JP3802387B2 - 加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの被加工個所を加工する加工方法及び加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークを回転可能に支持するワーク支持駆動装置と、ワークの回転軸線に平行に配置され、独立して移動可能な一対の左右テーブルと、左右テーブルに搭載され、ワークの回転軸線を横切る方向に各々進退可能な砥石台を備える加工装置は、例えば特開2000−84823号公報に開示されている。
図5に、従来の加工装置による加工方法を説明する。従来では、図5(B)、(C)に示すように、ワークであるカムシャフトの位相の異なる2つのカムを、2つの加工手段で同時に研削加工している。
一方、図5(A)に示すように、カムシャフトのカムは、複数の異なる加工形状を有するため、研削加工する場合には、加工速度を速くするとともに加工精度を上げるために、カムの各領域(図5(A)に示す領域「θ1」、「θ2」、「θ3」)毎にカムシャフトの回転速度が設定されている。例えば、ベース円部領域「θ1」の回転速度N1>トップ部領域「θ2」の回転速度N2>フランク部領域「θ3」の回転速度N3に設定される。なお、回転速度N2は回転速度N1の約1/3、回転速度N3は回転速度N1の約1/10に設定される。
このため、従来では、位相の異なる2つのカムを同時に研削する場合には、それぞれの加工手段で研削加工するカムの領域に対応するカムシャフトの回転速度のうち、低い方の回転速度でカムシャフトを回転させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、それぞれの砥石台で研削加工するカムの領域に対応するカムシャフトの回転速度のうち低い方の回転速度でカムシャフトを回転させている。
このため、例えば、図5(B)、(C)に示すように、位相が220度異なるカムC1とC2を同時に研削加工する場合には、カムC1の領域「θ1」とカムC2の領域「θ1」が重なる領域「θ1C1」(約60度)においてのみ、カムシャフトを最高回転速度N1で回転させることができる。この領域「θ1C1」は、カムを1つづつ研削加工する場合の領域「θ1」(約220度)に比べて非常に狭い。したがって、従来の加工方法では、カムシャフトの加工速度の低下を招いている。
カムシャフトの加工速度を速めるために、カムシャフトの回転速度を増加させる方法も考えられる。しかしながら、ワークの回転速度が、いずれかの砥石台で研削加工するカムの領域に設定されている回転速度N1〜N3を越えると加工精度が低下するため、カムシャフトの加工速度の増加には限界がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、加工精度を低下させることなく加工時間を短縮することができる加工方法及び加工装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの加工方法である。
請求項1に記載の加工方法は、第1及び第2工具の一方が1つのカムを加工している間に、他方の工具を次に加工すべき1つのカムに接近して対向する待機位置まで移動させるようにし、一方の工具による1つのカムの加工が終了すると同時に他方の工具を待機位置から切込み送りして次に加工すべき1つのカムを加工し、第1及び第2工具を交互にワークに対し切込み送りしてワークの軸方向に離間した複数のカムを1個所ずつ順次加工するようにしたことを特徴とする。
請求項1に記載の加工方法によれば、1つのカムをこのカムに応じた回転速度で回転させながら一方の工具で加工している間に、他方の工具を次の1つのカムの加工を即座に開始できる待機位置へ移動させて待機させ、一方の工具による加工の終了と同時に他方の工具による次の1つのカムの加工を即座に開始させるようにして、第1及び第2工具が複数のカムを1個所ずつ交互に加工するので、加工時間を短縮することができ、また、加工中のカムの回転はそのカムに応じて制御されるので、カムの加工精度を高く維持できる。
【0005】
請求項2に記載の加工方法は、第1及び第2工具の一方が1つのカムを加工している間に他方の工具が次に加工すべき1つのカムに接近して対向する待機位置へ移動することを許容するようにワーク上の複数のカムを第1工具が加工する第1グループと第2工具が加工する第2グループとにグループ分けし、第1及び第2工具は互いに交互に加工動作を実行して自己のグループに属するカムを順次加工するようにしたことを特徴とする。
