JP3802222B2 - 感熱式流速センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流れ方向の上流側と下流側とに発熱体を配置した検出エレメントを備え、上流側の発熱体と下流側の発熱体との冷却量の違いを電気信号の差として求めることにより、流体の流速、流量を検出する感熱式流量センサ、感熱式流速検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、図8及び図9に基づいて、一般的な感熱式流速センサAの概略の構成を説明する。図8は平面図、図9は図8におけるX−X線上で断面にした縦断正面図である。図中、1はシリコン等の材料により形成した基板である。この基板1は表面が絶縁膜2で覆われ、中央部には矢印方向からガス等の流体を流すための流体流通路としての堀3がエッチング等の方法により形成されている。また、基板1には堀3の一部を流体の流れ方向と直交してまたがるようにブリッジ4aが形成されている。このブリッジ4aの表面には検出エレメント5aが金属薄膜により形成されている。この検出エレメント5aは、流体の流れ方向の上流側と下流側とに配列した二つの発熱体(発熱抵抗体膜)51a,52aにより形成されている。
【0003】
さらに、基板1の表面には、発熱体51a,52aに接続されたボンディングパッド53a,54aと、発熱体51a,52aと基板1との間を熱的に断絶するスリット6と、測温体7と、この測温体(発熱抵抗体膜)7に接続されたボンディングパッド8とが形成されている。検出エレメント5aと測温体7とは絶縁性の保護膜により覆われている。
【0004】
このような感熱式流速センサAは、図10に示す管路本体9において管路10の蓋11の内面に取り付けられて用いられる。図10(a)は管路10を開放した状態の管路本体9を示す平面図である。同図(b)は図10(a)におけるY−Y線上で断面にした縦断側面図、同図(c)は図10(a)におけるX−X線上で断面にした縦断正面図で、それぞれ管路本体9を蓋11で閉塞した状態を示している。管路10の上流側には、ハニカム構造又は厚みのあるメッシュ構造の整流器19が配置されている。感熱式流速センサAは管路10に配置されている。これにより、ガス等の流体は矢印に示すように管路10を流れ、整流器19を通り、このときに流体の流速又は流量が検出される。
【0005】
ここで、図8を参照し、流体の流速を検出する感熱式流速センサAの動作を概略的に説明する。ガス等の流体の流速がゼロのときは、発熱体51a,52aの抵抗値が等しいが、矢印方向に流体が流れると、上流側の発熱体51aが流体により先に冷却され、下流側の発熱体52aは上流側の発熱体51aから熱を奪った流体晒されるため、発熱体51a,52aの出力が異なる。したがって、その出力差により流体の流速を求めることができる。なお、流速は、単位時間当たりの流量と、図10に示す管路10の流路断面積により決まる。
【0006】
図11は感熱式流速センサAの駆動回路の一例である。この例では、発熱体51a,52aと定電流電源12とを直列に接続する例である。定電流を流すと発熱体51aの両端には電圧Vuが発生し、発熱体52aの両端には電圧Vdが発生する。発熱体51a,52aの電圧降下VhuとVhdとを検出し、流量(或いは流速)と関係する量として、Vdu(Vhd−Vhu)を求め、この値と予め決められた関係式によって単位時間当たりの流量を求めることができる。
【0007】
感熱式流速センサAの駆動方式は、上記の定電流駆動方式の他に、定電圧駆動方式、定温度駆動方式等があるが、何れも発熱体51a,52aの出力の差をとることは同様である。
【0008】
感熱式流速センサは、高感度で消費電力も少なく、ガスメータ等への応用が検討されている。湯沸器の口火を点火状態に維持するガスの流量は毎時3リットルの場合、流路断面積を1cm2 程度とするときに、流速は毎秒数mm〜2cmと非常に低く、このような低速領域の検出をする場合の応用として、感熱式流速センサは優れた特性を発揮する。しかし、ガスメータとしての流量は、最大で毎時3000リットル以上、流速は毎秒10メートルを上回るという3桁以上の広い領域を検出する必要がある。一方、単一の感熱式流速センサでは、低速領域の感度が良くても高速領域での感度が低下する問題があり、一つの感熱式流速センサで検出できるダイナミックレンジは2桁位までが限度である。
【0009】
