JP3802410B2 - 飲食物供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封された流動性の飲食物を柔軟性チューブから吐出するポンプ手段を用いた飲食物供給装置に関し、特に、その停止時に飲食物を外部と遮断する飲食物供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流動性の飲食物を導くチューブを回転ローラ等によってしごき、所定量の飲食物を吐出するチューブポンプが使用されている。例えば、このようなチューブポンプを使用した飲食物供給装置としては、シロップ等の濃縮原液と希釈用の冷水等を同時にコップ等の受容器に吐出して、ジュース等の飲料を提供する飲料用ディスペンサがある。このような飲料用ディスペンサでは、濃縮原液は、箱に収納されたビニール袋等の容器に充填されて、その容器に接続されたチューブが箱の外部へ延ばされている。図3は、このような飲料用ディスペンサを示す正面図であり、特に表扉2を開けた状態を示したものである。
【0003】
飲料用ディスペンサ1は、上部に、シロップを充填した容器4が納められた容器収納庫3が設けられ、その下部に、シロップを所定量吐出するための送出部5が設けられている。容器4にはシロップを導くチューブ7が接続され、チューブ7の先端部である吐出口8が送出部5から下方へ突出している。送出部5には、チューブ7をしごくためのチューブポンプ10と、チューブ7の下端付近を位置決めして固定するとともに開閉機能を有するピンチソレノイド11と、希釈用の冷水等を吐出するノズル12とが設けられている。チューブポンプ10にはチューブ7を圧迫する複数個のローラ9が取り付けられており、チューブポンプ10が不図示のモータによって回動されることによって、チューブ7内のシロップが押し流される。また、送出部5の下方には、受容器をセットするためのトレイ13が設けられている。
【0004】
この飲料用ディスペンサ1の飲料供給動作を説明する。まず、ピンチソレノイド11を開放し、チューブポンプ10を回動させる不図示のモータを駆動する。この不図示のモータによって、チューブポンプ10が時計回り方向へ回転され、チューブ7のローラ9に圧迫されている箇所が吐出口8方向へ移動する。これによって、ローラ9に圧迫された複数の箇所の間に封入されているシロップが吐出口8の方向へ押し流され、受容器へ吐出される。シロップの吐出量は、チューブポンプ10の回転角度によって制御されている。また、シロップの吐出と同時にノズル12から希釈用の冷水等が所定量吐出され、受容器内で混合されることによって、受容器内に適切な濃度の飲料が提供される。そして、所定量のシロップを吐出したらチューブポンプ10の回転を停止し、ピンチソレノイド11を閉止して供給動作を終了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の飲料用ディスペンサ1では、図3に示すように、ピンチソレノイド11は吐出口8よりやや上方にある。そのため、チューブポンプ10を停止した後、ピンチソレノイド11を閉止すると、ピンチソレノイド11と吐出口8との間にシロップが残留する。吐出口8は外部に開口しているので、そこから異物が侵入するおそれがあり、不衛生になる問題があった。
【0006】
また、この残留したシロップが、供給停止中に重力によって垂れ下がったり、垂れ落ちたりする場合があった。あるいは、長時間にわたって供給停止されると、吐出口8付近のシロップが乾燥して変質し、例えば固化等するおそれがあった。このような垂れ落ちや変質したシロップは、本来は次回の飲料供給時のシロップ吐出量の一部であり、次回の吐出量が不安定となるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、より衛生的であり、また安定した吐出量を得ることができる飲食物供給装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、飲食物が充填されたチューブの吐出口付近を開閉するピンチソレノイドと、該ピンチソレノイドより該チューブの上流側に配設されて該チューブを組み付けられるポンプ手段を備え、該ポンプ手段が回転されることによって該チューブをしごいて飲食物を送り出すことが可能なチューブポンプと、該チューブポンプを正逆方向に回転させるモータと、を有し、該ピンチソレノイドが該チューブの吐出口付近を開放した状態で、該モータが該チューブポンプを正方向に駆動させることによって飲食物を吐出口方向へ送り出す飲食物供給装置において、飲食物が前記ピンチソレノイドによる閉止箇所より上流に引き込まれるまで、前記モータによって前記チューブポンプを逆方向に回転させ、その後、前記ピンチソレノイドを動作させて前記チューブを閉止する制御手段を有することを特徴とする。
