、アルコ−ルでは引火点が低く危険であり、水または準水系では、やっかいな排液処理を必要とし、また、微細部分の乾燥が容易ではなく、更に、高コストの特殊な洗浄装置(例えば、超音波洗浄装置)を必要とし、代替フロンでは、オゾン破壊係数及び地球温暖化係数が0乃至僅小であることが要求され、高価である等の問題がある。
【0006】
而して、無洗浄フラックスが検討されつつあり、フラックス残渣による母材(導体)腐食を抑制するために、ベンゾトリアゾ−ル化合物を添加すること(特開平3−238195号公報)、没食子酸エステルを添加すること(特公4−33557号公報等)等が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ベンゾトリアゾ−ル化合物の添加は、フラックス残渣中の腐食性活性成分による母材腐食を抑制し得ても、はんだの広がり性を損じる不具合があり、没食子酸エステルの添加は、母材の腐食を抑制し得、はんだの広がりもよく保証できるが、高価である不具合がある。
【0008】
そこで、本発明者においては、フラックス残渣中の腐食性活性成分による母材腐食を抑制し得、はんだの広がりを助長し得る安価な成分を、鋭意探究したところ、フマル酸の添加が有効であることを知った。
【0009】
フマル酸自体は、不飽和脂肪族の二塩基酸であり、そのシス体であるマレイン酸に較べ、活性力が低いが、活性成分として使用することは知られている。しかし、本発明者においては、上記HOOC-(CH2)n-COOH(n=0〜12)で示される飽和二塩基酸、これらの異性体、炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸(ただしフマル酸を除く)の何れかを活性成分として含有するフラックスに対し、予想外にも、フマル酸の添加が、フラックス残渣中の腐食性活性成分による母材腐食を有効に抑制し得、はんだの広がりを有効に助長し得ることを見出した。
【0010】
本発明の目的は、かかる知見に基づき、フラックス残渣中の腐食性活性成分による母材腐食を抑制し得、はんだの広がりを助長し得る低廉なはんだ付け用フラックスを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るはんだ付け用フラックスは、母材に対してHOOC−(CH 2 ) n −COOH(n=1〜12)で示される飽和二塩基酸、炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸(ただしフマル酸を除く)の何れかに属する腐食性の活性成分を含有しているフラックスに、腐食抑制剤としてフマル酸を、前記腐食性活性成分と同モル以上で、フラックス組成物の5重量%以下添加したことを特徴とする。
【0012】
フマル酸の添加量は、母材に対して腐食性の活性成分とほぼ同モル若しくはそれ以上とされるが、フラックス組成物の5重量%を越えると、マイグレ−ション発生等の信頼性低下が招来されるので、フラックス組成物の5重量%以下とすることが適切である。
【0013】
上記HOOC-(CH2)n-COOH(n=0〜12)で示される飽和二塩基酸としては、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
【0014】
上記炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸(ただしフマル酸を除く)としては、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
【0015】
本発明に係るはんだ付け用フラックスは、ロジンまたは/および変性ロジン、上記した腐食性活性成分を含む活性剤並びにフマル酸を少なくとも含有し、活性剤には、上記腐食性活性成分と他の活性成分(有機アミンのハロゲン化水素酸塩、上記腐食性活性成分並びにフマル酸を除く有機酸、有機酸と有機アミンの塩等の一種又は二種以上)の併用または上記腐食性活性成分単独が使用され、用途に応じ、溶剤により所定の粘度に調整される。
【0016】
このロジンまたは/および変性ロジンには、天然ロジン、重合ロジン、フェノ−ル変性ロジン、マレイン化ロジン、水素添加ロジン等を使用でき、溶剤には、アルコ−ル、エ−テル等の有機溶剤を使用でき、イソプロピルアルコ−ル、エチルアルコ−ル等が使用される。
【0017】
本発明に係るはんだ付け用フラックスは、プリント回路基板に孔において回路素子のリ−ド線を挿入支持し、更に、槽内液状フラックスを多孔セラミックス管や焼結金属管等の多孔質管からの噴出エア−により発泡させつつ、その発泡液面上にプリント回路基板を通過させて当該フラックスを塗布し、次いで、この回路基板を予熱のうえ、噴流はんだ浴または静止はんだ浴に2〜4秒浸漬して回路素子のリ−ド線を回路基板の導体にはんだ付けし、フラックス残渣を洗浄除去することなく残存させる場合(フロ−法)の液状フラックスに使用でき、液状化には、イソプロピルアルコ−ルを使用できる。
【0018】
本発明に係るはんだ付け用フラックスは、チップ型の回路素子をクリ−ムはんだによりプリント回路基板に粘着支持し、次いで、この回路基板を所定の加熱パタ−ンの加熱炉(たとえば、赤外線加熱炉。加熱パタ−ンは、例えば、1〜3分程度の予熱ゾ−ン、数秒程度のはんだ付け加熱ゾ−ン、数十秒程度の冷却ゾ−ンからなる)に通しクリ−ムはんだを溶融させることによりはんだ付けし、フラックス残渣を洗浄除去することなく残存させる場合(リフロ−法)のクリ−ムはんだのフラックスに使用でき、この場合のフラックスのペ−スト化には、高沸点溶剤及びゲル化剤、例えば、ヘキシレングリコ−ルと水添ヒマシ油を使用できる。本発明に係るはんだ付け用フラックスは、所謂、やに入りはんだのフラックスにも使用できる。