この請求項2に記載の加工方法によれば、工具の一方が1つのカムを加工している間に他方の工具が次に加工すべき1つのカムに接近して対向する待機位置へ移動することを許容するように複数のカムを各工具毎にグループ分けしたので、次に加工を実行させるべき他方の工具を待機位置へ移動させる動作は、加工実行中の一方の工具の加工動作を妨げることがない。このため、一方の工具の加工動作が終了する前には他方の工具は待機位置へ移動されてしまっており、従って一方の工具の加工動作の終了と待機位置にある他方の工具による加工動作の開始とを切れ目なく繋げることができ、一層の加工時間の短縮を図ることができる。
【0006】
請求項3に記載の加工方法は、各カムの前記軸線から最も離れた部分がこのカムと整列する工具に向けられた角度位相にある時、この最も離れた部分と工具との間に若干の隙間を確保するように待機位置を設定したことを特徴とする。
この請求項3に記載の加工方法によれば、待機位置にある工具とこの工具に向けられた各カムの前記軸線から最も離れた部分との隙間が小さいので、この待機位置から切込み送りされる時、工具は直ちにカムと接触して加工を開始し、これにより、加工時間の短縮が一層図られる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、加工すべき複数のカムが1つの軸線方向に離間して配置されたワークをベッド上で前記軸線の廻りに回転自在に支持するワーク支持装置と、ベッド上で前記軸線と平行な1つの移動経路に沿って独立して移動可能に支持されると共に前記軸線を横切る方向に前記ワークに向かって独立して進退送り可能に支持されそれぞれが第1砥石及び第2砥石を回転支持する第1及び第2砥石台と、ワークを前記軸線の廻りに回転するワーク回転装置と、第1及び第2砥石台を各々独立して前記軸線方向及びこの軸線を横切る方向に移動させる送り装置と、予め記憶された加工プログラムに従って前記ワーク回転装置及び前記送り装置を制御する数値制御装置とにより構成される加工装置であって、この数値制御装置に請求項1〜3のいずれかに記載の加工方法を実行するようにプログラムしたことを特徴とする。
この請求項4に記載の加工装置によれば、上記請求項1〜3のいずれかに記載の加工方法を実行するので、ワーク上の複数のカムを1個所ずつこのカムに応じて適切な回転速度制御を行いながら能率よく研削できる加工装置が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明をカムシャフトのカム加工用の加工装置に適用した一実施の形態の概略図を示している。図1は、加工装置を上から見た図である。
ベッド1上には、その長手左右方向(Z軸方向)に案内するV字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3が設けられている。V字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3上には、第1砥石台22Aを載置する左テーブル20Aが、送りねじ10AによりZ軸方向に摺動自在に設けられている。また、それと同列に、V字形ガイドウェイ2と平形ガイドウェイ3上には、第2砥石台22Bを載置する右テーブル20Bが、送りねじ10BによりZ軸方向に摺動自在に設けられている。
左右のテーブル20A、20Bには、それぞれ第1の砥石24A(第1の加工手段)及び第2の砥石24B(第2の加工手段)を回転自在に支持する第1砥石台22A及び第2砥石台22Bが、それぞれの送りねじ14A、14Bにより、Z軸方向と直交する前後方向(X軸方向)に摺動自在に設けられている。
【0009】
各砥石台22A、22Bの前方には、Z軸方向に離間して主軸台6と心押台7が設けられ、その間にワークW(この例では、カムシャフト)を支持している。主軸台6には、ワークWを回転駆動させる主軸サーボモータ8が設けられている。主軸台6は、チャック6aによりワークWの軸端を把持して回転駆動が可能であり、その回転位置は、主軸サーボモータ8の後端に設けられたエンコーダ9により検出される。また、心押台7は、そのセンターによりワークWの軸心を図略のセンタにて押圧支持するように構成されている。
【0010】
各送りねじ10A、10B、14A、14Bは、CNC装置4(制御装置)により制御されるエンコーダ付きサーボモータ12A、12B、16A、16Bにより回転駆動される。また、操作盤5により、ワークWの種類の選択、装置の起動/停止等が入力される。
すなわち、第1砥石台22Aを載置する左テーブル20Aを、Z軸方向に移動するための送りねじ10Aの左端部には、エンコーダ13A付きのサーボモータ12Aが設けられている。同様に、第2砥石台22Bを載置する右テーブル20Bを、Z軸方向に移動するための送りねじ10Bの右端部には、エンコーダ13B付きのサーボモータ12Bが設けられている。