【0009】
この飲食物供給装置では、飲食物を充填したチューブの吐出口付近が閉塞手段で開閉され、チューブ内の飲食物がポンプ手段によって送り出される。このポンプ手段が、駆動手段によって正方向に駆動されると、飲食物が吐出口方向へ送り出される。この飲食物供給装置では、制御手段を有し、その制御手段が駆動手段によってポンプ手段を逆方向に駆動させるので、チューブ内の飲食物が吐出口から逆方向へ引き込まれる。従って、吐出口付近に飲食物が残留しない状態となる。さらに、その後、閉塞手段を動作させてチューブを閉止するので、飲食物の残留しない吐出口付近のチューブを閉止することができ、それより上流側の飲食物の充填されている部分が閉塞手段によって密封されるようにできる。このようにすれば、閉塞手段から吐出口までの、外部に開口している部分に飲食物が残留しないので、吐出口から異物が侵入したとしても不衛生になるおそれはない。さらに、長時間の停止状態であっても、飲食物は閉塞手段によって閉止されているので、飲食物の垂れ落ちや垂れ下がりが発生しない。また、乾燥による変質も発生しないので次回の吐出量が不安定となることはない。従って、より衛生的であり、また安定した吐出量を得ることができる。
【0010】
【0011】
この飲食物供給装置では、ポンプ手段がチューブポンプであり、駆動手段がモータであるので、モータを正逆方向に回転させることで、チューブポンプを正逆方向に回転させることができる。そして、チューブポンプの回転方向にチューブがしごかれて、飲食物を吐出口方向へ送り出したり、逆方向に引き込んだりすることが可能である。また、チューブを閉塞する閉塞手段がピンチソレノイドであるので、チューブを挟んでその位置で閉塞して密封することができる。従って、ピンチソレノイドから吐出口までの、外部に開口している部分に飲食物が残留しないようにすることができ、より衛生的であり、また安定した吐出量を得ることができる。
【0012】
【0013】
よって、本発明の飲食物供給装置では、停止状態において、閉塞手段から吐出口までの外部に開口している部分に飲食物が残留しない。従って、より衛生的であり、また安定した吐出量を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本実施の形態の飲食物供給装置は、従来の技術で説明した飲料用ディスペンサ1に組み込まれて設けられたものである。飲料用ディスペンサ1の全体構造は従来と同様であり、図3に示すように、容器4内のシロップが送出部5によってトレイ13上の受容器に吐出され、同時にノズル12から吐出される希釈水によって希釈されて供給されるものである。図1は、送出部5の正面図である。
【0015】
送出部5には、従来と同様に、容器4に接続されたチューブ7をしごくためのチューブポンプ10と、チューブ7の下端付近を位置決めして固定するとともに開閉機能を有するピンチソレノイド11と、希釈用の冷水等を吐出するノズル12とが設けられている。そのうち、チューブポンプ10とピンチソレノイド11とを合わせた、チューブ7からシロップを吐出するための構成部分が本実施の形態の飲食物供給装置に相当する。
【0016】
チューブポンプ10は、その内部に3個の円筒形状のローラ9が互いに等角度間隔に設けられている。チューブポンプ10の側方には、円弧形のチューブガイド15が設けられ、ローラ9は、チューブガイド15との協働によってチューブ7の一部を閉塞するものである。また、ローラ9は、それぞれ、チューブポンプ10に取り付けられた軸に対して回動可能であり、チューブガイド15に対応しない位置にあるときには回動自在である。チューブポンプ10の上方には、チューブガイド15を受け止めるチューブガイドストッパ16が設けられている。また、チューブガイド15は、チューブガイド軸17の回りに回動可能に設けられており、チューブガイドロック18によって固定される。そして、チューブガイド15とチューブガイドストッパ16とが当接することによって、チューブ7の上端付近は、閉塞されない程度に挟持されている。
【0017】