【0019】
【作用】
単独で用いると、フラックス残渣と母材との接触下、母材の侵食、変色を促す腐食性活性成分が含有されているにもかかわわず、フマル酸の腐食抑制作用のために、母材の侵食、変色が抑制され、はんだ付け部の信頼性が保証される。この腐食抑制作用の機構は定かではないが、その作用は、次ぎに述べる実施例と比較例との銅板腐食試験結果から確認できる。
【0020】
また、次ぎに述べる実施例と比較例との広がり試験結果から確認できる通り、フマル酸添加のために、はんだの広がり性が向上され、はんだの母材への濡れの促進、毛細管現象による細部へのはんだの浸透により、優れたはんだ付け作業性が保証される。
【0021】
【実施例】
ベ−スフラックスには、フロ−法用フラックスである、重合ロジン10重量%、シクロヘキシルアミンHBr0.3重量%、パルミチン酸1.0重量%、イタコン酸0.3重量%、イソプロピルアルコ−ル残部を使用した。
【0022】
〔実施例〕
上記ベ−スフラックスにフマル酸を0.5重量%添加した。
〔比較例1〕
上記ベ−スフラックスそのままとした。
〔比較例2〕
上記ベ−スフラックスにベンゾトリアゾ−ルを0.5重量%添加した。
〔比較例3〕
上記ベ−スフラックスに没食子酸エチルを0.5重量%添加した。
【0023】
これらの実施例並びに比較例の各フラックスについて、JIS Z 3197の6.10に準じた次ぎの広がり試験並びに同じく6.6.1に準じた次ぎの銅板腐食試験を行った。
〔広がり試験〕0.3×50×50mmのJIS H 3100に規定するりん脱酸銅板の表面を金属研磨材により研磨し、約150℃の電気炉中で1時間酸化処理して試験板とした。JIS Z 3282に規定するH60 −W1.6の線状はんだの直径3.2mm棒への一巻きを切断し、この切断片を試験板上に載せ、その中心にフラックス0.3gを載せ、250℃で加熱して前記のはんだ切断片を溶融させて広ろがらせ、広がったはんだの高さH(mm)、はんだ切断片を球とみなした場合の直径D(mm)から、広がり率(%)=100×(D−H)/Dを求めた。
【0024】
〔銅板腐食試験〕
上記研磨銅板の表面をアルコ−ルで洗い、乾燥し、このうえにフラックス0.3gを載せ、245℃で5秒加熱して融解し、常温で冷却して試験片を4箇作り、3箇を腐食試験片とし、1箇は常温乾燥状態で保管して比較試験片とした。3箇の腐食試験片を温度40±2℃、相対湿度90〜95%の恒温恒湿槽に入れ、連続96時間放置した後、比較試験片と比較して腐食の有無を調べた。
【0025】
これらの試験結果は次ぎの通りである。
【0026】
これらの試験結果から、はんだ残渣との接触による母材の腐食がフマル酸添加無しの比較例1においては生じているのに対し、実施例ではフマル酸の添加により同腐食を排除できることが明らかである。
更に、ベンゾトリアゾ−ル添加の比較例2では、はんだの広がり性が添加無しの場合(比較例1)に較べ低下しているのに対し、実施例ではフマル酸の添加により添加無しの場合の同等以上となっており、はんだの広がりの促進が期待できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係るはんだ付け用フラックスによれば、はんだの活性成分に母材を腐食させるような成分が含有されていても、フマル酸の添加によりその腐食を抑制し得、しかも、はんだの広がりを促進できるから、はんだ付け後でのフラックス残渣の洗浄除去を省略し得、はんだ付けの信頼性を確保のうえ、作業性の向上を図ることができる。
Claims (2)
- 母材に対してHOOC−(CH 2 ) n −COOH(n=1〜12)で示される飽和二塩基酸、炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸(ただしフマル酸を除く)の何れかに属する腐食性の活性成分を含有しているフラックスに、腐食抑制剤としてフマル酸を、前記腐食性活性成分と同モル以上で、フラックス組成物の5重量%以下添加したことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
- HOOC−(CH 2 ) n −COOH(n=1〜12)で示される飽和二塩基酸がしゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸の何れかであり、炭素−炭素結合に二重結合を有する二塩基酸がマレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の何れかであることを特徴とする請求項1記載のはんだ付け用フラックス。
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- 1994-09-02 JP JP23424994A patent/JP3802577B2/ja not_active Expired - Fee Related
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