また、左右の各テーブル20A、20Bには、各砥石台22A、22BをX軸方向に移動するための送りねじ14A、14Bの端部に、エンコーダ17A、17B付きサーボモータ16A、16Bが、各々設けられている。
また、各砥石台22A、22Bには、それぞれ第1の砥石24Aを回転駆動する砥石駆動モータ28A、第2の砥石24Bを回転駆動する砥石駆動モータ28Bが設けられている。
両砥石24A、24Bは、例えば、円盤状基板の外周に厚さ5〜10mm程度の超砥粒層を接着して構成されている。超砥粒層は、例えば、ダイヤモンドあるいはCBN砥粒をビトリファイボンド等で結合され、構成されている。
【0011】
次に、図2を用いて、ワークWの形状の例(この場合、カムシャフト)について説明する。図2(A)は、ワークWをワーク回転軸Rに対して垂直な方向から見た図である。この例は、8個のカムを有するカムシャフトの例で、カムC1〜C8を有している。図2(B)は、カムC1、C3、C5、C7をワーク回転軸Rと平行な方向から見た図であり、図2(C)は、カムC2、C4、C6、C8をワーク回転軸Rと平行な方向から見た図である。このように、カムC1〜C8は、円形でなく、各領域によって異なる加工形状(複数の異なるプロファイル)を有しており、様々な位相でワークW上に設けられている。
つまり、カムC1を代表して説明すると、各カムは、ベース円部Bc、トップ部Tp及びベース円部Bcの円周方向両端をトップ部Tpの両端とそれぞれ連絡するフランク部Fnからなるプロファイルを有し、トップ部Tpの角度位相が他のカムのそれと異なっている。そして、各カムは、ベース円部Bcがワーク回転軸Rを中心とする小さな半径の円で形成され、トップ部Tpが大きな半径の円で形成されている。
【0012】
次に、図3及び図4を用いてカムシャフトのカムの加工を例にして、処理手順及び加工の動作について説明する。まず、ワークW(この例では、8個のカムを有するカムシャフト)を主軸台6と心押台7の間に支持する。そして、操作盤5から加工開始の操作が行われると、CNC装置4からの制御により、加工が開始される。
以下、図3のフローチャートを用いて処理の手順を説明するとともに、図4を用いてワークW、第1の砥石24A(第1の加工手段)、第2の砥石24B(第2の加工手段)の位置及び動作について説明する。
【0013】
加工が開始されると、ステップS10にて第1の砥石24Aが搭載されている左テーブル20A、第2の砥石24Bが搭載されている右テーブル20Bの原位置を確認する。左テーブル20Aが原位置(図1中の左端位置)にあることを確認できなかった場合、あるいは右テーブル20Bが原位置(図1中の右端位置)にあることを確認できなかった場合(NOの場合)は、ステップS90に進む。ステップS90では、操作盤5に原位置確認異常を表示して動作を終了する。左右のテーブル20A、20Bが、ともに原位置にあることを確認できた場合(YESの場合)は、ステップS15に進む。なお、ステップS90で、左右のテーブル20A、20Bをともに原位置に移動させる処理を実行してステップS10に戻るようにしてもよい。
ステップS15では、第1の砥石24A、第2の砥石24Bの各々の割出位置指定カウンタN、Mの値をそれぞれ1番目の被加工個所n、mに初期設定する。この例では、8個のカムを左右4個ずつのグループ(左側4個の第1グループと、右側4個の第2グループ)に分割し、中心に近いカムから順次、端に近いカムの方向に加工している。これにより、第1及び第2の砥石24A、24Bが互いに干渉することがない。また、この例では、図4(A)に示すように、8個のカムを有するので、例えば、n=4、m=5に初期設定する。ステップS15で初期設定が終了すると、ステップS20に進む。
【0014】
ステップS20では、第1の砥石24Aを搭載した左テーブル20AをカウンタN(この場合は「4」)に対応する指定位置に移動(Z軸方向に移動)させる。指定位置に移動された結果、左テーブル20Aに搭載された第1の砥石24AがカムC4と整列する位置に来る。
第1の砥石24AがカムC4と整列する位置に来た状態から、第1の砥石24Aの被加工個所との当接面が「被加工個所最大径+α」の待機位置に位置するように、第1の砥石24Aが搭載された第1砥石台22Aをワーク方向に移動(X軸方向に移動)させる(図4(A)に示す)。ここで、「被加工個所最大径」は、ワーク回転軸からカムの端面までの最大の長さである。また、「α」は、第1の砥石24A(第1の加工手段)あるいは第2の砥石24B(第2の加工手段)と被加工個所が接触することを回避するための余裕値(マージン)である。「α」は、種々の試行の結果、できるだけ小さな値で且つ接触しない最適な値に設定されている。