計測領域を増やすには何らかの方法で感度の異なる複数の感熱式流速センサを用いる必要がある。感度の異なる感熱式流速センサを用いた場合の検出エレメントの特性を図12に示す。左のグラフは高感度の感熱式流速センサの特性で、都市ガス300リットル/時で、感度の飽和が始まる。これに対し、高流量(高流速)用の感熱式流速センサは、100リットル/時位から実用精度に達し、3000リットル/時以上の計測に使える。このように特性の異なる感熱式流速センサを組み合わせ、計測領域に応じて感熱式流速センサを切り替えることができるが、装置が大型化してしまう。
【0010】
単一の感熱式流速センサで広域の計測に対応する従来例について説明する。第一に、特開平6−11374号公報に記載された提案について説明する。これは、基板に形成した橋絡部(ブリッジ)に形成した四個の薄膜熱感知体(発熱体)をホイートストンブリッジ回路に組む構成である。
【0011】
第二に、特開平8−29226号公報に記載された提案は、計測する領域に応じて感度の異なる複数の検出部分(検出エレメント)の出力を切り替えることで、広域の計測を可能にしようとするものである。この場合、複数の検出部分は熱容量を変えることにより感度が異なる。
【0012】
第三に、特開平4−343024号公報に記載された提案は、計測する流量の多少に拘らず流量を的確に計測するために、それぞれ加熱部を間にして対の抵抗温度センサ部を対向配置した大流量計測部と小流量計測部とを備えている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−11374号公報に記載された提案は、感度を向上させることにより、或いは、出力特性の非直線性を改善することで計測領域を広げようとするものである。しかし、ガスの流量計測を例にすると、300リットル/時以下の領域と、100〜3000リットル/時の領域とを含む広域の計測を満足する程の出力特性の非直線性を改善することができるとは思えない。
【0014】
特開平8−29226号公報に記載された提案は、検出部分を切り替えることで広域の計測が可能であるが、低消費電力が要求されるガスメータ等に用いる感熱式流速センサに使用する場合、検出部分の熱容量を大きくすると、パルス駆動する際に応答時間が長くなる。また、熱容量が大きい検出部分を駆動するために消費電力が増える問題がある。
【0015】
特開平4−343024号公報に記載された提案は、加熱部を挾んで抵抗温度センサ部を配置して流量計測部を形成しているため、流体の流れ方向に対の発熱体を対向配置した構成に比して低量領域での感度が低い。
【0016】
本発明は広域での流量、流速の計測を可能にし、特に、流体の流れ方向に対の発熱体を対向配置した2発熱体方式の検出エレメントを用い、駆動電流に無関係に感度を変えることができるようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、流体を流すための流体流通路と、この流体流通路の一部を架橋するブリッジとを基板に形成し、流体の流れ方向における上流側と下流側とに配置された対の発熱体よりなる検出エレメントを前記ブリッジに形成してなる感熱式流速センサにおいて、前記検出エレメントは複数組設けられ、ある一組の前記検出エレメントの対をなす上流側の前記発熱体と下流側の前記発熱体との間に、他の組の前記検出エレメントの上流側の前記発熱体と下流側の発熱体とが位置する配置関係をもって複数組の前記検出エレメントを前記ブリッジ上に配列した感熱式流速検出センサにおいて、複数組の前記検出エレメントは、前記流体流通路の中央部とその流体流通路の側壁付近とに位置を変えてブリッジに配設されている、ことを特徴とする。
【0018】
したがって、ひとつの基板上に感度の異なる複数の検出エレメントを形成することが可能となる。これにより、流体の流速、流量に応じて使用する検出エレメントを切り替えることにより、計測領域を増大させることが可能となる。
【0019】
また、請求項1記載の発明は、一つのブリッジ上に感度の異なる複数の検出エレメントを形成することができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記検出エレメントの上流側の発熱体と下流側の発熱体の配列パターンは、前記流体流通路における流体の流線方向と略直交するブリッジの中心線を軸に線対称に配列されている、ことを特徴とする。