このチューブポンプ10は、回転手段に相当するモータ25(図2参照)によって、軸19の回りに3個のローラ9ごと回動可能とされている。ここでは、チューブポンプ10の図中矢印方向すなわち時計回り方向への回転が、シロップを吐出口8方向へ送り出すための回転方向であり、正方向回転である。また、この飲料用ディスペンサ1には、モータ25とピンチソレノイド11等を制御してシロップや希釈水の吐出を調整し、飲料を適切に供給するための制御部20が搭載されている。図2は、飲料用ディスペンサ1のシステムブロック図を示したものである。
【0018】
制御部20は、使用者の指示に従って、適切な濃度で適切な量の飲料を供給するように、シロップを吐出する送出部5や希釈水を吐出する希釈水ライン30を制御する。制御部20には、マイコンが使用され、CPU21を中心に送出部5や希釈水ライン30に制御信号を出力する出力部22と、使用者によって指示が入力される入力部23と、各種プログラムやデータを記憶する記憶部24とがそれぞれ接続されている。入力部23は、例えば表扉2に設けられたスイッチであり、使用者によって飲料の供給量等が指示される。
【0019】
次に、上記のように構成された飲料用ディスペンサ1の飲料供給動作を説明する。図1に示す状態では、3個のローラ9のうち2個はチューブガイド15に対応して、チューブ7を閉塞している。そして、その2個のローラ9の間にはシロップが封入されている。ここで、使用者によって入力部23から飲料の供給要求が入力されると、CPU21は、記憶部24に記憶されているデータを参照して、シロップと希釈水とのそれぞれの吐出量を求める。さらに、シロップの吐出量から、チューブポンプ10の回転角度ひいてはモータ25の回転角度を求める。モータ25としてステッピングモータを使用すれば、その回転角度は回転ステップ数で制御できる。ステッピングモータ以外であれば、制御部20は、モータ25の回転角度をエンコーダで読みとって制御する。
【0020】
そこで、制御部20はピンチソレノイド11に信号を送出し、チューブ7の吐出口8を開放する。そして、モータ25に信号を送出して正回転させることで、チューブポンプ10を時計回り方向に回転させる。これによって、ローラ9によってチューブ7がしごかれ、その封入されたシロップが吐出口8の方へ押し進められ、不図示の受容器に吐出される。このとき、制御部20は、チューブポンプ10の回転角度によって吐出されるシロップの量を調整し、同時に、希釈水ライン30に信号を送出して、適量の冷水をノズル12から受容器に吐出させる。これらを不図示の受容器内で混合し、適切な濃度で適切な量の飲料を供給する。
【0021】
飲料の供給が終了すると、制御部20は、モータ25に信号を送出してモータ25を逆回転させる。シロップは粘性が大きく、また、容器4やチューブ7の内部には外部から空気が入り込まない構造であるので、チューブ7内のシロップは容易には垂れ落ちない。そのため、上記のように飲料供給動作を終了した直後は、チューブ7内には吐出口8までシロップが充填された状態である。そこで、モータ25を逆回転させ、チューブポンプ10を反時計方向に回転させると、ローラ9とチューブガイド15とによって挟み込まれているチューブ7の閉塞部分が、吐出時とは逆に上方へ向かって移動する。これによって、チューブ7内のシロップが逆流し、吐出口8近傍にあったシロップは吐出口8から引き戻されてピンチソレノイド11の方へ移動する。
【0022】
このときの逆回転角度は、シロップがピンチソレノイド11より下方の開口部分に残らないように、シロップの下端が、ピンチソレノイド11による閉止箇所より上まで戻るように決められる。また、多く戻しすぎれば、次回の吐出に時間がかかり、余分な空気がチューブ7中に入ることによって異物が混入するおそれもある。そこで、この逆回転角度をローラ9の移動距離が吐出口8とピンチソレノイド11との距離に相当するように設定し、シロップの下端が、チューブ7のピンチソレノイド11によって閉止される位置までちょうど戻るようにされていればより望ましい。この逆回転角度は記憶部24に記憶されて、制御部20は、記憶部24から読み出した逆回転角度だけモータ25を逆回転させた後、ピンチソレノイド11に信号を送出して動作させ、ピンチソレノイド11によってチューブ7を閉止する。
【0023】