Z軸方向の移動には左右のテーブル20A、20Bを移動させ、X軸方向の移動には第1及び第2砥石台22A、22Bを移動させるが、以下の説明では、判り易くするために、第1の砥石24A、第2の砥石24BをZ軸方向あるいはX軸方向に移動させる、と説明する。
ステップS20の処理を終了すると、ステップS25に進む。
【0015】
ステップS25では、第1の砥石24Aを待機位置(「被加工個所最大径+α」の位置)からワーク方向(X軸方向)に移動させて加工を開始する(図4(A)に示す)とともに、第2の砥石24BをカウンタMの値(この場合は「5」)に対応する指定位置に移動(Z軸方向に移動)させる。なお、Mが初期設定された場合、第2の砥石24Bは原位置にあるので、ワークから後退させる必要はない。
図4(A)に、カウンタMの値が「5」の場合の例を示す。指定位置に移動された結果、第2の砥石24BがカムC5と整列する位置に来る。第2の砥石24BがカムC5と整列する位置に来た状態から、第2の砥石24Bの被加工個所との当接面が「被加工個所最大径+α」の待機位置に位置するように、第2の砥石24Bをワーク方向(X軸方向)に移動させる(図4(A)に示す)。そして、ステップS30に進む。なお、ステップS15あるいはステップS20で、第1の砥石24Aと第2の砥石24Bを、カウンタN、Mの値が示す被加工個所に対応する待機位置に、同時に移動させてもよい。
【0016】
ステップS30では、第1の砥石24Aによる加工が完了したか否かを判定する。加工が完了していない場合(NOの場合)は、ステップS30の先頭に戻り、加工が完了するまでループする。加工が完了した場合(YESの場合)は、ステップS35に進む。
ステップS35では、カウンタNの値を「1」減算する。この例では、Nが「4」から「3」に更新される。そして、ステップS40に進む。
ステップS40では、カウンタNが第1の砥石24A(この場合、左テーブル20A)の原位置を示す値であるか否かを判定する。この例では、Nが「0」の値である時に原位置を示している。カウンタNが第1の砥石24Aの原位置を示す値である場合(YESの場合)はステップS45bに進み、そうでない場合(NOの場合)は、ステップS45aに進む。
【0017】
ステップS45bでは、第2の砥石24Bを待機位置(「被加工個所最大径+α」の位置)からワーク方向(X軸方向)に移動させて加工を開始するとともに、第1の砥石24AをワークWから後退させ、第1の砥石24A(この場合、左テーブル20A)を原位置に移動させる。そして、ステップS50に進む。
ステップS45aでは、第2の砥石24Bを待機位置(「被加工個所最大径+α」の位置)からワーク方向(X軸方向)に移動させて加工を開始する(図4(B)に示す)とともに、第1の砥石24AをカウンタNの値に対応する指定位置に移動(Z軸方向に移動)させる。図4(B)に、カウンタNの値が「3」の場合の例を示す。指定位置に移動された結果、第1の砥石24AがカムC3と整列する位置に来る。第1の砥石24AがカムC3と整列する位置に来た状態から、第1の砥石24Aの被加工個所との当接面が「被加工個所最大径+α」の待機位置に位置するように、第1の砥石24Aをワーク方向(X軸方向)に移動させる(図4(B)に示す)。そして、ステップS50に進む。
【0018】
ステップS50では、第2の砥石24Bによる加工が完了したか否かを判定する。加工が完了していない場合(NOの場合)は、ステップS50の先頭に戻り、加工が完了するまでループする。加工が完了した場合(YESの場合)は、ステップS55に進む。
ステップS55では、カウンタMの値を「1」加算する。この例では、Mが「5」から「6」に更新される。そして、ステップS60に進む。
ステップS60では、カウンタMが第2の砥石24B(この場合、右テーブル20B)の原位置を示す値であるか否かを判定する。この例では、Mが「9」の値である時に原位置を示している。カウンタMが第2の砥石24Bの原位置を示す値である場合(YESの場合)はステップS65に進み、そうでない場合(NOの場合)は、ステップS25に戻る。ステップS25に戻った場合は、図4(C)に示すように、第1の砥石24Aで加工を開始し、第2の砥石24Bを次の被加工個所(この例では、カムC6)に対応する待機位置に移動させる。
このように、カウンタN、Mの値を順次更新しながら、残りの被加工個所を加工していく。