【0021】
したがって、流体流通路の側壁付近に配設した検出エレメントの出力電圧の流量に対する変化を滑らかにすることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第一の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。本実施において、図8及び図9において説明した部分と同一部分は同一符号を用いて説明する。図1に示すように、シリコン等の材料により形成した基板1は表面が絶縁膜2で覆われ、中央部には矢印方向からガス等の流体を流すための流体流通路としての堀3がエッチング等の方法により形成されている。また、基板1には堀3の一部を流体の流れ方向と直交してまたがるようにブリッジ4aが形成されている。このブリッジ4aの表面には二つの検出エレメント5a,5bが金属薄膜により形成されている。一方の検出エレメント5aは、流体の流れ方向の上流側と下流側とに配列した二つの発熱体(発熱抵抗体膜)51a,52aにより形成され、他方の検出エレメント5bは、流体の流れ方向の上流側と下流側とに配列した二つの発熱体(発熱抵抗体膜)51b,52bにより形成されている。
【0040】
さらに、基板1の表面には、発熱体51a,51b,52a,52bに接続されたボンディングパッド53a,53b,54a,54bと、測温体7と、この測温体(発熱抵抗体膜)7に接続されたボンディングパッド8とが形成されている。検出エレメント5aと測温体7とは絶縁性の保護膜により覆われている。
【0041】
図2は二つの検出エレメント5a,5bのパターンをシンボリックに表した説明図である。この図で明らかなように、一方の検出エレメント5aの発熱体51a,52aは、堀3の中央部において、流体の流線方向の中心線を軸に線対称に配列されてブリッジ4a上に形成され、他方の検出エレメント5bの発熱体51b,52bは、堀3の側壁13付近において、流体の流線方向と略直交するブリッジの中心線を軸に線対称に配列されてブリッジ4a上に形成されている。すなわち、検出エレメント5a,5bは熱的に干渉しない位置に配設されている。
【0042】
一組の検出エレメント5bの対をなす上流側の発熱体51bと下流側の発熱体52bとの間に、他の組の検出エレメント5aの上流側の発熱体51aと下流側の発熱体52aとが位置する配置関係をもって複数組の検出エレメント5a,5bがブリッジ4a上に配列されている。
【0043】
図3はブリッジ4aを、堀3(図1参照)の中心を通る直線14と、ブリッジ4aの中心を通る直線15とで4分割したブリッジ4aの4分の1の領域を示すもので、発熱体51a,51bとが近接する部分には、さらに熱的干渉を避けるためにスリット6が形成されている。図3では図示しないが、発熱体52a,52bとが近接する部分にも熱的干渉をさらに避けるためにスリット6が形成されている。
【0044】
このような感熱式流速センサBでは、ガス等の流体の流速がゼロのときに、検出エレメント5aの発熱体51a,52aの抵抗値を等しくするとともに、検出エレメント5bの発熱体51b,52bの抵抗値を等しくすることが望ましい。いま、矢印方向に流体が流れたとすると、上流側の発熱体51a,51bが流体により先に冷却され、下流側の発熱体52a,52bは上流側の発熱体51a,51bから熱を奪った流体に晒されるため、発熱体51a,52aの出力、発熱体51b,52bの出力が異なる。したがって、その出力差により流体の流速、流量を求めることができる。
【0045】
この場合、一組の検出エレメント5bの対をなす上流側の発熱体51bと下流側の発熱体52bとの間に、他の組の検出エレメント5aの上流側の発熱体51aと下流側の発熱体52aとが位置する配置関係をもって複数組の検出エレメント5a,5bをブリッジ4a上に配列した構成(請求項1対応)のため、ひとつの基板1上に感度が異なる複数の検出エレメント5a,5bを形成することが可能となる。したがって、流体の流速、流量に応じて使用する検出エレメント5a,5bを切り替えることにより、計測領域を増大させることが可能となる。
【0046】
さらに、複数組の検出エレメント5a,5bを、堀3の中央部とその堀3の側壁13付近とに位置を変えてブリッジ4aに配設した構成(請求項2対応)のため、一つのブリッジ4a上に感度の異なる複数の検出エレメント5a,5bを形成することができる。
【0047】