このようにすれば、ピンチソレノイド11から吐出口8までの間のチューブ7にはシロップが残存しない状態で、飲料用ディスペンサ1を停止させることができる。そして、次回からの飲料供給時には、制御部20は、上記の逆回転角度と同じだけチューブポンプ10を正回転させ、さらに飲料のためのシロップの吐出量に対応した回転角度だけチューブポンプ10を正回転させる。これによって、常に適切な量のシロップを吐出することができる。
【0024】
以上詳細に説明したように本実施の形態の飲料用ディスペンサ1によれば、チューブ7の吐出口8付近がピンチソレノイド11で開閉され、そのチューブ7がチューブポンプ10によってしごかれてシロップが送り出される。このチューブポンプ10が、モータ25によって正方向に回転されると、チューブ7が正方向にしごかれ、シロップが吐出口8から吐出される。さらに、停止時には、制御部20がモータ25を逆回転させるので、チューブ7が逆方向にしごかれ、シロップは逆流されて吐出口8付近に残留しない。その後、ピンチソレノイド11によってチューブ7を閉止するので、シロップの残留しない部分を閉止することができ、シロップはピンチソレノイド11によって密封される。これにより、ピンチソレノイド11から吐出口8までの、外部に開口している部分にシロップが残留しないので、吐出口8から異物が侵入したとしても不衛生になるおそれはない。さらに、長時間の停止状態であっても、シロップはピンチソレノイド11によって閉止されているので、垂れ落ちや垂れ下がりが発生しない。また、乾燥による変質も発生しないので次回の吐出量が不安定となることはない。従って、より衛生的であり、また安定した吐出量を得ることができる。
【0025】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、チューブポンプ10のローラ9は、3個に限るものではなく、4個以上設けてもよい。
また、例えば、ここでは希釈水を吐出するノズル12を有する構造としたが、希釈する必要のない飲食物を供給する場合は、ノズル12及び希釈水ライン30はなくてもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の飲食物供給装置では、制御手段がモータによってチューブポンプを逆方向に駆動させるので、チューブ内の飲食物が吐出口から逆方向へ引き込まれる。従って、吐出口付近に飲食物が残留しない状態となる。さらに、その後、ピンチソレノイドを動作させてチューブを閉止するので、飲食物の残留しない吐出口付近のチューブを閉止することができ、それより上流側の飲食物の充填されている部分がピンチソレノイドによって密封されるようにできる。このようにすれば、ピンチソレノイドから吐出口までの、外部に開口している部分に飲食物が残留しないので、吐出口から異物が侵入したとしても不衛生になるおそれはない。さらに、長時間の停止状態であっても、飲食物はピンチソレノイドによって閉止されているので、飲食物の垂れ落ちや垂れ下がりが発生しない。また、乾燥による変質も発生しないので次回の吐出量が不安定となることはない。従って、より衛生的であり、また安定した吐出量を得ることができる飲食物供給装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 飲料用ディスペンサの送出部を示す正面図である。
【図2】 飲料用ディスペンサの概要を示したシステムブロック図である。
【図3】 飲料用ディスペンサを示す正面図である。
【符号の説明】
7 チューブ
8 吐出口
10 チューブポンプ
11 ピンチソレノイド
20 制御部
25 モータ
Claims (1)
- 飲食物が充填されたチューブの吐出口付近を開閉するピンチソレノイドと、該ピンチソレノイドより該チューブの上流側に配設されて該チューブを組み付けられるポンプ手段を備え、該ポンプ手段が回転されることによって該チューブをしごいて飲食物を送り出すことが可能なチューブポンプと、該チューブポンプを正逆方向に回転させるモータと、を有し、該ピンチソレノイドが該チューブの吐出口付近を開放した状態で、該モータが該チューブポンプを正方向に駆動させることによって飲食物を吐出口方向へ送り出す飲食物供給装置において、
飲食物が前記ピンチソレノイドによる閉止箇所より上流に引き込まれるまで、前記モータによって前記チューブポンプを逆方向に回転させ、その後、前記ピンチソレノイドを動作させて前記チューブを閉止する制御手段を有することを特徴とする飲食物供給装置。
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