上記ステップS25及びS45aにおいて第1の砥石24A、第2の砥石24Bを待機位置からさらに前進させてそれら砥石に整列されたカムを研削する場合、主軸サーボモータ8と前進送りされる一方の砥石台22Aまたは22Bの駆動用サーボモータ16Aまたは16Bとが同期して制御される。つまり、砥石台は、研削される1つのカムの回転角に応じてその進退運動がそのカムの形状に対応してCNC装置4に予め記憶されているプロファイルデータに基づいて制御されるプロファイル創成運動が与えられる。また、研削中におけるサーボモータ8の回転速度は、例えば、図5に例示されるように、研削中の1つのカムのベース円部領域θ1、2つのフランク部領域θ3及びトップ部領域θ2を選択的に砥石に向けるに連れて、逐次変更される。更に、砥石台は、カムの角度位相に応じてその進退運動が制御される前述のプロファイル創成運動が与えられるのと同時並行的に、このプロファイル創成運動に重合して漸次カムに対し前進される切込み送り運動が与えられる。このようなプロファイル創成運動、これに重合される切込み送り運動及びカムの砥石に当接する領域に応じた回転速度制御は、この種のカム研削盤においては周知であり、これ以上の詳細な説明を割愛することとする。
【0019】
ステップS65では、第2の砥石24BをワークWから後退させ、第2の砥石24B(この場合、右テーブル20B)を原位置に移動させ、処理を終了する。ここで、図3の例では、「第1の砥石24Aで加工する被加工個所の数」≦「第2の砥石24Bで加工する被加工個所の数」に設定したフローチャートを示している。
本実施の形態で説明したカム(複数の異なるプロファイルを有する被加工個所)の加工では、図5(A)に示すように、領域「θ1」〜「θ3」に対応する加工速度「N1」〜「N3」が大きく異なり(N2はN1の約1/3、N3はN1の約1/10)、小さな加工速度「N2」、「N3」で加工すべき領域「θ2」、「θ3」も比較的広い。
このような場合は、図5(B)、(C)に示すように、2つのカムを同時に加工した場合に1つのワークにおいて全カムの加工に要する時間よりも、カムを1つずつ交互に加工した場合(本実施の形態)に全カムの加工に要する時間の方が短くなる。このため、加工精度を低下させることなく加工時間を短縮することができるので、本発明は非常に有効である。
【0020】
以上、本実施の形態で説明した加工方法及び加工装置は、加工装置に設けられたCNC装置4(制御装置)、あるいは加工装置の外部または内部に接続された制御装置等に容易にプログラムすることができる。
また、以上の説明では、砥石台22A、22Bを用いて交互に加工する方法について説明した。しかし、予め、形状及び位相が類似したカムが判っている場合は、交互に加工することなく同時に加工してもよい。この場合は、トータル加工時間を更に短縮することが可能である。
【0021】
本発明の加工方法及び加工装置は、本実施の形態で説明した構成、手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、本実施の形態では、第1及び第2の加工手段に砥石を用いた加工装置について説明したが、本発明は、第1及び第2の加工手段として種々の加工手段を用いた加工装置に適用することができる。
また、本実施の形態では、カムシャフトを加工する場合について説明したが、複数の被加工個所が種々の非真円形状のプロファイルを持つワークを加工する場合に適用することができる。本実施例では、内燃機関用のエンジンカムシャフトをワークWとして例示したが、本発明による加工方法は、実施の形態で例示したエンジンカムシャフト上のカムに限定されず、プロファイルが非真円をなすその他の非真円形状の被加工個所の加工にも適用できる。それ故、本発明で云う「カム」とは、エンジンカムシャフト上のカムのみならず、その他の非真円被加工部をも包含するものである。
また、被加工個所の第1グループ/第2グループの分割方法、第1の加工手段/第2の加工手段で加工する順番、処理手順等は、本実施の形態で説明した内容及び図3〜4に限定されず、種々のものが可能である。