ここで、一方の検出エレメント5bの発熱体51b,52bは堀3の側壁13付近(ブリッジ4aのたもと付近)に配置されているが、流体の流線方向と略直交するブリッジの中心線を軸に線対称に配置されていない場合には、検出エレメント5bの出力特性は図4に示すようになる。図4(a)は上流側の発熱体51bの出力と下流側の発熱体52bの出力とを示し、同図(b)は発熱体51b,52bの出力の和を示すもので、この和を示す曲線はイ及びロの部分で二度曲がり、滑らかな曲線にはなりにくい。
【0048】
しかし、本実施の形態では、検出エレメント5bの上流側の発熱体51bと下流側の発熱体52bの配列パターンを、流体の流線方向と略直交するブリッジの中心線を軸に線対称に配列した構成(請求項3対応)のため、堀3の側壁13付近に配設した検出エレメント5bの出力電圧の流量に対する変化を滑らかにすることができる。
【0049】
次に、本実施の第二の形態を図5に基づいて説明する。本実施の形態及びこれに続く他の実施の形態において、第一の実施の形態と同一部分は同一符号を用い説明も省略する。
【0050】
本実施の形態における感熱式流速センサCは、矢印で示す流体の流れ方向の上流側から下流側に向けて複数のブリッジ4a,4bを形成し、これらのブリッジ4a,4bのそれぞれに検出エレメント5a,5bを形成した構成(請求項4対応)である。
【0051】
したがって、第一の形態と同様に、ひとつの基板1上に感度が異なる複数の検出エレメント5a,5bを形成することが可能となる。これにより、流体の流速、流量に応じて使用する検出エレメント5a,5bを切り替えることにより、計測領域を増大させることが可能となる。また、ブリッジ4a,4bのそれぞれに検出エレメント5a又は5bを一つだけ形成することにより、第一の形態の構成に比して検出エレメント5a,5bの配置に自由度を増すことが可能となる。さらに、ブリッジ4a,4bは離れ、両者の間には堀3が形成されているため、複数の検出エレメント5a,5bの熱的干渉をより効果的に防止することが可能となる。
【0052】
さらに、図5に示すように、流体の流れの方向における発熱体51a,52a及び発熱体51b,52bのパターン幅(流体の流れ方向における幅)を複数の検出エレメント5a,5b毎に変えた構成(請求項5対応)とすることにより、堀3の幅が一定で、ブリッジ4a,4bの長さが一定の場合でも、感度が異なる複数の検出エレメント5a,5bを形成することが可能となる。この例では、上流側のブリッジ4bの幅及びその上に配置された検出エレメント5bのパターン幅を広くしている。
【0053】
さらに、検出エレメント5aの発熱体51a,52aの抵抗値と、検出エレメント5bの発熱体51b,52bの抵抗値とを変えた構成(請求項6対応)とすることにより、検出エレメント5a,5bの感度の違いをさらに大きくすることが可能となる。これにより、さらに計測する領域を広域にすることができる。
【0054】
さらに、パターン幅が大きい方の検出エレメント5bの発熱体51b,52bの抵抗値を、パターン幅が小さい方の検出エレメント5aの発熱体51a,52aの抵抗値より大きな値に設定した構成(請求項7対応)とすることにより、検出エレメント5a,5bのパターン幅を大きく変えることなく、パターン幅の広い方の検出エレメント5bの感度をさらに高くして、二つの検出エレメント5a,5bの感度が大きく違いをさらに大きくすることが可能となる。この場合、発熱体51a,52a,51b,52bの抵抗値と、駆動方式とのパラメータを選択して組み合わせることにより、検出エレメント5a,5bの感度の違いをさらに得易くすることが可能となる。この場合の得失については表1,2,3を参照して説明する。
【0055】
【表1】
【0056】
定電流駆動方式の場合は、表1に示すように、感度の高い検出エレメントの発熱体は、抵抗値を抵抗値を高くし、検出エレメントの発熱体サイズ(ブリッジのサイズ)を小さくする。したがって、駆動により発熱体の温度は高い設定になる。もちろん、駆動電流は、高いほど感度が上がる。
【0057】
【表2】
【0058】
定電圧駆動方式の場合は、表2に示すように、発熱体の抵抗値を高くすると、電流値の減少に伴い消費電力は低くなる。したがって、感度も減少する。もちろん、電圧は高い方が感度は高い。
【0059】
【表3】
【0060】