例えば、第1の砥石24AによりカムC1〜C4を順次研削させ、第2の砥石24BによりカムC8〜C5を順次研削させ、かつ第1の砥石24Aによるカムの研削と第2の砥石24Bによるカムの研削とを交互に行うようにする。別の方法では、第1の砥石24AによりカムC1〜C4(あるいはC4〜C1)を順次研削し、第2の砥石24BによりカムC5〜C8(あるいはC8〜C5)を順次研削し、かつ第1の砥石24Aによるカムの研削と第2の砥石24Bによるカムの研削とを交互に行うようにする。更に、別の方法では、第1の砥石24AによりカムC1、C2、C4及びC6をこの順序通り(あるいは逆の順序で)順次研削し、第2の砥石24BによりカムC3、C5、C7及びC8をこの順序通り(あるいは逆の順序で)順次研削し、両砥石24A及び24Bが交互にカムを研削するようにする。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜3のいずれかに記載の加工方法あるいは請求項4に記載の加工装置を用いれば、加工精度を低下させることなく加工時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をカムシャフトのカム加工用の加工装置に適用した一実施の形態の概略図である。
【図2】ワークWの形状の例を説明する図である。
【図3】本発明の加工方法の処理手順の例を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の加工方法の加工の動作を説明する図である。
【図5】従来の加工方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 ベッド
2 V字形ガイドウェイ
3 平形ガイドウェイ
4 CNC装置
5 操作盤
6 主軸台
6a チャック
7 心押台
8 主軸サーボモータ
9 エンコーダ
10A、10B、14A、14B 送りねじ
12A、12B、16A、16B サーボモータ
13A,13B、17A、17B エンコーダ
20A 左テーブル
20B 右テーブル
22A 第1砥石台
22B 第2砥石台
24A 第1の砥石
24B 第2の砥石
28A、28B 砥石駆動モータ
W ワーク
C1〜C8 カム
Claims (4)
- 加工すべき複数のカムがそれぞれのトップ部を異なる角度位相に向けて1つの軸線方向に離間して配置されたワークを前記軸線の廻りに回転可能に支持し、第1工具と第2工具とを独立して前記軸線方向に移動させてそれぞれ前記カムと整列させ、加工すべきカムが整列された前記第1及び第2工具のいずれかに向けられる角度領域に応じて前記ワークの回転速度を変速しながら前記第1及び第2工具を前記軸線を横切る方向に独立して切込み送りして前記複数のカムを加工するようにした加工方法において、
前記第1及び第2工具の一方が1つのカムを加工している間に、他方の工具を次に加工すべき1つのカムに接近して対向する待機位置まで移動させるようにし、
前記一方の工具による前記1つのカムの加工が終了するとほぼ同時に前記他方の工具を前記待機位置から切込み送りして前記次に加工すべき1つのカムを加工し、
前記第1及び第2工具を交互にワークに対し切込み送りして前記複数のカムを1個所ずつ順次加工するようにしたことを特徴とする加工方法。 - 請求項1に記載の加工方法において、
前記第1及び第2工具の一方が1つのカムを加工している間に他方の工具が次に加工すべき1つのカムに接近して対向する待機位置へ移動することを許容するように前記複数のカムを前記第1工具が加工する第1グループと第2工具が加工する第2グループとにグループ分けし、
前記第1及び第2工具は互いに交互に加工動作を実行して自己のグループに属するカムを順次加工するようにしたことを特徴とする加工方法。 - 請求項1または2に記載の加工方法において、
前記待機位置は、各カムの前記軸線から最も離れた部分がこのカムと整列する工具に向けられた角度位相にある時、この最も離れた部分と工具との間に若干の隙間を確保するように設定されていることを特徴とする加工方法。 - ベッドと、加工すべき複数のカムがそれぞれのトップ部を異なる角度位相に向けて1つの軸線方向に離間して配置されたワークを前記ベッド上で前記軸線の廻りに回転自在に支持するワーク支持装置と、前記ベッド上で前記軸線と平行な1つの移動経路に沿って独立して移動可能に支持されると共に前記軸線を横切る方向に前記ワークに向かって独立して進退送り可能に支持されそれぞれが前記第1及び第2工具としての第1砥石及び第2砥石を回転支持する第1及び第2砥石台と、前記ワークを前記軸線の廻りに回転するワーク回転装置と、前記第1及び第2砥石台を各々独立して前記軸線方向及びこの軸線を横切る方向に移動させる送り装置と、予め記憶された加工プログラムに従って前記ワーク回転装置及び前記送り装置を制御する数値制御装置とにより構成され、この数値制御装置は請求項1〜3のいずれかに記載の加工方法を実行するようにプログラムされていることを特徴とする加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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