定温度駆動方式の場合は、表3に示すように、発熱体の抵抗値は消費電力に影響せず、発熱体の抵抗の増加は、駆動電流の減少分より大きい電圧の増加により感度は高くなる。発熱体サイズ(ブリッジのサイズ)は、消費電力の増加に略比例し、その分感度も高くなる。駆動温度は、高いほど感度が高くなる。
【0061】
さらに、本発明の実施の第三の形態を図6に基づいて説明する。本実施の形態は、複数のブリッジ4a,4bを、矢印に示す流体の流れ方向と直交する方向の長さを違えて形成し、そのブリッジ4a,4bのそれぞれに検出エレメント5a,5bを形成した構成(請求項8)である。この例では、上流側のブリッジ4bの方の長さを長く設定している。
【0062】
したがって、長い方のブリッジ4bの検出エレメント5aの長さを増して抵抗値を高め、感度をより高くすることができる。これにより、二つの検出センサ5a,5bの感度の違いを大きくすることが可能となる。
【0063】
さらに、長い方のブリッジ4b上の検出エレメント5bの長い発熱体51b,52bの抵抗値を、短い方のブリッジ4a上の検出エレメント5bの短い発熱体51a,52aの抵抗値より高く設定する構成(請求項9)とすることにより、流体の流れ方向における検出エレメント5a,5bのパターン幅が一定でも、ブリッジ4bの長さを利用して発熱体51b,52bの抵抗値を高い値に設定し、これにより、検出エレメント5bの感度を高め、二つの検出エレメント5a,5bの感度の違いを大きくすることが可能となる。
【0064】
次に、本発明の実施の第四の形態を図7に基づいて説明する。まず、本実施の形態(請求項10)は、複数の感熱式流速センサを管路本体に取り付けた感熱式流速検出装置の例である。まず、図7に管路本体16の構成を示す。図7(a)は管路17を開放した状態の管路本体16を示す平面図である。同図(b)は図7(a)におけるY−Y線上で断面にした縦断側面図、同図(c)は図7(a)におけるX−X線上で断面にした縦断正面図で、同図(c)は管路本体16を蓋18で閉塞した状態を示している。管路17は、矢印で示す流体の流れ方向において、上流側から下流側に向けて、流路断面積が小さくなるように三つの部分17a,17b,17cを有する。
【0065】
そして、流路断面積が最も大きな部分17aと次に大きな部分17bとには、流体の流れを直線的にする整流器19a,19bが設けられている。これらの整流器19a,19bは、例えば、多数の仕切壁により空間部が細かく仕切られ、上流側及び下流側の両端が開口するハニカム構造のもの、或いは厚みのあるメッシュ構造のものが用いられている。また、管路17の次の部分17b,17cには、例えば、図8及び図9で説明したような感熱式流速センサAが配置されているが、感熱式流速センサAとは異なる感熱式流速センサを用いてもよい。
【0066】
これらの感熱式流速センサAによる流体の流速や流量計測の原理はこれまで説明した通りであるが、二つの感熱式流速センサAの感度が同一の場合でも、これらの感熱式流速センサAは配置される流路断面積の違い(流体の流速の違い)により感度が異なるため、使用する感熱式流速センサAを切り替えることにより、広域の計測が可能となる。
【0067】
また、管路の流路断面積が上流側で大きく下流側で小さい値に設定されていることにより、圧力損失を少なくするために整流器19で流体の流れを整流する場合に、上流側の流路断面積が大きい位置に整流器を配置し、感熱式流速センサAが配置される下流側に向けて流路断面積を小さくすることができ、これにより、流路を小型化することが可能となる。
【0068】
さらに、感度が同じならば、流体の流速が遅くなる流路断面積が小さい部分17aに配置した感熱式流速センサAの感度の方が、それよりも流路断面積が大きい部分17bに配置した感熱式流速センサAの感度よりも高くなることから、管路17における流路断面積が大きい上流側の部分17bに感度が低い感熱式流速センサAを配設し、流路断面積が小さい下流側の部分17cに感度が高い感熱式流速センサAを配設する構成(請求項11)とすることにより、上流側の部分17bに配置した感熱式流速センサAは流速が遅い位置で流体に晒されるため感度がさらに低下し、下流側の部分17cに配置した感熱式流速センサAは流速が速い位置で流体に晒されるため感度がさらに高くなる。これにより、複数の感熱式流速センサAの感度の差をさらに大きくし、より広域の計測が可能となる。
【0069】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、流体を流すための流体流通路と、この流体流通路の一部を架橋するブリッジとを基板に形成し、流体の流れ方向における上流側と下流側とに配置された対の発熱体よりなる検出エレメントを前記ブリッジに形成してなる感熱式流速センサであって、前記検出エレメントは複数組設けられ、ある一組の前記検出エレメントの対をなす上流側の前記発熱体と下流側の前記発熱体との間に、他の組の前記検出エレメントの上流側の前記発熱体と下流側の発熱体とが位置する配置関係をもって複数組の前記検出エレメントを前記ブリッジ上に配列した感応式流速センサにおいて、複数組の前記検出エレメントは、前記流体流通路の中央部とその流体流通路の側壁付近とに位置を変えてブリッジに配設されているので、ひとつの基板上に感度の異なる複数の検出エレメントを形成することができる。これにより、流体の流速、流量に応じて使用する検出エレメントを切り替えることにより、計測領域を増大させることができる。
【0070】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記検出エレメントの上流側の発熱体と下流側の発熱体の配列パターンは、前記流体流通路における流体の流線方向と略直交するブリッジの中心線を軸に線対称に配列されているので、流体流通路の側壁付近に配設した検出エレメントの出力電圧の流量に対する変化を滑らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の形態における感熱式流速センサの平面図である。
【図2】検出エレメントをシンボリックに示す説明図である。
【図3】ブリッジ及び検出エレメントの一部を示す平面図である。
【図4】(a)は上流側の発熱体の出力と下流側の発熱体の出力とを示す特性図、(b)は上流側と下流側との発熱体の出力の和を示す特性図である。
【図5】本発明の実施の第二の形態における感熱式流速センサの平面図である。
【図6】本発明の実施の第三の形態における感熱式流速センサの平面図である。
【図7】(a)は本発明の実施の第四の形態における感熱式流速検出装置の管路本体を示す平面図、(b)は(a)におけるY−Y線上で断面にした縦断側面図、同図(c)は(a)におけるX−X線上で断面にした縦断正面図である。
【図8】一般的な感熱式流速センサの概略の構成を示す平面図である。
【図9】図8におけるX−X線上で断面にした縦断正面図
【図10】(a)は従来の感熱式流速検出装置の管路本体を示す平面図で、(b)は(a)におけるY−Y線上で断面にした縦断側面図、(c)は(a)におけるX−X線上で断面にした縦断正面図である。
【図11】感熱式流速センサの駆動回路の一例を示す回路図である。
【図12】感度の異なる感熱式流速センサを用いた場合の検出エレメントの出力を示す特性図である。
【符号の説明】
1 基板
3 流体流通路
4a,4b ブリッジ
5a,5b 検出エレメント
51a,52b,51a,52b 発熱体
13 流体流通路の側壁
17 管路
Claims (2)
- 流体を流すための流体流通路と、この流体流通路の一部を架橋するブリッジとを基板に形成し、流体の流れ方向における上流側と下流側とに配置された対の発熱体よりなる検出エレメントを前記ブリッジに形成してなる感熱式流速センサであって、
前記検出エレメントは複数組設けられ、ある一組の前記検出エレメントの対をなす上流側の前記発熱体と下流側の前記発熱体との間に、他の組の前記検出エレメントの上流側の前記発熱体と下流側の発熱体とが位置する配置関係をもって複数組の前記検出エレメントを前記ブリッジ上に配列した感熱式流速検出センサにおいて、
複数組の前記検出エレメントは、前記流体流通路の中央部とその流体流通路の側壁付近とに位置を変えてブリッジに配設されている、
ことを特徴とする感熱式流速センサ。 - 前記検出エレメントの上流側の発熱体と下流側の発熱体の配列パターンは、前記流体流通路における流体の流線方向と略直交するブリッジの中心線を軸に線対称に配列されている、
ことを特徴とする請求項1記載の感熱式流速センサ。
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JP07189598A JP3802222B2 (ja) | 1998-03-20 | 1998-03-20 | 感熱式流速センサ |
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